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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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NEEDLESS」 5→5

 「思いの外うまくまとめやがったな」というのが率直な感想。原作既読であるためにそこまで視聴に身が入らなかったのだが、展開の分からなくなる終盤も含めて、一応視聴にたえうるだけのクオリティは維持できていたと思う。

 序盤は、はっきり言ってあまり見る気が起こらなかった。ストーリーを知っているというのはもちろんあるのだが、今井神の独特のテンポが、アニメではうまく表現出来ていると思えなかったためだ。原作の線が太いせいか戦闘シーンも非常に大味で、必殺技名を叫んだら大きく表示される、といった演出で目を引く努力はしていたものの、回を重ねればそれだってマンネリ気味になってしまう。コマの大小でメリハリが付けられる漫画と違って、どうしてもアニメだと単調なイメージがぬぐえなかった(改めて、「原作も割と単純なんじゃねーか」ということに気付かされたけど。結局終盤でも連発してたフラグメントってリトルボーイとカンダタストリングスばっかなんだよね)。迫井マッドらしく時折作画も怪しくなるし(中盤のアレのことではなくね)、こりゃ駄目じゃねーか、という雰囲気はしばらく続いていたと思う。

 それが、少しずつストーリーを収束させていく段になって、だんだん見やすくなっていった。左天絡みの戦闘や回想などのあたりでは、バトルがそこまで気合いを入れて描写するようなものでもなくなり、おかげで普通にシナリオで見られる状態になっていったのが結果的にプラスになったのだろう。駆け足気味で詰め込んだプロットも、単調さを回避するのにはちょうどいい刺激に(まぁ、どう考えても最終話は無理矢理なんだが)。気付けば驚くほどすんなり最終回を迎えることが出来て、なかなかうまいことしやがったな、と。最後にブレイドがちゃんと山田の名前を呼ぶ演出とか、最低限のサービスもしているし、当然常時パンツは配備されているし。個人的には、あの絵にエロを求める意味はわからんのだけどね。ニードレスにエロ要素が欲しい人って、「かたつむりちゃん」でも興奮できるんだろうか。

 あとはまぁ、中の人にお疲れ様、ですよ。今作は女性陣が十把一絡げでごちゃごちゃしてたイメージが強くて、むしろ男性キャスト陣に目が(耳が)行きがちだった。久し振りに全力全開の主人公役を満喫していた子安は当然のこと、完全に解説役だったのにめげずにキャラを主張してくれた内田役の伊藤健太郎、悪役ではいい感じで「影のラスボス」を醸してくれたきーやん、そしてそれを越えてラスボスだった東地さん。たまにはこういう暑苦しいキャストを堪能するのもいいもんです。

 最後に1つ。改めて振り返ると、バミューダアスポートって本当に空気だな……

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「獣の奏者エリン」 6→8

 すさまじい作品だった。まずはそれだけ断言できよう。アニメとはかくあるべし、ファンタジーとはかくあるべし。そして何より、NHK教育はかくあるべし。

 1年という長丁場をこなした本作、正直に白状すると、中盤に若干の中だるみはあった。視聴体制も途中でゆるみ、見ていなかった話数すらあったりもする。得てしてそういう状況になると次第に見なくなっていってしまうものなのだが、この作品の場合、油断したらどんなとんでもないものが登場するか分からないという緊張感があったために、続けての視聴を余儀なくされた。そして、そんな厳しい「制約」が、きちんと実を結んで納得させられてしまったのだ。全50話の構成を行った藤咲淳一氏に、謝罪と賞賛を送りたい。

 先に断っておくと、当然のことながらこの作品の全てが盤石というわけではない。改めてシナリオラインを追うと、ところどころ筋が通っていない、納得いかない部分があることに気付く。手近なところで例をあげれば、ダミヤの命によってリランを戦場に送り込むことを余儀なくされたエリンだったが、脅迫された際には、「大公の統治に至れば、王獣は神性を失い、リランにも自由が訪れるかもしれない」と思い至る描写がある。このときには「エリンは自らの意志でリランを戦争の道具に使うのか、それとも、真王の権威を犠牲にしてリランの安寧を得るのか」という命題が提示されているわけだが、最終決戦の段になって、エリンがリランを飛ばすかどうか悩んでいるのは、全く別な葛藤である。イアルやエリン、そしてシュナンなどの思惑と意志が絡みあった最終決戦だったが、結局はダミヤの策に翻弄され、その場をとりなすために労力を費やした形だ。結果的には王獣という絶対的な力をもって最善の結果にたどり着くことが出来たわけだが、それまでの複雑に入り組んだ思いを解決するためのエピソードとしては、いささか拍子抜けの感がある。最後のダミヤの抗い方も、それまでの彼の狡猾な振る舞いとはそぐわない部分もあっただろう。

 ただ、こうした「筋の通らない」部分については、扱っている題材がいかに「筋の通っていない」対象かということを考えれば、半ば必然的なものであるだろう。最後にリランがエリンを助けにいった理由は説明出来ないわけだし、シュナンとセィミヤの関係だって、2人の心情を鑑みればどこまで割り切れるかは怪しいものだ。しかし、この作品で描きたかったテーマとは、そうした理屈の通らない部分である。最序盤にはっきり現れた「家族」というテーマと「村」「血統」、中盤には「教育」の体制も問うことになったし、リランとの出会いは新たな「母性」の創造と、改めて「育む」ことへの問いかけを与えてくれる。そして全編を通じて見れば、リョザという1つの国を舞台にして、「戦争」や「権力」についても考えなければならなかった。どれもこれも単純に割り切れるものなど1つもなく、視聴者はエリン達と一緒に、何が正しくて何が間違っているのか、間違っていたとしても成さなければいけないこととは何かを、しっかりと考えることが出来るようになっているわけだ。これは、非常に出来のいい物語であり、寓話である。

 また、そうした教育的な配慮で子供達への番組として成立している他にも、きちんと一本のアニメ作品として、充分に大きなお友達にも魅力のある作品作りが意識されているのも白眉な点。1話からきっちりと守られてきた作画面の安定、特に独特の背景美術による世界観の維持は見事なものだったし、ドラマティックに盛り上げるシーンをとことんまで意識した構成も良い刺激になる。個人的には27話(「ヒカラにおちて」)が印象的だったが、しばしば登場する抽象画のような独特の画面効果は、この世界のファンタジー色を強めるとともに、強固なメッセージ性を補強する見事な演出技法。単一描写では限界のある王獣の権威、そして「獣」の持つ力の恐ろしさなど、インパクトのある形で見せられると膝が震えるほどの衝撃がある。

 叙情的な面での描写も実に手慣れたもので、ドラマの転機となるソヨンの死は、様々な事象がエリンの中で「母の思い」「母との別れ」「獣の恐怖」としてフラッシュバックされる。最終話では、子を想うがために禁忌に手を出して自らの命を投げ出したソヨンと、我が子のように愛情を注いだリランの未来を祈るがために音無し笛を投げ捨てて生き残ったエリンの対比が鮮やかに浮かび上がる。ラストシーンはエリンとその子供がリンゴを挟んで対峙するシーンが同じ構図のエリンとソヨンに重なるという演出で幕を閉じるわけだが、それまででも充分感極まっていたところにあまりにスッと入ってきたために、訳も分からないまま涙腺が決壊した。もちろん、「ソヨンとエリン」「英知と絆の象徴であるリンゴ」といったパーツが、これまた心憎いギミックで印象的なオープニングで何度も効果的に使われていたことも、この画面の効果を高めるのに一役買っていただろう。本当に、全てが全て、ドラマを引き立てるためのあるべき道具立てであった。浜名孝行監督は「韋駄天翔」の時も感心したが、実に真っ直ぐにメッセージを投げかけてくれる良いクリエイターであった。

 様々なテーマを持ちながらきちんと1年間放送し、見事な幕引きを見せたこの作品、本来ならばもっと加点してもいいはず(「電脳コイル」が10点だったから、せめて9点は上げてもいいはず)なのだが、どうしても、本当にどうしても気になるのは、やっぱりエリンのキャストだ。最後の最後まで、ほとんど技術の向上が見られなかったのは悔やまれる。ここまで難度の高い役、流石に素人に任せたのは致命的だった。演技次第で見せるべきシーンがひと味もふた味も違ったものになっただろうに。個人的には第1希望が折笠富美子。第2希望は中原麻衣あたりで(桑島法子だと幼少期が暗くなる上に常に死の影がちらつくから怖い。ジョウンの死因がエリン本人になりそうだ)。製品版出すときにエリンだけ録り直しとか出来ませんかね? 

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○「秘密結社 鷹の爪 カウントダウン」 5→5

 タイトルの通りに、本当に気まぐれに劇場作品の宣伝をしに出てきた鷹の爪団と古墳ギャルたち。気付けばあっという間の1クールではあったが、なんだかんだとこのベタベタなお約束芸を楽しめてしまうのだから不思議なものだ。いつの間にか世間的な知名度も上がっているようで、突如現れて訳の分からないことを言っていた3年前が嘘のようである。

 こんな作品なので、普通のアニメのような批判をするのも馬鹿らしいし、内容はギャグなので事細かにストーリーを解説するようなものでもない。それなのに、やはりラスト2本の最終回は見入ってしまう不思議な魅力がある。特に「鷹の爪団」の最終回の方は様々なキャラクターが勢揃いして無駄に広がった世界を再認識させてくれるし、実はストーリーの端々で最後につなげるための伏線をちょいちょい張っていたことが分かる。この小憎らしい手際の良さ、人の油断にスルッと忍び込む周到さが、単なるフラッシュアニメと蛙男商会の差であろう。無駄に石破似のキャラが出てたり、テーマソングを担当したアーティストが顔出し(?)で出ていたりと、サービスなんだかどうかよく分からないお遊びも、半笑いくらいで見られてしまう。それでもきちんと締めるところは締めてくれる。ん〜、本当に不思議な作品だ。

 こうしていつシリーズが始まっても最後まで見てしまうということは、きっと私はこれが好きなんだろうが、実際に劇場に足を運んで見たいとは全く思わないのも不思議。「鷹の爪ファン」を公言しても、いいことと言ったら「伊藤静と趣味が合う」くらいじゃねーか。ま、頑張ってこれからも作品を作り続けてくれればいいと思います。両手を拝借、た〜か〜の〜つ〜め〜。 

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「ファイト一発! 充電ちゃん!!」 ー→5

 えぇ、分かってます、これも今期終了した番組ではないですよね。こちらは珍しくKBSが1クール遅れでスタートさせたんですよ。だからようやく見終わったわけ。地方格差とは、かように埋めがたいものなのですよ。

 時機を逸したおかげでこそこそと見ていたこの作品、最初はなめていたのだが思ったよりも面白い仕上がりになった。特に過去のアニメ化作品と違って、生粋の変態であるぢたま(某)の持ち味が割とストレートに出されているのがお気に入り(私の中で彼の描いた「聖なる行水」はある意味バイブル)。えげつないまでのエロ描写もさることながら、最初は生真面目なエリートキャラとして描かれていたアレスタが閃登との出会い頭のホームランでどこか壊れてしまい、いつの間にかバットでフルスイングされることを望むアブノーマルキャラに堕ちているとことか、ぷらぐと2人して何故か失禁するのを妄想したりとか、非常に理解しにくい特殊性癖がさらっと描かれている。えぐいながらも独特の味になっているのは、悩みながらも褒めたい部分。

 あとはまぁ、ストーリーがあるとは言ってもエロ馬鹿が基本なので、いかにノリを楽しめるかって部分ですよね。一応基本線はぷらぐの成長物語なわけだけど、個人的好みのせいで途中からはすっかりアレスタの成長物語として観てしまい、おかげで終止ニヤニヤしっぱなしの状態でした。

 今作は、視聴に当たって2つのポイントがあって、その1つ目は監督が木村真一郎(&構成に山田靖智)であるということ。キムシンは個人的に人生を変えたアニメ「ぽぽたん」の監督をしていたこと、そしてその後も「まほらば」「ネットゴーストPIPOPA」などの上質のアニメを送り出してくれたことで割と気にしているクリエイター。もちろんその間に「つよきす」「Venus Versus Virus」などの本当にどうしようもない作品も手がけているので評価としては五分五分なのだが、そのために「さて、今度はどっちだ?」という見方をしていた。流石にうまくいった方の2作と一緒にするのは憚られるが、まぁ、少なくとも「箸にも棒にもかからない」というレベルのものではないはず。幸い画のクオリティも維持したまま終わることが出来たし、打率は少し上がったと見ていいのではなかろうか。

 そしてもう1つは当然キャストのこと。今作はらきすた4人衆の中でも一番地味な福原香織の初主演作。「咲」の天江衣があまり評判が良くなかったが、今回のぷらぐ役はそこそこハマっていたように思う。お仲間の遠藤綾、加藤英美里あたりはいまだはるか遠くであるが、少しずつキャリアを重ねていってほしいもんである。そして他にも、相変わらずの存在感を示す平野綾、示しちゃいけない存在感を示し続ける金田朋子、そして次回予告一発で空気をかえる三石琴乃など、なかなか説得力のある面子が多かったです。

 そしてなんと言ってもアレスタ役の高垣彩陽。アレスタは音域的には地声の高いトーン(「そらおと」の会長や「Phantom」のアイン)と、「ささめきこと」の純夏さんの中間くらいの声。きっちり音質レベルでの変化が聞き取れるわけで、このレベルでの演じ分けは、彼女のキャリアを考えると尋常じゃない。地上波版ではエンディングテーマをソロで歌っていたが、これがきちんとアレスタ声で、しかもうまいときている。もう、彼女の足跡に残った作品というだけでも(そして彼女のエロボイスを聞ける作品としても)、記念碑として残していいのではなかろうか。 

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○「うみねこのなく頃に」 5→4

 アニメのみの視聴なので原作組の上げる声の意味がいまいち分からない作品だったのだが、一応「アニメだけ見て評価する」という姿勢もまっとうなものであるはずなので、あくまで単品としての評価を。

 まず前提として、個人的にアニメの「ひぐらし」はなかなか良くできていたと思う。特に目明かし編での謎解きなんかは存外しっかりしていたし、それ以外の部分でのしっちゃかめっちゃかな落とし前の付け方も、1つのアニメシリーズとして見た場合にはきちんと決着を見ていた。ミステリ的にどう、とかいう評価では無しに、一本のアニメシナリオとして、有りか無しかで言えば、有りだったはずだ。

 そして、残念ながら現段階でのこの「うみねこ」は、明らかに「無し」である。シリーズ途中でさっさと訳の分からない展開になってしまい、ただでさえついていくのが大変な状況だったというのに、そのラストまで全て投げっぱなしではどうにもフォローのしようがない。流石にこれを通して視聴して「なんだか分からなかったけど面白かったよね」というのは無責任の誹りを免れないだろう。原作が未完であるというビハインドは最初からあったわけだが、分かっていたならばオリジナルでとりあえず収束させるとか、ハナからアニメ化しないとか、色々と対処は出来たはず。「未完だから未完です」というのは言い訳にならない。まぁ、2期の存在を前提とすれば一応の言い訳にはなるが……いつになるのかねぇ。

 作品の性質上、細かく要素で見ていくのも困難である。当初は「孤島、遺産相続、密室」などなどの素敵なタームが絢爛に並べ立てられて素敵なスタートを切ったわけだが、ベアトリーチェの登場以降、その全てに意味が無くなった。メタ世界におけるベアトと戦人の対決までならば、「ひぐらしにおける梨花視点」と同じでギリギリ許容出来るかと思ったのだが、そもそもこの時点で戦人とベアトの目的意識が理解出来ないために意味が通らない。こうして振り返ると、メタ視点ながらも作中人物としても完成していた梨花&羽入というのはなかなか秀逸なセッティングだったといえる。そして、そうしたうま味が今回のベアトには無い。

 シナリオ上のサプライズの設け方もどこかおかしな部分が目立ち、中でもベアトの仕組んだ罠、ワルギリアなどにも協力させた謎のツンデレ作戦がすさまじい。そもそもの対決姿勢が分からない状態でそれを二重三重にひっくり返すという趣向は、不出来を通り越して無理解としか言いようがない。視聴者としては何とか話を理解しようとして妙なお嘆美ムードになったベアトに共感しようとしていたのに、「んなわけねーよ」と突然ひっくり返される。これはサプライズではなく、単なる裏切りである。

 そして最終話に列挙された「一応の解決」。それまで「いかに凄惨でインパクトのある事件を描くか」に拘っていたのに、終わってみれば陳腐でみみっちい言い訳が出てくるだけ。一応ラストにまたベルンカステルによって「そんなわけねーよ」が挿入されるが、視聴者の感想は「なるほどそうきたか」ではなく、「もう知らんがな」だろう。いかに人気作品とて、何をやっても許されるというわけではなかろうに。

 それでもまぁ、トンデモファンタジーとして突き放して観るならば、アニメとしてギリギリ観られなくもなかったのでこの点数。もちろん、大部分は中の人への賛辞だと思っていただいて構わないかと。この作品で唯一誇れるのはそのあまりに豪華なキャスト陣であり、特に女性陣はあまりに美しすぎる面子が並んでいる。序盤に活躍してけなげながらも強さを見せた夏姫(篠原恵美)。毒婦として悪態をつきながらもあまりある格好良さを見せつけてくれる霧江(田中敦子)。母親としての優しさと女としての脆さ、自我の崩壊までを見事に演じ分け、並み居るベテランに一歩も譲らなかった桜座(小清水亜美)。そして魔女としての覚醒を経て、貞淑な妻と幼いが故の残酷さを見事に演じ分けた絵羽(伊藤美紀)。右代宮家の女性はどれも皆一枚看板でやっていけるくらいのキャラクターがある。

 そして、なんと言ってもこのブログ的にはベアトリーチェだ。これまで演じたこともない下卑た、本当に「下品な」役回りを、まるで水を得た魚のように開花させていく大原さやか。流石に過去に演じた「次元の魔女」や「逆理の裁者」のように「これが素ですよね」とは言えないが、本当に楽しそうに演じてくれているのが印象的だった。また役者として新たなステージに踏み出した実感がある。これで訳の分からない心情を持つ半端なキャラクターじゃなきゃ最高だったんだけどね……

 同じように役柄で損したのが縁寿役の佐藤利奈。結局、彼女は何がしたかったんでしょうか。多分、演ってる本人が一番分からなかったと思う。無念。 

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○「にゃんこい!」 7→7

 放送時間的に投げっぱなしの「DARKER」の後だったので、この作品の最終回は無駄にほっとすることが出来ました。レビュー書き始めたはいいものの、途中で書くことがなくなってついに挫折するという憂き目を見た作品ではあるのですが、終わってみれば決して嫌いではなかったのです。まぁ、川口監督の作品って、大体いつもこんなもんです。

 振り返ってみれば、ラブコメとしては割とまっとうだったことがよく分かる。序盤は一ノ瀬先輩やら郵便屋さんやら戸松双子やらが出てきたおかげで「どんだけハーレムやねん」と思っていたのだが、一ノ瀬先輩と郵便屋のねーちゃんはその実単なる騒がせ屋だったわけだし、戸松双子も主人公の潤平に対して真剣な恋愛感情まではいかないレベル。結局、ラブコメ的な構図としては楓と加奈子の2人に絞られていたわけだ。そしてそんな中でも潤平の気持ちは真っ直ぐ楓にしか向いてなかったので、軸がぶれることは少なかった。加奈子はいい奴なのに報われずちょっと可哀想だが、1本のアニメとして落ち着くべきはやっぱり楓エンドで良かっただろう。呪いの設定も最終エピソードでそれなりに消化できていたし、特別面白くて印象に残るわけではないが、視聴後に不満が残るような作品にはならずにすんだ。

 こうして「ラブコメ展開は意外とまっとうだった」ということさえ確認出来ると、戸松双子と一ノ瀬先輩というキツいキャラがなかなかいい味を出していたこともプラス評価に繋がる。特に双子のヤンデレの方はキャラとして面白かったし、双子で演じ分けていたおかげで戸松遙の新しい一面を確認することが出来たように思う。改めて、戸松は安牌なんだなぁ、と認識する。今後も多分、「戸松じゃなきゃあり得ない!」みたいなはまり役を作らないまま、じわじわと萌えアニメ業界を支えていく存在になるだろうか。これがワンランク上がると、川澄綾子になれるのだが。もう片方、一ノ瀬先輩の中の人についてはもう触れる必要も無かろう。小林ゆうは、小林ゆうにしかならない。だが、それでいい。

 あとはメインヒロインの2人。うりょ子は最近すっかり落ち着いている気がするのだが、加奈子役は特に目立った印象もなく、無難にこなした感。他方、楓役の井口裕香については、確実においしいところを拾っている印象。でも、なんでヒロインやると影が薄くなるんだろう……ツンツン頭の男の子が主人公で、ゆかちがメインヒロイン。そしてサブキャラにさとりな……これは、郵便屋のおねーちゃんが主人公のスピンオフが始まる布石なのか?! きっとあのおねーちゃんはレベル5の能力者に違いない。

 最終回では散々「2期」という言葉を連呼していたわけだが、このあたりの「DVD買ってね」と阿漕な作戦に走るあたり、川口監督のあけすけな姿勢が伺える。でも、ちょっとはしたないけど切実なところだし、ここまで直接的なメッセージも珍しいから案外効果はあったりして。でも……2期は無いよね。っつうか、別にいらないよね。 

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 「乃木坂春香の秘密 ぴゅあれっつぁ♪」 4→2

 この番組の良かった点。1,エロ能登。2。サブヒロインにさとりな。3.なばが歌うOPが格好いい。

 この番組の悪かった点。上記以外全部。

 本当に誰得な作品。これってラノベ原作だったはずだけど、本当に売れているんだろうか。どこにニーズがあるのかさっぱり分からない。山もオチも無いストーリーに、特に新規性も無ければ共感も持てないキャラクター。かといってそれらを自覚的にパロディにするといったこすっからい手を使うわけでもなく、ただ垂れ流すだけの形態。2000年代前半のアニメバブルの時にはこうした本当に海のものとも山のものともつかぬ作品が多々あったわけだが、業界が斜陽となり、取捨選択が厳しい昨今においてもこういうものが作られるというのは、ある意味奇跡でもあるし、ある意味病巣でもある気がする。

 一応のフォローをするなら、エロ作品としてはそれなりの矜持があったらしく、画的なものは時折納得できるクオリティはあった。ディオメディアの画作りは色づかいなどがキツくてなかなか好みには合致しないのだが、「クイーンズブレイド」や「かのこん」みたいなモロだと嫌だ、という人間の限りなくニッチなニーズに応える「寸止めエロ」としての役割はあったのかもしれない。もちろん、無いかもしれない。

 相変わらず最終回を終えても特にオチらしいものもなく、下手したらまだ続編が作れそうな構成だったのだが(実際に原作は未完だろうし)、ひょっとしてこれの3期とかがあったりするんだろうか。……姫宮みらんのPVとかならOKです。あ、でもキャラはむかつくから出さない方向で。椎名だけならギリギリ有りか。

 何で最後まで見たのかって? 中の人目当てだよ。文句あるかこん畜生。

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「涼宮ハルヒの憂鬱」 ー→5

 様々な話題を振りまき、現代アニメに問題提起をするだけしまくって幕を下ろした「新作」ハルヒ。良くも悪くも話題性のつきない作品である。

 今回の全26話をどのように評価するかで、アニメ視聴の姿勢というのがよく分かる。とりあえず、問題を1つ1つ解体して評価する必要があるだろう。

 まず、旧作と新作を混交しての放送という形態について。「時系列順に並べ直して放送する」ことの意味は分かる。1期は話数シャッフルという突拍子も無い企画が話題を呼び、成功したわけだが、制作した人間からすれば、「きちんと時系列順に並べても面白いんだぜ」という部分をアピールし、改めて物語を見てもらいたいという気持ちもあるだろう。新規作成部分だけを抜き出して放送すると物語としての連絡に乏しくなってしまい、観る側に余計な負担を強いるのも事実。新規ユーザーを開拓することを考えるなら、改めて再放送する意味は小さくない。普通、深夜アニメは再放送による新規ユーザーの獲得なんて期待するべくもないのだが、この作品には、それだけの期待が持てるだけの話題性があったのだ。しかし、新規ユーザーを狙った目的が顕著であるだけに、やはり既存の視聴者に対して不親切だったのも事実。放送開始時には新作が挟まれるかどうかも分からなかったし、分かった後も、新作を観るために旧作を見直すか、パスするかを選ぶ必要があった。視聴者に無駄な負担を強いる危険性という意味では、メリットとデメリットが割りにあったかどうかは微妙だ。そして何より、後ろ暗い話題のせいで、どうしても「山本寛の幻影を消すための時系列順放送」という裏側が見えるようで仕方なかった。

 次に、実際の新作エピソードである「笹の葉ラプソディ」と「溜息」。これは、やはり素直に「流石の京アニ」と褒めるべき部分。「溜息」の方は55ページ区切りというアニメ作品として全く意味のないこだわりなんかが非難を読んだりもしているわけだが、そんなことに気付くのは原作読者だけで、知らない人間からしたら「そんなもんか」という程度のもの。それよりは、きちんと京アニクオリティを維持して「間をつなぐ」ことに成功していたという部分の方が重要だろう。間に「笹の葉」と「溜息」が挟まることで1期のエピソードでばらまいた伏線がきれいに回収されているし、構成も過不足無い分量を消化している。何の含みも無しに新作としてこれが与えられたのならば、充分に好評だったものと推察できる。

 で、最大の問題点である「エンドレスエイト」だ。アニメ「ハルヒ」の趨勢を決定的なものにしてしまったこの8話のエピソード。個人的には、特に退屈することなく8回とも見られたし、「長門達の味わった絶望的なループの再現」というコンセプトで、この無謀としか思えないチャレンジに踏み切った冒険心は評価したい。様々な意見はあるだろうが、視聴者が「絶望的な」気分に陥ったのは間違いない事実。これ以上無い形で「無限ループって怖くね?」を表現出来たことになる。無限ループを最もよく伝わる形で伝達する方法は、当然無限ループが一番手っ取り早いのだ。そしてこの企画は本当に思いつきだけで出来るものではなく、毎回毎回、バンクなど1度も用いずにきちんと「新作エピソード」として製作、放送している。確かに同じエピソードを何度も見せられる視聴者は苦痛を感じるが、同じエピソードを作り続ける人間の方が、その何倍もの苦痛を味わっているはずだ。「楽したいから」とか「おもしろ半分で」とか、そんな生中な気持ちで出来る企画ではなかった。

 しかし、「前人未踏であること」は、やはり「偉業」とイコールではない。寒風吹きすさぶ「ハルヒ」の跡地を見るまでもなく、世間的にはこの挑戦は評価されなかった。アニメの視聴者なんてものは単なる「消費者」に過ぎないのだから「評価されるか否か」を前提として創作する必要は必ずしも無いとは思うが、現代において、アニメは確実に「商品」である。その視点を意識すれば、この「挑戦」は決して「商品」たり得ないことは、まともな人間ならば想像出来たはずなのだ。「視聴者を楽しませよう」とするならば、自分たちの目指した「表現」はそれに合致していないことに、気付くべきだったのだ。アニメーション自体の完成度の如何を問わず、この企画は、商品として失敗であった。

 でもまぁ、私は個人的にアニメ作品を「商品としての出来」という尺度で評価する必要は無いので、8回続いたあの夏の2週間も、その他の新作も、そして最後を締めくくる旧作の「ライブアライブ」や「サムデイインザレイン」といったヤマカンの魂の咆哮も、全てひっくるめて、やっぱり面白かったとは思う。劇場版も決まっているようなので、次回こそは「汚名返上」といって欲しい。

 今回の出来事は、対岸の火事としてみる分には非常に面白かった。あれだけ熱狂的な「ファン」が着いていたと思っていたのに、これしきのことですっかり評判を落とすあたり、現代のアニメ消費層がどんな視聴をしているのかがよく分かる。作り手側も色々と大変である。 

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「亡念のザムド」 6→7

 1度web配信が終了しているので正確には今期のアニメではないのだが、世間的にはどう考えても今期の新アニメだったので、ここで感想を書いてしまって大丈夫だろう。ただ、「プレイステーションストア配信アニメ」という形式はこれ以降まったく聞かなくなってしまったので、どうやらセールス形態としてはあまり結果を残せなかった模様。そりゃまぁ、わざわざ面白いかどうか分からんものに金を出すような酔狂な人間はそうそういるものではない。

 そんなわけで初回配信時に話題にならなかったのでつまらない作品なのかと思っていたら、これが今期最大の「空気アニメ」だったと思う。語彙として使い方は明らかに間違っているのだが、「空気のように存在感が薄れてしまったアニメ」という意味も勿論有りつつ、その上で、「空気感を非常に巧みに出すことに成功したアニメ」でもあると思う。配信形態が特殊であったおかげか、ボンズというスタジオの持つ優れた技術力が全編において維持されており、画面には一分の隙もない。そして、手間のかかる制作を経てこそ得られる「世界観の構築」が、この作品の唯一にして最大の持ち味であったと思われる。

 考えてみると、この作品の監督、宮地昌幸という人物の来歴が、実に分かりやすい形で反映されている。wikiから恣意的に過去の実績を抜き出すと、ジブリ作品からクリエイターとしての道を歩み始め、「キングゲイナー」「BLOOD+」を経由してボンズに携わるようになり、「エウレカセブン」「妖奇士」「絢爛舞踏祭」「獣王星」と積み重ねての、今回の「ザムド」である。こうして並べると「エウレカ」の流れが一番強く確認出来るが、その後ろには「キングゲイナー」に近い非常に含みを持った難解な脚本(いわゆる冨野節)や、ジブリの持ち味であるファンタジー世界の構築技法を感じさせる。描かれる世界は最新技術を持って現代とほぼ等しい生活様式を持ちながらも、奇妙な飛行船ザンバニ号や一連のヒトガタ兵器、ザムドのデザインなどは確実に「非現実」である。そして、この2つの側面が何の抵抗もなく融和し、1つの物語の背景を作り上げている。こうした「空気感」の構築が、本作最大の見どころといえる。

 脚本に関しては、非常に登場キャラクターが多く視点が散逸的になるので、分かりにくいところ、説明不足なところも見られたわけだが、それでも極力説明的になることをさけ、キャラクターの思考、足跡から全てを語ろうとしているところが白眉である。アニメーションなのだから語らせずに描けばいい、というのは非常に分かりやすい理念であるはずだが、これを実践することは容易ではない。今作は「考えること」というテーマを登場人物に課し、主人公のアキユキは最後の最後までこの「考えること」に追い立てられることになるのだが、同じことは、視聴者にも求められていたことなのかもしれない。ザムドとは、ヒルコとは何だったのか。ヒルケン皇帝とはどういう存在だったのか。様々な勢力の求めるそれぞれの正義は、一体何が正しく、何が間違っていたのか。シナリオの都合上、一渡りの説明は付されているものの、それはあくまで表面上の話。正直、1度見ただけでこの世界の全てを見通すのは難しい。是非とも、改めて1から見直し、この世界のあり方がどうあるべきなのか、そして制作者側がどういった意図で描いてきたのかを模索したいものである。

 そうした大局的な見方以外でも、この作品のシナリオは常に考えることを強いる。例えば人間関係などは分かりやすい例で、ざっと上げるだけでも、アキユキとハル、ナキアミ、フルイチ、ヒルケン。ナキアミとハル、クジレイカ、ヤンゴ。ハルとフルイチ、ミドリ。リュウゾウとフサ、垣巣。様々な人間関係が複雑に絡み合い、その全てが、単純な台詞などで説明を付けることを拒否している。この世界の人々はみんな「考えて」生きている。そして、現実の人間関係と同じように、視聴者はそうした「考えて」いる人々の心を、「考えて」観なければいけない。どんな作品だってそうした側面はあるものの、この作品の場合、この傾向は顕著であったように思う。リュウゾウはどんな気持ちであの弁当をほおばったのか。ミドリはどんな決意で自らを垣巣に委ねたのか、そしてアキユキはどんな想いでヒルケンと対峙したのか。ひょっとしたら観る人の数だけ見え方がある、そんな奇妙な作品だった。

 正直、視聴後も見事なクオリティの画面が見られた満足感はあるものの、まだどこか、「観足りない」部分があるような気がしてならない。それだけ、密度の濃い、取り替えの効かない作品であった。色々語りたい面もあるのだが、とりあえずは、面白かった。

 最後に当然、大量に出演したキャラとキャストの話。あまりに登場人物が多すぎてなかなか1人に絞って観ることは出来なかったが、個人的に印象に残ったのはフルイチ。彼の歪んだ愛情表現は、痛々しくもどこか血が通っていて、あまりにあっけない最期には胸が痛んだ。そしてその相手をするハルの心中も察するにあまりある。今作のヒロインは、やっぱりハルでいいんだよね。個人的には折笠富美子VS根谷美智子で接戦。いや、根谷さんは明らかに脇役だけどさ。他にも雷魚やアクシバ、リュウゾウなど、野郎キャラも実に格好いい。そして唯一不満点があるのは、ヤンゴの中の人だろう。だから子供のキャスティングに子供を入れる必要は無いと、何度言ったら分かってくれるのか。最初はちょい役かと思っていたので我慢していたのだが、結局ナキアミサイドのエピソードを左右するまでの重要人物になってしまった。あんなに難度の高い役なら、もっと安定感のある役者を置いてもらわないと、こちらも入り込めなくてものすごく勿体ない。子供は大人しくおうちで元素でも探してろと。 

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