最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
前回までで小鞠の物語が完全にフィニッシュ。どう考えても最終話に相応しいのは先週の話だったはずなのに、今週もう1話あるってんで、何があるのかと思えば、希望に満ちた(??)日常的負けエピソード。「彼女たちの日常はこれからも続いていくんだ! 豊橋で!」ということがよく分かるフィルムになっている。そして、ファンが求めているのは負けヒロインの切ない物語でもあったが、純粋に脳髄に響く無為にただ「カワイイ」を垂れ流すだけの時間でもあったのだ。フォロースルーとしてこのエピソードを最終話に持ってきた構成には感謝である。たまにこういう「メインエピソード終わらせてデザートをどうぞ」みたいな構成が出てくることがあるけど、良いよね。私の中で「けいおん!」も実はこのタイプ。可愛い系日常アニメにはよく馴染む。 しかし、ふと冷静になった時にほんとにそんな感想を持っていいのかと疑問がよぎる。なぁ、この八奈見杏菜って女……可愛い……のか? 何がすごいって、これまではなんだかんだ言いながらも重要なところでビシッと決めてみせたり、結果的には周りの人間をいい方向に持っていく行動につながっていたのだが、今回のお話だけ見たら、こいつ単なるクズなんですよ。自分の虚栄心のために嘘をつきたいってんで知り合い(あえて恋人でも友人でもなく知り合いと表記)の男子を休日に引っ張り出す。そして訳のわからん持論を振りかざして意味不明な言動でストレスを与え、最後にはみんなの1日分の頑張りすら棒に振る。やってることだけ見たら本当にわがままでがさつで馬鹿で、救いようのない奴なのである。いかに童貞の温水とて、こんな女を隣に置いてもいい雰囲気になんかなりゃしない。 それでも……そんな八奈見がフル回転している姿が、視聴者の一番見たい映像なのだということがよく分かる。分からせられる。煮え湯を飲まされている。クソ女・八奈見杏菜は、悔しいが可愛い。各方面に魅力を振りまきながら、それでもなお「負け」の頂点に君臨するためには、ここまで振り切れたヒロインであり続けねばならぬのだ。周りには負けず劣らずのクズたちも配置されてデートプランを散々に盛り上げてくれるが、最後にセンターにいるのはやはり八奈見。そこが動かないということを、徹底して教え込まれる最終話。なるほど、これは正しい。そんな彼女の「負け」要素も妥協なく提供し続けてくれるこの貪欲さは、本当に最終回を迎えてしまうのかと絶望してしまうほどだ。来週から、もうほっぺたになんかつけて咀嚼している八奈見杏菜に会えないって……にわかには信じがたいよ。 八奈見フルバースト以外にも全編ギャグだから何やっても構わないってんでナイスなネタが色々とあった訳ですが、個人的に大好きだったネタは2つ。1つは護身完成してた朝雲さん。あの子は「勝ちヒロイン」とかいう概念のさらに上位にいるような気もする。それ以上デコを光らせるな。そしてもう1つは、ついに生徒会メンバーが叫んだ「なんでうちの制服にはリボンが4つもあるんだ」ですね。あと12話早く突っ込んでェ?!
PR 宴の始末、第11話。小鞠の顛末、前回で片がついたとばかり思っていたので、ここまでしっかりと描いてくれたのはびっくり。単なる「恋の終わり」のお話ではなくて、今作が「負けヒロインのお話」なので、恋が終わった後がある意味で本番なのだよな。その辺の制作理念をしっかり見せてもらえたようで、とても素敵なエピソードである。 本来ならば、今回のお話で話題にすべきは温水の行動の是非であろう。小鞠のことを思えばああいった行動に出るのも理解はできるが、普通のアニメ、もしくは道徳の教科書であれば、なんかこぅ、小鞠が頑張って部長会議で報告できるようになって、「みんな頑張れば出来るんだから無理だと押し付けないで応援して!」みたいな話になりそうなもんだが、今作はそんなお為ごかしで終わらせたりはしない。人間、どんだけ頑張ったって出来ないことは出来ない。頑張れば苦手だって克服できるようになるかもしれないが、そのための時間はまだ足りなかったのだ。小鞠はあの通りの性格なので、コミュ障が一朝一夕で改善するはずもなく、挙句「部長になんてなりたくなかった」とまで言い始める始末。しかし、それが本心なのは間違いない。彼女が部長職を引き継いだのはとにかく元部長とBL先輩に心配して欲しくなかったから。そのために学園祭だって頑張って切り盛りしたし、2人が高校の文芸部に思い残すことなくその後の人生を進んでほしいと思ったがために、無理を承知で部長の重責を背負い込んだ。それが彼女なりの最善策であり、破らなければいけない殻だったのだ。 しかし人生ってのはそんなに簡単なもんじゃない。「破らなきゃいけない殻」と「破れる殻」は別物。気合と根性で乗り越えられない壁にぶつかってしまった時には、何か別な方法で解決することを考えなければいけないのだ。温水はさも当然のように「自分が代わろうか」という代案を持ち出したわけだが、それだけでは小鞠の現状を半分しか解決してくれない。部長会議はそれで乗り越えられるが、ここで自分が部長職を降りたら、もしかしたら先輩たちを心配させてしまうかもしれない。「出来ない」じゃなく「出来るかもしれない」ところを見て欲しかった。そういう意味では、やはり温水の提案は空気を読んでおらず、不適切なものだったということができる。 しかし、「出来ないものは出来ない」は真理であり、どれだけ高望みしたところで直近の部長会議を乗り越えられなければ意味がない。また、先輩たちが去ろうが、その記憶が薄れようが、まだまだ長い小鞠の人生は、小鞠の手で切り開く必要がある。だとしたら、今回のことでつまづいて傷を残すことは得策ではない。温水はそこまで考えて小鞠に「一旦降りる」ことを提案した。理詰めでいけば納得できるかもしれないこの提案も、心のすり合わせがうまくいっていない状態では摩擦を大きくするだけ。やはり主人公気質を持たぬ温水と「負け」ヒロインでは状況を打開する力はまだまだ弱そうだ。しかし、そうした不器用で鈍臭いコミュニケーションからしか築けない関係性というのもあるのだろう。この世界における「メイン」ヒロインは、果たして誰なんでしょうね。 今回も細部まで行き届いた完璧な仕上がりだったが、個人的にはLINEを使ったメッセージを効果的に使った演出ってのはやっぱり好きですね。「よりもい」のLINEとメールの使い方ですっかり打ちのめされ、「音声媒体であるアニメにおける文字情報の活用法」ということを考えさせられたわけだが、今回のLINE劇もかなり面白い部分を突いていたんじゃなかろうか。話すのが苦手な小鞠のキャラを掘り下げる役割もになっていたし、超至近距離での文字対話というのは2人の心の距離の表れとしても興味深い。お互いに声も聞こえる距離でのコミュニケーションなので、時に文字と声が重なって異なる感情を伝えたりするのも面白い。そして最後にはそんな文字での対話がメンバー全員に漏れちゃっていたというおまけ付き。こういうツールのアイディアってのはいかにも「新しい」世界っぽくていいよね。 今回は圧倒的に小鞠がヒロイン力を発揮したもんで他の連中はガヤにまわっていたが、相変わらず生徒会のお化けみたいな先輩の存在感が尋常じゃなくて笑ってしまう。ほんでチョークスリーパー焼塩、そしてカロリークイーン八奈見。あの量で痩せるのは流石に嘘だろ。チュロスをデフォで2本買う女、アニメの中でもそうそうおらんで。 あっぱれな寂しさ、第10話。文芸部周りには本当にいい人ばっかりだよねぇ。というか、この作品世界において純然たる悪意とか害意を持ち合わせてるのって、どこぞのみたらし団子できゅるるんしてた女だけでは? まぁ、あれはあれで「悪」ではないのだろうが……。 毎回楽しませてもらっている今作において、唯一不満があるとするなら「負け」という言葉を使っていることだ。これもまぁ、何回も書いている気がするが、今回の小鞠の経験を「負けた」よばわりするのは何か釈然としないのだ。彼女は確かにフラれた。そりゃ間違い無いし、先輩が気遣いで何と言ってくれたのかも分かりゃしないが、それでも彼女は立派に戦いを挑み、一定の戦果を得た。そこには一夏の貴重な経験もあるだろうし、部長とBL先輩という掛け替えのない仲間を得たのだ。こんな貴重な体験が、「負け」であるものか。 ……まぁ、そんなもんは言葉遊びの範疇なので文句を言ってもしょうがないし、今作はそもそものコンセプトが「負けヒロイン」からスタートし、そんな彼女たちの人生をキラキラと美しく描くことが逆説的な目的になっているのだから、むしろ彼女たちを「負けた」と評することで得られるものも多いのだ。小鞠ちゃんの今後の人生も、引き続きたくさんの困難が待ち受けていることだろうが、今回以上に「負け」が怖いことなんてあるはずもない。きっと一皮剥けたヒロインは、次に「勝ち」を拾えるはずだ。……まぁ、いまだに知らない人とろくすっぽ話せないところは変わってないんだけど……。素敵な文化祭をありがとうございました。そしてそんな小鞠を支えてくれたぬっくん、端々に畜生めいた発言が混ざらなければ今回こそは正統派主人公っぽくあったんだけどね……これだけの触れ合いを通じて、小鞠の中で温水の存在ってどうなってるんでしょうね。 今回が一応最後の一花ってんでやたらと滾っていたのはBL先輩。彼女には月之木先輩という立派な名前があるらしいのだが、今回のお話を見たらもうBL先輩で固定して問題ないと思われる。クソ野郎を自称し、卑怯者だったと自虐する先輩。ほんとに悪いやつならそんなこと言えないし、小鞠ちゃんがあんなふうに救われることもなかったんですよ。こいつはこいつで立派に「勝つ」権利を持った女性でしたね。あとはカーステレオの音量だけちょっと絞ってもらって。 そんな先輩のせいで余計な属性を披露してしまったのがもう1人の勝ちヒロイン、朝雲さん。そっかー、腐女子かー。まぁ、あの見た目とあの声だとなんか納得するわー(風評被害)。一度朝雲×月之木でじっくり対談して欲しい気もするが、そうすると思考がアニマルタウンに飛んでしまいそうでちょっと怖い。こわくない、こわくない。 そして文芸部室のあれこれなどどこ吹く風、負けも勝ちも全て薙ぎ倒す、マインドがどっちかっていうとウマ娘寄りなのが焼塩。こいつだけは「負けヒロイン呼ばわりされてるけど普通にモテる」っていう時点でだいぶ異質なんだよな。無意識系フラグクラッシャーも確かに負けカテゴリには入るのか。なんかこう……薄い本で一番輝けそうな属性だよね。 さらにさらにどこ吹く風すぎて何してるかもよく分からなくなっているのが我らが八奈見杏菜。もうこいつが口の周りに何もつけずに登場するシーンはないのだろうか。作中トップレベルの下衆のくせして何もかもわかってる風に温水を教え導くのなんかムカつくな。いや、これも彼女なりの優しさなのだろうが……今作もぼちぼち終わりが近いと思うのだが、最終的にこの八奈見といい感じになって終わったりするんでしょうか。それもどうなんでしょうか。
頑張れ小鞠編、事実上の大団円だろうか。小鞠ちゃんが複雑なのは、自分が負けヒロインであることを完全に認めつつも、部長とBL先輩への恩義も絶対的なものなので関係を断ちたくないっていうジレンマがあるところ。まぁ、焼塩だって朝雲さんとマブダチになったように、フラれたからってそのカップルと絶縁する必要もないのだけど、小鞠の場合は先輩たちとは「卒業」という強制お別れイベントが待っており、別れたくないのにその関係性にけじめをつけなければならないという別な苦しさがある。もはや自分のことは忘れてもらったって構わない。2人の幸せを最優先して身を引いた自分の立ち位置はあくまで思い出の中だけでいいという甲斐甲斐しい決意。それを先輩たちもよく分かっているからこそ、距離が計れずに苦しむことになるのだ。思い合っているが故の優しい苦しさ。これが小鞠の人となりを一番よく表している。まぁ、あんな弟妹がいる時点で良い(善い)ご家庭なのは間違いないでしょうからね。彼女の唯一の負け要素って、そんだけ心根がいい奴だったのに何故か圧倒的陰キャになってしまったという部分だけ。小鞠の可愛さに気づく人類がもっと増えるといいですね。 もちろん、一番気づいてあげられるポジションなのは温水であり、ちらほらと主人公的ムーブをかまして小鞠の好感度も上げているはずなのだが、この温水という男、「マケインの主人公」という厄介極まりない役柄を任されたが故に、正統派主人公として振り切れたお約束ムーブが取れないという面倒な制約を課されている。具体的には、小鞠があれだけ苦しんで「1人でやらなきゃ」と塞ぎ込んでいるというのに、温水は2人きりのシーンで面と向かって「俺たちに任せろ、俺たちは友達じゃないか」という定番の一言を切り出していないのである。最後には小鞠弟に無理やり背中を押される形でようやく「友達」というワードを絞り出す始末で、この男がもう少し真っ当な主人公体質だったら小鞠の苦労ももうちょい少なくて済んだとは思う(そしてその結果として小鞠が主人公に惚れるとこまでがテンプレ)。まぁ、そうならないからこそ、温水の周りには3人の負けヒロインたちが付かず離れずの距離感でうろうろしているのだろうけど。焼塩の鼠蹊部はもはや放送コード的にアウトなんじゃなかろうか。きちんと年相応の恋愛感情とかは持ち合わせているのに、何故か自分がエロいという認識が無く、羞恥心が足りてない焼塩、生物兵器かよ。 小鞠ちゃんが頑張っているという合意のもとで集まった温水周りの最強パーティ。まさかの朝雲さんたちまでが参戦し、1日で準備できる限界突破したハイクオリティな展示室の構築を実現。高校の文化祭ってこんなにレベルの高いものが求められるもんだったっけ。また文化部でもないくせに綾野・朝雲ペアはこの展示を作るのにめっちゃ向いてる人材だったのはラッキーだったよな。まぁ、集合シーンにすら登場してなかったくせして一番大活躍してたのは妹ちゃんだった気もするが……妹の高性能っぷりが兄のダメっぷりをさらに際立たせているのがなんとも不憫である。 そして、負けイン勢の中でもどこをどう活躍しているのかよく分からない八奈見杏奈という存在。今回彼女は温水のサポートという役割はそれなりにこなしていたし、決して無能ヒロインではないはずなのに何故か善行ポイントがなかなか加算されないという人徳をお持ちである。ツナマヨはまぁ、偉大かもしれないけども……それこそほんとにコンサルとして温水周りの人間関係をとろ火で加熱し続けるみたいな役割が一番しっくりくるのかもしれません。当人どうしでどういう感情を持ち合ってるかが未だはっきりしないけどさ。温水目線でもちゃんと「八奈見はまぁ、4Kではある」という事実は認めてるんだけどねぇ。 今日のまとめ:保険医、どうやら作中で一番ヤバい(知ってた)。
冒頭の文芸部室内、中の人だけならそこそこ北宇治吹部、第8話。圧をかける側とかけられる側まで一緒だけど綺麗さ、汚さが随分違う。こんなドラムメジャーは嫌だ。 前回で焼塩編が一段落し、次なる展開は学園ラノベの定番・文化祭、そして小鞠を中心とした文芸部のお話へ。どうにもラノベ的高校生による学園祭ってベッタベタの定番描写ばかりが多くて飽き飽きするものだが、今作の場合はまずクラス企画からしてよく分からんし、文芸部の展示とかいうクッソ地味な企画もしっかりいちから作ろうとしてくれているので割と新鮮な気持ちで見守ることができる。まぁ、どんだけ頑張って展示を作ったとしても「どーせ文芸部の地味展示なんて文化祭じゃ客こないんだよなぁ」の気持ちは拭えないが。そういう意味ではなんとかして風穴を開けようとするコンサル様の試みもあながちとっぴな思いつきってわけでもないんだけどな。 こないだの焼塩の話は「負けヒロインが負けたかどうかわからなくなる話」だったが、小鞠さんは部長との関係性が今更どうこう変わる見込みもないため、負けは確定した状態からのその後のお話である。部長もBL先輩もいい人たちなので過保護なくらいに小鞠ちゃんのことを心配してくれているが(BL先輩は怖いくらいだが)、そんな2人の「勝ち組」のために慣れない業務を必死にこなして晴れ姿を見せたいという小鞠ちゃんの姿勢はとても立派。普段があんなんだから、なんとか自分の足で独り立ちしようとしている様子は眩しくもあるし、それを純粋な気持ちで手伝ってあげようとしている温水もいいやつだ。普通の男子高校生だったら「文芸部の展示作りぃ? めんどくせー」で終わっちゃいそうなところを、純粋に小鞠のことを思って手伝ってあげてるんだもんな。まぁ、一応次期副部長という肩書きではあるようだが。 とはいえ小鞠と温水だけではできることにも限界があるためもうちょい人手が欲しいところなんだが、焼塩はメインの陸上部だけでも随分忙しいだろうから、残った選択肢はカロリーの伝道師・八奈見しかいない。発する言葉の1つ1つが適切に残念なこの女、やっぱ純正負けヒロインはオーラが違う。いやまぁ、流石に今回は忌まわしきカップルの見せつけが強すぎたせいで八奈見にも同情するとこあるが……。クソけしからん高校生どもめ。 そんな八奈見のアイディアもうまいこと取り込みつつ、なんとか形になってきた企画展示。温水はハイパー妹ちゃんパワーでお菓子の問題をクリアしたので、あとは小鞠がしっかり展示を作れるかどうかにかかっている。いや、ああいう展示物って基本的に全部1人で作るもんじゃないが……普段から人とコミュニケーション取らない人間は、こういう時に負担を抱えがちである。そんで潰れてさらに内へ内へとこもってしまわないかと心配だが……そこはうまいこと温水がサポートしてやるしかないか。襲来する盗聴保険医、そして絵に描いたような強権生徒会長。まだまだ前途多難で、小鞠が潰れてしまわないよう祈るばかりである。 追伸:ラッコを恋人にする選択肢があってもいいじゃない。可愛いし。
あれがデネブアルタイルベガ、第7話。夏の大三角は割と目視でも分かりやすいですよね。なお、夏の大三角には四角、直線などのバリエーションが存在します。 焼塩編、完全決着。ハッピーエンドの向こう側とは題されているが、さてこれはハッピーなのか。もしハッピーだとしたら誰にとってのハッピーだったのか、惚れた腫れたの問題ってのは、なかなか一筋縄ではいかないものであります。 事態が丸く収まったのは、ほんとにただ「関係者全員いいやつだったから」の一言に尽きる。中でも渦中の焼塩本人が突き抜けてイイ奴だったのでこんな素敵な「負け」エピソードになっているわけだが、綾野、焼塩、朝雲、温水、あと多分八奈見という人間模様の中に、ちょっとでもはみ出してしまうやつがいたらドロドロの愛憎劇にまで発展していた可能性があり、全ては綱渡り。前回の事件は、そんな綱を踏み外して一気に奈落へ落下しかけたその過程だっただけの話だ。結局そのまましがみついて渡りきれたのは、焼塩本人の人間性によるところが大きい。 強いて一番「悪い」人間をあげるとしたら八奈見になるだろう(まぁ、法的な悪で言えば朝雲だろうが)。彼女はことの顛末を外野で(なんか食いながら)見守りつつ、焼塩の友人というポジションから彼女を応援しようとしていた。当然自分と重なる部分は意識していただろうが、それでも他人事だったら好き放題に言える。八奈見はまるで自分の失恋の鬱憤を晴らそうとするかのように、焼塩を焚き付けて略奪愛に走らせるプランもあったに違いない。でもまぁ、そこで踏みとどまって言わなかったあたりは八奈見も決して「悪い子」じゃないことの表れ。外付け倫理装置の温水が頑張ったこともあり、文芸部と焼塩の関係性はただ「慰めに来てくれた頼れる仲間」の範疇にとどまった。 そうしてみんなから力をもらった焼塩は彼女らしくきちんとケリをつけることを決意する。そのまままっすぐ綾野にぶつかっても結果は変わらなかっただろうが、事前に朝雲が単身乗り込んできたおかげで女子2人で膝を突き合わせて対話できたのも結果的にいい方向に働いたんじゃなかろうか。朝雲が悪い子じゃないというのは焼塩ならずともすぐに分かる部分だろうし、焼塩が「綾野の最大幸福」を優先する場合、「今カノ」の人となりを知るのは重要な行程だ(別に焼塩は元カノでもなんでもないが)。焼塩と2人で対話しようとしたその姿勢自体も評価対象となり、彼女の中で「もう綾野のことは全部朝雲に任せる」という決心がつけられたのではなかろうか。 そうして迎える決戦の日、舞台は出会いの場所、夜の小学校。とっくりと語らう幼馴染2人の光景はどうにも甘酸っぱく、どこまでもいじらしい。ほんとこの距離感・この関係性で付き合わないとかいう選択肢があるのかよ、とすら思ってしまうが、どうやら今作において1対多というお付き合いの構図は存在しないらしい(そりゃまぁ)。焼塩はあくまで「幼馴染の親友」として一歩引き、「かつて綾野に惚れられていた」という歴史を誇りに、変わらず隣を歩き続けることだろう。もちろん、朝雲とも「親友」としての関係性を深めながら。……ほんと、2人同時に付き合っちゃえばいいのにね。最近のアニメを見てればそれくらい余裕でOKっていう脳になってしまうよな……。これがアニメ脳……。 というわけでハッピーだったのは実は焼塩だったかもしれない、という晴れやかな「負け」でめでたしめでたし。まぁ、男と女の関係なんて、こんなシーンは現実にもいくらもありますのでね。どちらかというと現実感がなさそうなのは、エピローグ部分の八奈見の方かもしれない。「代理彼氏」って、アニメではよく見る役割だけど実際そんなことやる人間いるのかしら……。そしてラブコメなら鉄板のシチュエーションなのにきっちりとした前振りからフラグをバキバキにへし折ってくれる八奈見の剛腕。さすがでございます。自分の立場が分かってんなー。ほぼギャグ無しで進行した今回のお話、やっぱ最後は八奈見節を拝まないと終われませんからね。
なんかもうね、基本的にプロットがちゃんと面白い。前回の流れから温水が修羅場に巻き込まれるだけかと思ってたら、あれよあれよとダブルデート(?)に持ち込まれてしまう意味不明な流れ、そしてその場にいる全員が絶対に悪人じゃないのにそれぞれの方向にポンコツなもんだから勝手に事態が変な方向に転がり続けるという。みんなして後のこと考えずに身体はってる(何かを犠牲にし続けている)あたりはスラップスティックな笑いである。そんでドタバタしてるからギャグアニメなのかと油断させといて、きちんと青春部分は締められるだけ締めてくるからな。その温度差で心臓がギュギュッとされてしまうこの感覚も気持ちいい。今回はなんと言っても焼塩さんの言動の全てがギュギュッとなりますよね。いや、そもそもおめぇがデートについてこなきゃよかったやんけ、とは思うのだが、告って振られたわけじゃないので友達としていろんな場所にホイホイついて行ってしまう現象はすでに八奈見からも報告されてる事例だからな。……こうしてみると鈍感だった男の方に責任があるように思えてくるが……小鞠の時の部長さんはまだしょうがなかったが、今回はやっぱ最終的に「全部綾野が悪い」でファイナルアンサーにならんか? まぁ、そうしてホイホイついてきてしまった焼塩。単にそれだけだったら被害は少なかったかもしれないが、よりによってお互いに「ダブルデートなのだ」という勘違いのままで展開してしまったため、温水や焼塩は綾野&朝雲を2人にしようとするし、綾野の方は焼塩を引っ張り込んで八奈見と温水だけで行動させようとする。その結果互いの意見がすれ違い、ぽろっと漏れ出てしまった焼塩さんの秘めたる気持ち。……まぁうっかりはうっかりなんだけど、そのことを責めるわけにはいかないよねぇ……そこに至るまでの彼女の追い詰められた状況も同情しかないし。2人の様子に胸を締め付けられてる焼塩の描写、見てていちいちしんどい。 今回のプロットで評価すべきは、こうした一連の「勘違いからの悲喜劇」みたいなプロットも、きちんと今作のメインテーマである「負けヒロイン」に沿っているということ。焼塩は負けたと思って行動しており、何度も出しているように「負け終わった負けヒロインってもう単なるサブキャラなのでは?」みたいな状況を、わざわざ追い焚きして再び「負けてないかもしれないヒロイン」にまで持ち上げ、もっかい落とす。いや、今回に限っては朝雲さんだって色々迷ってたみたいだし、落とし切らずに「朝雲さんが負け側にニューエントリーする可能性すら?!」という状況で振り回す。徹底して勝ち負けを意識させてふるいにかける、考えようによっては鬼のようなシナリオライン。そして、負けを認め、その苦しさに悶えるヒロインがまた一つ輝くのである。そうして焼塩が負けてくれるからこそ、温水が発する「あいつには追いかけてくれる主人公がいない」という歯の浮くような台詞も説得力が増すんですよ。温水の「いや、女の子4人とお泊まり会とか、どう考えてもお前がハーレムものの主人公やんけ」みたいなポジションなのに別に「勝ち組」に見えない位置取りは本当に見事なものだ。 そしてそんな主人公に「まぁ、確かに勝ててないわな……」みたいな諦観を持たせることだけが唯一にして最大の目的である八奈見さんも見事なものだ。この炭水化物の奴隷、回を増すごとにほんとに単なる糖尿病予備軍にしかなってないのに、少ないカットでヒロイン力というか、阿漕な萌えパワーみたいなものを発揮するのがとてもうまい。ずるい奴め。そんで旅行に帯同してるのがBL先輩と小鞠ちゃんというセッティングもこれまた地獄のような話で、考えてみりゃ、「イマカノに負けた焼塩を慰めようぜ」って駆り出された一団の中で「同じ男を取り合ったイマカノと負けイン」が仲良くマッサージ受けてるのも凄まじい話なのよ。小鞠ちゃんが小鞠ちゃんだったから成立してるわけで……BL先輩、どんなつもりで小鞠ちゃんを引っ張り回してんだよ……って、小鞠も楽しんでるから問題ないんだけどさ。「こういう女どうしの関係もあるよ」ってことが克明になればなるほど、今の焼塩の不便さがさらに際立っちゃうんだよなぁ。 ……五平餅食いに行こうかなぁ……(人類は炭水化物から逃れられないので)。 ヤッターーーー! ちゃんと頭がおかしい要素を持った上田麗奈だ!! この作品、勝ちヒロインも「お前が勝ってええんか?」みたいなバランスで成り立ってるのすげぇな。 なんかもう、あばたもえくぼなんでしょうかね、観てたら全カット面白くていちいち笑ってしまう。特に今回は前回の(やや)シリアスの反動か、我らがメイン負けイン八奈見さんがフルスロットルで暴れ散らかしてくれており、彼女が出てくるシーンの全言動がいちいちキレッキレ。発する言葉の1つ1つが適切にイカレているので一切勢いが衰えないという八面六臂の大活躍である。これはもう、何度でも言うし毎回でも書くけど、遠野ひかるボイスがどんどん新しい方向に開花して研ぎ澄まされてるのが声オタ冥利につきる幸せポイント。 元々とのぴーってああいうキャラじゃないですか(知ってる前提)。でも声質が声質なもんで、それこそ「天使つき」のとわちゃんとか、ほわんみたいな甘々ボイスばかりがフィーチャーされる傾向にあったんですよ。まぁそれでも存分に魅力は出てたと思うんですが、そこから一歩進んだ展開を見せてくれたのが八奈見杏菜という女で、新しい方向性を拓くにしても拓きすぎ。360°のフルオープン。今回も自己啓発本で酩酊してる八奈見さんとかどっから出てるかもよく分からん声がイカレてるしイカしてる。そんでこれが割と普段のとのぴーボイスのまんまでもあるんですよ。このヒロインをよく作りたもうた。もちろん、小鞠とか焼塩だっていい具合に振り切れた状態は維持されてるから素敵なんですけどね。 八奈見はいつの間にやら「ひたすら食い続けるカロリー限界突破ヒロイン」という謎の属性が付与されていたが、今回はそのカロリーの8割を素麺が担うという謎展開。1ヶ月の給料が素麺で支払われる職業、どう足掻いても娘さんを養育できるとは思えないんだけど大丈夫か? そして温水家に持ち込んだ以外にも文芸部部室に大量に送り込まれてしまった素麺。あれ、どう考えても無償で配り歩いてるとしか思えないのだが、形の上では「給料」だったものを無償で配ってしまったら家計は大丈夫なのだろうか。それとも、1ヶ月くらいは給料が飛んでも痛くも痒くもないくらいに日頃から稼いでるお宅なのだろうか。でも「30万円分」って言ってたし、そこまで高給取りにも見えないんだよなぁ……。まぁ、人様の財政事情を心配してもしょうがないんだけどさ。どっちかというと、そんだけ大量の素麺が積み込まれるというとんでもねぇ事態に陥り、画面を大量の段ボールが圧迫してるというのにそこに一切触れずに部室シーンが終わったこの作品の図太さの方が怖い。そういうネタの押し引きが上手いんだよなぁ。 前回時点で「負けインが負け確定した時点でこっから何したらええねん」という懸念を持っていたのだが、そんな心配などどこ吹く風、あらゆる方向からしっかりとシナリオは回り続ける。個人的に一番気になるのは小鞠の今後ですね。あいつ、どう見ても焼塩家のDNAに惹かれているようにしか見えないのだが……負けてしまったヒロインは、もしかしたらサバサバして男っぷりのいい同性の友達に惚れてしまう可能性が。いいぞもっとやれだけど、流石に焼塩×小鞠のカップリングはなかなかイメージできん。どうなってしまうんだろう。 そして我らが八奈見さんはカロリーを迸らせながらも、余計なことに首を突っ込んでいく。新たに表舞台に現れたのは、見た目にはどこぞの高木さんのようにも見えなくもない、新たなクレイジー・朝雲千早。焼塩の想い人だった綾野光希のイマカノのはずなのだが、焼塩の怪しげな動きから行動がバグってしまった可哀想な人。まぁ、あのボイスなので過剰なストーカー行為もとってもよく似合うんですけどね。ここにきて「勝ちヒロイン」の勝ちが一旦キャンセルされることにより、負けイン同盟にも暗雲が立ち込めている。……いや、視聴者目線では「絶対に負けインは負け続けている」という謎の信頼があるから、焼塩がどうこうなるとは全く思ってないのだが……同じヒロインを取り上げて何度も負けさせ続けるとしたら、こんなにも入念な話もないぞ。頑張れ焼塩、そして頑張れ上田麗奈。気づいたら勝ちヒロイン勢がだいぶわんだふるなことになってるということに今更ながら気づいた。
先週からの流れでとりあえず前半は「小鞠編」の後始末。前回時点で「これ、告白先の部長も、その相手のBL先輩もちゃんとした人じゃないと小鞠の負けが正式な負けにならんぞ」という警鐘を鳴らしていたのだが、なんとまぁ、トリッキーな設定でそこを抜け切った。なんとこの2人、お互いに好き合って告白イベントまで終えてたはずなのに、認識の齟齬からすれ違っていたという状況。まー結果的には部長先輩の方がちょいと間抜けにはなってしまったのだが、あそこで小鞠の告白を受けるでもなく、断るでもなく半端な対応をしてしまった理由としては納得いく。そりゃね、目の前に「告白したのにフってきた女」がいる状態でホイホイ後輩からの告白を受ける気にならないのはしょうがないし、かといって即座に断るほどの理由もない。それなら「一旦保留」という取り繕い方をするのも理解できる。 それに対するBL先輩の対応も理解の範疇で、彼女目線だと部長は「長いこと付き合ってる同然の距離感だったから事実上カップルみたいなもんだと思ってたけどまだ告白イベントが成立してないやつ」であり、そんな奴が自分の目の前で後輩の告白を即座にシャットアウトしなかった時点で怒るのも無理はない。めんどくせー女になりかけたが、その実態は単なるピュアピュアBL彼女だったというオチ。これなら確かに、過度にこの2人の株を落とさず、正式に小鞠が「負け」るシチュエーションになるわけだ。ここまで念入りに負け要素を固めなくてもいいとは思うのだが……そこをしっかり確定させないと羊頭狗肉の名ばかりラブコメになってしまいますのでね、「負けることを、サボらない」というのが今作の大切なところ。 というわけで小鞠にも無事負けの烙印が押されたわけだが、さて、ここで冒頭の問題、「この話の落とし所は?」。ここまでで3人もの負けヒロイン(と同数の勝ちヒロイン)が登場し、さながら「負けインコレクション」みたいな様相で主人公の温水の周りには歴戦(歴敗)の精鋭が集まった。しかし、「だから何?」というプロット的な宙ぶらりん状態になってしまいかねないのもまた事実。負けた後に彼女たちが新しい恋を始めるのはそれでも良いが、それって単なる「2つの恋愛の過程」でしかなく、負けインギャラリーと言える今作の特徴が特に活かされるでもない。わざわざこの4人が傷を舐め合うようにして集まったところから新たなストリームが始まってこその「史上初の負けインラノベ」である。さて、そんなうまい展開はあるものか。 まぁ、それをこっから何話もかけて模索していくってことなんでしょうけどね。当然中心に据えられるべきは温水と八奈見の関係性。これまでの暴虐が嘘だったかのようにシリアスにきちっと焦点を合わせてきた八奈見の手により、小鞠さんが盛り上げてくれた「悲恋」的テイストは温水との間にもしっかりと残留していた。温水自身が表に出る気のない「アンチ主人公」なものでなかなか顕在化させるのが大変だが、そこは同じく負けマインドを抱えた八奈見と二人三脚で構築していくべき部分なのだろう。おそらく3人の中では純正ヒロイン力が高い焼塩がうまい具合に緩衝材となり、一仕事終えていい顔になった小鞠と共に、ひとまず「温水×八奈見」という1つの計算式だけを立式しておいて、ここから新たな「勝ち負け」の伝説が幕をあけるということだ。さて、何が出てくるものやら。正直、全く想像がつかないです。
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HN:
Thraxi
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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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