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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「結城友奈は勇者である」 5→5

 ごめんな……なんか、某知人がやたらに盛り上がってたので尻馬に乗って盛り上がってみたけど……俺、このアニメにそこまで執着なかったんだ……。いや、悪くはないと思ったけども。

 まず、映像面は本当に素敵。最初は「いくら何でも観念的すぎるだろ」と思っていた樹海ワールドもラストの世界設定を見れば納得の出来だし、友奈ちゃんはパンチしか使わないってのに、不思議とバトル中の描写も盛り上がる。キャラは終始可愛いし、個々の萌えポイントは非常に高い。そして、すげぇアニメだな、って思ったピークは感想にも書いた5話目。流石にわずか半クールで世界を救ってしまう超絶構成には度肝を抜かれた。「総集編やんけ!」と言いながらも、実は案外そつなく必要な要素は拾い集めており、ギリギリ破綻しないレベルで収めたのは素直にすごいと思う。そしてそこからは「第2部」である「現実激闘編」が幕を開け、毎週毎週障害を抱えた少女達の苦闘に胸を痛める日々が続く。ぶっちゃけ、視聴してる間は充分盛り上がるのである。何度も自死を試みたことを告白する東郷さんの濁った瞳も救いようのなさがゾクゾクするし、ことラス前のにぼっしーの大立ち回りに至ってはボロ泣きしてしまったのも事実であるので、そういう意味では完全に制作側の狙い通りだ。夏凛ちゃんの勇者部五箇条はあまりに王道すぎて卑怯なくらいに盛り上がった。また、闇落ちする東郷さんの様子も実に蠱惑的で、あのまま世界をぶっ潰すことに成功してくれていれば、伝説に残る名ヒロインになった可能性もあるのだ。

 しかし、そうはならなかったんだよねぇ。「なんか分からないけど助かっちゃった」んだよねぇ。ハッピーエンド自体は悪いことだとは思わないし、そこまで投げっぱなしというわけでもない。ただ、筋立てとしてのかみ合わせは良くないよね。まだまだ神樹様とバーテックスの戦いは世代を超えて続くという「課題を残した終わり方」であっても、あそこで世界が修復し、勇者部が回復してしまうと、「それまでの設定は全部茶番であった」というガッカリ感はどうしても発生してしまう。あそこまで必死に友を想った東郷さんの信念や夏凜ちゃんの生き様は結局「なんか勢いでどうにでもなるようなこと」レベルだったことになり、尊い犠牲と思われていた乃木さんの存在も、「友奈ちゃんに比べると世渡り下手だった残念な戦闘員」でしかなくなる。ひっくり返したちゃぶ台の上には、ひっくり返しちゃいけないものがたくさん乗っていた気がするのだ。そういう意味で、やっぱりあのエンディングは一考の余地はあったのではなかろうか。

 また、どうしても「まどマギ」と比較してしまうというのもネックの1つ。ここで「なんでもかんでもまどマギ厨はー」と思ってはいけない。しょうがないだろう。どう考えたって制作側はまどマギを意識して作っているのだから。そうして比較してしまうと、友奈の存在に後ろ盾がないこと(まどかにはほむらが作った因果の複層構造という一応の「理由」が存在している)、世界を司るシステムに理由が無いこと(世界を明かしてくれた親切なインキュベーターに比べると、神樹様はあくまで結果だけで経過報告するだけの「後付けし放題」な存在である)などが引っかかる。わざわざ髪の毛の色をまどほむに合わせてラストの友奈・東郷のカップリングを強調したり、途中参加の花凜ちゃんのメンタリティが杏子のそれと無駄にリンクしたり、「せめてもう少し差異を出しても良かったんじゃ……」というのも気になるといえば気になる。そういう意味では、比較対象の無い犬吠埼姉妹の挙動が一番興味を持って楽しめたところかな。4話カラオケ回とか、後から見ても割と泣けるセッティングになってるしね。

 まぁ、色々と気になる点は多いのだが、何も無下に「悪い」と断じているわけでもない。あくまでまどマギとは目的意識が違ったということである。本作はまどマギとの大きな違いがあり、それはあくまで「ゆゆゆ」ワールドの端緒として作られた作品でしかないという、バックグラウンドの大きさである。本編最後に「友奈編」と冠されていたことや様々なメディア展開から分かる通り、このアニメ作品は「○○は勇者である」という1つの世界を舞台にした様々な物語のスタート地点なのだろう(乃木さんの方が過去話だけど)。結城友奈の物語はとりあえずこれで幕を閉じる。神樹様による生け贄の撤廃という大きな仕事を成し遂げた「数多の勇者の1人」として結城友奈と讃州中学勇者部は今後歴史に名を残すのだろう。後の物語は、「まだ描かれていない」だけなのだ。それなら、まだまだ破綻した部分や分からない部分はたくさんあってもいい。まだまだこれから、他のところで語られるかもしれないのだから。さて、本作のヒット次第では次なるステージもアニメでお目にかかれるかもしれないけど、どうなりますかね。

 最後は当然中の人の話だが、まー、とにかくぱるにゃすがんばるにゃす! ぱるにゃすは本当に不思議な役者で、代表役となった小紅ちゃんもそうだったけど、特別上手いとは言えないはずなのに、なぜかキャラとのシンクロ率がやたら高くて、1つ1つが見事に「はまる」。友奈ちゃんがぱるにゃすで、ぱるにゃすが友奈ちゃんで。この不思議感覚は癖になります。コンシュマー向けに丸くした汎用型りえしょんみたいな不可解なパーソナリティも恐ろしくてよいね。その他、若さを武器に躍進する黒沢ともよちゃん、愛されキャラのワイフ、みもりはみもり、そして全てをとりまとめる我らがおかん、内山ゆーみん。ゆーみんのビーストテイマースキルは、本人が望まないのにどんどん上がる一方だよね……。

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「異能バトルは日常系のなかで」 5→6

 ほどよくまとまる良作だったんじゃないでしょうかね。今期はこうして「あ、意外と悪くない」って感じでジワジワはまっていく作品が多かったですわ。

 加点したのはひょっとしたら衝撃の第7話の影響が大きすぎるかもしれないが、まぁ、TRIGGERによる映像面の良さを加味すれば、多少下駄を履かせても問題無いレベルだと思う。1話目では「あれ? TRIGGERでこんなもんか?」と訝しんだものだが、2話目以降でキャラデザの安定感を取り戻し、要所で「らしい」動画にも繋げることが出来た。無体なバトル描写なんかはサブカテゴリでしかない能力バトルの方にしか活かせなかったのでやや勿体ない気もしたのだが、そうすることで「日常」と「異能」のギャップを大きく広げることが出来て物語に振れ幅が出来るのは悪くないアイディアだと思う。日常パートでは丸っこいデザインのキャラクターが常に可愛らしく描かれており、コロコロ変わるヒロイン勢の表情だけでも充分楽しむことは出来た。個人的なお気に入りポイントは鳩子の困り眉です。っつうか、鳩子全般です。海でのシーンもなかなか良かったよね。

 「日常」と「異能」という構成について、「異能バトル部分が完全に余計」という趣旨の意見を目にすることが多かった本作。まぁ、正直この意見については同意する部分も多いのであるが、決して「完全に無駄な要素」ではなかっただろう。最終話で何となくまとまった風に見えるのは異能との絡みで「日常」を引き立たせたためであるし、ああやって命懸けのシチュエーションを演出することで安藤の男前っぷりを非常に分かりやすく出すことが出来るので、手っ取り早く「それっぽいメインシナリオ」をまとめる機能はあったと思うし。いや、「最終話で刺客が1人襲ってきた時点で今後の安寧が一切約束されず、安藤達は不安の中で生きていかなきゃいけないはずなのにお気楽すぎるだろ」とか、「彩弓さんは相模があれだけ直接的に絡んできたんだから、どう足掻いても裏世界との接触は避けられないだろ」とか、「安藤って単なる高校生のくせに、足突き刺されたり手を切断しても平気っていう時点でよっぽど異能だよね」とか疑問の残る部分も多いんだけど、まぁ、1クールの締めですから。この後バトル突入不可避だったとしても、アニメシリーズとしての欠点にはなるまいよ。

 こうして「異能」と「日常」を混ぜ込んでネタ化させた意味というのは、おそらく原作者側の意図としては「最強なのに役立たず日常系」という出落ちネタだったのではないかと推測する。「ラノベは日常ものとバトルものがほとんどで、その2つを変な方向で混ぜたら面白くね?」というのは割と単純な発想で、「アウトブレイクカンパニー」や「勇しぶ」も大体同じ発想なので、取り立てて目新しいものではない。今作でそれがオリジナル要素たり得たのは、主人公の安藤のキャラが良くも悪くもぶれずに固定されていたおかげだろう。彼が恋愛要素を一切考慮しない朴念仁であり、厨二設定を堂々と振りかざす阿呆でありながら、なぜか道徳観念だけは非常に達者であり、ヒロイン4人(会長も含めれば5人)から惚れられてもそこまで違和感の無いマジカルワールドを産みだしている。「異能に悩める女の子」を「異能マスター」が導いてやるというのは、変則的ながらも「超絶有能イケメンが迷える女の子のピンチに駆けつける」シチュエーションと本質的に大差ないため、こんなヘンテコ主人公でもモテていい世界になっているのである。そういう意味では、このハイブリッド設定も単なる思いつきから一段上がって「意味のある設定」ではある。また、こうして「異能前提」を設定していたからこそ鳩子バーストのような一種の反則技も効果的に見せることが出来たわけで、決して考え無しに異能設定を無駄遣いしているわけではないだろう。まぁ、やっぱり視点が安藤達から外れてしまうと退屈になったのは事実だと思うけどさ。

 退屈だと思うなら、鳩子や灯代といった優秀なヒロイン勢を思い出して脳内補完すればいいじゃない。今作のMVPは早見沙織、そして岡本信彦のツートップであるが、山崎はるかも新ヒロインとしてきっちり仕事をしていた。灯代の設定って全部「どっかで見たことある」気はするのだけど、総合すると割と新鮮な気もするのよね。その他彩弓さんに千冬ちゃん、会長にくっきーまで。ヒロイン全員がしっかり安藤にアプローチしながら魅力を発揮する、良いラブコメでございました。でも、僕は鳩子派です。当ブログは恵まれない幼なじみセカンドヒロインを応援します。

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「ヤマノススメセカンドシーズン」 5→6

 やっぱりゆかもこは最高だぜ! 本当に良い井口分と阿澄分が摂取出来るサプリとしての優良作品である。

 15分アニメで2クール、しかも元々5分アニメというなんとも不思議な出自を辿っているこの作品。一体どうなるものかと思ったが、なんの心配もいらない堂々たる2クールであった。そう、萌えアニメというのはこれでいい。女の子が可愛い、それが重畳。4人の女の子を中心とした癒しの時間は無事に幕を引けたのである。世間的には、どこかで「長くして2クールになったからダレた」なんて意見も見聞きしたことがあるが、わたしゃそうは思いません。ダレるもなにも、元々描かれるべき責務の無い作品としてスタートしており、登山というテーマをベースにして最終的にはあおいとひなたに帰ってくればよいのである。それならば、そこにキャラクターが描かれ、それが可愛らしいままであれば「ダレた」というのはお門違い。「ゆっくりしていってね!」というのが正しい解釈の仕方なのである。まぁ、もちろんそういう見方ってのは非常に偏ったものであろうし、是非が分かれるのは致し方ないと思うけどもね。この15分枠という身の丈にあった時間配分と、充分な密度を持った「それしかない世界」はばっちにニーズに噛み合っている。

 そして、今作は実はそれだけには留まっていない。文字通りに中盤で山場となった富士登山。なんと、この作品ではまさかの挫折エンドをむかえるという衝撃のストーリー展開は、「高校生のくせにお気楽に登山なんてできるんかいな」という懐疑派にも納得出来る「登山は楽しいけど、遊び半分でやったらあかん」というマジ警告ドラマである。あおいが登頂できなかったことは残念であるが、こうして「山の厳しさ」を味わうことも登山の一環であると考えれば、彼女はこれ以上ない形で富士山を満喫したとも言える。単に「厳しい」ことを伝えて突き放すのではなく、「失敗したこと」で学べることがあり、そこに仲間がいてくれることで、再び山を目指すきっかけが産まれることで友情を補強することにもなった。「楽しさ」「厳しさ」の両面を正面から描ききり、1つ1つの体験が人生経験へとフィードバックしてくるその構造は、女子高生きゃっきゃうふふアニメの形態ととりながらも、きちんと成長物語としても読み込めるものになっているのである。良いアニメじゃないですか。正直、これを観てるとちょっとだけ(ほんのちょっとだけ)登山も悪くないかな、なんて思えてくるのです。まぁ、俺のとある友人みたいに、「これヤマノススメで紹介されてたジャケットとリュック、高かったわー」「へぇ、お前山登り始めたんかー」「いや、登る予定なんて全くない」ってのも困りものだけどね。

 以上、ゆか・もこ・ひよ・ゆいの4人組の素敵な時間でした。ホントに「夏色プレゼント」は大好きなオープニング。映像のデザイン性がこんなに素晴らしいオープニング、最近だと珍しいよなぁ。

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「テラフォーマーズ」 5→3

 なんやったんやろ、このアニメ。人気漫画になってるらしいのに……そんな要素が1つも見つからなかった。

 原作は殆ど読んでいないので、このアニメに全く面白味を感じなかったのは原作が悪いのか、アニメが悪いのかは分からないのだが、仮にアニメが悪いのだとしても、やっぱりこの漫画は個人的に合わない気がする。よくもまぁ、これだけ先の見えない話で人気を維持して引っ張っているものだと感心はするのだが。アニメの方はというと、毎週テレビをつけると「君たちのしらない生き物の話」をちょっとだけ石井康嗣のいい声で紹介してくれた後は、「分かりやすい俺ツエー展開」か「分かりやすいどうしようもない状態」がちょっと目先を変えて放送されるだけ。そこにシナリオラインのつながりは特に感じられず、先への期待感も出てこない。

 適当に観ていたせいでモチベーションが下がるという負のスパイラルに入ってしまったことも原因の1つではあろうが、それにしたって個々のバトルが散らばりすぎていて求心力に乏しい。ドラゴンボールのように戦闘力を数値化しろってわけでもないが、「なんかよく分からないゴキブリの化け物が出てきます、こっちの男は何となく強いから勝てるけど、こっちの男は頑張ったわりに弱かったから惨殺です」っていう展開は、理屈抜きのバトル描写だけで魅力的に映るとは思えない。そして、その映像自体もそこまで特筆するものがあるわけではなく、執拗に説明を入れる必要性もあってか、コンテワークが緩慢で魅力に乏しい。大きく作画崩れがあるとかいうわけでもないのだが、それで退屈に感じてしまうというのはなんとも残念な話。極めつけは完全なる「俺たちの戦いはこれからだ!」エンド。なんで今こんな形でアニメ化してしまったんだろうか。

 これ、原作ファンはどういう目線で観ていたのだろうか。表情も何も無いゴキブリが暴れ回ってればそれで楽しいのかなぁ……。

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HisCoool! セハガール」 5→6

 ラス前のお話、エンディングで楽しそうに踊るメガドラを見てマジ泣きしたのは秘密です。それまでのダンスでは遠慮がちに片足あげるのが精一杯だったのに、卒業が決まったらみんなとユニゾン出来たのよね。ほんと、いい娘なんだよなぁ、メガドラ可愛いなぁ……。

 予想を超えた方向で良い作品になった気がします。わたしゃ基本的にゲーム知識は皆無の人間なのでセガネタ云々はほとんど分からないくらいのレベルで観ていたのだが、それでも無体なネタ回しになっていることは分かるので充分楽しめたし、そうした部分が無くても、「いつものCG」のレベルも確実に進歩し、メイン3人の愛らしさはキャラものアニメとしても充分に及第点。菅原作品ではお馴染みの「ラストの謎シリアス」もきっちり着地させ、ユルさ、可愛さ、笑いの三拍子揃った素敵なお話になっている。また、回りのゲームファンの反応を見る限り、コアなセガファンからしても割とノスタルジーを刺激されたりして楽しかったようなので、そっちのファン向けの企画としても成功していると思われる。

 注目すべきは、セガという一企業を押し出した完全な「企画もの」が、こうしてきちんとした形になって企業PVとしてもそれなりに機能した点である。私みたいな単純な人間は、このアニメを観て明らかにセガの好感度が上がっており、「セガは日本の優良企業」という刷り込みが行われているし、1つの企業というくくりの中で遠慮なくネタをつぎ込んだオールスターアニメーションという試みにより、過去の蓄積が全て武器になり、魅力に映る世界というのはそれだけで秀逸なアイディアだ。まぁセガのような大きなゲーム会社だからこそ出来たトリックプレーではあるものの、今後も「企業」以外にも様々なジャンル、形態を持って「自由気ままなオールスターアニメ」という手法が産みだされるかもしれない。そうしたエポックメイキングな手法に先鞭をつけたということが、この、ユルい15分アニメの最大の要所だったのではなかろうか。

 まぁ、余計なことを考えずにメガドラ可愛いでいいんですけどね。ドリキャスの安定腹黒設定もきちんと笑いに繋がっていたし、サターンも単なる突っ込み役に終わらずに「メインヒロイン」として一枚看板になっていた。この3人のバランスはどこぞのgdgd妖精やお笑いロボット3人組並に良い。そして何と言ってもメガドラCVの井澤詩織である。大正義すなぁ。もちろん残り2人のM・A・O、高橋未奈美も良い仕事。M・A・Oは本当に器用よね。

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「繰繰れ!コックリさん」 5→6

 わぁい、もふもふだぁ。良かったんじゃないでしょうか。身の丈にあったギャグの振れ幅と、愛らしい動物キャラ、ちょいと毒を含んだギャグを絡めて、重たかったり下衆かったりするアニメが多い中での一服の清涼剤のような存在に(いや、これも充分ゲスいんだけどさ)。

 当初予定していたよりも割と好きになった作品である。そういう意味では今期「デンキ街の本屋さん」とは双璧かな。ただ、「デンキ街」はある意味ドストレートな「萌え」で、ヒロイン勢で売っていたのに対し、こちらのメインウェポンはモフり成分である。なんでコックリさんは余計な人間形態などという小手先芸を使うのだろうか。大人しくずっと狐の姿でいれば良いものを……。アニマルフォームのキャラクターたちはどれも本当に愛らしく、至極まっとうな子供向けアニメのデザインのごとき愛らしさ。狗神や信楽も(やっていることはさておき)外見はとても可愛らしいし、そこにじめ子さんやタマも混ざって「異種間ドタバタコメディ」としては充分な陣容。考えてみれば、一つ屋根の下に人と狐と犬と狸が同居する設定の時点で私の大好きな「長屋もの」ジャンルと言えなくもないな。

 更に、こういう設定だとキャラを出した時点で大体パターンが決まってあとはダラダラすることが多いのだが、今作は割と話のバリエーションが多く、1話1話でちょいちょい目先が変わったのも飽きずに見られた要因だったんじゃなかろうか。中盤の信楽大活躍っぷりが余計な背伸びにも見えたけど、やっぱりおぢさん格好いいからしょうがないんだ。声の占める割合が無闇に高い気もするけども……いや、でも今作のキャストはクド過ぎるくらいに完璧だったからな。「猫のもののけ」のキャラが出てくるのにそこに千和が絡んでないキャスティングって初めて見たかもしれんな。

 というわけで濃密すぎた中の人成分だが、やっぱり本作で一番大事だったのは涼さんのこひなだろうか。久しぶりに「これぞ広橋!」という独特の台詞回しは、一度聞いたら癖になる怪しさがたまらない。こういう武器があるとやっぱり役者は強い。そしていつものポジションの小野Dも、獣化したり女体化したり幼児化したりするので意外と演技のバリエーションが多くて楽しめる。それは狗神・信楽コンビも同じこと。このコンビについてはオープニングテーマの合いの手でも良いお仕事をしておられたね。そういやナレーションのおねーさんまでカロリーが高かった。実に耳に良い作品でした。けもけも。

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「オオカミ少女と黒王子」 4→3

 看板に偽りあり。結局、オオカミ少女は大して嘘つきでもなく、黒王子はむしろ「黒歴史王子」っていうなら納得出来なくもないが、特に悪人でもなんでもないっていう。まぁ、そうなるとは思ってた。

 結局「少女漫画っすなぁ」としかいいようのない作品。初期設定の奇抜さで勝負するのが慣わしになっているのか、この手の直球少女漫画ってのは出会いのシーンや関係性は劇的なのだが、結局そこからのお話は王道路線の一本道。そりゃ女性ファンに都合のいい展開になってもらわなきゃ困るのだからおきまりの方向に行くのは当然だし、別にそれでも面白いものは面白いのだが、今作の場合、本当に初期設定で提示した奇抜さがなおざりになりすぎてしまい、「別にこのアニメじゃなくてもいいじゃん」という感情がてんこ盛りになる。いや、エリカちゃんは割と可愛いんだ。「犬っぽい女の子」はそれだけでも加点要素であり、実際に「つまらんなぁ」と思いながらも、割と最後まで退屈せずに見ていたのも事実。それはひとえに、エリカが愛玩動物のように愛でやすい存在だったからこそ。ただ、そうはいってもこの女はひどい。結局自分中心のわがままマインドは最後まで無くなることはなく、嘘つきとかそういう部分以前に、思考パターンがいちいち異次元なのである。一番分からないのはやっぱり「なんで恭也に惚れたんだろう」っていう部分なんだけどね、「いがみ合っていた憎いあん畜生が、いつの間にやら気になる存在になっていて……ドキッ」ってのはそれこそ王道中の王道だが、エリカと恭也の間には、その「いつの間にやら」の部分が無いのである。あれだけの辱めを受けてなぜ惚れる。やっぱりあれか、ただしイケメンに限るのか。

 そして、対抗するようにして恭也のメンタリティもさっぱり分からん。彼がこれまで女を取っ替え引っ替えしていたわりにエリカに対してだけイレギュラーな行動を取ったおかしさは1話目時点で既に指摘していたことだが、その違和感というか、異次元性は最後まで続いており、恭也がどのタイミングでエリカに惚れる要素があったのかがさっぱり分からない。都合のいい犬っころとして使役するうちに愛着が湧いてしまったということなのだろうか。それにしたって、割とマジで単なる「女に都合のいいツンデレイケメン」に堕してしまったのは、今作のタイトルにもなっている「黒王子」要素が欠けたことを意味するわけで、作品の骨子を揺るがす致命的な事態である。まぁ、こうして都合のいいイケメンがいることが女性受けの前提条件なのかもしれないが……男から見ても気味が悪いだけなんだよなぁ。

 あと、少女漫画アニメは割と作画面は安定することが多いのだが、今作はそのへんもあんまりパッとしなかったのも印象がよろしくない理由だろうか。そんなにコントロールの難しい絵柄だとも思わなかったのだが……エリカが可愛くないと話にならないんだから、その辺だけでも維持してほしかったもんだけど。

 結論・かな恵ちゃんがペットになるなら、それはそれで歓迎です。あと、母親が久川綾、姉が中原麻衣っていう家庭では、恭也君がちょいと歪んで女性に対して不器用になるのもしょうがない気もします。

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selector spread WIXOSS」 6→8

 うん、大好きでしたよ。綺麗に2クールのお話がまとまったというだけでもありがたいが、ちゃんとそれが全部引っくるめて面白かったらいうこと無しやで。

 毎回視聴後のテンションの上がり方は各話感想を見てもらえば充分でしょう。その上での総評ということは、やはり1期からシリーズと通しての評価ということになる。今作で白眉だった点は、最近流行りのいわゆる「鬱系魔法少女」をベースに置きながら、そのシステム面にきちんと道理の範疇にまとめあげ、解消に至るまでを整然と描けた部分にある。いや、もちろん分からない部分はたくさんあるよ。結局繭やるう子って何者だったんや、とか、スタート地点となる部分には謎も残されているのだが、その部分は今作2クールを見る上ではそこまで重要な部分ではない。あくまで、セレクターバトルという舞台が用意され、その舞台の上でやれるだけの演目を演じ、最終回までにはその舞台が綺麗さっぱり片付けられ、後に残されるのは満足感だけ、という事実が重要なのである。最終話でも書いたが、これこそが岡田麿里の手腕。中盤にあれだけわやくちゃになり、何が何だか分からないままにどろっどろの愛憎劇であさっての方向にトバしておきながら、ちゃんと無難な着地点は用意している。「鬱系魔法少女」は、まどマギを皮切りに出てきた新ジャンルであるが、どうしても世界設定にどんでん返しを仕込んだり、抗えない理不尽さを演出するために収束に難がある場合が多いが、この世界はそれまでの鬱が嘘のようにすっきりさわやかに幕を下ろしている。この落としどころはなかなか容易に見つかるものではないだろう。こういうぶっ飛ばし作品の巧さは「凪あす」や「ブラックロックシューター」「CANAAN」など様々なオリジナル作品で確認することが出来るのである。

 そして、こうしたメインシナリオを彩る制作スタッフの手堅さも見逃せないポイント。本作はJ.C.STAFFの中でも中堅以上の手堅い職人が揃っており、下田正美、二瓶勇一、桜美かつしといった名前が連なる。これをとりまとめる佐藤卓哉監督の安定感も格別であり、オリジナルアニメでここまで統制の取れたシリーズが展開出来たことは、やはり熟練のJ.C.というスタジオの勝負勘があってこそだろう。特に今作は独特の薄暗い舞台描写のこだわりがよく出ており、シリアスを徹頭徹尾貫きながら、その中でも「シリアスな笑い」に繋がるネタ要素を真顔で盛り込んでくる時の演出のさりげなさがニクい。我らがあきらっきーというスーパーヒロインが誕生したのも、このシリアスとネタ要素の無体な折り込み方が功を奏したおかげである。

 普通、実在するカードゲームの販促アニメというと大体フォーマットは決まっているもので、どうしたって朝アニメのような展開になりがちであるが、そうした「販促アニメだから」というしがらみを全部かなぐり捨てたかのような潔さが今作のエポックメイキングなところであり、このアニメを見て小さいお子様たちが「わぁ、WIXOSSやりたい」なんて気持ちは絶対に起こさない。大きなお友達だって、このアニメを見ただけじゃWIXOSSのルールはさっぱり分からない。それにも関わらず、アニメ効果でWIXOSSは新作カードゲームとしては異例の売り上げを記録したというではないか。なるほど、アニメとタイアップするときの「売り方」というのはこういう手法もあるものかと、目から鱗である。このアニメを見てセレクターバトルの理不尽さに恐れおののきながら、僕らは和気藹々とゲームに興じればよいのである。試合中に真似する台詞は「デュエルオープン!」とか「ホワイトアイズを召喚!」とかではなく、「わたしをあきらぶりーにしてよぉ!」とか「あんたの身体をわたしがひっきりなしに循環する!」とかでいいわけです。わぁお。

 こうして出来上がった「WIXOSSやろうぜ!」の世界、鬱になり、ハイになり、時にはサイコレズになって舞台を盛り上げてくれた中の人たちに最大の賛辞を。筆頭にくるのは座長となる加隈亜衣であろうが、その立場上、唯一事の顛末を全て知らされていたという繭役・種田梨沙も陰の功労者であろう。彼女の作った世界、彼女の作ったダークファンタジーが、作品をここまで刺激的なものにした。そんな繭の手の上で踊らされるのは、久野美咲、佐倉綾音、茅野愛衣、瀬戸麻沙美、川澄綾子らの見事なお仕事。ちより役の杜野まこも、声優としての仕事はこれがほぼ初となるが、実によいお仕事。エルドラさんとのコンビもばっちり。

 そして、ネタ要素を一身に引き受けてくれた大役、あきらっきー役の赤﨑先生、それにウリス役のくぎゅう。あんたらやっぱりエースだよ。

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「失われた未来を求めて」 4→4

 終わってみれば、思っていたよりも悪くないアニメだったと思う。ちゃんと1クールの中でお話としてはまとまっていたし、それなりに独自の売りとなる部分もあった。

 印象が改善された一番の理由は、今作独特の作画デザインに慣れた、っていうのが大きいだろう。もう1話目の印象は虚ろなのでひょっとしたら放送中に自然な方向へと徐々に変化させていってる可能性もあるのだが、とにかく最終的にはキャラクターデザイン云々でマイナスイメージはほとんど無くなった。まぁ、細かいモーションの部分ではカクカクと不自然な部分もあり、相変わらずこのデザインのうまみってのはさっぱり分からないままではあるのだが、一応、本作のメインプロットとなるSF設定とのかみ合わせを考えると、「不確かな未来」「不確かな今」を表現するための輪郭だったと考えれば、納得出来なくもないだろう。

 そうした映像面でのマイナス成分が弱まれば、お話としては「普通のエロゲ」ではあるのだ。エロゲってプレイしたことないし、数も多いから何を持って「普通の」としたらいいかも定かではないのだが、学園設定と、「なんかよく分からんコミュニティ」というセッティングのベタさ、そして恋愛を絡めるためのSF・ループ設定などは、多分その道の人にはお馴染み過ぎるレベルのものなのじゃなかろうか。アニメで見た作品に限定しても、一番簡単な言い方をすれば「シュタゲフォロワー」の1つということになる。もちろん、「焼き直し」というような悪い意味ではなく、今作は今作なりに、「多重世界」を真面目に取り扱っており、ドラマとしては充分成立している。2人のヒロインを巡っての過去と未来の葛藤劇は、おそらくゲームとしてじっくりテキストを読みながら進めていけば、割と楽しめる部分も多かったのではなかろうか。

 まぁ、その上でやっぱり「ここが良い」って大々的に取り扱える部分が無いのも事実だったとは思うんだよね。「シュタゲでいいじゃん」は言い過ぎだと思うが、どうしても「複数のシナリオを多層的に攻略する」というエロゲの設定上、こうした世界改変、タイムトラベル、ループといったテーマはありきたりのものに見えてしまう。今期だけに限定しても「大図書館の羊飼い」は世界改変の物語であるし、放送時間が並んでいる「天体のメソッド」も(エロゲじゃないが)タイムトラベル・ループが絡み、最終話の放送時はまさかの2作品続けて「記憶なくなっちゃった」ネタをやられて無駄に残念な気持ちになってしまった。何かもう1つ、はっきりとした今作オリジナルの押しがあれば見やすくなったとは思うのだが……。その「あと1つ」が至難の業なんだよなぁ。

 あ、あと人を殺すときに一番手軽なのが交通事故なのは分かるが、なんかこう、もうちょっと考えてもらえると嬉しいです。今期事故死多すぎ。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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