忍者ブログ
最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

 記念すべき今期初泣き作品、第6話。基本的に涙脆い私ですが、今作を見ているといちいち感極まる。澤部のあまりに良い涙にもらい泣きです。

 前回ちくりと痛んだ澤部の恋心の続き、そして、ついに立ち上がった公生の苦しい苦しい第一歩が描かれたお話。宮園さんは入院していた不吉フラグなどどこ吹く風で元気いっぱい、押しの強さは更にすごみを増し、公生がピアノを弾くようになったのをいい事に、ガンガン注文をつけまくる。あれだけ好き放題やっておきながら、夜の音楽室のシーンでは公生に対して罪悪感を感じたようにして涙を流すあたりは情緒不安定過ぎるのだが、公生がまず聖人君子の優しさでもってそれを受け入れてしまっているので、視聴者側としても彼女の傍若無人っぷりには突っ込みづらい。公生の自宅での一件などを見るに、彼女は徹頭徹尾「音楽の申し子」であり、音が奏でられることを至上の喜びとし、音を奏でることを至上の命題としている。彼女にとって「弾けるのに弾かない」は罪悪であり、「弾けるはずの才能」を眠らせておくことは何よりも苦しく辛いことなのだろう。そのために、何をなげうってでもとにかく公生にピアノを弾かせようとしているのだろう。

 この状態は、言ってしまえば彼女のエゴでしかない。これは最初からずっと言えることだが、公生は彼女の押しに従う必要は欠片も無いはずだし、彼女の理不尽とすら言える振る舞いに怒ってもいいはずなのだ。しかし、公生がそれをしないということは、やはり彼も根っこの部分は「音楽の申し子」としての性質を彼女と共有しているということなのだろう。あれほど恐れていた音楽を、彼女のダイブをきっかけに再開することを決意し、今回はついに具体的なリハビリに着手。苦しみながらも、決してそれを単なる苦行だとは捉えておらず、深夜まで学校に残ってひたすら目の前のドアを打ち破る鍛錬を積んでいる。ここまで積極的に挑戦できるのは、なにも宮園さんに強迫されているからではなく、彼自身がそれをやりたいと思っているからに他ならない。「音楽の申し子」2人は、理屈を越えた部分で感覚を、時間を共有しているということなのだろう。

 そして、そんな人智を越えた関係に苦しんでいるのが、この度のメインヒロイン、澤部ということになる。椿ちゃんは本当に素直で可愛い子である。今回は彼女の何とももどかしい乙女心が前面に出ており、彼女をヒロインとした一本のドラマがとても綺麗に表れている。冒頭、回想シーンの彼女と公生の思い出が「澤部の涙」で幕を開け、ラストシーンはまったく同じ「帰り道」の彼女の涙で締めくくられる。そこには長年の積み重ねである、2人の言葉にならない絆が刻み込まれている。

 澤部の心情、恋心というのは、何とも痛々しくて、切ないものだ。何しろ、公生と宮園さんの間にある絆は、常人ではとても理解の及ばない「天才同士のつながり」であり、どれだけ公生のことを理解出来ているとはいっても、音楽というフィールドで同じステージに立つことが適わない椿には決して共有出来ないものである。深夜の「帰り道」、澤部と宮園は2人で同じ道を歩いていたはずなのに、気付けば宮園は公生の下へととって返し、澤部と2人の間には無情の遮断機が下りてくる。「私たちの中に、私はいない」という次元の違いを、澤部は冷徹な形で強く認識させられる(このシーンで宮園さんが澤部と別れた後に改めて引き返したのって、別に他意は無いんだろうけど、なんだかとても残酷な仕打ちである)。「駄目駄目な弟」だったはずの公生は手元を離れ、宮園が彼を「弟」と呼んでいる。ソフトボールの試合会場では、彼女は焦りのために必死に彼の影を追い求め、がむしゃらに突っ走ってしまう。まるで「お前には絶対届かない」と言われているようで、彼女の気持ちはかきむしられるばかり。

 このまま、彼女は公生と完全に隔たってしまうのかと思われただけに、ラストシーンでの一幕は大きな救いになった。確かに彼女はどうあがいても宮園と同じ立場で公生に接することは出来ないし、永劫に届かない領域があるのは間違いない。しかし、彼女にしか届かない領域も間違いなく存在しており、それは、きっと公生にとってもかけがえの無いものなのだ。入れ替わっていく立場、背負われた側が背負う側に回り、涙を流すその意味も変わってくる。それでも、変化も含めた2人の関係性の積み重ねは、きっと2人だけの大切なものであるのだ。全アニメ作品の「幼なじみキャラ」に幸多からんことを。

 とにかく、澤部が可愛いのが一回りも二回りもこのドラマを盛り立ててくれている。冒頭の幼女時代のぐしゃぐしゃの泣き顔、それに対比するように表れる、現在の身も世もなく泣き崩れる泣き顔。女の子の本心があけすけに出てくる一幕ってのはたまらないものがあります。今回は宮園さんも涙を流しており、2人の「涙の演出」がまったく違う描かれ方になっているのが実に興味深い。また、今回注目したいのは公生の自宅の「埃まみれの部屋」の映像。「埃」なんて描出の難しい要素をあそこまで綺麗に、静謐に描いているアニメーションは初めて見たかもしれない。1秒たりとも目の離せない、素晴らしい作品だと思います。

 あ! あと新キャラ! また梶か! そしてはやみんか! 盛り上がってきそうだぜ!

拍手

PR

 宜野座ナックル>ドミネーター、第6話。こないだやってたニコ生特番見てからというもの、もうギノさんが気になってしょうがないです。タンクトップ万歳。

 相変わらずのスピード展開で一切退屈させない。今回も見どころは山盛りで、考えなきゃいけないことも山盛りである。個人的ナンバーワントピックは、何と言っても完全に宗旨替えを完了した酒々井さんの勇姿だろう。黒一色の公安のスーツを脱ぎ捨て、扇情的なワインレッドのボディスーツに着替えた酒々井さん。彼女の色はすっかり「鹿矛囲教」に染まっており、かつての同僚を撃ち殺すのにもなんら躊躇いは無い。陶酔しきって悪堕ちしちゃった女性を見るのは本当にゾクゾクするのです。「役に立つなら私の身体をいくらでも使って」である。さぁ、どんどん薄い本を厚くしようじゃないか。これで上司が槙島さんだと、ある程度楽しんだ後は放置プレイになるのだが、現時点では鹿矛囲は「信者」を無下にうち捨てるということはしていないので、酒々井さんはメンタルケア施設の時のおっさんのように幸せなままでユダとしての一生を終えられそうなのがまた楽しみである。青柳さんとの差を考えると、マジで彼女は浮かばれないよなぁ……。

 鹿矛囲の目的は1つ1つ浮き彫りになっていく。今回の事件の目的は「ドミネーターの回収」だと朱ちゃんは分析していた(そして彼女の分析なので多分正解である)。倉庫番FPSゲームに公安の連中を一気に引き込み、そこで酒々井さんのドミネーターを基点として一網打尽。まさにドミネーターの倍々ゲーム。これによって、シビュラ世界の根幹の1つであるドミネーターが多数鹿矛囲の手に渡ることになった。彼が何故ドミネーターに固執するのかを考えてみると、大きく分けて2つの意味があるだろう。1つは、今回の戦闘でも明らかだったことであるが、ドミネーターはこと執行官との対戦では充分な武器になるため。相手が自分(や酒々井さん)にドミネーターをふるえず、一方的に虐殺出来る武器であるというのはこれ以上無い皮肉である。もちろん、普通の実弾武器でも同じことが可能なのだからこうした理由は副次的なものであり、最大の理由は「シビュラへの反抗の象徴」としての機能があげられるだろう。本来裁かれるはずの反逆者はシビュラが裁けず、法の番人がことごとく法治システムによって虐殺されていくという現実。更に、ドミネーターはそうした現場での情報を逐一シビュラへ送信しているため、シビュラ本体へのこれ以上無いメッセージを伝えることが可能である。まぁ、あとは単純にテレビ的に「ドミネーター対ドミネーター」っていう構図がやりたかった、ってのもあるかもしれないけど。この作品の象徴は間違いなくあの異形の銃だからね。

 今回ドミネーター(とドローン)によって三係の連中が虐殺されていく様を見て、「明らかに酒々井さんは反逆者側になったって分かるんだから、シビュラは彼女のドミネーターだけでも機能を停止させろよ」と思ったものだが、考えてみれば、法の番人たるドミネーターをそうした現場判断で1丁ずつ動かしたり止めたりすることは、シビュラという大きすぎる体制には無理なのかもしれない。1丁の例外を認め始めたら、すべての執行官は犯罪係数が余裕でアウトなわけで、「シビュラがシビュラ以外の基準を採用している」という自己矛盾を起こしてしまう。そうしたシステムとしての頑なさこそが、鹿矛囲につけいられる隙として現れているのだろう。そう考えると、1期のラストでシビュラに例外を認めさせてドミネーターのモードを固定させた朱ちゃんてやっぱりすげぇんだな。

 さて、その他の面々。まずは今回現場ではなく本部で活動を続けていた一係の待機組。ニコ生特番でも明らかになった「嫌われてひかれたら大勝利」の霜月。今週も相変わらずのひどさで我々を苛立たせてくれる。ただ、東金の私室に侵入しての調査活動は彼女独自の手柄であり、最終的に常守VS東金の対決になった際には、彼女の存在がキーになってくる可能性はある。また、「ホロを解除したら色相がヤバいことになるやんけ!」っていう彼女の懸念は、珍しく(一面的には)正論である。まぁ、「このままドローンを放っておいてもあかんで」っていう雑賀さんの意見ももっともなので、今回の件は仕方なかっただろうけど。唐之杜さんに文句を言うわけではないが、乗っ取られたドローンシステムの中から、よりによってホロ加工のシステムを真っ先に解除せんでも、外部からのシステム接続を遮断する方向に動けば良かったのではないかね。まぁ、そうできないように鹿矛囲が仕込んでいたってことなんだろうけども。ホロの専門家である雛河をもってしてもギリギリで解除出来たホロ装置の方だって、そう簡単には解除出来ないようには作られてたはずだしなぁ。今回の件は、「ホロだけ解除させる」ところまでが鹿矛囲の想定内だったんだろうか。だとしたら、「民衆の色相を維持する」っていうのは鹿矛囲の目的意識の中には無いんだな。あと、雑賀さんや唐之杜さんにも当然無い。雑賀さんがどんどん調子に乗って好き勝手始めてるのがなんか笑える。「だって山路さんだからしょうがない」(byキャスト一同)。

 そして、同様に「悪いおっさん」枠で赤マル急上昇中なのが、何と言っても東金さんである。新たな常守ファンクラブ会員の急先鋒であり、執拗なまでの彼女の色相へのこだわりと、「だからこそ黒く染めたい」という一言に表れる彼の目的意識。やっぱり、彼の興味は「人の心理」そのものであるようだ。現在は大人しくしているが、シビュラとの折り合いがついた後の彼のトチ狂いっぷりは期待して待ちたいところ。前門の鹿矛囲、後門の東金(あと上空のシビュラ、中央通用門あたりに雛河が混じっている可能性も)。朱ちゃんも変な連中にばっかり好かれて大変やな。そりゃあんな霜月でも可愛く思えるはずやで。ちなみに、ラストシーンで東金に鹿矛囲を撃たせなかった彼女の判断については非難の声もあるかもしれないが(実際明らかなミスなのだが)、キーとなるのはその直前の「汚れ仕事は俺たちの仕事だ」という東金の一言である。かつて、同じ台詞を言ってそのまま闇に消えた同僚の影を、彼女が無視出来るはずがない。これ以上他人の手を汚して、自分の無力感を助長させるわけにはいかないという彼女なりの精一杯の抵抗だろう。はやく帰って来て下さい、狡噛さん。あと槙島さん。

拍手

 良いアクションアニメである、第5話。今回石浜真史氏のコンテ回ってのはいいんだけど、なんと原画が1人担当なのよね。小島崇史氏という。なんか、色々すごい回だったのよね。このアニメのへちょ絵は本当にわきわき動いて楽しいです。しっかり描き込んでるところもやたらに艶っぽいしね。演奏直後、汗だくになった宮園さんがちょいブスめくらいの顔になってるあたりがすごく性的でたまらなく良い。

 サブタイトルの通り、このアニメでは珍しい曇り空、雨模様の暗い映像が多いエピソード。これまで、公生たちを取り巻く世界は桜の花で彩られた眩しいばかりの春の世界だったが、この涙雨は桜を散らして文字通りに「水を差す」ものである。とはいえ、花に嵐のたとえもあるが、一つの時間が終わり、次に進むための「夜」というのも大事な時間の1つではある。これまで真っ直ぐに宮園さんの夢、公生の心の奥底を探り続けていたこのアニメも、ようやく一段落して次の展開を迎えることになる。

 演奏直後にぶっ倒れてしまった宮園さん。どうやら彼女は元々そんなに身体が強い質ではないようで、病床ではどんよりとした空を見ながら「また倒れてしまった」と独りごちている。公生達の前では「単なる貧血だ」といい、「初めてのことだから平気」と強がっていたが、どうやら慢性的なものであり、今後も彼女の演奏家としての人生に影を落とすのは間違いなさそうである。心の強さを持ち、真っ直ぐに夢に生きながらもそれを実現させるだけの体力に不安を抱える宮園さんと、身体に問題はないのに、精神的な弱さから一歩を踏み出せない公生という対比はなかなかに皮肉なものだ。とはいえ、今すぐ命に関わるようなものでもないらしく、退院直後にいきなり川へダイブするという医者泣かせな無茶も遠慮なくやってしまうあたりは流石の宮園さん。彼女の公生へのこだわりは演奏会があの結果に終わっても(あの結果に終わったからこそ)持続しているらしく、わざわざ1人会いに来て演奏を続けるように強く勧めている。元々、何故彼女が出会ったばかりの公生にここまでこだわるのかはよく分からない部分があったのだが、彼女自身が身体の問題で自分の理想とする演奏を実現しきれないとするなら、同じように能力を持ちながら、それを活かそうとしない公生にやきもきして、「勿体ない」と思うのは仕方ないことなのかもしれない。公生の側からしたら彼女の身勝手と言えなくもないわけだが、そこは「音楽の力」という便利な存在がある。どれだけ身勝手で独りよがりな夢であっても、公生は彼女の演奏を前にして、すでにねじ伏せられているのである。七面倒くさい関係性。

 そんな公生は、どうやら彼女の執拗なプッシュの影響は出ているようで、まだ前に足を踏み出すには至らなかったが、これまで以上に自分の中の「弱さ」を意識し、宮園さんの「強さ」に憧れを抱くようになっている。これまではずっと「沈んだまま」で回りの景色など気にも留めない生活を続けてきたのに、コンクールの後は、自分の状態を「雨」という天気と対比して打開策を模索しているように見受けられる。それが宮園さんへのちょっとした罪悪感として現れてもいるし、渡と彼女が対話している時に遠慮したり、既にアドレスを持っている渡をちょっと羨ましがったりする感情にも表れる。これまで別世界だと割り切っていた宮園さんの演奏や生き様を、「羨ましい」と思えるようになっただけでも、公生は少しずつ浮上しているということである。そして、彼女のダイブをきっかけに、ようやく吹っ切れるきっかけを掴むことが出来た。向かい合う二人を、雲間からの光がサッと撫でるカットが非常に印象的。歴史のなかで数々の演奏家が積み上げてきたという「嘘」の上に、公生もようやく登りはじめるのだろうか。

 そんなメイン2人を中心としている中、サブの2人もやけに輝いているのが今作のいいところ。渡は本当に掛け値無しの「良い奴」である。いや、あれだけ宮園さんに粉かけた後にすぐに別な女の子といちゃいちゃしているのはどうかと思うけど、「愛が多い」らしいですからしょうがないね。その上で、公生に対しての素直な「良い友人」的接し方。中学生男子とは思えない聖人君子みたいな思想をもったやつである。そりゃサッカー部のキャプテンにもなるわなぁ。

 そして、ある意味今回のもう1人の主人公とも言えるのが澤部。冒頭、宮園さんの病室で見せたハイキックの素晴らしさもさることながら、数々のシーンで良いリアクションを見せてくれるし、何よりも明確に自分と公生の関係性の変質を意識してしまった心の動きはメインヒロインっぽい。うーん、こじれる展開には違いないのだけども、これはこれで仕方ないからなぁ。これで野球部キャプテンが素敵、っていう気になれば丸く収まるのだろうけど、それはなんか違うのだろうし。むしろ、はっきりと意識してしまったことで、これまでの彼女の行動についてすべて綺麗に説明がついてしまうわけだしね。花丸元気っ娘ではあるが、こういう自分の感情との対話はまだまだ苦手なんだろうなぁ。彼女の今後の動向に注目です。

拍手

 雑賀さんと唐之杜さんのコンビに無敵臭しかしないよ、第5話。いや、多分一切共同作業なんてしないんだろうけども。雑賀さんを勢い任せに捜査チームに引き込んだのって、なんかいきなりジョーカーぶっ込んで戦ってるみたいな気もするけど、それでも対鹿矛囲戦では有利がつかないのかしら。本当の意味でのジョーカーは狡噛さんのはずだったけど、すっかり朱ちゃんがそのポジションだからなぁ。

 色々起こりすぎていて大変な世界である。1期に比べると明らかに動いている人数が増えたので、視線が散ってしまうのは少々忙しい。1期は2話で1つの事件を解決しながら少しずつ槙島さんが出てくるっていうテンポもじっくり見られる要因になってたんだろうけども、それ以外は「犯人1人」と一係メンバーとの戦いが基本だったからねぇ。今回は二係が一係と合流して(離反者とか脱落者が多すぎるけど)、更に面倒くせぇ三係まで出てきたので、捜査側だけでもかなりの人数。それにくわえて鹿矛囲側も槙島と違って同時並行で複数の事件を起こしているので、犯人側の人数もジワジワ増えるのである。毎回死亡退場してるはずなんだけど。

 さて、今回も1人ずつキャラを分けて見ていくが、実は中心人物となっている朱ちゃんの動向は割と分かりやすい。前回の薬局襲撃事件のおかげで、これまでぼんやりとした仮想の「透明人間」でしかなかった鹿矛囲の存在が浮き彫りになり、更に青柳さんの最期などを鑑みて、敵の照準が公安そのものに向けられていることをはっきりと認識した(実際に鹿矛囲が敵対しているのはシビュラそのものであるが、まぁ、公安を敵視していることとほぼ同義であろう)。1つ1つ手がかりを残して監視官たちの歩みをコントロールする鹿矛囲の策にのせられるのは本意ではなかろうが、現状は与えられた手がかりを追い続けるしかない。薬局の男からの線はほぼ切れてしまったので、残されたのは鹿矛囲と接触があったと思われる増田代議士(仮)。彼の証言から得られた敵の懐へ、罠と分かりながら飛び込んでいく。それなりの人員で武装していったのが彼女なりの対策であり、局長を説得して強引ながらも鹿矛囲への最短ルートを突っ走っているのだからやはり図抜けて優秀なのは間違いないのだが、あくまで鹿矛囲の想定内で動くしかないのでやや不利ではある。一発逆転があるとしたら、新たな戦力である雑賀先生の働きや、未だ腹の底を見せないシビュラ本体の動きが鹿矛囲の想定を乗り越えられるかどうかにかかっているだろう。

 そんな朱ちゃんの回りの人間の方が何かと騒がしい。まず、毎度お馴染みお騒がせ少女、霜月さん。職務を放棄して怯え震えてゲロっていた失態は彼女のなかではさっさと無かったことになっているのか、今回も上っ面だけでは有能気取りでなんとか常守さんに痛い目を見せてやろうときゃんきゃん吠え回っている。たまたま現場で東金の怪しい動きを見たのも良いことに、「自分、ルールを守る優秀で素直な社畜っすから」というアピールのために局長に直談判。「あの先輩、駄目っすわ、問題っすわ」と陰口、更に「東金もあかんで」とチクリ。こういうところの行動力だけがやたらあるあたり、流石シビュラで公安への適正判定を貰えたエリートさんである。……まぁ、女子校育ちのお嬢さんでしたけども。ただ、残念ながらシビュラさんたちにとってこんな小娘の妄言なんかよりも朱ちゃんの動向の方がよっぽど大事だし、東金のことなんてドミネーターに記録が残ってるんだから知ってるに決まってる。「喰われるな……」という意味深な発言で、既に小娘いらない宣言である。ここから彼女が一発逆転してメインヒロインの座を勝ち取るなんてこたぁないんだろうなぁ……。それこそ、ギノさんが父親の命を賭した行動で今の状態になったみたいに、朱ちゃんが彼女のために命までなげうってくれたら、ひょっとしたら確変入る可能性はあるけど……いや、ないなぁ。作中では全然描写されてなかったけど、こいつの色相って今どうなってるのよ。もう、パラライザー起動するぐらいには濁ってそうだよな。あ、でも困った時には優しい六合塚おねーさんのところで百合分をチャージするから大丈夫なのかな。美佳ちゃん的には「おねーさまぁ、私を可愛がって!」なんだろうけど、六合塚さんは「なんかこの後輩(上司)、やけに馴れ馴れしいな……」くらいしか思ってなさそう。頭撫でてるタイミングで今晩唐之杜さんと何して遊ぶか考えてそう。

 そんな美佳ちゃんにチェックされた東金であるが、やはり腹に一物。いや、二物三物。朱ちゃんにドミネーターを向けたことは、別に反逆の意思があるわけではなくて純粋な興味による検温作業である。そして、そのチェックはあらゆる事象に及んでおり、忍び込んだ自室からは、なんかもう色々出てきた。顔写真に赤丸で一瞬「めっちゃファンなの?!」と思ってしまったが、色々メモってあることから考えると骨相学的な検討でもしていたのだろうか。どうやら彼の興味は常守監視官そのものであるようだが、ひょっとしたら免罪体質に興味があるのかな。自身は色相をコントロールせずに「史上最高値の犯罪係数」をたたき出したという過去を持っているわけで、係数の動かない常守朱という人間は、非常に重要なサンプルなのかもしれない。ってことは、東金の目的意識はシビュラと似たようなものか。っつうかシビュラ側のお目付役? まぁ、それにしちゃぁアプローチが人間くさいけども。とりあえず現状は「優秀な捜査官」ポジションで役に立ってくれているので良いヤツなんじゃなかろうか。1期なら狡噛さんがやってたポジションだからね。2期はそこにギノさんが入るかと思ってたのに……ギノさん出番少ないなぁ。

 その他、二係の人らがやむを得ない人事異動で色々あって、青柳さん殺害実行犯になっちゃった可哀想な人がすげぇ悩んでたりするけど、個人的にはやっぱり酒々井さんが気になる。もう、すっかり鹿矛囲に寝取られてしまっているのだよ。堅物だった女が籠絡されて優しい顔をして悪の側についてるシチュエーション、たまりません。しかもCV井上麻里奈でね。中の人もきゃんきゃん言わせてみたい。中の人つながりで言えば夜空が小鷹に籠絡されてるっていう図式だからな……肉はどこにいるのでしょう。人肉だったら朱ちゃんが潜伏した工場にいっぱいぶら下がってたみたいだけど。結局、鹿矛囲の本職ってなんなんだろう。色々敏腕すぎて彼の中心がまだ見えてこないんだよね。酒々井さんとの会話を聞く限り、メンタルセラピーの腕前に関しては本物っぽいんだけども。これ、マジで「シビュラの行っているメンタルケアは間違っているので、ボクが一から皆さんの精神状態を管理して正常にしてあげます」っていう目的だけが動機だったらすげぇな。ある意味潔いけども。流石にもう少しラージサイズの夢を持っていてほしい。

 そんな鹿矛囲のお膳立てで始まってしまった、リアル狙撃ソシャゲ地獄。もう「軍事用ドローン開発工場」の時点で嫌な予感しかしなかったわけだが、そりゃそうなるわな。1期なんて単なる工場用の管理ドローンで殺されかけてたわけだしな。軍事用の管理施設なんてセキュリティも万全の状態で警備してるような気がするのだが、そんなところもやすやすとハックして地獄絵図にしちゃう鹿矛囲さんマジ優秀。まー、サイコパスのチェックが出来る前提でしか管理してないから問題が頻発してるんだろうけども。ただ、今回のドローンゲーム作戦はちょっとこれまでの鹿矛囲の動向と違っていてちぐはぐな印象を受ける。監視官自身にドミネーターを向けたり、青柳さんの色相を徹底的に濁らせて公安の手で狙撃させたり、そういうこれまでの「残虐行為」は一応何らかの実験であるようなことが示唆されていたのだけど、今回の「一般人が悪意を持たずに操作しているゲーム端末を人殺しの兵器にする」っていう作戦は、特に「意味もなく悪趣味」なんだよね。暇を持てあました槙島さんなら、そういうプランを作ったサイコ野郎の支援を楽しむために実行した可能性はあるけど、「神」と崇められ、民衆の苦しみをシビュラに訴えようとしている(はずの)鹿矛囲の行動としては何か違和感がある。これもまた「シビュラの無意味さ」を示すための示威行動であると言えなくもないが(色相が濁ってない状態でも平気で人殺しが出来るんだぞ、と示すことが目的?)。でもちょっとつながりが薄いか。

 ただでさえエグい内容が多いので、単に演出のための演出で刺激だけを与えているんじゃないと思いたいところである。来週の決戦で色々見えてくるかねぇ。

拍手

 ドキドキしっぱなしのお話だけど、一番ドキドキしたのは公生のお母さんがきらきら星を歌い出したシーンなのは内緒、第4話。こんなシンプルでお馴染みの曲なのに、緊張が走る能登麻美子マジック。最近は歌の仕事は殆どしてなかったけどね……。

 そんな中の人事情から入ってみるが、作品の品質は相変わらず、いや、それどころか山場となった宮園さんの演奏シーンのおかげで、これまで以上のクオリティとなっている。まるまる1話使って彼女たちの演奏シーンのみを描くという贅沢な尺の使い方なのに、その間に一切間延びした印象は無く、審査員席にいたあんちゃんの言葉通り、観客席も、視聴者も、2人の演奏に飲み込まれていくような錯覚を覚える。本当に有無を言わさぬ迫力がある。

 今回は、公生が過去の呪縛を乗り越えるというターニングポイントである。もちろん、こういう漫画、こういう作品なのだから、宮園さんとの共演によって公生が「音楽の自由さ」に気づき、一皮剥けて生まれ変わるのだろうということは誰にでも予想がつくわけだが、その描き方が丁寧なので、テンプレートと言っても一切の隙がない。相変わらず力業の宮園に対し、必死にこれまでの自分の哲学でもって対応しようとする公生。しかし、当然そんな安易なことで長年のトラウマが解消されるはずなどなく、観客席に母親の幻影を見ると、そのまま譜面に呑まれてしまう。ここで、普通なら「宮園さんの音が聞こえる」というところをとっかかりにして、彼女のバイオリンから「自分のピアノ」を再構築していくという流れになるのだろうが、それもまた安易であり、いくら心奪われた音とはいえ、彼女のバイオリンがどれだけ鳴り響いたところで、公生に音は戻って来なかった。

 しかし、ここで効いてくるのが、「彼女の音」ではなく「彼女の心」ということになる。一度は音を止めてしまった宮園。彼女は基本的にコンクールの結果などには頓着しないだろうが、それでも「客前で演奏をやめる」ことには抵抗があるだろうし、普段ならば絶対出来なかっただろう。しかし、「公生と演奏がしたい」というその一念を伝えるため、彼女は一度弦を置き、公生に声をかけた。そしてそこから、彼女の「ひっぱりあげ」が始まり、公生もなんとかそれをきっかけに奮い立つ。そして、最終的に彼の音を復活させたのは、出会ってほんのわずかの少女の音ではなく、結局、彼の奥底に長年眠っていた「母親との音」なのである。このあたりの筋立ては、なんだか妙に納得出来る部分がある。「かをりちゃんの音」が最終的な決め手になってはいるのだが、そこから公生がまったく新しい音を組み上げたわけではない。あくまで、彼を喝采の嵐に導いたものは、これまでの人生で彼が重ねてきた血のにじむような努力、母親との積み重ねだったのである。母親の教えが「呪縛」ではなく「後ろ盾」となったとき、彼の「旅立ち」が始まったわけだ。もっとも、そのために宮園さんの身体に何らかの負担をかけてしまったようで、演奏の復活とは別な側面から、波乱の旅立ちになってしまったわけだが……。

 今回はクライマックスとなる壮絶な演奏シーンもさることながら、公生がずぶずぶと沈んでいく「深み」の演出が非常に凝っていて面白い。楽器演奏なんてしたことがない私みたいな人間からすれば公生の悩みなんてものはまったく分からないわけだが、こうした映像効果で見せられると、何となく飲み込まれるような、納得させられるだけのパワーがある。音響との重ね合わせもお見事である。ピアノの演奏って、怖いよなぁ。公生は「僕たちのための沈黙」っていう言葉を登壇前に使っていたが、怖すぎてそんなトコ行きたくないもの(引きこもりなりの感想)。

拍手

 エグいよぅ……第4話。これまで以上に、今作今シリーズの方向性を決定づけるエピソードとなった。これで、まだ4話だというのに残念作画でなかったら決定的な話数になったんだろうけども……今期も危ういのか、しっかりしろ作画班。

 嗚呼、青柳の人生とは何だったのか。サブタイトルにある「ヨブ」とは何なのかが気になってググってみると、旧約聖書に登場する、「神への信仰を貫き通した人物」とのことである。信心を無上のものとし、ただひたすらに信仰を続けたヨブは、そこに疑念を抱くものから様々な苦難を与えられ、神からもまた試練を与えられた。最終的に、ヨブはその心のあり方を認められて幸せな結末を迎えるのだが(それ故に「救済」であるが)、今回の話における青柳監視官には一切の救済が訪れていないことは、何とも悪意の籠もった名付けである。いや、正直言うと、このまま色相が濁り続けてギノさんのハードモードみたいな人生を歩み続けるのかとも思っていたので、彼女のあまりに不幸な人生がここで幕を下ろしたことも、1つの救済と言えるのかもしれないが。……それでもなぁ、やるせないなぁ。……黒の下着が実にセクシーでした……。

 この途方もない胸くその悪さは、今期のテーマが「シビュラの破壊」と直接的に結びついているためであろう。腹の立つ要素はすべて「シビュラ」に向けられており、たった1つの異分子である鹿矛囲の存在から始まって崩壊を始めたシビュラ神話と、それにすがる無数の人々の愚かさが、滑稽を通り越して哀れであり、苛立たしく見えるのである。元々1期の頃から視聴者視点ではシビュラの滑稽さは見えていたわけだが、それはあくまでメタ視点でのお話であり、作品世界内では「シビュラの絶対性」は(槙島と常守の存在を除いては)揺るがないものであった。しかし、鹿矛囲はその絶対神話を作品世界内でぶち壊そうと目論んでいるわけで、社会を支えるシステムそのものが歪み始めた世界では、そこに依拠する度合いが高ければ高いほど、その姿は苛立たしく滑稽になるのである。

 今回そうした「滑稽さ」が如実に描かれたのは大きく3つのサイドに分かれる。1人目は、言わずと知れた霜月監視官。彼女の情けなさ、苛立たしさは順調に育まれており、今期ではどこぞのアンジュ姫と並んで2大胸くそヒロインとして大活躍。単なるシビュラ至上主義(この世界の一般傾向である)ならば「社会が悪い」と諦めもつこうが、彼女の場合はこれに輪をかけた権威主義的傾向があり、「シビュラを基準とする」のではなく、「シビュラに責任を転嫁して考えを放棄する」という、いわばこの世界におけるゆとり世代みたいな思考回路の持ち主である。シビュラを是としない朱ちゃんを軽んじるだけならまだしも、彼女の場合、すべての判断はシビュラのおかげであり、シビュラのせいであり、シビュラのためである。ひたすらに自己弁護を繰り返して現実を見ない彼女は現場に出てもさっぱり役に立たず、最悪の方向へ足を引っ張ることしかしない。こうした人物像は、ものの見事に「打倒すべきシビュラ」を体現した所産といえるだろう。今まではまだ辛うじて「ちょっと可愛い」から許されてきたが(?)、今回は作画崩れで可愛い要素すらなくなったので、もう本当に腹が立ってたまらないのである。ある意味、実に良いキャラクター造形である。

 もう少し全体的な目線で見れば、当然のことながら公安全体も「シビュラの犬」であり続ける滑稽な存在である。霜月のようにはっきりと「愚かさ」が提示されているわけではないが、鹿矛囲の目論見通りに青柳さんを狙撃してしまうその判断、そしてクライマックスとなったスプラッタシューティング劇場、どれもこれも、現実世界の常識に照らし合わせたら常軌を逸した行動だ。そして、三係を中心としたこの愚かな立ち回りの根源には、シビュラの象徴たる禾生局長が控えているのである。彼女(つまりシビュラ)の判断は、今回の事件を明るみに出さず、すべて公安の力でもみ消してしまうこと。つまり、彼女は「シビュラの限界」を見せつけた鹿矛囲の意図を理解し、突きつけられたシビュラの穴についても自覚的であるということだ。今回の事件の犯人だった美馬という男(CV:江原正士)は、シビュラに認められず、メンタルケアを続けてひたすら薬物を摂取した結果、感情そのものを喪失してしまった(と本人は捉えている)。局長たちは「都市伝説」というレッテルを貼ったが、無理矢理薬物で感情を抑えることに副作用がないはずがないわけで、実際にそうした患者は不特定多数存在しており、シビュラ社会が続いていればその数は確実に増えていくだろう。つまり、現行のシビュラシステムは、先細りで破滅的なシステムでもあるのだ。もちろん、局長はそんな事実は認めないし、極力鹿矛囲の存在を消す方向に動くに違いない。しかし「透明人間」の力を持つ鹿矛囲を相手に、こうした欺瞞が一体どこまで通用するものか。あれだけ凄惨な事件現場、最終的には美馬までもがエリミネーターで除去されたというのに、真犯人である鹿矛囲が堂々と顔を出し、特に身を隠そうともしていなかったのが象徴的である。鹿矛囲は、その存在自体がシビュラの網の目をくぐり抜ける天敵であるのだ。

 そして、こうした鹿矛囲とシビュラの戦いの中、信念を守り抜くために最後まで戦い続けたのが、青柳という女性であった。この世界には今、2つの信心がある。1つは、美馬が持ち続けた「鹿矛囲への思慕」である。正確を期すなら、おそらく今回のサブタイトルである「ヨブの救済」は美馬に向けられたものと解釈する方が自然である。彼は窮地に訪れて救いを与えてくれた鹿矛囲をただひたすらに信じ、彼の教えのために戦い、すべてをまっとうした結果として、自分の望むものを手に入れてこの世を去った。彼の信心でもって、鹿矛囲は更にワンランク上の戦術的要素を手に入れることになり、「神への奉公」も見事に結実している。対して、最後の最後まで「平和のため」に戦い続けた青柳監視官を待っていたものは、ギリギリまで信じ続けたドミネーターという兵器による虐殺である。彼女があれだけの異常事態においても、ひたすらドミネーターを信じ続けたことを愚かしいと見る向きもあるかもしれない。だが、彼女の判断する「正義」の基準はそこにしかなく、これは彼女個人ではなく社会の問題であった。むしろ、そこまでして頼みにしていたドミネーターを最後にはかなぐり捨てて、自らの手で美馬に立ち向かったところに彼女の「救済」はあったのかもしれない。

 しかし、そうして手放したドミネーターは、無情にも彼女を悪だと断定した。エリアストレスにより、係数は美馬をも上回った彼女は、既に監視官ではなく、一人の潜在犯でしかなかった。シビュラを手放し、一人の人間としての自分を信じたことで、彼女はシビュラの庇護下から突き放されてしまったのである。すべて鹿矛囲の思惑通りとはいえ、どこまでも救われない、一切の「救済」を与えられない結末。本当にやるせない、最悪の結末だ。彼女の生き様にこそ、此度の「鹿矛囲対シビュラ」の理不尽のすべてが詰まっている。はたして、朱ちゃんは彼女の無念を晴らすことが出来るのか。彼女が最期に掴んだ「人間の意思」を受け継いでくれるのか。何か1つでも、彼女の死が反撃の一手に繋がることを望むものである。

拍手

 タマネギ切るときにゴーグルしてもあんまり意味ないらしいよ、第3話。涙の原因になる匂い成分が入ってくるのは鼻からだからね、マスクもすれば完璧です。

 引き続きの王道展開、そして相変わらず華やかな画面、力強いアニメーション。今期作品のなかで純粋に「見ていて気持ちが良い」作品はこれが一番かもしれない。今回気付いたのは、最初に印象的だった「顔のディティール」が上手く表情を作るために機能しているなぁ、ということ。鼻梁や目の細部を彫り込むキャラデザインのおかげで、真面目な顔、おどけた顔の細やかな演出が可能になっているのだね。もちろん、その分へちょ絵になったときとのギャップも楽しめるし、勢いよく動かせればそれだけでエネルギーが感じられる作画である。まぁ、ちょいと目が大きくてクドいとも言えるので好き嫌いは分かれるのかもしれないけども。あとは色彩設定の細やかさ。顔のパーツの色合いってのはせいぜい「陰」と「それ以外」で2パターンくらいに分かれるものだが、今作の場合は掘りの深さやライティングに合わせて細かく色調が設定されており、並々ならぬ労力が注ぎ込まれているのが分かる。ここまでやってもらえれば、元々色が無いはずだった漫画原作もぐっと豪勢になるってもんで。

 デザイン性以外で注目したいのは、シンプルながらも色々と考える余地を残した脚本に合わせた芝居の部分。ぶっちゃけ、メインヒロイン宮園さんについてはほとんど内情が描かれていないので、彼女が何を考えて行動しているかは分からないはず。今回の彼女の行動は非常に身勝手なものであり、ストーカーというか、暴漢というか、とにかくいわゆる「暴力ヒロイン」的な側面が強い。「なんやねんこのワガママ女」と反感を持ってしまいそうなところなのだが、最後に見せた彼女の涙や、子供たちと接する時の笑顔などから、彼女がとても「良い人間」であることがうかがい知れるために、単なる理不尽に終わらないバックグラウンドを想像させるだけの余地が残されている。種ちゃんの演技によってこの「語られていない彼女の人間性」が大きく膨らんでいて、見ていて抵抗を感じる前に、可愛らしさ、魅力に繋げているのである。ん? 単に種ちゃんが好きだから? まぁ、そうかもしれないけども。あと花江君の仕事も実に良いもので、今回なら例えばピアノを前にして手が止まってしまった時の「ごめん」という謝罪の言葉が、実際には目の前のかをりちゃんや子供たちではなく、他界した母親や、これまで自分を責め苛み続けてきた回りの環境への畏怖が籠められたものであることがきちんと伝わってくる。内面的な描写が多く、ともすると過剰にポエミーになってしまいそうな設定だが、こうしてちゃんと人間ドラマとして描かれているディティールがあることで、しっかりした骨組みが出来上がっていくのである。

 うん、我ながらべた褒めだな。今期ノイタミナ、ホントに幸せです。おかげでGレコの感想書く余力が無くなるのが申し訳ないのである。

拍手

 相変わらずいいシチュ作るなぁ、第3話。当方、基本属性はMですが、陵辱展開も嫌いじゃありません。肉体的リョナは駄目だけど、精神的な加虐による背徳感はたまらないものです。

 勝手な想像だが、今作は脚本が虚淵の手を離れて他の人間に「次のプロットを考えて下さい」と手渡された時、まず最初に「シビュラの脆弱さとは何か」を徹底的に考えたのではなかろうか。この世界のすべてを形作っているのは非常にシンプルなシビュラという絶対存在であり、1期はその独自性、不変性を描きながら、槙島や常守といったイレギュラーな存在を交えていくことで、「世界に抗する」物語を作り上げていった。土台として必要だったのはなんといっても「シビュラの絶対性」であり、それが浸透すればするほどに、イレギュラーな存在である各々のキャラクターが彫り込まれていくというデザインである。シビュラシステム自体はおそらくSFの設定としてそこまで新規なものではなかっただろうが、それを単なるフォーマットとして画一的に処理するのではなく、「もしシビュラが実装されたら」のイメージをなるべく拡大し、そこに少量の異分子を混ぜ込むことで、逆に不変性を際だたせるという作劇方法でもって、独自の世界を築き上げたわけである。

 翻って、此度の2期では、既に「シビュラVS常守」という形式は完成しており、シビュラは「抗するべき絶対存在」ではなく、ただ1つの「変容した対人構造」として、朱ちゃんと肩を並べる存在になっている。システムの構成上、そこには「人としての脆弱さ」があることは前提条件であり、もう積極的に否定する必要はない。だからこそ、1期では頑なだった「シビュラを守る」世界観は一度排除し、こうして何とも頼りないシビュラが描かれるようになっているわけだ。槙島はあくまで「絶対的なシビュラを逃れる唯一無二のイレギュラー」だったが、今回の敵キャラである鹿矛囲は自分以外の人間の色相すらも操作し、「世界を壊す」ことが出来る。こうして作られた「シビュラの大穴」は、おそらく最終的には朱ちゃんがシビュラと対峙する際にも意味を持つことになるのだろう。

 そして、作劇の方策上、「何がシビュラの弱点か」を考えるところからシナリオが始まっていると思われるわけである。冒頭、酒々井さんが拘束され、自身のドミネーターで狙われるシチュエーションは非常に分かりやすい「対シビュラ」の姿勢の表れであり、「シビュラは個を守らず、使用者を守らない」という端的な側面が分かりやすく表れているシチュエーション。この場面を思いついて描いてくれただけでも、各方面からの満足感は高いのです。「気持ちの上では抗っているはずなのに、身体はいうことを聞かない(ビクンビクン)」って、定番すぎるエロシチュエーションですからね。井上麻里奈が拘束された上で精神的に籠絡されていく様が実に背徳的であり、実にエロい。なんだか作画も今回は様々なシーンで力が入っており、力いっぱい嗜虐属性をかき立てる表情が揃っている。こういう退廃的な空気が蔓延している本作はたまらなく好きなのです。麻里奈の悲鳴だけを着メロとかにしたいくらい。

 さ、個人的な趣味趣向はおいとくとしても、着実に世界は破壊の方向へと進んでいる。鹿矛囲の手によって墜とされた酒々井さん。目玉を奪われたのは今後の認証打破とかに使うためかしら。ひょっとしたら、まだ生体部品として本人と接続された状態を維持しており、今後は鹿矛囲が酒々井さんのサイコパスをそのまま流用してしまうとか? ものすげぇグロのはずなんだけど、彼女のサービス満点のエロ表情のせいでなんだかごまかされてしまう。唇の描写がいちいちエロいねん。そして、そんな酒々井さんの身を案じる青柳監視官の真っ逆さま人生もなかなかそそられる部分。同じような境遇(予定)のギノさんのところに人生相談に行っていたが、確実にそれって終了フラグである。監視官なんて仕事は色相混濁のまっただ中に飛び込むお仕事なわけで、「上手くこなしてキャリア組へのステップ」なんて野望はなかなか実現するものじゃない。あげく今回はまんまと罠にはまり、見知らぬおっさんからボコ殴りの刑に。「シビュラへの不審感」は留まるところを知らない(なお、スーツ姿の凛々しいおねーさんが馬乗りになってボコ殴られるシチュエーションもなかなかそそるものがあるよね)。

 鹿矛囲の能力は、(今のところ不明だが)人心掌握術の1つ、マジで単なる「メンタルヘルス」の拡張みたいなところがあり、酒々井さんのサイコパスが下がったのシーンからもそれが薬や遺伝子操作みたいな外的要因でないことは想像出来る。いわば「悪いと思わなきゃ悪い事じゃないんだから」みたいな洗脳術なのだろうか。今回の薬局のおっさんや前回の爆弾さんの言動についてはそれで一応説明出来る。ただ、今回の代議士の件はやや微妙で、「鹿矛囲によって安定していたサイコパスが演説途中でキャンセルされて本来の怪しい状態に戻った」ってことなのだろうか。そして最大の謎である「透明人間」。仮に色相を操れる人間でも、シビュラの生体認証自体を残り越えることは不可能(のはず)なので、その辺はまだもうひとネタあるってことだろう。まー、1期の頃からチェック装置を上手く回避して外を出歩いてた奴は割といるんだけどね。そもそも狡噛さんがまだ捕まってない時点でお察しなんだけどね。

 そんな鹿矛囲に対抗する一係の面々。美佳ちゃんは今回も特に何もやって無くて「この先輩、局長とタイマン張れる立場ってどういうことやねん」と羨ましがってたくらいなので放っておくとして、まずはびっくりの素性が明らかになった東金。「史上最高の犯罪係数」って、なんだか映画のあおりみたいなキャッチコピーであるが、なかなかそそられる売り文句である。シビュラ自体にも目を付けられているようだが、やはり一筋縄ではいかない存在のようだ。今回は前面的に朱ちゃんに協力的な姿勢を見せており、「話の分かる優秀な執行官」でしかないが、おそらく精神的な闇は深く、いい意味でも悪い意味でもかなりのポテンシャルのある人物。出来れば黒幕希望。

 ギノさんは、槙島事件の時に負傷した左肩が痛々しい。親父さんも義手だったのでおそろいだが、親父さんって肩から全部そうなってたかどうかは覚えてないなぁ。なんか、頑張れば爆熱ゴッドフィンガーくらいなら撃てそう。そして、そんなギノさんに心配される朱ちゃんだが、相変わらずの冷静沈着。今回美佳ちゃんが計測したときに係数が23くらいだった。免罪体質恐るべし。自室への落書き事件については当然仲間に通報、捜査してもらっているわけだが、「お前がやったとしか考えられへんやんけ」との意見にも「まぁ、そう見えるだろうな」とどこ吹く風。昔の朱ちゃんだったら慌てふためいて否定してたんだろうけど、もうすっかり狡噛の領域。「どうせシビュラは私を裁けない」って分かってるから、ってのもあるんだろうけど。そして、そんな狡噛式捜査スタイルを踏襲するなら、当然相談すべきはあの人、雑賀先生である。

 なんと、雑賀先生は出頭する形で収容施設に保護されていたとのこと。その事実にはちょっと驚きだが、そういえば1期の最後に「見つかったら犯罪係数で一発アウトだよ」と漏らしていたので、槙島事変の時の狡噛との絡みで逃げ切れないと判断したのだろう。かつての弥生ちゃんなんかと同じように、「犯罪係数はヤバイけど殺す必要はないよ」みたいな人間を保護する施設にかくまわれている。シビュラの本質を考えるなら、こういう人材が大事なのは間違いないので、ひょっとしたらそのうちシビュラから直々にスカウトが来てもおかしくないですね。ただ、弥生ちゃんが収容されてたのは本当に独房みたいなところだったのに、雑賀先生、良い部屋過ぎませんかね。なんで今まで隠居生活してたんだろう、って疑問に思うレベル。まぁ、体制が嫌いなんだからしょうがないんけども。1期の頃の主要キャラがこうしてまた絡んでくれると、自然に盛り上がってる感が出て良いですね。あとは狡噛さんがどこで絡んでくるかだよなぁ。

拍手

 本当に力のあるアニメーション、第2話。思わず見入ってしまうなぁ。ノイタミナ枠の面目躍如か。

 話自体は非常にオーソドックスなものなので、大して語るべきことはないんだ。メインヒロインかをりちゃんは、コンクールなのに完全に自己流の演奏を披露しちゃう破天荒な性格で、普段の性格はちょっと尻軽で阿呆な感じもするのに、演奏している時は主人公が思わず「美しい」と漏らしてしまうほど。コンクールの結果には興味がなく、とにかく演奏していることが楽しいといった風。そこに生真面目な主人公・公生が出会い、今後はおそらく、母親から強制された音楽のみに生きてきた彼のイデオロギーにも影響を与えることになるのだろう。もちろん性格の根幹は色々違うが、やはり「のだめ」と同じような関係性といえる。こういう音楽が関わる作品の基本のキ。

 今作に独特なポイントは、実は公生の悪友ポジションにある渡の存在かもしれない。彼は色んな女の子に手をつけている「軽い奴」なのだが、公生との付き合い方はとても真摯であるし、「渡は良いことを言う」なんて褒められたりもする。いかにも「手が早いのは愛が不純なのではなく、愛が多いためなのです」とでも言いたげな、一筋縄ではいかないプレイボーイである。そして、メインボディとなるであろうかをり・公生の関係性の間に、この渡が挟まっているのが今後どのように影響していくことになるのか。ラブストーリーとしてはそのあたりのいじり方が焦点になってくるわけで、澤部さんも含めたわずか4人の関係性ながらも、なかなか展開が気になる設定である。メイン2人がくっついちゃうと健気な澤部さんがちょっと可哀想な気もするんだけどね……。

 で、そんなシナリオラインももちろん悪くないのだが、本作は本当に映像に力がある。そして綺麗である。今回は、映像の動きという点を見ればもちろんかをりちゃんの演奏シーンが最大の見せ場。荒ぶる弦、飛び散る汗、その演奏が独創的なものであるということが、私のように音楽に疎い人間でもきちんと映像だけで伝わってくるようになっているし、ダイナミックなモーションは見ていて引き込まれるものである。このシーンだけを見ても、もちろん満足出来るものである。しかし、それだけではなく、他のシーンの何気ない景色についても、今作は1つ1つが非常にパワフルだ。公生が「映画のワンシーンのようだった」と2度も繰り返した、公演終了後のフロアの映像。彼女が駆け寄ってくるシーンだけでも様々な心情が飛び交う様子が楽しめるし、一言一言を選びながら賞賛の言葉を贈る公生の表情も晴れやかである。かすかに震えを残しながらも得意がるかをりちゃんの愛らしさ。「どーんなもんだいっ」の一言が本当に可愛くてきゅんきゅんしてしまう。種ちゃん最強。

 ラストの桜並木を歩く2人のシーンも印象深い。面白いのは、2人がてくてく歩いているシーンで、何故か頭のてっぺんだけしか描かれずに延々会話が流れるというカット。画面下にひょこひょこ動く頭が2つだけしかないという構図は非常にシュールなのだが、今作のタイトルにある「四月」を象徴する桜吹雪が画面全体を支配して大きく色彩を広げており、そうした風景の中での2人の会話がさりげなく流れていく様を大胆にバックアップしている。もちろん、細かい表情を描き込んでも面白い画になるのだろうが、こうしてしれっと「想像の膨らむ余地」を残しながら印象づける画面展開もまた楽しい。こういう画作りは好きだなぁ。

 細かい心情にもゆっくりと尺を取って描いてくれる「ゆとり」のある作品。出来ればこのままたっぷりと楽しませてもらいたいものである。

拍手



忍者ブログ [PR]
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
ブログ内検索
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
ーーーーーーーーーー
↑越えられない壁
沢城みゆき 斎藤千和 
中原麻衣  田中理恵  
渡辺明乃 能登麻美子
佐藤利奈  佐藤聡美
高垣彩陽   悠木碧
最新CM
[04/19 NONAME]
[04/17 NONAME]
[04/17 NONAME]
[04/13 NONAME]
[04/11 Serra]
バーコード