最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「REVENGER」 5→5 ありそうで無かった「利便事」という日本語を当たり前のように定着させたことが一番面白い功績かもしれない。作中では「Revenge」の隠語としての「利便事」を使ってるわけだが、現代から聞いてる視聴者からすると間違いなく江戸時代の連中が「リベンジが云々」とか言ってるの、ちょっと面白い。 初見の時に「時代劇アニメの成功作ってほぼないよね……」という話をしており、今作に関しても残念ながら大成功の面白アニメとはいかなかった。最初に挙げていた不安要素はそのままで、どうにも薄暗い画面にハネきらない脚本と、正直、3ヶ月後には綺麗さっぱり忘れてしまうタイプのオリジナルアニメになってしまった。まぁ、1クールアニメでとんでもねぇインパクトを残すなんてことはそうそう簡単なことではないので、しょうがないと言えばしょうがない。雷蔵の最期についてちょい議論の余地があるくらいかねぇ。まぁ、「ダークヒーローもの」って銘打っちゃってるので。あと虚淵なので。 まぁ、大きくハネなかったことは残念ではあるが、特に失点もなく無難に物語をまとめたというのも事実だと思う。メインテーマである「revenge」は考えてみりゃ「仕事人」などの伝統的な時代劇の定番テーマであり、フォーマットはすでに完成している。変に奇をてらったことをせず、時代劇フォーマットでやるべきことを、ちょいと現代アニメ風に遊び心を加えてシンプルにまとめ上げる。こういうお仕事もオリジナルアニメの作り方と言えるのかもしれない。もうちょい、時代劇ならではの「時事」ネタなんかを深く踏み込んでも面白かったかもしれないけどね。まぁ、こちらが江戸期の長崎について無知なだけで、もしかしたら色んなネタが仕込まれてたのかもしれんが。 強いて惜しい点をあげるなら、利便事屋の面々、主人公の雷蔵以外にももうちょい掘り下げがあると「続編も見たいな」と思えたかもしれないということ。惣二はいろんなところに振り回されてたもんだからいい具合にキャラは立ってたと思うんだけど、当初期待してた鳰があんまり魅力を発揮しきれてなかった気がするんだよね。あれだけイロモノ臭を漂わせてたんだから、もっと吹っ切れたエピソードも作れたと思うんだけど……まぁ、人殺しを生業にしている静かな狂気みたいなものは見え隠れしてたので、それくらいの「匂わせ」がちょうどいいのかしらね。 とりあえず、個人的には「今後時代劇アニメを作るならこれを超えてほしいな」と思えるボーダーくらいの認識になった。異世界ファンタジーがあんだけ量産されるんだから、時代劇が1クールに10本あるシーズンがあってもいいと思うんだ(いや、思わんけど)。 PR 「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」 4→4 看板に偽りはない。確かにダメ人間にされていた。ただ、その天使様自身もだいぶダメ人間だったのは多少の計算外。 本当に、「いちゃいちゃする」という言葉を辞書で引いた時に「この作品のこと」と書かれてるんじゃないかというぐらいに、「カップルがいちゃいちゃしている様子をただ描き続ける」というだけの時間。そして、「そういう作品だって言ってるじゃん」とタイトルが叫んでいるわけで、内容自体に文句を言うのは野暮というか無駄である。世の中にはただ男女がいちゃつくところを垂れ流し続けるだけのメディアというのは存外あるもので、人類が根源的に「なんかいちゃついてる様子を見ていたい」という欲求があるということを示している。そりゃまぁ、一番は「自分がおにゃのこといちゃいちゃしたい」の方が初源的欲求のはずだが、代替行為として他者のいちゃいちゃを見るのも、決して精神衛生上マイナスばかりではない。実際、私だって今作を観て「石・見・舞・菜・香」の5文字を脳幹に叩きつけられる時間は確実に「快楽」であったのだ。そうして「可愛い女の子」成分を1滴1滴、原液で飲まされ続ける時間があるのは決して悪いことではないのである。「弱虫ペダル」のマンネリは飽きたが、今作は飽きる前に終わったので無問題。 というわけで、ただただ椎名真昼という非実在性都合良すぎるヒロインを楽しむ分にはやるべきことをやってくれた作品。それだけだったら特に不満は無かったのだが、非常に残念なことに、今作も同時期に放送された他作品の例に漏れず、途中から作画リソースが限界を迎えた。「椎名真昼が可愛いだけのアニメ」で椎名真昼の可愛さが損なわれてしまったら、そりゃぁダメなのよ。別に動きも多くなく、似たような画がずっと続く作品なだけに、少しの崩れも致命傷になりかねないのは残念無念。仮にヒロインの顔の作画が保たれていても、他が崩れると全体的に甘々の雰囲気が損なわれてしまう。耽溺できる作品世界を作るというのは、案外難しいものである。 いざとなったら音源だけ抽出してボイスドラマに仕立てることで評価を上げることができるかもしれません。ていうかエンディングテーマを取り出すだけでも評価が上がるかもしれません。石・見・舞・菜・香。
「機動戦士ガンダムNT」 ― 一応、前2作品は記録を残してるので今作についても「録画はしてたよ」という自分用のメモとして残しておきますが、ぶっちゃけあんまり観てません。今回放送された3作品の中で一番宇宙世紀の知らんところと繋がっちゃったもんで、序盤からもう背景が追えなくてよく分からなかったんだもん。 私、結局ユニコーンが追えなかったのよね。以前確かテレビ編集版で放送されてたはずなんだけど、その時に中身を追うのを諦めて「やっぱガンダムってあんまり相性良くないなぁ」という残念な印象だけが残ってしまった記憶がある。今作はそんなユニコーンに連なる物語のようなので、そりゃ無理ってもんでね。あと、キャラデザを含めた映像部分もあんまりピンと来なかった部分はある。映像の面白さで言ったら「サンダーボルト」が一番好きだったかも。 「イジらないで、長瀞さん 2nd Attack」 ―→4 今期はいろんなところで女の子が柔道やってた気がする。寝技女子のブームがきてるか? まぁ、ぶっちゃけ可もなく不可もなくの代表格みたいな作品なので特に点数下げる必要もなかった気もするんだけど、やっぱり2期になって当初よりも惰性でやってる感が強くなっちゃったなぁ、というのが素直な感想。変わらなさをひたすらに堅持してマンネリズムを極め続けた高木さんはそれはそれで尊い部分があったのだろうし、男女関係にきっちりフェイズが切り替わってイチャイチャやら周りの反応やらで刺激を増やした宇崎は普通にドラマとして2期目の存在意義があった。 長瀞の場合はどちらかというと宇崎寄りで、確実に二者の関係性は近づいているし、周りでやいやい言って囃し立てている部分も似てはいるのだが、宇崎のようなもどかしさに肉薄する切迫感があまり感じられずに表層部分だけで終わっちゃってる感があるのよね。長瀞がデレる部分の説得力が薄いというのと、長瀞のツンデレ要素があまりにも「ツンデレのためのツンデレ」になってしまっていて、普段は単にお決まりのセリフを吐くだけのbotみたいな存在なのであんまり「女の子として可愛い」につながらなかった。ほんで1期からスタジオが変わった影響もあったのか、画ものっぺりしてて魅力が減退したのも2期目のネガティブ要素かもしれない。長瀞の特徴的な表情なんかは今作最大の見どころなので推していくべき部分なのは間違いないのだが、そればっかり見せられると希少価値が無くなって「そういうデザイン」でしかなくなっちゃうんだよなぁ。 あとはまぁ、この2人の関係性に柔道周りの青春絵巻があんまりハマってなかった気もする。「暴力系女子」の暴力、本当に鍛錬に裏打ちされて強い奴だとそれはそれで困る。長瀞のバックグラウンドが明らかになったせいで、フレンズが単なるガヤから「意味のあるパーツ」になってしまい、全体でのキャラ配置のバランスが悪くなっちゃったように見えるのよね。元々単発絵とかで始まった一発ネタ漫画って、いざネタを広げようとした時にどこで収拾をつけるか見定めるのが結構難しそう。 「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」 4→4 今期視聴を続けていた作品の中では、ある意味で最もネイキッドななろう作品と言えるかもしれない。まぁ、あけすけな分、ヘイトも貯めやすいわけだが。 ネガ要素とポジ要素はちゃんと分けて考えるべきだと思うのだが、まず、ポジ要素としては一応「何か他の作品と違うことをやってみよう」という意識が伺える点。「現世と異世界の行き来自由」という能力設定は思いつきとしては安易だが、少なくとも過去にアニメ化されたなろう作品に限定すれば比較的レアケ。なろうですらないが「GATE」の前例があるくらいだろうか。また、そうして「現世にいける」という武器を設定したおかげで諸悪の根源(の1つ)と言えるステータスオープンがなくなり、脳死状態のステータス至上主義を見なくてすんだというのも一応はプラス要素だろうか。ちゃんと「自分で何かを説明しなきゃ」という責任を感じているという意味で、有象無象の産廃なろうとは一線を画す完成度にはなっているはずだ。 ただ、そうした部分は認めつつも、やっぱりなろう特有の頭の悪さは隠しきれない。結局設定した能力が「現世との行き来」になった時点でやることは「現代チート」の1点だけになり、規模こそ違えどそれこそすでに「GATE」が(もっと精緻な描写で)実現させたことをなぞっているだけ。また、現代チートの積み上げ方があまりにも幼稚というか、浅薄な知識でやってんだろうなぁという印象しか持てないもので、軍隊格闘技の身につけ方とか、「ヤバい組織」と繋がって武力を持ち込む様子とか、それこそ中学校の昼休みに隠キャが妄想しているテロリストバトル程度のものである。どっちかというと現世の描写の方が胡散臭くてファンタジーじみているのは笑ったらいいのかなんなのか。 主人公が女の子だから油断すると騙されそうになったが、冷静に考えてこれの主人公が黒衣装で量産顔のモブ男だったらやっぱりムカつく度合いはたいがいだと思うのよね。周りに女の子侍らせてハーレム作りたい願望も変わらんし。一応、映像部分は低めでも安定はしてたので大きく評価を下げる要因はないのだが……もう、そろそろこの辺は休んでもいいんじゃないかなぁ……。 「ブルーロック」 6→6 実に愉快なアニメでした。サッカーアニメでこんだけ楽しませてくれたんだから、なんの不満もないよ。まぁ、これをサッカーアニメと言ったら怒る人もいるのかもしれないが……。 でも、テニスとテニヌほどの隔たりは無いからいいんじゃないかしら。私のようにサッカーに微塵も興味がない人間からすると、正直サッカーのリアリティなんてどうでもいいんですよ。むしろシンプルにアニメの1シーン1シーンの意味がわかって、それが楽しいかどうかの方がよっぽど重大事。そして今作はサッカー漫画・アニメの常識をぶっ壊し、とにかく目先の楽しさを味わわせてやろうという心意気で作られている。おかげで我々のような視聴者にとってはとってもおいしい。それで良いじゃないですか。 どうやっておいしいアニメを作ったかと言えば、それは実に分かりやすい少年漫画的文法である。いわゆる「1人1能力の能力バトル」をサッカーの文脈に落とし込み、ド派手なエフェクトでもってじっくり見せつける。本当にそれだけの話だ。なんで過去のサッカーアニメがそこに到達できなかったかといえば、それはサッカーという競技がこのフォーマットを維持するのに不向き、というか実質不可能だから。本来のサッカーってそんなところに楽しさが収束しないから。もう、こればかりはしょうがない。最大限にサッカーのサッカーらしさを維持しながら魅力を発信したアニメなら、それこそ直近の「アオアシ」が一番いいところまで行っていたと思うが、それでもまぁ、私のような阿呆には伝わりきらなかった部分があると思うんですよね。まずは「美味しいものを美味しい状態で」っていう食べやすさ優先のデザイン、本当にありがたい。野球で例えたら「みんなしてどうやってホームラン打つかを見てる」みたいなもんでね。ホームラン競争が楽しいのは当たり前なのよ。 もちろん、単なる翻案というだけではなくて話作りの上手さがあるのも間違いない事実。キャラがいちいち濃い中で、ちゃんとスポットが当たったキャラが魅力的になるように演出されているので嘘みたいな「毎回ハイライト」が実現できていた。個人的に好きだった久遠や馬狼の物語はもちろんその代表例だし、描き方次第じゃ「やっぱチートじゃん」の一言で片付けられそうな主人公・潔や蜂楽のキャラもきっちり掘り込まれて魅力的になっている。冷静に考えりゃ蜂楽とか最初から最後まで何してんだかよく分かんないキャラだったのに、常日頃の言動からいつの間にか「これが蜂楽だ」というキャラが固まってるの、なかなか説明できない妙味である。そう考えると本作の見どころって試合シーン以外の描き方だったのかも。もちろん試合シーンのエフェクトの掛け方なんかも飽きさせない工夫がふんだんに盛り込まれているが、あれもまぁ、いっぺん方法論を作り上げちゃえばあとは「これがブルーロック風」っていうので全部一括処理できるんだからお得な作り方よね。 無事に続編も決まり、まだまだこの熱狂は治まらない様子。劇場版まで見に行くかどうかは分からないが……楽しみに待ってます。もしかしたらその前に漫画喫茶とかで原作読み込んじゃうかもしれんけど、その場合はすまん。
「弱虫ペダル LIMIT BREAK」 ―→3 ごめん、長い、飽きた。 ……いや、でもしゃーないやん……今期は2クールの放送だったけど、どの話数を取っても映像がだいたい一緒て……かつて「薄めたカルピス」と評された漫画作品があったけど、今作は「ず〜〜〜っと口の中におんなじ味のカルピス」。途中から濃いか薄いかも分からんようになる。ただただ同じ味を噛み続ける。うまかろうがまずかろうが、それって、次第に苦行になっていくのよ。 まぁ、ゼロとまではいかないが、この場合にアニメ製作に責任があるとは言えないよなぁ……原作も多分「ずっと同じ景色」だろうしなぁ……いや、違うか、原作の場合はアニメよりも1話1話の切れ目が短いから、多分一週間区切りで言えば「違う景色」を見せてる話数も多かったのかも。アニメではそんな原作の区切りよりも1つ1つが長くなるので、だいたいの話は「走ってます→回想入ります→走ってました」のループになり、やっぱり同じ味。正直、先週と同じ話やられても気づかなかったんじゃないかレベル。 競技自体がなぁ、本当にただ走るだけだからなぁ……それって今作が始まってからずっと変わらない条件なのだが、序盤はまだ楽しかったはずなんだよ。それなりに「初めて見る景色」があったから。今回は「2度目のIH」というのでやってることがほぼ全部見たことあるやつだし、「チャリで走ったらどっちが速い?」っていう競争で差をつける方法なんて、そんなにバリエーションがあるわけないのよ。おかげで、みんなして「もう限界だ〜」→「なんやかんやあって俺は強いねん!」というアップダウンを繰り返すことになる。もう、途中から「スタミナの限界とは?」とか訳わからんようになっちゃうのよね。こればかりは、もうほんとにどうしようもない。 そういうひたすらマンネリ化しちゃう展開に一石も二石も投じてくれるから僕らは御堂筋くんのことが好きなんだろうな。彼が頑張ってる回はやっぱり楽しい。 「シュガーアップル・フェアリーテイル」 5→5 ジョナスに始まりジョナスに終わるアニメだった……。いや、そんな認識の人間が俺以外にいるかどうかは知らんが……。 ほんと、ジョナスのヒャッハー具合を観てるだけで楽しかったし、最後の最後まできっちりジョナス絡みで話が進んでたのは笑ってしまった。アンのやつ、最初にあんだけ酷い目に遭わされてるのにうやむやのうちに「ジョナス、ちょっといい奴やん」みたいになってるのほんまチョロい。まぁ、実際にジョナスも成長して憎めない奴になってたのかもしれないけども。 まぁ、ぶっちゃけそうしたジョナス要素を取り除くと、シンプルな少女漫画展開をなぞったアニメではあるんですよ。ヒロインのアン、延々トゥシューズに画鋲仕込まれ続けるみたいな扱いで、よくもまぁこんだけの苦境を続けられるもんだと感心してしまう。「女だてらに独り立ちしようとしている人間を周りの保守派連中が叩いてるけど、たった1人の理解のある彼くんがいるから大丈夫」という、身も蓋も無い言い方すればこれ以上ないおもしれー女テンプレなのである。でもまぁ、そのベースをどうやって飾りつけるかってのが少女漫画の見せ方ですからね。本作は「砂糖菓子」というなんかふわっとした題材を中心に置くことで、「がっつり職人が修行したり制作管理したりする筋立てのくせして、どこか少女テイストな甘さと柔らかさも感じさせるよ」という美味しいところ取りが存外うまくいっている。最後の最後まで「銀砂糖の精製」ってなんやねん、とかいう要素はよく分からんまま進行してるんだけど、そこに疑問を挟むのは野暮ってもんだからねぇ。 映像部分はほぼ安定しており、華奢で繊細なキャラクターデザインはそれこそ砂糖細工のように見栄えが良い。取り立てて動きの良さを楽しむ作品ではなかったが、物語の進行の邪魔をせずにすんなり飲み込めるデザインは次第にクセになる味わいだった。もちろんこんなところでお話は終わらず、シャルとの断絶から2クール目があるらしいので、のんびりとこのおもしれー女とイケメンの旅路を追いかけていきましょうね。
「TRIGUN STAMPEDE」 6→5 渋い作品でしたね。結論は「ともよ・ゆみりの兄弟に宇宙をあーだこーだされたら、そりゃただじゃすまねぇだろ」です。今期は「メガトン級ムサシ」もあったので、この2人に宇宙をいいようにされることが多かった気がしますね(そうか?)。 期待してたところからはやや評価を下げてしまった理由は大きく2つある。1つは純粋に筋立ての渋さ。ドラマとして何一つ間違ったことはやっちゃいないと思うのだが、ある意味穏当な筋運びにあんまりツッコミどころもなく、おおよその流れは「そうなれば……そうなるかぁ」くらいで飲み込んでしまい、そこからワッと感情が盛り上がる要素があまり無かった。贅沢な注文だとは思うのだが、私は「オレンジ作品なんだから面白くなるに決まってるやん!」というよく分からん偏見からスタートしてしまったせいで、「考えてみたら、俺が好きなのはオレンジ云々よりもまず『宝石の国』と『BEASTARS』そのものだったのでは?」ということに気づいてしまったのである。今作だってもちろんオレンジの技術力をフルに注ぎ込んではいるのだが……なんか、「そういう処理をするのが自然な作品」でしかなかったのよね。原作ファンはこのアニメ化はどう評価してるんだろう。悪い印象もないけど、なんか俺が事前に持ってた原作の売りからはややズレてるような感覚があるんだが。 もう1つの要素はまさにその「オレンジの技術力」の部分なのだが、作品全体がやたらとアメリカナイズされている部分がどうしても気になったこと。これはもう、上か下かではなくて完全に好みの問題だと思うのでそこをネガティブに捉えてしまったのは本当に申し訳ないのだが、むしろ今後のアニメテクノロジーの広がりを考える上で有意義だと思うのでここで議論の俎上に上げさせてもらう。まず、今作におけるキャラクターのモーションは、いわゆる「海外のアニメ」を絶対に意識している。それはまとめると「ディズニー・ピクサーあたり」と言い換えてしまっていいと思うのだが(私自身、そちらの系列にあまり造詣が深くないのでこれまた感覚でしかないが)、少なくとも過去のオレンジ作品にはみられなかったモーションの「クセ」みたいなものが組み込まれているのは間違いない。1話目時点でそのことははっきり示されており、新番チェックでは「あんまり見ない演出だし、愉快ですね」と好意的に捉えていたはずだ。もちろん、このシャキシャキ動く独特のモーションについて「楽しい」「手がかかっている」とポジティブに捉える人も多いんじゃなかろうか。 じゃぁなんで私がそこを多少なりともネガティブに受け取ってしまったかというと、「その動きで描きたい全体像はなんだろう?」というのが私の中でまとまらなかったせいだ。CG作画におけるモーション作画ってのは、リアルを突き詰めていくと、極論すれば全部モーションキャプチャーとかで本物の動きをトレスしてしまうのが一番手っ取り早い。一昔前なら「予算が」「技術が」とハードルは高かっただろうが、おそらく今の技術であれば、本気でそういう制作体制も取れるはずだ。だが普通はそんなことをせずに「作画」という作業を行うわけで、そこには「アニメならではの嘘」が必要だという意識が働いている。実写で全部足りるならアニメなんて必要ない。そこに「リアルで描けないもの」があるからこそのアニメ文化である。そして、いわゆる「ディズニー的な動き」はそうした「アニメの嘘」の真髄の1つであり、数多の名作が独自の魅力を発信してきた。 今作ではそうした「既存のモーション」を模倣している部分があるのだが、さて、今の時代、日本のCGアニメというのはいったいどこへ向かっているのだろう。作画コストの削減などの理由はあるだろうが、やはり日本のアニメにおけるCG使用の最大の動機は「リアリティの創出」なのではなかろうか。最近になってサンジゲンの「ジャパニメーション的CGデザイン」などでその辺りの認識にも改革は起こっているが、少なくとも私のように頭の硬い人間は「リアルに寄せたい場合にCGを駆使してきたよね」という歴史的な変遷が脳にこびりついている。然して今作の場合はどうかというと、キャラの作画やメカニック・背景など、オレンジの技術の粋を集めてリアルで繊細な世界を創出しているのは間違いない。それこそが最大の魅力なのは疑いようもなかろう。そして、そこに息づくキャラクターのモーションもまるでキャプチャーしているかのように細かく設定され、本当にリアルだ。過去には生きた宝石や二足歩行の獣人など、「ありえないもの」を人間のように動かすことで、オレンジは圧倒的な描写力を誇示してきた。 しかし、ここに来てこの作品。今回はまごうことなく人間が主人公であり、人間を人間らしく動かせばいい。話は早い。しかし、そんな「リアルに寄せた作品世界」で、キャラがアメリカンアニメチックなモーションを見せる。それは確実に、「現実離れした動き」だ。この2つの目的意識に、どうにも齟齬を覚えてしまったのである。フィクションを現実たらんとさせる力、フィクションをフィクションに固定しようとする力、その2つがバッティングしているような、そんな感覚だ。こればかりは本当に「感覚」なので、私が感じた違和感はおそらく純粋な嗜好の問題でしかなく、あの動きを「新たなオレンジ的演出」として評価する人も多いだろうとは思う。そして、その方向性も正しいであろうという感覚もあるのだ。だから、ちょっと困っている。 まぁ、長々と書いてしまったが、要するに「やっぱり慣れないものを見ると戸惑っちゃうよね」程度の話なのかもしれない。続編の制作も決定してるようだし、続く物語を見せてもらう頃には、この作劇が完璧にマッチしていると思えている可能性もあるだろう。とりあえず、オレンジにはこのまま我が道を突き進んでチャレンジを続けて欲しいです。
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声優のこと全般
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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