最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「selector infected WIXOSS」 5→6 現時点では途中経過なのであまり立ち入った評価をすることは出来ないが、ひとまず前半戦(?)終了ということでね。毎週感想を書いていたことからも分かる通り、今期の中では一二を争う楽しみな作品ではあった。多分、上位5作品をピックアップするとそのうち1つが「霧くまs」になるという問題のあるランキングだが。 中身についての諸々は既に各話感想で書いてしまっているので省くが、全体的な評価として最も注目したいのは、当然脚本である。岡田麿里が指揮を執る遠慮のないダークストーリーは、誰が見ても「まどマギっぽい」という感想が出てくるものになっており、詐欺行為過ぎるセレクター契約の中身など、白い悪魔に追いつけ追い越せで容赦無く少女達のメンタルを削ってくる。ここで「まどマギのパクりやんけ!」とかいうなおざりな文句を言わないように気をつけよう。いや、別に言っても構わないが、大した情報量が無いのでそのことにあまり意味は無いというだけだ。では何故ここでまどマギの話を持ち出したかというと、「ようやく、パクりと言われるような作品が出てきたのか」というところに時代が1つ進んだ気がしたからである。どこの業界だって基本的には二匹目のどじょうにはあやかりたいわけで、アニメ業界もエヴァが流行ればエヴァフォロワーが生まれ、ギアスが流行ればギアスフォロワーが現れる。「日常系」アニメだってその流れにあるのは間違いなくて、似たような路線が繋がることは、決して悪いことではない。そして、まどマギというのは、ここ最近低迷していたアニメ業界に風穴を開けた、今後のジャンル拡大の1つのキーストーンとなりえる作品である。普通はここから「まどマギフォロワー」が現れてまた新しい形に進化するのを模索することになるのだ。しかし、時代の寵児となる作品ってのはいつでもそうだが、まどマギも「追いかけるのが大変」な作品であった。要素だけを取り上げてしまってもあの珍妙なハイブリッドを作り上げるのは困難であるし、生中なフォローでは単に「パクり」と非難されて終わってしまう。「まどマギ」の評価が固まって以降、はっきりした「フォロワー」が出てこなかったのは、まねをしようにも「明らかな劣化版」以外を作ることが困難だったためだ。しかし、昨年の劇場版をもって、ひとまずまどマギが一段落したこのタイミングで、ようやくそこに追随出来る猶予と土壌が整ってきたということなのだろう。表面を「まどマギ的な何か」で包み、新しい形で物語を紡ぎはじめる挑戦者が出てくることが出来るようになった。それが、奇しくもあの岡田麿里だったということになる。 改めて振り返るに、まどマギは化け物であった。あのシナリオラインをわずか12話でまとめ、やりきってしまったのである。この「WIXOSS」はそこまでの傾斜をつけて勝負に出ることは出来ないし、それをやっても大きく越えることは出来なかったであろうが、また別枠の路線として、実在のカードゲームとのコラボ(というか販促)という形で、新たなシナリオラインの土台を設定した。これにより、全く違う文脈から、改めて「少女達を巻き込んだ悲劇の物語」が幕を開けることが出来た。岡田麿里はここからどのようなゴールを狙っているのかさっぱり分からないが、これだけのものを書いておいてまどマギへの意識がゼロってことはないだろう。下敷きにするとか、対抗するといった意識は特にないかもしれないが、「自分なりに出来る、ダークストーリー」ということで(ある意味得意分野でもあるので)気合いを入れてこの仕事に挑んでいるに違いない。我々は、正面からその仕事を受け止めて、その是非を見守るだけである。少なくとも、現段階においてはまったく期待を裏切るものにはなっておらず、彼女の持ち味である緻密な人間関係における軋轢を存分に見せつけながら、謎めいた禍々しさも充分に振る舞われている。「2期目早く!」の熱が冷めないうちに、このチャレンジにしっかりと決着をつけて欲しいものである。 PR 「ピンポン THE ANIMATION」 6→8 今期最高峰の作品の1つと断じてしまって問題無いだろう。とにかく凄まじい画面と、そのアクの強さを許容しながら、ただ真っ直ぐに真っ直ぐに引っ張り続けるスポ根としてのシナリオラインのアツさ。何から何まで刺激に溢れた、現代アニメの存在を根底から揺るがす問題作である。 原作を読んでいなかったおかげでまっさらな状態で観られたのがまず幸せなことだったが、原作からして相当満足度の高い漫画だったのだろう。中身を簡単にまとめてしまえば「努力して強くなった人間のスポ根」といえてしまうわけだが、主人公のペコを巡る物語はそんな一言で片付けられるようなものではない。彼の中で卓球というスポーツがどのような意味を持っており、最初の孔との対決に一体どんな意味があったのか。時を同じくして進化していくスマイルをどんな気持ちで眺め、それがどう影響したのか。スマイルにしてもペコにしても、結局は「もとから強い人間が勝っていく」ということにはなっているのだが、これだけのドラマがぶち込まれ、1つ1つの感情が有機的に結びつき、「勝利」への物語に繋がるとなると、その「強さ」にはただただ憧れしかない。俺ツエーのシナリオってのは歓迎されないものだ、なんて風潮があるが、振り返ってみれば古今の物語なんておしなべて「俺ツエー」である。「俺ツエー」という要素がどのようにドラマとして組み上げられ、何を描くための「強さ」があるのか。そこがきちんとはじめから定まっており、人間ドラマとして形作られていくのを見ているだけでも、このアニメは十二分に満足行くものである。9話10話で見せてくれたペコの生き様、そしてそれを引き出すことに成功した「親友」スマイルの友情。もう、終盤は本当に涙無しでは見られないシーンばかりだった。もちろん、それを盛り上げてくれた風間や孔といったライバルキャラたちも1人1人に全てドラマがあり、人生がある。特に孔は個人的にもお気に入りのキャラで、中盤以降はどんどん超人的になっていく2人の主人公を見つめる観客寄りの視点を持って世界と戦ってくれていたので、彼の成長物語としても感慨深いエピローグとなったのである。 こうしてメインシナリオに文句のつけようが無かったことが一番の功績であるが、もちろん、そのドラマを彩った破天荒なアニメーションが、この作品を二段も三段も上のレベルに押し上げたことは言うまでもない。湯浅政明が今度は漫画原作の作品をアニメ化すると聞いた時にはどうなることかと思ったが、まさか一切の遠慮も無しに全力で個性を解放することになるとは思っていなかった。ふざけているのかと思えるような徹底的に崩したデザイン性と、お利口な統制をあざ笑うかのような不敵な動画、そして漫画的な面白さを衒いもなくそのままアニメの画面に落とし込んでしまう図太いコンテワーク。1つ1つがドラマを、画面を、際限なく刺激的にしていく。世にアニメの溢れかえる現代でも、ここまで好き勝手に、我を通して何かを産みだそうとする人間は他にいない。そして、本来ならばアニメーションなんてのは表現方法の1つでしかないのだから、湯浅氏のように好き勝手に暴れ回ってもらっていいはずの媒体なのである。氏がこうして大きな結果を残したことは、今後のアニメ業界にも改めて影響を及ぼすことになるのではないだろうか。 こういう作品が出てくる土壌となっている間は、やはりノイタミナには頑張ってほしい。是非とも隅々までたっぷり味わってほしい名品である。 「龍ヶ嬢七々々の埋蔵金」 5→4 これは「設定を活かす気が無い作品」ではないが、「設定を有機的に結びつけることが叶わなかった作品」ということになるだろうか。これだけ色々と気になる設定を設けておきながら、なんでお話を面白く出来なかったのか、なんだか勿体ない気がする。 序盤に驚いて興味を惹かれたのは、タイトルにもなっているメインヒロインが「部屋から一切出られない」という部分である。「神様のメモ帳」や「GOSICK」のように、探偵役のキャラがアームチェアに拘って外出しない例はあったが、本作では謎の中心人物であり、便利道具を無尽蔵に出してくれるドラえもん的スタンスにある七々々ちゃんが外に出られない。つまり、冒険、バトル、頭脳戦というあらゆる局面に出番が無い。この斬新な設定は一体どのように物語に影響を及ぼすかと思って期待したのだが、マジで「単に影の薄いヒロイン」になった。すげぇ。まぁ、「居丈高にネトゲをプレイし続ける地縛霊」っていうだけで割とキャラが立っていたので何となく面白く思えてしまったのは悔しい部分であるが。物語の骨子となるのは、「便利道具を探し求めるために様々な趣向を凝らしたダンジョンに潜る」こと。うわべは珍妙だが、宝物を求めてダンジョンに潜るのは古典ファンタジーからの鉄板シチュ。ベタなものでもがっつりと「冒険」をテーマにして描かれるならば面白かろう、という期待もあったのだが、なんと、ダンジョンギミックは全部適当。CGで描かれた異世界のごときダンジョンは現実感に乏しすぎて緊迫感にかけ、攻略のプロセスも特に含みは持たず、「勢いでクリアする」「天災に任せる」の2パターン。これはものすごくがっかりだ。そして、出現する七々々コレクションは、人智を越えすぎてて恐ろしく便利だ。「それがあれば次のダンジョン楽だよなぁ」的なものや、「それ1つで世界が割とどうとでもなる」レベルまで。もう少し情緒ってものをさぁ。 「ダンジョン」「アイテム」という当初期待していた2つのファクターがしょんぼりだったので、こりゃぁ駄目かと思ったが、一応のギミックとして重護が「悪者系主人公」であるっていうのが働いていて、視聴者目線からでも軽めのどんでん返しが2つ3つあったのは視聴モチベーションを維持する効果があった。天災の自動推理や、重護の理不尽なタフネスなど、ギミックをわやにしてしまう要素もふんだんにあるのだが、それなりに「シナリオとして捻ろう」という意識があり、予想とは違ったが、「次に何が来るかが分からない」という期待感は維持出来ていた。全てが上手い具合に効果を発揮していたとは思わないが、「はて、この世界の本当の姿はどうなってるんだろう?」という興味は湧く。結局尻切れトンボで終わってしまっているのでこの興味は一切報われないのだが、まー、現行で続いてる作品のアニメ化なのでその辺は仕方ないか。もし2期目があれば、もう少し「世界の真実」を絡めたネタが掘りさげられるのかも。 粗の多い作品なので褒める気はあんまりないのだが、アニメとしては充分安定していたので、そこは恵まれていた作品。七々々ちゃんをはじめとしたヒロイン勢は全部可愛かったし、CGダンジョン以外の部分で動きに手抜きは無い。なんだか最初から最後までノイタミナっぽい売り方の無い作品だったが、これはこれで独特だったといえるかもしれない。おかげで中の人フェスタ的な見方は存分に楽しめて、田辺留衣の2発目の仕事としては割と好印象。あと、天災は理不尽なのに何故か憎めない良いバランスのキャラになってた。頭の良いアスミスって珍しいよね(失礼)。 「悪魔のリドル」 4→3 茶番茶番アンド茶番。最終回の良い話っぽい空気がこの作品の狙ったところを如実に表していて清々しい気分になりました。……いいんだけどね、こういう作品があってもね。ただ、それにしてもなおざりじゃない? 元々、1話目の兎角の行動原理からして理解不能だったことでモチベーションが上がらなかった本作なのだが、視聴を続けていっても兎角を含めて他のキャラについても全く何考えてるか分からないし、「そうなっても、そうならんやろ」のオンパレードだったため、どんどん適当に観るようになってしまい、おかげでますます訳が分からなくなるという負のスパイラル。適当に観るくらいなら切ればいいじゃねぇか、って話なんだけど、「切るほどではないな」というボクの病巣が諦めに待ったをかけ続けた。その結果として、この12本の素晴らしい茶番が観られたのだから、これはこれで収穫ではある。 「独自設定として用意されたパーツを全て有効利用しない」という、斜め上過ぎる路線で打ち出された本作。暗殺者たちが集められた教室のメンバーは、誰もが暗殺のど素人よりも殺人が苦手であり、戦闘のプロ達が、ひょっとしたらこいつら目が見えてないんじゃないかってレベルの戦闘を行う。このもっさり感をどのように払拭できるというのか。全て終盤で明かされたプライマーの効果だったんだよ! という衝撃的な説明をしても良いのだが、それだって観ている方としては「茶番」に映ることに変わりはない。デスゲーム設定というのは、主に「本気で戦うモチベーション」で緊迫した心理を描くこと、そして、互いにゴールを目指してしのぎを削る知略謀略やバトルの醍醐味を見せることが面白さのベースにある。その片輪である「バトルの醍醐味」が、全部安全装置つきってんじゃ話にならないだろう。「お互い一歩も譲らず平行線」ならいいが、「兎角さん弱すぎィ!」「殺す気なさすぎィ!」の平行線では、見ていて退屈するばかりだ。 もう片方の軸となりうる「ゲームへのモチベーション」であるが、1話につき1〜2名が退場していくという高速展開では流石に描ききれるものではない。アニメ版「ダンガンロンパ」も同じような悩みを抱えていたが、「人を殺すまでの信念」を描くというのは並大抵のものではなく、紋切り型の「理由」をつらつらと描かれるだけでは真に迫らないし面白味もない。ほぼ紹介無しの後付け設定みたいにしてヒロイン勢が脱落していくので、後半になるほど盛り上がるように積み重ねる、なんてことも出来ない。暗殺者の皆様は、「何となく殺したい意志を表明し」「何となく理由を語り」「その割に本気で仕事をせず」「ひっそりと退場する」を繰り返すのである。どこを面白がればいいのだろうか。まぁ、流石に天丼を重ね続けて毎回元気に動き回る晴ちゃんを見てたら逆に笑えてはきたけども。 結局、このゲームの目的はなんやったんや、とか、晴ちゃんの家の話はどうなるんや、とかいったバックグラウンドの話は何も解決しないし、延々ダイスをゴリゴリやってた杉田にも特に意味は無い。一番バックグラウンドが描かれたキャラは兎角のはずなのだが、やっぱり奴のモチベーションは理解が及ばないのである。開き直ってキャラ萌えアニメとして見てしまうのが一番正しい視聴姿勢だったと思うのだが、そういう方向性にしちゃぁキャラデザとか動画も身が入ってないしなぁ。まぁ、鳰ちゃんは割と好きだったんだけどね。全員があのくらいの登場頻度で、きちんと個性を売り出して、美味しい部分が浸透した後に殺し合いをはじめてくれればもう少し楽しい展開にはなったと思うのだが……。全部アニメが短いのが悪いんや。 結局のところ、話の奥行きが一切無いので「茶番オムニバス」という希有なスタイルとしてまったりと引き笑いしながら見る結果に相成りました。こんだけ酷評してても、別に毎週見るのに苦痛はなかったからいいんだけどね。中の人については、兎角さんがあんまりしゃべらんもんだから諏訪彩花については相変わらずイメージが固まらなかった。晴ちゃん役のひーちゃんとか、鳰ちゃん役のナンジョルノあたりにポイント加点が入ったくらい。あとすみれこさん役の荒川美穂はだいぶ落ち着いて仕事出来るようになってきたかな、という印象。今回のヒロイン勢で出てきた新しい名前に、今後のスターは隠れているのでしょうか。 「デート・ア・ライブⅡ」 5→4 他の番組よりも遅く始まったのに早く終わってしまう。これが角川10話アニメの宿命だ。1期はちゃんと12話あったのにな……。 正直、1期目に比べるとがくっと落ちてしまう残念な結果になった。原因は色々とある。まず、脚本自体がなんかもっさりしていたこと。双子精霊編までは別に良かった。この作品は基本的にどこまでいっても「B級」なのだし、1期だってひでぇ作品だったのは間違いない。十把一絡げでまとめられる「ハーレム系ラノベアニメ」の一篇でしかなく、そこにこっそりとオリジナリティや、際だつ馬鹿馬鹿しさがあれば良かったのだ。1期の場合、馬鹿の極みだった祭り話が飛び抜けていたことと、狂三というイレギュラーキャラがそれまでの作品の空気を存分に引っかき回してくれたことが功を奏して評価を上げた。1シリーズで十香から始まって四糸乃、狂三、琴里と、テンポ良く精霊を展開していくのも良かった。 2期の場合、双子精霊編で3話というのは良いテンポであり、双子の独特の存在理由やバトルの展開なども、それなりに満足いくものだった。しかし、その後の美九がちょっと長い。「たっぷり描きたい中身がある」というならまだしも、美九の存在はこれまで登場した精霊のテンプレを覆すものではないし、狂三ほどの破壊力や、四糸乃や双子精霊のような阿漕な可愛らしさもない。十香や琴里のように特別なスタンスにいるのでもない。その美九編に、更に十香の覚醒まで含めて無駄にことが大きくなってしまった割に、やってることがいつもと変わらないので盛り上がりに欠けたのだ。また、1期では精霊との対比構造もあって実に良いアクセントとなっていた折紙の存在も、2期はぐっと軽くなった。というか、折紙単体ではなくてASTの存在自体が非常にどうでもいいものになっており、最終戦に向けても、精霊戦とは全然関係無いところでドンパチやってたイメージしかない。 全体的にストーリーが盛り上がりにくかったことに加えて、そこまで良かったといえない1期と比べても、2期は画質が落ちてしまっていたのも痛い。やはり「キャラが可愛い」を売りにする萌えアニメなのだから、そこだけはなんとか守って欲しかったものだが。このクオリティで、わずか10話のアニメを作るだけなら、もう少し製作期間を置いても良かったと思うのだが。どういうしがらみで見切り発車してしまうものなのか。非常に勿体ない。今期は元永監督自身と岩畑さんで半分以上もコンテやってるから、制作スタッフとしては気合い入れてやってるんだろうけども、そこに作画が追いついてないのよねぇ。 この状態で劇場版決定って言われてもなぁ。「そらのおとしもの」と同じくらいの感じだろうか。「たまこ」みたいに劇場作品で確変起こす作品もないではないが、このアニメの劇場版って、一体なにが起こるのだろうか。狂三ちゃんメインだったら見に行くかもしれんけども。 「ニセコイ」 5→5 エラく中途半端な時期に最終回をやられたせいで、全アニメを記録しているデータベースにどう記載していいのか分からなくて困っている。まー、一応2クールだから7月期終了ってことでいいのかなぁ。変な話数といえば角川アニメの十八番だが、この作品の場合にはまことしやかに「シャフトが製作に手を回す余裕が無いから」とか言われてる。いや、アニメスタジオがそんな理由で話数減らすわけないやろ。まぁ、実際に翌週放送予定だったはずの「花物語」が間に合ってないんだからそう言われるのも仕方なかろうけども。 さておき、普通に始まって普通に終わるアニメだった。放送開始前は「シャフトでジャンプアニメか……」と思っていたものだが、1話目を見た時点では「まぁ、こんだけベタな作品なら別にシャフトがいじっても文句は出ないな」と妙に納得した。そして、回を重ねるごとに、「なるほど、こういう色の消し方もあるもんだな」と合点がいったものである。私個人はシャフト好きなので別にアクの強い演出にされても文句は無かったが、やはりジャンプの人気作品ということでそこまで露骨な変化球にはならず、あくまで「元あるものをそれなりに」という程度に留まっている。まぁ、それでも受け付けない人には辛いんだろうけども(実際、知り合いに1人、シャフトだから見られない、っていう人はいる)。 元々「ぱにぽに」なんかで真価を発揮したように、記号化を進めたシャフト演出は、どうしても断片的に要素が乖離しやすく、それを再構築しながら見るところに楽しみがあるわけだが、その代償として、素直にストーリー部分を読み進めるのに多少のストレスを伴う。「物語」シリーズのようなヒネたシナリオならば多層的に要素を重ねて新たな方向性にアニメーションを組み立てる演出がはまり込むこともあるのだが、捻りの無いシンプルなストーリーラインの場合、どうしてもそれは邪魔な要素に見えてしまうことがある。しかし、今作はそれを踏まえた上でもまだ余裕があるくらいに「ベタでベタでしょうがない」話であり、なおかつ「多方面ヒロインによる同時爆撃ラブコメ」という、もとから非常に散逸的な内容である。おかげで、コントのように細かく場面を切り取ってガジェットで飾り付けるシャフト演出との食い合わせは案外悪くなくて、ギャグとしての見栄えも、ラブとしての掘りさげ方も、的を射た着地点に落ち着いていたんじゃなかろうか。 まぁ、そんな面倒な話は抜きにしても、単純に「ヒロイン勢が可愛いじゃないか」というのを毎回堪能するだけのお話なので、1枚絵できっちりと造形が維持出来ればそれだけでも評価は出来る。なんやかんやで「インフィニットストラトス」を最後まで観てしまうのと同じ現象である(ただし2期、てめーは駄目だ)。もちろん、ISよりかはよっぽどシナリオが見やすいし、ベタだとはいいながらも、実はヒロインの配置と、絡ませるタイミングは悪くないお話なのである。各ヒロイン間でギスギスしたところがなくて、全ての責任が「とにかく楽が全部悪い」といえば片付くので、真剣に恋愛しているのにそこまで気張って見なくていいからストレスフリーなのである。これだけライトなテンションだからこそ、今のジャンプでも人気を維持出来ているのだろうなぁ。 そして、アニメになったことで一番大きいのは、当然声がついたことだ。各ヒロインの声が固まったおかげで、わたくし個人はジャンプで原作を読むのもちょっと楽しくなりました。かみ合わせで言ったら阿澄マリーがダントツなのは博多弁のずるさであるが、東山千棘、花澤小野寺も充分な破壊力。最終回の演出的には、あれは小野寺エンドだったのか千棘エンドだったのか……各ファン勢の間ではまだまだ決着の見えない戦いが続きそうである。かくいう私はるりちゃん派なのであんまり関係無いですわ。原作の時点から割とるりちゃん派だけど、内山夕実ボイスのおかげでより強固なものとなった。やっぱりゆーみんがナンバーワン。最近原作であったるりちゃんのおじいちゃんエピソードもアニメで見たかったなぁ。 「咲-saki-全国編」 5→5 ようやく今期最後の感想。既にグランプリ記事で一回触れているけど、とにかく中の人でお腹いっぱいになるアニメ。さぞかし賑やかなアフレコ現場だったことだろう。 基本的に中の人目当てで見ていた作品なわけだが、今期は割とサイドストーリーが少なめで、がっつり試合描写が多かったので色々と楽しかったのは事実。番組が始まった直後には「これ以上モンスターバトルになったら一体どうやってアニメで表現すんねん」と心配していたものだが、まぁ、これはこれで突き抜けてしまってすっきりしたということかもしれない。もう、途中からろくすっぽ説明も無くなったもんな。いや、説明されても困るんだけどさ。一応各キャラに因縁というか、「そういう能力を持ってる理由」はそれっぽくついてたわけじゃない。山が云々とか。あ、でもタコスの能力の時点で説明無いも同じか……とにかく、今回はもう、「こういう能力者です」っていうことを前提にして全ての学校が戦っていたり、あいつは一体どういう能力なんだ? っていうのを推理しながら戦ったり、こいつらスタンド使いかよ、と思えるような大前提のお話である(まぁ、あながち間違いじゃないよな)。 そして、それが上手いこと「色々前提を飲み込めば楽しいスタンドバトル」として成立してたのは割とすごい。特に副将戦は楽しくて、1人分かりやすい大技を持ってる奴がいるけど、そのかたわらにカウンター能力を持ってる奴がいる。んで、全然関係無いのどかが「麻雀にオカルトなんてありませんわー」っつって自分勝手に打ちまくって面倒をかけるっていう。いや、この世界に生きてるくせにまだデジタルとか言ってる奴は流石にアホだと思うぞ。まぁ、のどかの場合は既に「デジタル風に打つとなんか降りてくる」っていう類の能力なんだと思うけど。 それぞれの学校のキャラは全てきっちり濃く描かれており、1人1人が活きながら全体としてのドラマを作る手順がまとまっているのはすごく良い。あれだけのキャラ数で死にキャラを作らないってのはかなり大変なことだ。まぁ、その分どうしても「個々のドラマ」のぶつ切りみたいになってしまうので、全体としての統制を取るのが難しかった感はあるが……それを締めたのが大魔王咲、というのはオチとしてはよろしいんじゃないでしょうか。全国大会の大将戦でプラマイゼロとか、なめプにもほどがあってよ。お姉ちゃんとどっちが鬼畜かわからんやんけ。 そんなこんなで「こういう怪獣バトルも良いものだ」と普通に楽しんでしまいましたとさ。中の人については数が多すぎるからいちいち触れないけど、大将戦のキャストはすごい好き。出来れば鹿児島に勝ち進んで欲しかったけどなぁ。 「Z/X IGNITION」 4→4 結局最後まで何がやりたいかよく分からんアニメだったな。主人公が多すぎんねん。 枠としては、近い作品だと「BLAZBLUE」だと思う。主人公っぽい立ち位置がたくさんあって、各々がやりたいことを好き放題やってるんですごいとっ散らかってまとまらないお話。ただ、「BLAZBLUE」よりはこっちの方が1つのシナリオとしてのまとまりはあったので、見ていてまだ焦点は絞りやすかった。まぁ、絞ったところでそれが完成していたかと言われるとはなはだ疑問ではあるのだが。結局この世界全体で何を主張したいのかが分からなかったんだよね。ゼクスとの関係性を良いものとして扱っているのか、忌むべきものとして扱っているのか。誰の正義が最前提として用意されているのか、何が完了したら物語に決着がつくのか。一応最後に大ボスっぽい立ち位置の敵がいたのでハッピーエンドっぽくはあるのだが、だからってこの世界のいざこざにはさっぱり影響は無いんだしなぁ。 一応、「色んな勢力があってごちゃごちゃしながらも能力バトルで頑張ってるよ」ということは分かったし、それをやるための下地だけはある程度整っていたとは思うのだが、ここからカードゲームをやりたいとは全く思わないので販促アニメとしてはアカン結末だろう。コンテンツとしても「この世界をもっと知りたいな」という展開にはならなかったし。本当ならもうちょっとキャラ萌え要素を強めに出すつもりだったのかなぁ。「クイーンズブレイド」みたいな吹っ切れ方になればもう少し違う結果にもなったのかもしれないんだけども……。 まぁ、最後まで乗り切れなかった理由は全部下野の変な関西弁のせいにしてしまえばいいと思うよ。しゅが美外道天使ちゃんが可愛かったです。 「凪のあすから」 6→8 一言でいうと「完璧」。これが作り出せるというだけでも、まだまだ日本のアニメ業界は頑張っていける希望が持てる。 1つの結末に向かって恐ろしく端正に積み上げられた2クール。普段は最終評価をまとめるときに「シナリオがどうこう」「映像がどうこう」(あとキャストがどうこう)という話を色々とするわけだが、今作においては、どれもが期待以上のものであり、全ての完成度がピカイチである。アニメオリジナルでよくここまで統制の取れた製作が可能になり、その企画が通ったものだと感心する。本当に毎度のことで申し訳ないが、やはりP.A.Worksというのは恐ろしいスタジオだ。この路線のアニメ開拓がもっと広く浸透すれば、アニメは単なる焼き直しの販促メディアでなく、新たな表現の形式を求めたオリジナルな媒体として堂々と機能できるようになると思うのだが。 蛇足とは知りつつ今作の見どころを確認すると、まず「シナリオが云々」は岡田麿里のイマジネーションに感服するところから始まる。よく彼女の得意ジャンルとして「ドロドロした男女関係」とか、「女の情念」みたいなものが取り沙汰されることがあるが(まぁ、それも一面の真実ではあるが)、彼女の脚本の見事なところは、そうした「どろどろ」というのを徹底的に内面的な正当性の下で作り出していく手順と、それをマンネリ化させずに、次々に新しい形で提供して新鮮な衝撃を与えてくれることにある。突き詰めればラブストーリーなんてものは究極のマンネリズムであり、何をやったって「くっついた」「別れた」の2択しかないシナリオ分岐。どれだけ趣向を凝らしたところでそこに変わりはないはず。しかし、人類は長い歴史の中で、ずっとずっとそれを再生産し続けるくらいに「ラブロマンス」が好きなのである。その本能的な欲求を満たすべく、岡田麿里は常に妥協せずに「新しいマンネリ」を模索し続けている。今作の場合、発想のとっかかりは「浦島太郎」だという。まずその時点で「どないやねん」とは思うが、このアイディアを、ここまで巧緻なシナリオに組み上げることは容易ではない。 シナリオを大きく分けた時、お船引前の「第一部」では「海と陸」という分かりやすいロミジュリ設定で恋愛感情を隔てる。単純な惚れた腫れたに障害が挟まるだけで物語として成立するわけだが、今作における起点は「海と陸の文化差」からだった。普通、「海の中にすむ人類」なんて設定からスタートしたらその説明と世界設定だけで「語り」が終わってしまいそうなところだが、そこを上手く「察することが出来る」世界に組み上げ、たっぷりと「陸に上がる汐鹿生の気持ち」でドラマとして盛り上げる。この第一部だけでもお腹いっぱいになるくらいにドラマがてんこ盛りになっており、「どれだけジェットコースターで進むんだ」と毎回ハラハラさせられたものである。しかし、それだけで終わらないのが今作の白眉なところであり、続く後半戦の「第二部」においては、今度は冬眠を挟んだ「時間による隔たり」で更に物語が広がりを持つ。この第一部の「海と陸」、そして第二部の「今と昔」という2つの軸がそれぞれに影響し合いながら互いの気持ちを作り上げていく行程があまりにも巧みで、2部に入って以降、「第一部のあのときのシーンはこのために用意されていたのか!」といちいちうならされることになる。要素に分解していけばそれら全ては「恋愛ドラマのいろは」であるのだが、それが何層にも折り重なり、全てがキャラクターの気持ちとして収束していく。そのドラマ作りがあまりにも精妙で、1話たりとも無駄がないのである。たまに「2期目から面白くなったな」なんて意見を見かける時があるが、改めて1期目から組み上げられた全体像を見れば、第一部の恐ろしさが分かるだろう。 そして、そんなシナリオ面での偉業を支え、新たな次元に突き進ませることが出来たのは、なんといっても映像面を作り上げたアニメスタッフの底力である。1話から嘆息していたこの世界の「形」が本当に素晴らしい。ある意味あり得ないほどに無責任な岡田麿里の「思いつき」が、どこまで真に迫って映像になるか、というところが今作の成否を分ける分岐点だったと思うのだが、そんなところでP.A.Worksに心配は無用だった。あり得ないはずの汐鹿生の景色、そしてそれを受け入れながらも異界として捉える地上の風景。どれもこれもがこの世界を当然のものとして提供する力を持ちながら、極上のファンタジーとして広がりを与えている。このビジュアルが作れるのは、生産過多のアニメ業界においても、P.A.だけではないだろうか。もちろん、熟練のスタッフによる「ドラマ作り」の妙も大きなポイントであり、キャラクター1人1人の細かい仕草、与えられたシチュエーションの細部に至るまで、全てが「ドラマのための」道具立てとして効果的に機能する。これこそが真骨頂。「true tears」の濃密なドラマ、凄絶な青に幕を開けたスタジオが産みだした、1つの集大成といえるのではなかろうか。 更なる蛇足でキャストの話は……いいかな。感情面でのドラマ作りで最も活躍したのは、ちさき役・茅野愛衣と、美海役・小松未可子だろう。もちろん他の面々についても文句の出ようはない。最終話で明かされたお女子様のキャストがはやみんだったのはやっぱりP.A.的にはゆずれない部分だったか。もう1つの看板である能登麻美子を先に使ってしまったからしょうがない。あと彩陽を置いてくれれば完璧だったのだがね。 |
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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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