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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「幼女戦記」 6→6

 よかったですね。ただ、毎回感想を書いていた割には、終わってみると何が良かったのかを書き出すのはけっこう難しい作品な気がする。

 間違いなく言えるのはターニャ・デグレチャフというキャラクターの勝利ということだ。異世界転生華やかなりし現在、転生ものは掃いて捨てるほどあるし、「転生したら○○になっちゃった!」という筋立てもおそらく数限りなく存在しているだろう。スライムや、温泉なんて代物まであると聞いたことがある。そんな中で「幼女」というのは、まぁ、理解の範疇というか、萌え文化を考えればごく自然に出てくるベタな発想とすら言えるかもしれない。そうなると、後の勝負はこの「幼女」をどう料理するか。本作では「中身はリーマンのおっさんのまま」とは言うものの、この「リーマンのおっさん」がかなり曲者で、冴えない無職やオタクの転生ものとは訳が違った。カワイイ(?)幼女で中身がクソムカつく人格破綻者の策謀家。この組み合わせを考えついた時点でまず1勝。そして、このデザインを、アニメのキャラクターに起こした時に現れたあまりにも禍々しい表情。これでもう1勝。というか、多分今作に引き込まれる要素の半分以上は、彼女のとんでもない表情にあった気がする。とかく「ギャップ」というものは萌えや燃えを誘発するものだが、本来ならば可愛らしくあどけない幼女が、世界の酸いも甘いも知り尽くし、苦虫を噛みつぶした表情で世の無常と神の非情を嘆く。その光景を画として見せられたことが、本作の最大の勝因だったのではなかろうか。

 だって、冷静に考えてみればあとは単に「やたら強い兵士が戦場で俺ツエーする」っていうだけの話だからね。単なる俺ツエーだけでは他の作品に埋もれてしまうところだが、ターニャさんは厭世的な物言いと可愛らしい容姿のギャップで我々視聴者と賢明なる部下たちの心を掴み、有り余る才をもって戦場を支配した。そして、本作の戦場は本当にむさくるしい。ターニャの周りにいるのはほとんどがむくつけきおっさんどもで、唯一の花であるヴィーシェちゃんもなーんか変な顔。もう、今作で癒し成分を求めようと思ったら可愛らしいターニャに頼るしかないのだが、それを許してくれるわけもない。すがっては投げ捨てられ、求めては蹴飛ばされ。そんなことを繰り返して少しずつ練度が増していくのが、この作品で打ち立てた兵団なのである。こうしてみると、なかなか綱渡りのようなバランスで成立したオリジナリティ、ギリギリで打ち出せた魅力の作品だった気がするのである。

 こうして何とか作品独自の魅力が確立すれば、あとはターニャの周りを彩る血と硝煙の物語をアニメの道具立てで整えてやれば良い。慈悲無き戦場の冷酷さ、突き放したようなシニカルさ。それが統制の取れた薄暗い画面から漂ってくることで、たった1粒の異物であるターニャは更に輝くことになる。どこまでも泥臭く、どこまでも陰鬱に。その雰囲気作りの徹底が、アニメスタッフの最大の功績だろう。個人的にはオープニングエンディングがたまらなく好きなので、多分世に言うミリタリーものの映画なんかも試しに見てみたら普通に楽しめるとは思うんですけどね。どなたか、可憐な幼女が人を殺しまくるミリタリー映画の名作とかがあれば教えてください。まぁ、その場合でも出来ればCVは悠木碧でお願いしたいですけどね。

 本作の勝因がターニャさんであるというなら、それを生み出したのはおいちゃんである。何度でも何度でも繰り返すが、やはり悠木碧という声優は天性のものを持つ至高の存在だ。ターニャの場合、彼女の持つ厨二的なテイストがあまりに上手いことはまり過ぎてやり過ぎてるんじゃないかという気すらする。おいちゃんにひたすらビンタされ続けたい人生だった。

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「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ(第2期)」 6→4

 終わってみると女性がしぶとく生きるお話になってましたね。だとしたら何でラフタ殺したって話なんだが……(アミダはまぁ、しょうがない)

 さて、世間では色々と話題になっているオルフェンズ。私個人としてはやっぱり相性の悪い日5枠なので中盤からだんだん視聴が適当になり、どうこう言えるほどの見方もしてないのだが、それでもやっぱり、ちょっと腑に落ちない展開になってしまったなぁ、というのが正直な感想だ。こういう話になるなら、やっぱり1期の時点からもう少し作り方があったと思うんだけどなぁ。

 多分批判的な意見はその辺探すといっぱい出てくるだろうから、個人的にどうしても釈然としない部分だけに絞っていくと、やはりオルガ・ミカという2人の主人公の扱いである。どうしたってガンダムという媒体なのだから主人公の動向に目がいくと思うのだが、今作におけるオルガとミカというのは、全く主人公らしい活躍を見せていない。これは2人に主人公を分業させてしまった故の弊害なのだろうか、とにかく2人が各々別な理由で魅力を削がれてしまっているのである。1期時点で、オルガの方はまだ良かった。ベースになってるのは任侠ものなのだが、義理人情でまかり通る田舎の組の若頭みたいな立ち位置で、名瀬さんとかテイワズとの繋がりなんかで、「親分だけど下っ端」っていう中間管理職みたいなスタンスの悩ましさはちゃんと見せてくれていた。ミカやその他の団員が「とにかくオルガのいう通りにすれば大丈夫だし、オルガのためなら命をはれる」と思える存在であったはずだ。しかし、2期に入ってからのオルガは「義理人情が云々」という若頭の気概みたいなものが薄れ、単に世間に振り回される中小企業の社長みたいになってしまっている。下に気を遣って走り回り、上の思惑に押し潰されて選択を誤る。「火星の王になる」と嘯いてみたものの、むしろ1期のころの方が現実味や意欲があったように見えて、2期に入ってからはなまじ可能性が見えるだけに、駄目な誘惑に負けた「笑うセールスマンの被害者」みたいになってしまっている。終盤では一切自分の判断でものごとを決められず、行き当たりばったりの末にあっけなく死亡。組織のトップとしての「アタマ」、主人公チームのブレインとしての「アタマ」のオルガは、こんなキャラではなかったはずなのだが。

 そしてミカだ。ミカについては1期の時点から不安視していた部分がそのまま残った形で、「アタマ」をオルガに預けているために一切自分で考えて動く部分がない。オルガを失ったラストで演説を始める時には「ついにミカが自分で考えて動くぞ」と期待していたのに、なんとまさかの「オルガの命令に従え」である。流石にここまで盲信的な信頼関係は、アツい友情物語とかではなく、単なる思考放棄だ。西住まほさんに「信仰と信頼は違う」とたしなめられるやつだ。結局、ミカはただ「バルバドスを操るエンジンの一部」でしかなく、口を開けば「オルガが望むなら」。そういう生き方もドブネズミにはあるのかもしれないが、主人公として魅力的かと問われれば、いくらなんでも共感も憧れも抱けないキャラになってしまっただろう。

 機能を失ったアタマと、それにすがるカラダ。この2人の物語には、どんな主義主張が差し挟まれようと魅力は無い。個人的には2期中盤のモビルアーマー戦あたりから割と退屈で、「結局この作品はどこにゴールを置きたいんだろう?」と首を傾げることが多かった。名瀬さんが謀殺されるあたりからの死亡ラッシュに入ると命のやりとりに何のけれん味も無くなり、問題のラフタ射殺(そしてオルガ射殺)など、あまりにも雑な退場シーンが多くなる。これ、モビルアーマー云々のくだりを半分にすれば、もっと情念の籠もった「死」のドラマが描けたと思うんだよね。どさくさで死んだアキヒロとかも可哀相だよなぁ。

 私は岡田麿里のファンなので、この作品だけで彼女の価値が貶められるとも思わないが、結局ガンダムという縛りが彼女の脚本に「合わなかった」ということなのだろう。これだけあっさりさっぱりと人の死に様を繋いでいく構成も、彼女の考える「戦争の死」が表れていると思うのだが、残念ながらそれはおそらく良い形でシナリオに関わっていない。もっと卑近で、薄皮一枚でやりとりする「キズナイーバー」みたいな「痛みの物語」の方が、彼女の芸風に合っているということなのだと思う。こればかりはどうしようもないので、次作は心機一転、ホームグラウンドでの健闘を期待したい。

 まぁ、最後の最後でアトラがすげぇことになったからさ……そこを見て明日への希望を残そうじゃないか。アトラとクーデリア。2人のママに育てられるアカツキ。なるほど、オルフェンズは「なのは」シリーズと同じだったんだね!

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「クラシカロイド」 6→6

 2017年、世間を賑わせた、ハシビロコウが大活躍するハートフルギャグアニメといえば? そう、皆さんお馴染みのクラシカロイドですよね!!

 個人的には今年度ギャグアニメ部門のトップ3に入るんじゃないかと思われるクラシカロイド。しかし何故だろう、一切話題になっていないのです。畜生、やっぱりNHK教育のアニメだから注目度が薄かったのか、「境界のRINNE」の間に挟まれる形で箸休めだと思われてしまったのか……。そりゃまぁ、パッと見の絵はなんか古くさいしさ、ネタだって割とベタベタだからどこに注目したらいいか分からないけども……。めっちゃキャスト豪華やん。監督「おそ松さん」の人やん。もっとみんな見て。4月からも再放送されるみたいだから観て。

 どこまでもマジにならないゆる〜い雰囲気のホームギャグ。考えてみれば「アルフ」とか「フルハウス」みたいなNHK教育のアメリカンコメディに通じるものがあるかもしれません(強引に同じ局繋がり)。たっぷり2クールというやりたい放題の尺の中で、一応は「クラシック音楽」というモチーフを守っているような、守っていないような適当なくくりでお送りする「音楽ギャグ」という新しい可能性。アホみたいな作品に見えて、毎回アレンジを施したクラシックの名曲が流れるのはマジだし、それとなく偉人の話にも詳しくなれる(かもしれない)し、大変にお子様の教育に向いた作品じゃないですか。まぁ、ネタ回しはやっぱりゲスだし、オタク向けのテイストも多いのでお子さんに見せるかどうかは自己責任で判断して欲しいですけども。毎回エンディング楽曲が書き下ろされるなど、非常に手の込んだギミックも盛り込まれており、大人が観るにも充分耐えうるクオリティだし、子供さんなら何となくアホなギャグでわちゃわちゃ観ることが出来る。実に理想的な教育アニメでしたよ。まぁ、これを見て大きくなった子供が将来音楽の授業で実際のモーツァルトについて学んだ時にどう感じるかは分かりませんけど。偉人のモーツァルトと本作のヴォルフは似てるけど別な人です。いや、似てもいないです。

 こういうお気楽ギャグって合う合わないが如実に出てしまう作品なので、見る人によっては「なにこのクソ寒いの……」って思うかもしれないけど、僕は大好きでした。是非とも続編を期待します。シナリオはいくらでも作れるだろうが、曲の方が追いつかないだろうな……。

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「クズの本懐」 6→7

 ありがとう、ちかぺを花火に選んでくれて。まず、そこをひとしきり拝み倒してから話を始めよう。とにかく、花火さんは最高の女子高生でした。

 中の人の話題から入ってしまうのは私の業のようなものなので諦めてもらうとして、もちろん本作はそれ以外の部分でも大いに盛り上がる事が出来た。始まった直後には「ドロドロした人間ドラマが期待できるかもね」なんて適当に書いてはみたが、まさかここまで凝縮して、ギリギリまで絞った人間関係をガッツリ描いてくれるとは思っていなかったので期待を超えた仕上がりだ。最近のアニメではこうして「恋愛もの」を何の衒いもなく描いてくれる作品ってのは案外少ない気がするので、こっちの方向性を突き詰めた作品を骨太に作ってくれたのは本当にありがたい。まぁ、少女漫画なら恋愛要素オンリーの作品も少なくはないけども……、でもやっぱりなんか違うよね(今作も作者は女性らしいけどね)。

 「互いに別な人が好きなんだけど、叶わぬ恋だと思ってるから付き合ってみる男女」っていうモチーフは、もちろん今作のオリジナルではなかろう。いかんせんその手の知識が乏しいのでパッと他の代表作の名前は出てこないが、まぁ、「どっかで見た」設定のはずだ(「ニセコイ」はちょっと違うかな)。そこから先の展開だって、こういう媒体に多く触れている人からしたら珍しい部類ではないだろう。どっかで「昼ドラやんけ」みたいな感想を見たことがあるが、まぁ、確かにドロドロっていう意味ではイメージの中にある昼ドラの典型だし、茜先生の見事なピッチっぷりとか、あけすけなエロ描写なんかはどこかVシネみたいな匂いもする。ともすると「アニメでやらなくてもいいじゃん」という意見も出てきそうだ。

 だがしかしだがしかし、この作品は立派にアニメ作品として機能している。そこは監督をはじめとする制作スタッフの腕の見せ所。単に誰と誰が付き合って、どこが別れて、どこが片思いで、なんてことをただ垂れ流すだけでは、アニメになった意味が無い。何故好きになるのか、好きになったら何を思うのか、心の問題と身体の問題は隔てて考えられるのか。青臭い少年少女の恋愛譚の中でのたっぷりの「情感」が、アニメーションならではのリソースを費やして掘り下げられている。各話でも何度か扱ったが、今作は意図的に「漫画の構図をそのまま」というカットが多い。コマ割りを意識した構図にモノローグを乗せる手法だ。単に心情の「語り」だけでは画面が保たないが、今作の場合にはそこで無駄にカメラを動かしたり、カットを割っても失われるものの方が多い。そこで、ほぼ止め絵と同じ状態を保ちながらも、自然に「アニメの画面」に落とし込むための方策として「漫画風」の画面が採用されているというわけだ。まぁ、言ってしまえば「場つなぎ」なのだが、今作は少女漫画的な要素も多分に含んでいたため、存外自然な流れとして受け入れられたのではなかろうか。現実のオブジェクトのみで構成される実写ドラマでは、こうした間の取り方はかなりの難業だろう。

 こうして「語り」を入れる時間と大義名分を手に入れ、あとはずぶずぶと花火ワールド、そして茜ワールド。可愛い女の子が可愛いことをしてるんだから、そりゃ素敵なお話だ。いや、茜先生の場合は「可愛い」ではないのだが……そうだね、エロだね。今作の場合、あけすけで執拗なエロ描写も視聴モチベーションを大きく支えたのは認めざるを得ないだろう。いや、モチベって言っても、せいぜい2割、いや、3かな、4割かな……。

 結論:ちかぺを全力で喘がせてくれて本当にありがとうございます。

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ALL OUT!!」 4→5

 迷い無くスポ根。前クールはやたらスポ根が多かったので埋もれていた印象だったのだが、冬クールは他に似たような作品も無くなったので、ゆっくり観られるようになった気がします。こうしてみると、大量に生産・消費されるアニメの「同時期に何が放送されてるか」ってのはやっぱり重要だよな(まぁ、大量消費しなきゃいいだけなんだが)。

 最初に印象が悪かった部分は、何となく画が受け付けなかったことと、あまりにもスポ根のテンプレに依存しすぎていて説明が不足していたこと。「何故ラグビーなの?」「彼らの普段の生活はどんなものなの?」といったバックグラウンドが見えてこなかったために、序盤はストーリーに入っていくのに随分時間がかかったように記憶している。しかしまぁ、画は慣れれば問題は無い。ヘンテコな形の顔とか、どう考えても高校生じゃない造形とか、やっぱり異彩を放つデザインではあるのだが、まぁ、異能力スポーツアニメだったらこのくらいは普通ですしね。いざ試合が始まると頭になんか被るヤツも出てくるし(あれ、なんていうんだ?)、同じユニフォームを着た状態でもはっきりキャラの区別がつくようなデザインってのは大事ね。ラグビーは特に参加選手が多いのでそういう部分が大事になってくるんだ。

 そう、この「人数の多さ」ってのはかなりのハードルなんだ。野球で9人、サッカーで11人。これだけでもキャラを描き分けたり、活躍させるのは相当大変なのだが、ラグビーはなんと15人。さらに野球と違って全員が同時に駆け回るグラウンドスポーツなので、油断したら一気に14人分の空気キャラが発生してしまう。かてて加えてルールまでよく分からないスポーツとくれば、こりゃもう、ハードルが多すぎて飛ぶ気にもならない。しかし、今作の場合はどうにかこうにか、そうしたハードルを片付ける努力を続けているのだ。キャラのかき分けはその一歩目だし、一応話が分かるように、1つ1つのポジションの意義を確認しながら満遍なく物語を作っていくことでルールを把握しながら見続けることが可能になる。まぁ、当たり前のデザインといえばそうかもしれないのだが、やっぱり丁寧な見せ方って大事よ。

 個人的にターニングポイントのなったのは監督のおっさんが登場したところ(随分早いな)。監督さん、くっそ格好良いのよね。典型的なツンデレジジイなんだけど、土師さんのハイパーダンディボイスの影響もあり、このツンデレ的格好良さが本当に素敵。途中からはどんどんデレて可愛くなっていくおっちゃんを見守るアニメになってた感すらある。やっぱり、こういうスポーツ漫画って「有能な監督が選手の及びもつかない発想で指導してくれて、気付かないうちに強くなっていく」過程が面白いと思うのだが、おっちゃんはそれをパーフェクトにこなしてくれていた。最初に大迫力だと思ってた赤山がどんどんカワイイ側のキャラになっちゃったから、チームの背骨が監督によって支えられてたのはでかいよね(赤山は赤山で悪くないんだけどさ)。あ、あと先生の翻心ストーリーも好き(結局おっさんしか見てない疑惑あり)。

 原作はまだまだ続いているようなのでアニメが終わったと言ってもあまり達成感は無いのだが、逆に言えば今後の展開も期待出来るかも、ってことで。しばらくかかるとは思うが、のんびり待ちましょね。

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CHAOS;CHILD」 5→6

 まさに妄想科学アドベンチャー。看板に偽りが無いのは大変結構なことだが、まさかここまで偽り無しとは……。

 終わってみれば、「なんじゃそら」っていう真相ではあるのだが、そこまでの持って行き方が充分にエグいので、一種の「夢オチ」とも言える本作の大ネタには取り立てて不満もない。ぶっちゃけこの設定なら「何でもあり」の世界なので、ミステリの真相としてはお粗末なものだが、前作「CHAOS;HEAD」の時点でまともな解決など行われないことは分かっていたのだし、むしろ「妄想」部分には一本の筋がきっちり通っているのだから、よくまとめたと言える部類だろう。それにしても……エグい部分が多いよなぁ。

 前作の拓巳もそうなのだが、オタク文化が元ネタとなっている本シリーズは、基本的に主人公がムカつく奴である場合が多い。「Robotics;Notes」のカイト、「STEINS;GATE」の岡部、誰も彼もが的確にイラッとするラインをついてくるあたりは志倉千代丸の狙い通りの造形になっていて、そしてカイトもオカリンも、クライマックス以降はどこか憎めない、それどころか英雄然とした振る舞いすら似合うようなキャラになっていたりする。やっぱりストーリーテリングが上手いんだろうな。そんな中で例外的な存在が「カオヘ」の拓巳だったわけだが、今作の拓留は、見事にそうした「イラッとする」印象を逆手に取った造形になっている。序盤は拓巳と似ているようで違う「リア充」要素を混ぜ込みながら、彼の吐く「情弱」というネットスラングが最後の最後でまさかの意味を持つようになり、ネットに溢れかえる野次馬根性、上から目線の物言いをものの見事に皮肉ってみせる。なかなか痛快だが、これまた趣味の悪い趣向である。

 今作はそうした「趣味の悪い」(悪口ではないよ)趣向がそこかしこで凝らされており、最終的に一切救われない拓留の存在もそうだし、過度に装飾を施した事件そのものも、そこまでする必要が無いのに「そうしないと駄目だった」という理由で祭り上げられる要素になっている。極めつけはセリカの存在そのもので、なんかもう、妄想以上に妄想を積み上げたオタク文化の究極の産業廃棄物みたいな存在だ。ここまで嘲笑的な脚本というのは、狙って作らなければ組み上げられまい。いや、あまりに馬鹿馬鹿しくて作る気になる人間自体がいないだろうが……。これをしっかり形にしただけでも大したもんだ。ある意味、「AKIBA’S TRIP」の裏返しみたいな作品なのかも。

 まぁ、無茶な脚本なのは間違いないので探せば色々とアラもありそうだが、個人的には「やってみることに価値はある」と思うタイプなので、今作が無事に(?)結末まで辿り着けたというだけでも充分満足ですよ。そして、これだけ無茶な脚本をぶん投げられ、1クールでまとめ上げたのはアニメスタッフの功績として認めてしまっても問題無いだろう。これ、ほとんどの脚本を神保昌登監督自身が組み上げてるのよね。地味なところだけど、これって結構な神業なのではなかろうか。彼はいつの間にやら「SILVER LINKの面倒ごとをガンガンぶっこまれる」みたいな大変なポジションに立たされてる気がするけども……その役を見事にこなしてるのだから大したものだ。今後のお仕事も楽しみにしてますよ。

 最後に中の人の話だが、まぁ、やっぱり禎丞はこういう役が似合うよな。拓留ってイケメン風なんだけど、そのまま中の人のイメージで入れ替えても全然違和感無いぜ。あとはまぁ、クライマックスまで見ると上坂すみれのお仕事ぶりですかねぇ。振り返ってみると、1話目の感想時点ですでに「すみぺのキャラが怪しすぎて怖い」って書いてるのよね。別に私の洞察力があるわけでなく、きちんと制作側がそういう意図を持って画を作ってる証左だと思う。いや、面白かったです。

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AKIBA’S TRIP -THE ANIAMTION-」 5→5

 なんやよくわからんけどゴンゾ的な風味は感じられる作品だった。ジョージがキャストとして出演してるのを「ゴンゾ作品ならやっぱり中田さんでしょう」っていう処理はどうなのよ。

 ゲーム原作って部分がピンと来ない状態で始まった作品なのだが(名前も聞いたことなかったし)、終わってみればゲーム的な雰囲気など欠片も無く、単に「手の込んだ秋葉原のPRアニメ」だった。アキバ文化というものが花開いて、どれほどの時が経ったのかは定かでないが、電気街から「オタクの街」に生まれ変わった秋葉原の文化は、気付けば随分多くの文化をその内に取り込み、得体の知れない濁流になっている。そして、現在、オタクという言葉も随分軽々しく日常生活で用いられるようになり、秋葉原をうろついてグッズを漁るような人間も昔ほど数は多くないのだろう。栄枯盛衰、「なんだかよく分からないアキバ文化」は、おそらく今後どこかでひっそりと息を引き取り、「似たような別な何か」が、この街の後を継いでいくのだ。そうしたアキバ文化のごった煮的な部分を、アニメとして記録し、ネタとして祭り上げておこうというのが、この作品の根幹にあったのではなかろうか。

 まぁ、適当なことを書いてみたけど、俺、首都圏ってほとんど行かないからアキバも2,3回覗いたことがある程度なんだけどね。どうせアニメショップ行っても今の御時世は地方でも似たようなもんだろう、ってんでボドゲショップ見に行くばっかでしたね。とにかく、そんな「いまいちよく分かんないアキバ」をひどくテンプレ的に切り取って見せてくれるのが今作。興味深いことに、「テンプレやパロディだけで話を繋いでいく」っていう非生産的な行為は、なんだか現代のオタク文化の中枢を成している残念な要素な気もするので、今作の狙いは(意図したかどうかは定かじゃないが)ぴったりとテーマに沿っている。

 ただまぁ、こうしてパロディ的な要素でオタク文化を弄るっていうネタも、すでに散々色んなところでやられてるんだよなぁ。何故かパッと思い出したのが「ローリング・ガールズ」だったけど(ホント何でだろ?)。毎回異なる「オタク的文化」を取り上げて徹底的にそれをネタにするという連作形式は悪くないのだが、全体で見るとやっぱりベタというか、ぼちぼち食べ飽きているというか、いまいちニーズとしては弱い部分を突いていた気がする。カードゲームの回が割と楽しかったことを考えると、多分、これって視聴者サイドがどっぷりはまってるものをネタにしてる話ならより楽しめるんだろうという気がするのだが、そんなこと言われてもアキバグルメとか格ゲーとかアイドル文化とか、そういうのはあんまり詳しくないからなぁ。でもまぁ、「なんか詰め込んでネタにしてるんだろうね」っていうのは分かったから決してデキが悪いというわけではないと思う。そこまで力が入ってない作画でも、こういうぬるめのギャグ作品なら許される部類だろう。女の子がもっとビシッと決まる可愛らしさだったら文句無しだったのだが……まぁ、「脱がせる」性質上、あんまりそこに注力しちゃうとキリがねぇからな。ゲームとして開発された時はそこが一番大事な要素だったんじゃなかろうか。

 全体的には「悪くはないけどそこまで注目することもない」くらいの処理に困るB級。でもね、個人的に1点だけ無視出来ない部分があったので、点数としては平均値を維持ということにした。それは、「やっぱりアキバ文化を語らせるならモモーイが出てこないとね!」ということ。桃井先生、ちゃんとこういう作品にはキャストとして呼ばれるあたり、権威としては充分ですよね。考えてみれば、この手の作品の草分けって「小麦ちゃんマジカルて」なのでは。

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「ACCA13区監察課」 6→7

 これも毎回楽しく感想を書かせてもらったので特に今更語るべき点も無い作品。よくもまぁ、こんな地味な構造の作品が面白くなるもんだなぁ。

 毎度触れていた「熱の無さ」は、本当に今作のオリジナル要素。作品全体を通じても「何かの感情が高ぶった」タイミングというのはほとんど存在せず、頑張って探してもスイツのクーデター、それにニーノが狙撃されたシーンがせいぜいだろうか。クライマックスとなるはずの最終話、式典シーンですら動きらしい動きはほとんど存在せず、ただモーヴ本部長が勇ましく、それを見たリーリウムが全てを悟って静かに身を引くという展開。とにかく、全てが政治的に、机の上での処理が行われるのである。

 こうして作られた「クーデターアニメ」だが、それじゃぁ12話もの間何をしていたかといえば、ドーワーという不思議な国の魅力を少しずつ少しずつ垂れ流していただけ。「13の区が組み合わさった大国」という、いまいちピンと来ない設定を、各区に与えられた無茶苦茶な設定見て回ることで説明し、少しずつ「クーデターの舞台」が整っていく。ある種のロードムービーのようであり、ガイドマップみたいなことをしてるだけなのに、ジーンの旅程の中で少しずつ捲れて、見えてくるクーデターの影が何とも怪しげで、何が真実なのかと続きが気になって仕方がない。淡々と語られる中にもきちんとそれぞれのキャラクターの思惑みたいなものは見えており、言外の意味での対話、さりげない煙草の受け渡しに見られる意図など、「大人っぽい」やりとりが実にクールだ。実際の政治の世界がどんなもんかなんて分かるはずもないのだが、こうして「言葉にならない」やりとりをしながら、世界の政治ってのは動いてるんでしょうかねぇ。

 相変わらずアニメに向くとは思えない構造を叩きつけてくるオノナツメだが、それを変に気負わず「正直な」作劇で返してみせた夏目真悟監督の采配の確かさは正しく評価されるべきところだろう。「アクション作劇が上手い人」っていうイメージだったのだが、考えてみりゃ、それに伴う構成力があってこそのアクション作劇だもんな。こうして色んな側面から画面作りの面白さを見せてくれる作品が出てくるから、アニメってのは楽しいんだ。

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MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang」 5→6

 男性アイドルもいいよね!(錯乱) 銀河の果てまで焼き肉一丁。

 いや、アホだとは思うけどさ、なんかね、嫌いじゃないよね、むしろ好きな部類だよね。野郎アイドルアニメも、ここ数年で一気に多角的になり、攻め方も多種多様。個人的にはアイドルアニメで研ぎ澄ましすぎちゃって明後日の方向へ飛んでいった「少年ハリウッド」に勝てるアニメは無いと思うのだが、このマジフォーも、そこまで尖らずとも受け入れやすい不可思議なアニメになった。タイトルは「男子高校生の非日常」とかでいいと思うけども。

 今作の特徴をピックアップしてみると、真っ先に気付くのは「鬱要素がほとんど無い」という部分だ。アイドルアニメの場合、謎の復讐劇がどんでん返しになって何かをぶっ飛ばしてしまった「B-PRO」は極端な例かもしれないが、ライバルチームとの抗争とか、上層部との軋轢とか、ファンとの接し方とか、チーム内の不和とか、何かしら揉め事ってのは欠かせない要素。馬鹿一辺倒だと思っていた「マジラブ」も過去話なんかで個人の鬱要素を掘り下げていたし、普通のドラマだったらそういう作りになる。しかし、今作はあくまで「アイドルをやりたい男子高校生の馬鹿な日常アニメ」なので、深刻にダメージを負うような事件がほとんど無い。そりゃまぁ、個人レベルで色々悩んではいるのだろうが、基本的にメンバーは温かく、トラブルはネタ振りで、ライバルチームだって一緒にギャグをやるお友達。アイドルの大変さみたいなものはほとんど感じられない。本当に「明るく楽しいアイドル生活」を、どこか近しいポジションのまま、だらりと描いているのである。サンジュースや勝負パンツといったアホみたいなネタも、何故か繰り返し登場してこの世界観を構築するのに一役かっており、「あんまり真剣なアニメじゃないですよ」ということを伝えてくれる。いや、でも勝負パンツは最終話でもキーになったしな。割と真面目に脚本やってる部分もあるのかも。

 1話目を見始めた時にはルイの方が主人公だと思っていたのだが、気付けば実はアトムが主人公だったというのも独特のセールスポイントかもしれない。普通、アイドルアニメってどっちかと言ったら優男系が主人公になるよね。元気いっぱいの馬鹿キャラって、ユニットに1人はいるけど絶対にメインじゃない。しかし、マジフォーを支えているのはアトムなのだ。彼の色がはっきり出ていたおかげで、周りの人間もそれを見ていれば良かったし、振り回されることにも決して不快感がない。わずか4人という小所帯なので、なんだか似たような造形の顔でも見分けをつけるのが簡単で、人数が少ないおかげで1人1人に割ける話の割合も多い。新しいアイドルグループを提供されるときは、このくらいの人数の方がありがたいですね。

 最後までアホを貫き通しながらも、どこか夢見がちで、しっかりと「アイドル」という非現実も維持してくれたマジフォーの4人。アイドル戦国時代の現在、なかなか個性を発揮して生き残るのは大変かもしれないが、是非とも次なる活躍を見せてほしいものだ。

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Thraxi
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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