最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
ラスボス攻略戦、第10話。全知全能だと思ってた神に、案外チェーンソーが効いたぞ、みたいな話になっとる。 1話まるまる茜先生のターン。なるほど、前回までで花火周りの雑事は片付いたから、今度は麦の周りの処理。そして、そこにはいつも通りのラスボスが控えていたわけで。 茜は麦のことを「自分と似ている」と言っていた。かつて花火にも同じようなことを言ったことがあったはずだが、一言でまとめれば「クズ」という属性という類似点も、こうして突き詰めてみると大きな差異はあるものだ。花火が「クズ」であるということは何度か語られてきたが、ひどく利己的で、他者を省みない性質以外には、実は茜との類似点は多くなかったかもしれない。しかし、男女の関係という側面において、茜と麦は確かに「似ている」。他者から向けられる好意に育まれた自意識と、優越感からくる冷淡な行為。「持つ者」特有の傲慢さは2人の共通点と言えるだろう。ただ、2人の間にある大きな隔たりは無視出来ず、それはおそらく思い人の有無であろう。麦は中学生時代に自分の上位種とも言える茜に出会い、彼女に恋をした。他者からの好意をどれだけ受けようとも、茜という本命からは決して好意が返ってこないことが分かってしまい、優越感と劣等感の間で奇妙な「クズ」である麦が醸成される(モカは完全に被害者である)。 それに対し、どうやら茜は向けられる好意にはどっぷりと首まで浸かりながら、自らが向ける好意というものを認識したことが無い。高校時代の初体験について語られていたが、モノローグから感じ取れるのは、彼女がその行為に対して作業としての必要性以外を感じていなかったということ。相手との関係性ではなく、そこから構築される周囲の視線、羨望・嫉妬などに意識を向けていたこと。彼女にとって、男女関係とは一種のステータスでしかなく、そこに2者の関係としての重要性を見出せなかったのであろう。 こうして出来上がった皆川茜という化け物に対し、麦は太刀打ちする術が無い。「自分と同じ生き物」だと思っていたら、そもそも攻略の糸口すら掴めないのだ。彼女にとって、男女関係・肉体関係・恋愛感情と言ったものが自分とはまったく違う概念だったことを知る必要があったのだ。まぁ、普通に考えたら、2人の立場を考えればそこまで茜に踏み込むことは出来なかったのだろうが……ここでイレギュラーが現れる。キングオブ朴念仁、鐘井の存在だ。 茜は鐘井を評して「つまらない」と断じる。まぁ、典型的な草食系、害も無ければ益もない、面白味に欠けた対象なのは間違いない。彼女がこれまで付き合ってきた男に「こういうタイプ」はいたというし、麦さん曰く「男の性欲に感情を求めるな」なわけで、茜が一定以上のアプローチを見せれば、それに対する男のレスポンスなんて決まっているのだ。誰だってそーする、俺だってそーする。つまり、茜が「男はつまらない」と断じるのは、そこに必ず茜のルーティーンとしてのアプローチが存在し、男という生き物はそれに対する応え方が一種類しか存在しないためだ。しょうがないじゃん、そうするしかないんだから。 しかし、そんな茜の必殺のショットに対し、鐘井は想定外の反撃を行った。否、反撃をしなかった。「一回寝たからあとはOK」とか、「恋人どうしになったんだからあとはいいよね」とか、そういう不文律すら、彼の中には存在しなかったようなのだ。まぁ、そこだって個人レベルの問題だから違うパターンもあるのだろうが、茜側から送っているサインは間違いなく「そういう」関係。しかし、鐘井は想定通りのレスポンスを送らない。茜のマニュアルにこんな事例は無い。まぁ、マニュアルに載ってないようなイレギュラーなんてポイと捨てて別なのに乗り換えればそれで終わりのはずなのだが、おそらく茜の人生には今までそうしたイレギュラーは存在せず、想定外の事態に対応が遅れてしまったのだろう。すんでのところで「これ、いらないヤツじゃん」と決断し、切って捨てようとしたところに現れるクソ男。毎度のことながらいいところでいい仕事をしてくれるヤツだが、今回は鐘井を切る決意をした茜さんを外から援護射撃する形。多少乱暴にはなったが、想定外の方向から切り口を入れてくれたのだから、あとはそこからビリビリと引き裂いてやればいい。ヒト目ヒト科クソビッチという生き物は、鐘井の想像の埒外にありますよ、というなかなかキレのある別れの文句だ。 しかし、ヒト目ヒト科朴念仁も、茜の想像の埒外だった様子。好意を向ける対象が、他人に奪われても構わない。クソビッチだろうが何のその。鐘井のパワーは、意外なところで発揮された。はたしてNTR属性なのか、それともおおらかすぎる性観念の持ち主なのか。その底は茜には計り知れないが、想定外に更に想定外を重ねられ、茜マニュアルはフリーズ&エラーを吐き出す。順風満帆のビッチ人生は、初めて暗礁に乗り上げたのである。まさかの打撃、貪欲を打ち崩す無欲。次元が違う生命の交差は、あり得ない科学融合を引き起こすのかもしれない。 困っちゃう茜先生。「男が分からない」という状況は生まれて初めてのことで、腰さえ振ってればいいと思っていた猿が自分の思惑の外から手を掴んできた。何とか鐘井の行動に理由をつけ、自分に都合のいい解決を思いつかねばならない。手っ取り早い相談相手は当然麦で、彼の口からの返答はちゃんと彼女のマニュアルに載ってるヤツだ。当たり前だ。「似ている」のだから。しかし、こうして困惑する茜を見て、察しの良い麦も彼女の攻略ルートに当たりをつけてきた。神に正攻法は効かない。それなら、こちらもチェーンソーで突っ込むだけ。麦の無謀とも言える攻めに頬を赤らめ困惑する茜だったが、果たして彼女に見えている「イレギュラー」は麦その人なのか、それとも、自分の人生を狂わせる鐘井の幻影なのか。 煮詰まって参りました。頑張れ茜先生、ここが勝負の分かれ目だ。 PR えっちゃん編決着、第9話。2人の関係はむしろ始まったばかりなので決着ってのも変な話ですが、今、一つの百合が終わり、ここからが真の百合の幕開けなのです。 本当にせんのないことだけど、時たま真面目に考えてみたくなることがある。「百合好き」にとって、望ましいゴールって一体どこなんだろう、と。我が心の百合バイブルは「ささめきこと」なわけだが、もちろん「マリ見て」のような関係性だって充分素敵だと思う。しかし、「ゴール」とは何かはなかなか難しい問題。まぁ、普通の男女関係だって「ゴール」って何かと問われたら答えは無いのかもしれないが、百合の場合にはそこが更に曖昧だ。 高校生という年齢を考えれば、花火とえっちゃんに訪れうるゴールは割と簡単だ。「2人が正式に恋人宣言をしてカップルになること」。アニメーションの百合関係としては珍しく、2人はすでに肉体関係はクリア済みなのだが、花火の方に麦・鐘井という「隠れみの」があったせいで、2人はあくまで「身体だけの関係」を維持していた。そこで、えっちゃんは花火の二重失恋(?)を契機に、駄目もとで「ゴール」を狙ってみようという最後のチャレンジに挑んだわけだ。場所は避暑地の大定番、軽井沢の別荘。男女の仲ではそう簡単に2人きりの旅行なんてセッティング出来ないし、出来た時点でもうクリアみたいなところがあるが、女性同士ではそうもいかない。あくまでも表向きは「友達どうしの夏の行楽」。その裏にある意味を2人とも分かっていたとしてもだ。 事ここに及んで花火が「クズ」であり続けているのは、そうした「本当の意味」を分かっていながらも、傷心旅行のためにホイホイと誘いに乗り、えっちゃんに期待を持たせてしまうところ。鐘井との関係が断たれ、麦にも裏切られ、そこからえっちゃんの胸に飛び込んでなにもかもを投げ出したい、というなら、それはWIN&WINの関係なんで問題無い。しかし、えっちゃん本人が言っている通り、「花火は絶対自分のものにはならない」のである。花火から好意は向けられない。それでも、2人きりの旅行には来てくれるし、同じ布団に入って受け入れてもくれる。そんな状況に「親友」を放置するのだから、本当に最低なのだ。 しかし、そうして2人きりで悶々と避暑地の日々を過ごすことに待ったをかけた救世主が1人。えっちゃんの従兄弟・ノンストップKYボーイの篤也である。前回も書いた通り、彼は今作では数少ない「クズじゃない」側の人間。いや、確かに空気を読まずグイグイ来るのは明らかにアンフェアだし、違法行為になってる可能性すらあるが、行動の裏に含みを持たせたりしないし、自分の意志をはっきりと伝えてから相手の反応を待つあたりは紳士。相手のことも考えられるし、自分の立場もある程度わきまえている。彼がもし「クズ」に見えるのだとしたら、周りと取り囲む環境の捻れ具合がおかしいだけなのだ。「2人きりの日々」というベストコンディションをぶち壊されたえっちゃんは当然キレるわけだが、こうして怒りを買うのも篤也の想定の内。「最後に最高の思い出を」なんて身勝手で刹那的な選択は許さない。えっちゃんを締め上げて崖っぷちに立たせ、更に花火にも脅しをかけることで、「この旅行中の」決着を確定させる。ひどいようにみえて、これはファインプレイである。何しろ、今の花火だったらマジでえっちゃんの肉食パワーに押されて丸め込まれていた可能性は低くないのだ。えっちゃんにブレーキをかけることでそうした「なし崩し」を未然に防ぎ、更に真性のクズである花火に釘を刺すことでなあなあの結末を許さない。2人の未来を考えれば、篤也の立ち回りは本当に見事なものだった。 結局、「これを最後に潔く散る」というえっちゃんの男らしくも儚い計画は実現してしまう。どれだけ心の隙間を狙おうと、やっぱり花火は自分のものにはならなかった。2人の関係は百合ではないのだ。百合少女と、それを受け入れるだけのノンケの少女の友情物語なのだ。2人の間に広がる決定的な溝は、(分かっていたことだが)この旅行で決定的になり、えっちゃんは2人の未来、花火の未来を思い、身を引くことを宣言する。苦しいのは自分だけ。花火はこれから新しい出会いを探していく。そう思えば、辛くはあるが思い出にはなるだろう。 しかし、そんな美しい幕切れを、花火は認めない。「親友」の一世一代の決断を、花火は踏みにじる。恋人にはなれない。えっちゃんの望むような関係性は訪れない。しかしその上で、新しいステージは見えそうな気がする。そこにあるのはこれまで以上の友達関係。まさに「友達以上・恋人未満」という贅沢な繋がり方だ。そんなことを言われても、えっちゃんは当然キレるだけだ。自分の決意を何だと思っていやがる。そんなお為ごかしのお友達ごっこなんかやってられるか。しかし、花火のわがままは止まらない。「慣れるまで待つ」とか言ってのける。あくまでおかしいはえっちゃんの方。自分が望む新しい関係性に、何とかして合わせろ。お前の本心などぶち壊して、作り直して、私の望む関係性を構築しろ。花火はそう言っているのだ。 本当に救いようのない、エゴイスティックな物言いだ。しかし、こうして花火が臆面もなく「本心」をぶちまけられたことは、えっちゃんの功績であったのだ。どこか醒めたスタンスの花火の心に、ここまで食い込めたのはえっちゃんだけだったのだ。だからこその無茶振り、だからこそのわがまま。いわれた方はたまったもんではない。しかし、この選択は、同時にえっちゃんを救いもする。「自分が儚く散って消えてしまえば済む」という今回の結論は、確かに綺麗ではあるが、あまりに一方的で救いが無い。えっちゃんはずっと花火の亡霊を背負いながらこの先の人生を生きていくことになるだろうし、花火もそれを重荷にしてしまう。潔いように見えて、刻む傷跡の大きさを考えれば実はかなり加虐的な幕切れなのである。花火は、それを止めたのだ。 「決して自分に向かない好意に挑み続け、破れたから新しい関係を築け」なんて、それがどれだけ辛いことかは今の花火が一番よく知っていることだ。しかし、だからこそそこで終わってはいけないという思いがあったのだろう。自分の中で鐘井をただの思い出にするべきなのか。すっぱり切れたと思い込み、新たな人生を歩めるのか。それが出来ないと分かっていたからこそ、花火はえっちゃんを引き止めたのである。たとえ今は苦しくても、出会いを、絆を失うようなことをするなと、無理難題を押しつけたのである。これが花火の最大限の「友情」。そして、それを受けるしかないえっちゃんの「愛情」。二人の関係性は百合なのかどうか、結論は出ないが、少なくとも汚くはないし、忌むべきものでもない。ただ、答えが出るまでにはしばしの時間を要するのだろう。 さて、こうして幕を閉じたえっちゃんとの関係性。新学期になって花火は気まずさを抱えながら学校に向かうのだが……花火の脳裏をよぎるビジョンは、なんとえっちゃんよりも先に麦なのである。まぁ、そこが「本当」か「嘘」かの境目なんだろうなぁ……。そんな思われ人の麦は何をやっているかというと……家庭訪問プレイです。DMMの広告ですすめられるようなヤツです。茜さんは相手を興奮させるためだったら何だってノリノリです。もう、本当に最高に最悪です。DEAD ENDしかないと分かっているルートを選ぶしかない麦さん。本当にもう……。 恋の終わりってなんなんでしょう、第8話。長らく保留してきた関係性に決着をつけるお話。しかし、その行く先は千々に乱れ。 毎度のことながらターニングポイントとなるお話。前半パートは、とりあえず本命の2人の前にえっちゃんのお話が挿入される。メイン2人を中心に考えるとえっちゃんって単なる当て馬なんだけど、彼女だって立派に恋愛に悩む1人の女の子。花火との関係性はどう考えても現時点で打ち止めだし、「恋の終わり」をどのように用立てていいものかは本人が一番悩んでいるところ。そして、そんなえっちゃんサイドにもちゃんと別ルートは用意されていてね。なんだかつかみどころのない彼女の従兄弟・篤也。どうもコミュ障の気があるようなのだが、そんな面倒な男も気楽につきあえるのは血縁の強みか。久しぶりのの再会の時には突発的な行動に出てしまってせいでえっちゃんに殴り飛ばされたが、そんな最悪の再会イメージのわりには、現在は2人でお茶出来て相談相手になるくらいの関係性は復元出来ている。というか、出会い頭のハグに引き続き、篤也側から猛烈なアプローチを繰り返しているために、えっちゃん側も無下には出来ないというところだろう。まぁ、こんだけストレートに綺麗だのなんだのと褒めてくれる人間がいるなら、悪い気はしないよね。えっちゃんは「自分は男を愛せない」と思い込んでいるために恋愛に発展してないわけだが、篤也はそんなえっちゃんの態度を欺瞞であると見定め、理路整然と彼女の牙城を打ち崩さんとしている。ずけずけと上がり込んでくる態度はいくらか傲慢ではあるのだが、まぁ、今のところ間違ったことはやってないのかな。花火が手の届かない存在になって新しい「ゴール」を模索し始めたら、えっちゃんも何かに気付くことがあるのかもしれない。 場面変わって麦の家、告白することを決意した花火と麦の2人。相変わらず奇妙な関係性を維持していた2人だが、勢い任せのスキンシップが加速すると、どうにも自分たちの中には今までと違った感情が生まれてるみたいだぞ、ということを自覚しないわけにもいかないようで。そりゃね、ごっこ遊びでもそれなりの時間を2人で過ごしていたのは事実なわけで、お互いを知ってから生まれる感情ってのはあるもんですよ。互いが互いを「代替物だと思っている」と思っていた関係性。花火の何気ない一言から、麦の心も揺れ、その揺れを見た花火も揺れる。互いのゴールは一体どちらのルートを選べば良いのか。歪んだ関係性を続けていたせいで、自分でも感情の処理が追いつかない様子。しかし、決めたルールは守らなきゃいけない。互いに告白の期日を合わせ、お互いに失恋しに行く約束を取り付ける。もちろん、その失恋の先に、新しい関係性が確立されることも臭わせた上で。 第1試合は麦VS茜。もう、茜さんのLINEアイコンがウサギの時点で色々とお察し。ウサギは人間同様に年中無休で発情出来る動物らしいですからね! 麦穂がアイコンの麦は、完全に「ウサギの食い物」ですよ。白いレースも眩しいお衣装に日傘という、サークルクラッシャーもびっくりの装いで登場した茜は、麦の誘いの意味を大体察した上で待ち構える狐である。心臓バクバクで主導権を握られた麦に勝ち目などあるはずがなく、彼の心情通り、レベル1対ラスボスの様相。そして、麦自身は分かっているはずなのだ。「好きでした」と告白し、「全てを知っている」とぶちまけた上で自分の下を去ろうとする若い男なんて、それこそが茜の一番の好物だってことを。近づいても手が届かない。そのくせ離れようとしたら絡め捕られる。そんな魔女の手管に吸い込まれ、麦はめでたくゴールイン。そこには麦の意志など残されておらず、全ては魔女の思うがまま。そういえば、茜は麦が花火と偽りの関係性を構築していることにも気付いてるわけで、その先に「新しい関係」を狙っていることだって感づいている。つまり、花火の新しいステージを奪い取るなんて、まさに彼女の本領なのである。分かっていても、麦にはどうすることも出来ないのです。 第2試合は全く趣の違うマッチメイク、花火VS鐘井。こちらは陽光の下で「白い肌」を晒していた麦たちの対話とは真逆で、夜の静まりかえった公園で繰り広げられる告白劇。その中身も麦たちとは全く逆であり、改めて溢れ出る「好き」に打ちのめされる花火と、それを理解し、最善の(と本人が思っている)方法で応える鐘井。こちらもある意味予定調和ではあるのだが、いざ本人を前にした時に想像以上の感情があふれ出して止まらない花火が本当に切ない。麦の発した「好きでした」は、自分の身を守り、新たな地平を切り開くための進歩的告白。しかし、花火の「好きでした」は、あくまで鐘井の気持ちを尊重し、無理な願いで相手を困らせないための犠牲的告白。彼女は間違いなく、今でも「好きです」のはずなのだ。しかし、その言葉を発して相手を困らせることなど、彼女には出来ない。大丈夫、自分には麦という逃げ道がある。そう必死に言い訳をして、クズとしての信念を全うすることで、彼女は何とか初恋を乗り越えることが出来るのだ。 打ちのめされた花火。本来なら失恋を終えて落ち合うはずだった2人。しかし、麦はその場には現れないだろう。逃げ道を用意したが故の残酷な結末。この恋にゴールはあるのか。 やっとモカのターン、第7話。この1話のために溜めて溜めて来たんでしょうか。改めて、本当に不憫な子やなぁ。 茜の手の平の上で弄ばれる現状を何とか打開しなければいけない花火と麦。それぞれが、自分たちに向けられる「好意」の扱いをどうにかしなければならぬというので、随分方向性の違うソロ活動に勤しむことに。まず、花火さんの方の迷走は非常に分かりやすい。やってることは基本的に前回と同じで、たまたま知り合ったチャラ男(タクヤ)にほいほい着いていき、何とか自分の魅力をアピールして茜という魔女に追いつけ追い越せが狙いなのだが、如何せん、その実体は単に背伸びしてるだけの女子高生である。前回カラオケで処女カミングアウトなんかもしてしまったし、経験値の差を暴露されてしまえば相手は余裕も出来る。後は完全にコントロールされる形で常にイニシアティブをとられ、当初の目的とは真逆の関係性に振り回されるだけ。自分に好意を向けてほしい、自分の存在を他者から認められたいという願いは空を切り、再び他者への依存を高めてしまう結果となった。駄目だよ花火さん、その関係性には何の意味も無いよ。まー、そんな花火の焦りを充分に理解していいように振り回してる男の方もひどいのだが、「男なんてそんなもん」と言われれば、まぁそうなんだよな。目の前に分かりやすい獲物がいれば、そりゃ美味しく頂く方向でプランニングするからな。結局、花火さんがこの日手に入れたのは、どうしようもない敗北感と、徒労だけ。 他方、麦の方はというと、これまた全然違う関係性である。花火が行きずりの男との関係性で四苦八苦しているのと時を同じく、麦は生まれた時からの腐れ縁、幼馴染みとの関係性を計りきれずになんだか残念なことになっていく。モカとのデートにOKを出したのは、麦からしたらほんの気まぐれ。正式に付き合いだしたはずの花火が全然自分の相手をしてくれないし、最近は早川先輩との割り切った関係も一段落してしまった感もあり、この辺りでもう1人くらい女の子に自分を見てもらって、自分の立ち位置を再確認する狙いもあったのかもしれない。今の自分が迷子なら、ずっと昔から自分を見てくれているモカは分かりやすい指標になり得るのだ。 もちろん、モカの方もそんな麦の態度が気紛れであることは重々承知している。しかし、これまでただひたすら純愛を貫いてきたモカも、周りに花火という不穏分子がいる状態ではなりふり構ってられない。「麦は自分を見ていない」ということを理解しながら、この千載一遇のチャンスで何かをもぎ取らんと画策する。しかし、デートの時間が過ぎるにつれ、そんな自分の救いようのない状況を思い知らされることになり、こちらも出口のない袋小路に。麦は何を考えている、自分は何がしたい。グルグル巡った思考の迷路の果てには、「今日一日は思い出の中に閉じこめてしまえ」という破滅的で現実的な結論があった。仕方がない、鴎端のり子の純愛には、そこから先に進んで麦を苦しめるという選択肢は無かったのだから。 しかし、そうしてモカが苦しみ、後ずさったことが、かえって麦を引き止める結果になってしまう。そう、麦というヤツは、自身もクズであり、クズ女に引っかかるレーダーを持っているのだ。これまでずっと「クズ」カテゴリの人間としか関係を持っていなかった麦にとって、ここで一歩引いて消え失せるモカはあまりにも異端。あまりにも特別。思わず引き止めた麦の手により、モカは最後のステージへと進むことになる。麦の歪んだ心を打ち壊し、新たな男女関係を形成する最後のチャンス。今までのモカならば、麦が現時点で様々な人間関係に苦しんでいることは知っているのだから、ここで押し進もうとはしなかった。しかし、よりにもよってこんなところで芽生えてしまうモカの「クズ」。相手がどうなってもいい。自身がどうなったっていい。とにかく今この瞬間に自分が求めているものを手に入れたい一心。麦との関係を求めて、これまで築き上げてきた関係性をぶち壊す最後の一歩を、モカは選択した。 そして、ここでモカが「変質」したことで、クズとクズの関係性は更なる混迷を見せるのである。モカがようやく打ち破ったその殻を、麦も破れるとは限らない。変わってしまったモカを見たことで、麦の心に表れるのは、失ってしまう大切な存在。なんと身勝手な男なのだろうか。自分でステージを引き上げておいて、今更失いそうなものを惜しむのである。尊い「幼馴染み」のモカは、ついにここで麦にとって不可侵存在となってしまう。それが、モカの望みと相反していたとしても。モカは、「麦の幸せにつながらない」ことを理解した上で関係性を求め、麦は、「モカの願いにつながらない」ことを悟った上で関係性を拒否する。なんて皮肉で、救いようのない平行線。最後のステージに上がったことで、モカの夢は夢のままで儚く消えた。 刹那の関係だろうが、千秋の関係だろうが、結局は「一番」にはなり得ない。真逆の教訓から同じゴールにたどり着いた花火と麦。進むべきは正道、成すべきは大願。分かっていたが見ないようにしてきた遠回り。2人のクズが犠牲にしてきた諸々は、ここに来て、実を成すことが出来るのだろうか。 本気を出したエッちゃんの破壊力! 第6話。すげぇ、どのキャラもどんどんアクセル踏み込んでくるから加速度的にクズが集まってくる。 ついに茜から直接攻撃を受けてしまった花火。これまでは何とか「にらみ合い」程度で済んでいた関係性だったが、ここまで明確に領土侵犯を宣言されてしまっては、今後の対策を検討しなければいけない。特に相手は領土侵犯を至上の歓びとしている最悪のインベーダーであり、放っておいたらこのまま実質的にも、そして花火のメンタル的にもどこまで削られるか分かったもんじゃない。何とか、相容れない敵対勢力に対抗する術を見つけ出さなければいけない。 しかし、元々分の悪い戦いなのは明らか。相手は百戦錬磨のビッチであり、あらゆる面で花火を凌ぐ。花火が作中で分析していた通り、茜のスタートは圧倒的に「上から」の存在なのである。たとえもしここで鐘井を取り返したとて、花火から見ればクリティカルでも、茜からしたら髪の毛一本毟られた程度。それでは意味が無いのだ。となると、面と向かって対抗するには彼女の歓びの本質を理解し、そこをぶっ壊す方向性で攻め込まなければいけないわけだが……それこそ相手の土俵。無謀以外のなにものでもない。 しかし、ここのところ色々としんどいことが起こりすぎていて、花火も冷静ではなくなってきている。真っ先に思いついたアイディアは「アイツに向いている好意を全て自分に向ければ良い」というもの。この考え方はだいたい25%くらいの正しさしかない。まず、確かに茜に向いている好意をひっくり返す事が出来れば、確かに茜は悔しいだろうし、自分よりも下だと思っている花火に獲物を持っていかれたらプライドに傷はつくだろう。意趣返しとして一定の効果はある。しかし、茜の本質は「他者が好意を向けているものを掠めとることに達成感を覚える」である。つまり、「茜を好いているもの」を改めて奪ったところで、そこに大きなダメージはない。そこが半分の間違い。そして残り50%の間違いは、そもそも同じ土俵に立って戦って勝ち目があるのか、っていう実現性の部分。そのあたりが花火さんの弱いところ。モノローグに出てきたロリ花火さんの方が幾らか冷静な判断が出来ているようで、躍起になる花火に「ガキ」と吐き捨てている。花火だって内心はそんな行為に意味が無いことは分かっているのかもしれないが、やはり「奪われた」ことに対する復讐としては「奪い返す」ことしか思いつかないのはしょうがないことだろう。 そうして動き出した花火は、当然「茜に好意を向けている者」を探すわけだが、鐘井に手を出すわけにも行かず、手っ取り早く確保出来るのは麦ということになる。前回まったく違う文脈から「正式に付き合ってみる?」と誘われていたのは渡りに船。より明確に「茜対策」を打ち出すため、麦とは正規の契約を結ぶことに。こういう花火の行動に対しては麦がいくらか冷静に待ったをかけるかと思われたが、前回自分から言い出した手前、断るのも変だと思ったのだろうか。無事に受理されて2人は「正式に好きあっていないカップル」というよく分からない関係性となった。 正式に付き合ったら何が変わるのか。おそらく花火の中では「まぁ、やることを最後までやらなきゃな」みたいな義務感がまずあるだろうが、それよりも前に、真っ先に動いたのは、エッちゃんへの報告だった。そりゃま、「二股」になるわけで、ここで正式に報告、以後の関係性の改正を要求。しかし、ここまでいいように扱われてきた「便利な発散先」だったエッちゃんは、ただその地位に甘んじるだけの被害者ではなかったのだ。牙をむいた彼女は、これまでの花火の気持ちを全て看破していたことを告げ、麦と、更にその奥にいる「本命」の存在を全て知っていると仄めかす。その上で「今まで通りにしましょうよ」と説き伏せ、少しずつ包囲網を狭めていく。これまでの関係性では「心はあっちでいいけど身体だけ頂戴」という立ち位置だったが、「身体も提供しません」という花火に対し、「別にいいじゃないか」と甘言を囁き、爛れた関係を続けていく意向。当然その先には「どうせ身体だけじゃないんだろ」というゴールが見えている。いってしまえば、この後に登場する茜のセフレ、タクヤのいっていた「身体が気持ちよくなれば、気持ちなんていくらでも後からついてくるだろ」を実践しようとしているのである。彼女の毒は、確実に花火の中を巡っている。策士だね。格好良いね。 こうしてエッちゃんすら振り切れなかった花火。そこは諾々とうやむやを続け、更に偶然出会った男を見て更にプランを進める。あの日のファミレスであったタクヤは、一応「茜に好意を寄せる者」の2人目。これを奪い取って、茜に対する宣戦布告と出来れば良い。まぁ、そんなことがなかなか上手くいかないことは、本人もすぐに気付いていたのだが……。花火さんは、そこそこ冷静に、客観的な自己分析が出来ているはずなのだが、動いてしまった後に微調整しようと慌てて取り繕う流れになっているので、各方面に後手後手だ。タクヤ君だって単なる茜のペットではなく、ちゃんとした自我を持つ一人の男である。そして、割と分かりやすい「とにかく繋がろう」の信念を持つ、素直なチャラ男でもある。まぁ、花火の思わせぶりな行動は、普通に見たら「誘惑」ではなくて「ホイホイついて来ちゃった何も知らない馬鹿な女子高生」にしか見えないんだからしょうがない。実際、花火も流されそうになってグルグルしちゃってるしなぁ。もう、この辺りで茜に勝てる見込みがないのよね。 すんでのところで最後の防壁だけは守りきった花火だが、そこを守っていてもプランは成就しないわけで、一体どこに着地させたらいいものか、行動を起こした本人が一番迷子。麦との関係性もどうしていいか分からなくなってるし、その背伸びは自爆以外の何ものでもないんじゃ。男と付き合う規準が全部麦な時点でなぁ……。そして、そんな浮ついた花火を絡め捕ろうとする多数の蜘蛛の糸。タクヤから見れば茜と違って自分主導でモノに出来そうな都合のいい女だし、エッちゃんからしたら調教途中の刺激的な手駒だし。今のところ彼女の思惑から一番遠くにいるのが麦じゃんね。花火が「自分」を手に入れるよりも先に、周りでゴタゴタしている「花火争奪戦」がヒートアップしているのである。 そして、そんな折に麦さんのところに乗り込んでくる真っ直ぐ少女のモカさん。今のところ、今作で唯一の真っ直ぐさん。モカに対応する麦のクズっぷりもなかなかだが、彼の中には茜と花火を結びつける「クズ女リンク」が形成されている節もあり、そういう意味では麦×花火関係に脈があると言えなくもない? ……どっちも望んでないよなぁ。さて、モカさんはこんな駄目な王子様をブレイク出来るのか。ブレイクされたとして、花火はどんな攻めに打って出るのか。もう、しっちゃかめっちゃかですわ。 シーンの半分は布団の中、第5話。ここまで延々肉体関係だけを描き続けるアニメってのも他にないでしょうな。そしてこれ、エロアニメじゃないんだ。いや、エロいけども。ごっつエロいけども。息芝居が堪能出来る作品ってことで声優ファン冥利に尽きます。 全てのキャラが全力でエゴをぶつけ合い、あらゆる人間関係が極まっているという最高に最低な状態。もう、どのキャラが会話しても面白いという見事なドラマになっている。顔を並べる連中が全員「クズ」なのがたまりませんね。 冒頭、いきなり明かされたおめでたい事実は、麦の「知ってるよ、バーカ」である。さすがだ粟屋麦。彼はやはり阿呆ではなかったのだ。かつては「思春期の傷」として中学の先輩である早川先輩とお付き合いしていた麦。元々イケメンだし、早熟な彼は中学時代で一通り男女交際の機微を経験済みである。それに加えてお相手の早川先輩も実にドライで、中学生とは思えないあっけらかんとした関係性、まぁ、いうたらセフレの状態で彼をキープしていたようなこともあり、麦が内面に抱えていたもやっとしたものをあっさりとブレイク。「あの皆川って女、ビッチやろ」と看破し、ご丁寧にその証拠まで見せてくれたのである。麦くんは一晩枕を濡らしたわけだが、そこは彼の「クズ」っぷり。改めて視点を変えてみても、それはそれで茜ちゃん可愛くない? というやるせない男の本能。もう、こればっかりはどうしようもない。 でもさ、これって気持ち分かるよね……ビッチなんだよ。阿漕なんだよ。ものすごく媚び媚びなのが透けて見えるんだよ。「これ、同性には絶対に嫌われるタイプだよな……」とか思いながら見てるんだけど、男目線だと話は違うんだよ。だって、「男に好かれるために手段を選ばない」んだよ。それを甲斐甲斐しさと解釈することを間違いだとは言い切れまい? 今まで思い描いてきた茜先生像とは180度向きが変わってしまったが、「それはそれで、放っておけない」ってんで、分かっていても沼にハマるのを避けられない。あとはまぁ、ほら、可愛いんだもん。目の前に後は食べるだけ、っていう状態で据え膳がぶら下がってるわけで、そりゃ食べたくなるのはどうしようもないわけで。結局、麦くんは皆川茜の全てを理解しながら、それ故に手の届かぬことを知っていながら、未だ思い続ける面倒な「クズ」なわけです。 それに対抗するのは、目が覚めると親友が同じベッドで寝ている我らが花火さん。もう、えっちゃんとの関係性もあっという間に定着しましたね。考えてみれば、現時点での麦と花火の関係性は肉体関係とは別の次元で考えるわけにはいかないはずなのだが、それでも頑なに「ルール」を維持するという絶妙なものになっている。2人の関係は、シンプルな肉欲だけでは処理出来ないものであるべきなのだ。しかし、2人とも人間なので湧き上がるものはどうしようもない。そこで用意された「処理装置」として、麦には早川先輩という「元カノ」がおり、花火側にはえっちゃんという「親友」が用意されたわけだ。このダブル二股みたいな状態のおかげで、花火と麦はそれぞれを「単なるセックスの相手」として見るわけにはいかなくなる。そういう意味で、当て馬にすらしてもらえないえっちゃんのスタンスは本当に不憫なのだが、まぁ、彼女が満足ならそれはそれでいいのか。あろうことか、目覚めて真っ先に見たえっちゃんの顔は、花火には一瞬あの女狐の顔と重なってしまうとかいう最悪の印象。単なる被害妄想でしかないのだが、花火から見たら、肉体関係のためだけに親友の優しさに溺れる自分の立ち位置が、茜の存在と被ってしまって自己嫌悪に陥るのもしょうがないのだろう。 そして、花火は麦に突っ込むことになる。いや、正確には突っ込まれる側のはずだが……2人とも、茜を巡る自分たちの関係がイカれていることは重々承知しており、特に花火は自分の本命の相手である鐘井に届かないことから「出口」を必死に探している状態である。そこで手近にある麦という棒をひっ捕まえて何とかステップアップしてしまおう、という安易な発想に辿り付くわけだが、麦からしてみればそれは「ヒステリー」である。実際、関係性を求める動機がお互いに不純なのは理解し合っているわけで、その関係性を進めたところで出口などないことは2人とも分かっている。しかし、そこでどちらかというと経験値の少ない花火の方が無茶をしてしまうというわけだ。2人が面倒なのは、そうした麦×花火の関係性すら代償行為であるはずなのに、互いに「代償の代償」として早川先輩やえっちゃんを求めてしまっているということ。二重底、三重底の関係性に、パーッと勢いで答えを出そうという花火が無謀なのである。そして、花火の無茶な要求に応える形で麦も挑んでみるものの、やっぱりいざことに至ると(文字通り)腰が引けてしまった花火さん。麦はおそらく親切半分、諦め半分で「付き合ってみる?」と問いかけてもみるのだが、片方が押せば片方が退く。そんなどうしようもない関係性の中で、2人は未だグルグル回っている。 そして、そんな若い2人の導火線としてこれ以上無い役割を果たす混作随一のミラクルガール、茜さん。もう、今回の裏表両面演技は職人芸である。表の顔を鉄壁にし、裏では圧倒的な上位存在として君臨するこのゲームのマスター。そして、そこにぶつかる鐘井は、今作で唯一「二面性」が存在しない純正存在なのだが、これがまた、世の童貞パワーを集約させた、お手本のような朴念仁なのである。茜さんの言葉を借りるなら、まさに「どうしてこんなのがいいんだか」である。まぁ、鐘井と花火の関係性は単純な恋愛感情ではないからなぁ。 肉食獣の茜さんは一応餌をひっかけて釣り竿をブラブラさせてみるが、ギリギリのタイミングまでは全く魅力的な要素もない鐘井に辟易。飲み過ぎてぶっ飛んじゃうのも全部クソつまらない鐘井のせい。何一つ欲求を満たせない対象に愛想を尽かしかけた時に、最大級の面白爆弾をたたき込む鐘井。もう、ほんとこいつなんなの。ひょっとしたらこの世界において最大のクズはこの童貞なのかもしれない。一気に火がついた茜さんは、童貞妄想を蹴散らしつつ、余裕で自分の狙ったゴールにきっちりホールイン。こんなもん、百戦錬磨の茜さんなら朝飯前である。あとは、満足行く状況が用意出来たことを花火さんに報告するだけ。というか、この報告の一瞬のためだけに、彼女は生きているのである。良かったね茜さん、つまらない人生に退屈を吹き飛ばすおもちゃが出来て。 現状、どうしようもない青春の懊悩を抱えながら、少しずつお互いの存在に耽溺していく若者2人を、茜さんという超越存在が見下ろして楽しんでる状態である。果たして、これが打破出来るような状況になり得るのだろうか。まぁ、正直ならなくてもいいけど。茜さんからすれば、一回食っちまった既成事実が出来れば、あとは鐘井なんて用済みなんだろうが、花火が苦しむのを見たいがためにダラダラと関係を繋いでいく可能性はあるんだよな。今後の盛り上がりは、茜さんの加虐マインドにかかっているわけだ。頑張れ茜さん。僕らは君のビッチパワーを待っている。 さっさとガチレズで妥協しろやァ! 第4話。これだけしっかりした濡れ場を、年齢視聴制限無しで楽しめる美しい国、日本。美しい百合、日本。 今回も特濃。あらすじだけで書いたら本当に事件なんて1つ2つしか起こってないんだけど、ドロドロドロドロしてるだけであっという間に時間は過ぎていく。動きの少ない作品のはずだが、それを感じさせないように漫画のコマを意識して自然にモーションを付けていく今作の演出方向が、過剰に語りの邪魔をせずシンプルな画面の中にしっかりとした流れを作っているのは見事だ。まぁ、そんな細かい部分を気にせずとも、ベッドシーンに至ってしまえば「もうこれだけで金取れるやんけ!」っていう艶っぽさに私は無条件降伏するんですけどね。戸松攻めのちかぺ受けの百合とか、最高かよ、としか言いようがない。地味に同年代の2人でございます。 中の人の話はさておき、前回からの続き、というか同じシーンを、今度は茜先生サイドのモノローグを入れて描くという幕開け。想像通りというか、想像以上というか、実に分かりやすい行動原理を持つビッチの権化であった茜。いや、でも彼女の理念はなんだか「ビッチ」とか「売女」という言葉で片付けるのもなんだか違う気がするな。彼女のモチベーションは単純な肉欲ではなく、若い日に芽生えた防衛本能。否、狩猟者本能とでもいうべきものなのだろうか。男をとられた「弱い」友達を評して「搾取される側」という言葉を使っており、彼女にとって「人の好意」は奪い、奪われるものである。他者に向けられた好意を奪う側に回ることが出来れば、自分が奪われる憂き目にあわずに済むし、いつしか奪うことそのものを快楽として受け入れるようになっていた身には、肉欲を超えた部分での支配欲求が彼女を満たす糧となる。食事と違って別に摂らなくても構わないし、肉欲と違って彼女自身が無我夢中で欲しているものでもないので有っても無くても構わないものだが、あった方が彼女の人生は潤う。茜にとっての「男」は、そういう類のものだ。そこには一般的な倫理観とは相容れない部分も当然あるわけだが、彼女は情ではなく理でもって自分の振る舞いを制御出来るため、情でぶつかってくる周りの人間を睥睨しながらコントロールすることが出来るのである。 そんな茜の本質を全て理解した花火。大好きなお兄ちゃんもそうだし、麦のことだってそうだ。しかし、茜が仕掛けてきた勝負に、彼女は太刀打ち出来ない。お互いに「クズ」であるとは言いながらも、その本質は全く異なるものであるし、その理念の差の影響もあり、圧倒的に人生経験で負けている。奪い続ける肉食獣を相手に、与えられるものすらろくに食べてこなかった花火が敵うはずがないのだ。全てを鐘井や麦に明かすという選択肢もあるだろうが、彼女は前回の時点ですでに麦の「盲目」を見せつけられている。男って生き物は、茜の手練手管を打ち破るには全く持って役者不足なのである。たとえ花火が彼女の悪行を暴露したところで、男どもはなんやかやと理由を付けて茜を弁護する側に回る。茜も、そうした「武器」を十全に理解して立ち回っているのである。正直、わたしゃ目の前に茜先生がいたら、多分麦たちと同じ態度になっていただろう。悲しいかな、男なんてそういうもんである。ビバ豊崎ボイスである。 そうして完膚無きまでに叩きのめされた花火。そんな花火の傷心を知ってか知らずか、網を張って待ち構えるえっちゃん。はっきりと「つけてきた」って言ってましたからね。もう、あれだけぶっちゃけたら気持ちを隠す必要も無い。そして、そんな早苗の狙いをおそらく100%理解しているはずだが、花火はその胸に飛び込むのである。「この行為がどれほどの意味を持つか分からないけど」と断りながら。この一言は本当にずるい。早苗にとっての自分の大切さが分からないといいながら、自分の行為が早苗に致命傷を与えられることを知っている。そのくせ、「知らない」と予防線を張ることで、絶対に自分は早苗と同じステージには上がらないことを宣言している。つまり、自分は何もしないから、早苗が自己責任で自分を「扱う」ことを強いることになる。一種の強迫みたいなものだ。自分は傷つかず、他者を利用して傷を舐めてもらう。心を埋めてもらう。花火は全てを分かった上で、そうして早苗を「利用して」いる。もちろん、「利用される」ことを早苗が受け入れることも分かった上で。共依存にならない分だけ、麦との関係性よりも更にたちが悪いとも言える。この辺りは流石の「クズ」である。 しかし、与えられたご褒美をもらわないわけにもいかない早苗さんはそのままノンストップで行けるところまで。利用されるならしてもらおう、という精神で欲求を満たす。互いに承諾ずくなのだから、ある意味ではWIN&WINの関係とも言えるか。ベッドの中でも幾度か麦の名前を出すあたりは早苗なりの精一杯の意趣返しだろうが、花火は自分がクズであることを嫌というほど理解しているわけで、早苗のストレートな攻撃も受け止める準備が出来ている。もちろん、友達を「利用する」ことについての罪悪感はあるのだろうが……しょうがないのだ、自分よりも圧倒的に上位の存在にうち負けた今、「埋めてくれる」ものは不可欠なのだから。「埋めてもらった結果、一人になった」とは彼女の弁。何とも不器用な関係性しか構築出来ないクズの集まり。 茜は、花火のことを評して「自分と同じ側」という表現を使った。つまり、「搾取する側」だ。実際、花火はモカから麦を強奪している状態であり、傍から見ればやっていることは茜と同じ。しかし、茜がそうして搾取することに快楽を覚えるのに対し、花火はどうしようもない居心地の悪さを感じている。麦との関係性を、どうにか「意味のあるもの」にしようとしている。この期に及んで麦に気を遣い、茜の真実を打ち明けられないのも、彼女の身勝手な「願い」から来る行動だ。果たして麦は、どれほどその願いを認識しているのか。そして、花火はこの矛盾した関係性の中で、誰に心を向けることで折り合いをつけていくのか。一筋縄ではいかぬな。
抜き身の感情で容赦無く斬りつけてくるのマジ勘弁して、第3話。もう、どこを切り取っても超濃い味しかないんだけど、片や砂糖菓子みたいなだだ甘いシーンで、片や豚骨ラーメンみたいなギトギトの油分で。満干全席に殺される。 まずは砂糖パート。前回衝撃の引きを見せたえっちゃんこと絵鳩早苗ちゃん。彼女と花火の馴れ初めが語られ、彼女の切実な想いも明らかになった。どうやら花火は持ち前の我の強さがプラスに働いたらしく、えっちゃんの中では救世主的な存在。ついでに花火の場合は割と見た目もよさげなので、元々そっちの素質があったえっちゃんはコロッと落ちてしまったということなのだろう。しかしまぁ、そんな秘めたる思いの桜Trickならずっと秘めたままで終わらせても良かったのだろうが、熱視線を送っているうちに気がついてしまった花火の「違和感」は、どうしても無視出来るものではなかった。花火と麦の間の「恋人」関係に疑念を持ったえっちゃんは、ブレーキをかけなければいけないとは分かりつつも、同じ布団の中、辛抱たまらず暴走モードへ。でもまぁ、この状況で我慢出来なくなるのはしょうがないだろう。相手が無意識なのも本当にたちの悪いことで。 今回の暴走について、えっちゃんは自身で「賭け」と評している。麦との関係が「怪しい」というその一点のみを理由に、もしそれが例えば「麦と嫌々付き合わされている」みたいな状況であれば、自分が花火の助けになり、そのまま「おいしい」ポジションに入り込むことも不可能ではないかもしれないのだ。もちろん全て打算で動いたわけでもなかろうが、えっちゃんにはそうした希望があった。何しろ「ピュアな」花火なのだ。彼女が好きでもない人間と付き合っているなら、きっとそこには「花火の悩み」の本質が隠されているに違いない。 しかし残念ながら、花火の悩みはえっちゃんの想像の斜め上を行くものだった。彼女の本質はピュアはピュアでも純正の「クズ」。麦との関係性は納得づくのもので、そこにえっちゃんの立ち入る隙間はなかったのだ。結局、感情を吐露するだけで終わってしまったえっちゃんの暴れ損。花火からすれば新たに「好意」が自分に叩きつけられたことで、その重さを初めて認識し、悩まされることになる。「興味のない他人からの好意は害悪」と以前言い切っていた彼女。そこに、「恋愛対象になるとも思っていなかった友人」という領域外からの刃が突き刺さり、さらにモカからの悲痛な懇願を叩きつけられることで、自身がこれまで唾棄すべきだと思っていた存在と大差無かったという事実を叩きつけられる。好きという感情は圧倒的な熱量を持った「情」であり、それを無下に蹴ることも出来ないという窮地。そして、自分はそんな感情を抱えながら、それを本来の対象にぶつけずに、麦という代替物でまかなっていたのだ。感情をぶつけられる麦のことを考えれば、改めて自身の「クズ」っぷりを認識せざるを得ない。 えっちゃんとの関係性がこの先どうなるかはまだ分からない。しかし、改めて麦との関係性を考え直すことは迫られたのだ。そして、麦の部屋にシーンを移し、今度は砂糖から一転して「油分」のパートである。過去の火遊びの記憶を夢に見て身体の一部が元気になってしまった麦と、たまたまその現場に居合わせて男の何たるかを見せつけられる花火。興味が無いわけではないし、むしろここで麦が襲い掛かってくるような人間だったら話は簡単。麦に主導権を握られたことにして、あとはズルズルと「駄目な」関係を深めていけば良かったのだろう。しかし麦は未だブロックを崩さない。花火が「楽になりたくて」布団に潜り込んで接近を試みたというのに、この圧倒的物量の据え膳をも、彼はギリギリのところで食わぬ選択に至ったのである。条約通りの清い(?)関係性。しかしそれは、「楽だった」はずの麦との関係性において、初めて非対称を成した歪みでもある。「好きになれば楽になれる」と歩を進める花火に対し、「恋は盲目」の麦は全く動かない。そして、精神的にも肉体的にも、自分と麦は違うのだということを見せつけられて花火は窮するばかり。このまま麦との歪な関係を続けることは、親友であるえっちゃんの訴えを無視することにつながってしまうのだ。 そして、そんな悩みを抱えたある夜に訪れる3つ目の味わい。酸味か、えぐみか。関係性の渦中にある麦の憧れの人、茜先生の「真実」の暴露。そりゃまぁ、花火たちだって人のことを言えた義理でもなかろうが、彼女は思った以上にアレな人。まぁ、男をどう転がそうと彼女の人生なのだから自由には違いない。元々麦だって中学生男子の青い恋心をこじらせただけの関係性であり、現在見える茜の「真の姿」とは別次元に憧れが存在していたのだ。しかし、そうして「見えない」「見ない」麦と違って、花火は同性のよしみもあり、茜の姿がどこまでもくっきりと見えている。あけすけな彼女の、自分とはまた違った人生観を見せつけられる。花火は茜に対する感情を「嫌悪」と表したが、さて、彼女が「嫌う」のは茜のどんな部分なのだろうか。2人の男の間で飛び回る彼女を「嫌う」権利は花火にはない。自分だって、思い人とは別の男に肉体関係を強要する「クズ」であるのだ。しかし、それでも彼女は嫌わずにいられない。そんな関係を謳歌している茜を。そして、麦の気持ちに気付いているだろうに、それを弄び一瞥に付さない彼女のコトを。この怒りは、自分のためか、麦のためか。 グルグル回る花火の気持ち。そしてそれを取り巻く数々の情念。一筋縄ではいかぬ世界。そろそろ胃もたれも限界レベルだぞ。 なんなんこの世界?! 第2話。なんかもう、劇物しか存在してないんですが。とりあえず真っ先に書いておくと、女性キャスト陣のスペック高すぎやしませんかね? ちかぺとしーたむの時点で顔面偏差値高すぎやろ、って思ってたら、戸松・津田・藤井と次々放り込まれるキャスト陣。畜生、信長ァ! 俺、生まれ変わったら島崎信長になるよ。 キャストの問題はさておいて、とにかく濃密な関係性がただひたすらに垂れ流されるという原液どっぷりの超濃度。助けてください、こういうの大好きなんです。「ユーフォ」で似たような味わいがあったような気もするが、あちらはまだ「部活という青春」がテーマだったので、発散する先があるというか、エネルギーが熱に転換する余地があったのだが、こちらは溜まった情念を吐き出す先がない地獄絵図の青春絵巻。燻る花火に淀む麦。そこに百合属性持ちのえっちゃん(絵鳩さんというらしい)まで飛び込んできて、もう、好きとか嫌いとか、最初に言ったのは誰なのかしら!? まず、2話目でもう説明不要だとばかりにドロドロダルダルする花火と麦の関係がたまらない。二人とも一切の迷いがない「代理カップル」っぷりで、こういう展開の恋愛ものってのも少女漫画を中心に割と色んなところに転がっている題材のはずなのだが、この2人は元々の属性が「クズ」であり、割り切り方が何とも捻れている。いや、正直言うと麦の方の気持ちは一切理解も共感も出来ないんだけどさ。思い人への義理と操を立てるため、花火とは「最後」まで至らないことで合意してるようなのだが、健全な男子高校生がそんなんで我慢出来るわけないんだよ。そこを乗り越えてしまっている時点で麦はすでに理解の範疇を超えている。仙人か何かか。ただ、憧れの先生が相手なら、脳内妄想から汚すのも余裕っていうあたりはリアルに男の子なんだよなぁ。そこで花火を「食う」のではなく「手慰みにする」程度にしているのが、意志が強いんだか弱いんだか……。一番のクズは多分こいつなんじゃないかと思うのだが、単なるプレイボーイじゃないあたりが逆にムカつく存在である。 それに比べて、一応花火の方の心境は理解出来る。何度も何度も「本命はお兄ちゃん」ということが確認されているし、彼女の方から麦に対して肉体的な接触を持とうとはしていない受け身の姿勢なので、あくまでも「表面上限定」という契約は保たれている……いや、あれだけスキンシップとってる時点でアウトって意見もあるが。彼女の場合、そうして麦の方にイニシアティブを握らせて現在の関係性を甘受しているあたりがクズ。あれだけの関わり合いを持ちながら自分の感情は整理が出来ていると思っていて、友達が恋愛相談で二股に悩む様を見ても、「共感出来ない」とバッサリ。つまり、彼女自身は「二股」という認識は一切無いのだ。あくまでお兄ちゃん一筋だと認識しているのだ。うわぁ。なんだこいつら。 そんなつかず離れずの奇跡的(にクズ)な関係に、さっそくぶっ込んできたぞ、モカちゃんこと鴎端のり子君。ヘボットみてぇな声しやがって、と思ったけどそこまでヘボットではなくてよかった。彼女は、今作では貴重な「熱を発散してくれる排気口」である。そして、彼女がかき回せばかき回すほど、花火と麦の関係は取り返しがつかない方向へと醸成されていく。モカに対しているときの花火のテンションは間違いなく「本音」の部分だろう。今後も是非ともテンション高めで引っかき回してもらいたい。そして、謎の関わりを見せてしまった「親友」のえっちゃん……。カットが変わるわずかな瞬間に理性消し飛んでて爆笑した。「戸松は百合向きじゃないんだよなぁ」とか思って見てたんだけど、違うわ、この百合は戸松だわ。暴走機関車だわ。さて、花火さん、貴重な「友達」の行動をどう裁いてくれるんでしょうね。 とりあえず、このまま三股を維持していくってのはどうでしょうか。百合も楽しめる、ダイレクトな絡みも楽しめる、そして片思いな純情も楽しめる。1人のヒロインで3度おいしい。これこそがクズの本懐。 |
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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