最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
感動の解像度が高い、第14話。いろんなところで切実に、このスタンスがブレない作品はやっぱり強いよ。 これはもう、声オタの悪癖でほんとにあかんことだと重々承知しながらの話なんだが、後半の吉祥寺先生VS鮫島のシーン、途中から勝手に「伊藤静と佐倉綾音の対話」として聞いてしまって、もう色々大変。いや、全くキャラと重なってはいないんだよ? 別に御前と佐倉さんの間にそんな大きな差があるわけでもないし、佐倉さんが「天才」かと言われたらそこもまた議論の余地はあるんだけど、現在の業界でのスタンスになんか重なる部分があってさぁ。見てるこっちからすると、佐倉さんは今という時代をどれだけ必死に生きてるのかなぁ、なんてしみじみしてしまった。漫画家も声優も、表現者という意味では共通する部分がありますし、多分佐倉さんも「今は走り続けて、止まったら終わる」みたいな切迫感は常にどこかに抱えてるんじゃないかしら。……おっかない業界だよねぇ。そんな佐倉さんに対して少しだけ先輩で、未だ第一線を走り続ける豪傑・伊藤静。彼女のスタンスもとても良いものですよね。プルタブぷしゅっとする声優代表2人みたいになってるやんけ。 というわけで先に漫画家2人のシーンから回収させてもらうが、よく言われる話として「漫画家の様子を描いた漫画は嫌なリアリティがある」。「バクマン」とかもそうだけど、そりゃね、自分の体験を元に作品を描いたら嫌でも現実感は出るからね。原作の赤坂アカ、作画の横槍メンゴ、どちらも週刊連載で結果を出し、過酷な業界を生き抜いてきた歴戦の猛者。その2人が手がけた「漫画家漫画」が切迫感を持たないわけがない。まー、もちろんこれが全部ノンフィクションだなんて考えるほど私も初心ではないですが、それでも一抹の真実を掴んでいるのは事実だろうし、よく漏れ出てくる「業界の噂」みたいなものを利用して、作者が鮫島アビ子というキャラに肉付けしようと狙っているのは間違いなく事実である。 序盤のアクアたちの視点からだと、先週追い詰められたGOAさんサイドにどうしても肩入れしてしまう部分があり、そのままだと「漫画家ってのはなんて傲慢な存在なんだい、脚本家のことを考えもしないし、狭い世界の中で自分が正しいとしか考えないお山の大将じゃないか」とネガティブな要素しか出てこない。しかし、世間で近い話題が紛糾したことからも分かる通り、こうした話ってのは誰か1人が悪いなんて一元的なものじゃない。ぶっちゃけケースバイケースでしかないので「原因」が特定できる可能性もあるが、多くの場合は小さな不和が積もり積もって、表出するときには大問題になっているのである。であればこそ、今作ではきちんと漫画家サイドの言い分も表明してやる必要がある。業界のシステムの中、走り続けなければ何かを失うという脅迫感と戦い続ける鮫島。限界も近い彼女の溜まりに溜まった何かが、この度不幸な形で吹き出してしまったという。 そこにアクアが投じた一石、それが「実際の舞台を見ろよ」。これがまた実に効果的な一石であることは前半のあかねとの舞台観劇で伝わってくる。餅は餅屋、舞台は舞台屋。たとえ原作者といえども完全な専門領域である舞台演出では譲ってもらう部分があってもいいでしょうと、それを心からわからせるには、実物を見てもらうのが一番手っ取り早い。得てして仕事でこもりきりの漫画家ってぇやつは外部の刺激が遮断され、新しいものを取り入れづらくなっていくもの。ここで「新時代の舞台」を目の当たりにすれば、考えを変えてくれるだろうというのがアクアの読みだろう。アクア自身が実際そうなっちゃったんだから、こんなに確実な話もない。 そうなんだよなぁ、舞台は舞台で強いんですよね……私も過去に偶然知り合いに誘われて観に行った2.5次元舞台でそのことを嫌というほど分からされたし、最近じゃぁ形は違えど「バンドの舞台」ってなもんで生の刺激を存分に浴びて昇天している。漫画が好き、アニメが好きな人間って、結局はそうした創作物から得られるなんらかのエネルギーを求めているわけで、舞台という鮮烈な表現技法に惹かれる可能性は高いのよね。多分、鮫島もこれでオチてくれるんじゃないでしょうか。まぁ、彼女の場合は「天才」なので丸め込まれるまでにもうひと暴れあるかもしれないけど。陰キャ同士のコミュニケーションということで、あとはアクアも一緒になんとか頑張ってくれ。佐倉さんの陰キャ仕草、ほんと堂に入ってるよね!(褒め言葉) PR 端正な着地、最終話。何か大きな展開があるというわけではないがゆるゆると日常に収束していくこの感じ、なるほどクラゲアニメ。 もう1話くらいあるもんだと思ってたのでラスト1話でまとめきれるものかとちょっと心配してたんだけど、きちんと各所にけじめをつけて回ったお話。その割に案外詰め詰めな感じもないし、エピローグっぽい部分にもきちんと時間が割けている。そういう意味ではなかなかうまい最終話になったんじゃなかろうか。諸々の決着をつけた中で唯一不満があるとすれば「流石にメロの扱いはそれでいいのか」っていう部分くらいかな。彼女なりの事情というか、心情があったことはこないだ語られてたから一応納得はしたけど、どう足掻いても人道にもとる行為に及んでいたことは事実なわけで、そいつが全体的に許された雰囲気になって、最後には花音と2人で茶ぁしばけるまでになってるのは流石に甘すぎないかという気もする。こういうマインドって過度に必罰を望むジャパニーズマインドなんでしょうかね。 しかしまぁ、引っかかったのはそれくらいかな。前回ラストでまひるがぶっ込んだ「フェスの合同開催」という無茶提案。当然雪音は一度それを却下して社会人の厳しさを叩き込もうとしたが、まひるがここにきて我を通し始めたことはクリエイター育成という意味では悪い傾向ではなさそう。案外雪音もそうしてまひるをうまいこと飼い慣らしておくために無茶なオーダーを受けたという側面もあるかもしれない。 そうして実現したコラボイベント。サンドーがメインであるべきなのに出演順がサンドー→JELEEだったのはどう考えてもおかしいと思うのだが、まぁ、そこは設備の都合とか色々とあるんだろう。久しぶりに客前に出て一度は沈みかけた花音だったが、そこにまさかのメロからの檄が飛び、さらにまひるからも背中を押されたことによって無事に完全復活。ようやく彼女なりの「歌う意味」を見出すことができたという。なんかさ、この花音の物語についても案外ふわふわしてはいるんだよね。「歌う意味を見つけた」って言われてもまひるとの関係がどこまで決定的なものだったかなんてことは必要以上の補強がないわけで、「そうか、そりゃ良かったな」くらいの反応しかできないのだが、ここで「誰か1人のために」みたいな確固たる目標があるわけでもなく、なんとなく周りの人たちの力添えがあって塞ぎ込んだ日常から脱却できたという花音の物語も、これはこれで信憑性がある。ラストシーンでちらっと親父さんが出てきたのも、ほんとにそれくらいの添え物の1つとして父親の存在もあったことを思い出させてくれる程度。 別にこの「なんかふわっとした感じ」は悪いもんじゃない。花音にとって重要なのはあくまで母娘関係であり、今後も歌い続けていくかどうかは、きっとこれから2人で対話を増やして解決していく問題なのだろう。今はとにかく、「雪音が花音を認めた」という事実がしっかりと伝わることが重要。キーとなったクレジットの名義についてもなかなか気が利いており、そこに並んだJELEEメンバー3人の名前が綺麗な対比を描いている。一番上に来たのがすでに転生を終え、「新しい自分」を受け入れたが故に「竜ヶ崎ノクス」になったキウイ。彼女にとって、もはや渡瀬キウイという「昔の名前」に意味はない。ノクスとしてここに立てたことが彼女の成功の証である。これまでずっとVの皮をかぶってやってきた「グッバイ世界」を、今回は顔出しキウイちゃんがやってくれているのも分かりやすい変化だ。 対して、まひるは「光月まひる」と「海月ヨル」の連名。1人の女子高生・光月まひるは今回の一件で目標を確固たるものとし、新たな未来に歩き始めた。そしてその一助となり、今後も彼女がずっと付き合っていくであろう名前が「海月ヨル」。JELEEのメンバーとしてはやはりこちらの名前だろうし、花音とのつながりが一番感じられるその名義は、今回のクレジットに欠かすことはできない。 そして「仮想の名前」と「本名」をまひるがつなぎ、最後の早川花音へと帰着する。かつては娘を「橘ののか」としてしかみていなかった雪音が、彼女の本名を晴れ舞台にクレジットする。ようやく母にその名を呼ばれた娘は母の真意を理解して涙する。まぁ、単にお母ちゃんの方が無茶なフリをして娘を困らせていたというだけの話なのだが……そんな無茶振りに応えた娘を誇らしく思う母親の心情も理解できる部分ではある。そして何より、ようやく1人の人間として立つことができたという花音の誇り。これにて、母娘の物語は決着する。卒業式の校門でも、車に乗り込むでもなく別な方向へと歩き出した花音と、それを見送る雪音。今後もこの母娘はきっとこういう関係でうまいこと続けていくのだろう。 「ヨルのクラゲ」が描き直され、それはいつしかJELEEのクラゲになる。壁画に刻まれたその威容は相変わらず泳げはしないが、たくさんの人たちの思いを受け止めて、今日もきっと街に佇んでいる。その姿が、きっとまた新しく誰かの元気になれるように。 キウイちゃんの八重歯は左右どちらにもにょきにょき出てきてかわいいねぇ、第11話。八重歯がかわいいアイコンになっているのは日本だけだと言うが、海外の視聴者はあのキウイちゃんの口元をどう思いながら見てるんでしょうね。 というわけでキウイちゃんの決着回と言えるエピソードだが、同様のテーマを持ってメンバー3人の戦いが並行して描かれている。共通するテーマは「自己肯定」、そして「再誕」である。まず、前回時点でとりあえずの復帰を果たした花音。引き続き彼女のことを全面的にサポートしてくれているのがめいさんで、前回の衝撃生配信はおそらく今後の彼女の人生において黒歴史に認定されることはほぼ確実。しかしJELEEとしてはおいしいコンテンツにもなり、花音が全肯定してくれることでめいとしても何となくオーライみたいな雰囲気にもなった。そして、そんなめいのがむしゃらな行動に、一番の「推し」である花音が救われた。「歌えるかどうかはまだわからない」という彼女に対し、ファンにあるまじき近距離で応援し続けるめい。今回はキウイ・まひる組がずっと行動を共にしていたこともあり、こちらの花音・めいコンビも終始べったりである。そして悩み続ける花音に対し、「本当の花音の歌じゃない」とのダメ出しをし、問題点として「歌詞が前のやつじゃダメじゃね?」というクリティカルな指摘も出てきた。あのまひるとのドタバタのせいで、花音は深く傷ついたわけだが、その前後で人間的な成長があったのも事実。以前書いた歌詞では、すでに「今の花音が歌いたい歌」ではなくなっているということ。それを見抜き、歌詞のリライトを提案しためいさんは流石にトップオタである。改めて自分が歌う意味を考え、歌う相手を見定める。山ノ内花音の「再誕」は順調に行われている。 そして、今回新たに壁にぶち当たったのがまひる。好き勝手に創作をしているうちは自由でいいが、そこにオファーがかかり、「仕事」としてのクライアントが出てくると途端に創作は難しくなる。先方は「好きな絵をのびのび描いていい」と言ってくれているはずなのだが、それでも余計なことを考えてがんじがらめ。作品が迷走するなんてのもお約束だろう。海月ヨルのファンを自称しているもののお仕事となればクール&ドライなのが雪音という女。もちろんビジネス上の付き合いなのでとんでもない無礼は働かないが、最終的にはまひるの尊厳を叩き壊す非情な決断だって下してくる。「自分の絵が好きじゃないのだろう」という雪音の指摘は、まひるのど真ん中にブッ刺さる。 自己を肯定し、改めて自分のオリジンを探し求めることは、今後まひるがクリエイターとして生きていくためには避けて通れない道。かつての心を取り戻すためにまひるが求めたのはあの壁画を描いた頃の自分。そこには無垢だった自分の創作魂もこもっているであろうし、何よりあの絵は花音が好きだと言ってくれた「自分が好きな人が好きなもの」だ。一度他者に写した鏡像の自分を見れば、苦手だった自己肯定もとっかかりが掴めそうな気がする。そして捜索ついでに道中でキウイの男泣きも見られたことで、改めて「自分を好きになる」というモチベーションの向上がいかに重要かを気付かされるまひる。見事に雪音の試練を突破して1人のアーティストとして立脚することに成功した。 まひると時を同じくして「自己の探究」を余儀なくされていたキウイ。彼女の場合はリアルタイムでの「再誕」を要求された花音・まひると違い、すでに一度「転生」を経験した身。彼女の切った啖呵に全てが込められていたが、嫌いだった自分をいっぺんリセットして、再チャレンジできるフィールドでいちから自分を作り直し、それを世間が認めてくれた。そこに何の問題があるというのか。キウイは自分の才を客観的に分析できており、「何でも人よりできるけど、情熱を傾けられないからこそ、本当に好きな奴にはいつか抜かれてしまう」と漏らしていた。そして自虐的なジョークとして「だから他の連中に追いつかれる前に逃げるのだ」とも言っていたが、さて、この方法論はどこまで冗談なのか。 そう、別にキウイが本当にそのような生き方をしていたとて、否定されるいわれはどこにもない。できるタイミングでやれることを全部やり、自分に必要ないと思ったらすぐに切る。ヒット&アウェーのようなその生き方だって、自分の個性に合わせた立派な選択肢。確かにかつてのクラスメイトが言うような「普通」ではないかもしれないが、それが出来てしまったからこそ今のキウイがある。そして幸いなことに、彼女が同級生たちよりひと足先に生まれ変わったVTuberというお仕事においては、彼女はまだ「逃げ」る必要はないのだ。いろんなところに手を出して、結果として得られた自分の「居場所」。そこには恥もなければ遠慮も必要ない。堂々たる渡瀬キウイの、彼女なりの生き方だ。 歌詞が新たに生み出され、まひるも自分の絵の本当の姿を見つけ、キウイは自分の第2の人生に誇りを持てるようになった。みな、真っ白いキャンバスから新たな1ページを生み出したのだ。そしてまひるは、みんなにもらったかけがえのない勇気を使って、さらにもう一歩踏み出した。さて、この判断が吉と出るか凶と出るか。最後の勝負は、花音の胆力にかかっている。
「強火のオタク」のかかげる業火に不死鳥の若き復活の予兆を見る、第10話。高梨・キム・アヌーク・めい、その崇高なる魂よ。 というわけで落ちるとこまでストンと落ちた花音の復活回。4人で回しているJELEEの中のことで、しかも今回は騒動の発端が花音とまひるの喧嘩別れだったため、関係修復に奔走するのは残された2人、キウイとめいということになる。ちなみにまひるは今回の一件で花音と合流できるかどうかはまだ分からないが(彼女が受けたショックは解消されていないはずなので)、まぁ、配信を聞いてるあの感じからすると、花音も激情が故に漏れ出てしまったあの台詞だということは理解しているだろうし、なんとか丸く収めてくれるんじゃなかろうか。 さて、これまでまとめ役としても機能していたまひるが「一時離脱」したことにより、残り2人の負担は非常に大きなものに。矢面に立って事態の処理をするのは一番のやり手であるキウイの仕事。各方面への気遣いを見せて諸々を穏便に収束させる方法を模索し、その中でなんとか関係修復の可能性も探る。他の連中より時間があるとはいえ、心身ともに磨耗するような激務だったに違いない。よく頑張ってくれたものだ。ただ、メンバーの中で一番賢いキウイはどこまでも「大人」な部分もあり、際立った難局を前にして、妥協というか、無難な落とし所を探してしまうのも致し方ないところ。未だ彼女はかつてのように何かをぶっ壊すところまでははっちゃけられるわけではなさそうである。 というわけで今回の主人公・めいのお話になってくる。どこか世間とズレためいの武器は、ただひたすらに推しに邁進するオタク根性。彼女の歪んだ視界の中に偶然にもメロを捕捉したことが今回の転機である。ストーカーのようにしてサンドーメンバーに張り付いためいは散々メロにプレッシャーをかけ続け、最終的には彼女から「橘ののかの断片」を手にいれる。かつての彼女が何のためにアイドルをやっていたのか、そして現在の彼女が何を得ようとして、どこで失敗したのか。一番近くにいたまひるたちが気づけなかった真実を、一番ねじくれた視点から見ていたメロは捉えていた。それはののかと同じ世界に行き、「同じ生き方」をしていた人間だからこそ得られる視点。もちろん全てがメロの妄言である可能性も捨てきれないが、めいに直撃された花音の反応を見る限り、少なくとも一抹の真理には届いていたようである。 結局、サンドーを抜けようと、髪の色を変えようと、名前を改めようと、花音は雪音の呪縛から解放されたわけではなかった。もともと彼女の庇護の下でしか生きることを知らなかった少女が、いきなり外の世界に飛び出してすがるものすら無い状態で上になど登れるはずもない。前回本人が気づいた通り、波の無い海に放り出された「泳げないクラゲ」は花音の方だったのだ。しかし、彼女はまだ気づいていないかもしれないが、少なくともまひると出会ってJELEEを始めたことは、全てが雪音との関係性だけで説明できるものではない。自分の「推し」を見つけて一緒に活動する楽しさを知ったこの数ヶ月に限っては、「橘ののか」ではなく「山ノ内花音」の意思だったはずだ。まひるに心無い言葉をかけたことで「血は争えず、自分はあの母親と同じなのだ」と落ち込む花音だったが、決してそんなことはない。否、もしかしたらやっていることは同じだったかもしれないが、そうして才覚を見出されたことで、少なくとも今のまひるは充足を得ている。「母娘そろって同じように他人を養分にしている」ではなく「母娘そろって同じように他人の才を見出し、一番輝く姿を演出している」ということに気づければ、立ち直りもより早くなりそうだ。 あとは、花音が完全に雪音の影響下を離れ、「自分だけが歌う意味」を見出せば突破口が開ける。そしてそんな頑なな花音の扉をこじ開けたのが、最強オタクのめいさんだったわけだ。その言動に理屈も何もあったもんじゃない。好きなものは好きなんだからしょうがない。ガタガタ抜かさず推しは次のコンテンツを提供しろ。なんとわがまま勝手なオタクの主張。しかし、これだけ求められていることがダイレクトに伝わればこそ、花音は新たな「歌う意味」を見出すことができるのだ。「母親に見て欲しかった」、その目標がゆっくりと更新され、「ファンに見て欲しい」へと接続する。画面の向こうじゃない、すぐ隣にいる強火オタクは、その熱量でもって新たなエネルギーを強制的に叩き込めた。 さぁ、花音の再始動。これでまひるとの関係性が修復できれば万々歳……と思ったところにまだまだ試練。キウイさんは……これ、誰かまずい人にでもバレましたかね……どうなんだろ、そこまでバレを警戒している様子もなかったはずだが、ラストのあの表情は只事じゃなかったよな……他の連中はともかく、キウイさんに理不尽な試練を与えるのはほんとやめてほしい。
欠けた月が、出ていた、第9話。これ、こないだのガルクラのサブタイトルなんですが、私が混同しちゃうくらいにコンセプトに似通ったことがある作品でこんなにどストライクなサブタイがあったのちょっとびっくり。何なら向こうのこないだの話が「現実見ろ」でも通じるもんね。もしかして裏でこっそり取り替えっこしてる? などという戯言はさておき、こちらも事態がガッと動き出す、ラストへ向けての加速が始まった感のあるお話。ありがたいことにその中心にいる人物模様はそれなりにシンプルで、今回考慮すべきはまひる・花音、そしてその母親である早川雪音さんだけである。 全ての不穏の中心にいた人物、早川雪音。今回のお話は彼女がどんな人物なのかという探りのエピソードであるが、これまで花音目線でしか描かれてこなかった1人の敏腕プロデューサーの奥底が垣間見えるお話だったんじゃなかろうか。端的に表すなら「最高のプロディーサーだが、母親としては最低」みたいな人かな。サンドーオタクだったせいで雪音Pについてもやたら詳しかっためいさんが表も裏も全部聞かせてくれたが、ファンの目から見ても雪音さんの人物像は色々と怪しいもの。プロデュースの腕は確かなのだろうが、芸能界のお約束、その裏でド汚ねえことやってんじゃねぇかの疑惑はついて回る。その最たるものがゴシップサイトの管理人疑惑であり、もしこれが本当なら、たとえ花音の実母といえどもフォローのしようもないくらいの畜生ということになる。 そんな前情報を抱えてまひるは雪音と対峙する。そしてそこにいたのは、ただ純粋に自分の作品を評価してくれる「絶対的な目」だった。現在のまひるの欲求の全てがそこで満たされ、上手くなるために褒めてもくれるし、アドバイスもくれる。そして何より、身の丈に合わぬあまりに大きなチャンスまでくれる。「JELEEは楽しかったけどそれだけじゃダメ」。花音によってすくい上げられ、少しずつ自信をつけてきたまひるは、いつの間にか「泳げないクラゲ」を脱却し、ただその身で大海へと泳ぎ出ることを望む立派なアーティストになった。早川雪音は、そんなまひるにとっては願ってもない「船」だったのである。 しかしもちろん懸念もあった。フォロワー10万人を達成してそれなりに有名になったJELEEだが、それにしたって今回の「商談」はあまりに規模がでかい。なぜ自分なんかに声がかかったのかと訝しむまひるは、「もしかして花音と関わりを持っていたからか」と問いかける。それが世間でいう「コネ」なのかもしれないし、「花音の活動を邪魔するという悪意を持ってまひるを籠絡しに来たのではないか」と、おそらく大半の視聴者が抱えていたであろう心配を、まひるも持っていたはずだ。それくらいの理由でもなければ、いきなりポッと出の女子高生絵描きにこんな話が来るわけがないと。 しかし、雪音の反応を見ればそんなことが単なるゲスの勘繰りでしかないことは明らかだった。彼女はただ、本当に自分が良いと思ったものに対してまっすぐなだけだったのだ。偶然目に入ったJELEEのMVに惚れ込み、海月ヨルの絵に惚れ込んだからこそのオファー。自分の全てを真正面から受け止める雪音の反応を見て、まひるはこれ以上ないほどの充足感を得るのである。 皮肉なもので、山ノ内花音は、母親としては最低だったかもしれない早川雪音とは絶対的な血のつながりがあった。偶然見かけた路上のペインティングから海月ヨルを見つけたのは娘の花音だった。彼女は「ヨルのクラゲ」に惚れ込み、強引に自分の世界に引き込んでJELEEを作り上げた。そして今、母親がそんな娘と全く同じことを行い、海月ヨルを新しい世界へ導こうとしている。やろうとしていることは全く一緒であり、2人ともまひるのことを高く評価し、信頼した。その結果、母娘の間に亀裂を生じさせてしまったのは全くの不幸である。 あとは問題になるのは花音の胸中。かつての自分は母の言いなりではあるが、必死にアイドルをやっていた。それが正しいと思っていたし、別につまらないとも思っていなかった。何しろ「プロデューサーとしては最高」の雪音に見出されたのだ。親子の贔屓などは一切なく、おそらく花音は天性のアイドルの素質を持っていたのだろう。しかし残念ながらそんな母娘の間に挟まったメロというたった1つの異音。この世界では唯一にして最大の悪意。彼女の悪行をきっかけに、母娘のアイドルとプロデューサーとしての関係性が破綻。そこからなし崩しに母娘としても関係を維持できなくなってしまった。雪音の中では、いまだに花音は「ののか」である。実の娘などすでにいないかのように、かつてのアイドルをその目に見ているのだろうか。そして娘は、そんな母親に娘として見て欲しかった。特別でいたかった。その願いが叶わぬ今、彼女は母との縁を切り、必死に自分なりの世界を探していたのだ。 しかし再び目の前には母親が立ちはだかる。せっかくたどり着いたまひるという世界の希望すら、母親は自分から奪い取ろうとしている。此の期に及んで、ようやく花音は気付かされるのだ。自分は世界に飛び立てていなかったこと。まひるを救ったと思っていたが、その実自分はまひるに救われていたこと。泳げないクラゲは、今やまひるではなく自分の方であること。地面に転げるクラゲのフィギュアは、今やリーダーの証でもなんでもない、ただの地面に転がる花音自身の写し身だ。 「欠けた月」が空に大きく浮かんでいる。2つに割れた海月は、何をもって満ちるのだろう。 拙者ぐだぐだファーストライブ大好き侍、第8話。久しぶりやな。過去にもこの侍が出没したことは何度かあるんやで。まぁ初代ラブライブ3話に魂を灼かれた人間の性だと思って諦めてくれ。 とはいえ、今作の「ファーストライブ」はそこまでぐだぐだでもなかったので侍的な評価は微妙なんですが、もちろんぐだぐだじゃないちゃんとしたライブとしての評価に問題はありません。4人の絆が明示される心温まるエピソードだったんじゃないでしょうか。まー、そこに至るまでの「ネットで騒ぎ立てる衆愚」のお約束の描写が相変わらず胸糞悪くはあったが。「【推しの子】」の時のネットリンチエピソードなんかもそうだけど、今の世の中は「ネット炎上」は定番テーマの1つになっている。ただ、個人的には本当に苦手というか、純粋な嫌悪感を抱いてしまう対象なので、フィクションで描かれていてもどうにも気分が悪くなっちゃうんだよな。願わくは、自分自身は極力そうした「衆愚」に堕することがないように努めたいとは思っているが、今の世の中、力無き一個人がどれだけ頑張ったところで、ネットの情報には踊らされてしまうのよなぁ。そんなことを戒めるお話……ではないのだけど。 というわけで、ネットバーチャル歌い手JELEEがまさかの初ライブ。配信は軌道に乗ってJELEEの知名度もリアルアイドル・サンドーにも負けないレベルになってきたし、ここいらで更なるフックとしてライブを行うというのは良いアイディア。メインコンセプターを「元」アイドルの花音が務めるので細部のプランニングも案外現実的なものになっており、怪しげなホテルに缶詰め状態で作り上げる「始めてのリアルライブ」は浮き足だちながらも期待感に満ちたものであった。こういうプランニングってのは「お祭りは準備してる間が一番楽しい」の言葉通り、本番よりもそこに至るまでの過程で色々と妄想してる時が一番楽しいのよね。不登校の学生さんたちも一緒になって、まるで学園祭の準備をしているかのようなあっという間の時間であった。 いよいよ準備が整ったというところで好事魔多し。なんとネットの衆愚の権化とでもいうべき「炎上系まとめサイト」に花音が捕捉されてしまった。まー、それを警戒してこれまで顔出ししない状態を続けてきたくせして軽率にリアルライブをやってしまったせいなのだが、だからとて情報の切り取り方に悪意があるのは事実だし、世間の盛り上がり方もお約束のものでなんとも無責任。「こんなことで少女たちの夢が潰されてしまうなんて!」という義憤を感じさせるには充分な展開か。ネットの力の一番面倒なところは、ほんとに勝手に大きくなる不如意の力なので、一度動き出したら明確な対策が無いところだ。いかに花音とてそこに抗う術も見出せず、一度は夢をあきらめてフェードアウトまで考えた。 しかし、ここで4人が集まっている意味が出てくる。身を引こうとした花音の背中を盛大に叩いてもう一度押し出す仕事をしたのはまひる。他の2人がまだ現実に囚われて動けないでいる中、まひるだけは「花音の夢を諦めるなんてとんでもない!」とがむしゃらに声を上げる。一番世間が見えていないが故の特権的な無茶振りである。そしてそんな無茶を可能にできる頼れる仲間2人。まずは経済力担当(?)、札束のめい! 世間の問題の大半は金さえあれば……否、推しへの愛さえあれば解決できる! まさかの力業で素人のアーティスト活動に一番必要な「元手」がとんでもない形で出現した。そしてリアル折衝担当・キウイさん。やはりこの子が一番現実を見ているし、困った時には他人とは異なる視点から思いもよらぬ解決策を提示してくれる。やはり地頭の良さが抜きん出ているのがこの子なのだろう。引きこもり配信者だからこそ提案できた「無観客ライブ」という提案。まぁ本音を言えば花音の願いからは若干離れてしまってはいるのだが、ぶつかった問題に対応し、採りうる最善の策を見出せるのはまさにブレーン。そこからの舞台設定のアイディアなども初めてのセッティングとは思えないくらいに巧妙。今回の一件、一番の立役者は間違いなくキウイだろう。 こうして花音の願いが成就し、無事にJELEEはネット上での立ち位置を確固たるものにした。そして……ついでにそこに山ノ内花音の存在も確定させた。これにより、なんとも想定外のところからよく分からない矢が放たれる。ママンはいったい何を考えているのだろうか。純粋にまひるのイラストが気に入っての発注っていうだけなら別に構わないのだろうが……そんなわけないよなぁ……。 結論:めいさんの霊魂ください。 どこの世界でも女子高生が進路に迷っておる、第7話。そりゃそうだよな、「3年間限定のJKという特権」とまひるも言っていたが、そんなわずかな時間で自分の人生を左右する決定をしなきゃいけないなら、そりゃ大変だよ。 前回のトンチキ話でどこに行っちゃうのかと不安だった今作だが、幸い今回は無事に4人の物語へと戻ってきた。そして「4人」という人数を活かすための良き方策として今回はこれを2−2に分けるというシナリオラインになっている。しかもこれまでとはちょっと違う、「まひるーめい」「花音―キウイ」というペアリング。いわば「登校組&不登校組」という分け方になるが、そこで無理やりリンクを繋いだとしても、やっぱり四者四様。膝を突き合わせて話をすれば、そりゃぁ違いも浮き彫りになるわけで。 まずは扱いの軽かった「まひるーめい」組の話から。こちらは進路希望調査票に真っ当に希望先を書くタイプの「普通の」高校生。特にめいについてはエスカレーター式の進学校らしく、大学もそのまま専門学校みたいなところで繰り上がり、夢はプロのピアニストで迷いも一切ない。同じ黒髪お嬢キャラの安和すばるさんが親を誤魔化すために演劇の学校に通わされているのとごっちゃになりがちだが、今期蠢く大量の「進路に悩む女子高生」の中では高坂麗奈さんと同じくらいに迷いがない人物。もちろん、その進路を決めてくれたのは「推し」の花音。彼女にもらった力を武器に、めいは音楽の道に真剣だ。 そこまで英才教育でもないし、自分の才能に自信が持てないまひるは流石にまだちょっと迷い気味。そりゃあんだけ褒めてもらえば自分の絵にも自信や愛着は湧くが、絵の道なんてのは音楽同様に茨の道であることは「ブルーピリオド」読んでなくても知ってること。自分みたいな半端な気持ちで芸の道に進めるものかと躊躇いはある。しかし、無茶をやるのも若者の特権だ。ひとまず現状の進路希望として、まひるは美大を選択した。 他方、「普通の」ルートにこれまで乗れなかったにもかかわらず、先行きの透明性ではダントツなのが我らがブレーン・キウイさん。元々お利口な彼女のこと、たまたま性に合わずに学校という集団社会からはドロップアウトしてしまったが、それが即社会からの逸脱にはならないのである。きちんと資格を取れば大学には進めるし、彼女には自分の手でその進路を定めるだけの先見の明がある(あと悩む時間もいっぱいある)。多分同世代の女子高生の中でも一番堅実に、そして一番真剣に進路を考えていたのがキウイさん。VTuber活動だけでも食っていけそうな気もするのだが、それを選ばないあたりが彼女の彼女たる所以なのであろう。まぁ、そんな彼女にもまだまだ「社会ってムズい」わけだが……あそこで積極的に「社会にチャレンジ」しようとしたその意気だけでも、キウイは前に進めている。 そうしてキウイが予想以上に堅実な人生設計を描けていることを初めて知り、思い切り焦っちゃうのが桃香さんということになる。「あれ、この4人ってもっとちゃらんぽらんで先の見通しがたってない仲間だと思ってたのに……」と思ったかどうかは分からないが、一番年上のくせに全く先の見通しが立っておらず、登録者10万人を掲げてはみたもののそれこそ勢いだけの話。達成したら次に何が起こるかも分からないし、そもそも「目標なんかねぇ」と言い放ってしまっている時点で完全に迷子。まー、それこそ動画配信からの歌い手ルートなんてもんは現代社会ならそれなりに現実的に狙えるルートなのだろうが……多分桃香は過去との決別が目的でJELEEをやっていただろうし、その先に本当の自分の夢があるかどうかも分からないのだ。まさか一番進路に悩むのがJKの権利喪失者だったとは。 焦った桃香は「とにかく目先に目標を」ってんでキウイの尻を追いかけて免許合宿へと転がり込む。当然、「通勤通学に使いたい」というキウイのような具体的な目的など何もない状態だ。そんな状態での免許になんの意味があるかは不安だったが、ありがたいことに合宿所の二人部屋、キウイさんととっくり話をする機会が得られたおかげで、なんとか自分の立ち位置に多少の目鼻をつけることくらいはできた。さらに合宿には変な改造おねーさん・小春さんも登場し、「普通なんてことは誰も決められないだろ」とケロッとした顔。色んな人生を覗き見すれば、自分の悩みもちっぽけに見えるし、先行きの不透明さだって当たり前だと思えてくる。これがいいことか悪いことかは分からないが、「行き先不明」もひとまずそれでよし。無事に免許は取れたのですし。 もちろん、そんな宙ぶらりんで終わってしまっては座りが悪い。「足元だけじゃなくて行きたい方向を」という「目標づくりの目標」を手に入れた桃香のところに、羅針盤のように表示されるのはまひるのLINE。まひるが呼んでくれるのなら、ひとまず今はその方向へ進んでみようじゃないか。まひるは桃香によって道を拓かれた。今度はまひるが、桃香の背中から行き先を教えてくれている。靴跡と足跡、2つ並んだ線は海へと続き、その行き先は波間に消え、まだ誰にも行方は分からない。それでも、若い2人は「隣に一緒に歩いてくれている人がいる」という、それだけで充分なのだろう。 ……以前自転車の2人乗りで物議を醸したアニメ作品はあったが……2人乗りでちゃんと刑事罰受ける作品は初めてだな……。 母親役上坂すみれ、娘役東山奈央、2人は同期の32歳! 第6話! ……個人的には91年度組は80年度、85年度に続く黄金世代だと思ってるんだけど、世代が移り変わってその下にもだいぶ充実した世代が出てきたよな……。 とかいう中の人ネタからスタートしてみたが、なんだったんでしょうね、今回のお話。多分作品全体での意義を考えると「花音が自分の母親との関係性を見つめ直すきっかけ」みたいなお話だったと思うのだが、それにしちゃぁ色んな要素がコテコテで、この1話だけでもお腹いっぱい。化学調味料が大量に入ったジャンキーなお味である。別に化調が悪いものというわけではないので、なんかこぅ、変なところが癖になる今までとは違うテイストだったな、という印象。いや、今作は毎回毎回インスタントな刺激をボンと出してくる印象もあったけども……やはりメイン4人の話からちょっと脱線したのがそうした印象に繋がったのかも。 一応JELEEのお仕事ログとしては初の「外注依頼」であり、これまでイラストやMVとの複合業務として見られていた中でも特に花音の作詞・めいの作曲にスポットが当たる可能性もあったのだが、その辺はサラッと流れでやってしまったため、ほんとに「なんとなく外注こなしたら登録者数が増えました」という展開。そこに1話目で登場した謎のアイドル崩れ・みー子をうまいこと絡めて、「この時代におけるアイドル性とは、話題性とは」みたいなものに問題提起を行なっているわけだ(??)。まぁ、今更「子持ちのバツイチアイドル」なんてそこまでびっくりするような話題でもないよな。花音の中の人は「こっそり出産して子供がいることを隠していたアイドル」をどんな気持ちで見守ったんでしょうね。やっぱり完璧で無敵な一番星の生まれ変わりだったんでしょうかね。 普通、この手のお話だとお子さんはもうちょい反抗的に描かれがちで、三十路超えで芽も出ないようなアイドル(仮)業務に精を出す母親なんて嫌って当然だとも思うのだが、みー子こと馬場静江はシングルマザーの兼業でありながら一切家庭での責任からも逃げておらず、娘の前では立派な「お母さん」をやっている。なるほどこれなら娘は「他の人とは違うママ」に気恥ずかしさを覚えることはあっても、決して忌み嫌う必要もないし、「TO」になってもおかしくはない。興味深いのは、「舞台に上がるのが母親で、それを支えるのが娘」という構図がまさに花音が過去に置いてきた山ノ内家の逆の構図になっているという点。今回のお話は「たとえ家族であってもアイドルとその推しという関係は問題なく成立するし、なんならトップになって然るべき関係性だ」というサンプルであり、かつてなんらかの事情で崩壊してしまった花音の親子関係を修復するための第一歩なのかもしれない。まぁ、どこまでいっても「よそはよそ」ではあるが。 そうして変なエピソードを組み上げるために出てきた変なアイドルをサポートするため、JELEEの4人も程よく関わって自分なりのポジションを確保。なるほどと思ったのはキウイちゃんの立ち位置で、素早く「娘さん、学校でいじめられてるかもしれませんね」と反応できたのが自己の体験に基づくというのがよかったのか悪かったのか。まぁ、アリエルちゃんもあまり大きな問題に発展しない程度の小競り合いで済んでよかったよ。 そんなアリエルに力を与えたのは恥も外聞もない推し活の権化・めい。彼女の裏表のないストレートな感情表現があればこそ、アリエルちゃんは母親を信じて推すことができたし、その娘のまっすぐな視線があればこそ、馬場静江は挫けずにアイドル活動を続けられた。そういう意味では今回一番の立役者はめいだったのかもしれない。あんまり小学生に悪い文化を教えないようにだけ気をつけてほしい。 そして我らが主人公であるまひるは……今回特に何もしてないな。最大の進展は花音との関係性で、前回の衝撃のキスについて、とりあえず笑い話として流すことにした模様。これで花音の方もいいってんならおしまいなんだけども……終わらせていいのかな? どうかな? 生まれてしまった……承認欲求モンスターが! 第5話! でもね、どこぞの後藤さんみたいに街を破壊して回るのはまずいですけど、承認欲求ってのも至極真っ当な自己発現ですからね。今回のお話は前々回のキウイちゃんエピソードにならんで、なんか好きなお話になりました。 必死に作り上げたJELEEの動画は何と呪いの動画だった。念の為に確認したらマジで前回のエンディングの時点で「呪いの言葉」が入っていて(当然まったく気づいてなかった)、作り手側のこだわりが感じられるのは素敵な部分。まぁ、作中のまひるたちからすればせっかくのプロジェクトに余計な傷がついてしまったようにも感じるかもしれないが、配信者としての側面もあるなら、どんな形でも話題になるならそれは勝ち。怪我の功名をうまいこと追い風に、JELLEの評判は一気に広まることに。 そうして訪れる1つ目のつまずきはまひるから始まった。元プロの花音、(一応)現プロともいえるキウイ、そしてしっかり学校でもお勉強してスキルを磨いている専門家の卵でもあるめい。そんな3人と並ぶとどうしても自分だけが霞んで見えてしまうというのはしょうがないところ。今の世の中、ありとあらゆる創作物はなかなかたった1人の手では生み出せない。さまざまな人間が関わり生まれ出た完成品の品評に、関わった1人の評価が色々とくっついてくるのは当然のことである。そして、そんな中で「不揃い」であることを指摘されるのもまた当然なのである。 再生数や登録者数が伸びて浮かれまわる4人の気持ちはとてもとてもよく分かる。かくいう私もどっちかというとコミュ障のくせに承認欲求モンスターという後藤ひとりタイプの人間で、他人から悪く言われるとありえないくらい落ち込んで引きずるくせに、他人に認めてもらいたくてエゴサなんかバシバシやってしまうタイプだ(このブログについては流石に諦めているが)。Twitterでバズるだけでも気持ちよくなるもんだし、褒め言葉なんて目にしようものならそりゃぁ1日中上機嫌である。そんなもん、人として生まれたからには誰だってあることだろう。そして、そういうものに敏感な人間というのは、えてして悪評の方ばかりを気にしてしまうのも事実で。おそらく、今回のJELEEの動画について、コメントを全部見れば、きっとヨルのイラストを評価する声だってたくさんあったに違いない。というか、普通にYouTubeのコメント欄の性質を考えればベタ褒めの嵐だろう。その一部に、もしかしたら歌の方が好きすぎて絵を落とすような書き方をしてしまったファンもいるかもしれない。そしてそんなネガティブな部分ばかりを拾ってしまうまひるの性格も、なんだかとてもよく分かるのだ。 気にしなくていいと言われても気にしちゃう。そしてタイミングの悪いことに、そこに明らかに「自分より上手い」と思っているイラストレーターからのファンアートまで寄せられ、どうしたって自分の技術と比較して後ろ向きになってしまう。これもまぁしょうがない。「上を向いたらキリがない」とはいうものの、一時的にでも「配信でバズって、自分だっていっぱしの絵師の仲間入りしたんだろ?」と思ってしまったわけで、「いやいや、プロの人と比べられてもそりゃあっしなんて……」と根っこの部分で思っていたとしても、心のどこかに「でも、負けてしまってるんだ」という嫌な引け目は感じてしまう。これは自己評価が正しいとか間違ってるとかじゃなくて、「比較するものがあれば比較してしまう」という当然の摂理なのだ。 そうしてネガティブな感情が重なってちょいダウンしてしまったまひるだが、正直、今回の彼女の心の動きはとてもとても健全だと思うし、あまりネガティブな話だとも思わなかった。冒頭でも書いたが、自己発現の真っ当な方向性の先に「妬み」ってもんはあるのだ。「負けて悔しい」からそう感じるわけで、「負けて当然ですので」からは負の感情も生まれないが、その代わりに進歩も生まれない。悔しさをバネに飛び跳ねて、人は強くなっていく。まひるの「落ちた」感情はきっと花音に出会う前にはきっと生まれえなかったもの。「自分は何の取り柄もない」と落ち込んでいた一般人の光月まひるには起こりえないものだ。花音によって絵描き「海月ヨル」が復活したおかげでこの感情が呼び起こされた。そして、落ち込んだまひるを刺激してくれるのはやっぱり花音なのだ。とても真っ当な青い情動の巡り合わせ。青春ストーリーとして、とても正しい姿を見せてもらった気がします。 そして、そんなまっすぐなヨルがあまりにも眩しくて……なんか花音さんが予想外の方向にアクセルオン。事前に水族館にデートに行っていたのが完全に伏線になってますね。「女の子どうしのカップルこそ水族館に行け!」とどこかの偉い人が言ったとか言わなかったとか。水族館を経たカップルは、その蜜月も末長く続くことでしょう。……まぁ、過去の大先輩たちに比べると、この2人はお互いに全く自分の感情を整理できてないっぽいが。次回、花音さんの方からどういう動きに出るかに要注目。……その時にキウイちゃんがお父さんみたいなポジションで「まひるはお前にやらん」と言い出したらちょっと面白い(修羅場やん)。 |
ブログ内検索
リンク
最新記事
(01/21)
(01/21)
(01/21)
(01/20)
(01/20)
(01/20)
(01/19)
(01/19)
(01/19)
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
アーカイブ
|