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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「スター☆トゥインクルプリキュア」 5→6

 何はともあれ、1年間お疲れ様でした。毎年毎年、終わる頃には「惜しまれながら」になるというのはプリキュアのありがたくも困ったところでね。しかもこのスタプリの場合、終盤になると加速度的にやたらと情動おさまらぬ展開ばかりだったものだから……いや、でも良い最終回だったよね。

 というわけで、なんだかんだと楽しませてもらった今作。ぶっちゃけ初期から中盤にかけての印象はあまり良いものではなく、「プリキュアにしろ戦隊にしろ、そうそう毎年当たりは出ないか」と半ば放棄していた時期もあったのだが、後半戦になってトゥインクルイマジネーション探索になったあたりから、グッと物語が内面へ切り込む形になって好みの展開になった。まぁ、ぶっちゃけ正しいターゲット層を考えるなら前半の「ペンを探していろんな宇宙を旅するよ」設計の方が人気は出そうなんだけどね。こちらとしてはあまり「プリキュアらしくないなぁ」というのでやや意固地になって拒否反応を示していた部分があったのは事実である。毎回適当な星に行っていかにも子供騙しな「個性のある宇宙人」と遭遇する展開は、あんまりプリキュアに求めているようなキャラクター性じゃなかったんだよね。宇宙人の設計が安易だと、どうしても「流石にその設計は無いやろ」と訳のわからない良識が邪魔をしてしまう。プリキュアおじさんが語る良識なんて虚しいだけなのに。

 そうして前半パートは「なんか安易だなぁ」と思いながら流し見していただけだったが、いよいよ地球をメインステージにしての後半戦はそれぞれのメンバーの個性の掘り下げと、今作の眼目である「イマジネーション」「未知との遭遇」というテーマ設計がドラマに深く結びつくようになる。前作「はぐプリ」の時点で既にプリキュアには「多様性の容認」というテーマ設定が設けられており、「なんでもなれる」をキーワードとして子供たちの未来を示すデザインになっていたが、今作はそうした「想像力の豊かさ」に加えて「自由な発想力」というものに重きを置いており、単に「なりたい職業になろう!」という夢の領域を飛び越え、「今はなくても、未来にはあるかもしれない」という形での夢を提供するところまで進んだ。そのくせ、文字通りの「夢物語」で終わるのではなく、ちゃんと子供たちの将来設計についても現実的な問題から取り組めるように進路の話をがっつりやったりもする。発表当時は話題になったえれなの混血設定なんかは非常にわかりやすく「未来の可能性」を広げるデザインになっていたし、宇宙人とのコミュニケーションから「異物を排除するのではなく、受け入れていく姿勢」があまりにあからさまに提示されている。こうした展開を「説教くさい」と見る向きもあるかもしれないが、今作における少女たちの夢と希望の展開は、決して教科書的な押し付けではなく、「好きなことを楽しんでやれば、未来は拓けるんだ」という希望的なメッセージになっていると思う。

 そうして「まだ見ぬ新たな可能性を生み出したい」というメッセージ性は、実はプリキュアたち以上に敵陣営にも色濃く描かれている。ノットレイダーの面々は誰もが皆「異端としてつまはじきにされたり、理不尽な形で排除されてしまった」ものたちであるが、暴れる彼らを悪と断じるのではなく、最終的にはへびつかい座のプリンセスを含めて全ての敵との融和の道を選ぶというのが分かりやすい「スタプリ」の世界観。特に序盤から掘り下げられていたアイワーンとユニの関係性は絶妙な距離感と最適な結末が涙を誘うものになっている。こうした敵サイドの扱いを見てやはり思い出してしまうのは同じく「イマジネーション」な「トッキュウジャー」における敵サイド・シャドウラインの扱いだろう。あの時も、あくまで「敵と味方」ではなくて「目的を異にするだけの他の勢力」というシャドウラインの存在を維持したままで物語を進めることで最終的に融和と進歩を生み出すことに成功していた。今作はそんなトッキュウジャーのシナリオラインに、さらに「宇宙」という広がりを見せた新たなイマジネーションの発現だったといえるのではなかろうか。

 人間、どうしたって歳をとったら新奇なものを受け入れがたくなってしまう。そんな己を省みて、「キラやば!」とどんなものにでも目を輝かせるひかるの感性に価値を見出せたのなら、今作は掛け替えのない作品になることだろう。つまり結論としては、「やっぱりララは可愛いルン」である。

 

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「ライフル・イズ・ビューティフル」 5→4

 まだまだ残ってるぜ、前クールの放送終了がッ! あと2本あります。ぶっちゃけるとバビロンとアズレンなんだが、後者は3月終了予定なので、正直チェックするの忘れそうだし、チェックしたとしても感想書けない気がしますね。

 さておきこちらは総集編1回挟んだだけだけど、放送スケジュールのせいなのかここまでずれ込んでしまった作品。他の作品と違って、全体的に悲壮感はない出来上がりだったのであんまり万策尽きた感も無かったのだが、ダメなものはダメだったようだ。残念無念。ただ、先にフォローしておくと「題材の割には頑張ってたアニメ」だとは思う。これだけ地味で、共感も起こらず、起伏の乏しい内容であるにも関わらず、部活もののドラマとしては程よく成立しており、一応は1クールを満了している。そのこと自体は評価されても良いとは思う。

 ただ、やっぱり致命的に地味すぎるのである。まるでアニメ業界における「美少女動物園」というジャンルに挑戦すべく、どこまでコンテンツを削ぎ落として「単に女の子がきゃっきゃうふふしてるだけでアニメって人気が出るんだろ?」というテーゼに挑戦しているかのようである。本当に「なんとなく」レベルでのライフルの緊張感が得られることは得られるのだが、やはりそれとて添え物程度。結局勝負は「女の子が何を考え、どう動くか」という部分に集約されていく。それだけの内容で興味を引っ張り続けるってのは並大抵の難題ではないだろう。今作は、さすがにそこまでのパワーを持つに至らなかったというだけの話である。

 せめて競技自体にもうちょい動きがあれば……というのが最大の悩みだが、それ以外にも、競技が個人戦にしろ団体戦にしろ、なかなか人間関係を形成しにくいというのも問題で、全国大会の会場で様々な高校が集まってキャラが大挙していたが、結局最後までそれらの外部の人間との接続は虚ろなままであった。もう、ここまできたら割り切って広島に行かずに2校かせいぜい3校くらいの関係性でまとめてしまうのも手だった気もするが……それだとますます起伏がなくなってしまうかなぁ。どういじってもこれ以上の結果は望めないような気が……。

 まぁ、とりあえずやってみることが大事だ。「ツルネ」に引き続いて、今度は女の子版の射撃スポーツでも今ひとつという結果に、今後も業界はこうしたジャンルの扱い方を考えることになるだろう。多分、あんまり取り扱わない、っていうのが正解なんじゃないかな。

 

 

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「ガンダムビルドダイバーズ Re:RISE」 5→4

 終わってへんやんけ。まぁ、途中から「どう考えても1クールの話じゃねぇな」とは思ってたんで分割だったのは助かった気もするんですが。四月からこれの続きを追いかけるモチベーションがあるかなぁ……。

 一言で言うと「ガンダムでやらんでいい」である。初代「ファイターズ」で盛り上がったものが「ダイバーズ」になってからピンとこなくなった要因の1つに「どうせネトゲなんやろ?」というよくわからんモチベーションの低下があり、「ガンプラのクオリティがゲームにも影響するんだ!」と力強く言われたところで、やっぱり「ファイターズ」の頃のようにダイレクトに響くイメージは損なわれているし、ネトゲにしたことでなんでもありのタガが外れてしまい、「ガンプラに乗って戦える夢のようなゲーム」が、かえって現代技術に近いような、凡庸な舞台設定にまで堕してしまった。そして、今作はそんな「ネトゲ」設定をフルで活かそうとした結果なのだろうが、やっぱり世に溢れるネトゲものに埋没するかのようにどんどんアイデンティティを見失ってしまったような印象だ。

 筋立てとして、「アニメじゃない、ほんとのことさ」というのが最後に明かされるネタなわけだが、おそらく制作側だって、そんなことは途中でなんとなくバレてることはわかってるはず。大ネタではあるが、今更ネトゲだと思ったら命がけでしたっていう展開もありきたりになってしまっているので、それがガンプラだろうがソードでアートだろうが大した差はない。それがどんでん返しとして機能しないことはしょうがないことだろう。ただ、むしろ気になるのはそこじゃなくて、作中人物たちと視聴者の意識の乖離である。視聴者側が割と早い段階で「少なくとも運営が課したミッションではないみたいだし、何かネット世界でのイレギュラーとか、そういう異世界的な事件なのかなぁ」と思っているのに、カザミを代表として、キャラクター側はあくまでも「運営に与えられているはずのGBNのミッション」としてバトルに参加している。いちいち白々しく「そういうイベントいらねぇんだよなぁ」みたいに愚痴って「報酬はいつ配られる?」とか「クリア条件はなんだ?」とか、ゲームだと思ってます感を強調されると、どうにもしつこくて興が醒める。ネトゲものという大定番をやるのだとしたら、もうちょい筋立ての部分にひねりを加えて、デスゲーム的なものに転がり落ちていくまでの顛末はこけおどしも交えて描くべきだった。バトル自体がそこまで明確な勝敗基準があるものではなく、なんとなくで終わってしまうのも「頭使って戦います」という流れに無いのが辛い。一応旧作ではガンプラを色々とカスタマイズして勝ち進む要素があったはずなのに、今作はとにかく機体は敵より強い前提だし、地形効果を活用しての軍事作戦なんかは、どんどんなろう系アニメの「賢い軍師を気取ってるやつ」に近づいてしまっている気がする。どこを取っても、「ガンダムだから」という旨味を活かせるデザインになっていないのだ。

 まぁ、バトルの描写自体は悪いものではないのだが……敵側に基本的に意思がなく、本当に「ミッション」としてのバトルをこなしていくことになるのでドラマが見出せいないのもキツい。意地と意地のぶつかり合い、生き様の激突がガンダムなのだったら、その辺りの背景がない純正の「ガンプラがただ格好良く戦いたい」というデザインは空回りしてもしょうがないだろう。

  さて、2期目はいよいよ本拠地へ突入ってことになるんだろうけど……この状況で石田彰の説得は無理だと思うんだけど、どういう展開になるのか……気になるような、どうでもいいような。

 

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「慎重勇者〜この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる〜」 5→6

 ふむ、凄まじい。何が凄まじいかって、冷静に考えて、これまでこうしたなろう系アニメ(厳密にはなろうではないが)で「あぁ、終わったな」と思えた作品がもしかしたら1つも存在しなかったんじゃないかということに気づいたことだ。まぁ、人気作からアニメ化していくのだから未完結なことが多いのは当然だが、今作も未完結であったにも関わらず、一応はアニメシリーズの「終わり」を見せた。そのことに無駄に感心してしまったことで、何となく読後感は良い。

 いうてしまえば凄まじく「辻褄を合わせた」作品。勝手な推測だが、作者も書き始めた時にはこんな展開になるとは思っていなかっただろう。「とにかく超慎重な主人公ってのはどうだろう?」という思いつきから始まっただけの作品なのだと思う。それが証拠に最後まで見てたくさんの部分で丸め込まれたが、やっぱり冷静に考えて「神界」というシステムには釈然としない部分が多く、そのあたりの理屈付けについては「お約束要素だから」で逃げいている部分がある。

 ただ、そうしてアラがあるのは認めつつも、プロットを進める中で妥協をしていなかったことも事実だと思うのだ。「チートすぎる勇者」を主人公にした話が面白くなるわけがないのは先達たちが証明済みなのだが、それを回避するために「チートにはチート」というありえないくらいのインフレバトルをぶつけ、勇者はカンスト、その上の次元の勝負という展開。あとは「ステータス以上の何があるのか」をとにかく跡付けでどんどん重ねていき、概念レベルでわけのわからないものをひたすらに生み出し続ける。形は違えどグレンラガンみたいなお話である。その過程にはちゃんと主人公の創意と努力があることが確認できるし、「神」が存在している意味が出てくる。まぁ、どこまでを「神」に許された権限かを慎重に定義していかないと、あっという間に世界が破綻してしまうわけだが。

 そうして収拾がつかなくなる前に、全てをひっくり返すためのギミックに「転生」というネタを思いつき、これで全ての説明をつけてやろうってんであらゆる要素の紐付けを行ったら、たまたま1クールアニメとしてすごく座りがよくなった。いわばちょっとした偶然の産物である。ただ、そうして「成立させよう」という意識が働き続けているというのは非常に大事なところで、ライブ感最優先で行き当たりばったりのなろう系はいつしか全体像が見えなくなるものだが、本作はきちんとスタートとゴールが見えている。何とか広げた風呂敷の口を結ぼうと常に解決策を探している。そのことが何となく感じられたことで、この手のアニメとしては充分満足できるものになった。

 これに加えて、無茶なプロットを彩るガジェットの数々がいい具合にアブソーバーになっている。特にアニメの場合はリスタルテ+へちょ絵作画という掛け算が良い刺激を生み出しており、多少設定面が気になったとしても、とりあえずは「駄女神アニメ」としてみることができる。当初は「どうせアクアのパクリでしょ?」と思っていたものが、ちゃんと勇者との関係性においてがっつりオリジナリティを発揮するようになったし(匂いとか)、最後の最後ではどんでん返しの中心に女神を据えることで物語が完成し、本当に「女神中心の」作劇が収まるところに収まった。まぁ、その分お連れの2人が完全に空気だったり、やっぱり無駄な部分はあるのだが、試行錯誤の末のゴールとしては上々の結果だったのではなかろうか。

 あとはまぁ、キャラの要素でどこまで細かく楽しませてくれるかって部分ですわね。最終回できちんと神界のあれこれをまとめてくれてたのは良かったわね。リスタルテ目線がデフォルトになる作品なので、やっぱり神界でのコミュニケーションが一番自然に見えるんだ。アデネラ様可愛い。あ、でも地上パートでもゆみり姫は可愛かった。なぜか彼女が出てくると「これどう見てもてーきゅうだ……」ってなってたのは何故なんだろう。単に青髪のポニテだからかな。

 

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「神田川JET GIRLS」 4→3

 秋クールの番組感想はまだまだおわらねぇよ。何しろ放送延期の嵐だったからネ! 今確認しただけでもまだ4本待機してる作品がありますよ。3月に放送予定のやつなんて、それまで覚えてられる自信ねぇけどな!

 さておきこちら。総集編を挟んでの必死の放送。完結したといえば完結したが、正直、何が「終わった」のかはよくわからない。「何もかもが中途半端な作品」というのが正直な感想だ。新番チェック時点で既にその懸念はあったのだが、まずメインになる「謎スポーツアニメ」として中途半端。適当なルールを作って適当な試合描写をすることになるんだろうな、とは思っていたが、本当に最後の最後まで「何が強さを定義するのか」がわからずじまいで、どの辺りに注目してレースを追えばいいのかがさっぱり分からない。謎スポーツだとしても演出次第でいくらでも手に汗握る展開は作れると思うのだが、今作では「面白いレースを描こう」という意識が感じられず、なんとなくボートに乗って、なんとなく銃を撃っている。そもそもどう考えても1クール作品で出てくるチーム数としては多すぎるんだよな。「つうかあ」で何も学んでいないのか。

 まぁ、制作側もスポーツものとしてはある程度見切りをつけていた部分はあったかもしれないのでそこはしょうがないとしても、次に「エロアニメ」として中途半端。百戦錬磨の監督・金子ひらくのお仕事、アホかと思うようなエグい構図の取り方とか、昭和のバラエティみたいなダイレクトなエロネタ、笑いに変える手管は健在ではあるのだが、残念ながらそうした面白みを発揮するだけの体力がない。エロも萌えもアニメなら画力の勝負。作画リソースが追いつかない状態では、乳も尻も絵に描いた餅だ(上手いこと言えてない)。振り切ったエロ要素は既に「ヴァルキリードライブ」で通過した場所のはずなので、ネタを振り切るにしても、もうちょっと気概を見せて欲しかったものだ。

 エロい要素は飾りで、本当はそこに芽生える女の子同士の関係性を書きたかったという見方もあるだろうが、残念ながら「百合アニメ」としても基盤が弱い。最初から最後までずっとそうだったのだが、最も重要なはずの凛とミサの関係性において、なぜ二人がここまでお互いにこだわっているのかが分からない。愛することに理由はいらないとはいうが、出会ってからミサがデレはじめるまでのタメが一切ないので、2人の関係性は単なる百合ボットが醸成したAI的な関係性にしか見えてこない。お互いに「ジェットレースで名をあげたい」というモチベーションは確固としてあるはずなのだから、もっと「レースのありようと、パートナーとの関係性」という2つのファクターを結びつけたドラマづくりは可能だったはずなのだが。あらゆる要素がそれぞれにぶつ切りで、相乗効果を生み出せなかったのが最大の難点だ。

 多分、絶対にありえない話だけどもいっそ2クールあれば話は違ったんだよね。それぞれのペアについて2話ずつくらい使って掘り下げて、ラストレースもたっぷり見せ場を増やして展開する形。それが出来ないなら、せめてチームの数を減らす勇気は必要だった。最終レース観て思ったけど、「川」っていう狭いロケーションでひしめくジェットの描き方が全然定まってないのがもったいないんだよ。

 よかったところを挙げるとするなら……ちかぺのギャルキャラかな……。「クオリディアコード」の時もそうだったけど、気だるげなちかぺボイス好きよ。

 

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「この音とまれ!(第2期)」 6→8

 もう特に書くことないよ。文句なしで好きって言えるアニメに出会えることを、人は幸せと呼びます。

 今作はさ、身も蓋もない言い方すると、すげぇ「普通の」アニメなんだよ。掲載誌がジャンプ系列ってことからもわかる通り、そのフォーマットは少年漫画的な王道だし、部活モノのフォーマット、青春恋愛もののフォーマットそのままといってもいい。毎度毎度「ユーフォ」との比較をさせてもらっていたが、「扱っているものが楽器」っていう以外にはぶっちゃけそこまで共通項があるわけではなく、ユーフォにおける病的なまでの生々しい感情描写なんてものは今作では求めるものでもないし、京アニクオリティの壮絶作画が毎回叩きつけられるなんてこともない。プラチナビジョン製作の映像は分割2クールにしたこともあって文句なしに安定してはいたが、そんなにびっくりするような映像美が展開されるなんてことはそうそう無い。

 でもね、そうした売りがなくても、良いものは良いし、好きなものは好きだ。第1クールで貯めて溜めた感情が2クール目で一気に解き放たれる開放感。特に2期目は晶さんという新たな感情の化け物みたいなキャラも登場し、我らがヒロイン鳳月さとわを内から外から目まぐるしく刺激し、彼女の持つ魅力を存分に引き出してくれた。最終的にはババアに至るまでが晶さんの功績で涙を流すようになり、終わってみれば世界に悪人はいなくなる。ここまでの晴れがましさが忌憚なく受け入れられるというのは、作品の骨子がゴールに向かってまっすぐに構築されていたためだ。ただひたすらまっすぐに、そんな作劇の強みを、今作は感じさせてくれる。

 しいてオリジナルの良さをあげるとするなら、やはり箏という題材を扱ったことによる音響面の強みが挙げられるだろうか。これも何度も書いていたことだが、画やセリフだけでは伝えられないことを構図と構成で引き出していくのがアニメーションの強み。そして、そんな作劇の強みに「音響」も大きく関わっている。今作の中心には常に箏があり、それぞれのキャラクターはどうやって箏に向き合っていくのかで人生が刻まれる。それならば、向き合った箏の音が最も雄弁に物語を語るのは至極当然のことだったのだろう。あまり馴染みの無い私のような人間でも、その音の意味することが理解できるし、音が作り上げた物語に心動かされる。まさに言葉の通り、「琴線に触れる」というやつである。弦を弾き単音を出すシンプルな構造の箏。その一音一音に物語が込められるのだとしたら、こんなにも豊穣な媒体も無いだろう。

 あとはまぁ、純粋にキャラどうしのあれこれを楽しめば漫画原作としては言うことなしなんじゃないでしょうか。さとわちゃん、本当に良いヒロインだし、悔しいけどチカは文句なしのイケメン。単なるガリ勉メガネだと思ってた武蔵が来栖さんに惚れられてもしょうがないくらいの頼れる部長になったし、その来栖さんだって、いけ好かない性悪女子から気付けば恋する乙女の強さを発揮できるようになった。まさかと思っていた三馬鹿にまでたっぷりとドラマが詰め込まれ、時瀬高校箏曲部は、これまでに無い素晴らしいチームになったのである。ほんと、捨てキャラが1人もいない部活ものって珍しいよなぁ。

 さて、続編があるのかどうか……あってほしいとは思うけど、ひとまず原作が完結するまでは我慢かしら。是非とも今作はもっとたくさんの人の目に触れて、続編製作への呼び水になってほしいところである。

 

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「俺を好きなのはお前だけかよ」 6→5

 単なる出オチで終わらなかったのは評価すべき点だったはず。スタート時点でのかっ飛び方からすると結局は陳腐な方向でまとまった感はあるが、それが悪いってこともないし。まー、なかなか思いつきのひとネタだけで1シリーズを全部面白くするのは難しいよな。

 「ひねた見方をするクズを自称する主人公」というラノベ的な1つの典型をスタート地点にして、そこに純正のラブコメ要素だけを加えてあれこれいじり回せたのは最近ではむしろ新鮮。キャラ造形がよくも悪くもはっきりしているので、作者がどういう方向で話を進めたいのかが非常にわかりやすいのもストレスがない。最終的にはハーレム的な展開になるあたりは食傷気味であるものの、やっぱりヒロインの見せ方として一番わかりやすいのはこれだからしょうがない。単発のインパクト勝負で見せるアニメの展開としては、こうしたクドいくらいのキャラ造形のハーレム設定が一番わかりやすいのかもしれない。そういう意味で、ゼロ年代から続いたハーレムものの粗製乱造って、「1クールアニメで手っ取り早く話を転がすための手堅い手段」として定着したものなのかも。

 ただ、やっぱりそうして作られた分かりやすくて現実味の薄いヒロイン造形ってのは鼻につく部分も多く、純正のラブコメとして没入するのには向かない設計でもある。次々とあり得ない性格のヒロインが出てくる矢継ぎ早の展開は「コメ」要素の強さが際立ち、「ラブ」要素は添え物になりがち。だからこそ安易なパロディとかに逃げて失敗する作品が多くなってしまうんだろう。今作は滑り倒しそうなギリギリのところでネタは成立していたと思うし、あまりに阿漕なキャラ設計もネタとして消化しながらの展開なので意味は見いだせる範囲内にあった。ギャグのテンポをアニメで見せるってのはどんな作品だとしても難しい部分だが、本作はその辺りのバランスにはかなり気を使っていたように見える。きちんと作品の持つセールスポイントをアニメに乗せられたのだから、与えられた役割は果たしたといえるだろう。

 いつの時代にもこういう作品は一定のニーズがある。なかなか表立って日の目を見ないジャンルではあるのだが、それが確認できるだけでおっちゃんは安心するんや。

 

 

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「ヴィンランド・サガ」 5→7

 大河よなぁ……。いや、やっぱ面白いわ。ありがとうNHK。

 序盤は本当に「王道展開だし、暗い話だからじっくり見られるとしてもすげぇ盛り上がることはないかなぁ」と軽く見ていたのだが、2クール目以降に尻上がりに面白くなっていき、やっぱり物語を語るのにはある程度の尺が必要なんだなぁ、ということを認識させられた。最近のアニメに足りないものって、こういうゆとりだよなぁ。もちろん、ダラダラと長く続けてもさっぱり心に響かない作品だってたくさんあるのだろうけども。

 今作の見どころを切り出すとしたら、安易な言い方をすれば「とにかくおっさんが格好いい」という部分。男と男の関係性が、今の倫理観では実現し得ない領域で描かれる殺伐浪漫。主人公はもちろんトルフィンなのだろうが、彼の人格形成に最大の功を成したアシェラッドが(少なくともここまでのお話では)本当の意味での主人公だったのではなかろうか。悪辣な敵役ながらもその器の大きさは誰の目からも明らかで、裏切りと策謀渦巻く戦乱の時代にふてぶてしく生きる彼の姿は、それだけで作品を成り立たせる素晴らしいドラマである。ビョルンとの関係性なんて、普通なら理解の及ばない心情も有無を言わさぬ説得力で入ってくるんだ。内田直哉氏の見事な演技によって、彼の一筋縄ではいかぬ人生絵巻が大きな流れを生み出していた。

 そうして描かれたおっさんたちの格好よさってのが何に起因しているのかを考えると、もうちょっと掘り下げて「血の物語」に帰結するのかなぁ、と思う。トルフィンが地獄のような人生に身を投じたのは、父親に対する抑えきれぬ執着が原因であった。誰よりも尊敬した父の仇を打つためならば死地へ飛び込もうという少年の動機は、現代ドラマでも通用するものではあるが、やはりこの当時の価値観に裏打ちされたものであればこその重厚さを持つ。そして、最終的には怨敵であるアシェラッドの人生も、そうした「血の物語」に縛られ続けたものだったことが明らかになってくる。自分の腕一つで成り上がるしかない厳しい土地の厳しい時代。それでもなお頼れるものがあるとするなら、やはりそれは自分の生まれ、自分の家族なのだ。そんなブレない根幹部分があったからこそ、我々の及びもつかない過酷な時代の物語にも、不思議と共感が生まれて引き込まれてしまうものになったのだろう。

 もちろん、そうした重厚なドラマを生み出すための作画映像や演出プランが安定していたというのも評価のポイントだ。やっぱり WITに製作を任せたのは正解だったし、スタジオの方も、単に今まで通りの安定を求めるのではなく、新たな作品にはきちんと新たな作劇でもって印象深い画面を刻んでやろうという野心に満ちている。「厳しい世界」という一言でまとめるなら今作と「進撃の巨人」は同じ箱に入るわけだが、この2作の印象がガラッと変わって「新しい」世界が生み出されているのは、当たり前のことではあるが大切な要素なのである。

 さて、問題はこの後の続編が作られるかどうかだが……まぁ、NHK作品だし、「進撃」と同じようにきっちり最後までやってくれるんじゃないかと期待している。原作はまだ終わっていないらしいのだが……さて、何年計画になるかなぁ……。

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「星合の空」 5→2

 何ですか、これ……(超震え声)(顧問の桜井先生の声で)。ある意味伝説に残るアニメになったな……いや、え、まって、ねぇ。

 今作も「この音とまれ!」同様、年末のバタバタした時期に消化するのは忍びなかったので年越してからじっくり視聴。しかし……これは……まぁ、ぶっちゃけ前回の時点で「これ、絶対終わらへんやろ」ときな臭いものを感じていたので感想も書かずにステイしていたのだが……え、いや、2期やれや。どないやねん。

 流石に理解が及ばなかったので「これなんなん?」と思ってネットで情報を漁ったところ、「本当は24話あったけど製作過程で1クールしか枠が使えなくなった。その上1クールに再編集する時間もなかったから、いっそこれでやったろうと思ってそのままの構成で12話までやった」という暴露が監督のTwitterでなされていた。つまり、当然この12話の後にそれぞれの家庭の物語があるはずである。そりゃそうだ。誰が見たってそういう構造のお話だ。でも、今作にはそれが、無い。ゼロ、ナッシング。いや、それはどうなんだ。見ている側に答えを問いかける現代芸術みたいなもんか?

 作品自体が、重苦しく疲弊するアニメ業界への警鐘であると捉えることもできる。こんな状態で世に出すしかなかったという事実が、視聴者にとってはあまりにも残酷な形で突きつけられるからだ。そして、こんなショッキングな形で終わる物語が存在してもおかしくはない。これが「世にも奇妙な物語」だったなら、「後味の悪い話やなぁ」で片付いていたのだ。しかし、本作の元来の意図はもちろんそんなところにない。あくまで、メッセージとして伝えられたのは「作品のメッセージ」ではなく「製作者の作業についてのメッセージ」だ。そんなもん、これまで応援してきた視聴者に見せるものではない。

 私は今作がもたらした結果を「不誠実」であると判断する。何も知らずに12話まで観てきた視聴者に対し、作品世界を閉じることなく突き放したことは、作品に対する冒涜であると考える。そこにどんな事情があろうとも、作り手側は最低限の「完成品」を提出すべきだろう。この形が1つのゴールだなどというのは詭弁以外の何物でもない。最低でも、そうして「完結しない」作品である旨をきちんと伝えてから展開する必要はあった。何もかもを突然投げ出すのは、作品に関わったあらゆる関係者に対して不誠実が過ぎるではないか。

 どういう経緯で、こうした形が「通ってしまったのか」は分かるわけがない。監督1人が責を負うようなものでもなかろうし、そもそもの問題は製作途中で放送スケジュールがいじられるというわけのわからない状況の方だ。だからこそ、我々はこうした状況には断固としてNOを突きつけなければならない。当然、だからと言って総集編増し増しでグダグダになりながら終わらせるのがいいというわけでもないのだが……それでも、きちんと「成立させようとする」意思が確認できるかどうかは重要な違いである。

 改めて、とんでもない作品だ。今後、アニメという媒体はどこへ行こうというのだろう。

 

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