最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「異世界食堂」 4→5 オラオラァ! 異世界モノの時間だぁ! というわけで、「異世界」という文字列が出てくるだけで身構えてしまうような物騒な世の中になってしまったわけですが、そんな魑魅魍魎が跳梁跋扈する異世界バブルのこのご時世、なんともゆるりと、肩肘張らずに展開されるこちらの作品。「異世界である必要ないやんけ!」というお約束の文句をさりげなく回避する内容、あまり露骨に「異世界人を驚かせるから現世えらい!」を持ち上げすぎないシナリオライン。どこかが強く訴えかけるような作品でないのは間違いないのだが、幸いにしてどこかに嫌悪感を抱くような内容にもならなかった。それはもう、それだけで美点になっているような気がするのだ。 作品が始まった時点で、「グルメものってどうやって楽しんだら良いんだろう」ということでひとしきり悩み、その楽しみと「異世界」が噛み合いづらいだろう、という難点を提示したのだが、今作の場合は望んだ通りのハートフルホームドラマ方向に舵を切ってくれたおかげで「楽しみ方」は理解しやすいものになった。料理は特別じゃないが、それを食べる舞台が特別。食べる人間の数だけドラマがあり、それを引き出すための舞台装置としての料理、そして食堂がある。今作のタイトルが「食堂」というのも象徴的な部分で、今作は料理を作るマスターのキャラが極めて薄いという特徴がある。他の食漫画の場合、だいたい料理人が一人称視点で「こういう客にはこれを出せば」とか「こういう工夫がキくんだろ?」みたいな押し付けがましさが出てしまうものだが、本作の場合は本当にマスターが「食堂」の一部としての舞台装置に徹しているため、そうした「食べさせる側のエゴ」みたいなものが鼻につかず、「食べる側」のドラマに終始できるのが良い。あとはその食べる側のアクの強さでドラマの濃淡が変化するのだ。個人的にはリザードマンの話の「どないやねん」感が強くて楽しかった。「異世界」らしさをああいう形で出してくれるのはどこでもドアを活用した今作ならではのセッティングだろう。 本当に「ただそこで飯を食う」作品なので、何か大きな充足感があるというようなものでもないのだが、比較対象として最初に並べた「甘々と稲妻」の「料理を初めて作る特別感」と比しても、今作の「料理を初めて食べる特別感」は見劣りするものではなかっただろう。欲を言えばもうちょい作画部分でプラスがあれば応援しやすかったのだが……そこはしょうがない。あと、こういう作品のアフレコってすげぇ腹が減るだろうなぁ、ってキャストの人たちにちょっと同情しようかと思ったんだけど、毎週アフレコ現場に食い物が溢れてる写真見て「そりゃそうだな」っていう気持ちに。ベーさんが食道楽だしなぁ。 PR 「最遊記 RELOAD BLAST」 4→5 あのね、嫌いじゃないんだ。すごく、分かりやすく。 結局、何が重要かっていうと「こんだけ濃いおっさんキャストたちが毎話毎話熟年夫婦みたいにして息のあった伝統劇を繰り出し続ける」というそのシチュエーションである。ぶっちゃけ、1クール見終わった現状でも三蔵御一行が何を目的に旅をしてるのかもよく分からん。今回やたら絡んできた上層部の思惑もわからないし、今回キーパーソンとなったナタクが悟空たちと結局どんな関係だったのかも正直理解してない。そこかしこで出てくる「なんか昔から知ってるみたいな敵キャラ」のことなんて分かるはずもないだろう。長期シリーズの途中も途中から見ているのだから、こうなるのが当然なのだ。 でもね、別にいいんですよ。「こいつら仲良いなー」っていうことさえわかれば。そこは分かるでしょ。毎回夫婦漫才みたいな会話しかしてないんだから。わたしゃね、どこまで言っても「すれっからした関俊彦の声が聞ける」っていうだけで満足してしまう人間なんです。三蔵さん、駄目人間のくせに格好いいのずるいね。キャラのバランスも良くて、なるほどこれは人気が持続するのも分かる気がする。常に腹が減ってるだけだけど生い立ち複雑な悟空。常に女のケツ追いかけたいけどやっぱりこの先複雑そうな悟浄。常にダルそうだけどやっぱりどこか坊主らしい優しさに溢れてる三蔵。そしてそれら問題児の面倒ごとを全部おっかぶっているのに、自分もちゃんと問題児という八戒。彼らの目的がなんなのかは最後までわからなかったが、まぁ、仲良く喧嘩してるんだからそれでいいんじゃないでしょうか。周りの人たちもちゃんと空気読んでくれてるしね。最終話くらいになると、今期初めて見始めた俺でさえ「お尋ね者の三蔵一行だァ〜!」って妖怪軍団が出てくると「またかよwww」って思うようになった。マンネリズムの重要性な。 本作は、そうして4人のキャラを立て、壊さなければ末長く付き合っていけるコンテンツなのだろう。別に映像面で特に力が入ってるなんてこともないのだが、決めポーズの三蔵が格好よければそれでいいのである。こういうコンテンツって、案外他に探そうとすると無いもんなんだよね。 もう一回書いておきますが、関俊彦は本当に格好いいのです。それに今作では平田さんやら石田彰やら、おっさんマーベラスですよ。ぱっぴーもすげぇな、って思う(今期2度目)。さらにナタク役に幸田夏穂とか、今時のアニメじゃなかなか見られないイカした配役で攻めてくれるのも嬉しい。アニメ制作者の皆様、もっとこういう「だらだら続けられるご長寿コンテンツ」を大事にしていきましょうよ。 「恋と嘘」 4→4 ホモ特有の優しさ。彼だけなんだか不幸になってる気がするんですが、主人公チームの不貞は許されて同性愛は許されないという、差別が深刻化した未来世界のお話です(嘘)。 ん〜、なんだろ。思ったよりも悪くなかった作品なんですよ。1話目時点では「このゆかり法っていう設定の意味がわからん。こんなことが出来るような科学の進んだ世界には見えない」と設定に噛み付き、実際にその部分については作中で全く解説は行われなかったのだが、まぁ、ぶっちゃけそういう話はどうでも良かった。もう、「そういう世界」なんだからしょうがない。そして、わざわざこんな妙な設定まで作ってやりたかったお話は、非常にわかりやすい三角関係。かたや真実の愛(?)、かたや与えられた愛。さぁ、健全な男の子はどっちを取りますか? っていう。そして、結論としては「どっちも取る」なんですよね。原作が完結していないらしいので、こういう終わり方になってしまうのはしょうがない。しょうがないのだが……。 でもさ、そこに決着をつけないんだったら、やっぱりこの世界設定の意味がないんだよ。これ、ごく普通の現実世界の恋愛ドラマでも何の問題もなくて、わざわざ2つの恋愛に質的な差を明示するような設定を設けるなら、ちゃんと答えを片方に定めないと意味がない。わざわざややこしいルールを決めたのに運営側が「まぁ、そのルールはあってもなくても一緒なんですけどね」って言ったら、そりゃ参加者は怒るだろうよ。原作ではこのあとしっかりと「ゆかり法を設定した意味」が出てくるのかもしれないが、わざわざこんな半端で、無意味なドラマになってしまうような区切り方になる時点で、アニメ化は失敗だったと言わざるを得ない。もっと落ち着いて原作消化しようよ。 まぁ、そうして大筋を見たら「何じゃそら」っていう結末でしかないので、1クール分のあれこれが無駄になってしまった作品ではあるのだが……これ、余計なこと考えずに昼ドラとして見てれば、おきまりのフォーマットに乗っているだけなので問題なく成立はしてるんだ。ヒロイン2人がちゃんと各々の可愛らしさをアピールしてくれているので、萌え路線としても一定の収穫はあるし。キャラの絡みは(ホモの存在は置いとくとしても)悪くない部分も多い。ただ、結局主人公の「恋愛模様」を中心に据えてしまうと「何じゃそら」という言葉しか出てこないのでもやっとする。ベースとなる設定だけが残念という、(それはそれで致命的だが)なんか惜しい作品とも言える。んー、でも結局「何が好きなの?」っていう根源的な部分がわからないままで何となく恋愛やってただけだからなぁ。このまま推し進めても得られるものはないのかなぁ。 何とも半端でもったいなかった作品。もし原作が好きな人がいるなら、きっちりそちらは追いかけて供養してやってください。 「アホガール/徒然チルドレン」 *→6 まさかこれが今季でも指折りの楽しみな作品になるなんて、誰が予想したよ……。いや、何も特別なことはしてないんだ。本当に、ただのアホガールなんだ……。 こういう作品を見ていると、やっぱり私は本質的には「アニメファン」というよりも「声優ファン」なんだな、ということがよく分かる。諦めるしか無いのだ。私は、とにかく悠木碧がブチギレている様子が大好きなのだ。もう、それだけで毎週楽しくてしょうがなくてね。他のキャスト陣の配置も完璧で、特にサポートに回ってるのが井口・しーたむ・前田怜奈っていう「お前ら脇に回るには個性的すぎるだろ」みたいなこれの連中なのが良かった。ヤンキー女連中とかもそうだしなぁ。みんなして「座長」のおいちゃんや杉田の吹っ切れテンションに引っ張れるようにして、実にいいのどの締め上げ方になっていたと思います。これ、音響やってる人も楽しかったんじゃねぇかな。わたくし事で恐縮だが、先日ブックオフで「アホガール」を試しに立ち読みしたんですよ。「アニメであんだけ面白いけど、原作別に面白く無いんだよなぁ」って思いながら。そしたらさ、もうよしこママが喋ってるの読むだけで面白いの。CV日笠陽子で完璧に脳内再生されるだけで吹きそうになるの。なんかもう、末期だな、って思いましたよ。 同様の評価はもちろん「徒然チルドレン」の方にも言えます。こちらはまだテンションは抑えめではあるが、やっぱり中の人の功績が大きい。ヒロイン勢もいいんだけど、個人的にツボだったのが下野&保志のあのコンビ。保志総一朗は、いつまでもああやって「拗らせた青少年」の声を出し続けて欲しいですね。あと、浪川御大がゴシップ誌にスキャンダルすっぱ抜かれながらどちらの作品でも生き生きしてたのが笑ってもうた。犬は可愛かったし、先輩はうざかったですよね。 この2本はどちらも15分だから絶えられた部分があると思うので(流石にアホガール30分は無理だろ)、今後もこうして「ショートアニメなら存分に実力を発揮できる」みたいな作品をしっかり見極めて、身の丈にあったアニメにしてくれる製作者が求められています。 「潔癖男子!青山くん」 4→4 MANPAの枠内で「妖怪アパート」は2クールなのにこっちだけ終わったせいで、録画分の編集がすげぇ面倒。マジでさ、MANPAは同一枠じゃなくてちゃんと番組データとして分割してもらえませんかね? 1話時点では「これ、潔癖をネタにして今後やることあるの?」と心配していた作品だったが、なるほど、潔癖ってのはあくまで青山の属性でしかなくて、周りの友達にガンガン新しいキャラを追加して話を回していく形式だったのね。あと、一応なんか微妙にサッカー部分でスポ根。まぁ、あんまり根性関係無いかもしれないけど。こんだけサッカー部に焦点が当たる作品だとは思ってなかった。おかげで最後の最後まで「潔癖症ならサッカーやるなよ」っていう疑問は頭から離れないままだったんだけど、まぁ、青山は潔癖云々以前に色々おかしいキャラだからな。 やりたいことは無事に理解できたわけだが、それがアニメとして面白かったかどうかは話が別。「アクの強いキャラを連打してギャグを回していく」っていうのは定番の設定だし、その時々で絶えず新しい刺激を出し続けられるのだから話は展開しやすいはずなのだが、今作の場合はあんまり個々のキャラ同士のエピソードが有機的に結びついておらず、毎回毎回その場凌ぎでぽっと出のキャラをいじる、みたいな印象が強かった。ずっといじられ続けてたのってかおっちくらいだよね。青山が主人公としての押し出しを持たない「薄い」キャラなので勝負は周りのサブキャラがどれだけ支えてくれるかにかかっているのだが、最後まであんまり「こいつらがメイン!」っていう中心地が定められず、部活アニメとしてもギャグアニメとしてもやや半端な印象。全体的に「青山は頭がおかしいのに押しが薄いので主人公として機能しない」っていう部分がもったいなかった気がする。映像も割とあっさり目の演出方向だったので、青山の「薄さ」に拍車をかけていたし。少年漫画の主人公を作るのって難しいですね。 まぁ、印象に残るキャラもそれなりに現れたので全部が全部悪いってことでは無い。上述の通り、かおっちのキャラはしっかり立っていたので彼が中心にある限りは安定してみて入られたし、ストーカーマネージャーは可愛かったし。出だしから純愛全否定でネタキャラに振り切れてたせいで、純正の可愛いシーンがあんまり見られなかったのは残念だけどさ。あと、小田切さんは好き。「野崎くん」の鹿島とすげぇかぶるけど。 すげぇどうでもいい話だけど、個人的には「サッカー部のメインの面子(の中の人)が大体ガンダムに乗ってる」っていうのが個人的にツボだった。そういう意味では豪華なアニメだよな。 「バトルガール ハイスクール」 4→3 ソシャゲアニメの「あるある」を出し切ったような作品。主に、よろしくない方向に。 例によって途中からほとんど真面目に観られていないのであんまり正当に評価することもできない作品なのだが、やっぱり「真面目に観たくならない」というのは作り手側に責任があると思うんだ。「美少女動物園」という言葉が生み出されて久しいが、今作は非常に純度の高い動物園作品である。そして、残念ながらそのパークの中には目玉となるような商品は陳列されていないようなのだ。 1話目の時点で「キャストの名前の方がキャラ名よりもデカく表示される」というある種の潔さを持った作品で、その後も毎話忘れないようにキャラ名のクレジットだけは必ずやってくれるんだけど、覚えられない人間からすると、名前だけ表示されても意味ないんだよね。制作側はそうして表面上のラベルを確認するのではなく、物語の中から自然にキャラが頭に入ってくるようにしなければならない。ストーリーを追っているうちに自然と「こういう個性を持ったキャラなんだな」ということが理解できれば、別に名前など覚えられずともキャラとして認識できているのだから視聴に差し支えないのだ(実際、わたしゃギリギリまでチアフルーツの緑の名前を覚えてなかった)。今作の場合、キャラの顔の造形が全部似通っているという致命的な欠陥もあるのだが、とにかく1話の中に主要キャラを全て出し尽くそうというディレクションがいただけない。普通に考えて、初対面で10人以上もの人間の名前と特徴を一気に覚えることなんて不可能だし、10人以上もの人間が絡むドラマを毎回追いかけることなどできない。序盤はある程度ウェイトに差を作り、「まずはこの中心キャラを覚えて、そこから他の学年に広げていきましょう」みたいなライン作りがあってしかるべきなのだ。 しかし、残念ながら本作は原作ゲームファンに気を使いすぎたのだろう。特定キャラのファンが「ボクの推しがアニメだと空気!」とキレてしまわないよう、満遍なく全員出てくるし、漫然なく全員役割がある。そんな状況では個々のキャラに時間など取れるはずもなく、少なくともアニメ内部での掘り下げは不可能。そうなれば、アニメから入った視聴者が興味を持てるわけもない。まぁ、この辺を全てひっくるめての「ソシャゲアニメあるある」なんだけども。先んじて放送された「スクールガールストライカーズ」の方が、アルタイルトルテに集中すればいいとわかったぶんだけ、見易さは上だったと思う。 全部が全部悪かったとは言わない。動物園ならば動物園なりの見せ方があるわけで、例えば個人的にはスケベ先輩がみさおキャラと入れ替わる回(6話)なんかは割と楽しかったと思う。キャラが際立って理解が及べば見ることはできるクオリティの作品なのだ。しかし、途中からはそうして「キャラを描き分ける」というよりも、むしろ「一致団結して問題に当たっていく」という総力戦の部分にばかり力を入れてしまい、終盤のクライマックスに向けてますます視点が散るという残念な結果に。最終回とか、どこで誰が何してるのかよく分からんかったからね。まー、「お話が書きたいのか」「キャラが描きたいのか」っていう違いなんだろうなぁ。アニメ業界は、そろそろソシャゲのキャラ人気を下地にしたアニメ作りってのは脚本のハードルが尋常じゃなく上がるってことを認識した方がいいと思うんだけど。 「Re:CREATORS」 7→6 面白かったですよ。何だか賛否は分かれている作品のようなので、とりあえずそれだけ最初に書いとかないと。アイディアもキャラも作画も、全て規定のラインを超えて充分すぎるくらいに満足できる作品になっていたと思います。 ただまぁ、否定的な意見が出てくるのもしょうがないかなー、というのもわかる作品ではある。あえて問題をまとめるなら、設定自体が非常に挑戦的で、色々といじり甲斐のある広がりを見せた割には、あまり脇道にそれずにまとめることに終始してしまったため、「こんなもんか」と肩透かしを食らった感じはあるのだ。ありそうで見たことがなかった「様々な作品から実際のキャラが顕現してぶつかる」という設定に、全力で「現実味」を与え、フィクションの中のフィクションと向き合っていくという世界設定そのものが、まだまだ無垢で純白の雪原のようなもので、そこにどのように足跡をつけるべきか、皆楽しみに見守っていたわけだが、思ったほどはっちゃける方向性に行かなかったことは「期待はずれ」とみる部分もあるだろう。 しかし、本作の筋運びを見ていると、どうしてもそういう「はっちゃけ方」に舵を取ろうとするとせっかくの面白さ、設定の特異さが損なわれてしまうような気もするのだ。「なぜ創作物が顕現したのか」とか、「顕現したことでどんな影響が出るのか」とか、「顕現したキャラは自我を持って何を考えるのか」「実際の作者と遭遇した時にどんな反応をするのか」。そうした部分になるべく細かい心情の機微を映し出すのが今作の目的であり、派手に異文化がぶつかり合ってドンパチやるのはあくまで副産物である。そうした設定の第一部分に興味が湧かないと、確かに今作は「地味な」パートが多かった。 また、そうした設定を丁寧に活かそうという部分は評価するものの、感想の中で何度か述べているように、やっぱり颯太のスタンスは我慢ならない部分が多く、彼がずっとうじうじしていた1クール目終盤、そして彼の行いがさもファインプレイだったかのように描かれてしまったラストバトルの展開については、もうちょっと別方向から掘り下げて欲しかったなぁ、というのが正直なところ(その分の減点である)。アルタイルの設定は面白かったし、「作者の再創造で打ち倒す」というギミックも反則じみていてアリだとは思うのだが、それを颯太のうじうじした青少年の悩みとリンクさせてしまったことで爽快感がゼロになってしまったのはディレクションの失策だろう。まぁ、どうしても「産みの苦しみ」というテーマの負の側面も描きたかったのだろうが……。ちょっと特殊事例すぎんよ。日本のアニメが中高生を主人公に置くのはメインの消費者層がその辺りだから共感を得るため、というのが一般論だが、本作は別に颯太じゃなくて松原さんあたりをメインにしてもよかった気がするよね。 先に問題点ばかりをあげつらってしまったが、そうした難点を鑑みても、やっぱり本作で「やろうとしたこと」は非常に面白かった。例えばブリッツと駿河さんの関係性なんかは一言で片付けられない何とも不思議な距離感が興味深かったし、実際のプロットにもしっかりと「創作物であるが故の戦い」みたいなものが活かされていて、「もしキャラクターが飛び出してきたら」という幼稚な思いつきが、立派にファンタジーとして機能していたと思う。最終的には中乃鐘さんが言っていたようにそうやって作ったチャンバーフェスが全部空回りだったのはご愛嬌。後はまぁ、キャラの立て方も見やすくて良かったよね。セレジアが「メインヒロイン」だと思わせてそうでもなかったのはナニだが、メテオラさんの総集編まで含めた恐ろしい振り切れ方、真鍳ちゃんのどんどん癖になっていくクドさ。作者の手で壊されてしまうひかゆちゃんの悲哀(?)などなど。 そして、やっぱり個人的に無視できないのはアルタイルというキャラクターだ。この世界を統べる「ラスボス」にして、本作最大の「メインヒロイン」。彼女の威圧的な出で立ちから繰り出されるダイナミックなサーベルアクションは、今作最大の見どころになっていたはず。最強キャラとして冷酷さを見せながら、最後は恋する乙女として願いを叶えて昇天する(?)ヒロイン度の高さもまた格別。今作MVPは間違いなく彼女と、中の人である豊崎愛生だ(間に挟まるCMのナレーションも見応えがある)。後はメテオラさんとか、駿河さんの中の人が好きです。単なるスフィアファンやんけ。セレジアさんの中の人は……アリスちゃんの中の人にぶつけてヨゴレ王決定戦とか企画するといいんじゃないかな。 「サクラダリセット」 5→5 先にお断りしておくと、あんまり分かってません。「俺たちは雰囲気でこの作品を観ている……」というやつです。注視しないと絶対に分からなくなるやつだ、って覚悟はしてたんだけど、やっぱり大量消費の弊害だわねぇ、一瞬気を抜いてしまうと、あとはもう、ついていけなくなってしまう。その辺りの責任は全面的に私にあるので、作品に対しては本当に申し訳ない。 で、その上でと断り書きしてからの感想だが……とりあえず、「原作で読んだら面白いのかもしれない」というのが第一だ。なぜ「アニメが面白かった」ではないのかという理由については、ぶっちゃけると新番チェックの時に書いた第一印象がほとんどそのまま最後まで継続していて、ざっくりまとめると1、「詰め込み方がきつい」。2、「その割に台詞が多いので単調」。3、「ギミックが大雑把で成立していない」の3点。ことアニメーションとしての問題を取り上げるなら2番の要素が一番強いだろうか。 2クールもの間放送していたわけだが、ぶっちゃけ、あんまりアニメーションにする意味がない。設定はおおよそキャラの台詞で説明されてしまうため、「画で見せる」という要素が非常に乏しいのである。まぁ、もともと見せにくい能力が多すぎるってのも難点だし、終盤になるとそれらのただでさえややこしい能力がどんどん複合していくため、もう画面の上に乗せて説得力のある画を作るのは困難だったとは思うが。また、そうした「ややこしい」ギミックを説明してくれるのがケイたち登場人物なわけだが、この町の連中、どうにも平熱が低い。多分主人公のケイとハルキのキャラに引っ張られている部分が大きいのだと思うが、どんな驚きのギミックでも、やたらぶっ飛んだアイディアでも、割と淡々と対話するし、表情も変えずに処理していくことが多い。こと中盤以降はケイ・相麻の2人が中心になり、さらに敵対するのが浦地さんという状態になり、この3人がみんなして「まぁ、俺は全部分かってるんだけどね」みたいなテンションで話を進めていくせいで、何が驚くべきことなのか、何がこの町では大事件になるのかがどうにもピンと来ない。ケイのようにとにかくシステマティックな人間でなければ処理できない問題が多すぎたことを考えると決して「ケイのキャラクターが悪い」とは言えないのだが、それにしたって、アニメ向きのキャラではないだろう。 そして、こうした「とてもお利口な」キャラ達が駆使する能力バトル(どうも、既存のこのタームとは別な用いられ方になっている気がするが)について、とにかく情報をぎゅうぎゅうに詰め込んでいるのでケイ達がネタバラシというか、その卓越したアイディアを披露する段には「なるほどすげぇ」という印象を与える、もしくは与えたいわけだが、冷静に考えると、多分彼らが進んでいる道はベストアンサーではない。というか、このサクラダという町の能力の設定があまりにも馬鹿げていて、「何が起きても不思議じゃない」状況をコントロールしきれていないのである。限定的だと言っていた死者の復活にしたって、すでにメインキャラの中に時間の逆転を司る人間が2人もいる時点で本当かどうか怪しいものだ。ケイ達は「出てきた能力をうまく組み合わせてますよ」という雰囲気がいかにも出ているので賢いキャラに見えるのだが、「本当にそれでいいの?」という部分を疑い始めると、「聡明なキャラ」が「都合のいいぺてん師」に見えてしまうのだ。その辺りの裏付けが完全にできていないのは、やはり尺が足りなくて説明がただの羅列になってしまっている部分の弊害だろう。 こうした要素について鑑みるに、勝手な推測だが「これ、原作でじっくり読んでればある程度解消される問題なんじゃなかろうか」と思うのだ。アニメの場合は、画面の印象、毎週30分ずつの切れ目、そして全体の尺の問題と、様々な要素からこの世界を成立させる屋台骨をグラグラと動かす必要がある。そのせいで「なんか温度が低い」とか「性急で身勝手すぎる」という印象を与えてしまっているのだろう。 ただ、そうした部分が気になるとはいっても、アニメでも「やりたかったこと」は充分伝わってくるんだ。能力の複合による現状の打破。このギミックについては、考えてみれば最初にケイとハルキが出会った時点で全ての根幹になっている。このサクラダという荒唐無稽な「聖地」を生み出したことにより、原作者がやりたかった「日常を変質させながらもそこに普遍的な景色を残す」という一見矛盾したような試みは、ある程度成功しているとも言える。これだけ訳のわからない世界でも、相麻菫の悲恋(?)や巨大組織との対決といった個々のシナリオラインはちゃんと見られるレベルで成立しているのである。そういう意味では、やっぱり原作が気になる出来の作品なのは間違いない。 あとはまぁ、こうしたほかとは隔絶されたヘンテコ世界なだけに、中の人達がどんな仕事を見せてくれるかっていうのも楽しみな部分でね。当代きっての名優、花澤香菜と悠木碧という2人によるヒロイン争奪戦。ラストバトルも印象的だったし、ハルキと相麻という2人のヒロインの描き方はなかなか面白かったんじゃないでしょうか。まー、途中もうちょっと温度が上がっても良かったとは思うんだけどねぇ。ケイがどう見ても植物を通り越して即身仏みたいな人間だからな……あいつと結婚とかしたらその後の生活が大変そうだよな……。 「はじめてのギャル」 4→4 今季最初にゴールインしたのはコレ。これなのかよ……。いや、別にいうほど悪いもんではないですが。 ギャル文化に対しては私は強迫観念めいた独自信仰を持っており、その辺りについては新番チェックの時に書きなぐったので気になる方はそっちをチェックしてほしいが、幸か不幸か、今作はやはり非実在性ギャルによる割とわかりやすい作品であった。結局、メインヒロインの八女さんは「一人称があーしのちょっとサバサバした可愛い巨乳娘」でしかなかった。1話目でジュンイチと付き合い始めるまでの展開にはなんらかのオーラを身にまとっていたのかもしれないが、そうした「ギャル独特の特異さ」って、近づいたら「あ、割と普通に可愛い子やん」ってなるから消え失せてしまうんだよね。まぁ、つまりそれって俺の中で「ギャル」と「可愛い」が同居しないってことなんだけども。とにかく、ギャルとして打ち出すべき強さも冷酷さも特になく、八女さんは立派にジュンイチを立ててくれる素敵な彼女になりました。 それだけのラブコメということで、まぁ、可もなく不可もなくで、カテゴリとしては明後日の方向にあると思われていた「徒然チルドレン」と大差ないようなところに落ち着いたのであるが、やはり絵に力がないのは如何ともしがたい。別に超絶作画で押しまくるようなジャンルでもないので、ある程度見られるくらいでも構わないとは思うのだが、せめてヒロイン勢くらいはしっかり可愛く描いて欲しかったですかね。エロも売りにしたラブコメ作品で女の子がグダグダになってしまったらどこを評価したらいいかわからないしな。あと、やっぱり「ギャルのバリエーション」ってのを出そうとしてる根本的な構造理念はあんまり上手くいってるとは思えない。黒ギャルやら清楚ビッチやらロリギャルやら、なんとかギャルでひとくくりにしようとしてるようだが、その設定はあまり活かされずに、気づけばありきたりなハーレムものの構図になっているだけだった。せっかく一枚看板があるんだから、もっとギャル文化の方に掘り下げていって「僕らの知らないギャル生活」が分かれば独自の価値も生まれるだろうに、アニメとしてはありきたりな「オタク男子の妄想劇場」に舵を切ってしまったため、全体的に「よくある」止まりになってしまっている。まぁ、マジモンのギャルをやられて面白かったかどうかはわからんけど。 全体的にコンセプトは失敗している作品だとは思うのだが、一応、あさぬママが頑張ってくれているのと、その相方を任された豊永利行のコンビ芸が光っていたのでそこは楽しかった。豊永は今季「ゲーマーズ」の上原さんでも最高の仕事をしてくれているし、ここ最近すごくいい役が多い気がする。思い返せば「しょこめざ」のアトムとか「ネトゲ嫁」のルシアンなんかも彼なんだよな(あとユーリ)。中堅以上の男性声優のこういう活躍は見ていて興味深い。 転じて女性キャストの方は、とりあえずメインヒロインを務めた長久友紀は悪くない落とし所だったんじゃないだろうか。ただ、ギャルキャラの大先輩であるキタエリの登場で「生まれ持ったギャル度数」みたいなものでやや押されてた感はあったけど(キタエリも別にギャルじゃない)。 |
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プロフィール
HN:
Thraxi
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男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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