最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「恋と呼ぶには気持ち悪い」 5→5 ちゃんと気持ち悪かったですね。最後には丸め込まれることは分かってるんだから、その間、どこまで「イケメンだけど気持ち悪い」を維持できるかって勝負だったと思うのだが、なかなかどうして、気持ち悪かった。 正直、特筆すべきことはない少女漫画展開である。イケメンだったら何をやっても大丈夫、というか、少女漫画世界のイケメンはイケメンな上に誠実なので基本的に外野は太刀打ちできない。これにさらに稼ぐ能力まで持ち合わせた完璧超人が主人公とあっては、そりゃどんだけ頑張ってもクラスメイトの男子高校生が太刀打ちできるわけもない。半端にいい奴で理解力が高いだけにさっさと手を引く選択をした彼があまりに不憫であった。 ただ、そうした「誰がどう見てもそうなるやん」と分かっている展開の中にあっても、「気持ち悪い」というタイトル要素がかなり頑張って維持されてるってのはわざわざ今作を視聴するための大きなモチベーションになる。女性目線で今作をどのように見ているのかはどうあがいてもわからないのだが、男目線では、「気持ち悪いと罵りながらも少しずつ陥落していく女子高生」を楽しむものであり、「気持ち悪さもいつかは美徳になるのかもしれない」というよく分からない儚い希望を持って、冷たい視線にドキドキすれば良いのである。うん、一花ちゃんは空気を読んできちんと拒否できる良い子。そして今作の場合、周りの人間にもすごく恵まれているというのが大切なポイント。人格に難を抱えているキャラクターって、強いてあげるなら有馬家の親父さんくらいだと思うのだが、あの親父さんも決して単なる悪役ではなくて、「人の親ならしょうがないかな」という範疇に収まった敵キャラだからね。気づけば周りの人間はそれまでの亮の遍歴も忘れるわけではなく、それを踏まえた上で「女子高生とよろしくやればいいじゃん」というスタンス。そこに至るまでに、ちゃんと必要な手順は踏まえていただろう。結局、恋愛ってのは根気の勝負なのだなぁ。 女子高生は拾わずに、きちんと正面からのお付き合いから始めましょう。
PR 「戦闘員、派遣します!」 5→5 お気楽ファニー作品。後を引く部分も特にないが、さっぱりと終わってくれると切り替えは楽でいいですな。 点数で見れば「このすば」には及ばないが、まぁ、作品の立ち位置が違うので当然といえば当然か。作者の中でどういう扱いなのかは分からないが、今作に見え隠れする特性がうまいこと一点突破型で突き抜けた上で、アニメ製作にも恵まれて一気にブレイクしたのが「このすば」であり、今作はその習作みたいな扱いだったんじゃなかろうか。あんまり比較しても意味ないのかもしれないが、やっぱりこの順番で見せられた視聴者はどうしたって比べてしまい、そこになんらかの理由を見出したくなるもの。見当はずれなのかもしれないが、やっぱりその辺りのポイントをいくつか確認してみたい。 本作で一番勿体無いと思ったのは、それぞれのヒロインの際立ちである。私は1話目視聴後に「ヒロインが美味しいポジションなのは相変わらずだな」と書いているのだが、その時に「ヒロイン」と名指ししているのがスノウなのである。まぁ、そりゃ素直に見たら駄女神ポジションはスノウに決まってるからね。ただ、実際にはスノウはあくまで「数多のヒロインの1人」であり、ウェイトで言えばロゼやグリムと大差ないし、盤外にはアスタロト様みたいな特別な存在もいる。6号と誰の関係を中心にいじるかというのをはっきり定めずに「悪行ハーレム」を構築していったため、良い言い方をすれば満遍なくいろんなキャラを楽しめるようになっているが、嫌な言い方をすれば浅く広くで止まっている。このすばのあの濃度と練度はやはりアクア・めぐみん・ダクネスという3人のヒロインにあらゆる残念要素を詰め込んでネタ化している部分にあると思うので、その分だけ鮮烈さでは劣る。もしかしたら今作でのスノウの立ち位置に磨きをかけて先鋭化させたのがアクア(&ダクネス)なんじゃないかと勝手に思ってるんだけど、実際の製作理念はどうなんでしょうね? また、これも状況としては裏表の関係だが、6号の主人公設定にはまだまっすぐさが残っている。普通に戦闘力が高く、紳士的な部分での格好よさが案外見え隠れしたりする。すけべで無責任で怠惰であるというクズ要素はたっぷり持ちながらも、一応、ハーレムを形成するにたる魅力を持った人物として描かれているわけだが。その辺りは純正クズニートのかじゅま様とは一線を画すだろう。まぁ、カズマはカズマで格好いいところを見せたりもするのだが、やはり彼には3大ヒロインと渡り合うだけのゴミクズっぷりが不可欠。6号の見せる男前ポイントは、まだまだなろう的なニュアンスを残した部分だったと見ることができるだろう。 もちろん、そんな6号もクズであるという部分は疑いようがなく、それこそこのすばで爆発するギャグリソースの根幹はここで築き上げられたのだとも言える。6号が持っていた「悪」という便利な免罪符すら奪い去り、全ての要素を人格に還元させたが故に逃げ道を失った純正クズのカズマは、悪行ポイントの代わりに人並み外れたラックという武器を与えられた。もう、ネタにするなら余計な理由などつけず、理不尽なくらいに勢いに任せてしまおうってことだ。そう考えると、6号が加速した最後の弾丸が、もしかしたらカズマという天性の英雄を生み出したのかもしれない。そう考えると、やはり興味深い作品であった。 なお、最終的に私が一番好きなヒロインはリリス様。
「セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-」 5→5 今作最大の難点は、タイトルを声に出して読もうとするとどうしてもイントネーションがゴー☆ジャスっぽくなってしまう部分である。そォれ! えっとね、案外嫌いじゃなかった。そこまで奇をてらったデザインでもないし、「まぁ、そういう感じやろな」くらいのお話ではあるのだが、要所要所でしっかり視聴者を手放さないような展開を用意してくれていたおかげで、ソシャゲアニメで陥りがちな「もうこれ、観なくてもいいじゃね?」というトーンダウンが発生せずに済んだ。いちいち「へぇ、そういう展開になるのか」となんとなく気にさせてくれるバランスはソシャゲやらなんやらを抜きにして、ファンタジーアニメとしては模範的な構成だったと思う。具体的にはありがちな「敵キャラ3人衆」的展開が嬉しいレダの扱いとか、毎度おなじみ(?)ソフィーティアさんの逆転劇とか、満を辞して前に出てくる主体性のない女とか、きちんと「一本のお話を作るよ」という責任感が感じられる。そりゃまぁ、全編通して「どっかで見たことはあるわ」と言われたらそれまでだが、別にどっかで見たことがあることは減点要素にはならないのである。「見たことある気がするけど気になるからやっぱり見るわ」になれば勝ちだ。個人的には「オルタンシアサーガ」と似たような立ち位置ではあるが、全体的な均整を考えるとこちらの方が評価は高いかもしれない。 作画もそれなりのラインで安定していたし、女の子が可愛らしい部分は積極的に打ち出せていたというのも評価を支えるポイントになるだろうか。推しはレダさん(キャラデザのやけっぱち感が好き)だが、やっぱエレンさんの美味しい立ち位置も見逃せないだろう。最初は百合キャラまっしぐらっていう意思表明なのかと思っていたが、まさかそんなバックグラウンドを抱えていたとはね(そして綺麗に百合的ゴールインに帰結するという)。あと、これは完全に中の人の評価になりそうだが、ソフィーティアさんは登場時からそこはかとなく「私、怪しいキャラですけどね」って雰囲気を匂わせているさじ加減はうまい。包容力のキャラに振るか、腹黒ラスボスに振るか、そのあたりの変幻自在のプランは圧巻の17歳である。人として生まれたからには、定期的に悪い井上喜久子を摂取したくなるもんですからね。まぁ、今期はどこぞのピエロもいたのでやや過剰摂取気味ではあったけど。ちなみに私が初めて摂取した「悪い井上喜久子」は「キディ・グレイド」です。なんで今作の感想が最終的に17歳トークになってるのかは謎。
「SSSS.DYNAZENON」 6→7 あいも変わらず、と言いたいところだが、その実けっこう新しいポイントも攻めていけるスタジオ、それがTRIGGER。 やはりこの独特の面白さは「狙わらないと出せない」部分だろう。音響の使い方や芝居の間の取り方。独特の空虚な構成のはずなのに、そこに一番似つかわしくない「巨大ロボVS怪獣」なんてモチーフをぶっこんでくる。いや、どちらかというと本筋がそっちで、「怪獣アニメなのになぜか周りが空虚」と言った方がいいのだろうか。この「どこか虚ろな世界」は、もちろん前作「グリッドマン」から踏襲しているものであり、グリッドマンの場合、「この世界は電脳の中にある神に作られた世界なのだよ」ということを表すため、いわば本筋の最重要ポイントとしての虚無であったわけだが、今回はすでにそうした虚無には大きな役割は求められていない。それでもなお、きちんと作品のつながりを見せ、ファンに「続編なのだなぁ」ということを伝えるために、しっかりとこの世界を守り続けている。公式の言葉でいうなら、これこそが「GRIDMAN UNIVERSE」だ。 興味深いのは、そうして「虚無」自体がそこまで大きな意味を持たなくなった世界で、今度は何を描くのかというテーマ設定だった。グリッドマンの場合は「この作られた空間と神」という背景自体が最後の最後まで物語を支えるパーツだったが、今回は視聴者が最初から「そういう世界なんだよなぁ」とわかった上で視聴しているわけで、残念ながら2回続けて同じプロットでは引っ張れない。そこで、今回は同じ世界をつなげながらも大胆に舵を切り、今度は「そんな虚無の世界だけど、頑張って生きてる人たちがいっぱいいるんだよ」という物語を作ってきたわけだ。高校生という設定自体はグリッドマンのときと同じだが、彼が常に外を外を目指し続けていたのと対比的に、こちらの世界は「外」をどれだけ提示されたとて、その「外」にはあまり興味を持たず、例えばちせちゃんはゴルドバーンとの別れを素直に受け入れた。今作で描くべきは、世界構造ではなく、その中でのドラマだ。 また、これはだいぶ下世話な話になるが、グリッドマンの方は六花&アカネという2大ヒロインが、そりゃまーけしからん方向に評判をぶち上げてしまった。おっさんたちに響く昔懐かしい特撮ヒーローの帰還アニメだったはずなのだが、別な意味でおっさんに(も)響く太ももおっぱいえちえちアニメになってしまったのである。そりゃま、キャラ萌えとエロで釣るのは製作側だって望んでやってるんだろうから結果オーライなのだが、「いやいや、そこばっかりウケても、それって円谷さんに申し訳なくない?」ってんで、今回はそうしたキャラ萌え要素はかなり意識して削ってきたものと思われる。何しろオラついた5000歳の変人やら、30過ぎた引きこもりニートやらの活劇なのだ。まぁ、やっぱりムジナさんはエロかったとは思うが……そういう引きではなく、あくまで夢芽とヨモギには、プラトニックでまっすぐな恋愛を紡いで欲しかったわけである。そして、それは成就したと思われる。 こうしてきちんと続編としての縦軸を繋ぎながら、2期目という高いハードルを綺麗に飛び越える作劇ができるのは、やはり自分たちの持っている道具立てに自信があるからこそなのだろう。むせ返るほどに暑苦しいロボット活劇でも、どったんばったん大騒ぎな怪獣騒動でも、やはり画の説得力があればこその作品。今後とも、そこはぶらさずに新たなUNIVERSEを作り上げて欲しい。 ……まぁ、おっぱいはあってもいいけどね。
「バック・アロウ」 6→5 悪いアニメじゃない。それは間違い無いと思うのだが、何だろう、弾けたインパクトが残せたかと言われると……うーん。 当初期待していたほどの異端児になりきれてないな、というのが素直な感想。脚本に中島かずきというだけで期待してしまう要素ってのはあって、それってやっぱりグレンラガンだしキルラキルなんだよね。プロメア的なサムシングでもある。そして、こうして並べてみると、私の思う中島かずき観って、本当にガイナ的要素と不可分だったんだな、ということがよく分かる。現TRIGGERの持つなりふり構わぬ作劇体制が、伊達とけれん味で勝負を挑む中島脚本にはベストマッチしていたのだ。私は谷口悟朗も好きなクリエイターの1人なのは間違い無いのだが、今作に限っては、谷口さんのバランス配分が狙っていたハジケ要素を抑え込む方向に働いてしまったかな、という気がするのだ。 もちろん、そんな中にも楽しい部分は多々あって、個人的に推せる最大のポイントは「じじい大活躍」っていう部分である。男くせェキャラが大挙して言いたいことだけ言って散っていくのはいつも通りの展開なのだが、そんな中でも有無を言わせぬ存在感を持っていたナンバーワンキャラはやっぱりゼツ陛下だっただろう。そもそも「テメェが強くなりすぎたせいでこのリンドが歪んだんだよ」って言われている存在なので、アロウを敵側の刺客であるという真っ当な見方をすれば主人公は爺さんだったのである。やりたいことをやり、言いたいことを言って散るだけのジジイなのに、そこに一切の弱みがなく、とにかく「つえぇ! かっけぇ!」というだけで退場するというのはあまりに美味しすぎる。すでに今年度ナンバーワンジジイキャラの座は硬いだろう(どんだけライバルがいる部門なんだ)。他にもシュウの立ち位置はやっぱりずるいだろうし、大元帥みたいな立ち位置のキャラがしっかり最後に活躍する展開も心得たもの。毎回、その場限りの馬鹿騒ぎとしてみればスカッとする部分の多い気持ちの良いアニメである。 ただ、そうした馬鹿騒ぎが本当に一過性のものになってしまうのはしょうがないところで、2クールというそれなりの長丁場の中、退屈が全く無かったとは言えないだろう。頭の悪いキャラが多いおかげで敵対関係などの絡みもシンプルなものになるため、どっかんどっかんぶつかっている構図も、一歩離れてみれば「まぁ、そうなるわなぁ」というくらいのもの。出来れば世界設計とかアロウの存在理由とかに、もう一捻りあればクライマックスに向けてのモチベーションがあげられたのだろうが。そして、やはり一番痛いのは作画のスタミナ不足。要所となる巨大戦闘やら合体シーンやらと力を入れるべき点は分かっているのだろうが、それ以外の通常進行のパートが全体的に低調で、アニメとして毎週楽しく観るにはやや物足りない。思い切り歪んでてもいいからパッション優先でイデオロギーを貫き通すTRIGGER作画が恋しくはなってしまう。まぁ、その辺りはこちらが勝手に期待したものと違ってがっかりした独り相撲のきらいはあるが。あと、個人的には女の子の活躍シーンがもうちょい多ければなぁ、というのも。フィーネさんがネタをやりきったあたりでもう女性キャラの影が薄くなっちゃってて、フル回転して欲しかったレンが予想通りにシュウの野郎にうまく丸め込まれちゃったのがね。最後の最後まで不憫根性を貫いていれば輝いたんだろうけど……それだとあまりに不幸すぎるからなぁ。 まぁ、でも2クールを特に退屈もせずに走り抜けられたのはやっぱりありがたいとは思うよ。もう一回谷口&中島のコンビでリベンジして、その時はぜひサンライズあたりの仕事をもぎ取って欲しいなぁ。
「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω」 ー→4 ごめん、本当は今期最初に最終回を迎えていたのはこの作品だった。角川枠だから10話しかなかったんやな。そんじゃ何でそのことに気づいていなかったかというと……重要度が低かったために「積ん読」ならぬ「積ん録(つんどる)」してました……まぁ、そういう作品。 いや、でも、今作に触れる時には必ず言い訳がましく書いてるけど、決して嫌いな作品ではないんだよ。このなろうテイストバリバリなのに実はなろうじゃないという、古き良(くもな)きラノベ文化の残滓。3年の時を経て再アニメ化されたおかげで、そんなに大したブランクでもないはずなのに「なんか、懐かしい気がする」というちょっとしたノスタルジーに浸れる。やってることはなろうなんだけど、まだちょっとだけ「お約束」の押さえ方がずれてるような、そんな曰く言いがたいプロトタイプ感は、決して手触りの悪いものではない。なろう文化における「わかってる風」というか、「テンプレが広がりすぎたからその上に無理やり作品を重ねてる感」みたいな苦しさが無くて、やりたいラノベを伸び伸びとやっている雰囲気があるのよね。 まぁ、それが面白いのかどうかはまた別問題なわけだが……流石に「毎週楽しみだった! 早く続きが見たいな!」とかいう作品にはならんよ。それはもうしょうがない。録画を後回しにしてる私の気持ちも汲んでほしい。与えられた人生の時間は有限なのだから(そんなら観るのやめればいいのに)。一応フォローしておくなら、制作体制が変わったはずのこの2期目も、何故か「作画はそこそこ安定」という部分は1期と共通しており、エロを前面に押し出した作劇も相まって、「まぁ、可愛いわねぇ、おっぱいだわねぇ」という満足感はある程度得られるのである。例によって続編なのでハーレム人口が増えまくって一切収拾がつかなくなっているが、メインの2人がすごく「わきまえた」立ち回りになっているおかげで、不思議とごちゃごちゃせずに「この時この場に応じたハーレム」みたいなものが染み渡る。キャラものとしてはそれなりにニーズがありそうだし、いっそ振り切ってエロゲにしてしまった方が集客は確実な気もするのだが……まぁ、このくらいが「アニメとして放送するエロ」としてはちょうど良いバランスなのだろう。私は「回復術師」みたいな作品よりこっちでいいや。おじいちゃんが孫を見る目かもしれん(だとしたら問題だろ)。 あと、何故か1期から継続している芹澤優&DJ.KOO & MOTSU の空気を読まないオープンエンドな。何故かあれ好き。 「ましろのおと」 5→5 江戸っ子のはずの本田貴子あたりの津軽弁が意外にそれっぽく聞こえるの、やっぱり声優の腕前ってことなんでしょうかね? ベタベタと粘りつくような津軽弁アニメ。その部分を聞いているだけでもだいぶ特徴的なので面白いといえば面白いのだが、余計な神経を使うので会話が頭に入って来にくいなんてデメリットもある(お前の匙加減次第やんけ、と言われれば返す言葉はない)。本当のことをいうなら津軽弁アニメじゃなくて三味線アニメなわけだが、はてさて、三味線の音ってのが。 正直、私のような残念な感覚の持ち主には、三味線の音の良し悪しがよく分からんかった、というのが一番のネック。物語の中心にあるのは「音」のお話で、どんな心で三味線を叩くのか、「松吾郎の音」とやらをどんな意志で受け継いでいくのか、というのが常にテーマになっている。しかし、それを表現する三味線の音について、ぶっちゃけあんまり違いが分からんのだ。団体競技になった時の合奏ならまだ音の厚みが出る分「迫力があるかもしれないなぁ」くらいの感覚はあるのだが、ソロになっちゃうと「明らかに下手くそっぽい人の音」は判別できても、それ以上の面々になると「みんな上手だよね。そんで三味線って大体こんな感じの音だよね」で理解が止まってしまう。これは純粋に私の音楽センスが壊滅しているからなのか、それともアニメの中では限界があるのか。 私としては、もちろん我が身が可愛いので後者であってほしいと思うわけだが、そうじゃない場合は単に私にセンスがなくてこのアニメで表現しようとしたものをさっぱり拾えていないというだけの話。ただ、やはり贔屓目に見ずとも、三味線の音ってのはシンプルなだけにアニメの画を乗せて、説得力を持つまでに音楽表現を高めるのは難しかったんじゃなかろうか。残念ながら今作の作画はそこまで飛び抜けたものではないし、当たり前の話、三味線の演奏中は演者が飛び回ったりするわけじゃないので画面は地味である。もちろん、その他の音楽アニメ同様、そこにはイメージ映像を重ねたりして「画的な見どころ」を付け加えていくわけだが、その部分に「今作ならでは」と言えるほどの爆発力はなかったかなぁ。個人的には大絶賛した「この音とまれ!」の場合、もう箏の音で全然違うように聞こえていたし、コンクールなどの演奏表現も見事だった。そして、「部活もの」としての練度もあちらの方が高く、今作は主人公・雪の心中がどうにも計りにくいこともあり、青春ものとしても今ひとつ響いて来なかった感がある。単純に、人としてムカつく要素が多いやつなんだよな。最後まですっきりできなかったしな。 まぁ、話はここで終わるわけではないし、たっぷり1クールの間、いろんな三味線が楽しめたのは事実である。多分今後音楽アニメの話をする時の優先順位は「ユーフォ」→「音とま」→「君嘘」が絶対に譲れないので、その次あたりに置いとくことになるんじゃなかろうか。いや待て、「ギヴン」も多分これより好きだな……。
「灼熱カバディ」 6→6 気づいたらもう最終回シーズンですってよ。早いものですわね。というわけで今期一発目のエンディングを迎えたのはこちらの作品である。 毎週書いていた通りなので改めてまとめることはあまりないのだが、素直にスポ根ものとして面白かった。カバディ漫画・カバディアニメなんつって、どうしてもそのマイナーさをネタにして自虐的な方向に進んでしまいそうなものだが(もちろんそういう傾向もゼロではないが)、今作はきちんと白熱するスポーツとしてのカバディを正面から描こうとしており、その熱量は、素人目線にも充分伝わった。否、素人目線にこそきちんと伝わるように、入門的な要素を満たしつつ、そこから少しずつギアを上げていく展開がうまかった。 本当にスポ根の王道と言ってしまえば身もふたもないのだが、改めてカバディという競技の性格を考えるに、これが案外フィクションにも向いているんじゃないかという気がする。分かりやすいのは、野球などと同じで攻守がはっきりしているという性格。点数のシステムも大して複雑じゃないし、今作のクライマックスを見てわかる通り、ドラマティックな展開を演出するのは割と簡単である。フィジカルはもちろん重要だが頭を使う要素も多く、タクティカルな部分を好みやすい漫画好きでも馴染む部分は多いんじゃなかろうか。もちろん、そのためにはきっちり視聴者にルールを理解してもらう必要があるわけだが、そのあたりの親切な導線がこの「入門アニメ」では際立っていたように思う。わかる要素がすぐわかるようになり、1回目2回目でさっさと「カバディを楽しんでいる感じ」が味わえるようになる。ローナみたいなちょっと複雑なルールは中盤以降まで説明されてなかったのだが、おかげで少しずつステップアップしていく様子が選手と一緒に楽しめるようになっているわけだ。 カバディのアニメ化でもう1つのハードルは、激しいスポーツの割に画面に動きを出すのが難しい、というのがあり、ストラグルの様子なんかは画にした時にどうしたって地味になりがちだ。そのあたりの部分も(おそらく漫画の時点で)考えられており、1つ1つのシーンを大きく切り出す見せ方が、本当なら地味なはずの数センチの駆け引きをダイナミックなプレイへと転換している。そこまで作画枚数の多い作品ではなかったと思うが、「省エネ」とも言えるデザインの中で静と動のメリハリをつけて見せていく方向性は、うまいこと競技の性格に噛み合っていたんじゃなかろうか。この方向性なら、まだまだお話の続きを描いてもマンネリ化する心配はなさそうだ。 さて、こうなってくると「2期は?」という話も気になってくるわけだが……原作ストックはどんなもんなんでしょうかね。
「ミュークルドリーミー」 6→8 人類に残された最後のオアシス。「オアシス」と書いて「煉獄」と読む。 結局私は、このあたりの世代のクリエイターが生み出す化け物じみた雰囲気が好きなのだ。今作の監督は桜井弘明だが、彼からのホットラインは業界を縦横に接続しており、事実上の右腕として機能した今千秋、死ぬまでの縁が続くと思われる大地丙太郎・佐藤竜雄らの重鎮軍団。こんな連中に寄ってたかっておもちゃにされた作品が無事で済むわけがない。これこそがホーム、これこそがアスガルド。常人ではたどり着くことができない別天地である。 今更感想をまとめる言葉など残ってはいないが、とにかく圧倒的サービス精神と、「動くことの楽しさ」に特化してただひたすらにアニメの快楽だけを求めたプロットと動画は、真似しようと思って真似できるものではないだろう。ネタ自体が不条理なのは言わずもがなだが、本当に常識にとらわれず、動かさなくてもいいところがどこか動いている。「かわいいサンリオキャラが動いているよ」というだけの作品としても見られないことはない。一番上のレイヤーだけを薄目でみるようにすれば、もしかしたらそういう「素敵な」作品に見えるかもしれない。しかしこのアニメはおそらくそうした見方を許さない。かわいいぬいぐるみのハートフル作品は、おそらくバックグラウンドで漫才をしない。背景に紛れて書き文字がポロポロこぼれたりしない。全然関係ないところでキャラクターのオススメ写真コーナーをカットインさせたりしない。「次に何が来るのか」という予測が全く成り立たず、日曜朝だというのに精神をすり減らして観なければいけない映像ドラッグ。こんなものが流されているのだから日本国民がおかしくなってしまうのはしょうがないだろう。人と人が憎み愛し合うのも、太陽が西に沈むのも、CO2の削減のためにスプーンを持ち運ばなきゃいけないのも、全部ミュークルが悪いのだ。 これだけのダメージを食らって、視聴者は1年で満身創痍。もうダメだと諦めかけた時に、「2年目に入るぞ」という無慈悲な告知。さぁ人類よ、次なる試練だ。きっとね、新しい未来が来る。始まりたがろう。
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Thraxi
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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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