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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ゼロの使い魔F」 5→5

 終わりましたね、世はことも無し。これが1つの幕引きとするなら、特に不満もございません。そんなに感慨もないけど。

 1期2期を見て、3期を見て無くてこの4期。1シーズン飛ばしたにも関わらず視聴に大した影響が無い時点で流石の作品だが、それでもなにがしかの蓄積があったということなのだろう。終わってみればどこか晴れ晴れとした寂しさも残っている。「釘宮病病原菌の1つ」と言われるだけあってキャラありきの典型的萌えアニメとしての押し出しは力があるのは事実だし、「興味がない人間」はいるだろうが、「嫌いな人間」は出てこない作品だと思われる。ラストはシリアス多めの展開だったので岩崎良明監督の持ち味であるテンポの良い切り返しの妙はあまり出ていなかったのはもったいない気もするが、振り切るときにはきっちり全力でやる「ベタであるが故の正義」は伝わってくるものである。藤井さんの画は線のメリハリがはっきりしているので、J.C.らしいはっきりした塗りの画で映える部分が多いのも良い。ちょっとシリアスに不向きな絵柄ではあるのだが、大真面目にやられたからこそ良かった部分っていうのもあるしね。まさかデルフリンガーとの別れのシーンであんなに切ない気持ちになるとは思いませんでした。そして、最終回のクライマックスで流れた「First Kiss」ね。ありがちな演出といえばそうかもしれないが、6年越しという長きにわたる「懐かしさ」のおかげで「畜生、なかなかニクいことしやがるぜ!」と思ってしまう自分の単純さが憎い。

 6年間もの長きにわたってお送りしてきた才人とルイズのいちゃいちゃバカップル物語。その裏には、もう1つのカップリングである釘日野の下支えがあった。「この2人に任せておけば大丈夫」という安心感の固まりみたいな夫婦漫才が1つ幕を閉じてしまうというのはちょっと寂しいものがありますね。他にも、いのくちゆかとか井上奈々子とか、他のアニメであまり名前を見られない面子の声が聞けたのもこの作品の密かな楽しみだったんだけどね。井上奈々子って、悪くない声優だと思うんだけど、なんで他のところで見かけないんだろう。もったいない。

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「ハイスクールD×D」 4→4

 予測も期待も特に裏切らない出来上がり。このラノベならこの着地点、ってことくらいしか言いようがないのがねぇ。

 決して悪い作品だったとは思わない。序盤に魅入られたのはあまりにセクシャルでとんでもない動きを見せてくれたエンディングムービーだったが、そうした細かい「色っぽさへのこだわり」はそれなりに見るべき点だったと思う。乳首券も気楽に発行されていて、最近じゃ珍しいくらいに素直なエロへの探求心があった。そして、それが馬鹿馬鹿しい主人公の能力にもつながっており、いかに華麗に脱がせるかを追究するという馬鹿馬鹿しいテーマが、ギャグありシリアスありのファンタジーバトルに乗っかる基盤は、現代アニメとしては逆に恥ずかしくなるくらいに堂々とした采配だったと思う。

 でもまぁ、それだけっちゃぁそれだけのアニメだ。ストーリーには見るべき点は無いだろうし、このアニメを1話見逃したところで悔しいという気も起こらない。まぁ、「一番うしろの大魔王」とか、その辺と同じくらいの着地点だよね。2ヶ月も立ったら綺麗さっぱり忘れてしまいそうなのである。ま、そういう作品はいつでもいっぱいあるんだけどね。最後までちゃんと見られただけでも、これはこれで良い作品だったのかもしれません。

 中の人ポイントとしては、番組開始直後も書いたけどやっぱりぴかしゃと御前の珍しいコラボが見どころかと。ぴかしゃはさっさと御前に揉まれたらしいんだけど、この2人の絡みってあんまりイメージ出来ないのが残念。今後も競演に期待。あとは現在絶好調の梶裕貴が珍しい方向のキャラで楽しそうにやってたのが印象的だったかな。何か1つでも新しいものが見られたのだとしたら、この作品にも意味があったと思えるしね。

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「偽物語」 6→5

 終わったのかどうかもちょっと不安だったので、気づいたらこの感想文書くの忘れてた作品。今期最初のゴールインはこいつなんですね。

 一言で言うなら、「化物語で培われたノウハウで作られた、金のかかった量産型」といった作品だったのではなかろうか。いわゆる「シャフト演出」の気配は強めに出しているわけだが、それはあくまで「化物語の続編である」ということを意識したが故の方策だろう。尾石達也がいない時点で万全たる「化物語タクティクス」を再現出来るはずはないのだから、「似た感じの別物」になるのは致し方ない部分。

 そして、「完全に踏襲されないこと」は別に悪いことではないだろう。続編とは言っても、この作品は「化物語」とは別の作品なのであるから、全く同じ作り方が正解ということはない。一番の違いは、なんと言っても原作の密度の薄さ。いや、前作が濃すぎた、詰め込み過ぎたといった方が正しいと思うのだが、今回の作品は単行本2冊分しかないわけで、前作と同じ作り方をしたのでは成立しないのは間違いなかった。そのため、今回は持ち味であった「画面情報をとにかく詰め込むことで成立させる」という部分を廃し、装飾としてのシャフト演出の見映えを前面に出し、2人の主人公である火憐や月火を見せたり、モザイクのごとく並び混ぜられた各種ヒロインをピックアップするのに用いたということだ。そして、その目的は問題無く達成されていたと思う。「中身薄いなー」とは思いつつも、別に「つまらないなー」と思ったわけではないし、時間がたっぷりあったおかげで1人1人のキャラの彫り込みは充分なものになっている。西尾維新の持ち味である馬鹿馬鹿しい会話劇も尺が足りないと思えるくらいに詰め込まれていたし、そうしたものを見ることが目的であると思えば、この作品は立派に役割を果たした。

 その上で初期につけた期待点を下げたのは、まぁ、私の独り相撲なのかもしれない。「化物語」と同じ中身を期待した人間からすると、やっぱりどうしても「薄い」というのが先立ってしまって、画のクオリティがあがり安定感が増した部分も、なんだか大人しくなってしまった、という風に見えたりする。あまり趣味の良い見方じゃないのは承知の上で、「もうちょっとはっちゃけてくれればベストだったんだけど」というのが最後の感想。いや、歯磨き回はあれ以上のものを出されたらお手上げだったんだけどさ。最終回も含めて単発回で飛び抜けたものを出せるのが、やっぱりシャフトらしいでこぼこっぷりだなぁ、と微笑ましい。まぁ、何事も「慣れ」が出てしまうのは人間として仕方ない部分だということですよ。

 中の人については……何回も触れているからわざわざ書くまでもないんだけど。やっぱりMVPは神谷兄ぃってことになるんだろうなぁ。新キャラ勢だと貝木役のミキシンが美味しかった。あとゆかち。すごくゆかち。はぁどっこい。

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「テルマエ・ロマエ」 5→5

 そういえば終わってたけど感想書き忘れてた作品。いや、別に書かなくてもいい気もするんだけど。一応記録は残しておかないと。島根の吉田君の活躍も現在絶賛(??)放送中だが、面倒なので特に感想とか書いたりしないぞ。

 視聴後の感想、っつっても、3話しか見てないんだから1話目の感想と大して変わるわけもなく。やっぱり「誰得」ではあるけど「誰損」でもあるなぁ、というのが最終的な評価である。思いの外まとまっていたし、原作を知らない人でもそれなりに「テルマエ・ロマエ」の世界を楽しめたのではないかと思う。フラッシュアニメにすると動きがないので取り立てて見るべき点も無くなるかと思ったが、元々の絵が濃い分、単に画面に「それっぽいもの」が映っていれば雰囲気が出るし、細かい部分に気が回っているのも好感が持てた。ところどころにフロッグマンオリジナルのキャラがうろちょろするのは中途半端で鬱陶しい気もしたけど、それくらいの自由度はあってもいいだろう。というか、それをやらないとクリエイターとしての満足が得られないんだろうと思う。

 そして、意外にスルーしがちなのだが、実はフロッグマンって役者としても結構凄いことをやっている。こんだけ声優のことでやいやい言っている人間がその道の「専門外」の人間を褒めそやすのもどうかと思うのだが、今回の作品でルシウスをフロッグマンが演じていることに、取り立てて不満を持った人間はいないはずだ。元々の声が渋めな上に、これまで散々1人で役柄を演じてきたことで培った雑草根性でもって、ルシウス他の色んな役をまとめて片付けて、気づけばフロッグマンなりのローマが出来上がっているというのは素直に凄いと思った。下手したら、他のアニメのキャストの中にしれっと混ざっていても案外気づかないんじゃないだろうか。こういうのを、「無駄な才能」というのかどうか、なかなか難しいところだ。

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○「スイートプリキュア♪」 4→4

 記念すべき作品。何がって、私が1年通して見続けた初めてのプリキュアだから。

 これまで、プリキュアといえば1期からずっと1話目くらいは見ていたはずなのだが、時間帯の関係もあり、結局途中でフェードアウトしてゴールしたことがなかった。しかし、昨年の「ハートキャッチ」に文字通りハートをキャッチされたおかげで、今期くらいは頑張って見続けよう、というモチベーションが出来たのである。また、同じ日曜朝の戦隊物を見始めたっていうのも、視聴を続けられた大きな理由の1つかもしれない(あと、昨年からレコーダーを導入したから視聴が楽ってのもあるな)。多分、このままの生活習慣ならば来年の「スマイル」も見続けることが可能でしょうね。

 というわけで、裏を返せば「すごく面白かったから見続けた!」というのではない。放送スタート時から「なんか普通やなぁ」と思っていた通りに、最後までヌルッとゴールした印象。多分これが正しいプリキュア像なんだろうけど、異端の「ハートキャッチ」から入った身としては、何か1つも2つも足りない気がしてしまう。せめてもう少し話にメリハリが欲しかったなぁ。

 気に入った点をあげるなら、エレンがらみのあれこれは嫌いじゃない。セイレーンが悩んで悩んでプリキュアに与するようになるまでの流れはとても丁寧だったし、最終的に目を覚ましたエレンのキャラクターも悪くない。ギターを武器にする戦闘スタイルも見栄えがしたし、多分4人の中で一番キャラとして面白かったのはビートだ。

 しかし、それに比べてアコの方はなんだか中途半端。一応メフィストとの因縁は描かれていたし、それまでの謎の覆面活動の理由なんかも説明されてはいるのだが、そこに対する描写がなおざりで、何だか物足りなかった。メフィストとの対決なんかは血みどろの親子バトルなんだから、エレンが裏切るときよりも更に時間を割いて描いてもいいようなテーマだったと思うのだが、もうあのへんになるとノイズの存在がクローズアップされ始めていて、メフィストの改心イベントも駆け足気味だった。加えて更に格下のトリオザマイナーがずっとフラフラした状態で敵として立ち続けたので、バトルの緊迫感も薄くなってしまうし。バトルものとして見ると、色々とシナリオには文句も多いのである。

 では、キャラ萌え目的だとどうかというと……うーん、メインの2人がそこまで感情移入出来るキャラじゃないのがなぁ。メロディの方は真っ直ぐな主人公キャラのテンプレ通りではあったけど、それって「簡単」なんだよね。途中で見なくなってもそのあと何をするか分かってしまうというか。いや、正しい年齢層のターゲットを考えればこれくらいで充分だと思うんだけど、もう一歩友情設定に踏み込んで濃いエピソードも作れた気がするんだよ。最初の方で音楽嫌いを叫んでスネてた印象が徒になったかなぁ。リズムの方も、結局「サポートに回る2番手」の域を出ないまま終わってしまい、白と黒がバランス良く立って互いをいじり合っていた初代に比べると絡みの密度が低い。せっかくキャストが良かったのに、活かし切れていないみたいで残念である。

 でもまぁ、こういう文句って正しくない年齢層のおっさんが見ているから出てくるもんで、普通に見ている女の子たちはシャキシャキ頑張るプリキュアを見て精一杯応援するのだろうと思う。そういう意味での勧善懲悪、シンプルなバトル展開は悪くなかったのかな。とりあえず来年以降に見るプリキュアの基準点をこの作品に置いておこうと思う。

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○「へうげもの」 6→8

 結論からいえば、文句なしである。開始当初に期待されていた通りの仕事を、1年を通じて果たしてくれた。決して世間を巻き込んだ話題になどならないが、こういうアニメが作られているという事実だけでも、まだまだアニメを頑張って見なきゃならんなぁ、というやる気が起きるのは実にありがたいことだ。そして迷惑なことだ。

 ほぼ毎回視聴後に感想を書いていたので、番組終了のこのタイミングで改めて書けることはそれほど多くないのだが、簡単に本作の良さをまとめると、とにかく現代アニメの流行からはどこかズレた「描くこと」に対する真摯な姿勢が一番の魅力だったといえるだろう。ビートレイン&真下耕一という我が心の拠り所であるクリエイター集団は、本当にぶれずに的確な仕事をしてくれている。視聴開始時には「真下演出と原作つき作品の相性がどうなってしまうのか不安で仕方ない」との予測もあり、実際、放送中には原作者のクレジットが「原案」に変えられるなど、裏で何か起こってるんじゃないかと思わせるような不安な事件もあった(あとオープニングアーティストがつかまったりね)。しかし、結局1話たりともそうした「不安」が実現したことはなく、最後の最後まで、「これが真下監督の作りたかった『へうげもの』なのだ」ということがよく分かるシリーズであった。この作品が持つ得も言われぬ可笑しさや、圧倒的な緊迫感、心臓にグッと来るような圧力は他の作品では味わえないものだと思うのだが、何故これが大して話題に上らないのかと、不思議で仕方ないのである。つくづく現代の流行とは違う方向なんだろうか。

 原作コミックもちょいちょい読み始めたのだが、やはり原作も面白い。アニメでしった「へうげ」ワールドよりも、癖の強い絵で描かれた原作の方が優れている部分も数多く存在している。それを認めた上で、本作はアニメになって力を増していると思う。「絵の並び」でドラマを展開する漫画媒体と、時間軸に沿って強制的に流れを生むアニメの媒体。その方法論は全く違うものでありながら、製作スタッフは、きちんと漫画が産み出したかった「流れ」を把握しており、一番「見たい」形を必死に考えてくれている。そして、その「流れ」の生み出し方は、真下監督が得意とする分野と絶妙にかみ合っていたのだ。この相性の良さは、本当に奇跡的な幸福だったと思う。過去に「ツバサ・クロニクル」などを手がけた時には、どうしても素材と調理の相性の悪さばかりが目立ってしまい息苦しい部分が多かったのだが、この作品の場合、非常に特殊であるはずの真下演出の「アクの強さ」が気にならず、むしろ原作のヘンテコな作りの妙味を加速させる方向に機能している。止める画、静かな画、そしてしゃべらないキャラクター。必要以上のことを台詞で語らず、画があるならば画で見せる。これこそが、アニメーションとして生まれた物語の真骨頂といえるのではなかろうか。

 脚本が素晴らしく、構成も作画も見事。モリヲカヒロシ、澤井幸次、山本秀世など、本作で見事な構成力を発揮してくれた関係クリエイターの名前を覚えるのにも役立ったし、真下監督の統制力がきちんと発揮されたことが分かったのも嬉しかった。当然、作画枚数がある程度楽な作品とはいえ、毎回毎回絶妙なキャラ作画などで見せてくれた作画陣の長きに渡る努力にも感謝を表したい。

 そして最後はやっぱり、中の人の話。主人公・織部役の大倉孝二氏は、始めから織部のどうしようもないキャラを見事に掴んでおり、流石に役者さんだなぁ、という感想。今後こうした声優業をやってくれるかはしらないが、次に名前を見た時にも「あぁ、あのフルオリの」と快く迎えられそうである。そして、その周りに配置された一癖も二癖もある濃いぃベテラン勢。信長役を力ちゃんがやっていたのも楽しかったが、そこから運命にもみくちゃにされた光秀役の田中秀幸、秀吉役の江原正士の両名が素晴らしかった。秀吉は「猿」「関白」「臆病者」という3つの顔を1つの軸上で並べなければいけないとてつもなく難しい役周りだったはずだが、江原さんにそんな心配は無用。久し振りに江原さんの看板になる役だったのではなかろうか。その他にも三成役の関俊彦、政宗役の中井和哉、家康役の鶴見辰吾など、見事な大河ロマンを演出する素晴らしい役者陣。男性の名前だけを挙げてこのパートが満足出来るというのも贅沢なお話。

 この作品の話のトリを務めて下さるのは、やっぱり田中信夫ということになるだろう。化け物の役を演じきる役者もまた、化け物。まだまだ聞きたい日本を代表する声でございます。

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「THE IDOL M@STER」 5→6

 今期最後の感想となるのは、この、確実にいい仕事をした感のある「大作」だ。これを見て1年を締めくくれるというのは、まぁ、幸せなことだったと思いますよ。

 放送前には色々と不安の声も聞こえていた今作。あれだけ根強い原作ファンを抱えた上、原作ゲームの「2」の商品展開ではメーカー側とファンの意識の違いで波乱を呼び、興味がない人間からすると「アイマスとその周りを囲む環境は、なんだかギスギスしとるんじゃないか?」という状態だったのだ。ヒロインの多いゲーム原作作品というのはアニメにする際に脚本の統率を取るのが難しく、過去にも様々な作品が原作ファンから怒りを買っていたことを考えると、やはり不安が出るのも当然のことだったろう。

 しかし、幸いなことに、今作を担当した錦織敦史監督は、元々アイマスファンだったらしく、いざ放送が始まってみると、そんな心配はほとんどが杞憂であることが分かった。1話の時点で全てのアイドルを平等に扱いたい、という意向も発表されていたし、原作ファンを傷つける結果にだけはしないと太鼓判を押していた。そして、実際にその目標は最高に近い形で叶えられた。個々のエピソードのレベルでは出来不出来はあったかもしれないが、きちんと13人ものアイドル全員に目線が行き渡り、「アイマス」の世界観を崩すことなく、アニメの25話で、1本のサクセスストーリーとしての「アイドル」を描ききったのだ。ここまできちんと「やることをやりきる」というのは、いうほど簡単なことではなかったはずだ。本当に、スタッフの愛情と情熱には敬服する。

 A−1Picturesの生みだした作品の品質自体も非常に高く、作品の胆であるライブシーンを力点として定め、そこから日常風景に至るまで、出来る限り「アイドル」の魅力を損なうことのない画面を提供し続けた。「可愛い」「綺麗」「健気」と様々なタイプのキャラクターが詰め込まれた本作だが、1人1人に合った演出方向がきちんと意識されており、個々のエピソードでドラマとしてのメリハリも効いている。普通は色々なキャラのオムニバスにするとどうしてもつぎはぎ感が出てしまうものだが、今作ではそうした「とってつけた感」が薄く、きちんと「デビューから成功まで」という縦糸の上に全員を乗せた上で、そのキャラにあった見せ場を作り出していたのが印象的だ。個人的には律ちゃんを応援していたので、彼女にも度々活躍の機会が与えられたのは、本当に嬉しかったのです。ゲームを一切知らない人間でも、まだまだひよっこだったアイドル達を手塩にかけて育て上げ、立派に羽ばたくところまでのプロセスを充分に堪能出来たのではなかろうか。

 これだけきちんとまとまった作品だったわけだが、敢えて1つ注文を付けるとすれば、「アイドル」という言葉の解釈だろうか。他の職業と違って「アイドル」という職業には明確な形がない。歌い手かもしれないし、役者かもしれないし、モデルかもしれない。何かよく分からないけど、とにかく人気商売の花形としてある1つの総合職が、「アイドル」という名前で呼ばれるものだ。今作は、流石にそのへんまで掘り返す尺は無かったのでしょうがないと思うが、特にラストの春香のエピソードあたりでは、「結局、この子らは具体的に何がやりたいんだろうな」ということを訝しく思うタイミングは何度かあったのだ(千早なんかはそのへんに迷いがないからいいんだけどね)。別に必要な要素ではないかもしれないが、出来ればもう少しキャラクターの成り立ちの根っこの部分にまで立ち返って「何故、アイドルなのか」ということもはっきりと見せられれば、もう1つ違った面白さもあったかもしれない。

 でもまぁ、そんな面倒なことを考えて見る作品でもないですよね。最後のライブシーンなんかを見れば、とにかくその華やかさ、楽しさが充分に伝わってくるので、そうした「華」の在処を見るだけでも満足出来るものなのかもしれない。ホント、必要なところで手を抜かない製作姿勢が徹底していたので、見入ってしまうような動画面での魅力はかなりのものだった。「理由なんか無くても、この華やかさがアイドルなんです」と言われれば、反論の余地は無いのだ。

 そんなわけで、最後まで特に不満なく楽しませてもらった作品でした。中の人の話は……まぁ、いいかな。アイマス声優には未だに詳しくないので。個人的には、声質が面白い雪歩役の浅倉杏美や、貴音役の原由実あたりの今後に期待したい。そして、このままアイマスアニメにニーズが膨らみ、一気に「ぷちます」のアニメ化まで期待したい。期待したい。期待したい。

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「gdgd妖精s」 5→7

 今年を総括する作品はこれかもしれない。ホントにね、ヤなところに刺さる作品でしたよ。まぁ、こういうのが楽しめちゃうのはひょっとしたら声オタの特権なのかもしれないけど……いやぁ、とんでもなかったよ。

 同じクリエイターが作ってるってんなら「ネットミラクルショッピング」ももっと話題になって良かったはずなのだが、あちらはほとんど泣かず飛ばず。この作品は、少なくとも配信元であるニコニコ動画の視聴回数を見る限りでは充分なキラーコンテンツとなったことが分かる。この違いはどこにあるのかと言われれば、やはりそれは「萌え」が一翼を担った「ユーザーに媚びた」部分ということになるだろう。女の子3人が楽しげにお喋りするだけの番組なんて、いかにも昨今の「日常系」みたいなセッティングじゃないですか。この時点で、まずポイント稼ぎは出来るんですよ。

 だが、ちょっと待て。冷静に考えて、フルCGで描かれて大して動きもしないピクちゃんやシルちゃんは、本当に「可愛い」「萌える」存在なのか? いや、これで萌えが多発するってんなら、同じようなコンセプトで製作された「古墳ギャルコフィー」だってもっとファンが増えても良いはずだ(あたしゃ好きでしたけど)。はっきり言って、この作品を支えていたのは単純な「萌え」ではない。となるとやはり……最大の勝因は、gdgdだ!

 見事だったのは、ニコ動配信という形態を巧みに利用したユーザーとのインタラクションの効果だろう。ニコ動のうま味と言えば、即座に視聴者からのレスポンスが得られる点であり、最初に配信側がばらまいた「ネタ」のどこに食いつき、何が人気なのかを直ぐに知ることが出来る。普通のアニメならば、そこから製作期間がかかるので「商品の映像特典で反映させる」くらいなら不可能ではなかったが、わずか1クールの間に「視聴者の意見」を取り入れるのは流石に不可能。しかし、この無茶苦茶なスタイルだったからこそ、gdgdは完全なる双方向配信を可能としたのだ。楽しむ視聴者と、それを見て更に悪のりする制作側。「森のバックステージ」などの企画でも繰り返しメタネタを連発し、気づけば送り手と受け手の2者の共同作業で作り上げる、不可解な「悪ふざけの集大成」が完成したのだ。新時代のアニメコンテンツとして、ここまで馬鹿馬鹿しく、面白いものが出来上がったのは、なんだかとんでもなく残念な話ではないか。いや、馬鹿なことって素晴らしいですけどね。

 そして、映像面での見るべき点がそんなにないってことは、もう、中の人の話をすればいいんですよ。普通、アニメは「脚本」「映像」「音声」の3パートを別々に評価していくんだけど、この作品の場合、映像のモーションキャプチャにしろ、最終話に代表される脚本の引っ張られ方にしろ、とにかく中の人に依存しすぎである。「アフレ湖」が「本編」と言われるほどのインパクトを持っていた時点で何かおかしいよ! 朝10のテンションだからだよ!

 まず、見事なミュージカルスキルで綺麗なモーションキャプチャを見せてくれた踊り手、三森すずこ。「リアル腹黒ピンク」の名は伊達ではなく、「火傷をする突っ込み役」担当だったはずなのに、時折見せる救いようのない台詞が、この作品を単なる「ぼけ」「つっこみ」という形式から解き放つ役割を果たした。次に、フリーダム過ぎる聖闘士星矢ファン、水原薫。みずはらさん、あなた自由過ぎます。正直、どこかで「この仕事別に無くてもいいや」とか思ってません? もう、その自然体が格好良すぎますよ。相変わらずの「みさおボイス」が癖になりますね。普段のしゃべりを聞いてると、どこからあんな声が出てくるのかと不思議に思うときがあるわ。

 そして、この作品の全てを決定づけてしまった悪魔の子、明坂聡美。あけこが産み出した房子が、まさかここまで羽ばたくことになろうとは……無駄な芸、無駄な意気込み、無駄な才能。あけこの残念っぷりが徹底的に磨きあげられ、最終話にいたっては「明坂オンステージ」である。今後の仕事にも確実に影響が出るレベル。是非とも、今後のプロフィール欄には、「代表作:「gdgd妖精s・持田房子役」って書いてほしい。うん、罠だ。あけこは42歳になるまでに結婚出来るといいね……

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「UN−GO」 4→5

 今期最も判断に困るのが、この作品だ。何だか珍妙な味だ、と思っていたら、噛めば噛むほど味が出始めて、それが美味しいかというと、出てきた次の味も珍妙であるという、……つまり、珍味だ。

 1話目の感想についても、今見返すとまっとうなようでいてどこかピントがずれている。「坂口安吾なんて全然関係無いやん!」という突っ込みは当然のものだったと思うが、正直言ってそれは一切必要が無かった。「ミステリとして陳腐過ぎる」という批判についても、流石に熟練のスタッフ陣がそのあたりの懸念を持っていなかったはずもなく、数話観るうちに正直どうでも良くなった。何しろ、ミステリとして成立させるつもりなど無い作品だったのだから。そうなると、「ミステリのくせにキャラクターにギアス能力者を潜ませるのはおかしい」なんて指摘をしても、単なる道化である。制作スタッフには鬼の首を取ったように、「知ってるよ」と言われてしまいそうだ。

 では、こうして当初の批判が全て無に帰した後で、この作品に何が残ったのか。1つ目は、「雰囲気的にはミステリ物」という微妙なバックグラウンドを武器にした、何とも怪しげな人間関係。「捜査する側」「される側」という関係性ではなく、「創作する側」「される側」という構図は、作品内世界でもう1つの作品を生み出すという二重構造を産み出し、他の作品にはない独自の価値観を産み出すに至った。全てを変質させる「神」としての別天王の能力により、作中人物はもちろん、視聴者も「どこまでが作られたものなのか」を判断出来なくなり、「虚」と「実」の間を彷徨う不思議な感覚が体感出来る。主人公である結城新十郎はあくまでも「虚実を分ける」役割を任されており、因果の持つ能力も「真実を作り出す」能力だったために、「探偵」としては不適格だが、「番組の牽引役」としては正しい存在だったわけだ。

 そして、そんな不安定な世界だからこそ、奇妙な時代である「戦後」というパラレルワールドを、危ういながらも成立させることが出来た。普通の作品ならばもう少し世界背景の説明に筆を割きそうなものだが、この作品はほとんどそれが無く、いきなりボーカロイドが世界を席巻したり、AIが事件の容疑者となったり、無茶苦茶にもほどがある。しかし、この作品の場合、暴かれるべきは事件の真相ではなく、「世界の真相」そのものである。「創作される側」である敗戦探偵は、事件を解くといいながら、その実視聴者のために少しずつ世界を切り出していただけなのだ。そのために、彼は一度「創作」の中に取り込まれてしまうという大冒険にも出ているわけだ(7−8話)。

 なるほど、こうしてみるとこの作品の脚本は思いの外きちんとした信念を基に描かれていた。そして、この何とも怪しげな雰囲気が、きちんと成立したような気になるレベルにまで解題され、視聴後にはある程度の満足感も得られるものになった。オサレ作品を追究し続けるノイタミナ枠の実験作としては、今後も語り継がれる価値のある、異彩を放つ存在である。

 ただ、そこまで全てを理解しながらも、なおかついつの間にか劇場版まで視聴しながらも、それでもなお、「コレってそこまで面白かったのか……」というわだかまりが残っているのも事実。やっていることは面白い、結果も出ている。しかし、アニメとしてはもう1つ上のレベルも充分狙えたんじゃなかろうか。非常に感覚的な言い方になるが、コンセプトを活かすための作品作りとして、何だかやけに素っ気ない仕上がりになってしまっているような気がするのだ。脚本を追うために、画面が犠牲になっているような気がするのだ。本当に「面白く」見せる目的なら、もっとけれん味に溢れた、悪い言い方をすれば「媚びた」作り方もあったと思うのだが……スタッフは、そこまでのものを作らなかった。難解な世界観を、「こんなものを用意してみたんだけど」と、さらりと素材のままで持ってきた。うん、これはこれで悪くないのだが、せっかくのうま味が、やっぱり「珍味」になってしまう気がする。ひょっとしたら、まだ私には理解の及んでいない、何か隠された信念が、この「素っ気なさ」に隠れているのかもしれない。出来ることならば、もう1度見直して、作り手側の意図を探ってみたい作品だ。

 最後は中の人のことだが、今作は3人。1人は、とにかく驚きの連続だった因果役の豊崎愛生。通常だけでも2パターンの演じ分け、一度は3役にまで挑戦しており、「豊崎テンプレ」を打ち壊すだけの仕事を見せてくれた。ベストの音域ではないのでアラも目立つ部分はあったが、常に新しい仕事にチャレンジし続けるスピリットは充分に感じられる出来だったし、役者としての底の深さが確認出来る、記念碑的な作品になったと思う。そして、そんな先輩に追いつけ追い越せで頑張るのが、梨江役の山本希望。作中で唯一「普通の女の子」として描かれていたおかげでシンプルなキャラ造りにはなったが、きちんとニーズにこたえるだけの仕事を果たしていた。今作のヒロインは彼女だったと思います。そして最後は、結局ラストまで何が狙いなのかよく分からなかった謎の人物、海勝麟六役の三木眞一郞だ。あの曰く言い難い気持ち悪さ、得体の知れ無さ、これがズズッと心の内側に入り込んでくる感じ。ミキシンだなぁ。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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