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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 おいぃ! 弥生ちゃんと唐之杜さん!!! 最終話。もう、色々と思い巡らしながら見てたのに、あの1カットで全部ぶっ飛んじゃったよぅ! なんと! 一係の! ナイスバディのおねぇさま2人が! 百合! ガチ百合! もう百合っていうかレズ! そういやそんな内容の同人誌もあった! もう、色々大変ダァ!

 さて、先んじて取り乱しておけば多分冷静になれるだろう。一体どういう締め方になるだろうと思っていたが、なるほど、ひとまずの落としどころはここだったか。まぁ、これまで冷静に追いかけていれば納得出来るくらいの無難なところだったのではなかろうか。唯一狡噛さんの行く末だけはちょっと引っかからないわけではないが……どうなんだろうね、狡噛さん。確かヘルメットに対する措置は既に施行されているはずなので、狡噛クラスの犯罪係数マックスな人間がその辺うろうろ出来る世界じゃないと思うんだけど。今回の件でガンガン罪状もたまってるわけだし、そもそも槙島殺害の実行犯をシビュラが見逃してくれるとも思えないのだが……うまいこと生きてるのかしらね。ま、槙島だって色んな犯罪者を子飼いにしてたんだから、多分裏ルートを利用すれば何かごまかす手段はあるのかもしれない。何よりも、狡噛さんが死んじゃうと万が一2期を作る時に勿体ないからね。今回の続き方だと一応2期も期待出来なくはないんだよね。「シビュラへの復讐」みたいなヤツ。まぁ、多分どうしようもないストーリーになるだろうけども。

 狡噛の末路を除くと、割とバランスの取れた着地の仕方だった気はする。槙島は当然のことながら狡噛の手で始末された。最後にほんのわずかだが2人きりで語らうチャンスを与えられ、結局槙島は最終的に狡噛の見立て通り、「孤独で寂しい人間」としての最期であった。あれだけ好き勝手やりながらも非常に哀れな最期を迎えるあたりは流石だが、今回の叙情的な描写を見るに、孤独だと思っていたこの世界で、最後に「よく似た存在」である狡噛に出会えたことは、彼にとって幸せだったのかもしれないとは思える。

 また、そんな槙島を巡っての狡噛と朱ちゃんの関係性の妙も良い。ドミネーターをパラライザーで固定していたのでてっきり朱ちゃんが狡噛を撃って槙島殺害を止める展開かと思っていたのだが、冒頭でドミネーターを狡噛にあっさり渡してしまったのは意外だった。なるほど、確かに彼が凶行に及ぶのを止める手段としてはなかなか面白い。一応実弾銃を狡噛から受け取ることで朱ちゃんも槙島に対して有効な武器を手に入れられたわけだし。まぁ、リボルバーに銃弾が1発しか残ってなかったのはどうかと思うけども。狡噛と再会した朱ちゃんの奮戦ぶりは実に甲斐甲斐しいもので、まずとにかく狡噛を止めるために、槙島を放っておいて狡噛をホールドアップさせた。彼女にとっての最大目標が槙島の打倒ではなく狡噛の安全確保であるということがよく分かるシーンだ。その後も2人で背中を任せながら進むシーンがあり、すっかり「相棒」としての存在価値が定着したことを示している。そして、そんな蜜月関係も、結局槙島を前にして終わりが来てしまうというはかなさ。黙々とリボルバーに弾を込めていく狡噛を見ているしかない朱ちゃんのシーンが何とも切なかった。

 結局、シビュラそのものを打倒することは叶わなかった。朱ちゃんは未だ狡噛の汚辱を雪げずにいるし、縢の仇も討っていない。しかし、あくまで彼女が守るべきものは法であり、その後ろにいる人間であるという。実に優等生的な答えだが、彼女のこれまでの人生行路を考えるならば、実に自然な回答である。狡噛の正義も認めるし、シビュラの持つ正義も理解する。だからこそ、彼女は狡噛の意志を継ぎながらも、シビュラと戦い続ける未来を選択した。シビュラの善い面と悪い面の全てを理解し、抗いながらそれを乗り越える未来を選択した。生中なことでは無いし、おそらく彼女1人ではどうしようもないのだろうが、彼女の望む世界のためにはそれが最善である。シビュラというシステムの特性を考えれば、現在の状態がまた1つがらりと変わる可能性もあるのだから、その未来に賭けて今はじっと使命を全うすることが彼女の仕事なのである。そう思えば、実は非常に適切な幕引きなのではなかろうか。

 最終回らしいエピローグパートでは、ギノさんもちゃんとおやっさんとの関係性に片を付けることが出来た。あの眼鏡にそんな意味があったんですね、イケメンなんだからもっと堂々としてればいいと思う。ぐるりと回って最終的に執行官になるというエンディングも、実に「それらしくて」憎い配置であろう(まぁ、彼のこれからの人生を考えるとあんまりテンションが上がらないが)。今後の一係には、よりにもよってあやねるボイスの新人管理官が入ってきた。なんかラブライブといいコレといい、「次世代」を託す声って佐倉綾音がデフォなのだろうか。ラストシーンを見ると執行官も追加人員が入ったみたいなので何ともいえないが、現在分かっている一係の面子は、管理官が朱ちゃんとあやねる。それに六合塚さんと唐之杜さん、そしてギノさん。おい! ギノさんハーレムやんけ! うらやましすぎるわ! でも残念、おねーさん方は! 百合! ガチ百合! っていうかレズビアン! (結局このオチ)


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 死ぬかぁ、死ぬよなぁ……第21話。不可避の死亡イベント、いいキャラだったからやっぱり切ないものがあります。

 ラストバトルフィールドに飛び込む狡噛と朱たち一団。一係はあれだけでかいヘリをかっ飛ばして来たはずなのに、公安局の他の部局からのサポートとかが一切無いのはちょっと不思議な気もするが、槙島があそこにいて国家転覆を企んでいるってのはまだ確証が無い段階だからサポートも依頼できないのかしら。もしくは既に局長から目を付けられているせいで、あんまり大きく動けないのかもしれない。朱ちゃんが手に入れたシビュラとの直接交渉権を使えば多少の増員は見込めた気もするんだけどね。代わりに朱が手に入れたのは、常時使えるパラライザーモードのドミネーター。このあたりのセッティングはなかなか面白いところで、この作品の最大の肝である「刑事」「犯罪者認定の元刑事」「犯罪者認定されない犯罪者」っていう三つ巴の設定が上手く活きている。朱ちゃんの最大目標はとにかく狡噛を救うこと。その時にあの殺戮マシーンドミネーターは使えないわけだが、うまいこと「槙島に使えないからなぁ」なんて揺さぶったおかげでパラライザーを手に入れた。考えてみればこの作品の第1話から「パラライザーで狡噛を撃つこと」がトレードマークみたいなものだったわけで、その辺のかみ合わせはよく考えられている。

 同様になかなか上手いと思ったのは、ラストステージを彩る舞台設定の絡み方。狡噛はセキュリティがあるとそもそも入れない(周りに人がいないからヘルメットも役に立たない)。だからセキュリティを止めてもらうために朱ちゃんに直接申し出て電源供給と一緒に止めてもらっちゃうという。槙島の足止めと狡噛の突入の理由付けが同時に成されるのに加えて、電源が遮断されてサポートもなくなるおかげで、周りの余計な要素(それこそシビュラとか)に邪魔される心配もなくなるという。ただ、電源の停止は更に朱ちゃんを中央管制室に導く要因ともなったわけだが、そこからの槙島と狡噛の行動はよく分からなかったんだけどね。朱ちゃんは管制室に入った後、「何か見落としていて、2人の見ている正解は他にある」と悩んでいたが、結局その「正解」って何だったんだろう。「犯人は逃げるものと信じている公安局を、槙島が待ち伏せして返り討ちにすること」だったのだろうか。この場合、槙島は1人で不特定多数の局員を相手取らなければいけないことになるのだが、彼はそこまでの覚悟があったというのか(実際、2人までなら完封してるわけだが)。そして、もしそれが正解だったとして、じゃぁそれを「予測していた」と思われる狡噛はどこで何をしていたのか。登場のタイミングからして、槙島のしかけたトラップの作動音で現場に駆けつけたようなのだが、それまでの時間、彼はどこで何をしていたのだろうか。てんで見当違いのところを見ていたとしたら、朱ちゃんもちょっと先輩を買いかぶりすぎていたようだ。

 狡噛がぐずぐずしていたせいで、犠牲になったのはとっつぁんとギノさんである。ただでさえ最近朱ちゃんの様子がおかしくて気が気でなかったギノさんは、色々と考えなきゃいけないことが多すぎて、あっさりと槙島のトラップにかかってしまった。おかげで事実上人質を取られた状態のおやっさんは、為す術もなく槙島に敗北することに。急展開過ぎるのでなんだか情けない死に方をしたかのようにも見えるが、ここはむしろ、槙島の手練手管を褒めるべきなのだろう。狡噛以外の警察には一切興味が無いらしく、やることは全て直球勝負で殺しに来ている。朱ちゃんが言っていたように、「ホシはことがばれて阻止されたら真っ先に逃げるもの」という先入観を逆手に取り、余裕を持って2人を返り討ちにすることが出来たのだ。確かにギノさんは不注意かもしれないが、それを責めるのも酷というもの。おやっさんは甘ちゃんかもしれないが、彼の情を考えればやむを得ない。何から何まで槙島の思惑通りである。おやっさんの退場はほぼ予測出来ていたものだが、最終的に「シビュラにとらわれず、あくまで人としての善悪を判断するカビの生えた古い人間の死に方」というものが見せられたのだから満足だろう。これまでどうしようもなく下り坂しか見えていなかったギノさんも、最終回以降には父親の遺志を継いで改めて前を向くフラグにもなったのだし。

 そして、いよいよ残されたのは朱ちゃんの最終判断。槙島はまず間違いなく駆逐されることになるだろう。いくら強くとも、狡噛&常守というタッグには一度敗北しているのだし、今回はパラライザーという武器もある。槙島が倒れることで一応の大団円が形作られるのは間違いなかろう。しかし、問題はその後の狡噛の処遇、そしてシビュラ自体と向き合う決着だ。残った時間を考えると、少なくともシビュラそのものを打開するのは無理だろう。しかし、このまま朱ちゃんがシビュラの守り手になるのもどうにもすっきりしない。果たしてどのような落とし前を付けてくれるのか。不安半分、期待半分で待ちましょう。


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 朱ちゃん急成長、第20話。きっちりクライマックスに向けての盛り上がりが出来ておる。そして、CV日高のり子のドミネーターの存在感。このためのキャスティングだろうなぁ。局長が出てこないのはちょっと寂しいぞ。

 もちろん、クライマックスに至る大きな流れの中にはよく分からない突っ込みどころも満載。今回は大きく2つの「どないやねん」が含まれており、1つは「槙島さんも狡噛さんも優秀過ぎやろ」という身も蓋もない突っ込み。槙島さんは、前回狡噛が見つけた2chの書き込みを見たのかどうか定かでないが、とにかく「愉快なバイオテロ」計画を実行に移すことに決めたわけだ。そこから全くブランクを空けず、一応指名手配を受けている身の上にも関わらず、あっという間にこの国の中枢である食糧供給の要に肉薄している。免罪体質のおかげでサイマティックスキャンこそすり抜けられるが、初期の事件の時にはフツーに顔写真の映像データから足がつかめたわけで、その辺をのらりくらりと歩くことは流石に出来ないはず。その状態の逃走犯があっさり調べられるレベルの情報で、まさかのクリティカルヒットである。まぁ、シビュラの統制下の世界はバイオテロとか企もうとした瞬間に犯罪係数が上がってアウトらしいので、槙島みたいな存在は完全スルーなのかもしれないが……流石に自由過ぎる。それを追いかける狡噛さんも同じようなエスパーぶりで、きっちり槙島を追尾しつつ、後からくる一係のためにヒントまで残す親切心。狡噛さんの推理力が神がかりすぎてて怖い。外を出歩くときはヘルメットを常用してるわけで、いくらなんでも不信過ぎる気がするんだけどね。システムの隙間をついた相手に対しては本当に脆い社会である。

 そして、今回ついに朱ちゃんに明かされたシビュラの真実。こちらも、視聴者としては既に知っている事実ではあったはずだが、改めて知らされると、分かる部分と分からない部分が出てくる。「集合意志による、善悪を超えたシステムの完成形」という理念は理解出来る。倫理的な問題はさておくとして、縢を始末した流れや、朱に協力を求めるといったアクションについても、なるほど合理的な「判断の1つ」として納得出来るだろう(シビュラの理念からすると「たった1つの正解」ではなく、あくまで集合意志の導き出した「有意な答えの1つ」として、である)。システム全体の最大欲求は既に「個」の存在を逸脱した「システムとしての昇華」にあるわけで、そこには敵対すべき意志はなく、あくまで「シビュラの理念に賛同出来るか否か」という単純な二元論になることもある意味当然である。その上で唯一分からないのは、シビュラがあそこまで無理をして槙島に拘泥する理由である。今回は朱ちゃんの強迫もあり、ついには「槙島を確保すること」が「狡噛を駆逐すること」にすら優先した。確かに「システムを逸脱する因子ならば管理側に取り込んでしまえばいい」という解決策は一案だと思うのだが、それこそ無理に「取り込む」ことにこだわるのではなく、無理だと判断し、利害の多寡を計ったのなら、さっさと処分してしまうことも選択肢としてはありうると思うのだが。「異端を組み込めば更にシステムの完成度が増す」という発想は分かるし、実際、たとえば槙島を先んじて取り込んでおけば今回のバイオテロも未然に想像出来て、食い止めることが出来たかもしれない。そう考えれば説得力もあるのだが、あくまでそれは大量に集められた集団意識の1つの誤差に過ぎない。そうした微細な因子にまで徹底的にこだわるのだとしたら、どうもシビュラというシステムにはまだ穴が多いようである。

 まとめると、現時点での最大の疑問は「シビュラが槙島に対してどのような認識を持っているのか」というただ一点。狡噛さんの冷遇との対比で槙島わっしょいっぷりが半端ないので、そこさえもう少し理解が及べば、現在のシナリオラインはすっきりするだろう。そして、現時点ではそうしたもやもやも抱えながら、やはりメインヒロイン朱ちゃんの成長と存在感には素直に感心もしているのである。今回は回想シーンで旧友のゆきちゃんとの記憶、縢との記憶、そして槙島との仮想対話と、3つのステージを経験していた。順に「シビュラに憧れ、その支配下にありながら甘受していたもの」、「シビュラを忌避し、憎みながらもその支配下から逃れられなかったもの」、そして「シビュラの影響を受けず、現在も抗い続けるもの」という3つの立場との対話である。朱自身は「シビュラの影響を受けないが、その恩恵を甘受し続けているもの」ということで、3人のどの立場とも違う。当然、一番立場が近いのは槙島である。免罪体質という特権を持ち、更にシビュラの真実を打ち明けられた朱は、今や槙島と同じ行動に出るだけの権利を得た。その上で、槙島はシビュラに対して「疎外感」を持っていたが、朱は過去の友人達との思い出の中に「安心感」を持っている。奇しくも、今回シビュラが看過した通りに「感情では憎んでも、理性ではシビュラを認めている」という状況そのものである。ここから朱ちゃんが独自の立ち位置を見いだし、槙島のように刹那的な「反シビュラ」に賛同せずとも、独自の視点から更にシビュラに対抗できる手段を見いだせれば完璧である。

 そうなると、やはり最も大事なのは狡噛の存在ということになる。常守朱というキャラクターの面白いところは、メインとなる2人の男性主人公のそれぞれの映し身として機能している部分なのだ。元々「狡噛と槙島は似ている」と言われていたわけだが、朱はその2人の最も「異なる部分」をそれぞれに有している。槙島との接点は今回仮想対話ではっきりと提示されている通り、シビュラに対しての特権的地位という部分が共通する。狡噛との接点は、捜査官としての「天性」と、感情に重きを置き、旧時代然とした行動理念を捨てずにいる部分が共通する。つまり、2人の主人公の特性を併せ持ったハイブリッドとして、最終的に「常守朱」が完成することでこの物語はフィナーレを迎えることが想像出来る。果たしてどのような幕引きになるのか、今からドキドキしてしかたない。

 どんどんかっこよくなる朱ちゃんを見ていると、花澤さんのお仕事はとても恵まれた良い役だなぁ、としみじみ思うのである。ギノさん、完全に噛ませポジションに落ち着いたけど、ここからもうひとがんばりして欲しいもんだぜ。


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 槙島さん愛されすぎワロタ19話。ご本人は一切登場してないはずなのに、勝手に妄想の中でしゃべらされてバーチャル槙島さんまで登場する始末。もう完全に狡噛さんとは相思相愛の仲ですわ。オムライスがやたら美味そうだったのも気になる。

 前回も衝撃展開だったが、クライマックスに向けて実に様々なファクターが大きく動き続けている。やはり、巨悪としての対立構図が「VS槙島」と「VSシビュラ」という2極を持つのが、この作品の最大の見どころであり、今後の処理が難しい捻りどころでもある。現時点ではどう考えてもシビュラの方が「巨悪」であるが、それを断じようにも、「シビュラが悪だ」とすると「それに対立していた槙島には酌量の余地がある」という文法になってしまうのでしっくり来ない。確かに槙島にも理のある部分はあろうが、やはり本作の前半で延々繰り返していた凶悪犯罪のことを考えると、彼は「悪」以外のなにものでもない。2つの「悪」をうまいこと処理する幕引きがあるものだろうか。まぁ、脚本家のことを考えれば、全部が全部勧善懲悪的な終わり方をするとは思わないけれども。今回、狡噛が先生と2人で槙島についてのイメトレ(妄想ともいう)を繰り返しているうちに、「槙島さんって、免罪体質に気付いた時にむしろ寂しかったのかもしれませんね」みたいな話になり、どっちかというといじめられっ子側に回されてたのがなんだかおかしかった。槙島さんがあれだけ悪ぶって格好付けてるのに、「あー、可哀想な子だったんだな……」とか思われたら、なんか不憫だよ。

 しかしまぁ、今回の立ち振る舞いを見る限り、狡噛さんは槙島への手を緩めるつもりはなさそうである。自分の手で「殺す」と明言しているわけだし、どれだけ槙島に感情移入したとしても、彼の中での「悪」は動くまい。問題は、このあと槙島が打ち出す大きな一手(この流れだと、本当に食糧供給の方にアタックしてくるんだろう)が、シビュラの崩壊にどの程度荷担してくるかだ。「槙島さんが何かやらかす」→「狡噛さんがそれを見届けながらもぶっ殺す」→「私は出来ることをやって満足したから、あとは好きにしろといって槙島退場」→「ラストバトルは狡噛を中心とした色相濁りまくりの反シビュラ対、免罪体質朱ちゃんを取り込んじゃったシビュラ側」というのが大まかな流れになるんだろうか。もちろん、朱ちゃんはそのままシビュラに飲み込まれるようなことは無いと思うけども。

 むしろ、朱ちゃんは主人公補正があるので、このまま単純に手駒として丸め込まれるはずがなく、最終的には狡噛さんと対面して撃つだの撃たないのと、ちょっとしたメロドラマを繰り広げることは確定している。問題になるのは、今回完全に見捨てられてしまったギノさんであろう。一番の常識人、一番の苦労人であるギノさんがどんどん窮地に追いやられていくのを見るのは非常に辛い。なんだか「グレンラガン」の3部を見ていてどんどん追い詰められるロシウを見ている時と似たような気分だ。「何も間違ってないのに! 絶対この人が一番正しいこと言ってるのに!」というやきもき感。ギノさんの場合もロシウと同じように、マイペースでかっとぶカミナ(狡噛さん)、無自覚のくせにどんどん主人公体質で上に行っちゃうシモン(朱ちゃん)、その他、訳知り顔の旧知のキタンなど(おやっさん)に囲まれているので、作品世界の内外で風当たりが強いというのが可哀想。頑張れギノさん。一人で死亡フラグ立ててる場合じゃない。

 さて、次週は朱ちゃんがどう動くかですよね。まぁ、槙島に振られた局長(シビュラ)が、同じ免罪体質の朱ちゃんに粉をかけるのはある意味当然の流れなのかもしれない。今回の局長は、中に入っているのがいつもの人と違ったのか、ギノさんの直談判に対してものすごく素っ気なかったのが笑えた。最近の榊原良子の仕事は楽しいものが多くて良いよね。ちなみに今週一番面白かったシーンは、狡噛が最後にバイクに乗って颯爽と旅立つシーン。すげぇ自然にヘルメットを被るのだが、当然、被ってるのは例のアレである。そのヘルメット、前方視界は大丈夫なのか?


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 噂の作画崩壊回、第18話。確かにアレな内容だったが、ぶっちゃけそこまで騒ぐようなものでもないけどね。あんまりキャラクターデザイン自体がこのみじゃないってのもあるけど、そこまで1枚絵で見せるような作品でも無いし、もともと朱ちゃんの顔って書くのが難しい絵だったし。まぁ、どっちかっていうと中割すっ飛ばしたような動画、動きが明らかにおかしい動画の方が問題なんでしょうね。「足を撃ってくれた」ってあとから言われてるのに、実際の狙撃シーンはどう見ても上半身を撃たれたようにしか見えないとか。個人的には、あんまりスタッフの方からこういうことを前もって言っちゃうのはよろしくない気がするけどね。「ひどいと思うなら出すなよ」って言われるのはわかりきってるんだからさ。

 さて、そんな画の話を無視すれば、話は大きく転換期を迎えて盛り上がっている。ホントにいいところなんだよ。狡噛は狡噛で自分の人生を定め、それを周りの仲間達が完璧にサポートしてくれている。朱ちゃんの心情を思うとなかなか切ないものだが、そんなたまった感情がグッと前に出るエンディングの演出なんかめちゃくちゃ恰好良かった。普通の作画で放送してればかなりの良回になったことだろう。今後の展開を想像すると朱ちゃんと狡噛が再会しないはずはないので(その時に最終的に狡噛が生きてられるかは分からないけど)、今回はあくまで一時の別れのシーンといえるわけだが、この別れが第1話の出会いのシーンと絶妙な重なりを見せているのが心憎い。狡噛は1話で朱ちゃんに狙撃されることで彼女の未熟さと、監視官としての特別な素養を理解した。そんな彼女が一人前に成長し、立派にベストを尽くせることを、再び彼女に狙撃されることで理解することが出来たわけだ。なんだか「女に撃たれまくってる相棒」って考えると情けない気もするが、命懸けの2人の関係性は良い熱量を持っている。それにしても、狙撃シーンの朱ちゃんは本当に凛々しかった。ギノさんが押し寄せてくる想定外の事態に完全にテンパってしまっていたおかげで、その対比が良く映える。

 あとは、狡噛の周りの仲間達のナイスサポートがグッと来ますわな。唐之杜さんのどこまでも蓮っ葉でイカシた別れの台詞とか、おやっさんの実は一番具体的でありがたいサポートとか。ここに縢もいてくれたら、彼はどんな言葉を狡噛に贈ったんだろう。あとは完全に追い詰められたギノさんが今後どういう動きを見せるかによって一係の存在感が決まってくると思うが……流石に今回の顛末を見たら、ギノさんも諦めざるをえないんじゃなかろうか。今までだったらギリギリ「法の秩序のためのやむを得ない行動」として納得も出来たかもしれないが、今回の局長の行動はどう考えても説明がつかないものだった。ドミネーターの異常についても誰も説明出来ず、シビュラ=局長の構図があまりにも自明。じっとしてられるわけがないよなぁ……どうなるかしら。現時点では、主人公狡噛の敵キャラはやはり槙島である。そうなるとシビュラの不正をただす仕事は朱ちゃんの側に回ってきているように見えるが、彼女には明確に「シビュラと対峙する」という姿勢がない。やっぱり局長が調子に乗って縢の話とかポロッとしちゃうのかもしれない。現時点での局長は相変わらず恰好いいままなので、槙島を立てるためにあんまり間抜けな方向には走らないでほしいもんである。

 そういや余談だが、今回狡噛が使ってヘルメットって、あくまで「周りの人間の色相をコピーする」能力なんだよね。管理局内とか、早朝に彼が外に出たときとか、周りに誰もいなかった気がするのだが……ちゃんと機能したんだろうか。


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 格闘戦でバックドロップ使うやつ初めて見たわ、第16話。今まで基本的にエントリー立ててなかった作品だけど、今回かなり面白かったので書いてみようと思った。今期ノイタミナ枠は2作品ともじわじわ面白さが増していると思うのだが、関西は放送が遅いのが口惜しいね。

 1つのクライマックスとなる狡噛と槙島の直接対決。シーン自体は第1話冒頭で既に一度流れていたものであるが、あのシーンに繋がるまでの流れがこういうものだったのか、ということが分かるとまた味わい深い。普通ならばこうしたクライマックスってのは1クール目の終わりか最後の最後に持ってくることが多い気がするのだが、今作の場合は16話で頂上決戦というのがなかなか読めない。今後の話数でどのように折り合いを付けていくことになるのだろうか。

 正直、流石に前回の展開はどないやねんと思う部分が多かった。確かにヘルメットによるシビュラの崩壊からの混乱というのは必然であると思うのだが、そこに至るまでの流れが性急すぎるように感じられた。ヘルメット集団が暴れ出すタイミングと、それに対応して市民が逆上し、攻勢に出る反応が早い。おそらく脚本家がそのシナリオを書いた背景には「施錠することすら必要無く、シビュラによって全ての悪人が排除された世界」という時代背景があり、市民心情を考えれば、「今まで一切悪人がいなかった世界に、突如として不特定多数の危険要素が現れた」という状態は、想像以上にストレスがかかるものだったということがあるだろう。単に「自分が狙われるかもしれない」という危険だけならば人口比を考えれば普通は杞憂レベルのはずなのだが(東京の総人口に対するヘルメットの人数は、どう考えたって大暴動にまで発展する数ではないだろう)、この世界で面倒なのは、「ひょっとしたら襲われるかもしれない」と考えて怯えるだけでも、色相が濁ってしまうという部分にある。人々は「色相が濁ってしまう危険」に非常に敏感で、そこに更に「なんだか不安定なシビュラ」という要素まで絡んでしまえば、確かに何が起こっても不思議ではない。不思議ではないのだが、そこまで特異な世界であるという認識が未だ視聴している私の中に確立されているとは言い難く、どうしても突飛な印象を受けてしまうことになったのだと思う。

 しかしまぁ、「感覚的に不自然であること」と「シナリオ上成立していること」は分けて考えるべきかもしれない。今回のクライマックスシーンを見る限り、あくまでこの作品の本質はそうした「不自然で容認しがたいシビュラというシステム」自体の存在価値をねじ曲げるところにあるわけで、前回の暴動パートはあくまで槙島のプランでは前哨戦。今回のための撒き餌だと思えば大して気にもならないというわけだ。タワー内部を二手に分かれて進行する狡噛隊と縢のそれぞれの戦い、独特の方向性で見せるアクションシーン、そしてラストのどんでん返しの衝撃。今作の抱えていたあれこれが一気に表出したエピソードになっている。

 今回で見納めとなってしまった縢君の活躍は1つの見どころ。まぁ、実際には相手の雑兵をばったばったとなぎ倒すシーンはカットされてしまったのでどうやって彼が最深部までたどり着いたのかはよく分からなかったりするのだが、チェグソンとの通信機越しの対話や、最後に局長と対峙した時の捨て台詞なんかは、いかにも彼らしいはすっぱな物言いがちょっと寂しくもあり、「あっけない」最期を飾るのに相応しい。犯人側と話を合わせてる時には「こいつ、このまま裏切ったら笑えるな」とか思っていたが、意外にあっさり「コウちゃんが大事だからそんなことしないよ」と友情パワーを見せつけてくれたのが憎らしくて良い。出来ることなら彼の活躍ももうちょっと見てみたかったところであるが、「捨て駒」としての最期としては悪くない扱いだろう。

 また、仲良く2人で塔を登る朱ちゃんと狡噛のコンビネーションも面白い。「ヘルメット被れば相手のヘルメットを無効化出来るぜ(ドヤァ)」→「被り損でしたね」の流れとか、強い口調での「これは命令です」とか、いつの間にやら朱ちゃんが立派に監視官として狡噛と関係性を築けているのが微笑ましい。狡噛さんも、ドミネーターが使えないという逆境をものともせずに千切っては投げ、千切っては投げの大活躍。まぁ、流石に連戦後の槙島戦はフルボッコだったわけだが、そこに期待するのは流石に酷ってもんだろう。朱ちゃんの活躍の場を作ってくれたことを考えれば非常に空気を読んだ立ち回りである。最後の最後で、きちんと「槙島を殺せ」と正しい(と思われる)判断もしており、ハードボイルドな格好良さは維持したままである。朱ちゃんがグッと堪えて最終的に手錠を取り出すところも良いシーンである。まぁ、流石にあのでかいヘルメットで殴殺してたら、いくら朱ちゃんでも色相濁りまくるだろうよ。

 そういえば、今回登ってたノナタワーの様子とか、最後に縢たちがたどり着いてたメインシステムの部屋とかが何かと印象が被る気がしたのだが、多分劇場版「BLOOD-C」のラストステージだ。あのときも小夜ちゃんが「組織のトップが実は敵側だった」という真実を突きつけられて絶望するのが、やたら白くて光量の多い塔の最上部だった(今回は最深部だけど)。そういや監督が一緒なのだよ。まぁ、たまたまだけども。また救えない日々が戻ってくるのか。余談だが、今回の狡噛さんと槙島の出会い頭の会話パターンは、日常会話で凄く応用が利きそうだから覚えておこうと思った。↓使用例

「いちからか? いちからせつめいしないとだめか?」

「悪いが、俺は誰かがあずまきよひこを引用したら、用心すべきだとかなり前に学んでいる」

「もしも君があずまんがを引用したら、同じ言葉を返しただろう」

 あ、意外と応用効かない。


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 無事に幕引き、最終話。始まる時には「8話ってどないやねん」と思っていたものだけど、案外身の丈にあったちょうど良い話数だったのかもね。

 崩壊するストレングスと、そのために入れ替わりを強要されてしまうユウ。「現実は怖い」と叫び続けるユウに、ストレングスは大丈夫だと力強く声をかける。そして、ブラックロックシューターはマトとの直接対決に挑む。内的世界のさらに内部、というよく分からないフィールドで対峙した2人は、「他人を傷つけることなんて出来ない」というマトが一方的に嬲られる展開に。破壊衝動だけが一人歩きするブラックロックシューターは、宿主だってお構いなしだ。最終的には、キン肉マンやらなんやらでもお約束の「俺たちがここにいるぜ!」エンドへのルートを突き進み、これまで倒してきた色とりどりの少女たちがマトに助力することで、彼女はブラックロックシューターを打倒することに成功した。

 ただ、事ここに及んで分からなくなっているのが、結局「異世界」とは何だったのか、という部分だ。元々は「現実で苦しむ少女達の代わりに、異世界の少女が戦うことで心の痛みを軽減する」という設定。これに、さらに「異世界で少女が死ぬことで、現実世界の苦しみ=こだわり・愛着が喪失する」、という設定もあり、ブラックロックシューターは、これまで幾人もの少女の愛情を砕いてきた。さて、今回壊されてしまったのはそんな現実世界に現出したイレギュラーであるストレングス。彼女の場合、ユウ本人が異世界に溶け込んでしまっていたため、彼女の破壊による「喪失」現象は起こっていない(まぁ、最後に再生していたためかもしれないが)。

 だが、もう1人壊されそうになったことも忘れてはいけない。マトと、ブラックロックシューター本人だ。マトが壊されそうになったことは、おそらくブラックロックシューターにはさして問題ではないのだろう。「異世界の少女が消えたら現実に影響が出る」ことは分かっているが、「現実のよりしろが消えたら異世界の少女がどうなるか」は言及されておらず、彼女にとってマトは必要な存在ではないからだ。しかし、マトにとっては逆のはず。ブラックロックシューターが死ねば、彼女の中で何かが失われるはずであり、彼女はその理屈を知っていると思うのだが、それでも彼女は対決に挑んだのだ。結果的に、彼女から失われたものは1つだけある。それが「他人を傷つけてまで交わりたくない」という気持ちである。

 このことは、なんだか綺麗にまとまっているようにもみえるのだが、初期の設定からするとどこか捻れてしまっている。彼女の「他人を傷つけるなんて」という思いが、異世界に少女を生み出すほどの「苦しみ」として描出されていなかったためだ。しかし、こうして最終話の1シーンとして描かれると、この捻れも最初からあったかのような気がしてくるのでずるい。最終的に、「マトたちの世界」に他の少女達が流れ込み、全ての色が混じり合うこと自体が、マトの拒否し続けてきた「痛みを伴うつながり」を表しており、実際にはブラックロックシューターを打ち砕かずとも、マトの痛みは切り開かれていたのだ。ひょっとしたら、最後に彼女が特大戦隊バズーカみたいなやつでブラックロックシューターを吹き飛ばす以前から、彼女は消え去っていたのかもしれない。

 最終的に、ブラックロックシューターが打ち砕いた全ての「思い」は戻り、彼女たちの言う「喪失」すら一時的な現象として片付けられるに至って、全てが幻想だったような気もしてくる。あくまで「異世界」の理はサヤちゃんやストレングスたちが作り上げたもので、絶対的なものではなかったのだ。そこに現れたブラックロックシューターが、その「理」すらぶち壊して去っていったとしても不思議ではなかろう。

 現時点でのまとめは、これくらいかな。色々と考える余地が残っているけれど、楽しい作品でした。

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 ストレングスパーンチ、第7話。ブラックとかゴールドとか色の名前が入っている奴らが多い中で、なんで「ストレングス」なんでしょうね。その名前だと貨物船に乗ったオランウータンをイメージしちゃうから悩ましいんだけど。

 前回の話数分の感想を書かなかったのは、ちょいと忙しかったってのもあるんだけど、いきなりの転換で話が理解しきれなかった部分が多かったため。そして、その不可解さは今回も続いている。一番分からないのは、結局サヤちゃん先生が何をしたかったのか、っていう部分。一応説明としては「あっち側の世界をブラックロックシューターから守るために、必死で少女たちに揺さぶりをかけて戦力を増強していた」ってことになるらしいのだが、それって本末転倒なんじゃないかって気がするんだよね。

 異世界というのは、少女達がこっちの苦しみ、悩みを解決するためにシンプルな「代理戦争」を行っている世界。あちら側の生命体に人格を見いだすことさえしなければ、あちらで少女が生まれようが殺されようが、基本的にどうでもいいのである。「生まれること」は「悩みがあること」に対応し、「殺されること」が「忘れること」に対応している。わざわざ「殺されること」を危惧して「悩ませる」ってどこかおかしいと思うんだけど。

 ただ、そんな悩みが少しだけ氷解したのが今回のお話である。ストレングスとユウの奇妙な関係性は、どこか捻れたこの世界においても一際おかしな存在。現世に嫌気がさしたユウが、明瞭さを求めてあちらの世界のストレングスといつの間にか入れ替わっていたというのだ。視聴者目線から見れば、この事実はどうだっていいものだ。どちらがユウでどちらがストレングスであろうと、今まで見てきた明朗快活な方の人格が「外」にいた「誰か」であり、今回初めて口を開いたあちら側のどす黒い人格が「誰か」であるという認識だけが得られている状態なので、どちらが「人」でどちらが「人ならざるもの」であっても、さしたる問題はない。強いて言うなら、サヤちゃんの記憶の中の「忍足ユウ」が現在のユウの姿と重ならないという疑問があったくらいだろう。

 しかし、このことこそが、サヤちゃんをあんな悪逆非道な行為に導いた原因だったというのである。「あちらの世界はどうなってもいい」というのが基本的な『人』の思考であるはずなのだが、サヤちゃんだけは、あちら側にも自分の大切な「人」がいるということを知っているのだ。自分が一瞬でも裏切ってしまい、「何でもする」と誓った不幸な少女、ユウ。彼女は今や、現実から逃げ出してあちらの世界で戦い続けている。そんな彼女を「破壊者」であるブラックロックシューターから守るには、何とかして少女たちのゆがんだストレスから「援軍」を生み出すしかない。たとえそれが、幾人もの少女達を不幸にしてしまうことだったとしても。

 ふむ、理にかなっているようだが、やはりちょっと費用対効果がおかしいお話。そして、何が釈然としないって、カウンセリング中のサヤちゃんがノリノリだったことである。心理療法士の視点から、ああいう「演技」をしないとカガリやヨミ、こはっちをぶっ壊せなかったということなのだろうか。いくらなんでもそれはちょっと。最近の真面目で悩み多きサヤちゃんを見ていると、あのときの謎テンションはどこへ行ってしまったのか、と訝しんでしまうのも仕方ないだろう。まぁ、演出重視の作品なので、そのときそのときの勢いに任せた描写を優先しているためなんだろうとは思うのだけれども。おかげでずっと記事の中でサヤちゃんを「悪の枢軸」だと思い続けてたものなぁ。いや、悪いことしてるのは確かだから間違っちゃいないんだけどさ。

 そんなサヤちゃんの苦悩もどこ吹く風で「最高にハイッてやつだぁ!」とばかりに戦うのが、ストレングス改め本物の忍足ユウ。彼女のトバシ気味のテンションは、なかなか普段の阿澄ボイスでは聞けない貴重なキャラ。どこまでいっても阿澄声では「あら可愛らしい」という印象なのでなかなか「悪者」にならないのは悩みどころなのだが、これはこれで味がある。

 そして、最終的にラスボスポジションに落ち着いたのが、無言のキルマシーン、ブラックロックシューターだったわけだ。幼い頃から抑圧された黒衣マトの絶対正義から生み出された秩序の化身。彼女の傍若無人な強さは、強力なマトの「規範精神」からきたものであった。果たして、今後ブラックロックシューターは打倒されるのか。打倒されたとしたら、マトはどうなってしまうのか。ついに記憶の楔を解き放ったヨミ(ブラックゴールドソー)も参戦し、物語はクライマックスに向かっていくのである。

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 鬱々どよめく第5話。諸事情でちょっと視聴が遅れてしまったが、遅れたのはひょっとしてこの衝撃に備えるためだったのかとも思える。これでもかと積み上げられる黒い固まりが、視聴中に呼吸困難に陥らせるようなどうしようもない感情を生み出してくれる。多分、私のツボはこのへんにあるんでしょうね。

 「壊れて」しまったヨミ。そのことは実に分かりやすい事実で描出されており、出迎えに行った際の明るい声と、対比される恐ろしいブレスレット、朗らかな声と、授業中の自傷行為。誰の目から見てもその状態は同じ一言、つまり「壊れた」で説明出来る。奇しくも「壊れてしまった」と表現したのはあのカガリなわけだが、ヨミに何の執着もなくなったカガリが「客観的に」語った言葉であるから、これが一番の真実だろう。

 問題となるのは、「何故ヨミは壊れてしまったのか」である。サヤの暗躍により、その事実は最悪の手段でマトに伝えられ、マトは「自分がヨミを壊してしまった」と後悔する。しかし、正確に脚本だけを追えば、「マトがヨミを壊した」は日本語として正しくない。あえて言うならば「マトでヨミが壊れた」。もっと突き詰めてシンプルな答えをあぶり出せば「サヤがマトでヨミを壊した」となる。その周りにはカガリやユウなどの他の要因もあるが、今回のエピソードで狙っているプロットはあくまでもマトとヨミの二者関係に落とし込まれるものであるから、とりあえずはそうまとめるのがいいだろう。

 そして、現時点ではその正体をなんとたとえていいのか分からないユウというイレギュラーが現れたわけだが、ひとまず分からないことはおいておくとして、彼女の力により、ついに長年の懸案であった「2つの世界の接続」が果たされたのである。ブラックロックシューターはマトの「分身」として確立し、同様に「緑色の少女」はヨミの分かち身となった。今回は描かれなかったが、当然「赤の女」はサヤに対応していただろう。そして、この接続を果たした直後の異世界において、ブラックロックシューター(=マト)は、文字通りに緑の少女(=ヨミ)を破壊する。こちらはそのものずばり、「マトがヨミを壊した」のである。ただ、ユウの言を信じるならば、異世界での「死」は現実での「執着の死」を意味し、ひょっとしたら「死んだ」ことによって、ヨミは救われるのかもしれないという。「現実世界でヨミが壊れたことの行為者はマトではないが、異世界ではマトがヨミを救うことの行為者たり得る」というのが現在の結論。この写し鏡のようでねじれた関係性は、どのようにつながりを見せることになるのか。

 今回も、鬱々とした中にいくつもの暗示と含意が込められている。悪い方へ悪い方へと転がり続ける物語を彩るように、今回はとにかく「下り坂」のシーンばかりが描かれる。冒頭でヨミを迎えに行った通学路もそうだし、マトがユウを探すために駆け回る町並みも全て「下り」。決して上には上がれない泥沼の状態である。

 異世界でブラックロックシューターを襲う緑の少女は「双頭の巨人」を操っており、2つの巨大な頭は、カガリとマトの間で揺れ動き、真っ二つになったヨミの心情を暗示しているようだし、彼女が生み出した分身ともいうべき多数の亡者たちが1つに集まって巨体を構成する様子は、現実でささやかな自傷行為に没頭して髪の毛を飛散させるヨミの行動の逆になっている。

 今回積極的に前面に出始めたサヤ先生の動きも面白く、彼女はこれまでずっと使い続けてきたトレードマークともいえる「コーヒー」について、「実は大っ嫌い」であると言ってのけた。「何かと便利」だったのに「嫌い」という漆黒のコーヒーは、「他者を破壊して回るために重宝するが、敵対する関係である」ところの「ブラック」ロックシューターに対応している。これまでカガリやこはっち先輩を実際に壊して回ったのはブラックロックシューター。それは全て、サヤ先生の狙い通りであったということ。最終的には、ヨミが自ら描き上げた画の中で「漆黒のマト」を打倒することで、その対立関係は完成を見る。

 相も変わらずのすばらしい動画は言わずもがなの迫力。今回のコンテ演出は初めて今石さんが関わっていないのだが、ポスト今石と名高いらしい雨宮哲氏が参加しているのである。画面の奥行きで見せるダイナミックなアクションが、爽快感とは別にどこか「ぞわっ」とくる迫力を提供してくれる。そして、ついに口を開いた異世界の住人達の声も漏れだしたわけだが、緑色の少女の叫び声は、耳をふさぎたくなるようなおぞましさ、生々しさを伴う。「CANAAN」の時にも思ったのだが、沢城みゆきは、きっと実際に思い切りぶん殴られたり、殺されたことがあるに違いない。でなきゃどこから出るんだ、あんな声。

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