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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「陰の実力者になりたくて!」 4→5

 とんでもなく中途半端な時期に終わったぞ? なんと2クール20話という変則構成……かつて1クール10話区切りの角川枠ってのがあったけど、もしかしてそれの豪華バージョンだったんだろうか。変な時期に終わられると、区分の上で冬終了にしたらいいのか春終了にしたらいいのか困ってしまうが……まぁ、どっちでもいいか。

 というわけで、よく分からんけどいきなり終わったなろう作品。原作もまだ完結していないようなのでどこかで区切りをつけるしかなかったとはいえ、20話で終わるにしちゃぁ微妙な幕引きであった。まぁ、どこで終わったところでこの印象は拭えなかっただろうし、武闘会終了のタイミングが一番無難だったってことなのだろうか。2期を考えての構成なのかもしれんね。

 さて、1話目が変則構成だったせいで「なんじゃこりゃ」と思って観始めた作品だったが、正直、途中で興味は一旦切れた。主人公のデザインはなるほど際立っていて、「厨二病異世界ギャグ」というあまり見たことのない展開が出てきたことには感心もしたが、そこからのシャドーガーデンを中心としたハーレムドタバタ劇は特に面白いもんでもなく、「雑多にキャラが多いなー」くらいの印象。お話がスタートした時点ですでにハーレムが完成しており、さらにそこからストーリーの進行によって女の子キャラが追加されていくという貪欲すぎるハーレム造形はいっそ潔くすらあるが、おかげで見るべき部分が絞られず、興味が薄れたのも致し方なしといったところだろう。

 ただ、そこから2クール目に突入し、話の中心が武闘会に絞られてきたおかげで逆に見やすくなっていった感がある。なろう作品で武闘会はお約束展開の1つであり、そこで対戦相手をボコボコにしながら「また俺何かやっちゃいました?」というところまでがテンプレだが、本作の主人公は「やっちゃいたい」という欲求に満ち溢れており、いわゆるなろう主人公とは一線を画す存在。結局やってることは超絶チートの瞬殺展開が続くだけなのだが、その際にいかにして弱く見せるかとか、その後の展開をどう運ぶかなんてところにばかり神経を使っており、バトルの実力やらなんやらが本当にどうでもいいのでむしろ気楽である。

 そうして主人公が裏の事情ばかりを考えているおかげでメインはむしろ脇のキャラの方になっていき、主人公の与り知らぬところで巻き起こっている陰謀について、みんなして必死に戦っている様子が見えるのはふつーのファンタジー小説と言える。まぁ、今作はファンタジーというにはいささか文明レベルが進みすぎてる感はあるが……でも、こういう近代以降の文明レベルで剣と魔法も交えたファンタジーを繰り広げるっていう目線も新鮮よね。なんだかんだ言って、きちんと他作品と差別化を図って「ならでは」のドラマを見せようとする気概は感じられる。基本がギャグなのであんまり真面目に受け取ってもしょうがないという諦めが先にあるし、主人公の「目立ちたい気もするけど、陰にもいたい」という一見すると矛盾しかない精神性も、それ自体が不条理ギャグみたいなもんだと思ってしまえば飲み込める。多少の理不尽もまかり通してしまえるので強みと言えば強みだったのかも。

 あとはまぁ、佃煮に出来るくらいわんさかいた女の子たちをちょこちょこつまみ食いする感覚で愛でていればそれでよかったんじゃなかろうか。キャストが現代アニメ声優業界を煮詰めて作ったみたいな壮絶な布陣になってるのもよかったですよ。まぁ、おかげで仕事が分散してあんまり活躍できなかった人もいたけども。エンディングが毎回誰になるのかが楽しみでしたよ。

 

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「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ TV Edition」 ―

 正規の放送アニメとは言い難いのであんまし書く意味も無いのかもしれないけど、一応記録上は視聴番組としてカウントしておくのでメモ程度に。

 こちらの作品は、以前上映期間中に知り合いから「上田麗奈ボイスの面倒臭い女が大好きなんだったら観ておいた方がいいですよ」と言われていたのだが、「上田麗奈ボイスの面倒臭い女は観たいが……」と悩んで結局視聴しなかった。理由は単に面倒臭かったから。というのも、この手の「単体で世界観が完結しておらずバックグラウンドの予備知識を必要とする作品」は個人的に何故かやたらとハードルが高いのである。事前にどこまで知識を入れたらいいのか分からないし、分からん状態で観て、知ってる範囲内での評価を出すのも何だかヘンな気がして、劇場作品はどうしても「よく知ってる作品の続編」とか「単体で完結するもの」に限定してしまう。よく知らんのでスラムダンクとか観に行かないのもこうした理由である。

 そんな事情があり、地上波で流してくれたのは渡りに船ではあったのだが……どうなんだろう、やっぱ劇場で観た方が良かったんだろうな、という気持ちと半々くらいかな。触れる機会があったのは大変良いことだし、気負わずに観る機会になったのはありがたい。ただ、やっぱその分どうしても真面目に観てなかった気はするな。「分からんもんは分からんからなぁ」っていう心情、仮に劇場で観ていたら「せめてこの1時間半は集中して話を受け止めよう」と覚悟を決められたが、4週に分割されたことで「分からん話が来週は解決するかもしれん」という漠然とした状態でほったらかしにされるので、毎週よく分からんの上塗りが続く状態になってしまった。せっかく時間をもらってるんだからネットで調べたりすればいくらでも背景はフォローできたはずなんだが、面倒でそれもやらなかったし……劇場ってのは「強制的に一定時間集中を強いる場」として機能するのだなぁ、というよく分からない学びを得た。

 あとはまぁ、やっぱり劇場用に作られてる作品なので、映像も音響も、大スクリーンで観ないともったいなかったってのはありますね。もうワンサイズ大きなテレビが欲しいなぁ。画面の明暗とかも家のテレビで見るだけだとだいぶ印象変わってただろうしなぁ。ただ、個人的にはこの最近の宇宙世紀ガンダムを描く時のゴリゴリのCG描写も良し悪しかな、という気はしている。MS戦はこれでいいんだろうけど、人のモーションにちょっと現実離れした部分が見え隠れする時がある。ただ、それを埋め合わせるくらいにがっつり魂のこもったモーション作画もある。この辺は完全に作画陣の手癖でしょうね。いろんな人の手に渡るのは劇場作品の宿命なので、担当したクリエイター次第でだいぶシーンのイメージが変わったんじゃないかな。コンテワークだけで言えば今作は村瀬修功と渡辺信一郎という贅沢な布陣ではあったのだよな。

 そんなわけで具体的な内容には触れずに済ますが、1時間半の「ガンダム映画」のくせしてMS戦闘のシーンがそこまで多くないっていうのは思い切った作劇よね。でもこれこそガンダム、って感じもするよなぁ。ロボでドンパチするまでに何があるかという裏側での攻防をねっちょり描くこの感じ。そして中盤の市街地にMSが降りてきてその圧倒的なサイズで人間を振り回す「人とMS」の対比の描き方。この辺りは他のロボアニメではなかなか味わえない妙味。まぁ、元々原作小説がそういう性格のものだったんだろうが、これをわざわざアニメ化しようという判断も興味深いし、余計な「アニメ化に向けて」みたいな色目を使わずにねっちょりじっとりしたままの雰囲気を表現できてるのはさすがだ。

 そして「上田麗奈ボイスの面倒臭い女」、ギギ・アンダルシア。本当に「上田麗奈ボイスの面倒臭い女」と表現するしかないキャラクターで、上田麗奈ボイスな上に面倒臭かったので最高ではありました。俺に勧めた知人、ちゃんと分かってます。まぁ、こんだけ毎回言ってりゃ分かるだろうけども。あと別に「上田麗奈ボイスで面倒くさくない女」でも同じ結論になったかもしれないけども。いや、面倒臭いのがいいな。面倒臭いか頭がおかしい方がうえしゃまボイスの切れ味は増すので。上田麗奈ボイスのキャラクターで一番好きなのは、上田麗奈です。

 

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「デリシャスパーティ♡プリキュア」 5→5

 ハイ、毎年恒例ではありますが、とにもかくにも1年間お疲れ様でした。最近はプリキュアロスと戦隊ロスのタイミングが微妙にズレたので1個ずつダメージが来るのは助かるような、かえって辛いような。

 朝から元気がもらえる、とてもオーソドックスでいいプリキュアだったと思います。個人的に好きだったポイントをいくつか上げていくと、まずキャラデザ。なんかこう、「ご飯のおいしさ」を前面に押し出すためか、例年に比べていくらか「丸い」印象のデザインだったよね。特にそれが顕著だったのがここねのデザインで、通常なら青キュアってクールポジになることが多いので(どこぞのライオンや一輪の花などを除く)もうちょいシャープなイメージがあるのだが、ここねちゃんは確かにクールはクールなんだけど、あまりクール要素が中心ではなく、顔にしろ言動にしろ、どこか丸みを帯びていた。まぁ、モチーフに「△・○・□」が使われてたから、ってのもあるけど。らんらんもコロコロしてて可愛かったし、あまねんもどこかにやわらかさのあるデザイン。もちろんバトルになればハードな展開もあろうが、ほわっとした優しさがデパプリの良さだった気がします。

 また、キャラの配置も割と好きな部類で、何といっても敵サイドの扱い。これは先週もちょっと触れたけど、最初に登場したセクレトルーさんが最後まで頑張ってくれたのが良かった。追加メンバーが後から増えたのに、2人(1人と1体?)が割と早い段階でリタイアし、裏切りメンバーばかりになっていたのにゴーダッツ様に献身的だったセクレトルーさんの甲斐甲斐しさがツボ。下手したら作中で一番いい人だったんじゃないか説まである。敵サイドの物語がちゃんと描けているってのは個人的にプリキュアの大きな評価ポイントで、我が心のナンバーワン「GOプリ」の良さもその辺にあったのでね。それもあって、最終回で3人が3人ともがっつり収監されてる描写があったのはびっくりしましたね……歴代的キャラでも明確に「犯罪者」ってレッテル貼られてムショ暮らししてたやつなんていねぇしなぁ。どれくらいの量刑なんだろう……。

 あと、男キャラの配置も割と好きだった部類かな。具体的にはブラペのことだけど、そりゃ百合百合してる方が好きは好きだけど、物語の掘り下げ方として恋愛要素はやはり欠かせないわけで、健気な男の子の奮闘が見られるのはそれはそれで良いものである。「実は父さん、クッキングファイターなんだ」というとんでもねぇ出自を知ってなお前向きであり続けたっていうだけで拓海は偉かったよ。

 ベースラインは色々と良い部分はありつつも、ちょい不満だった部分も無いではない。一番大きいのは、不可抗力とは言えやはり話数が足りなくなったこと。くだんの東映パニックの影響がどの程度あったのだろう、今作は45話と普段のプリキュアよりも数話少なくなっている(コロナど真ん中のヒープリと同じ話数)。その数話分がどの程度の影響になるか何とも言えないが、個人的に、脇のメンバーにもう1話ずつは振って欲しかったかな。主人公・ゆい、そして光堕ちの葛藤も含めたあまねのストーリーは足りていたと思うのだが、せっかくいいキャラだったここねとらんらんがねぇ。この2人のポテンシャルはこんなもんじゃなかったと思うのよ。各人、もう1話終盤に向けての核心に迫るお話があれば、4人全員が並び立てる良いチームになったと思うのだが……ちょい物足りない。

 また、これは随分根本的な話になるが、「食事」という最初のテーマ設定がやや窮屈な縛りになってしまった感もある。何しろ、どのエピソードも全て「食べること」に関係しなければいけないのだ。普段のプリキュアでも、1年のうち何回かは食べ物がらみの話というのは出てくるだろう。いわば「食べ物の話」はストーリーを作る上での1つのツールでしかなくて、それだけで引っ張り続けるのは結構な無茶振り。どうしても話の流れは似たようなものになってしまうし、その縛りのせいで各話ごとに切り取った時の印象はやや平坦になってしまった感がある。まぁ、大昔の戦隊ヒーローなんてもっとずっと平坦でテンプレをコピペしまくるような話作りだったわけで、それに比べたら今の作品はずっと話題のバラエティに富んでいるとは思うけども。

 というわけで一長一短ありで一応評価は平均値にしときます。決して嫌いな作品ではなくネガティブイメージは無いので、今後のプリキュア・ユニバースの展開でこの4人が帰ってきたらそれはそれで嬉しく思います。

 さて、来週からはまた新たなプリキュアがやってくる。すでに話題騒然(?)、史上初のセンター青キュア。次の青は、どうやって既存のプリキュア像をぶち壊してくれるか、今から楽しみである。

 

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「機動戦士ガンダム 水星の魔女」 6→7

 例によって最終回の感想を書いた時点で満足してしまい、総括するのを忘れていました。最近ちょいちょいこういうことあるな……いや、今期はさ、延期されたりなんだりで終わりそうで終わってない作品が多くて、節目になるタイミングがよくわかんなかったのよ。おかげで新番チェックとコレが入り乱れて大混乱ですわ。(以上、言い訳終わり)

 てなわけで今期も一通りの番組終了ってことでいいのかしら。終わってないのが延期に次ぐ延期で全然放送されなくなった「メガトン級ムサシ」、変則日程で分割クールだかなんだか分からない「アイナナ」、よりによって最終話で万策尽きた「異世界おじさん」、そしてもうクールとかいう概念もぶっ飛んで作ってんだか作ってないんだかすら分からない「艦これ」あたりがまだ残っているのだが、一旦ここで数字だけカウントしておくと今期の番組感想本数は30本。前クールが42本とあるのでガクッと数を落としたように見えるが、上述の通りに「終わらなかった」作品が何本かある他、今期は引き続き放送中のタイトルが割と多いのでここで切れ目となった作品が結果的に減少している。まぁ、新番チェックが終わった時に今期視聴本数がどうなっているかでなんとなく見えてくるだろう。

 閑話休題、今作の感想だが……まぁ、毎週だいたい書いてたし、そもそも全然終わってないので今何かをまとめる意味も無いのだが……素直に楽しんで観ていましたね。新番チェックの時にも書いたのだが、私は基本的にガンダムというジャンルとあまり相性がよくなく、さらに日曜夕方枠とも相性が良くない。その結果これまでいろんなガンダムを経てきたくせにどれも大して印象に残っていないという残念な状態だったのだが、そんな私の概念をひっくり返したのが今作である。ただ、「よしっ、これでガンダム恐怖症が治ったぞ!」となるかどうかは微妙。まぁ、「何をもってガンダムとするか」なんて不毛な話をする気もないが、およそ「らしからぬ」ところに面白みを見出していたのは事実で、「変化球だから打てた」みたいなところは正直あるだろう。考えてみれば「日曜夕方枠が苦手」とは言うが、日曜夕方でも最高にハマった作品はあるのだ。それが「コードギアス」だ。つまり、今作は形を変えたギアスみたいなもんだよね、という楽しみ方が出来てしまったが故のこの評価といってもいいのかもしれない。

 大河内脚本が割と相性がいいのは知っていたが、もちろん今作はそれだけではないはず。やはりサンライズの技術力があり、そしてなんと言っても監督の小林寛の力がある。この一見するとイロモノでしかない世界をなんとか「ガンダム」という枠の中に入っているように見せつつ、伸ばしやすい方向にまっすぐに魅力を伸ばせるけれんみ溢れる演出力。見ればかなりの話数でしっかりとコンテ段階から関わって作品世界を統制していたことが確認できるし、きちんとゴールを見据えて一歩一歩積み上げていったからこそ、最終回でそれをどんがらがっしゃんとぶっ壊した時の爽快感が滾る。「ガンダムっぽくないよねぇ」を逆手に取った最も際立つ「ガンダムらしさ」を最後に持ってきたこの1期目、確実に制作側の狙い通りになっただろうし、それに一喜一憂しつつ全力で手のひらの上で踊らされていたのはむしろ快感ですらある。別に何かとんでもないサプライズを用意しろというのではない。ちょっとずつちょっとずつ、視聴者の興味が湧く方へ、導線をひいてくれればそれでよかったのだ。

 あとはまぁ、やっぱり女の子だらけのガンダムという禁断の一手が、ここまで受け入れられたのは……時代の流れとかじゃなく、純粋にデザインと作り込みの勝利だと思いますよ。改めて見て、やっぱスレッタって普通の「可愛い」じゃないし、チュチュなんか初登場時にどんだけ突っ込まれたか分からんおかしなデザインのはずなんだよ。それが違和感なく溶け込み、魅力的に見えてくる世界を作れたってのはキャラ描写の手数の多さもあるし、純粋な作画力もあるでしょうね。こういう時にサンライズが強いってのは、もうラブライブで嫌というほど分からされたことですんでね。

 さて、とにもかくにも3ヶ月のクールダウンを置いて、地獄の2期目に突入するわけだ。マジで地獄だろうなぁ。というか、地獄にしてもらわないと視聴者も納得すまい。でもなぁ、これがギアスだったら、ロロが出てくるタイミングなんだよなぁ……(いや、あれは2期からなのであと1クール待たないとダメか)。

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「恋愛フロップス」 5→5

 何か野心的なことをやろうという意思は感じられる作品だし、個々の要素で拾い上げるべき部分もあった気はする。ただ、その狙いどこか散逸的になってしまい、ここぞという決めポイントが見出しにくい作品になっていた気がする。

 前半部分が徹底したエロバカギャグアニメ、後半はその世界を丸ごと飲み込んで、サイバー混じりのジャンプアニメのようなバトルに、生き死にを交えたヒューマンドラマを交えた展開。そんだけの要素をごった煮にして成立させようってんだから、今作の脚本家はどんだけ強欲なのかと驚くばかり。そして、おそらくこれが3話ずつの別作品だとしたら、それなりに成立していたんじゃないかと思える程度のクオリティにはなっている。特に前半のエロバカハーレムパートの間はまだ試聴するモチベがそこそこ高かったのでちゃんと見ていたのだが、どの話数でも潔く頭のおかしなことをやっており、温泉天狗回とかコンドーム魔法少女回とか、「振り切れたバカは大事だなぁ」ということを身をもって教えてくれる佳作(?)になっていたと思う。いや、バカなんだけどさ。受け付けない人にとっては本当にノイズでしかないんだけどさ。そういうバカって、やろうと思ってもできないクリエイターは案外多いわけで、狙った通りの振り切れ方に仕上がっていたのだからそれは評価してよかったと思うんだ。

 ただ、そこから伏線を回収して仮想空間を飛び出した後のドラマについては、いくらか安っぽさが気になった。まぁ、病気の彼女を看取る悲恋なんてそんなにパターンも無いから底が見えるってのは別に構わないのだが、今作の問題点は、むしろそうして別々なパートを強引に1つの看板の下で繋いでしまったことだったんじゃなかろうか。「前半あんだけバカなことやってて、今更こんなシリアスやられても……」という気持ちがなかったと言えば嘘になってしまう。また、これは後付けかもしれないが、序盤の段階で「この世界は裏がありますよ」ということは執拗に匂わされており、その「匂わせ」が突き抜けギャグにもどこか影を落としていたようにも感じてしまう部分があった。頭空っぽにして笑い飛ばしておけばいいのか、それとも後からひっくり返ることを前提として注意深く見守らなければいけなかったのか。それがはっきりしなかったせいで、どうにもうわついた試聴感になってしまった。

 これってすごく贅沢な悩みで、伏線なんて張らなくても今作は成立したと思うんだ。それでも、作り手側は1つの物語としての整合性を大事にして、きちんと「そういう世界に飛んでもおかしく無いだけの下地」を作ろうとしていた。それは誠実さとも言えるし、馬鹿正直さとも言えてしまうかもしれない。おそらく今作はこうして全くテイストの違うシナリオにグルリと展開していくそのギャップを売りにしたかったと思うのだが、正直に伏線を置いたせいでそのインパクトは確実に薄れてしまった。「まぁ、そういう世界だよね」と、なかば了解がある状態で先へ進んでしまった。そこはもう、エロバカに振り切って「どないやねん!」の勢いで誤魔化してもよかったんじゃないかと思うのだが、クリエイター目線ではそれも許されなかったんだろう。多分、ぶった切って強引に繋いだとしたら、それはそれで「こんなの無茶苦茶やんけ! 前後のつながりを何も考えてないクソ脚本!」と思われていた可能性もあるのだ。また、完全なエロバカアニメだと思ったら離れてしまう視聴者もいるかもしれないので、どこかで「餌」を巻いて「ほら、後半まで気になるでしょう? 続けて最後まで見てくださいね」という誘導をする目的もあったのかもしれない。見せなきゃついてこないかもしれないし、見せたら見せたで「もう見たから」と言われてしまうかもしれない。こんなもん、一番いいバランスなんて分かるわけないよね。だから、私もここまで書いてきた不満がいちゃもんだってことは薄々感じてるんですよ。

 でもまぁ、そんなことを考えながら観ちゃったもんでどっぷりハマれなかったのは事実です。最初に書いた通り、単発のお話としてはいいもんはあったと思うので、話数毎のバラ売りで見せていってもいいのかもしれませんね。いや、どんなセールスを狙ってるかは知らんけども。博士がコンドーム妖精の伏線回収した時の「アホか!」というあの感情、プライスレス。

 2022年最後の記事がこれかい!

 

 

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「チェンソーマン」 6→6

 世間的には随分物議を醸していた様子の作品。ま、なんにせよ話題になるのは悪いこっちゃないんだろうけど……なんかこう、現代アニメが抱える苦労を余計なまでに背負ってしまった作品、という気がするわね。

 まず、私個人の観点で言えば「ふつーに良いアニメ」である。とにかく金が掛かっていることは分かるし、作画演出に相当に気を遣って「アニメにした意味を見せつけたい」という意気込みが感じられる。これだけのクオリティでアニメ化されたなら何をか文句を言わんや、という感じ。シナリオラインについては原作をほとんど知らんかったので「こういう流れかー」とただ飲み込むだけだが、やっぱり「ジャンプにこれが掲載されてるのか……」というのはちょっと驚きですね。小学生のお子さんとかが読んで、情操教育にどんな影響があるのかはドキドキもん。まぁ、昔のジャンプ漫画でいえば「ゴッドサイダー」で育った子供もいるわけで……(だいぶニュアンスは違わないか?)。このアクの強さをアニメにしようとしたら、色々とハードルも多かろうというのも納得できる部分だ。決して「置きにきた」及び腰の作劇ではないし、アニメ作品として一本芯を通した責任あるお仕事ができていたんじゃなかろうか。

 とまぁ、作品全体の意義は認める派だが、世間的にやたらと嫌な方向に不満が湧き上がっているというのもなんとなく理解はできる部分。どうやら実写映画をイメージした作りを念頭に置いているらしく、アクの強さが売りの作品にしてはクドさが足りない、ってのが不満が持ち上がる一因になっている様子。そこはどの部分を一番アニメで拾いたいかという制作理念の差だよなぁ。私の場合、そもそも原作の絵があまり受け付けないもので、乱雑な線をアニメでスマートにまとめ上げてくれてる方が見やすいと思ってしまうタイプだが、そうしたクセもアクも丸々飲みこんで見事な画面を生み出していた「モブサイコ100」という作品が同時期に放送されていたことを考えると、「もっと挑戦せいや」と文句を言うファンが出てくるのはしょうがないところだろう。「解釈の不一致」ってのはどうしようもない現象である。

 どっちかと言うと、そうして「演出の方向性の違い」で議論が起こることはむしろ良いことだと思う。こうした話題作でもない限りはなかなか細かい演出方向にまで目を向けるユーザーは多くないだろうし、賞賛だろうと批判だろうと、「より丁寧に見て判断しよう」という流れがあるならそれはアニメファンとしては歓迎すべきこと。ただし気をつけねばならないのは、そうして議論が起こり誰かが「嫌いだ」と断じた際に、「なるほど、この作品はダメなのか」と思考を伴わずに飲み込むだけの消費者がいることであろう。おそらく、現代アニメはそうした「評判の流れ」に影響される部分があまりに大きすぎる。評価軸をきちんと定めた上で、良いところと悪いところ、好きなところと嫌いなところをしっかり見極める努力は怠ってはならない。

 今作とBLEACHではチャレンジしてる水準では比肩するものだと思っているので点数は同じにしている。話題作だからこのままシリーズが続けられるだろうという部分も一緒。せっかくこの方向に走り出したのだから、製作陣は恐れずに突っ走って結果を残して欲しいと思っちゃうのである。

 

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「勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う」 4→3

 ないよォ、興味ないよォ!(画像略) 今期は農民とビーストテイマーがなろう界隈の二大巨頭ということになりました。互角の競り合いを繰り広げていたが……映像部分のショボさは農民に軍配が上がるが、シナリオの痛々しさという尺度だとこちらがさらに上手。いや、下手。「じょうず」「へた」でも「かみて」「しもて」でもなく「うわて」の対義語はなんて読むんだろう(正解は「したて」だそうです)。

 そうなんだよ、映像部分は割と減点要素が少ない作品ではあるんだよ。特に重要なのは女の子がどれだけ可愛く描けているかという部分で、1枚絵で見れば今作のモンスター娘っ子どもは割と可愛い。趣味丸出しのケモ要素多めだが、まぁ、タイトルにそう書いてあるんじゃしょうがないだろう。女の子が可愛く描けているハーレムものならそこまで点は下がらないんじゃないかとも思えるわけだが……それを埋めてあまりあるくらいに筋立ての痛々しさがキツい。ワシが一番苦手としているなろう要素じゃ。

 私がダメな要素1、主人公が本当に自分の実力について余計なまでに謙遜しすぎて気持ち悪い。いわゆる「俺なんかやっちゃいました」系主人公なのだが、そこに妬み嫉みや嫌がらせしたいという悪い感情がなく、純粋にヒロイン勢のために自分の冒険を頑張ろうとしたらたまたまた「やっちゃいました」という流れ。もう、それならちゃんと身の丈に合った活動をしてくれるかな? そこで遠慮するのは謙虚とかじゃなく、単なる客観視できてないバカだぞ? そんな情けない主人公をひたすら周りのヒロインがヨイショするというデザインも存分にキツく、女の子がいなければ自己肯定もできない主人公が気持ち悪い。

 私がダメな要素2、ザマァされる勇者パーティが本当にイタい。「悪い奴」として描くのはまぁしょうがない。というか、突き抜けた悪役として描いた方が構図が分かりやすくなるのでまっすぐなシナリオにしたいなら正解とも言える。でも、ほんとに「単なる性格が悪いだけのクズ」を勇者にしてしまうと、「じゃ、なんでお前そんな奴んところで働いてたんだよ……」という疑問がついて回るのでずっと気持ち悪いまま。勇者というポジションについてもあれこれ説明はあったみたいだが(例によってろくに聞いてないけど)、もし本当に勇者が絶対であり、この世界に不可欠な存在であるとするなら、離反してハーレム経営してる主人公は世界よりも自分を優先したダメな奴ということになってしまう。勇者がそこまで御大層な身分じゃないとするなら、やっぱり単なるバカである。勇者目線で散々「普通のビーストテイマーとの差」を見せつける展開になっているわけだが、重ねれば重ねるほどに痛さが増すし、重ねないと理解できない勇者チームの無能さが浮き彫りになる。最終的に単なる野盗にまで落ちぶれてるし……そこまで他者を貶めないと持ち上げられない主人公って……。

 今後のなろう、こういう方向性が先鋭化してくるとますますキツくなる。なんとか私のメンタルに優しい方向に進化していてほしいものである。

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BLEACH 千年血戦篇」 6→6

 いやぁ、オサレでしたね……。初代アニメからここまできっちりイメージの刷新を図れるとは……。

 考えてみりゃ、数年越しの再開(?)とはいえ、今作は原作シリーズの集大成となるラストパート。それまで培ってきた漫画原作やらアニメやらの何もかもを飲み込んだド級のクライマックスなわけだ。そりゃぼんやり見てても盛り上がってるのは分かるってもんでね。わたしゃ鰤フォロワーじゃないのでディティールはさっぱり覚えてないし、このシナリオに至るまでに何があったかなんて記憶の彼方だが、そこまで頭を使う漫画じゃないのでついていくのに大した労力はかからない。「そういやこんな奴いたな!」っていう経験を何度も重ねているうちに少しずつ記憶も修復されていき、たっぷり積もった歴史を体感することができるようになる。原作を毎週ダラダラ見せられるのは苦行だったかもしれないが、こうしてひとまとまりになったエッセンスだけをグイグイ飲ませてくれれば、素直な少年漫画として楽しいもんである。

 そしてそんな大仰な歴史を演出するオサレ演出の数々。この見せ方が正解だよなぁ。夕方アニメだと実現しにくかったクドさ優先のオサレアニメ。毎週垂れ流されるポエムにキュンキュンしちゃいますよね。作画リソースも贅沢盛りになり、アクションアニメとしても楽しめるし、とにかくキャラがわちゃわちゃしているのであっちもこっちも大騒ぎしてる様子を見ているだけでもお腹いっぱいである。こうしてみると、嫌ってたはずの漫画なのに内容は案外頭に入ってたもんだなー。

 今回はあくまで「最終章の序章」。今後は最後の最後までゴールを目指して走っていくことになるんでしょう。10年のブランクが空いてもこんだけ観られたんだから、こっから多少間が空いても問題はなさそう。のんびりやっとくれ。

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「後宮の烏」 5→5

 今期並みいる爆発作品の1つ。今期はあれよね、割と素直に「はいはい、爆発爆発」って思える作品が多かった気がするんだけど、今作もその代表格。不器用なカップルの辿々しいお付き合いを見て、「ガンバレッ」って応援したくなっちゃう。

 いわば「中華風『虫かぶり姫』」である。いや、単に順番の問題なのであっちを「西洋風『後宮の烏』」と表現してもいいんだけど、流石にあっちは後宮じゃなくてバリバリの正室だからな。さすがに語弊があるわ。いや、そんなんどうでもよくて、試聴時の印象はこの2作でかなり被るのよね。王族に座す者どうしの恋愛がテーマの1つになっており、ヒロインの方はちょっとどこかズレたところがある「おもしれー女」枠。身分や環境に振り回されながらもお互いの気持ちを少しずつ確認していき、いつしかその距離がとても縮まっていて爆発、そういうざっくりしたまとめ方をすれば、まぁ似てると言えば似ているし、似てないといえば似てないね。

 もう1点共通するのは、作品の大きなセールスポイントに「顔が綺麗」があるということ。「虫かぶり姫」のエリィはCV上田麗奈のパワーもあって(?)本当に可愛らしいルックスが魅力だったが、今作の烏妃も、とにかくビジュアルがふつくしい。中華風デザインってそこまで目にするものじゃ無いから目新しさもあるんだけど、目元のメイクの具合とか、髪型のデザインとか、全体的なルックス(ビジュアル)が本当に蠱惑的で、どうにもそそられる。こちらは妖の類を扱うお話ということもあり、ちょいとミステリアスな雰囲気で異質さを強く後押ししているのも惹かれる要因だろうか。1枚絵で見た時に今期一番美人だったのはもしかしたらこの烏妃だったかもしれない。

 ビジュアルイメージという点ではこうした「中華風」の雰囲気作りも作品全体の魅力の1つで、何気ない建物の外観、内装や料理の見た目1つとっても「あ、中華風だ」ってんでどこか憧れを持って見てしまう部分がある。別に中華風だからって憧れる理由もないはずなのだが、なんだろ、やっぱりこういう昔からある「ステレオタイプ中華風」ってどこかノスタルジックな匂いもあってそそられるのよね。これ、多分中国が作ったアニメの風景を見てもそうはならんのよ。日本人が考えて、日本人が作ってる「なんちゃって中国」だからかえって理想化されて綺麗に見えてる部分はあると思う。

 とにかくそうして見た目に美しい作品だし、メインヒロインの烏妃は可愛い。従者の九九だって可愛い。そんならもっと点数上げてもよかったじゃん、とは思うのだが、如何せんお話の方は……まぁ普通なのよ。「宮中にお化けが出ました」→「なんやかやで悲しい話や救われない話がありました」→「事情をだいたい理解した上で、祓っておきました」が基本形で、各々のショートストーリーにあんまり差がないというか……その間にきちんと烏妃と帝の関係性なんかが進展し、烏妃の出生についても掘り下げられているので決して同じことの繰り返しではないし、中心となるロマンス要素は割と魅力的だったとも思うのだが、やっぱり1つ1つのサイドストーリーにもうちょい厚みが欲しかったかな。毎回出てくるヘンテコ中華風人形劇の画面は好きだったけどね。

 でもまぁ、毎週見てても特に退屈はしないし、アニメとしての一見の価値はあるクオリティだと思いますよ。思いっきりデレた烏妃が今後宮中でどういう生活を送っていくのか、続きが見てみたい気もするな。

 

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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