最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
○「トータル・イクリプス」 4
色々と予想外だった新番組2本目。予想するほど予備知識があったのかって言われるとそうでもないんだけど、さて、どう見たものか。 まず、色々と誤解があったのは、はっきり言って全部ラジオのせいである。分かるだろ、あのラジオでこのアニメは絶対出てこないだろ。ここ最近のアニラジ業界でも明らかにおかしい系筆頭のラジオ「ラジオトータルイクリプス」。中原・生天目の絶対に混ぜちゃいけない最高のカオスは、私の見るべき声優業界のど真ん中ストライク。そりゃ聞くさ。そりゃ見るさ。おかげでちゃんとコミックス版の「トータルイクリプス」は買って読んださ。それくらいの知識は持っているんだ。 まぁ、「ラジオと雰囲気が違う!」っていうのは戯れ言なので置いとくとして、それ以外に持っていた予備知識はコミックス版のもの。でも、それとも違った。主人公の唯依が出てきた時点で大丈夫、と思っていたら、なんと、ボクの知ってる篁中尉ではなかった。なんとまぁ、女学生時代である。そら分からんわ。そしてことここに及んで、この作品の世界観も未だによく把握していなかったことが判明。こんなに末期的だったんだなぁ。1話から重い重い。ここまでがっつりと深刻な「戦時」が描かれる作品って久しぶりなんじゃなかろうか。 ただ、まぁ、だからって新鮮かって言われると、そうでもない。どっかで見たシチュエーションだし、どこかで見た映像ではある。「新番組だなぁ」って感じがあんまりしない。1話目からどこまでも突き抜けたもんが出てくることなんてそうそうないだろうが、「こいつぁ楽しみな新番組だ!」っていう感じでもない。メカ作画についてはサテライトの本領なので決してわるいもんじゃないんだけど、まだバトルが始まったわけじゃないので見るべき点としては定まってない。キャラ作監も悪いことは何一つ無いと思うけど、膝を打つほどでもない。ん、まぁ、普通の新番ってそんなものか。 でも、このシナリオって、ナバはちゃんと出てこられんのかな。キャスト表にはいるから大丈夫だと思うんだけども……クリスカが出てくるのって、どこになるんだろう。あくまで導入だけが過去話なのかな。色々と早く見たいキャラ・キャストもいるので、しっかりはっきり進行して欲しいもんだ。 結論・「中原麻衣がロボットにのったり命の取り合いし始めたらただ事じゃすまない」。脅威のまいまいパワーに期待てんこ盛りなので、きっとここから何かが起こるはずさ。1話目でいきなり植田佳奈と殴り合ったのは笑ったけどな。いつの時代も大体一緒におるな。「咲」だと姉妹だけど。 PR
○「TARI TARI」 6
今期記念すべき一本目を飾る新番組は、この期待の一枠。1期空いて登場した、あのP.A.Worksのオリジナル新作である。カテゴリとしては、女子高生が寄り集まってきゃっきゃしているわけだから萌え寄りの作品になるわけだが、一筋縄ではいかないのがここのオリジナル作品。ガチンコ泥沼愛憎劇が話題を呼んだ「true tears」に、女将三代旅館奮闘記「花咲くいろは」。単なる日常系萌えものでは済まされないだけのガッツリしたドラマが期待出来る。 今作でまず目を引くのは、あらゆる点にばらまかれた「新しい」切り口の数々。メインテーマとなるのが合唱部っていう時点でいきなり珍しい展開だと思うが、個々のキャラクターにいたるまで、「はいはい、そういうキャラクターね」と紋切り型では済まされない、こそばゆい違和感みたいなものがちりばめられている。メインの視点となっている土産物屋の娘さんこそ割と理解しやすい部類だとは思うが、騒動の中心となる茶髪の子は、登場直後は天然系のボーッとした子なのかと思ったが、絶妙なぶっ飛ばし具合が台風の目となりそうなエネルギーを感じさせる。そして、現時点ではまだ動きが無い弓道部の巨乳さんは、いきなり(オープニングから)馬、という訳の分からないインパクトを与えつつ、「馬術に弓道の大和撫子キャラなのか」と思いきや喫茶店のシーンではどっかおかしな方向のファッションセンスを見せている。その他、音楽科が併設された高校の外観なんかも珍しいデザインになっているし、一人バドミントン部なんて謎の活動をする男子も異彩を放つ存在である。1話目ってことで何かと型にはめて見た方が楽だとは言え、ぽんぽんと見たことのないものが出てくると、それだけで良い意味で裏切られた気がしてくる。 シナリオに関しては、ここから先は純粋に合唱部を絡めた青春ものになっていくであろうことは予想出来る。茶髪の子が去年のコンクールで何をしでかしてしまったのか、土産物屋の子は何が原因で音楽科をやめて普通科に移ってきたのか。そのあたりの過去話から少しずつ「本気で歌うこと」についての認識を深めて、最終的にコンクールで歌う、というのが目標なんだろうか。ただまぁ、やはり本当に真面目に歌いたいなら声楽部に在籍して進むのが真っ当な道であるはずなので、そこをハズして敢えてアウトローな道を進むだけの動機は欲しいところだ。何はともあれ、しばらくは退屈せずに済みそうだ。 P.A.Worksのお仕事ってことで、ビジュアル面については一切不満が無い。というか、相変わらずため息が出るぐらいの仕事っぷり。今回の「聖地」はどこなんだろうか、背景のビジュアルはもちろんだが、個人的に圧倒されたのは、どこかモダンな印象もある校舎のデザインだ。教室の扉なんかに分かりやすいが、とにかくディティールまでがホントに綺麗。他にも職員室のプロップ、土産物屋の陳列品、キャラクター1人1人の私室まで、とにかくそこにある生活が、1枚の画からにじみ出てくるような配置が徹底されている。このこだわりは本当に素晴らしい。1つ1つの要素について、分け隔て無く作り込んでいるおかげで、あからさまな「聖地」商法に関わっているはずなのに、その部分が押しつけがましくなく、「生活の舞台」の一部としてすんなり受け入れることが出来るのである。 キャラクターデザインは当然の関口可奈妹。なんやかんや言ってもやっぱり女の子メインの「萌え」作品であるので、キャラが可愛いというのは必要不可欠な要素である。こちらも心配ご無用といったところか。実を言うと今作の監督は知らん人なのだが(代表作はレイトン教授、とある)、1話目を見る限りではなかなか悪くないバランス感覚の持ち主だと思われる。細かいところだと、多分今後のシナリオ展開で色々変化していくんだろーな、という期待感が募るエンディング映像が色々楽しみ。 そして当然キャストの話。今作は「合唱部もの」ということで、メインを張る3人はあまりにもガチな面子が招集されている。モノホンの声楽科出身、P.A.といえばやっぱりこの人、高垣彩陽。彩陽が目覚めてソロで歌ってくれるエピソードが絶対にどこかで入ってくるはずなので、それだけで今から正座待機である。1話目で流れた合唱曲が「リフレクティア」の時点で噴いたが、彩陽としてもまたあの古巣に帰ってきたという実感が湧く一場面だっただろう。それにしても、富山やら下田やら、彩陽は聖地が増えて大変だな。 引っかき回し役に選ばれたのは、若手期待の星、瀬戸麻沙美。彼女の歌唱力については既に「ちはやふる」で証明済み。この1、2年での躍進ぶりはめざましいものがある。そしてトリをつとめるのはリアルお嬢、四方の巫女代表の早見沙織。こちらも歌唱力については絶対的安定感を誇る。この3人(あと男声も絡むだろうが)がコラボすることでどんな広がりが生まれるのか、今から楽しみで仕方ない。その他、お局様のような厳しい教頭先生役が田中敦子というだけで圧倒的なラスボス感が漂っているのも良い。そういや、唯一帰国子女役の子だけ知らん名前だが、1話目を聞いた限りでは特に違和感は無かった。最低限、歌唱力を見てのキャスティングになっていると思うが、どんなもんでしょうね。 ちなみに、作品の本筋とは一切関係ないところだが、この作品で一番最初に声を出したキャラが誰かというと、冒頭のアバンで登場した主人公の今は亡き母親だったりする。「故人」「母親」ということは、それすなわち大原さやかなのである。こんなところにもさぁや旋風。日本は、支配されている。さぁやと彩陽の親子って、少なくとも炊事だけは任せたくないな!
○「キングダム」 3
なんだか中途半端な時期に始まったNHKアニメ。全38話のBS放送ってことは現在地上波で再放送している「へうげもの」と同じ構成だと思うのだが、それにしても時期が変だな。見逃さずにすんで幸運だった。 とはいえ、1話目を見た第一声は、「なんじゃこりゃ」である。制作はぴえろであるが……何これ? このもっさりCGモデルは何がやりたいんだ? 原作のことは何も知らないし、春秋戦国時代の中国の軍記物なんてなかなか楽しそうなセッティングだが、合戦の様子を描くのが最大の眼目であるはずのテーマ性で、この味も素っ気もないモデリング丸出しの描画は流石に話にならないんじゃなかろうか。まず、全てにおいてとにかく「軽い」。2人の少年主人公の剣戟も軽いし、画面を埋め尽くす軍勢でぶつかり合うはずの大合戦も軽い。もちろん、雑魚兵士は全部同じモデルを並べているだけなので、PS2初期のどうでもいいゲームのでもムービーを見ているような気分にさせられる。その他にもあらゆるオブジェクトに臨場感が無く、二人が担いでいた大きな荷物や、ぶっ壊された家の壁、たたきつぶされてしまった人間にいたるまで、単に「そこにあること」のサインとして示されているだけで、「それがある意味」が無い。10年前ならこれでも「すごいCGだ」と喜ばれたかもしれないが、今のご時世にこれを真正面からやられても、全く感慨もないし、一切うまみはないだろう。 制作側から見たら、これは効率の良い省エネ作画なのだろう。動かし始めれば原画を落とし込む要素も少なくなるし、確かに慣れてしまえばこれだけでも「シナリオ」は作れる。実際、50分の拡大放送だった1話についてみれば、お話だけならそれなりに興味を引くものだ。それなら、あとはここに必要なのは「アニメである必要性」だろう。キャラクターの顔もパターンが限られるおかげで、どんな会話にも感情が付いてこず、「出来たらこれは原作漫画で読みたいもんだ」と思われてしまった時点で存在意義がない。「へうげもの」も含めて数々の名作アニメを世に送り出してきたNHKが、何故今になってこのような無謀なチャレンジを試みているのだろうか。意図がよく分からない。 どうなんだろう、こういう新しい画面を見て拒絶反応を示すのは、単に狭量なだけなのだろうか。しかし、少なくともこの技法では、私がアニメに求めているものは得られそうもない。決して作り手側が怠慢を働いているとか、原作シナリオがつまらないとかいうのではないだけに、この方向性で始まってしまったことが残念でならない。いっそのこと、シナリオがどうしようもないくせに映像だけで見続けなきゃいけない「氷菓」と相取っ替えしてくれないだろうか。この技法で作られた「氷菓」なら確実に見ないですむし、京アニが作った「キングダム」なら、おそらく毎週が劇場版クラスだ。ただ……確実に過労で何人か社員が死ぬだろうけど。中華大活劇が見たいなら、現状はマッドハウス版の「蒼天航路」で足りてる気がする。
今期最後の一本は、この話題の作品だ。AKBという巨大産業と、アニメ文化という巨大産業。この、日本のカルチャーを代表する2つのジャンルがついに手を組み、1つの形を作り上げた。分かりやすくいえば、「金儲けのにおいがしやがるぜ」(CV:矢澤りえか)ということになる。
さて、これだけ遅れてやってきた大作ということで、事前に様々な情報が入ってきていた、その中でまず目を引くのは、当然スタッフの充実ぶりだろう。この一大プロジェクトの総指揮を任されたのは、今の日本で最も金を生む監督の1人である河森正治。そして彼の下で実際に舵取りを行うのは、萌えもの描かせたら打率10割、チームサトジュンの出世頭である平池芳正である。サテライトでの河森さんとのタッグは初だが、どのような相互影響を生み出すことになるのか。さらに、キャラクターデザインには「マクロス」でも仕事をした江端里沙、脚本にはマリーこと岡田麿里を配した。極端な言い方をすれば、とにかく今のアニメ業界で「売れる要素」を確実に集め、アリ一匹漏らさずに「当てにきている」態勢ということになる。 さらにさらに、我々声優オタクにはもっと凄まじい情報も飛び込んでくる。作中で描かれる実在のAKBメンバーは、きちんと本職の声優が声を当てる。そして、こちらも「当てにくる」姿勢は崩しておらず、現代声優を仕事が出来る順に上から取っていったんじゃないか、と思えるほどの恐ろしいラインナップを取りそろえる。キャスティングの集め方もそうだが、かつては「バスカッシュ!」などで制作体制の難が露見して「金の使い方まずい」と揶揄されたサテライトがここまで人材を詰め込んできていることを考えると、やはりAKB産業というのが、アニメ業界が渇望している「金のなる木」であることは間違いなさそうだ。 ここまでのものを集めたのだから、粗悪品が出てくるはずがない。実際、河森サテライトが起用された効果は1話目で明らかである。全く同じような「アイドルに憧れる女の子の物語」は、既に「マクロスF」で通過したポイントである。今回の映像を見ると、大きなコンセプトはそのまんまマクロスからの流用と見ていいだろう。単に中身が「銀河の歌姫」から「AKB」に変わっただけ。もちろんあれから時代は流れてサテライトのCG技術はさらに向上しており、どこかすすけた1話の舞台となる町の様子などは、本当に目に見えないようなディティールにまでこだわっているんだろう、と思わせる完成度を誇っている。ため息が出たのは主人公グループの女の子の1人が働いていた町工場の描写で、荒廃した世界の全てがたった1カットの工場の背景に克明に刻まれていながらも、そこに動く夢見る少女とのマッチングがきちんと成立するというのが見事。CG技術なんて閾値に達してしまえばどれも同じだろう、という思いもあったのだが、やはりサテライトは常に一歩先の完成度を見せてくれるようだ。 また、いかにも岡田麿里らしい、出だしのキツさ、憎らしさも興味を引く。「芸能が禁止された世界」なんて、実は現在似たようなスタッフで進行している「アクエリオン」の恋愛禁止と大してかわらねぇ発想な気もするのだが、やっぱり無茶苦茶なだけにどこか笑えるものがある。そのくせに、メインとなる3人の女の子は、親に反対されたり、恋人とうまくいかなかったり、あげく生活のために学校にすら通えなかったり、夢見る世界の真逆の現実をしっかりと抱えていたりする。単なるアイドル盛り上げ作品でなく、シナリオラインでも1つの流れを作ろうとしているのがみえるのはありがたい。 とまぁ、褒める部分を先に挙げて期待感を煽ってみたが、点数を見て分かるとおり、それに見合った不安要素や難点が無いではない。まず、「手慣れたものである」と褒めたわけだが、それってつまりは「焼き直し」じゃないかというお話。そりゃま、近年のラノベアニメなんてほとんど焼き直しみたいなもんだし、そう簡単に斬新なものなんて生まれやしないことは分かっちゃいるが、この作品の場合、あまりに「マクロス」に被っている。そして、実際に被ってしまっているならば、そこに与えられるアイドルは、実在のAKBである必要はなく、銀河の歌姫シェリルノームや、超時空シンデレラ、ランカ・リーで事足りる。否、実在しない偶像としての「アイドル」であるのならば、シェリルたちの方がより理想に近い存在と言える。こうなると、わざわざAKBを使うことはメリットではなく足かせにしかなっておらず、「無理くりあわせただけで、結局アニメとAKBなんて食い合わせのいいもんじゃない」という結果になってしまうわけだ。 そして、最大の難点として私があげなければいけないのは、やはりキャストの問題だろう。期待していた「現代声優大集合」という側面は、少なくとも1話の時点では全くメインに食い込んではいない。今後どれだけ活躍のベースがあるのかしらないが、そりゃまぁ、あんだけのキャストを集めて、みんながみんな活躍なんて出来るはずないことは、少し考えれば分かることだ。 その代わりにメインを務めているのが、こちらは純正AKBの素人キャストというわけだ。演じているなかにはなかなか面白そうな子もいる。黄色髪のキャラは声質だけなら割と面白かったし、工場パート娘は割としゃべりも達者だ(素人にしては、だが)。一応AKB内で選抜試験を行った、というのもあながち嘘ではないのかもしれないくらいのレベルではある。だが、やはり彼女たちは声優ではない。居並ぶ「大集合」を目の前にしているのなら、「じゃ、そっちを使って下さいよ」ということになってしまうのは当然だろう。折角の最高のスタッフを取りそろえて、どれだけいい画を描いて盛り上げてもらおうにも、それについていけるだけの演技のベースがないのでは宝の持ち腐れだ。そして、この問題については、生中なことでは解決出来ないのが不安要素である。果たして天秤の針はここから「可」に触れるか「不可」に触れるか、このデリケートな作品の行く末は、非常に下世話な観点からも楽しみではある。 蛇足だが、こうしてこの珍しい作品を見ると、頭をよぎるのは2つの作品である。1つは「既存のアイドルを使ったアイドルアニメ」であり、「そのくせ何故かSFになり」「指揮を執るのは実力派の監督」という共通点から思い浮かぶ「アイドルマスターXENOGLOSSIA」。あちらの作品も「中の人が元々と違う」「世界観が違う」というので、原作ファンからは酷評される結果となっているようだが、個人的には長井監督との出会いの作品でもあり、お気に入りの一本だ。今作があのゼノグラと同じくらい思い切った舵取りが出来るなら、面白い結果が出ると思うのだが。 そして、「AKBに憧れる少女達の努力の物語」というならば、もう一本「フォーシーズンに憧れる4人の少女の物語」である「夏色キセキ」とも比較が出来るだろう。あちらは中の人的には完璧な作品だが、作品全体を覆うソフト面が色々残念なことになっている。もう、いっそのこと中の人だけそのままこちらの作品に移植してしまって、非の打ち所のない「圧倒的な声優とアイドルの融合アニメ」を作ってもらえれば幸せなのだが。……AKBを目指すスフィアメンバーってのは、流石にどうかと思うけども。
○「氷菓」 5
始まった。始まってしまったこの作品。さて、一体どうしたものか。 まずもって、既に何度書いたか分からないが、私は基本的に京アニ信者である。誰がなんといおうと京アニクオリティは絶対であるし、それを嗜好することに一片の迷いも無い。つまり、この作品を楽しむことには何の迷いも無いはずである。監督は武本氏、キャラクターが西屋さん、いつも通りの京アニ布陣。脚本は久しぶりに賀東さんが担当する。基本的に、京アニスタッフが作ってしまえば、どんな原作だって面白くなるのである。そのことは既に「けいおん」「らき☆すた」などが証明済み。どんなものを投げ込まれてもその数倍の速度で打ち返すだけのスイングが、京アニにはある。かてて加えて、今作は「佐藤聡美単独主演作品」という大看板がある。意外なことに、しゅが美は「単独のメインヒロイン」というのをほとんどやったことがない(強いてあげるなら「ネットミラクルショッピング」ぐらいである)。しゅが美のためなら窮地に陥るくらいのライフは削ってもいいと考える身としては、これ以上の理由は無い。今作は、徹底的に「私のためにある作品」だ。 実際、1話目は京アニが京アニらしいことを、しれっとやってのける内容だった。主人公が部室に入った時の無駄に盛り上げる構図の取り方と、何気なく実現させたとんでもない背景動画の持ち方、ヒロインがオリジナル技を発動した時の馬鹿馬鹿しいエフェクト、悪友が怪談話をしている時のすっとぼけたホラータッチまで、これでもかというくらいに映像技術の高さを見せつけ、これ以上無いくらいの「京アニ作品」に仕上がっている。他のスタジオでも他の方法で「面白さ」を出すことは出来るかもしれないが、ここまでして「労力」が出せるのは唯一無二といってしまっていいのではないだろうか。そして、このクオリティがほぼ毎回維持出来るだろう、と信頼出来るのが恐ろしい。1話目の繰り出し方としては、文句の出ない完璧なスタートといえる。 で……だ。その上で、正直いうと、あまり響かない。端的に言って、シナリオがきつい。キャラがきつい。この2点だ。些末なことが気になって、映像の方に集中しきれていない。キャラについては仕方ないと思う。原作はラノベみたいなもんだし(読んだことないけど)、その他ラノベアニメと比べて何か違うかと言われればそうでもないだろう。しかし、その上で「淡々と語る」という媒体にはあまりに向いていないだろう、ということは感じる。特に阪口キャラは、何を考えてしゃべっているのか、というのが見えてこない。1話目だから仕方ない部分はあるんだろうが、何故ああもあらゆる場面で上から目線なのか。何故この男子高校生は2人して全てを悟りきったようなふりをしているのか。おそらくこれは「設定」だろうから、そのバックグラウンドなんてものが出てくるとは思えない。「京アニ・ゆうきゃん・阪口」といえば当然「CLANNAD」なわけだが、あちらの2人の会話が本当に聞いてるだけで楽しかったのとは雲泥の差だ。 そして、それはキャラ設定とかいうぼんやりした話じゃなく、細かいシナリオにも現れている。説明が多いアニメになるのは仕方ないと思うが、2人の会話の不自然さはどうにかならないものか。例をあげるなら、冒頭、主人公が姉からの手紙を見せるシーン。悪友の方は手紙を受け取って「なるほどそういうことか」という反応をする。この時点で、悪友側は「手紙の内容を見た」わけで、主人公が古典部に入らなければいけない理由は理解している。それなのに、「出来るだけ省エネしたい」と言っていた主人公は、わざわざ「姉が古典部のOGで」と説明を始める。この説明は、あの現場に実際にいたら必要のないものだ。もちろん、姉の人物像を知っているなら持っている資格を尋ねる必要も無いし、それに丁寧に答える必要も無い。1つ1つの台詞の並びが、「そこにある」意味が無い。おかげで台詞が乗ってこない。このちぐはぐで「上滑り」な感じは、無理な説明が必要な1話だけに特有のものなのか、それともシリーズ中ずっと続いていくものなのか。個人的には前者を希望したいのだが、これの原作者が狙ってやっていることをうっすらしっているだけに、不安は残る。 トータルで見れば、「らき☆すた」の時だってそうだったんだから、きっと京アニは何が何でも面白いものに仕上げてくるだろう、という期待感とプラマイでイーブン、といったところか。「日常」のようなぶん回った高揚感は願うべくもないが、媒体が小説というのは京アニにとっては大きな強みになると思う。最初は警戒しているせいで拒絶反応が強くなっている部分もあるだろうし、もう少し慣れてきて、観やすくなることを期待したい。まぁ、ヒロインがしゃべっててくれればそれでいいんですけどね。
○「つり球」 4
ノイタミナ2枠目にして、安定の中村健治作品である。であるが。 さて、よく分からんものが出てきたなぁ。CMとか見てた感じでは「なんか『君と僕』っぽくね?」という印象だったのだが、幸か不幸かそれとはちょっと様子が違う。ということは、「見ない枠」には入らないってことだ。しかしこれ……何をするアニメなんだろう。正直、1話目では全く分かりません。いや、中村さんのことだから初回で分からないことなんて普通なのかもしれないけども、これまで見てきた数々の中村作品と違って、本当に、怪しさとか難解さ以前に、ぴんと来ない。 一番の理由は、やっぱり描いている題材だろう。昨今よく話題に上る「聖地商法」を臭わせるような江ノ島のアニメ。普通はそういう狙いならば出来る限り現実に即したものを作中に埋め込んで親和性を強調するわけなのだが、いかんせん絵を描いているのは中村さんなのだ。フツーの風景に落ち着くはずがない。作中に登場する海も、駅も、島も、どこか頓狂はカラーリングで、ざくりと切り落とした中村節に仕上がっている。これじゃぁ流石に、わざわざ「このアニメのために江ノ島を観に行こう」っていう流れにはなりにくそうな気がする。そういう商売がいいか悪いかは別にしてね。とにかく、そうした「よく分からない部分」に筆を裂いており、普段監督が見せてくれているような「現実にはあり得ないもの」の絵面が、今回は中途半端に現実に擦り寄ってきてしまっている。それに加えて、主人公達が何を始めようとしているのかも分からないときている。いや、タイトルを見りゃぁ「釣りアニメ」になるであろうことは理解出来るわけだが、そもそも釣りアニメってなにさ。私は生まれて1度たりとも釣りをやったことがないので、「釣りアニメ」って言われても「うわぁリアルな質感」とかいう感想は一切出てこないだろうし、そもそも中村さんの作品にそういうものは求めてない。うーむ、じゃぁ何を見ればいいんだろうね。 もちろん、全てを1話で判断するのは早計。特にこの人の場合は真意を読み取るまで時間がかかるんだし、1話の印象がぴんと来なかったからといって視聴をやめるつもりはないです。また、逆説的な物言いになるが、「現実に半端に寄せた中村画」というのは、今までやってなかったことであるのは事実なわけで、ひょっとしたら、今後この画が見たこともない面白い効果を生み出すこともあるかもしれない。「聖地」の話だって、たとえば「現実はこんななのにアニメだとこういう画になるのかよ」という、比較対象として面白く見られる可能性だってある。楽しみ方は押しつけるもんでも押しつけられるもんでもない。次回以降に感じたままに、この作品の良いところも見ていこうと思う。 中の人の話……はあんまりないなぁ。あ、でも主人公が新人さんなんだってね。全然そんな風に思わなかったわ。本当に男の子の新人はそつのないのが多いよなー。おばあちゃんが平野文さん、というのはとても素敵なキャスティングですね。
○「坂道のアポロン」 5
今期ノイタミナ1枠目。なんだかオープニングでYUKIの歌を聴くと、初期のノイタミナが帰ってきた感じがしますな。 で、少女漫画原作ということで全く知らない作品のアニメ化。一言でいうなら、「男子高校生版のけいおん」である。いや、確実に間違った表現なのだが、一抹の真理はあるはず。どちらかといえばこのアニメは割と「真剣に音楽と向き合う」形になると思われるので、真っ当な「頑張る主人公」を描くドラマの基本設計からいえば、こちらの方が圧倒的にスタンダードな作りといえるだろう。これを先に放送して「バンド活動したい」っていうモチベーションを生み出してから「けいおん」が多少邪道な「バンド」の姿を描く、っていう方が、流れとしては綺麗なのかもしれないけど。 スタッフは、なんと久しぶりの渡辺信一郎。そして制作が虫プロという謎の布陣。作画面については、少女漫画独特の癖もあるのですぐに入っていける、という感じではないのだが、流石に描くべきポイントは心得ているなぁ、という印象。やっぱりこのテーマの作品ならば音楽に関わるシーン、演奏シーンが最も大事なポイントになると思うのだが、今回描かれたドラムの活躍だけでも、そういうところに時間を割いているのはよく分かる。同じノイタミナ枠の「のだめ」もなかなか面白い描かれ方がなされていたので、この作品についても、そっち方面の面白さは期待したい。あとはまぁ、「男主人公たちの友情のかわし合い」っていうのがどこまで真に迫って描けるか、というところかな。どうも、昨今の風潮だと野郎ばかりの作品は変な層が湧いてくるから怖いのだが……いや、少女漫画原作ならある程度狙い通りなのかな。せめて我々にも見やすい方向性の描写を心がけてほしいところです。1話目は少なくともその辺は気にならなかったのでね。 中の人的な部分については、男メインなのでそこまで語りたくなるもんでもないが、細谷佳正がまた新しい方向性で仕事をもらっているのがなかなか面白い。幸い彼も西の方の出身なので、ごつごつした九州方言の言い回しにもそこまで違和感はないし、今まで朴念仁ばかりやってきたイメージが強いが、今回みたいな豪放磊落なキャラも案外悪くない。この数年で確実に安定感は増している。そして、女性キャラは、場所柄だけに長崎出身の南里侑香を起用。これは面白い使い方である。やっぱり最終的には「都道府県出身声優」がものをいう時代だぜ。
○「黄昏乙女×アムネジア」 6
最速では一週間以上前に始まっていたはずだけど、アニマックス待ちだったのでようやく視聴。原作は何となく既読。コミックス3巻くらいまで中古で買って読んだはずだけど、特に読み返しもせず、場所ふさぎになるので知り合いにあげてしまった。あの当時アニメ化するって知ってたらあげなかったかもしれないんだけど。基本的に幽霊もの、妖怪ものは好きなジャンルなのでねぇ。 そんなわけで、原作の内容はぼんやりと知っているわけなんだけど、「絵がきれいなのは好きだけど、アニメにしてもそこまで盛り上がるようなお話でもないし、1クールだと大したクライマックスもないよね」と思っていたのだが、そこはさすがの大沼心。いきなりいじってきましたね。果たしてこれは「原作クラッシュ」なのかどうか。個人的には、この1話はかなりお気に入りです。理由はいくつかあるんだけど、一番大きいのは、やっぱりこの作品のキモであるところの「見えない存在である夕子さん」というネタを、わざわざこんな変則構成を使ってまでフィーチャーしたという点。やっぱり、アニメの1話はがっつりと掴みが欲しいところだが、こうして「この作品の面白いところはここなんですよ」というのが明示的に示されると、新規の人たちも見やすいんじゃなかろうか。 そして、そんな奇妙な脚本だが、ベタといえばベタな展開で、Aパート見てる時点で「ひょっとしてBパートは夕子さんありでやるわけ?」という予想は立つのだが、ここで2つ目のポイントとして、「女の子が可愛い」が活きる。Aパートの時点で、大体部室で何が起こっているかは分かってしまうわけで、本来ならBパートを繰り返すのはしつこいし、だれる展開であるのだが、やっぱり「そこに夕子さんがいる」ことははっきりと違うわけで、2つを見比べることで、夕子さんという存在の特殊性が浮き彫りになる。これってアフレコはどうやったのか気になるんだけど、とにかく勇気のある演出なのは間違いない。まぁ、むしろ「Aパートを見ただけで夕子さんが何をしているか分かる」っていう方が、演出としては難度が高くて面白かった部分ではあるんだけどね。プリントをぺらぺらやってるカットが好きです。 あとはまぁ、賑やか福圓さん劇場ってことで。今回はメインの4人が雁首そろえていたわけだが、何の紹介もなしに、この4人がどういう立ち位置で、どういう人間なのかが分かる、というのも良い点ですね。小此木さんのテンション芸は何よりも雄弁ではあったのだけどもね。 大沼心&SILVER LINKという毎度おなじみの組み合わせだが、今作の場合はキャラの等身が比較的高く、さらに夕子さんの場合は「可愛らしさ」というよりも「きれいさ」で見せるタイプのキャラなので、いつものようなおふざけ演出は多少控えめ。もちろん要所要所で大沼節ではあるが、割と素直に見せたいものを見せている感じだ。このままキャラ絵が崩れずに、どこか怪しく綺麗な夕子さんの勇姿が見られればよいなぁ、と思います。 また、大沼さんといえば、キャストへのオーダーもなかなか無茶なクオリティで要求してくるはず。今回は福圓先生が完全に世界を掌握していたわけだが、ここから先は夕子さんの仕事、つまりは中の人である原由実のお仕事だ。彼女の場合、実はアイマスの貴音役がほとんど唯一の代表作。この夕子さんが大事な大事なステップアップの2歩目ということになる。個人的には割と好みの声なので、ここでしっかり決めてほしいところだ。演技については「あぁ、そうなるのか」というような、ちょっと不思議な感じだが、決して悪いものにはなってないと思う。このまま「謎めき美少女声の声優」として定着……はしないな。
○「咲 -Saki- 阿知賀編」 5
割と間が空いたがひょっこりと帰ってきた、謎の美少女(?)麻雀漫画の続編。前作分くらいは漫画も読んでいたのだが、今作分は読んでないので、何がどうなっているかさっぱり分からない状態。だから1話目でいきなり和が出てきたときには正直びびったのです。 で、本編であるが、この作品に独特な「何の説明もなしにとにかくそこに麻雀がある」要素は本当に健在。なんで田舎の女子小学生が寄せ集まって麻雀やるのか、とか、麻雀メインで進路決めてんじゃねぇよ、とか、なんで昼日中のテレビでワイドショーに混じって女子中学生の麻雀選手権の決勝放送してんだよ、とか、そんなところがすごく健在。でも、この作品の場合にはもうギャグですらないんだよな。大まじめにそんな「アナザーワールド」を描こうとしてるんだもの。結局、麻雀要素を野球でもテニスでもなんでもいいから置換して見れば、純正青春スポ根ものとして問題無く見ることが出来ます。 で、そんな中身がどやねん、という話だが、まぁ、普通。事前に読んだキャストのコメントによると「咲は超能力麻雀ものだったが、阿智賀編は努力で戦う熱血ものです」ということだったので、おそらく麻雀のルールはろくにしらんのだろうあおちゃんのいうことを信じれば、今後はこのスポ根路線がまっすぐ進行するはずなので、女の子だらけの夢の麻雀世界をそこそこ楽しめればよいかしら、という感じだ。監督は小野学が続投しているし、制作もStudio五組なので、まぁ、大体同じと見て良いだろう(そういえば前作はGONZOだったんだなぁ)。正直言うと現時点で中の人以外にはあんまり肩入れする要素もないのだが、きゃっきゃうふふがある作品なら、それなりの盛り上がりを見せてもらえればある程度の満足は得られるんだと思います。うん、ちょろいよ。 |
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Thraxi
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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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