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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ふぁい………………てぃん…………(幸せなまま人生を終える)。

 2日続けて僕だよ! お疲れ様でした! やっぱ2DAYSは素晴らしいね! ハイパー疲労にハイパー筋肉痛だけど、夏の終わりの1ページ。我が人生にいっぺんの悔いなし。

 

<2日目に何か書く体力が残っているかね>

 


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 ふぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいてぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!! どうもご無沙汰しております、僕です! 1年ぶりの単独ライブ! そして、3年ぶりの声出しライブ!!! ぶっちゃけ、このテキストを書き始めてはいますが、もう脳から記憶はほぼ蒸発しております。一夜の夢としてただ通り過ぎていく儚き体験。ライブとはかくも素晴らしき……。多分上演時間の半分くらいは泣いてたからマジで舞台が見えてなかった可能性があるな!

 

<セトリを見ながら、覚えてるとこだけでも書いてこ>

 


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 ほんとに次の曲が始まっちゃうよ! 最終話! まぁ、そうなることは予測できたけどね! タイトルは私の提案した「BanG Dream! the abyss of Ave Mujica」でいいと思ったんですが、いかがでしょう。成れ果てっぽいのもいたし。主に豊川さんのご自宅に。

 普段はAT-Xで視聴してるので金曜深夜なんだけど、今週末にあれやこれやがあるために流石に最速視聴せざるを得なかった。何が起こるのかを見届ける必要があった。想定通り、MyGO!!!!!の物語は基本的に先週で終幕している。今回後日談としてスポットが当たったのはそよ・愛音・燈の3名。まずはそよ。彼女の中では全てが片付いたわけではない。しかし、ライブの成功は間違いなく力になったし、「新しい時代」をとりあえず歩いてみるくらいの決心にはなった模様。「死ぬまでCRYCHICを忘れられない」という言葉は一見悲観的なものにも聞こえるが、考えてみりゃ当たり前のこと。我々は故人を、過去を忘れ去るから生きていけるわけではない。抱え込みながら次の一歩を踏み出すのだ。もちろん、そうしたそよの宣言の意味を燈も理解している。燈にとってもCRYCHICは大切なものだ。そこから先の道はまだ見えずとも、一緒に歩いてくれる仲間ができた。今はそれでいいではないか。

 そうして、結果的にはそよや燈の新しい道標になったのが愛音。彼女は彼女で抱えていたものがあったが、燈が引っ張り上げてくれたおかげで立ち直ることもできたのだ。あとはその無鉄砲さでもって、せいぜい迷子のメンバーを引きずり回せばいい。てんでバラバラのこの5人のこと、これから先も散々にトラブルは降ってくるだろうが、きっと次も誰かが手を差し伸べてくれる。ただ、今のところ祥子はその手を取らなかったというだけの話。

 こうして1つのバンドが成り、物語は次のステージへ。いや、別のステージへ。豊川祥子の手腕は凄まじく、横暴なスカウトを続けていたかと思えばあっという間にファーストライブ。覆面バンド・Ave Mujicaは気づけばそこにいた。こちらもMyGO!!!!!同様に5人がバラバラの個人プレー集団。プロデューサーの祥子の指揮下で一応バンドのていは成しているが、各人のモチベーションがきちんとつながっているかどうかはあやしいものだ。それでも、祥子とは幼馴染の縁があって強固につながる初華、未だ謎に包まれてはいるが、さらに祥子との因縁が深そうな睦の2人は、おそらく祥子の言うことには従う方針だろう。“仕事人の海鈴も、必要な見返りさえもらえば最も職業的に役割を果たしてくれる頼れるメンバー。もちろん、この「見返り」が金銭的なものだけには限らないわけだが。一番の未知はにゃむということになるが、今のところは彼女もまだ首輪をつけられた状態に不満はないらしい。祥子の強かな演出プランを信頼している部分もあるだろうし、基本的には享楽主義のきらいがあるので、現時点で面白そうな話に乗っかっているだけという可能性もある。どこかチュチュとマスキングの関係に近いものがあるかもしれない。少なくともこちらは「一生バンドをやる」とはまだまだ言えない状態だとは思われるが、その成り立ちが不可解なだけに、形を成していく過程はこれまでのバンドストーリーにはない、どこか歪で蠱惑的な展開も期待できそうだ。

 そして、今回のお話を見てやはり感心させられるのは、また新しい形での現実と作品世界のクロスオーバーを見せつけられたという部分。我々が全く意味もわからずにただ突きつけられたAve Mujicaという存在。多少形は違えど、彼女たちが謎を持ち、どこからともなく現れたという状態は作品世界でも似たようなものだろう。我々の困惑・期待・興奮は、そのまま新たな火種として作品に装填された。視聴者目線では「謎の覆面バンド」というわけではないのだが、正直、我々はまだ5人のメンバーの腹の底を何1つ知らないのである。そういう意味では、皆仮面を外す気配もない。早くその奥の奥を、覗かせて欲しいものである。

 しれっとメンバーネームを授与していた祥子。彼女の思惑は、どれほどの意味を持つのか。そして、「MyGO!!!!!」の「裏側」としての「Ave Mujica」という物語が、アニメ世界にどのような波紋を起こすのか。個人的には彼女たちを象徴するマスクのデザインが秀逸で気に入っています。各人で覆われてるパーツが違うのが特徴で、睦ちゃんはだいぶ苦しそうなデザインだったりするのだが、この「欠けている部分が皆違う」というデザイン、結果的にはMyGO!!!!!の衣装と対比される形になっているのが面白い。MyGO!!!!!の衣装の場合、意図してなかったが、みんなで同じものを分け合った結果の「つながることを表す欠落」。Ave Mujicaの場合は、全てが祥子から与えられた完成品であり、むしろ欠けている部分こそが本質。

 とりあえず、現実の0thライブは見直したいなぁ。

 

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 そして、次のバンドが始まるのです、第12話。一応これでMyGO!!!!!を巡る設立秘話は一段落ってところでしょうか。あとはバンドリ次元最大の謎にして巨大な闇、豊川祥子の動きを見届けるだけ……だと思うが、そこまで全て語られるのか、それともこのアニメのタイトルが「BanG Dream! the abyss of Ave Mujica」とかになって2シーズン目が始まるのか。

 最後の最後までバッタバタ。個人的には冒頭の「sasanqua」の新映像が単に嬉しかったんですが、あの曲を歌いながら、美竹蘭がニッコニコになれてるのが時代の流れってやつですかね。セトリを考えるとあのライブはsasanqua終わりなんですよ。よっぽど自信がないと組めないリストじゃないですかね? そしてみんなの女神・上原ひまりさんの姿がこのアニメで見られたのも嬉しかったですね。今回は既存キャラがかなりたくさん出演していたので「これ、一気に全員出てくるパターンあるか?」と思ったけど流石にそんなことはなかった。あこちゃとりんりんが見られただけでもよしとする。

 そんな舞台にドタバタで上がった「迷子のバンド」の面々。最後の最後まで噛み合わず、全くモチベが合わない状態で登壇したもんだから、ここでまたおっきな失敗でもしてトラウマが植え付けられるのかとヒヤヒヤしたが、もう覚悟が決まってる人間が多く、女子高生(一部中学生)は皆舞台度胸が座ってるのがこの世界。マイクを握れば燈だって一直線よ。立希は迷うも何も、やれることをやるしかないので視野狭窄気味ではあるが、仕事はこなせるタイプ。楽奈はそれ以上に周りなんて見ないけど失敗と無縁のタイプ。おばーちゃんの前でちゃんと格好いいところ見せられましたかね。愛音はこの中だと一番失敗するタイプだが、結果的には「バンド名」とか「舞台衣装」とかそこそこ自分の我を押し通したことで、おそらく少しずつ「バンドは私が必要だし、私もこのバンドが必要だよ」という認識を持ち始めているのだろう。ツインギターという独特の構成のおかげもあって愛音だけは多少拙くても誤魔化せるというのもありがたい。彼女はこれから、ちょっとずつ周りに迷惑をかけながら成長していくことだろう。

 そしてそよ。彼女は「理屈の上では」バンドへの加入が決まり、腹も決めたはずのポジション。しかしまだ、彼女の中で自分が「MyGO!!!!!の長崎そよ」であるかどうかは決めかねている状態だっただろう。なし崩し的に引きずりこまれた「被害者」意識というか、愛音や立希がもうやめだと言ったら抵抗もなくこのバンドをたためる、それくらいの意識だったはず。しかし、そうしてちょっとずつ足を踏み入れたこのバンドで、やはり決定打を出してくれるのは燈だった。そよにとっては縋りたい過去だったCRYCHIC。それは燈も同じで、楽しかった過去に帰りたいと思ったこともあるだろう。しかし燈はそんな過去を乗り越え、新しいメンバー、新しいバンドで自分の目的を成そうとしている。そして、そのためにはそよが必要だと手を伸ばしてくれている。新しい「一生」を背負うため、そよは自分がここにいるべきであるという認識に至る。燈はあらためて、もうこの5人で離れないとステージ上で声をあげた。客席に睦がいたことを、おそらく燈は知らない。そよは知っていたかどうか微妙なところだが、その後のきゅうり(なんで?)で気付かされた。ここが分水嶺。CRYCHICではなく、MyGO!!!!!になる。そよの新しいバンドストーリーは、今このステージに幕を開けたのである。

 そよの新しい舞台の始まり。それはCRYCHICという過去のバンドが跡形もなく消え去ったことを示すものでもある。「終わり」を見届け、突きつけられた睦。彼女にとってはなんら愛着もなく、ただ茫漠とした記憶だけが残るバンド活動だったのかもしれないが、そんな過去の幻影は消え失せ、新たな世界が眼前に広がる。豊川祥子は何を考えているのだろうか。“仕事人”である海鈴を従え、プロのボーカリスト三角初華をも手中に収めた祥子。その彼女が、すでに睦にもコンタクトをとっているのは間違いない。「CRYCHICの残滓」は、いったい何の萌芽となるのか。

 最後に手を伸ばされたのは、業界をタフに生きる強かなYoutuber祐天寺にゃむ。祥子は「顔と数字」に目をつけて彼女にオファーしたという。そして、その祥子のあけすけな感性は、決してにゃむが嫌いなものではないようだ。睦すらも駒としててっぺんに駆け上がる直通切符を手にしたと宣う祥子。その先には、いったい何が見えているものか。

 

 

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 「なんなのこのバンド〜!」、第11話。無事に結成できたと思ってたけど、やっぱり凸凹バラバラな5人。ここまでくっきり個性を出して、誰一人同じ方向を向いていないバンドってのも珍しい。だからこその、迷子。

 宴の始末。感動のライブで5人が1つとなったのが前回までのお話。今回はそのステージから降りるところに始まり、訳のわからないままにステージに上げられ、終わらせるつもりが始めてしまった長崎そよの戸惑いがよくわかる構図になっている。今回のライブを経て一番変化したのはもちろんそよ。「解散を乗り越えた長崎そよ」は新時代へと突入し、これまで必死に被り続けてきた仮面を脱ぎ捨てて正体を表した。しかし、この蓮っ葉でそっけない長崎そよも、やっぱり彼女にとってはペルソナに過ぎない。立希に対し、そして愛音に対してずっと拗ねたような態度を見せていたそよだったが、最後の最後に「あの頃」に戻ったような笑顔を見せる。忌憚なく自分の本音をぶつけ合える相手がようやく現れたところで、そよさんの本性はやっぱりそよさんなのだろう。反抗期を終えた娘が、お為ごかしでない本当に自分にようやく触れられたお話。

 そよさんの中の問題が解決したら、あとは荒削りでバントとも呼べないような状態だった集団をバンドに成形していくだけ。だけなのだが……これがもう、本当に苦難の連続。こうしてみると、他のバンド連中はゴタゴタがあったと言ってもまだみんなして共通の目標を持って足並み揃えようとはしてたんだよな……。最大の求心力を持つ高松燈という存在がどうにも声量の小さい子なものだから、ステージ上での道標にこそなれ、日常的にバンドを運営する時はみんなして好き勝手にあっち行ったりこっち行ったり。いわば「半端に知恵をつけた上で奥沢美咲のいないハロハピ」みたいな状態。ギブミーブレーキ。

 もちろん、元CRYCHICの面々はまだマシだ。立希の目標は今も昔も変わらず、とにかく燈を立てる方向に動きたいのだから、一番まともに「バンドをやろう」と考えている人間。ただ、ここまでのすったもんだで色々と内省する部分もあり……流石につっけんどん過ぎたらよろしくないということもわかった。あのダークそよを見た結果の成長だとするならまさに「人の振り見て我が振り直せ」である。でもね、流石に燈が愛音の野郎をあだ名呼びするのは聞き捨てならないよ。燈が、燈がどこかに行ってしまったら……立希は死んでしまう。

 一番深刻な問題が解消され、曲がりなりにもバンドが転がり出したら強いのは愛音。これまでのしがらみなど無かったかのように、自由奔放に自分のやりたいことをやり始める。そこに迷いもなければ遠慮もない。立希やそよからしたら最低の空気読めない奴でしかないはずなのだが、一度苦難を乗り越えた面々からすれば、この無遠慮さもありがたいのかもしれない。「気兼ねなく全力で殴り合える相手」ができたこと、それを一番嬉しく思っているのが愛音であり、殴りかかる先がいるというのがどれだけ幸せなことかを実感させてくれる。まぁ、どこぞのギターとヴァイオリンみたいに気づいたらそんな関係になってることもあるが……やはりいざという時に集団の原動力になるのは、後先考えずに突っ走る馬鹿なのであろう。

 今回の燈は、そうして動き回るメンバーを見守る穏やかな時間を過ごした。もちろん新曲作るために精魂尽き果てたんだから全く楽はしていないが、前回までのような余計な心配はもう必要ない。ただ自分がやりたいバンドのためだけを考えて、自分にできることをやればいい。このポジションがどれだけありがたいことか。まぁ、立希ママは「辛いの? 学校休む?」とか言って相変わらず過保護すぎるけど……どっかで燈が反抗期を迎えて立希さんが足腰立たなくなるくらいに落ち込んでほしい。

 こんなドタバタ面子を相変わらずけろりとした顔で眺めている楽奈。飴玉噛み潰すタイプの人間だったか……立希も少しずつこいつのコントロール法はわかってきたようで、とりあえず餌で釣れる要素が8割。あとの2割はなんとか「おもしれー」ものを見つけてくる以外にない。そんな彼女がちょろっと生い立ちを漏らしたのが今回のサプライズ情報。おばーちゃんが、SPACEを……えっ? つまりそういうこと? ……あらまぁ、そうなの……やりきった結果を求めたらこんな孫が…………。まぁ、ロックな一族なのは間違いないよね。現状で唯一心配なのは、こいつ、出席日数足りとるんかい、っていうことくらいですかね。来年花咲川に上がってこなかったらどうしよう。

 今回だけでも愛音×そよ、そよ×立希、立希×楽奈など、様々なバンド内関係性が強化されました。今後もいろんなところでトラブルだらけの5人組になりそうで秋からのアプリ登場が楽しみになってきた。個人的には、今回ようやくMyGO!!!!!というバンドの特徴に気づくことがあって、それは、バンドリ作品内で始めて「弱さ」を前面に押し出したバンドだということ。もちろん他のバンドにもそういうテーマの楽曲やストーリーはあったが、ポピパ・ハロハピが「楽しさ」、アフロとRASは「強さ」、Roseliaが「完璧さ」でパスパレが「可愛さ」と「完璧さ」のハイブリッドといった印象。そこに今回、ネガティブな感情を抱えながらも夢を追う若者の姿が刻まれ始めたのだ。新しい風を巻き起こしてくれることを期待しよう。

 こうしてまっさらなところに新しいバンドが組み上げられていく様子を丁寧に描く裏で、こっそりもう1つのバンドがちょっとずつ作られていくのも笑ってしまうな。にゃむ、ドラム始めたってよ。あと初華と海鈴がミーティングを繰り返している様子も。あのバンドは何をテーマにしたバンドになるんだろう……「虚無」とか「怒り」とか……豊川祥子という女が、どれだけの情念を抱え込んでるかによる。

 

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 成った……第10話。これがバンド、これがバンドリ。

 「バンドが出来たな」って思えるこの瞬間、ビビッとくるものがある。これがあのきらきらぼしのアニメと地続きの世界ってのが信じられないくらいに、心と心の物語がある。彩度も細度も桁違い、そんな「バンド結成」の物語を目の当たりにした。見せつけられた。結局、「バンドもの」の一番の良さって、こうしてバラバラの個性がぶつかり合って、1つの完成形を生み出すところなのだよな。今作はそれを担当したのがよりにもよって「迷子」の連中ばかり……たっぷり10話もかかったけど、そのゴールはこれまでになく堅牢なものとなった。

 バンドの絆なんて都合のいい言葉を使っても、結局は個人、別人、赤の他人。みんな考えてることなんて違って当然。それを擦り合わせていく過程でギスギスも生まれるだろうよ。今回のお話は本当にご都合主義で、ラッキーの塊みたいなもの。それでも、5人が5人とも自分の心に嘘をつかずに辿り着けたその幸運を噛み締めるのに恥ずかしいことのあるものか。

 今回の立役者、要楽奈にとってのバンドは「おもしれー」だ。最初から最後まで1ミリたりともブレることのない最強の女。そんな楽奈を動かすのはただひたすらにセンスのみ。「つまんねー女の子」に成り下がってしまった燈は、自力で悩み抜き、苦しみ抜いた先の大きな勇気の果てに、再び楽奈の「おもしれー」へと返り咲いた。燈をもっと「おもしれー」にするためには、楽奈も労を惜しまない。こないだのゴタゴタで燈周りの人間関係はおよそ把握していたのだろう。あとは野生の嗅覚で持って、必要なパーツをステージ上に集めてくるだけ。おもしれー燈がいれば、そんなことは容易いのである。楽奈は「おもしれー」バンドを手に入れた。

 椎名立希にとってのバンドは「燈」だ。彼女が喜んだからバンドを始めた。彼女をステージに立たせるために何とかバンドを続けようとした。それがダメで、自分のせいで燈がついに崩れて、立希は自責に追われながらも何も出来ずにいた。しかし、立希の希望である燈は、彼女の想像以上に強い「歌い手」だった。想像の埒外の行動に出た燈。立希はそんな彼女の言動についていけない自分を認めたくなくて、みないふりをしていたが、楽奈に無理やり引き摺り込まれ、自分が隣に立っていいと認められたおかげで、再びスティックを握ることができた。そよが何を考えているのか、睦が何を思っているのか。立希はまだ何もわかっていない。それでも今は、燈がステージに立っている。自らの意志でそこに残り続けている。自分のこれまでの行動が、そんな燈にちょっとの勇気を与えられたのだと、立希は自分を認めてあげることができただろうか。

 千早愛音にとってのバンドは「見栄」だった。みんながやってるなら自分もやらなきゃ。ステージの上で目立てる方法は手っ取り早くバンドだろう。そんな浅はかな考えが散々に打ち砕かれ、「でも、自分で結成したバンドなんだから自分が必要である」という最後の望みすら、前回の顛末で儚く散った。もう燈との繋がりは何もない。そう思っていた愛音。そんな彼女の打算の果てのバンド活動を塗り替えるには、ただ1つ、それが見栄でも嘘でもなく、本当に「愛音の生き方」であると示してやる必要があった。なに、難しく考える必要はない。ただ愛音が必要だと、そう彼女に伝えてやればいい。誤魔化しじゃなく、誰かの代わりじゃなく、そこに愛音が立っていてほしいと。そう言って手を引かれるのが、彼女にとって何よりも救いだったのだ。燈が繋いだ関係性は、今や愛音にとっての「本当」になり、自分以外の他者のために、彼女はステージに立つ理由を得た。

 長崎そよにとってのバンドは「CRYCHIC」だった。自分の人生を変えてくれたあのバンド、祥子・睦・燈・立希の立つステージだけが彼女の目的だった。その可能性がゼロであると祥子に叩きつけられ、そよがバンドをやる理由は何一つなくなったはず。バンドをやらないのなら、今までお為ごかしで作り上げた関係性も必要ない。そう考えたからこそ全てをぶっ壊し、終わらせようとした。他のメンバーに悪意を持っていたわけではない。自分はもう終わったのだから、そこにこだわり続ける人間がいては、互いに不幸にしかないからだ。そんなそよの諦観をぶち壊すのは難しかったが、ここはもうパワープレイで行くしかない。そう、「CRYCHIC以上」を作り出すしかないのだ。新しく賭ける価値のあるものを、そよを加えた5人で作れることを示すしかないのだ。今ここに全ては揃った。あの愛音が全てをリセットして見せたのだ。それなら自分だって、今ここ清算してみせなければ、なんとも格好悪いではないか。「自分のことばかり」だったそよが、ついに他人に手を引かれ、他人のためにベースを取った。

 バンドの主役は誰だろう。ボーカルが主役か、それとも「メンバー全員が主役」なんて綺麗事がまかり通るか。それは個々のバンドによっても違うのだろうが、まだまだメンバー全員が迷っている5人の中で、そこに道標を与えるにはやはり真っ直ぐに目指せる目標が必要になる。それは夢と言ってもいいし、野望と言ってもいい。とにかく、バラバラの方向を向いている勝手で最悪なメンバーが、思わず同じ方向を向いてしまうような、強烈な光が要る。高松燈にとって、バンドは「詩」になった。なぜバンドを始めたのか、CRYCHICの悲しい経験があったのに、何故自分は再びマイクの前に立ったのか。彼女の詩は目的ではなく手段だ。彼女の歌はゴールではなく道程だ。答えが見えず、分からないからこそ、みんなで探す必要がある。その先を見たいからこそ、1つのものを作り上げるために躍起になれる。燈の詩にはそれだけの力があったのだ。

 見たい未来が、この先にあった。だから、バンドが成った。

 

 

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 もう、いっそのことタイトルを「バンドリ 黒の章」とかにすればいいと思う、第9話。このアニメを見て仙水忍が闇堕ちしたと考えればすごく納得いくからね。

 これでこの作品が「最終的に宇宙に漂っている巨大な長崎そよの心臓めがけて銀の矢を叩き込めば終わる」みたいな内容だったら話は簡単なのだが、残念ながらそういうアニメではない。誰をやっつけたとしても話は終わらず、そもそも誰もやっつけることは出来ない。ただただ、人と人とがすれ違い、地獄の様相を見せているだけのお話である。そこには性根のねじくれた人間はいるが、決して「本当の意味での悪人」はいない……いや、違うな。みんなしてちょっとずつ悪いから、その悪さが澱のようにどんどん溜まった結果がこの黒の章なのだ。

 現在最大のブラックを振り撒く女、長崎そよ。いきなり幼き日からの彼女の生い立ちが語られ、彼女の奇妙な従属体質というか、何かに依存してしまう心境の根っこが語られている。幼き日に母親が離婚したのか再婚したのか、とにかく家庭環境ががらりと代わり、降って湧いたお嬢様生活。なかなか身の丈にも合わぬと思いつつも、誰にでも無難に合わせられる天性の人当たりの良さを武器に、彼女は仮初の安寧を塗り固めていく。そんな中でようやく出会えた本当の関係性がCRYCHICだと思っていたのに、どこかで歯車が狂って瓦解した一時の夢。当初、CRYCHICに関しては「燈がだいぶ引きずっている」という印象を与えており、ファーストライブの成功でなんとか燈がその幻影を乗り越えて新しい一歩を踏み出せたものだとばかり思っていたのだが、実際ははるかに巨大な幻影を抱えたそよが背後に控えていた。前回の祥子による的確な人格攻撃により、完全に仮面を破壊され、何も守るものがなくなってしまったそよ。ある意味で、今回のそよさんは怖いもの知らずの無敵の人。かつてバンドリのメインキャラでここまで「悪役」に堕ち切った人間はいなかっただろう(バンドの解散危機という状況で言うなら、パレオの振る舞いはちょっと危なかったこともあったが)。「ママみ溢れる優しいそよさん」と「目的のためなら笑顔で友人知人を使い倒す長崎そよ」の二面が全く同じ根っこで語られているところが本当に業の深い部分で、ご丁寧に今回の回想シーン、楽しそうにスマホを見ながら寝っ転がるそよさんのカットが、前回の鬼LINEブロック発覚そよさんと全く同じ構図で描かれてるのが最悪である。

 そんなそよに対抗すべく立ち上がる椎名立希。彼女はすでに一回「壊れ」を経験しているのでこれ以上最悪の落ち方はしないが、彼女も彼女で決して悪いところがないわけじゃないため、そよさんばかりを悪役に仕立てるわけにはいかない。今回、祥子のお株を奪うかのように、そよが立希に対して「燈ちゃんさえいればいいんでしょ?」というナイスブローを炸裂。ド正論に全く言い返すことが出来ない立希は返り討ちにあい、ブチギレ気味で代理のベースを用立てた。もちろん彼女はそよに対する腹いせ目的ばかりでそんな暴挙に出たわけではない。彼女の中の「燈第一主義」は揺らぐことなどなく、「そよが周りの人間(それはおそらく燈にとって大切な人である)を利用するだけ利用して己が欲望を満たそうとしていた」という事実は、おそらく燈にとってはショックな事実。立希はなんとかそれを燈に伝えずに彼女のバンド活動を続ける方法を模索した。その結果が、「そよはとにかくもう来ないから、切り替えていけ」という指示だったわけだ。残念ながら燈がそんなスパルタに乗れるはずもなく、結局「立希もバンドさえやれればいいのでは?」という最悪の印象を与えた上で、何も解決せず愛音を追い返すという泥沼の結果に繋がった。冷静に考えれば、燈がこんな状況に耐えられるはずがないことくらいは立希もわかりそうなものだが、頭に血が上ったこともあるだろうし、結局立希は「燈が第一」とは言っても、実際は「燈と自分が一緒にバンド活動できることが大事」というエゴイズムで動いている。彼女は彼女で、悪なのである。

 そういう意味では今回単なるサンドバック要員になってしまったのが愛音。彼女は物語序盤で散々迷惑かけてたし、過去エピソードで堕ちるとこまで堕とされたのでこれ以上人間性を貶められることはなかったが、「そよには利用されてただけ」「しょうがないとはいえ、そよ(CRYCHIC)と愛音のどちらを選ぶかという選択で、燈がそよに揺れている」という現実を見せられ、またしても自尊心ブレイクを引き起こしてしまった。自分がバンドで一番の下手くそなのは知っている。よりによって直前までスタジオにいた海鈴が超絶ベースを披露してしまったせいで、この世界には楽奈や海鈴といったバケモンばかりだということを強く意識してしまったかもしれない。そんな状態でも燈の手を取れるほど、愛音は強くないのである。今回の彼女は、単に色々抉られただけの可哀想な子。スタジオから逃げ帰るのも致し方なし。

 そんな状況にただ嗚咽し、塞ぎ込むだけの燈も結局は成長できなかったということ。いやまぁ、流石にこの修羅場を全部背負えというのは酷な話ではあるのだが……燈にもう少し主体性があれば、そよ・立希・祥子のどこか1つくらいになんらかのブレーキはかけられたかもしれない。依って立つべき中心にいるボーカルがよりによって一番何も決められない。そのことが、今回の地獄の最大の原因。もしかして、祥子や睦もその辺に見切りをつけて解散に至った可能性もゼロじゃないな……。

 右を見ても左を見ても地獄。平気なのは今回登場しなかった楽奈ばかり。あ、あと海鈴さんも想像以上にタフなやつでしたね。掛け持ちでヘルプに駆け回るパワー系ベーシスト、どっかのバンドでボーカルやってる気もするが……あの人と違って、こっちのベースは本当にマシンみたいに仕事こなすタイプだからなぁ……レイヤ並の汎用性に八潮瑠唯の合理性を持つ女。これはこれでおもしれー。立希はこの関係性はもっと大事にしたほうがいいとは思うが……我々は知ってるんだよな。こいつが最終的にどこぞの専属ベースに落ち着くってことをよ。いや、仮面かぶってればよそでのヘルプも普通に続けられるか……。

 ところで、CRYCHICの結成式って羽沢珈琲店で行われた描写があったわけだが、もしかしてこの街の重要事項って全てあの店で決められてる? ……afterglowの解散式もあそこで行われたりすんのかな……どうなるかな……。

 

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 今期一おもしれーアニメ、第8話。ぶっちゃけ今期はそこまでキラータイトルが無いからってのもあるが、多分結果的に一番夢中で見てるのはこの作品。ちょうど今週のタイミングで(きっかけはアレだったのだが)脚本家がTwitter上で荒ぶっており、そのうねるようなストーリーテリングへの熱情を感じることができました。ギスドリ上等、見たいものが見られりゃ俺はなんだっていいぜ!

 あまりにも色々な感情が渦巻きすぎていて、もうまとまった記事を書くのが大変すぎるので、今回は試しに、最初からVを流しつつ、気になるパートを時系列順に拾って行く形式で記事を作ってみる。どれくらい長くなるだろう。

・「やらないって言ったじゃない!」「言ってないけど」〜「どれだけ傷つけたかわかってる?」「だから何?」。そよと立希の「大切」の差が浮き彫りになる一幕。今回はとにかく長崎そよという人間の仮面をぶっ壊し、根っこまでずったずたにするのが目的のお話である。わたしゃこういう「上部だけうまいことやってると思ってた人間が現実を突きつけられてどん底まで落ちる」って話が大好物でね……。立希は本当に「燈さえ幸せならそれでいい」なんだけど、そよにとっては燈はあくまで「CRYCHICのボーカル」であって、彼女が大切にしたいのはかつてのバンドの再建、思い出への逃避。そう考えると、異分子である愛音の存在ってそよさんにとっては何なんだろう。行きずりの女か?

・「そよさん優しいもん、許してくれるって」。当然愛音が長崎そよという女のことを一番分かってないわけで。

・「もしかして、豊川さん?」「下の名前、祥子っていうんだ…」。祥子のクラス内での立ち位置を端的に示す描写。燈からすれば、祥子の現在が全くうまくいっていないように見えるわけで、そよの叱責も相まってどんどん自責の念に駆られる。

・ミルクゼリー。紙パックのゼリー飲料、飲みづらくない? ほんでこのベース、なんで立希にこんなにかまってくるん?

・「楽奈ちゃん、立希ちゃんの後ろにいるよ」。LINEのメッセージより。何それ怖い。このシーンで燈が触ってる石、普段よりもゴツゴツしてたり黒光りしてたり、燈の心中の表現として露骨すぎる。

・「前のライブハウスでも神出鬼没だったし」。ここ、「前のライブハウス」に何か含みを持たせる描写になってる。今後楽奈の掘り下げエピとかある? 入れる余裕ある?

・「みんなバラバラで、このままじゃ、バンド……」。燈はそよがキレた理由を完全には理解しないままなので何を謝るべきかもよく分かっていない。燈にとってはすでに新しいバンドがあり、その解散が一番恐れていること。それに対し、そよはあくまでCRYCHICの復活が目的。2人の見ている「バンド」がそもそも違う。

・月ノ森に特攻。月ノ森女子学園、今作でもトップクラスのお嬢様高校のはずだが、いかに女子高生とはいえ割とあっさり外部の人間の侵入を許しているのは不安。今年から厳しくなった理事長、セキュリティもしっかり確認しといて。

・愛音、初めての高松家訪問。燈の部屋があまりに燈の部屋すぎて戦慄するし、フローリングにダイレクトトレイ&牛乳があまりにも高松燈。おもしれー女。ここで燈が祥子に言及。「祥子を傷つけた」はそよと共通認識なのだが、視聴者目線では(そしておそらく燈たちにも)なぜ祥子がそこまで春日影でセンシティブになるのかよく分かってない。そもそもCRYCHICの解散理由がわかっていないのだから。

・そよの鬼LINE。そりゃブロックするしかない。重い女、短慮な女。ここで初登場か、そよの私室が「いいとこのお嬢さん」とかのレベルぶっちぎっててこえぇ。基本的にバンドリシリーズはセレブリティの道楽の作品です。

・「いきなりで驚いたけど、嬉しかった」。三角初華登場。こないだのあのメッセージをもらって「嬉しかった」と言える神経は図太いが、これがこの2人の関係性なのだろう。そよがなんと言おうと、おそらく祥子の中で初華以上の存在はない。あと、祥子さんはLINEのメッセージも全部お嬢様言葉。

・「その話はやめてくださる?」。初華は祥子がCRYCHICを解散させたことすら知らない。当然、理由も知らない。てっきり初華絡みの理由で強制解散していたのかと想像していたのだが、思ったよりも祥子の個人的な理由なのかもしれない。

・「うちの島に祥ちゃんが来て……」。うちの島ァ?! どんな社会階級の話だ……。

・ロリ祥子が抱えるドール。この後に出てくる祥子と睦のLINEの画面もゴシックドールがモチーフになっている。某バンドのコンセプトを祥子が作ったであろうことが想像できる。

・「虫取りに誘ってくれましたわね」。個人的に今回一番エグいな、って思った描写がこれ。祥子・初華の中で最も眩しくて素敵な思い出である虫取り、カブトムシ。直前のシーンで愛音がカブトムシのノートを見て「キモッ!」と拒絶している。どれだけ素敵な他人の思い出も、他者からみたら「知らんがな」なのである。愛音がどれだけ蚊帳の外にいるかが滲む描写でもあり、立ち入れない過去との距離がこんなところで匂わされている。

・「初華におりいってお話ししたいことがありますの」。バンド、結成するんかなぁ……。

・LINEのブロック状態を確認する女。そんな目ぇ見せられたら……ゾクゾクしちゃう! 次のシーンで仮面を被り直したそよだったが、睦だけはその異状を察している。睦のキャラも今後最重要な要素になってくるなぁ。

・「やってほしくないことばっかり」「睦ちゃんのせいだよ、あの時も、今も」。本音には本音で返せ。そよの中で「睦には容赦しねぇ」と割り切った瞬間。祥子と繋がるためなら手段は選ばないが……それがCRYCHIC再建に繋がるかどうかは……。

・既読をしらねー女。こんな自由な使い方なら、私もLINEを怖がらなくて済むのだろう。ちなみに通知画面は母親からの夕飯コール、そして山吹パン店の営業などが確認できる。抹茶コロネ……どうだろう……。

・パフェ2つ平らげる女。若い子はカロリー気にしなくていいのかしらね……。

・「つまんねー女の子」。ちょっとだけ礼儀を覚えた楽奈。そして葛藤に苛まれる燈。彼女の中で最も大切なものが何かが揺れている。他の面々の「大切」が揺るがないため、燈だけが「つまらねー」状態に。

・豊川邸。案の定、とんでもねー物件。一面のバラ園もイメージモチーフとして効いている。

・「私もやりたくなかった!」。この女……。

・「お為ごかしですわね」「いつまでもしがみついてみっともないですわね」。的確にそよを壊す言葉だけを選べるセンス。

・「では、あのバンドはなんですの?」。正論オブ正論。こんな分かりやすい修羅場を女子高生が演じられるなんて……。

・「楽しかったあの頃の私たちに戻りたい。燈ちゃんも立希ちゃんもそれを望んでいる」。息つくように都合のいい台詞が出てくる女。なんであの解散の顛末があって睦が戻ってきてくれると思えるんだろう。

・睦の立ち位置。地獄の修羅場、2人の間でただ立ち尽くす睦はいったい何を考えているのか……。お前が口を開かないと、この地獄は終わらんのだぞ。

・「行かないで!」「祥ちゃんたちがいないと、私……」「私にできることならなんでもするから」。今、なんでもするって言ったよね? ついに足元が崩れてぐちゃぐちゃになるそよ。

・「どのくらいの覚悟で言ってるんですの? ただの学生でしかないあなたに、他人の人生を抱えきれますの?」 正論オブ正論オブ正論。縁談かな? 同じくただの学生である祥子がこの言葉を吐ける強さよ。

・「あなた、ご自分のことばかりですのね」。ゴール。全てを剥ぎ取られ、丸裸になる長崎そよ。未だかつて、ここまでフルボッコにされたバンドリキャラがいただろうか。

 一応、「日和見の果て、過去に縋り付いて停滞することを咎められた」キャラとしては今井リサがいるのだが、彼女はきちんと自らの手でその状況を打破してみせた。今回の顛末を見るに、一歩間違えたら泣きながら友希那の足元にすがりつくリサがいたかもしれないという妄想も捗るが……長崎そよは、あの時のリサ姉の強さを持つことができるかねぇ。次回のサブタイトル、「解散」だって。

 

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 クるわぁ……第7話! いいっすね、こういう展開があってこその世界線。この青春スペクタクルが観たくてバンドリ追っかけてると言っても過言ではない。過去のバンドリライブ史の十指に入るライブになったんじゃなかろうか。

 今回は無駄なシーンが1つもなく、どのシーンにも文脈がぎっしりなんですよ。特徴的だったのはキャラ同士のぶつかり合いの物語にもかかわらず、その合間の繋ぎにはやたらと引きでの定点カメラワークが多用されていたこと。例えば最初の楽屋の様子は2点の定点カメラからの映像が長かったし、ステージへの入退場のシーンも、それぞれ異なるアングルから、必要以上に引いたアングルで舞台袖の全景が映るように画面が構成されている。普通、大きな揺れ動きを見せるのだったらこうしたカット割りは淡白な印象に繋がりやすいはずなのだが、そもそもこの作品はキャラがフルCGということもあり、ハナからどこか淡白というか、ドライな部分は含まれている。そこで寄ったカメラワークの迫力を増すため、急所となるパート以外のカットから少しずつ温度を抜いていく方向に舵を取っている。今回のコンテワークは僕ぁ大好きな奴ですね。確認したら梅津さんの担当。まぁ、中盤の鍵となる重要度マシマシのライブ回だし、当然といえば当然の配置か。

 1つずつよかった点を振り返っていくと、まず序盤の楽屋パートまでの時点で割と楽しい。普段我々はバンド連中がどんなふうにリハをやってるかなんて知らないし、ご丁寧に5人全員が違う方向性でミスをしてそれぞれの緊張の形を見せてくれるペーペーバンドの演出にも抜かりはない。楽奈の奔放さは流石に酷すぎると思うが……会場がRINGでスタッフがみんなして楽奈のことを知ってるから許されてるのはズルいよな。そして楽屋に入ってからも一切まとまる気配を見せずに好き放題暴れ回るメンバーたち。楽奈は当然として、そよは単身で他バンドへの挨拶回り、愛音はトイレと楽屋の往復ついでに偶然afterglowの面々と出会って勝手にコネを作るという。まぁ、そういうのは確かに愛音の役割でいいと思うんだけど、出会ったのがafterglowの会っちゃいけない方じゃなくてよかったな……いや、具体的に誰かは分からんけど、多分あとから楽屋に来てくれたひまり・モカあたりからお菓子をもらったんじゃなかろうか。入場前につぐにもあってるかな? afterglowおっかない伝説を築き上げた2人と鉢合わせにならなかったのはラッキーと言えばラッキー。いや、多分巴は会っても別に怖くはないんだけど(赤メッシュは怖い)。

 その後ちょっとしたシーンで沙綾が出てきたり、そこからの流れで燈たちの出番の前にステージにいたのがCHiSPAだったりと、少しずつ既存バンドとのつながりが増えてくる構成も楽しみの1つといえる。「なるほど界隈ではポピパもアフロもすっかり伝説級の扱いだな……」と思いながら見るわけだが、まぁ、それぞれがまるで2年間で6年分くらい活動しているように見えるので、そりゃまぁ実績は多いのだろうよ。ポピパとかオーストラリアに呼ばれて箔がついてるし。どうやら立希はアフロファンらしいが、どっかでドラム対決を挑まれる時とかもあるかもしれませんね。ここ2人がぶつかったらただじゃすまねぇぜ。

 そしていよいよ初(?)ライブ。このライブの構成もまたいいんですよね……。今更認識したけど、私、こういう作品に出てくる「素人さんのヘロヘロ初ライブ」シチュが割と好きなのかもしれません。いや、流石にきらきら星はきつかったけどさ、個人的にベストライブの1つに数えられる初代ラブライブ3話とか、「そりゃ素人がいきなりステージに立って、イベントがうまくいくわけないじゃん」という現実を叩きつける展開はハラハラしながらも応援できるのが良い。今回はことさらに「慣れないバンドあるある」みたいな展開になっており、最初に音が合わずに何度も仕切り直すあたり、結束バンド以下のグダグダ初ステージである。さりげなくそよさんがMCで繋ぐ流れとかもいかにもだし、そこからちょっとずつちょっとずつエンジンかけていく愛音の手探りな感じも妙に親近感が湧く。薄暗いライブハウスの中、緊張感のあるライティングでそれぞれのメンバーが勝手気ままに暴れている様子を観ているのが楽しい。

 そして、ようやくスタートしたライブだったが、楽奈はいつも通りノーブレーキ、立希とそよはそこそこで、愛音はもう、トチらないことだけを目標に。意外と図太い燈は大丈夫かと思われたが……まさかの祥子登場で一気に崩れる。「終わったら解散しかねない初ライブ」で祥子・睦の登場は、そりゃ燈にとっては最悪。しかし、そんな燈のピンチを救ったのもまた祥子。彼女が安易に燈にエールを送るみたいな展開じゃなく、彼女の視線の圧が燈にだけ聞こえる「声」になったというのも「らしい」要素。祥子さん、あそこで大声出すようなキャラじゃないだろうからね。ご丁寧に、燈が立ち直ったようにみえる1曲目は、実はまだボーカルの出力が万全でなくてバンド優位になってしまっているあたりも、「不完全ライブ」らしい面白い見せ方である。

 そして暴走する燈。客席全体にMCを届けねばならないのに、もう周りのことなど見えずにただただ祥子へメッセージを送る。多分、あの時点でそれが祥子へのメッセージだと気づいていたのは祥子と睦の2人だけだろう。にもかかわらず、そんな「元友達への独白」を一瞬で「ボーカルのポエム」へと変換させたのが楽奈の仕業。こいつがBGMを入れたことでライブはライブとして進行し、そこからまさかの春日影に繋いでしまうというファインプレー。燈はもう、あそこで歌うしかなかった。あそこで歌わなければ燈は先に進めなかった。楽奈がそれを十全に理解してやったとは思えないが、おそらく野良猫なりの天性の勘が、燈の声に春日影の気配を感じたのだろう。当然、事情を知らぬ立希はとにかく燈が楽しく歌えればそれでいいのでノリノリ。いっぱい練習して弾けるようになった曲がかかって愛音も嬉しかっただろう。そよさんも、そりゃぁ流れに身を任せて演奏するしかないが……気づいちゃったんだよなぁ。その影が飛び出す様子に。

 「初ライブは楽奈の機転で大成功! このファーストライブを足がかりに、MyGO!!!!!が本格始動だぜ!」だったら話は早い。そういうストーリーでも誰も文句は言わない。しかし、そうして燈が自分の足で立った影には、何かを抱えて沈んでいった祥子がおり、「沈んだ」ことを知っているそよがいる。出番から上がり、極度に引きのカメラで映る愛音や立希の大喜びの様子。「この成功は、まだゴールではない」というニュアンスを暗に伝えつつ、最後にそよの一言へと繋ぐ。これまで何だかんだと煙に巻いて泰然とした自身の優位を崩さなかった女が、ついに感情を剥き出しにした。この大きな痛みが、また一歩MyGO!!!!!を前進させるのだろう。

 そしてもう1つのバンドの存在も……さぁ、祥子は「自分無しでハードルを超えた燈」の姿を目の当たりにした。彼女がなぜCRYCHICをぶっ壊したのかはまだ分かっていない。しかし、彼女は燈の春日影で冷静でいられなくなるほどに、CRYCHICを特別に思っていたはずなのだ。彼女の慟哭は三角初華へと伝えられる。音楽を失った悲しみを、祥子はどのような形で晴らしていくのだろう。彼女が立ち上がる契機は、克己なのか、はたまた復讐なのか。次のステージへ参りましょう。

 

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