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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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○「魔術士オーフェンはぐれ旅」 5

 今期もあります、リバイバルの流れ。だいたい90年代がホットスポットな感じはあるんだが、これ、ちょっとずれたらもうゼロ年代アニメのリバイバルも始まるんですかね? 「宇宙のステルヴィア」のリメイクとか、観たくない?(俺は観たい)

 こちらの作品だが、「封神演義」なんかと同じパターンで基本的にノータッチの作品。繰り返すが、私はそんな時代にはまだアニメをさっぱり観ない人間だったのだ。ただ、実はノータッチってのは嘘で、旧作アニメは見たことがある。これがどういう流れだったかというと、ちょうど私がアニメを観はじめてこの取り返しのつかない人生のルートを選んだ時期、世はまだまだ「レンタルビデオ」っちゅうんが全盛期だったわけですよ。そこで私は時に自分で、時に親の金でレンタルビデオで安くなったアニメを適当に借りて観まくっていた時期があったのです。今みたいに地上波放送している深夜アニメがそこまで多くなかった時期だし、若かりし私は探究心に満ち溢れていたので、そういう余力もあったんですな。当時借りたタイトルでなんとなく覚えているところだと、例えば「NOIR」がそうだし、「宇宙戦艦ヤマモトヨーコ」「エルフを狩るモノたち」「宇宙海賊ミトの大冒険」etc.……前2つは傑作タイトルですな。そうして色々と消化した中に、間違いなくこの「オーフェン」も含まれていた。含まれてはいたんだが、十把一絡げでまとめて観ていた中に入っていた上に特に印象にも残らなかったために、内容は完全に記憶からフェードアウトしてしまっている(どこまで観たのかも定かでない)。今回久しぶりにその世界を見直したらなんとなく聞き覚えのある名前なんかもたくさん出てきたし、「あぁ、こういう話……だったっけ?」ってなったけど、変なところの記憶だけは残っているのだ。私にとっての森久保祥太郎は間違いなくオーフェンの人だし、飯塚雅弓はクリーオウの人なのである。あと、オープニングはねっとりしたつんくのイメージ。そういうところは覚えてるんだ。やたら声優を認識してるってことは、当時からそういう見方してたってことなんだろうけど。

 まぁ、自分語りはそんなもんだけど、とにかく「あんまり接点はないけどなんとなく知ってるような、知らないような」という作品である。そういう意味では「うしおととら」が一番近いかな。ただ、アニメとしての評価は「うしおととら」よりも上にしてもいいかも。何もかもがとにかくレトロ感に溢れており、ネタ回しも設定も構成も全部が懐かしさに満ちている。そして、そんなレトロな世界観を特に華美に飾り立てることなく、素材のままでお届けしようというのがスタッフの狙いだろう。スタジオがディーン、そして監督は浜名孝行氏。絶対に目の覚めるような傑作は出てこないが、手堅く、外しにくい配置だ。1話目は作画もしっかりしており、焦ったような設定羅列もなければ極度のわかりにくさもない。脚本構成も本当に無難な滑り出し。欠点が見つからないというのは、現代アニメでは美点である。

 それじゃ、本当に安牌安牌で刺激がないかというとそうでもなく、例えば日本語の文章として成り立っている呪文の詠唱なんてのは当時は割と斬新な設定だった気がするが、実は今聞いても案外追随した作品もないので新鮮だったりする。コミカルな展開を主軸にしながらもしっかりとヒューマンドラマを入れ込むという作劇も卒がなく、そりゃまぁ人気作品になってもおかしくはないんだろうな、というくらいの期待感はあるのだ。多分、私からしたらこれって「ロードス島戦記」と同じなんだと思う。ラノベ的な世界設定を比較的早い時期で切り出して責任を持って成立させたファンタジー作品で、タイミングがピタリと合えば楽しんでいた可能性もあるのだろう。今「ロードス島」を一作目からアニメ化されたらすごく熱心に観ちゃうだろうなぁ(まずディードのキャストが気になる)。

 まぁ、そんなわけで「ろくに知りもしないけどノスタルジー」という妙な立ち位置で生暖かく見守っていければ良いかと思います。飯塚雅弓の後釜に大久保瑠美っていう配役、考えた人はセンスあるよね。良いよね。

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○「ダーウィンズゲーム」 6

 今期2本目の「1話目から1時間やるよ」作品。現代アニメは色んな工夫を凝らして客引きに精を出しているが、とりあえず観てもらうっていう意味では初回1時間って案外有効なのかも。観ている方も得られる情報が多いから、確かにこれで「切る/切らない」っていう判断をする人は多そう。まぁ、そういう人らは30分見ただけでも切るもんは切るんだろうけども……切るっていう選択肢がほぼ無い人間からすると、「ちょっと新番チェックが書きやすい」っていう利点が。世界中でこの利点を享受できる人間が何人いるんだ。

 さておき、原作は既読……多分、読んだことある……気がする……いや、序盤のパンダ戦のところは間違いなく見覚えがあるんだ。でも、それも見るまで全然気づいてなかったし、「あれ? 見たことある?」くらいな印象で細部は何も覚えてないし、この後どういう展開になるのかなんてわかるわけもない。多分あれだ、いつもの漫画喫茶の奴だ。ここ2年くらいは漫画喫茶で読んだ漫画のログを残すようにしているのだが、そのログに残ってないので、おそらく3年以上前にコミックの1巻を読んだことがあるはず。だってほら、デスゲームものだから。「王様ゲーム」しかり「奴隷区」しかり、なんとなく手に取ったのは間違いないと思うのよ。ただ、その後読んだ記憶が消えているってことは続きを読んでないのは間違いないのだが、その理由が「①つまんなかった」「②まだ続刊が出ていなかった」のどちらかなんだよな……。確認したら1巻の発売が2013年だってさ。その当時は……どうだったかなぁ……。7年前……。多分、2、3巻出てるくらいで手に取って、特に興味を惹かれずにそのままゲダウェイってのが真相ではなかろうか。いや、誰も答えはわかんないけど。

 そんな微妙な接点の作品なので、開始直後は「あれ、ダメなやつかな……」という不安からスタート。だって上にあげた例の作品もそうだけど、ろくなもんないじゃん。これもダメだと思ったよね。多分最初の30分で終わったら評価としては平均かそれ以下だったと思う。ただ、全体的に作画の質は良いのよね。調べてみると、制作のNexusってスタジオはなんとあの「グランベルム」の制作。あれ、だったら割と品質は良いのでは? さらに監督は「こみっくがーるず」で初監督を務めた人物であり、それまでの経験も豊富な職人さんの様子。これね、結構良い条件ですよ。「意外と面白い……」と思えたのは後半の廃工場戦のところで、ヒロインの使うチェーンアクションがアニメとしてきちんと際立っていて格好良い。演出のメリハリも効いていて、粗製乱造になりがちなデスゲームバトルのどこか間の抜けた設定もちゃんと緊張感を維持しながら展開できている。また、話の筋も最低限のラインはクリアしており、デスゲームにありがちな「とにかく設定だけずらずら出してきて頭でっかち」みたいな状態になっていないのが抵抗感を減らしているんだと思う。主人公が少ない情報から試行錯誤している状態に視聴者もついていきやすいし、バトルにはラッキーもあり、実力の部分もあり、緩急がはっきりしているので1時間枠でもダレることがなかった。こういう「ありがちな導入」でも無理なく動き出せるってのは、案外ありがたいことなのである。

 まぁ、この後どうなるか全然わからないし、情報を見たら原作が19巻で以下続刊(!)とあるので、とてもこのアニメだけでどうこうなるもんでもなかろうが、是非ともこのままの勢いでひさしぶりのデスゲームアニメを盛り上げて欲しい。え? ナカノヒトゲノム? 知らない子ですね。

 あと、多分これは書かなくてもなんとなく伝わる部分だが、「人を人とも思わない上田麗奈」が好きすぎるので楽しいっていうのは大きな加点要素ですよね。うえしゃまだけで加点しますよね。前クールも「ノーガンズライフ」がそれで繋がった感ありますしね。あ、グリッドマンの続編おめでとうございます(何一つ関係ない締め)。

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○「群れなせ!シートン学園」 5

 とりあえず群馬サファリパークにはちょっと行きたくなったわ。世の中にはいろんなプロモーションの仕方があるもんやね……。今サイト見に行ったら年パスでも5400円ですってよ?! まぁ、素敵な施設! ……で、どこにあるんや(群馬だろうよ)。

 それにしても、前クールから続くこの熱いケモナーの流れは一体なんなんでしょうか。これだけのアニメが作られているとはいえ、まさか2クール続けて「オオカミ」が主人公のアニメが放送されるなんて、ちょっとした奇跡である。まぁ、どっちかっていうと「けものフレンズ」の方が作品の流れとしては近いわけだが……間にBEASTARSを挟んだせいで、なんか色々どうでもいいことが気になってしまうことになった。

 ここから書くことは全部「そんなこと気にしてもしょうがないやん」な奴なのだが、やはり「獣の学園」という設定がBEASTARSと同じなのでどうしても気になること。最大の違和感は「なんでメスばっかり擬人化されてんの?」という部分だが、他にも「この世界における人間と動物の関係とは?」とか、「登校初日にクマに襲われるような学園に娘を入学させる家庭ってどうなの?」とか、「なんで獣どもは自分たちのオリジンをしらねぇんだよ」とかとか。おそらくBEASTARSならなんの問題もない部分が、なんだか引っかかってしまう。けものフレンズならサンドスターという要因があったし、全体像が統一されていたので気にならなかったが……これ、単体のギャグ漫画としてはすごく普通なのに、それが先んじて「異質な」作品を見てしまったせいで逆にこっちが珍妙に見えるという、なんだかすごく稀有な現象が起こってるのよ。

 まぁ、繰り返しになるが、そんなこたぁどうでもいいのである。そういうギャグだからそういう世界になったのはしょうがない。今後はこの設定でお付き合いしていこう。割り切ってしまえば「ふつーのギャグアニメ」以外の何物でもなく、ネタ回しも凡庸だし、映像部分も割と普通。特に肩肘張る必要もなさそうなので、ようやく今期ホッとする作品に巡り合った気がしますね。いい意味か悪い意味かはさておくとして。とりあえずオープニングの出だしが高知県室戸市名物シットロト踊りから始まるところがファニー。いや、シットロト踊りではないが。

 そして、そんなファニーさを一気に加速させるのがキャスト、というか木野ちゃんなわけだが、木野ちゃんもだいぶ戻れないところまで極まってきてるな……(当初からそうだったのでは?)。そして次週から本格始動するのが、なんと木野&久野という禁断の加算。いや乗算。脳がおかしくなるで。大丈夫か? エンディングテーマ、初見では「ひでぇwww」ってなるのに3話目くらいでクセになるタイプのやつだよな……。

 

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○「pet」 5

 まだまだ続くよ、今期の一筋縄ではいかなそうな作品群。またまたよくわからんもんが出てきたぞ。「ID」と続けてみたせいで、ほんと何が何だか。

 調べてみると、原作は2000年代に発表された漫画作品で、連載はスピリッツ。申し訳ないがさっぱり知らない作品なのだが、これをアニメ化しようとしたのがツインエンジンってのはわかりやすい。「いかにもツインエンジンがやりそうな仕事だな」という印象を受けたので、ぼちぼちこの人らのプロモーションの傾向が定まった気がする。近い作品としては「刻刻」なんかがあり、あちらも2000年代のメジャーじゃない漫画原作だ。さらに近いところでは「バビロン」だって「少し前の、誰もアニメ化しようと思ってなかった作品」の1つだろう。原作が枯れたと言われ続けるアニメ業界で、こうして予想もしないところから「価値ある作品」を掘り出してくるのが、ツインエンジンの制作理念なのだろう。

 こうした「マイナー路線」は非常に良い側面があり、それは「尺が短い」ということである。たとえばリメイクアニメの流れはもう1つ大きな動向があり、それが「封神演義」「からくりサーカス」「真・中華一番」などの過去の人気作品、すでにアニメ化された作品の再活用。これはこれで意味があるのだが、どうしてもこうしたメジャータイトルというのは長大化する傾向にあり、改めてアニメ化しようとすると製作側にとって大きな負担となる(実際の製作行程でも、経済的な面でも)。「フルーツバスケット」のようにしっかりと時間と労力をかけたプロジェクトならファンにもありがたいが、なかなかそこまでのリスクを背負えないというのが現代アニメ業界の正直なところだろう。それに対し、ツインエンジンの取るプロモーション方式は、「アニメ化しやすい作品」を拾ってくることが可能である。「刻刻」は本当に良いサンプルになるのだが、何よりもまず、尺がちょうどいいのである。無理せず1クール脚本に書き出せるし、多少好き勝手やっても、前例がない上にコアなファン層が暴れるリスクも低い。その上で中身がちゃんと「面白い」のだから、いいことづくめであろう(まぁ、知名度が低いのでアニメが話題にならないという最大の問題はあるのだが……)。そうして次に白羽の矢が立ったのが、この全5巻というちょうど良い長さを持った作品だったのだろう。

 まぁ、ぶっちゃけ原作知らんからここから面白くなるかどうかは全く分からないのだが……一応、そうした理由があるので今後の展開には期待したい。ぶっちゃけ、1話目では何も分からなかったのでね。「人の記憶をどうこうできちゃう奴がいる」という情報だけが提示され、それがどれほど恐ろしいものなのかがまるまる1話を使って意味深に伝えられている。個人的に興味があるのは「タバコ」というツールの使い方で、今回はメインの被害者が禁煙をしていたということもあり、様々な方向からタバコというツールが印象的に使われている。「その辺りでくわえタバコしてる」という絵面だけで、その人物が極悪人に見えるように印象が変わったのは、まさに時代の変化である。

 映像面はあまり特筆すべき部分がないのは残念だが、それこそ「刻刻」を製作していたのがジェノスタジオなので、最低限のラインは保持できるように祈ろう。監督が大森さんの作品なので、それだけで応援したくはあるんだけどね。唯一気になるのは、メインキャラと思しき金髪の中の人が下手なことである。調べてみると「王室教師ハイネ」でハイネやってた人、つまり舞台中心のキャストであった。舞台俳優ってそのまま声優業に移ってきても案外うまいことが多いのだが、この人はまだちょっと……。

 

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○「ID:INVADED」 6

 なんかさ、今期はすげぇシーズンだな……。ここまで見てきたアニメが全部一筋縄じゃいかないタイトルばっかりだ……これはどう評点したらいいものやら……。

 とりあえず様子を見るしかないが、現時点では決して悪印象ではない。問題はせっかく一発目で1時間(2話分)やってくれたのに、この2話でも中身はほとんど理解できないってことだ。いや、設定の部分はおよそ把握することはできたけど、まだまだ作品世界のルールがわかっておらず、今後どのようにかき回していくのかが検討もつかない。とりあえず「穴あき」と呼ばれる犯人が捕まってホッとしたけど。次回以降は毎回違う殺人犯を追いながらジョン・ウォーカーの謎に迫るデザインになるのかな。奇しくも中の人つながりで「トクナナ」と被ってる部分があるのは気になるが……。

 いやいや、そんな細かいところは気にしなくていいのだろう。本作で最も気になるのは、どう考えてもその特異な映像表現だ。「殺人者の殺意の中に入る」という、文字で書いたらますます意味のわからない概念。この分からなさはどこか「C」という謎の経済戦争アニメを彷彿させる。あれもよく分からない異次元でよく分からない代替バトルを展開すると現実世界に影響が出るという設計で、その「よく分からない異次元」をどれくらい「よく分からなく」描けるかに心血を注いでいた感がある。今作の場合も、やはり一発目でインパクトがあったのは異次元の謎描写の部分で、「バラバラの主人公」と「パズルのように接続する世界」という意味不明な状況が、有無を言わさず映像で説明されてしまうところはかなりの剛腕と言える。こういうことができるアニメは嫌いじゃないんだ。まぁ、ここからどんどん訳が分からなくなったり、一発目がこけおどしでこの後単なる刑事物に落ち着いたりする可能性はあるが……多分、そんな生易しい作品にはならないんじゃないかなぁ。

 不安があるとすれば、製作担当がまさに「トクナナ」を担当したNAZであるという部分か。割と省エネ気味のキャラデザなので通常描写だけなら負担は多くなさそうだが、1話目でいうとバラバラ人間の描写のようなコストがかかりそうな演出を毎回やると、すぐにスタミナが尽きそう。そして、今作はそこに力を入れないと意味がなさそう。監督はあおきえいなので見せ方自体に不安はないと思うのだが、本当に描きたいイカれた世界をアニメにし続けるだけの力があればいいのだが。

 そういえば、今回拉致られたショタみたいな新米刑事、CVがM・A・Oなのね。あなた、つい最近もどこかでスーツ姿のまま拷問で台に縛り付けられてませんでした?(そっちは穴空きどころじゃすまなかったが……)

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○「映像研には手を出すな!」 7

 どうにも前クールで溜まった鬱憤を晴らさんがために今回は評点が大盤振る舞いになってる感があるな……ただ、ここ数年の傾向として、「下の数字はたまに使うけど上ってさっぱり使ってないな……」という自分の評点基準への疑問が浮上しているため、少しずつ上に傾けるように意識してる部分があるんだ。今までだと「6→面白い」「7→超面白い」「8→傑作」「9→生涯ベスト」くらいの感じだったので10点使うチャンスがないし。まぁ、多分死ぬまで使わないままなんだろうけど。そんなわけで、多分ブログ開設時の配点より05点分くらい上にずれてると考えていただいてもいいかもしれません。

 閑話休題、そんな言い訳をしつつだが、今作はそれだけの価値を見いだせる気がする作品だ。何よりとにかく、「1話目でのワクワク感」が尋常ではなく、作中のキャラ同様、「アニメとして描かれる」ことの喜びに満ち満ちている。ここまではっきりと「アニメでしか描けないこと」をやってのけているのを見ると、それだけでいろんなところを刺激されまくって目が覚めるような思いだ。

 監督はあの湯浅政明。強烈な個性派監督として名を馳せているが、そんな彼がテレビシリーズを担当するのは「ピンポン」以来なので実に6年ぶり。その間、3作の劇場アニメを作っていたわけだが、やはりテレビシリーズでの作劇が見られるというのは劇場作品とは違った期待感がある。私個人では、結局「君波」だけ観に行けなかったのだが、「夜は短し」と「夜明け告げるルーのうた」の2作は視聴しており、感想はこのブログにあげた通り。湯浅さんのオリジナリティがバリバリに出ている部分を評価しつつも、どうしたって2時間弱の劇場作品にまとめるに際して損してる部分もあった気がするというのが素直な感想だった。それに対してこのアニメである。もう、正直1話目だけでも劇場作品1本みたかのような満足感がある。湯浅さん独特の色彩加工やベタッとした「アニメ」の描写が作風にこの上なくマッチしており、設定を組み上げただけの1話段階でも、今作の最大のセールスポイントがなんなのかが十全に理解できるのだ。まぁ、原作は未読なので現時点では勝手な憶測でしかないんだけどさ(漫画喫茶で読もうかと思ってたのだが、うだうだしてる間にアニメ化が決定したので文字通り手を出せなくなってしまったのである)。

 今作の眼目は空想世界の描き分けであるが、非常に面白いのは、主人公たちトリオがいる「現実」世界も、実に「空想的」であるという部分。主人公・浅草みどりが引っ越してきたアパートの構造も現実ではあり得ないし、ダンジョンのような学校の構造は言わずもがな。その世界自体に、子供の頃憧れたご近所ファンタジーや空想秘密基地のギミックに溢れた謎ワールド。そんな世界に生きている彼女たちが空想世界のアニメーションに憧れるという設定は珍妙ですらあるのだが、その「一歩先の空想」はきちんと区分けされ、「アニメの持つ力」がきちんと「アニメで」表現されるのである。こうして一見トリッキーに見える作劇でもちゃんと世界構造に線引きができて、「アニメだ」と一発で分かる映像のくせにやたらと現実に肉薄し、一歩先の世界を描けるのが湯浅作品の最大の魅力と言えるだろう。我々「外の世界」の視聴者は、ただ言われるままに彼女たちの空想旅行に身を任せれば良い。二重三重に待ち構える「アニメーション」が、我々を迎え撃ってくれるはずだ。

 ついでに書いておくと、キャスティングについても冒険しているのは期待したい部分。主人公の浅草役はどうやら女優業がメインの人らしいのだが、この声ならそりゃ声優業で声がかかってもおかしくない。発声などはまだ「声優的」でない部分があるものの、役の定め方はすでに完成しており、一癖ありそうな浅草氏のキャラにはマッチしているように思う。そして(個人的には1話目ですっかりお気に入りになった)金森氏にのみ、歴戦の声優である田村睦心が起用されている。田村少年がこういう声だしてるのを聞くのは案外貴重なのだが、1つ1つの仕事が楽しそうで何より。そしてメインヒロインになりそうな水崎氏役には事実上これがデビューとなる新人声優を起用。またこの子が初めてとは思えないくらいに達者で、「さすがアイムは新人育成がきっちりしてやがる」と膝を叩くことに。「女優」「声優」「新人声優」という3人で組んだキャスト陣のこれからの発展も要注目。各方面に刺激が多い作品だ。こうした際立った製作体制で作品を展開できるあたり、やっぱりありがとうNHKなんだよなぁ。

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○「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」 6

 さぁ始まりましたね。大元となる原作が確か本放送時は震災で最終回が延期した記憶があるので、あれから既に9年。「叛逆」から数えても6年強。随分久しぶりに帰ってきたまどマギワールドである。

 「外伝」という名を付されていることからもわかる通り、今作は一応サイドストーリーという位置付けになるらしい。とはいえ、ソシャゲの方も配信から2年以上が経過しており、随分独立したコンテンツとして進行しているのだろうと想像できる。なぜ「想像」にとどまるのかといえば、わたしゃソシャゲをプレイしていないからだ。配信開始当初はやろうと思ったこともあったのだが、当時の私はまだスマホを所持して間もなかったことに加え、適当に購入したスマホが信じられないほど低スペックだったせいでダウンロードすらままならなかったのだ(まじでUSBメモリにすら劣るような容量だった)。まぁ、配信直後はメンテメンテで大変だったし、結局その後もめちゃめちゃ面白いみたいな話も聞かないので、余計なソシャゲは増やさなくて正解だったと今は思っているけど。そんなわけで、「まどマギ」は間違いなく好きな作品なのだが、今作については初めての接触になる。

 初期配点は前作へのリスペクト込みなので現時点では「よく分からん」が正直なところ。しかし、やはりこの「分からん」まで含めてのまどマギワールドである。思い返せばはじめの一歩だって本当にわけが分からんかったのだ。全く組み合わせられるとは思えない異質な要素を無理やり固めたようなキメラな印象の作品がスタートし、それが回を重ねるごとに没入度が上がり、伝説の3話・10話を超えてシリーズは無事に完結。そこで満足したはずなのに「叛逆」を打ち込まれてますます混迷。続編は有るのか無いのかと今だに答えは出ぬまま待ち続けている状態だ。そんな「今だにわからないもの」の外伝なのだから、やっぱりそこにはわからないものが出てきて欲しいという気持ちはあった。

 気になるのはその座組み。今回、シャフトの顔とも言える新房さんが「アニメーションスーパーバイザー」というよくわからないポジションにクレジットされており、監督名義はなんとイヌカレーである。今だにどんな存在なのかよくわかっていないイヌカレー。もちろんアニメの監督名義なんてのは初のことだろうし、どんなディレクションになるのかは見当もつかない。一応シャフトからは宮本さんが「副監督」名義で担当しているので骨子に問題はなかろうが、果たしてこの後のデザインがどんな方向に飛んでいくのかは誰にもわからないのだ。まぁ、「叛逆」の時点でイヌカレーはかなり作品の根幹に携わっていたし、もしかしたらまどマギワールドについて一番理解してるのはイヌカレーなのかもしれないけども。

 とにかく、1話目ではそうして「奇怪な」座組みになっていることがよくわかるスタートになっている。安心品質といえばそれまでだが、やはり何度見ても落ち着かないような、ただただ不安にさせるガジェットの構成はさすがである。あとの問題は、こうして生み出された新たな世界基盤から、どんな物語が紡がれていくのか。正直、心配のタネはその一点だけだ。映像表現にはおそらく問題はないだろうが、何しろソシャゲ原作なんてものはつまらなくなるアニメの代名詞。いかな「まどマギ」とて、そのくびきから逃れられるのかどうか。例えばオープニング映像(今回はエンディング)では多数の魔法少女の姿が確認できるが、ソシャゲアニメの常として、無駄にキャラクターを大挙させてグダグダになるのはよく有ること。本作もそうした「ゲームファン優先の見せ方」を採用してしまうと、作品の本質を見失う可能性は充分あるだろう。そこにきっちりと「まどマギワールド」の矜持を見せることができるか。スタッフの根性の見せどころである。

 とりあえずキュゥべえがその辺にちょこんと座って言葉を発するだけでも、胃の腑のあたりがざわざわする感覚は健在だ。さぁ、新たなトラウマを植え付ける作品になってくれるか否か。

 

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○「恋する小惑星」 6

 さぁ、今期正規の枠でスタートする新番組一発目はこの作品だ。もう、はっきり言ってダメな作品だ。何しろタイトルからして隠そうともしない露骨な百合狙い、ダメだ。動画工房の丁寧な作画で描かれたキャラ描写とゆったりと掘り下げる情感のこもったシナリオ展開、ダメだ。キャラデザは「うざメイド」を担当したり、「三者三葉」などの丸っこい描画を得意としている萌えのテクニシャンのようだ、ダメだ。挙句にそのキャラデザを引っ張ってきた監督はあの「わたてん」を作り上げた人だという、ダメだ。もう、エンディングのコンテ作画なんて徹頭徹尾ダメだ。やるに事欠いて、親友の百合脳キャラのCVがよりにもよってうえしゃまだ、もう、最低最悪のダメだ。これは、人をダメにするアニメだ。

 いわゆる「きらら系」の枠だが、きららアニメは前作が「まちカドまぞく」という予想外の場外ホームランを叩き出してしまったせいで評価軸が揺らぎそうなところだったが、今作はシャミ子の生み出した埒外のストリームに引きずられるでもなく、かと言って完全に原点回帰の脳死萌え作品に落ち着くでもなく、きちんと「進化するきらら系」の流れを継承した作品に見える。なんだろう、メインキャラの志の高さとでもいうかな。単なる愛玩動物としての萌えキャラではなく、きちんと芯を持って「前に進める」ヒロイン勢とでも言おうか。やはり「はるかなレシーブ」→「アニマエール」→「まちカドまぞく」という流れは確実に新時代の幕開けを告げるものだったのだ。あ、その前に「ゆるキャン」もあるのか。やべぇ、きららの時代強い。

 冒頭で「幼い頃出会った男の子が」というスタートだったので「おっ、男の子を率先して出していく潔い姿勢か?」と思ったらそんなわけもなく、むしろそこからの反動を利用し、ロープワークで思い切り逆方向に振り切ったムーブ。何しろ親友ポジの子がデフォルトで百合脳。「男が近寄ると妨害しかしない」とかいう重いネタも軽く導入で使えるような時代になったのかと思えば感無量。ぶっちゃけ1話で一番気になっているのはそんなわけでお友達ポジションでうえしゃまボイスの彼女なのだが、まぁ、今後の展開を考えればメインの2人の邪魔にならないようなところでこっそりサポートに回ってくれるんだろうな。ゆるキャンいえば斎藤ポジなのかな。いや、それだと強すぎません? えーと、よりもいでいうとめぐっちゃんポジション……(どんどん強さが増す)。まぁ、とにかくいい友人に恵まれたようで何よりだ。

 そんなスタートだった割に、メインヒロインになりそうなあおもきっちりキャラを立てていきなり可愛らしさがダイレクトアタックしてくるし、典型的な主人公タイプのみらも、なでしこのようなパワーがあり、「ライフルイズビューティフル」のひかりのような愛嬌もあり、決して脇のキャラにおんぶにだっこでもなさそう。これに地質部の個性豊かな先輩たちを加えて、1話目からいきなり見どころが多くて目移りする。その割にとっちらかった感じがせず、そこかしこに見受けられる「恋」の萌芽をゆっくり拾っていけるような余裕もある。実にありがたい1話目である。

 正直、この1話目は楽しみな1話目です。今後ダラダラと動物園みたいになって雲散霧消する可能性もゼロではないが、この導入ができるアニメなら、今後も惰性で描かず、ちゃんとファンの見たいものを見せてくれる展開になるんじゃないかな。原作は全然進んでいないようなので1クールで一旦まとめなきゃいけないのは時期尚早な気もするが、ほら、間はわたてんの2期でもやってもらえば……(どうしてもうえしゃまの声を聴き続けたいようだ)。

 

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○「妖怪学園Y 〜Nとの遭遇〜」 4

 今期新番組のくくりでいうと、実は年またぎで早々にスタートしていた作品があったのよね。年末年始はゴタゴタしててアニメの処理がなかなかできなかったので、結局年明けてからの視聴。今期は何本くらい新番組が出てくるんでしょうかね。

 さて、こちらは「妖怪ウォッチ」シリーズの新作である。基本タイトル「ウォッチ」が一旦幕を降ろして別な切り口の作品が始まるってのは「シャドウサイド」の時と同じ展開だし、劇場作品で先んじて宣伝してるってのも同じ。かてて加えて主演が田村少年ってのも「シャドウサイド」と同じ(?)なので色々と嫌な記憶を刺激されるが、今回はまだ「シャドウサイド」ほどアクが強くないので見にくいこともない。まぁ、やっぱり無印の「ウォッチ」に求めてる要素は何一つ無いので、あんまり面白そうとは思えないのだが……。こうなると「妖怪」っていうか「なんか人ならざるもの」っていうやんわりとしたくくりだけで接続される作品群ってことになってしまうので、タイトル自体の統一感も感じられなくなってるのがなぁ。

 劇場版でも推してた要素として「Youtuberいっぱい出てるよ」みたいなノリがそのままアニメシリーズとしても残ってる感があり(OPアーティストがそうらしい)、現代の子供に受けるための方策をあれこれ考えてるんだなぁ、という部分には感心したり、ついていけないことを寂しく思ったり。本当に子供たちってYoutuberに夢中なんですかね。子供文化に接するチャンスがないおっさんには理解できない領分ですよ。

 結局、「妖怪」っていう題材をコミカルな「あるあるネタ」みたいな部分に落とし込んだことが「妖怪ウォッチ」のエポックメイキングな部分だったわけで、その妖怪を「単なる不気味な敵キャラ」に設定してしまうと、あんまり「ならでは」の要素が出てこないので楽しみは減ってしまう気がするんだよね。「シャドウサイド」はその路線でピンとこないものになってたし、今作は「変身ヒーロー」という要素を導入していることもあって、ますます他の子供向けアニメとの差別化が難しくなっている気がする。まぁ、細かいことに目くじら立てるようなジャンルでもないし、いつも通りにヌルく見守っていけばいいかと思うわ。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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