最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「バクマン。(第3期)」 4→4 真白も髙木も、自分のヒット作の主人公のキャストまでやってるなんて、大変だよなー……そこは別な人起用しなかったのね。まぁ、阿部敦・日野聡のダブルヒーローのアニメならそれなりにニーズはありそうだけどさ。 さて、めでたく終了しました、6クールにも及ぶ長尺作品である。分割で3期に分けての放送とはいえ、これほどの長さは最近の(夕方以降の)アニメでは本当に珍しい。一体何がそこまでこの作品を長続きさせたのかと考えてみても、あんまり思いつかないのだよな。「メジャー」ならばNHK教育でスポ根ものっていうので分かったけど,こっちの作品の場合、あんまり教育的に良いものばかりでもないし、やたら金の話になるし。ジャンプ漫画なんだからそりゃ売り上げも大したもんだろうが、そこまでアニメを熱望されていた作品とも思えないしね。まぁ、どういう背景であれ、無事にゴールイン出来たことはめでたいことであろう。最初から最後まで基本的に作品クオリティは維持されていたし、大きく原作イメージを損なうこともなく、「原作に従ったアニメ化」としては充分及第点の出来だったんじゃなかろうか。七峰編カットっていうのは個人的には残念な判断だったんだが、まぁ、こればかりはなぁ。尺の問題もあるし、倫理的な部分でやっぱり七峰って教育向けじゃないからね。 あとは原作の中身についてあれこれ言うのと同じことになるのであんまりアニメについて語る意味は無い気もするのだが、しいて3期目の特徴をあげると、作中世界の価値観が定着してしまっているせいで、もうアンケート順位とか発行部数とか、そうした「パワーの値」がどんどん形骸化して、あんまり盛り上がりに繋がらなくなってしまったことが気になった。1話の中で「今週何位でした!」って言ってるだけで終わったときとかあったしな。そういう方法でしか表現出来なかったものなんだけど、やっぱり「頑張って夢に向かっている若者の物語」としては無味乾燥で味気ないものになってしまった気がする。もう少し他の尺度、つまりアニメにして画面映えするようなものがあれば中盤にももう一山作れたと思うのだが……まぁ、題材が題材だから難しいよね。あと、やっぱり声優云々の話とか、漫画だと分かっていても若干引く部分がございましてね。なまじっかリアルめいた題材なもんだから、そういうところで典型的な少年漫画ご都合主義が展開されるとどうにも据わりが悪い。スキャンダル中の声優の生ラジオで誰とも分からない視聴者からの電話繋ぎって、ラジオスタッフの首がどれだけ飛ぶか分からんぞ。 ということで、トータルでみると、内容的には1期、2期よりも素直に盛り上がりにくい部分は増えたかな、というのが総合的な印象だ。まぁ、強くなってきた主人公が無双し始めると嘘くさいってのは仕方ないことだけどね。大きく加点される要素も無いので、最終的にはこれまでと同じくらいの評価になるのです。あ、でも前半のオープニングはホント好きだった。最終回でラストテーマが「もしもの話」だったのは嬉しかったです。 PR 「琴浦さん」 5→5 今期ダークホースとなった一本。放送前に欠片も期待していなかったことは1話目の感想の時に書いたが、衝撃の1話からあとは下がる一方だろうと高をくくっていたのに、意外にもそこまでテンションを落とすことなく、1クールを走りきったのである。 最大の誤算は、「どうせ1話目の衝撃展開が終わったら、あとはずっといちゃいちゃしてるけだろ」と思ったら、意外にも中身があったということ。基本的には琴浦さんの能力によるトラブルというくくりで良いわけだが、「真鍋が琴浦さんの心を開く」→「森谷によるいじめからの琴浦逃走、捕縛劇」→「琴浦さんの能力による通り魔事件の捜査と危機」という風に、ちゃんと物語の方向性にはバラエティがあるのである。もちろん、そうしたプロットを包み込んでいるのは、真鍋との激甘ラブラブストーリーなわけだが、単なる「ユル萌え」ではなく、真鍋の男前っぷりや琴浦さんのちょっとした弱さ、優しさを出すためにシリアスパートが適度に手綱を握っていた印象。昨今、萌えものにシリアスが入るだけで拒否反応を示すなんて事例も起こっているらしいが、今作のように「とにかく2人の関係性を描くため」という明確な目的意識の下でシナリオが構成されているなら、狭量な人たちも一安心であろう。 もちろん、だからといってすげぇ面白かったかと言われると、そうは思わない。あくまでも原作のユルさ、ショボさは変わらないわけだし、やってること自体は非常に陳腐なもの。最低限与えられた素材を魅力的に見せるために、アニメになるに際して最大限にプラス方向に揺り動かせたんだろうな、というのが正直な感想である。太田監督の安定した仕事ぶりには感心するしかないが、これが「ゆるゆり」や「みつどもえ」より上に行くかと考えると、まぁ、よくてトントンといったところ。ギャグメインで見せる作品ではないので瞬間風速は出ないため、そこまで大きなインパクトがあったとはいえない。 今作を評する上で忘れていけないのは、やはりキャストのお仕事であろう。当然真っ先に出てくるのは琴浦さんの中の人、金元寿子である。また新しいひーちゃんの看板キャラが出てきたことによって、そろそろ諸々のイベントで「侵略?」とか言われなくなってくるだろう。流石にゲソとピカリンじゃんけんばかりを求められるのは可哀想だし。まぁ、今作で何が求められるかと言えば……エロス? そして、周りを取り囲む面々も良い仕事が多く、もう1人の主人公である真鍋を演じた福島潤の立ち位置は絶妙。昨今の男性主人公の中では珍しく、男女ともに敵を作らない、真っ直ぐで恰好いいキャラに仕上がっていた。もちろん、部長役の花澤、室戸役の下野あたりも安定のお仕事。森谷さん役の久保ユリカについては、「マジでこの人がラブライブのかよちんなのかよ!」と驚いた。若いくせにやりよる。そして、個人的に嬉しかったのは最後のクライマックスを作ったあの犯人役での渡辺明乃のお仕事。やっぱり変幻自在で良い声だよなぁ。こんなに便利で達者な声優なのに、今ひとつ地味なスタンスなのは何故なのだろうなぁ。 あ、そだ、この作品のもうひとつの功績があった。「福浦さん」が面白かったこと。一瞬話題になって盛り上がったけど、あのあともちゃんと毎週細かくあらすじの更新してたのが偉い。「(球宴には選ばれなかった……)」とか「エースにあるまじき投球をしていたことがばれてしまい」とか「勝ち星を付ける約束をするが、なかなか付けることが出来ず……」とかな。今年も無事、開幕戦で勝ち星つかずの善久君。誰が興味あるんや、こんな話題! 「幕末義人伝 浪漫」 4→2 で、結局これって何だったんでしょうね。そりゃまぁ、途中で切っちゃっても据わりが悪いから最後まで見るには見たのだが……ひょっとしたら今期一番「なんで見てるんだろう」と悩んだ作品かもしれない。 基本的には、スタート時に想定した通りの作品。ベタな脚本に、江戸時代ルパンとでもいうべきキャラ設定、そして、そこからちょっとずらすことで何かを狙った風な変身ヒーロー設定など、およそ企画がどのように固まっていったのかは想像に難くない。そして、その枠を飛び出すことは徹底的に回避しており、どこかで見た展開にどこかで見た演出を当てはめ、どこかで見たようなキレの悪いエンディングを迎えたのである。……残念ながら、褒める部分は見あたらない。これを求めていた層が現代日本にいたのかと問われれば、「少なくとも私は知らないし、おそらくいないと思う」と答えるしかない。パチンコアニメってのは本当に謎が多いのよね。 こうした「箸にも棒にもかからない作品」というのは、「まぁ、それでも映像は悪くなかったし」というフォローを入れることが多く、たとえば「問題児が異世界から〜」だって筋立てで言ったらコレと大して変わらない。ただ、あちらは一応黒ウサギが可愛かったとか、そういう加点要素を見込んでギリギリ維持する部分はあったのだが、いかんせん古めかしいモンキーパンチ原作絵では、現代人はなかなか萌えられない。幼子の方がまだちょっと可愛かったか。峰不二子ポジションの阿国とかに盛り上がる要素がほとんど無いのである。一応、阿国の中の人の仕事が面白かったとか、相変わらずのキタエリだったとか、そういう中の人要素で加点するパターンもあるのだが、正直、この作品をそれで加点してしまうと流石に際限なしになってしまう気がするのでやめた。つまり、減点要素のみが残った。ギャグがね、ことごとくスベるんだよね。……うーん、まぁ、こういうのがたくさん作られた時代もあったんだしね、1期に一本ぐらいはね。……いや、たくさんはないな……。あ、オープニングは好きでした。 「ビビッドレッド・オペレーション」 6→4 毎週感想を書いてきたものなのでまとめる要素は少ないが、改めて総括すると「おもてたんと違う」。まぁ、何事も先入観を持って見始めると良くないな、という戒めである。 まず、1話感想を読み直してみると、開始直後は「これは戦隊アニメだ」と思っていた。ということは、戦隊ものの中で繰り広げられるお約束の諸々を楽しみにしていたわけだ。実際、気合いの入った変身シーンやど派手なバトルアクションが1話では目を引いたのだし、これに萌えもののエッセンスを掛け合わせた新たな時代の戦隊ものが作られることを期待した(まぁ、それってプリキュアじゃねぇかって話もあるのだが)。しかし、回を重ねるにつれて、だんだん変身バンクの扱いがなおざりになっていった。それだけでなく、アローンとの戦闘要素自体がなおざりになっていった。これではせっかくのパレットスーツも合体ギミックも持ち腐れである。要所要所で面白いものは出ていたと思うのだが、いかんせんそのウェイトが軽すぎて、入れ込むモチベーションになりにくかったのは完全にミスだったと思う。戦闘に力が入らないとなると、戦隊ものに残された要素は「お約束の勧善懲悪路線」ってなことになるのだが、こちらも敵キャラのセッティングに失敗した感がある。カラスさんの無茶な敵対要素はシナリオ全体が破綻しているように見えてしまい、そこまで思慮の無い女子中学生が戦う相手としても、あまり相応しいものではない。れいちゃんを巡ったややこしい善悪の判断と友情を絡めるならば、それに抗する敵対勢力は、極力分かりやすい存在にすべきだった。それこそプリキュアみたいに。 メインシナリオに難が出てしまうと、残る要素としては高村監督頼みの萌え要素。つまり「百合」と「尻」である。こちらのファクターについては割と良かったはずなのだが、やっぱりキャラの造形というのはシナリオラインがあって初めて形作られるものである。心情が追いにくかったり、とってつけたような行動に出てしまうキャラたちでは、どれだけそこに萌え要素でドーピングしようにも、没入度が違う。同じ高村監督の「ストパン」の方は、キャラが多いにも関わらず破綻が無く、シンプルに楽しむことが出来たのは、やはりシナリオが分かりやすく、そこで生きている各キャラクターの個性が見やすかったおかげだと思う。今作の場合、不安定なメインシナリオを回すために時間を取られ、個々のキャラクターにまで時間を割けなかった印象がある。おかげで百合要素を推すにしてももう一歩、というところである。すると、残った要素は「尻」だけになってしまう。まぁ、ここはね。 というわけで、この作品は「股間からご来光を拝むアニメ」という結論になった。うーむ、唯一無二ではあるが……ストパンのズボンでも代用が利くからなぁ。ストパン見直せばいいと思う。一応中の人絡みで今作の功績を最後にフォローしておくと、1つは当然内田真礼の良い起用方法だと思うが、最大の功績は村川梨衣の発掘だろう。ん、まぁ、埋もれさせといた方が良かったんじゃないか疑惑もあるが……声優業界にまた新たな爆発物が誕生したのは、この作品のおかげ。りえしょん地獄の幕開けだ。 「gdgd妖精s」 5→5 安定の2期目と見るか、挑戦を続けた2期目と見るか。1期ですぐにファンになってしまった身としては、大きな変化を加えた今期はどちらかというと挑戦したシリーズだったと思うのだが、正直言うと、その挑戦はユーザーが求めていた方向だったのかな、というのはちょっと疑問であった。 今期ももちろん、ぐだぐだが売りのアニメなのだから基本的にはぐだぐだ。メンタイやアフレ湖も健在だったし、次回予告のひどさも相変わらず。オープニング、エンディングもバラエティに富んで毎回飽きない工夫は随所にちりばめられていた。ただ、今期のメインボディとなっていた部分の1つに4話あたり(うろ覚え)から始まったタイムパラドクスネタなんかがあり、ぐだぐだと言うにはちょっと頑張り過ぎたギミックもかなり盛り込まれた。新キャラもごく自然に3人増え、最初にネタにしていた「○○登場!」がネタでなくなってしまい、場所によっては妖精6人体制が基本になっていた。エンディング映像も、どうやらニコ動界隈でコンペを行ったらしく、制作陣のこだわりというよりも、ファン有志による披露試写会みたいになっていた。様々なギミックを多重に仕込んだ結果、ファーストシーズンの持ち味だった徹底したユルさが影を潜め、強く「笑わせるネタを仕込みたい」という意図が見えるようになってしまった。もちろん、こういう方向性は労力がかかっているわけで、楽しみが増えたと感じる視聴者も多かったと思うが、個人的には初期の雰囲気が好きだっただけに、なんだか無理をしているように見えてしまった。 まぁ、タイムスリップのギミックやその他小ネタには2期目であることの利点、つまり1期のセルフパロディなんかも含まれていたのでやっぱり楽しい部分は多いのだが、どうしても慣れが生まれてしまった部分はインパクト重視のギャグとしては振り切れないものがあり、アフレ湖は1期に比べるとちょっと物足りなかった気がする。ピク父の映像が完全に内輪向けになっていたし、房子ほどのインパクトのあるネタもなかった。素ピーカーもあんまり面白さがなかったしなぁ。同時進行で、今回抜けた脚本の石館さんが繰り出してきた「直球表題ロボットアニメ」があったおかげで、新鮮さの対比が出てしまったのもなんだか。 まぁ、ここまで文句を言ってても毎週笑わせてもらってたんだけどね。1期が好きすぎてちょいと高望みをした部分はあります。相変わらず中の人への無茶ぶりなんかは絶好調だったし、このまま本当にぐだぐだしてもらえれば別にいいや、という気も。 「しろくまカフェ」 5→7 終わってしまうことが未だに信じられない作品。いや、ぶっちゃけ1年の長丁場を放送し続けた方が脅威だとは思うのだが、すでにこの1年で生活の一部になってしまっただけに、「しろくまカフェ」の無い木曜日なんて信じられない。しろくま君に締めてもらわないと木曜日が終われない、そんな身体になってしまった。 改めて思い返しても、本当にどうでもいい世界だ。あり得ないくらいに理不尽な世の中だ。動物たちが我が物顔で闊歩する「普通の町」の光景は、どこまでもほのぼのしているせいで、その裏に隠された狂気がより鮮烈に感じられる。1年かけてゆっくりとピースがはまっていき、広い世界の全てが動物ワールドで満たされるまで、ただただ見守るしか出来ない自分の存在がとてもちっぽけなものに感じられる。もう、この世界は手の施しようがない。しろくまカフェはあるんだ。ラマさんの小学生時代はあるんだ。常勤で動物園に勤めるとシンガポールに転勤しなきゃいけなくなるんだ。全て、当然のことになってしまうのである。 もう、この世界に一度でも「いいかも」と気を許したら、そこからは土足で人の心に踏み込んでくる。どこまでも馬鹿にしたような話を、どこまでもゆったりと。確かに世界はサザエさんやちびまる子ちゃんに匹敵する「日常もの」であるが、その端々に伺える笑いの種は考え始めたら気が触れてしまいそうなカオスに満ちている。考えたら負けの世界なのだから、むしろ「考えずに観られること」を幸せに思うしかないだろう。全てを諦めれば、パンダ君は可愛いし、ラマさんだって愛らしい。グリズリーさんとシロクマさんは本当に男前だし、メイメイもパンダママも魅力的な女性キャラじゃないか。あとは、そこにある「日常」をたっぷりと堪能するだけである。 つくづく私は動物に弱いんだろう。そして「日常もの」に対するハードルも無闇に低い。そうした要素が全てプラスの方向に働いてしまい、今作は本当に大好きな世界だった。日常ものの辛いところは、何気なくフッといなくなってしまうために、最終回を迎えた時の喪失感が段違いなのである。「ひだまり」なんかも辛いところだが、日常に何一つ変化を与えないこの世界とのお別れは、より一層信じられないのである。常勤パンダさん1人との別れでもあんなに泣けたのに、いきなりパンダ君たち全員と別れなきゃいけないなんて、こんな辛い話も無い。真剣に、また春から録画していた分を1話ずつ流して心の平穏を保ちたいくらいである。 いやぁ、本当にいい世界だった。「2クールだと色々やれていいよね」っていうのが今期よく書いてる部分だが、そりゃ1年使えれば、どれだけ些細なことでもじっくりゆっくり出来る。パンダママとエゾリスママが2人してヤマアラシのコンサート観に行く話とか、ほんとどうでもいいし、オチもなにもねぇのに、それだけでいい。好きなキャラクターは、多分ほぼ全部。愛らしさでいうとメイメイだけど、渋いグリズリーバーの客たちだって同じように好きな気がする。やっぱり中の人で遠慮無くふざけてくれているのが大きいよなぁ。最初は「やり過ぎだろ」と思っていた無茶なキャスト陣も、もうこの布陣しかないっていう完成度になっていたからなぁ。多分、ペンギンさんは神谷キャラの中でも何か良からぬ金字塔を打ち立てたと思うよ。なかなかいないもの、あんだけ苛つくヤツ。ペンギンって地上でも最大級に可愛い生き物のはずなのに、ペンギンさんだけはムカつくのである。他にも、終盤になって「ここで石田彰かよ!」とか、最終回直前になってグリズリーママでひとネタかまして度肝を抜いてくれたり、本当にサービス精神に溢れるキャスティングであった。 是非、このままの勢いで、2期と言わずにサザエさんなみの長寿番組として復活してほしいものである。もう、NHK教育とかで放送を始めたらいいんじゃないかな。「日常」だって出来たんだから、これも問題ないやろ(次回予告は適当にいじろう)。 「絶園のテンペスト」 5→6 多分コレが今期最後の「2クールあって良かったね」枠。「新世界より」や「ロボノ」ほどではないが、最序盤はなかなか目的が見えてこずにしんどい思いをした作品だった。しかし、左門さん登場後はじわじわとその空気が変容し、なんかよく分からないニッチな方向での面白さが開眼した。一体どういう形容が正しい作品なのかよく分からないが、「屁理屈言い合いアニメ」とでも言えばいいのだろうか。世界の命運を握っているのは事実なのに、本当にどうでもいいことに心を砕き、周りにいる人間を徹底的に見下し続ける愉快な高校生のお話である。 「ガンガン連載」ってことで最初に魔法飛び交うファンタジーが出てきた時にはちょっと抵抗があったのだが、実際にこの作品で重要なのは魔法のドンパチバトルではなかった。もちろん「はじまりの樹」「絶園の樹」という大きな存在があるのでエフェクトバリバリの超能力バトルも大事な部分ではあるのだが、この作品の場合、そうした直接的な衝突を迎える頃には、およそ勝負がついてしまっている。最も時間を割いた吉野・真広・左門さんの三つ巴ぐだぐだ口論はほとんど武力が影響していないし、その後に登場した最大級の力を持った絶園の魔法使いが羽村っていう時点で真面目に戦う気が無い。史上最大の攻防になるはずの「はじまりの姫宮」葉風対「絶園の魔法使い」愛花の戦いだって、ほぼ語り合いだけで直接的な武力衝突はそこまで大きなものになっていなかった。基本的に「人ならざる超越的存在」との対決を描くお話なので、試合前から結果が分かっており、努力や根性ではどうしようもない場面しか無いのである。 そう考えると、いわゆる「ガンガンの漫画」とはちょっと毛色が変わってくる。ファンタジーだろうがスポーツだろうが、最終的に少年漫画の主人公なんて根性で成長を築いていくものだろうが、この作品の場合、主人公として設定されている吉野も真広も、登場時からキャラクターがあまりにも完成されているのである。いや、人としてはまだ未熟な部分はあるのだろうが、本人達にそんなつもりは一切無いし、キャラクターの描かれ方としても、この2人は誰がどう説得しようともてこでも動かない不動の存在として時間を止めている。そうなってしまうと、あとは成長性ではなく、それらのヘンテコキャラクターを使ってのプロットで勝負するしかない。その結果が、謎の恋人探しゲームだったり、時間を遡っての殺人捜査だったり、最終的には恐ろしい「樹」による末法思想だったりするわけだ。色々と捻くれているが、このシナリオラインは、色々と不意打ちが多くて素直に面白かった。そして、気付いてみればあれだけ不動の存在だったはずの吉野達も、最終回ではきちんと一回り大きくなっているのである。何とも不思議で頑固なキャラクターたちだ。 キャラがひねてて「動かない」ということは、その「固定されたキャラ」によほどの自信が無い限りは回せない設定だと思うのだが、本作はそういう意味では割と頑張っていたと思う。吉野と真広のとてもじゃないが高校生には見えない達観ぶりもそうだし、それに輪をかけて全てを悟っちゃった愛花のキャラも強烈。幸い葉風はこれよりもなんぼかまともなので、多分一番「成長物語」風だったのは葉風だと思うが、それでもとんでもない力を備えた姫宮には違いない。こんな連中を相手にしていたら、そりゃ左門さんだって心労でぶっ倒れてもおかしくない。左門さん、ほんと頑張った。だって、あと周りにいるのってフロイラインだろ、潤にぃだろ……うん、俺だったら全てを諦めて始まりの樹にスルーパスするレベル。中盤以降はこういう濃いキャラクターがドタバタしてるだけで何となく楽しかったものな。 よくもまぁ、これだけとりとめもない作品を、うまいこと魅力を抽出してアニメ化したものだと思う。左門さん同様に、本当に面倒くさい連中の面倒を見てくれたスタッフの頑張りはお見事。シェイクスピアを中心としてどこか戯曲的な演出も多く、最初は「なんか変な臭いがするな」と思っていたものだが、最終的に愛花の存在が確立する段になって、ちゃんとそうした演出方向にも意味が出てくる。1つ1つのパーツがきちんと考えられていることがよく分かる、実に良心的な作劇だったのではなかろうか。やっぱり安藤監督、好きですわ。さぁ、「いろは」の劇場版を観に行こうぜ! 「たまこまーけっと」 5→6 いい作品だったよね。特に何かものすごいことが起こるような作品では無かったけど、毎週ダラダラ見てる分には何の不満も出てこないし、「ダラダラしている」と言ってみたものの、実はそこまで余計な部分があったというわけでもなく、毎回やりたいシナリオのためのパーツが実はかなりの密度で詰め込まれていた。登場人物の数だけで見れば1クールものとしてはかなり多い方だったわけで、それらのキャラクターの人間性や関係性をしっかりと維持しながら、ごちゃごちゃした感じを出さずにすっきりと「ダラダラして」いたのである。 もちろん、こういう性格の作品なので、なかなか目的意識が見えないことにイライラする向きもあることだろう。そういう人がいることは間違いないだろうし、そういう人が間違っているとも思わない。アニメを見るモチベーションなんてものは人それぞれなのだから、「何か大きな『お話』が見たいんだよ」という人にはあまり向いていない作品だったのは事実だろう。「けいおん」などのいわゆる「日常もの」もそうした反発は大きいものだが、今作の場合、本当に「ただの日常」の占める割合が高く、イベントといっても商店街が最大規模というレベルなので、かなり純度の高い「日常もの」になっていた。おかげで合わない人には本当に合わなかったんじゃないかと思う。かくいう私はそこまで明確なスタンスがあるわけではないが、「けいおんが楽しかったんだからコレが楽しくないわけがない」というぐらいの楽しみ方。そこまで大きく評価が上がらなかったのはやっぱり「どこを褒めるという明確なポイントが見つけづらい」という悩みからだが、決して「褒めにくい」ことと「褒めたくない」ことは同じではないのである。まぁ、適当に「女の子が可愛い」とか「ロリっ子が可愛い」とか「主人公の妹が可愛い」とか「あんこちゃんが可愛い」とか、色んな言い方を探せばいいと思うよ。 本作で面白かったのは、どこまでを「リアル」と見るかという、真剣に議論すれば色々と盛り上がりそうなアニメ世界の議題の1つ。どこかで見聞きした「たまこまーけっとはあまりに非現実的な「夢の世界」の規模を大きくしすぎてしまった」という批判(?)があった。「けいおん」と比較したときに、主人公を取り巻く世界が現実離れしており、どこまでも緩く、ぬるく、あり得ないという部分は一緒だが、「けいおん」の場合にはせいぜい軽音部部室程度がその「あり得ない」空間であり、その外側にある社会には現実が適用できるという可能性があった。しかし、今作の場合、商店街全てが同じような「あり得ない」世界になってしまっているために、流石に夢見がちな視聴者もフォローしきれないくらいに現実感を失ってしまった、という論評だ。なるほど確かに、ここまで「ふわふわ」が広がってしまった世界というのは、もうリアルがどうこう言うのも馬鹿げているのは間違いない。たとえば銭湯のおねーちゃんが結婚する話なんかはそれが分かりやすくて、突然商店街の看板娘が結婚することになったのに、周りの人間はそれを誰も知らない状態であり、そのままお姉ちゃんが「結婚する」という事象だけがぽっかりと浮いたような状態で、夢うつつのままに処理された。多少なりとも「リアル」を考えるなら、やはりあのエピソードは不自然である。そうした違和感を、「リアル」を求める人が欠点としてあげつらうのは理解出来る部分だ。 しかし、お説の通りに「夢の世界」が広がりきってしまったというなら、もういっそのこと全てがファンタジーと受け止めてしまった方が話は早いだろう。個人的に一番好きなフィールドはレコードがかかった喫茶店のカウンターで、あの席で女子高生がコーヒーを飲んだり、やさぐれた親父さんが一人愚痴を言ったりするのもこの上なくファンタジーであり、それをぼんやりとした存在感のマスターが鮮明化させることなくぼんやりとしたまま包み込んでしまう。その他の商店街の店だって、言ってしまえば似たような「ぼんやりと包むファンタジーの要素」でしかないのだろう。少しだけ垣間見えた学校での恋愛要素も、みどりちゃんが陥った創作が出来ないというスランプも、たまこが巻き込まれた王家のお后捜しも、全てがそれっぽく見せておきながらも、結局は現実と接続などしない夢の世界のファンタジーでしかないのである。そうしてみれば、こんなにぼんやりと見られる「妙な形のファンタジー」もなかなか味わえないものだったのじゃなかろうか。もっとうさぎ山商店街が産みだすファンタジーを色々と楽しみたいもんですよね。 当然中の人には触れるが、今作はほとんどが若手新人を起用しており、流石に京アニが連れてくる若手は物が良い。たまこ役の洲崎綾は、今作がこれ以上無いくらいのステップアップになっただろう。年齢を見ればあまり若手といえるレベルではないのかもしれないが、ここから一気にキャリアを積んで、良い方向に伸びて欲しいものだ。他にも、クラスメイト役の金子有希、長妻樹里、山下百合恵といった面々も、キャラが良い具合に立っていたおかげで良いアピールチャンスになったのではなかろうか。個人的にはかんなちゃんが好きだったので、中の人がこれから良い仕事が出来ると嬉しい。そういやチョイちゃん役の山岡ゆりも、ようやくここで1つネームバリューをあげられたな、という感じか。あとはまぁ、すげぇ面子ばっかりだったからな……ぴかしゃが、準アイドル路線(芸人路線?)から早くも上手い具合に路線を変えて長生きしそうな方向に進んでいるのがなかなか面白い。元々何やらせても達者だから、いざ定着するとやっぱり強いわな。 「新世界より」 4→5 なかなかしんどい作品であった。正直言って、前半の盛り上がらなさはちょっとフォローのしようがない。いや、ひょっとしてちゃんと観たら面白くなっていたのかもしれないが、「さっぱり分からん」という状態を維持して見続けるのは苦行にも近かった(だからこそ横目で見てたんだけどさ)。それでも切らずに見続けていたのは何故なのか自分でもよく分かってないのだが、序盤のあのストイックな構成に、何か良からぬ物を感じ取っていたのかもしれない。 話が盛り上がってきたのは、後半も後半、悪鬼の存在が明らかになったあたりからだろう。それまでは分からなかった「世界を壊すもの」がようやく姿を現し、それと戦うために人類がボロボロになって挑む様は、悲壮感が漂っていて目を引くものだった。しかし、そこまで到達するまでの布石は、今考えてもあまり手筋の良いものとは言えなかっただろう。最序盤に何が起こっているのか分からないのは仕方ない。いくらなんでも小説媒体で説明していた全ての事象をアニメで事細かに追いかけるのは不可能だろうし、いくらか謎めいた雰囲気を残しつつ進行するというのは、おそらく原作でも同じセッティングだろうからだ。しかし、それは分かった上で、アニメとして「観たい」と思わせる出来だったかは怪しい。分からない設定、分からない世界の中で、更に主人公の早季たちにも分からない出来事が起こってしまえば、誰の目線で「この世界の標準」を判断したら良いのかが分からない。この「客観視の喪失」は1話視聴の時点で懸念していたことなのだが、結局そこにヘルプが入らないまま序盤は進行し続けていたため、おそらくモチベーションが維持出来ずにリタイヤした人間も多いのではないか。かくいう私も、中盤で「もう、これいいかな」と思っていたものである。 しかし、作中時間で数年の時間をかけて、1人、また1人と早季の周りから仲間達が減っていき、ついに残ったのが覚だけになり、ようやく準備が整う。最大の謎、全人学級の闇を抱えたまま消失した瞬が世界を動かす鍵の1つとなり、真理亜と守は世界の外側から、脅威の発端を産みだした。全てが早季の周りのパーツとして整い、世界の仕組みと、既に万全の状態で包囲された人類の絶望的な状況が明らかとなる。この「世界の広さ」については、流石に準備が大変だっただけに、大きなインパクトになっていたと思う。あまりそこまでの説明が上手くいっていなかったので、これも完全に納得するまでは多少の時間を要するものであるが、1つ1つの設定の意図を考えていって「なるほど」と納得するプロセスは決して不愉快なものではない。むしろ、それまでのもやもやが一気に解消するので後半数話の印象だけでも前半の苦行がいくらか報われた気分になる。どこかで観た監督のインタビューでは「前半部分は意図的に分かりにくく」みたいなことが書かれており、「流石に無茶が過ぎるやろ」とは思ったものだが、苦労が大きければその分の見返りも大きく感じるもの。溜めて溜めてはき出した目論見が上手くいっていれば、これは許容出来たと言っていいだろう(まぁ、「お腹がすいてると何を食べても美味い」みたいな騙され方な気もするが)。 こうして全ての構図が理解出来てから観ると、なるほどこの作品に独特なホラーのテイストは割と癖があって面白い。呪力による脅威なので人が死ぬときはばんばん死ぬし、グロいシーンなんかも割とあからさまに出てきたりするのだが、それよりもインパクトが大きいのは、古き良き日本のホラーテイスト、「暗闇には何が潜んでいるか分からない」というじっとりとした怖さだろう。何しろ敵のラスボス、野狐丸自体は別に襲ってきても怖くない存在なのだ。それが「何か得体の知れないこと」を考えていて「気付いたら詰んでる」という絶望感が怖い。「抗いようがないのに、見えない」という感覚が、恐怖を的確に刺激してくれる。おそらく、真面目に観ていなかった前半戦でも似たような演出はなされていたのだろう。こういうテイストがやりたかったんだなぁ、ということが、最後の最後でようやく理解することが出来た。 全体的に観ると、キャラクターデザインは独特だが、そこまでパッとするものでもないし、もちろんバトルが派手だとか、モーションがぬるぬるだとか、そういう売りの作品ではない。しかし、こうした「アニメにするのがかなり難しい作品」を正面から処理し、(おそらく)原作で最も観るべき部分であるホラーの要素をちゃんと活かし切れたのだから、アニメとしては合格レベルだったと見てよいのではなかろうか。少なくとも、見終わった後に「最初からちゃんと見ないと駄目かな」とちょっと反省させられたのは事実である。 ちなみに中の人については、これが種田梨沙の最大級の看板作品ということになるだろうから、彼女を推しておくのが一番分かりやすい。ま、ぶっちゃけ早季ってそこまでどえらい仕事をしたわけじゃないから、かなり出ずっぱりのメインヒロインなのに印象は薄いんだけどね。どっちかというとずっと語り部をやり続けて最後に全部持っていった遠藤綾の印象の方が強い。個人的にはダントツでよかったのは野狐丸役の浪川御大。こういうキャラで面白い仕事が出来るんだなぁ、としみじみ。芸歴は無駄じゃないぜ。 |
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プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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