最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「神様ドォルズ」 4→6
1話導入時に見せた不安定な印象はいつの間にやら無くなり、気づけば毎週楽しみな作品になってましたね。改めて考えると、この作品が楽しかったのって、何でなんだろう。 1話目で持った不満というと、なんといってもつかみ所の無いシナリオだった。匡平は「因習の根深い村」の出身で都会に逃げ出して来た青年、っていう設定で、そこに村からの追っ手である阿幾が迫り、超常的なツールである案山子によって日常が破壊される。そこで匡平が正義、阿幾が悪という二項対立が分かりやすけりゃ問題無かったのだが、どうにも阿幾の立ち位置が分からず、わざわざ駆け付けた「2人目の正義」である詩緒の存在もどこかはっきりしない。「結局何がいいたいんや」というので、導入はモヤモヤしたものになっていた。 そして、お話が終わってみて、実はこのモヤモヤはそんなにすっきり解消してるわけじゃない。結局シリーズを通して、阿幾の持つ悲しい記憶にも同情の余地はあり、枸雅と日向の対立も単純な善悪で分かれるようなもんじゃない。強いて「悪」をあげるとするならば、やはり旧態依然とした村の存在そのものということになるのだろうが、敵対した阿幾や桐生、まひるにしても、村の被害者としての側面もあり、どこか真っ直ぐに対立構図が見えないのである。匡平の持つ特性がオープニングで表される「不完全燃焼」であることからも分かる通り、単純な英雄譚にならず、全容が見えていないキャラクターどうしが、自分の見える視野の範囲内で抗っている様子だけが描かれるために、どこが結論なのかが見えない作りだったのである。 しかし、1クールが終わった今になると、そうした不安定なものについての不満は無くなっている。詩緒を始めとして、阿幾には阿幾なりの生き様があり、桐緒、まひる、日々乃、そして匡平。それぞれが明示的でないゴールを目指して、とにかく自分を奮い立たせていたことが分かり、その部分については満足できるのだ。原作コミックが現在も進行中ということを考えれば、このくらいのレベルで解決したことは、むしろ良くできた部類に入るかもしれない。 そして、シナリオラインの不安を覆い隠すように、この作品は様々な部分から見るべき点を提供してくれた。特にブレインズ・ベースが作り上げた安定した作画が、この作品の一番の見どころである非現実の側面を上手く描いていた。その代表となるのが、謎の機械兵器、案山子だろう。玖吼理や武未禍槌など、「巨大なこけし」と揶揄される妙ちきりんなモニュメント。どう考えても格好良さや愛らしさとは無縁の造形のはずなのに、いつしか玖吼理が可愛くてたまらなくなるし、空中での白熱の戦闘シーンには手に汗を握る。ビームビームもサンライズ作品と紛う大迫力であるし、隠し武器の左手の迫力なんてもとがこけしだとは思えないレベル。回想シーンで勃発した謎の古代案山子VS幼い3人の隻による共同戦の大迫力は、今期アニメのバトルシーンの中ではトップと言い切ってしまっていいかもしれない。とにかく、「本来無いもの」であるはずの案山子という無茶な物体に存在感を与え、「動くように動かせた」ことが、この作品の白眉な点である。 そして、人間たちのドラマの側面を見れば、詩緒の顔芸に代表される、ダイナミックな感情のやりとりが楽しい。玖吼理がみるみる可愛くなっていったのは、おそらく詩緒が可愛くなっていたことによる副次効果だったのだろう。強さと弱さを絶妙にない交ぜにした少女の頑張りを応援しているだけでも、この作品は楽しいものだった。そして、さらに終盤にはまひるという核弾頭クラスのキャラまでもが投入される。作中では、ものすごくシリアスなシーンなのに敢えてデフォルメ顔でぐちゃぐちゃに潰して描く場面なんてのもあり、この作品の胆が個々のキャラクターの感情の絡み合いであることがよく分かる。アニメは動いてナンボ、やっぱりそこに集約される。 これが終わったことによって、本作の指揮を執った岸誠二監督についての評価がまた難しくなった。個人的には、彼の監督作品では「ギャラクシーエンジェる〜ん」と「Angel Beats!」が大外れ、「サンレッド」や「瀬戸の花嫁」などは面白かったという印象。これってまとめると「岸監督は原作アリだといい仕事をする」ってことなのかしら? ……やっかいな人やで。 最後は当然中の人。そして今期2回目の福圓先生大フィーバーですかね。美味しい役を持っていく人やなぁ。そして、この作品は花形声優の実に豪華な共演の舞台となった。花澤香菜・茅野愛衣の新世代コンビに、沢城みゆき、高垣彩陽の、個人的には頂上決戦とも言えるお腹いっぱいの共演。85年度組近辺がたっぷり味わえます。やっぱりこういう役どころのみゆきちは大好きです。 PR
「青の祓魔師」 5→5
昨今のアニメは流石に劇場版に頼り過ぎな気もするのだが、これってどこかの作品でセールスモデルとして結果が出たからなんだろうね。どのへんかなぁ、マクロスとかかな? ま、この作品の場合にはヘリに乗った文人さんが笑顔を固めたまま女子高生の頭を打ち抜いて去っていったりはしなかったので、1つのシリーズとしてもそれなりの達成感はありましたがね。 良くも悪くも予定調和な内容だった今作。シナリオ部分に関しては典型的なジャンプ漫画だったので友情が努力で勝利な筋立てであり、つけいる隙もないし、いじり甲斐もない。ただ、実は夕方5時にジャンプアニメがきっちり友情努力勝利してくれているというのは最近では珍しいことであり、純度の高い少年漫画テイストが毎週安心品質で楽しめるというのは、思えばありがたい話だったのかもしれない。やっぱり日曜ゴゴゴ枠というだけで画面のクオリティは一段上がるみたいで(つまり制作に金がつぎ込まれるみたいで)、余計なことを考えずに「アニメの画面」を楽しみたいなら、これ以上のものはないだろう。次作は更に子供向けガンダムが続き、なかなか良い方向で「アニメの本来の姿」に立ち戻ろうとしている節もある。貴重な休日夕方枠を維持し続けるMBSには、この路線でしっかりセールス面も維持して頑張って欲しいところだ。 もう少し突っ込んで見ていくと、岡村天斎の描くダークファンタジーということで、脇でちょこまかしている悪魔のディティールとか、取り憑かれた人間のどこか現実離れしたモーションとか、「黒い」部分がきちんと黒く見えるのは実に見事な部分。主人公チームの技のエフェクトもど派手でバトルものとしても見応えがあったし、緩く力を抜いたときにはアホな男子生徒どうしの掛け合いなんかも楽しい。少年漫画らしいテーマの1つに「よわっちい奴がなけなしの勇気を振り絞って戦いに挑む」っていうのがあって、子猫丸とか志摩あたりのサブキャラもいつの間にかちゃんと男の子として頑張れるようになっていたのが実に好印象。そして、しっかり女の子も可愛い。ここまでしてもらえれば原作者も本望だったのではなかろうか。個人的に好きだったキャラは……クロかな。あとシュラ。駄目だよおねーさん、こんな時間帯に乳振り回しちゃ。 そしてやっぱりキャラの話なら中の人の話。今作は男女ともに人気声優そろい踏みの節操のない配置だが、やはり岡本・福山・神谷と並べられると、1つ1つの演技に妙な艶っぽさというか、味わいが出てくるので男から見ても贅沢である。個人的にはサタンにのっとられた時の福山潤が楽しかったですね。ま、元々の声が藤原啓治だから、そのまんまはっちゃけ演技でトレースするとみんなやりたい放題になるんですけど。いっそピコリンにも憑依してみて欲しかったもんだけど。そして女性キャラは、メインがキタエリ・花澤という今まさに花盛りの共演。これにサトリナやらが混じって彩りを添える。圧巻だったのはクライマックスのキーパーソンとなったユリを演じた林原めぐみだろう。ほんのちょっとの登場だったのに、世界を揺るがすだけの事件を生み出す存在感がある。今のご時世、閣下と共演出来る機会も多くはないので、一緒の現場にいられた若手にとっては貴重な体験になったことでしょうな。 さて、劇場版か……いくかなぁ。
「バカとテストと召喚獣にっ!」 5→5
安心の2期目、というのがシンプルにしてこの作品の感想の全て。とりあえずそれだけで満足すべきものだった気もします。 結局、1期から大きく変わった部分はほとんどなく、序盤は全く展開されなかったおかげで「もう、この作品のタイトルは『バカにっ!』でいいんじゃないかな?」とすら思っていた試召戦争についても、途中からはそこそこ描かれるようになった。そして、そうなると相変わらず「結局この世界における召喚獣の存在意義って何なんだろうな」っていう1期から引き続いていた根本的な疑問が首をもたげるのである。「別に試験の点数をダイレクトに比べたら終いやん」っていうね。一応明久だけが特殊能力を所持していたり、意味がないわけではないんだけど、そこまで大がかりなネタもないし、あとは単なる学園ラブコメだしなぁ。 ラブコメ分としては、中盤に三波が一気にメインヒロインクラスまで上がってきてやきもきさせてくれたのはなかなか嬉しかったですね。三波メイン回は演出も実に凝っていたし、今回のシリーズが彼女にとってのFクラスの存在を描くものだったと考えれば、充分その結果は伴っていたと思います。ただ、その分他のヒロイン勢はちょっと割を食った形かね。最終話は瑞希エンドっぽくなってたけど、ちょっとインパクトに欠ける。翔子は単なるトラップとしてしか存在してなかったしな。いや、それでいいんだろうけど。 相変わらず大沼監督の個性が全面に出た演出面は味があってお気に入り。2期目ってことで更に「省ける」部分が増えたおかげで、独特のポップテイストが更に磨き上がった部分もありました。今期はシャフト作品が1つもなかったおかげで、こういうエッジの効いた演出作品が観られるのはありがたかったですね。まぁ、かなり先鋭的なことをやっているはずなのに、あまりそうも見えないところがこの作品の良さでもあり、難点でもあるんですけど。 そして当然中の人のことだけど……今回はやっぱり三波役のミズハスの勝ちでしょうかねぇ。帰国子女としての不安な立ち位置から現在の武闘派に至るまでのプロセスの表示が、何とも心憎い塩梅でございました。明久を相手にしてたらどんだけ苦労しても報われないだろうと思われる三波の不憫さもね……おかしーなー、中の人は完全に逆なんだけどなー。下野お母さん、今後とも、アレやコレの相手は大変だと思いますが、頑張ってお勤めを果たして下さい。
「魔乳秘剣帖」 5→4
この手の作品は、毎度毎度馬鹿馬鹿しくてまともな感想が残しにくい、っていう結論に落ち着いたりするんだけど、この作品についても結局そこは一緒。この作品からおっぱい熱を取ったら何一つ残らないわけで、それを抜きにして語る意味は無い。だからといって、ここで真剣におっぱい熱を論じる気も起こらない……どうしたらいいのさ、という作品。 ただ、これの前身となる(?)「聖痕のクェイサー」に比べると、1ネタでの引っ張り具合がちょっと弱かったかな、という印象があったので点数は下げた。序盤の盛り上がりは負けず劣らず、と言ったところだが、中盤以降にも能力バトルものとしての馬鹿馬鹿しさが持続した「クェイサー」と比較して、この作品はあくまで魔乳流のお家騒動1本で話が進んでおり、おっぱい山修行が終わったあたりでオリジナルのネタは終わってしまった。終盤は柄にもなくシリアスになり、乳流れのくだりで引っ張りすぎたおかげで、最終回近辺での盛り上がりが不足してしまったのだ。最終回に限れば作画も何だか不安定で、せっかくのスタートダッシュがちょっと勿体無かった。ま、根本的な問題って、千房が主人公としてはすこぶる地味だってところだと思うんだけどね。影房の方がキャラ立ってたくらいだしな。 中の人的には、個人的には豊崎一人勝ち、というだけでいい気がする作品だが(この作品で一番楽しみにしてたのは提クレ)、その他には三重鳩宗兼ナレーションの大川さんがはっちゃけてて楽しかったことが印象的。あとは何故か2回登場したぴかしゃとかかな。美奈子は……うーん、最近はあんまり悪い方には気にならなくなってきたんだけど、現時点で特に「良いな」と言えるほどのインパクトもないんだよねぇ……
「猫神やおよろず」 5→5
終了した2つ目の「神アニメ」。特に何かにこだわるでもなくだらだらと見続けられましたが、やっぱりこういう作品はこれでちゃんと存在価値があるんじゃないか、ということが再確認できる、良い作品だったと思います。 緩さが信条の桜井弘明作品。この作品もご多分に漏れず、どうにも隠しようのないだらけた感じと、それとは裏腹な密度の濃いシナリオラインが魅力的。画面に現れるキャラクターの造形や台詞回しなどは力が入る部分がほとんど無いにも関わらず、それでしっかりストーリーは回っていき、気がつけばいつの間にやら1つのお話が終わっている、という絶妙な力点の置き方は、本当に職人芸。前作「会長はメイド様!」はもう少し画面にもメリハリはついていたが、今回は初心に戻ったかのような徹底的なユルさが実に心地よく、だらっとくつろいだ状態で「何となく楽しいもの」が見られるという幸福感がある。作中、案外シリアス……というかしっとりした話も多かったのだが、適度な人情話、いい話も、いつもと変わらぬテンポで自然に見せてくれるのが本当に上手い。個人的には柚子の過去話の時の、どうしても暗くなりがちな画面でも、ちゃんと繭がいてくれることで「普段の世界」と繋がっていることが分かる、あの演出が好きだった。 そして、最終回に代表されるような「全員集合のごちゃごちゃした雰囲気」が、やっぱり桜井作品の真骨頂。飛び交うクロストークに、端のほうで何だか適当な造形になっちゃってるキャラクターたち。飛び交う書き文字とコロコロ変わる愉快な表情。そうしたものを、「ユルいはずなのに手抜かりなく」やってくれるっていうのが、簡単そうに見えて一番大変な部分なんだと思う。何が主題とか、何がメインってことを特に浮き立たせることなく、「全員がいて、何だか賑やかなその雰囲気自体がメインテーマ」みたいなこの感じ。気づいたら自分までその和やかな輪の中にいるようで、たった1クールなのに家族のような親しさを覚えることが出来る。ほんとに、良くも悪くも「日常を感じさせる」作品でございました。 そして、桜井作品なんだからやっぱり中の人ネタが盛り上がる。狭いタイムスケールに徹底的に台詞を詰め込む桜井流は、キャストにも相当な負担を強いる演出方向なのだが、それを平気で受けきって自分流の熨斗を付けて返すのが戸松の恐ろしさ。気づけば引きずり込まれている戸松ワールドの業の深さよ。その他、回りを取り囲むのはフレッシュな面々あり、安定感抜群のいつも通りの面子あり。個人的には脇でちょこちょこしゃべって流されていくゴン太の演技が楽しかったですね。三瓶はホントに分かりやすい声で分かりやすいアピールがある。他にも新井里美の純正ママン役とか、これ以上ない緩さの豊崎貧乏神とか、平常運転過ぎて年の差なんて気にすることも出来ない堀江由衣の存在感とか。これならドラマCDで出されても買うかもしれないなぁ。
「BLOOD-C」 6→6
様々な議論を巻き起こしつつ、大爆発とともに終了した作品。紆余曲折はあったかもしれないが、きちっと狙い通りの位置に着地出来たのではなかろうか。「1クール」っていう期間をどのように使うか、っていうテーマについても、なかなか興味深いサンプルを残してくれた。 当方、水島監督のファンだという前提も有りつつだが、とにかくシリーズ通してドキドキは持続していました。世間的には「エンドレスエイト」に肩を並べるほどの中だるみ、グダグダ作品と評されているのを見かけるが(そして、正直言ってそのように見なされるのも仕方ない部分もあったと思うが)、個人的には、振り返ってみれば1話1話がその存在感を発揮させて「BLOOD-C」を作り上げていたのではないかと思っている。盛大に砂山をぶち壊すには、黙々と砂をしめらせ、積み上げ、ならす作業が必要なように、このアニメが12話で結論にたどり着けたのは、それまでの話で作られた「舞台」あってこそだ。そこで演じられるのが「ドラマ」なのか、「日常」なのか、そして「茶番劇」なのか。それは、題材が違ったとしても重要性にかわりはない。 この作品で積み上げなればならなかった砂は、ただひたすら「日常」と「非日常」の繰り返しである。何しろ、七原文人が試みていた実験は、「日常」をどこまで引き延ばせるのかという挑戦であり、更衣小夜はその打開に向けて、必死に抗うことを続けていたはずなのだ。最初から改めて見直さないことには分からないが、この文人対小夜、「人間」対「古きもの」の対決は、今の視点から振り返れば、全く別な姿を描いていたはずなのだ。 本作が巧みなのは、対立構図の題目が、裏と表で全く変わっていないという部分。表のテーマは、「人間」代表である小夜が必死に人間を守る為に「古きもの」と対決するというもの。そして、裏で進行していたテーマは、「古きもの」である小夜が、人間・七原文人の呪縛に抗って対決するというもの。悪辣だと思われていた数々の古きものは、実際には小夜の血をトリガーとして調整されたものであったし、最も醜かったのは舞台を用意した文人たちであり、そこで演じていたメインキャストたちであった。小夜が守らねばならなかったのはあくまで自分自身と「大切な人たち」であるが、その構図は、基本線を動かさないままでぐるりと反転したものになっていたのだ。 結局、小夜の行為は茶番の中に溶けたが、それでも最後に委員長が残したように、我々は小夜の「一抹の真実の物語」を見続けていた。これにより、すべてが茶番に終わるのではなく、真の意味での更衣小夜の姿を描ききることとなった。「古きもの」との対立で見せた正義感は、そのまま人も古きものも越えて、大切なものを守りたいという信念となって残された。これは立派なヒロイック・サーガである。 そして、そうした小夜と文人の抗争を描くために用意された茶番劇と、数々の戦い。本作最大の見どころは、I.G.の真骨頂と言える圧倒的アクションである。毎回手を変え品を変え繰り出されていた異形の「古きもの」たちは少しずつシナリオを成しながら、実に見事なバトルシーンを演出してくれていたし、どこか奇妙なこの世界の玄妙さも表している。このバリエーションの出し方は、あのエヴァンゲリオンの使徒のバリエーションにも通じるものがある。そして、そんな奇妙なツールをフル活用して描かれた、メインテーマである「血(BLOOD)」の物語。残虐描写を徹底させることで小夜というキャラクターのどこか「足りない」部分を浮き彫りにし、大仰な立ち回りの説得力を増している。また、「血」というテーマは、そのまま小夜と唯芳の関係性などにも転用され、引き続きこの作品のテーマであり続けている。こうした徹底的なテーマ性の維持と原作者の意図を汲んだ構成が保たれたのは、流石の水島努というしかない。最終回などで顕著だった、どこか引き笑いめいたものが起こってしまうような突き抜けた作劇は、「白水島」と「黒水島」の恐ろしい形での融和の結果ではなかろうか。 とまぁ、無駄に盛り上げてみましたが、あとは1年後の劇場に持ち越しですかね。心底楽しみです。出来たらもう少し早めにやってくれると嬉しいんだけど……まぁいいや、最後は中の人の話になるわけだが、今作はもう、福圓先生以外にはいないでしょう。ヘッドの配下としてのキャスティングで、確かに水樹奈々もオンオフの切り替えの激しい大変な役どころをしっかり果たしていたと思うのだが、その下でこの世界観全てを一気にぶち立てた福圓美里に敵うはずもない。本当に、色んなところから予想もしないものをポンポン引っ張り出せる素晴らしい役者である。また、悪辣な男性役の代表選手、野島健児も一貫した演技でもって作品作りに貢献してくれた。色々と難しい部分の多い作品だったと思うので、キャストの皆さんには総じてグッジョブの言葉を贈りたいです。
「森田さんは無口」 ー→ー
おわっ……? あぁ、終わったか、終わったんだよね……いや、わからねぇよ。どこで終わったんだよ。どう終わったんだよ。何も終わってねぇよ。こうしてみると、同じような枠でちゃんと「終わったっぽい」ことをしていた「にゃんぱいあ」は偉かったのかもしれない。 いや、作品自体に特に文句があるわけじゃないです。5分枠で日常系ユル漫画原作、そりゃ、こんなもんです。それなりの5分間です。すごく懐かしい香りのするクオリティです。個人的に戦慄したのは、この内容で既にコミックスが4巻も出ていると知ったときです。一体どんな話で4巻も続いているのか……ちょっと気になります。いや、買わないけど。 あとはまぁ、中の人的に楽しむだけですよ。花澤・戸松・早見と並んだ年代の近い(ちょっと前までは)リアル女子高生たちの日常会話っぽいのを存分に楽しめばいいんじゃないでしょうか。「あなると知利子もこんな感じでしゃべってればよかったのに……ひょっとしてあの世界に足りなかったのは森田さんだったのか?」とか訳の分からないことを妄想すればいいんじゃないでしょうか。個人的には戸松&花澤の絡みは好きなので、もっと他のメディアでも見てみたいところですね。ただ、今となっては2人とも超がつくほどの多忙っぷりなので、スケジュール的に無理なのかもしれないけど。 あと、作品と全然関係無いところで気になってたのが、実はしばいぬ子さんの方がよっぽど気になってたりします。毎週、あのコーナーだけ切り取って保管しとこうかどうか迷ったくらいです。エリーの中の人もよく分からない仕事を見付けたもんですね。
「夏目友人帳 参」 5→6
終わった、と言ってもあくまで通過点なので何とも評しにくい状態ではあるが、いつも通りに、安心して見られるものを引き続き提供し続けている、不動の1枠。 3期目ともなると、作品自体は変容してくるものである。回りに3期目を迎えるほどの人気作ってのはなかなかないのだが、例えば「ひだまりスケッチ」ならスタッフを刷新して演出方向をガラリと入れ替えてきたのが3期目だし、「さよなら絶望先生」にしても、3期目ともなると変化球を多めにして様々な点から「なんとか飽きられないように」と必死になっていたように思う。それくらいに、「続けること」は大変なことなのである。 そんな中、この作品は一見すると本当に「今まで通り」を貫いている。1話1話で扱う題材に大差は無いし、目に見える部分に大きな演出意図の変化もみられない。それだけに、非常に取っつきやすく、これまでのファンならば一切の不満無しに見られるだけのものに仕上がっている。そして、それに加えてきちんと「3期目ならではの変化」も伴っているというのが最大のポイントだったのではなかろうか。 今期の最大の変更点は、シナリオの密度、とでもいうべきものである。過去2期分では最も重要視されていた「懐かしい雰囲気」「緩やかなテンポ」が多少変更され、シナリオ密度が濃くなり、事件の振れ幅も大きくなった。緊張感のあるシーンはより盛り上がる方向に持っていくよう、ホロッと来るシーンはよりダイレクトに響くよう、ユルいギャグのシーンはテンポでもって流れがでるよう。全体的に、「語られるもの」の量が増えていたように見える。 この変更は、メインのライターが金巻氏から村井さだゆきに変更になったこともあるのだろうが、大森監督曰く、意図的にオーダーし、3期目を意識して変えてきた部分であるという。既に2期までで世界観については浸透したという前提のもと、物語の起伏を強めに出し、原作の持つものをより忠実にアニメに引き出したという。多少なりとも視聴者に求めるものは増えるのかもしれないが、これにより、ドラマ性を持つ1本のシナリオとしては、更に密度を濃くすることになった。 この変更は、個人的には純粋にプラスだったと思う。確かにこれまでのようなゆったりとした雰囲気も作品世界には欠かせないものであるが、3期続けられてしまえば、どうしたってそこには「慣れ」と「飽き」が生じてしまうもの。それを事前に回避するために、ドラマ本来の面白さを前面に出す、というのは非常に効果的だった。例えば今回初登場した的場の存在や、一気に深まった田沼との友人関係など、夏目の回りで起こった変化が、これまで以上のピッチで描かれており、グッと引き込まれながら見続けられるだけのパワーを持つようになったのだ。もちろん、相変わらず音響やさりげないキャラの表情の機微など、細かい部分については今まで通りに手抜かりなく突き詰めており、品質の高さは折紙付き。毎度毎度、よくもまぁここまで期待に応えてくれるものだと、感心してしまう。本当に、現代アニメにおける1つの代表作とも言えるシリーズになったのではなかろうか。 やはり大森監督は凄い。そう思わずにはいられない1本でございます。引き続きの4期目も既に決定しているとのことなので、このままのクオリティを保ちつつの続編、楽しみに待ちたいと思います。でも、このシリーズにつきっきりだと、他の作品の新作は作れないんだよなぁ……ほら、あれだよ、いっぺんシンデミル感じの……あれも3期目に更にステップアップした希有な例だったなぁ。4期目が見たいなぁ……
「いつか天魔の黒ウサギ」 4→3
きっと色々と気合いが入った作品だったんでしょうね。バトル時のエフェクトの種類とか、細かく別れたエンディングテーマ設定、ぷにぷにしたデフォルメキャラの分布など、おそらくこの作品の魅力となっているであろう要素をあれこれとアニメで表現しようという努力の方向性は感じ取ることが出来た。 でも……届いてないねぇ……こっちまでそれが来ないねぇ……もうこっちが歳なんでしょうかね、この手のラノベ文化の許容出来る水準がどんどん厳しくなっている気がします。それとも、やっぱりこの作品が歴戦のラノベ作品と比べてもしんどかっただけなのか……個人的には後者な気がするんだけどねぇ。 まず、主人公とメインヒロインヒメアの関係性が、あまり美味しくない。登場時は多少傍若無人な印象もあった、一方的な愛情から不死身の呪いを与えた「魔」としての属性がキャラとして活きてこない。大兎が必死にヒメアに寄り添おうとするまでの動機付けが見えてこない。そこには愛情やら恩義やらが関わっているはずなのに、そこの重みが見えてこない。やっぱりどう考えても「6回死んでも大丈夫」っていう設定は熱血バトルの主人公にはフィットしないよね。「死ぬ気で頑張る」ことが出来ないキャラクターなんだから。同じような違和感は「Angel Beats!」でも感じていたんだけど、こんだけポンポン人が死ぬ世界で「熱意」っていうものを今まで通りの方法論で描こうっていうのが間違っている。どうせ一から十まで戦闘要素は根性論で片付く設定なのだから、そこに何か独自の工夫が無い限りは、単に青臭い台詞をお互いばらまきながら殴り合っているだけのお話である。そりゃ、コクも深みも出ませんて。 お話に起伏が乏しい分、ZEXCSらしいどこか淡いエフェクト群で画面を埋め尽くそうとしていたみたいだが、毎回毎回火花でドンパチでは飽きるのも早く、「大きな敵」の大きさまでもがそれで表されるおかげで、全ての責任が重なり合うエフェクトのせいに見えてきたりする。違うんだ、画面に華がないのは戦闘シーンでこれっぽちも盛り上がらない脚本に根本的な責任があるはずなんだ。それが、画面の請け負ったものに見えてしまうのは、アニメ化の弊害といえるかもしれない。ただ、アニメ絵でそれなりに見栄えのするデザインを用意し、それを最後までちゃんと動かしきったのだから、アニメスタッフはどっちかというと頑張った方の作品ですらあると思っている。山本天志は本当にこういう作品にばっかり縁が深いけど……なかなか幸せは訪れませんなぁ。 というわけで、久し振りに「ラノベの臭いがキツ過ぎる」というがっかりが満載だった本作。途中から視聴モチベーションも一向に上がらなかったおかげであまり書けることもないのだが、高本めぐみが頑張っていたことだけは1つの想い出として残しておきたい。メインヒロインをやった経験があんまり無いから、今後は「代表作」ってことになるんだろうなぁ。その他にも野水伊織・美名のエースコンビも頑張ってましたが、やっぱりごり押し風味が強いのはちょっと可哀想だね。役者陣に責任はないはずなんだけど。一応繰り返して書いておきますが、僕は野水よりも美名派です。どこかで大ヒット作に当たらないものかしら。 |
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プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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