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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ○「大正野球娘」 6

 これもまた随分思い切った作品だ。「全員女の子」であまり「らしくない」ことをさせるという風潮は最近のアニメではありきたりのもので、たとえば女性だけで三国志をやれば「恋姫無双」や「一騎当千」になるし、軍事活動を行えば「ストライクウィッチーズ」になる。他にも「喰霊」「セキレイ」などなど、女性だけがぶつかり合うバトルものというのは萌え全盛の世の中にあふれかえっている。そしていよいよ、その「萌えキャラ勢」が野球にも乗り込んできた。

 しかし、いざグラウンドに立つのはバトルともスポーツとも縁遠いような女学生。時代設定は大正で、まだまだ「家を守る」時代の女性達だ。着物に身を包んで野球をやるその姿は、同じ時代背景の「サクラ大戦」と比べてもあまりに場違いだ。こんなに不安で、こんなに愛らしい野球物語のスタートも珍しい。

 しかし、公式ページでキャラを確認すると、どうやら野球もののお約束通り、きちんと個々のプレイヤーに特性がある。「料理店の手伝いばかりでむやみに肩が強くなった主人公」がキャッチャー、剣道に秀でたタフな少女はおそらくクリンナップを努めるのだろうし、参謀役、足の速い役など、女子中学生には女子中学生なりのポジショニングがある。こうした素人集団を1から育て上げるのだから、萌えアニメ好きで野球好きならばたまらないシチュエーションだ。久しぶりにパワプロを買って「大正ムスメズ」とか作りたくなる。

 設定以外でのアニメとしての骨子も、非常にしっかりしている。監督は「ヒゲのおじちゃん」こと池端隆史。監督としての実績は多い方ではないのだが、この人の作品には何故かはずれがない。今回は脚本も全部請け負っているようなので仕事も多かろうが、是非ともその安定感でもって全構成を切り盛りしてほしい。1話では主人公の小梅、そして言い出しっぺの晶子を中心に全ての始まりを描く展開。無茶な設定をごく自然に伝達するテンポの良い演出はもちろんのこと、女の子の細やかな仕草できちんと「大正娘」らしさを出すことも怠らない。特に目新しいキャラクター設定でもないのだが、こうしてきちんきちんと配役されていくのを見ると、今後の展開にも期待が持てるというものだ。

 唯一気になった点は、そこまで「大正」という特殊な時代設定をプッシュしているようには見えなかった点で、画面にもあまり「古めかしさ」のようなものは出ておらず、「マリア様が見てる」などで使い古された単なる「女学院」のイメージを踏襲している、という印象がある。ここでもきちんとオリジナルの味が出ればもっと面白い画面になるとは思うのだが。とはいえ、冒頭で小梅が意味もなく歌い上げる「東京節」(これが可愛い)など、そこかしこに意識は現れている。今後の展開でどの程度活きてくる設定かは分からないが、しばらくはゆっくり見守っていきたい。これで実際に野球を始めたら試合の描写もしっかりやらなきゃいけないしね。色々と難題の多いテーマだぞ。

 そしてキャスト。主役の伊藤かな恵は今期も八面六臂の大活躍だが、いつの間にか随分安定感が増した。これがしゅごキャラの力か(?)。そして中原、能登、植田、甲斐田といった80年代組が盤石の守備を敷く。なんだこの安心感は。そして個人的にヒットだったのは外国人教師役のみっここと新井里美。大人の女性を演じることが少なかっただけに、今回のように本人に近い(ボンキュッボンのナイスバデー?)役で声を当ててるのは、聞いてるだけで楽しくなってしまう。でも、今後壊れること希望。

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 ○「懺・さよなら絶望先生」 5

 良くも悪くもいつも通り。こんな作品のくせに(褒め言葉)気付けば3期。すっかりシャフトの定番商品みたいになっている。この原作スタイルなら本気を出せばいくらでも続けられるわけだが、果たして何期までいくものだろうか。多分、飽きるまでだろう。

 今回も1話は龍輪さんによるコンテで、原作をそのまま持ってきたようなそつの無い仕上がり。一応初回っぽく生徒全員の紹介なんかも入れているが、何か訳の分からないネタが仕込まれているということはない。その分だけ面白味に欠ける部分はあるが、もう既に自分がこの作品に何を求めているのかもよく分からなくなってきているので、不満があるわけでもない。むしろ生徒全員(何故か臼井くんまで)が団結して望を助けにいくシーンなんかは懐かしの東映まんが祭だったら劇場版で使われるようなプロットで、各々が自分の得意技で看守を撃退していくカットは無駄に良い動き。メルの携帯電話はどうやってダメージを与えていたのかよく分からないが……この時点で三珠ちゃんまでがレギュラーとして定着していることは分かった。根津さんと丸内さんは流石にいないか。

 とにかく、1話では「まぁ、クオリティは変わらないな」という安心感だけ得られたので、今後はすっかり刺激になれた「絶望ファン」にどんな驚きを見せてくれるか、という勝負になるだろうか。長期を目しているならあまり奇をてらわない普通の演出でも構わないとは思うけどな。

 最後はやっぱりキャスト話。こうしてみると各キャストが本当に自分のホームグラウンドで戦っている分かりやすい配役になっているわけだが、改めて麻里奈は電波役が似合うなぁ、と。「スキップ・ビート!」でいい感じにはまってたもんだから、今回久しぶりに千里(句読点付き)を聞いてそう思った。エンディングテーマでは今回も「地味な方」の生徒達がユニットをもっているのがうれしい。アサ姉ぇは最近地味に歌唱の仕事が増えてる気がする。そして最後の絵描き歌。両画伯による見事なコラボ企画であったが、小林画伯の方はもう慣れてしまった(もしくは覚悟していた)ので大丈夫だったが、ゴトゥーザ様が本気出し過ぎてた方が面白かった。

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 ○「NEEDLESS」 5

 原作は大体既読で何となく好き。今回アニメ化するにあたってドラマCD版とはキャストががらっと変わってしまったのがちょっと残念だったけど、アニメ版も決して悪いラインナップじゃない。そんな感じ。スタッフは迫井&マッドという非常に難しい連中で、「仮面のメイドガイ」ならミドルヒット、「怪物女王」なら残念無念。今回は「テクニカルディレクター」という謎の名義で沼田誠也氏がクレジットされているので色々と期待はしたいところだが……

 で、1話。まず、予想していたよりもアニメとしての落としどころが微妙。今井絵はアニメ向きだろうと思っていたのに、キャラデザも結構変化しているし、何より山田の髪の色が変。もともとあんなもんだっけ? イヴの衣装とかも微妙に色が気になるし、背景とのかみ合わせとかを考えると慣れるまで時間がかかりそうな気もする。そして、展開が早い。確かに1話目でやるべきはあそこまでだとは思うのだが、山田と姉の別れや、頑張ってブレイドを運ぶところなんかがざっくりあっさり。終盤のバトルシーンを見せるためには仕方ないんだけれども。このスピードだと2クールでアークライト戦まで行く気なのかな? ちょっと無理がある気がするが……

 とまぁ、不満はちょいちょいあるものの、原作が好みだから出てくる不平なのかもしれない。作中の必殺技名なんかは視聴者に分かりやすいように文字で演出してくれているし、バトルシーンの演出もコテコテながらギャグとのバランスがいい。子安の「判決死刑」を最大の見せ場に構成したらこうなったと思えば、納得も出来るか。

 今後の発展性はあまり無い気がするのだが、出来ればバトル偏重よりもギャグのテンポありきでお願いしたい。少女部隊が出てきたら雰囲気も変わるだろうし、山田のスキルである「推理」が絡むとまた演出も難しくなるしね。

 で、最後はキャスト話なんだが、イヴ役のキタエリは、まぁ有りか。山田も最近大忙しの綾さんだが、これまた安定した仕事。そして子安にめぐーにきーやん、内海さん。結構コマはそろっているのです。少女部隊はCD版キャストの方が良かったんだけど……まぁ、いいか。梔役がみのりんなのだが、作中で必殺技名以外にしゃべったところは1回しか見た記憶がないんだが。

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 ○「かなめも」 6

 「またまんがタイムきららかよ!」「またひらがな4文字かよ!」「また豊崎かよ!」「また少女ハーレム設定かよ!」などなど、もう本当に現代アニメは原作飽和状態であることを示すうんざり感満点。もう、こんな設定ばかりで何も面白いものなんか出てきやしない!

 あ、いいね、これ。おじさん気に入ったかも。

 こういう「長屋もの」は個人的にツボで、過去の作品でも「ひだまりスケッチ」「狂乱家族日記」、ちょっと前だと「まじぽか」とか「まほらば」なんかも割と好みのタイプだった。そんな典型パターンでも意外に難しいのが1話の導入。一気に住人が登場するおかげで、視聴者にキャラクターを印象づけるのが難しい。そこのところをうまくクリアしてるのが今回はよく分かるポイントで、露骨すぎるくらいのキャラの「属性」が自然な会話の流れから引き出される。コロコロしたキャラクターに全体的な雰囲気もマッチしているし、新聞屋っていう設定自体もなかなか目新しい。「けいおん」でギターが馬鹿売れしたみたいに、この作品を期に不調の新聞産業が盛り返したりするんだろうか。いや、まぁ、無理なのは分かるが。ちょっと気になるのが「こじか」ばりにはっきりした修正の数々だが、別にこんなちまっこいキャラにエロは期待してないので、余計な演出無しで見られるくらいの画面を作ってほしいのだが(あんまり露骨な百合要素もちょっと雰囲気にそぐわない気もする)。

 スタッフを見てみると、なんと監督は久しぶりの高柳さん。「姫様ご用心」はかなりの不発で終わってしまったので、今回は「4文字4コマ人気」にあやかってきっちり結果を出してほしいところ。構成の中瀬さんも実績のある人だし、こういうお祭り騒ぎの愛らしい女の子ものは相性がいいのではなかろうか。オープニング原画に細田がクレジットされたりと、割と好きなクリエーターの名前が散見される。やっぱりアニメを見てる時の1つの楽しみは「おー、今回はこんな人達が集まったんやなぁ」っていう奇妙な化学反応みたいな味わいだ。

 そういう楽しみはキャストにも言えること。この手の作品は一気にキャラクターが出てくるので、答えを見ずに駄目絶対音感のテストをするには格好の素材。今回は無口眼鏡の子はギリギリまで悩んだが、一応メインキャスト全員認知出来た(まぁ、代理役の水原はオープニングで名前見たから分かったようなもんだけど)。涼さんにヲタエリ、綾さんにヴァ。そして豊崎。なかなか面白い面子が集まったぞ。これに釘も参戦するのか。なんか綺麗どころが多いな—。

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 ○「うみものがたり〜あなたがいてくれたコト〜」 4

 沖縄っぽい南国の海を舞台にした「ARIA」の新作。最初はどうしたってそう見えるよね。地上の子はどう見ても藍華だし、マリンは灯里だし。でもなにやらほわほわした雰囲気とは別に妙なシリアス展開もあり、ちらっと情報を見たら「悪との対決」要素もあるらしい。なんじゃいそりゃ。おとなしく常夏の海ででっかい幸せでも探してりゃいいものの。

 原案がパチンコっていう時点でちょっと抵抗はあるが、なんと言ってもあのサトジュンの新作。期待するなと言う方が無理な話なのだが、総じて見ると非常に地味で伝わりにくい1話目になっている。所々で愛らしい表情を見せるキャラクターや画面のメリハリがきいたオープニングなんかはいかにもって感じなのに、メインのストーリーの方はギャグればいいのか萌えればいいのか真面目ればいいのかが分からない。さらっと流している設定も実は突拍子も無いものだし、深く考えたら負け。かといって考えずに見るには起伏に欠ける。うーむ、ここからどのように盛り上げていくかってコトになるのだが……ちょいと攻め気に欠ける1話目でした。今回は制作がサトジュンのお膝元であるハルフィルムじゃないんだが、何か関係があるのだろうか。

 もう1つ気になるのは、登場人物に共通する琉球方言。当方ネイティブでは無いので正しいのかどうかは分からないが(方言指導がいるのだからある程度は正しいのだろうが)、どうしても独特のイントネーションは違和感が残る。取り立てて「沖縄風味」を押し出す必要があるとも思えないので、いっそ全員標準語でも何の問題もなかったように思うのだが……後から効いてくるのかしら。メインヒロイン役のアスミスとホァだけ標準語でいいのはずるいよな。

 あ、ラジオは面白いのでそこは問題無しです。イエス! アスミス!

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 ○「エレメントハンター」 4

 「元素と仲良くなる!」というとんでもないテーマを打ち出した謎の教育アニメ。露骨なセッティングはアホらしいを通り越していっそ清々しく、「まぁ、子供が興味を持ってくれりゃなんだっていいや」という気にさせてくれる。実際、導入部分では「ルビジウムが消失したことで地面が数メートル陥没した」なんてとんでもない事件で度肝を抜いてくれたり、頓狂な設定だけでも気にさせる力がある。

 とはいえ、どうにも隣国との制作協力体制が見え隠れするおかげか、お世辞にもクオリティが高いとは言い難い。大崩れしているわけではないのに時たま不安になる画面、90年代を臭わせる安易な演出。せっかくのチャレンジなのだから、もう少し確実なところに頼んだ方が良かったような気が……

 テーマの見せ方としても課題は残っており、たとえば今回は窒素の回収が主な任務になったわけだが、何となく「窒素とアンモニアは関係があるの?」というくらいの見せ方で終わってしまい、実際に科学反応に興味を持ってもらうにはハードルが高い。せっかく「エレメント」という設定で元素を具現化までさせているのに、やってることはポケモンボールをぶつけてポケモン回収するのと変わらないのだ。まぁ、どこまで本気で「科学アニメ」にしようとしているのかは定かでないが、半端にやるくらいなら「思いっきり科学アドベンチャー・そーなんだ!」くらいのわかりやすさがあってもいいと思うのだが。

 結局、この作品の最大の難点は「対象年齢が分かりにくい」という部分かもしれない。「そーなんだ」は明らかに小学生を狙っていたものだったと思うのでポケモンちっくなゲーム設定アニメで良かったわけだが、元素記号にまで突っ込んで勉強するのは最低でも中学生以降なわけで(今の小学生ならやってないとも限らないが)、こんな子供じみた設定のアニメをおもしろがってくれるとは思えないのだ。まぁ、かくいうこんなおっさんがしっかり見てるのもどうかと思うけどさぁ。だって公式ページの周期表、アクチノイド以降の元素まで書いてあるんだぜ。何話構成になるのか知らんけど、イッテルビウムやウンウンビウムでどんな話を作れというのだ。……2クールで鉄くらいまでやればいいのかね。

 そうそう、いつも言ってることなんだけど、子供のキャラだからってリアル子供をキャスティングする意味は無いぞ。鬱陶しくてそれだけで視聴意欲が下がるわ。

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 ○「GA 芸術科アートデザインクラス」 5

 原作の大ファンなので、期待半分、不安半分でのドキドキ視聴。キャストや制作スタッフが全て分かっていたので、ある程度の予測はしながら見ていた。

 総合的な判断でいえば、まぁ、可もなく不可もなくといったレベルだろうか。専門用語の羅列になると画面上で意味が分かりにくくなり、視聴者を置いてけぼりにしてしまう傾向にあるのだが、実際はこれは原作も序盤に抱えていた問題である。出来ればアニメ化にあたってその辺も見直してくれれば良かったのだが……仕方ないか。

 掲載誌やジャンルの関係でどうしても「ひだまりスケッチ」との比較で見てしまうのだが、「ひだまり」との大きな違いは、アニメ化するにあたって、もとの「4コマとしてのテンポ」みたいなものを割とそのままの形で提供している点だろうか。「ひだまり」は1話で1日を描くという切り方をしているのでネタとネタの切り目が曖昧になり、流れを見てネタの順番も入れ替えたりしていたので、どちらかというとアニメとしての1話の全体図を意識した作り。対してこの「GA」は原作のネタの切れ目(つまりオチ)をそのままオチとして使い、小ネタを積み上げて構成していく形。一長一短だろうが、個人的には「ひだまり」のようなアニメの構成重視の方が技術的には高いものであると思う。特に初見の視聴者に対して顔見せの意味合いを持つ1話の場合、小ネタのつなぎでは人間関係や雰囲気を伝えるのが難しい(今回もキョージュのあだ名のネタとかは原作見てないと意味が分からないだろうし)。おそらく原作を大事にしようという意思の表れなのだろうが、そのあたりの処理は原作ファンとしては微妙な心情である。とはいえ、オリジナルのエピソードなんかも雰囲気は出ていたと思うので、このままの調子で空気感に気をつけて作ってくれればそれなりのものにはなるのではなかろうか。2話でもうあーさんが出てくるのね。

 ほんとにどうでもいいけど、一番気になったのはキョージュの髪の色が明るすぎやしないか、ってとこ。もっと常闇のような黒を期待していたのだが。
そうそう、キャストの話。イメージトレーニングを繰り返してきたのでどのキャラもすんなり耳に入れることが出来た。発表されていなかった部分では殿先生が高山みなみ、さめちゃん先生が南央美ってのはうれしいところ。結局、一番しっくりこなかったのは戸松のキサラギだった。ああいうキャラは初めてかもしれんが……変に掠れてしまっているのがちょっと触るんだよなぁ。

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 ○「化物語」 6

 ある意味今期最大の注目作。西尾維新作品の初アニメにして、シャフトの新作。一体何が起こるか分からないし、おそらく観た後にも分からない可能性がある。

 まず、世間的な風評をフォローしておくと、およそ原作既知の人間の評判は悪い。そもそも新房シャフトは「原作クラッシャー」という悪名高き存在なわけで、西尾維新のような熱狂的な信者を持つ作品でそのバッシングが強いのは当然といえる。あまりにイメージとかけ離れたものが飛び出してくれば文句が出るのは当然で、シャフトが「イメージ通りのもの」を出してくるはずもない。奇怪な演出で腹を立てた原作ファンが多いことだろう。

 しかし、残念ながら私は「西尾維新信者」ではなく「新房ファン」である。「夏のあらし!」が新房的には少しおとなしめの作風だったせいもあり、今回の純正っぷりには鼻血が出そうな勢いだ。メインのディレクターに尾石達也を配したことにより画面は混迷を極め、キャラクターデザインは「SOUL TAKER」以来、久しぶりに渡辺明夫が名乗りを上げる。もう、全ての要素が鼻血の原料。

 元々、西尾維新の作品は問答無用でアニメ化には向いていない。過去の事例を挙げるならば「×××HOLiC」の117話で原作として使われているわけだが、あの時も、水島努監督は原案通りに「画を作る」のを放棄することで解決をみていた。何が問題かといえば、圧倒的に台詞量が多いのだ。原作を読んでいないので予断にしかならないが、おそらく地の文のテキスト量も、実際のタイムテーブルに相当するカット数からはみ出るほどの分量があるだろう。つまり、この「余剰テキスト」こそが、西尾維新の(そして引いては現代ラノベの)「味」になっている。通時的にシーンを動かす必要のあるアニメーションに於いて、この余剰部分である「虚飾」は絶対的に相容れない。

 そして面白いことに、シャフトというスタジオの持ち味(の一部)もこの「虚飾」である。実際のストーリー部分とは関係のない飾り立てが、新房組を特徴付ける1要因であることは間違いないだろう。2つの虚飾がぶつかり合ったその先に、この「化物語」が生み出された。それは、アニメーションとしては暴虐とも言えるほどの「画」と「音」の二重構造。

 これまでのシャフトの作品を振り返ると、たとえば「さよなら絶望先生」ならば「虚飾」という要素が漫画原作の持つ特徴をそのまま書き出すことが可能となり、奇跡的な調和を見せた。不条理ギャグ作品の「ぱにぽに」も似たようなところがあり、「虚飾」を置くことそのものが、まるで原作にはじめからあったかのような親和性を生み出した。対するのは「ひだまりスケッチ」や「ef」シリーズだろうか。これらの場合、原作の背景は非常に情報量が少ない。その分をシャフトが「虚飾によって書き足す」ことで新たな発展を見せたわけだ。

 今回の場合、これらのどちらも通用しない。原作情報量はどだいアニメ化が無理なほど多いし、かといってあふれ出る文字情報をそのまま画面に落とし込んだところで何の発展性も無い。普通の作劇法なら、確実に八方ふさがりだ。

 しかし、新房組はここで奇妙な「ステレオ形式」を採用することでこの難問をぶち破る。不可解な台詞回しは極力そのままの「味」として採用し、最低限の作画で脚本部分を伝える。そしてその間のあまりある時間を、独自の画面情報で覆い尽くすことによってカヴァーしている。「虚飾」の「語り」と「虚飾」の「画」は、本来全く違うものであるはずなのに、あまりに突拍子も無いために逆に何がおかしいのかが分かりにくくなっているのだ。

 はっきり言って視聴者には無理難題を強いているわけだが、西尾維新作品の持つ「文章」ならば、この画面でも吸引力を維持することが可能であるとの判断だろう。もちろん、万全の信頼を置いたキャスト陣の実力を信頼して、という部分もある。

 1話は演出に尾石氏、作監に渡辺氏を招集しての万全の体制。画の嵐、言葉の嵐によるオーバーフローの情報に、飲み込まれるような1本になっている。丁寧に1つ1つ観ていけば、実際は粗も目立ち(たとえば序盤のひたぎの走るシーンなど、お世辞にもうまい動画とは言えない)、単純な「作画」という面から見たら決して飛び抜けたものではない。しかし、過度な陰影で特徴付けられた新房テイストによって、その全ては「ごまかされて」いる。もちろん、こうした「ごまかし」が最大限の計算に裏打ちされた構成力によるものであることは言うまでもない。このクオリティが維持されるならば、また新たな新房組の看板になるかもしれない。

 最後はやっぱりキャスト話。文中でも少し触れたが、この作品はキャストの「語り」でもっている。久しぶりのシャフトでメインを張る千和の恐ろしいまでの柔軟性と、安心のコンビネーションを演じる神谷兄ぃさま。唯一の心残りは、寄りにもよって「絶望先生」と同時期に放送しているってことか。流石に……被るなという方が無理だ。

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 ○「うみねこのなく頃に」 5

 満を持して始まった「あの」ひぐらしの流れを継ぐ作品。アニメ化の報は比較的早い内に耳に入っていたので、どうせ原作はプレイできない身であるから、その他の漫画媒体などの情報は一切シャットアウトして今回の視聴に臨んでいる。前作「ひぐらし」のアニメは個人的には充分に満足いくものであったし、同じスタッフ陣の担当しているこの作品にも期待はしたい。もっとも、まだ完結していない原作で、しかもミステリ要素が「ひぐらし」よりも分かりやすく(言い換えればごまかしにくく)なっているだけに、シナリオ面では過度な期待は抱かない方がいいことは覚悟した上で。

 1話目は、全盛期の講談社ノベルス、もしくは黎明期のKAPPA ONE(多分加賀美雅彦のイメージなんだろう)のごとき、画に描いたような新本格の「集合シーン」。孤島、富豪の一族、台風、呪われた運命。さぁ、あまりに分かりやすく舞台はそろった。後は、ここから何人消えるかだ。正直1話目でのものすごい量の登場人物は全く処理しきれないので、とっととまとめていなくなってほしいものである(多分、相当減るんだろうし)。この場面設定でwktkするなという方が無理な話で、孤島で館だったら多少(?)キャラクターの名前がおかしいくらいは目をつぶります。大丈夫、どこぞの作家のセンスと大して変わらないから!

 とまぁ、どうしてもプロット面に目がいってしまうが、1話目はコンテに藤原さんということで、地味ながらも安定した立ち上がり。「ひぐらし」とはまた違った意味での「昭和」的演出で無理のある人物紹介も何とかこなし、冒頭で提示すべき情報はそこそこカバー出来ているのではなかろうか(実際は原作から相当削られてはいるんだろうが)。個人的には相変わらず監督がコンテを切っているOPとか、音楽的に訳の分からない方向にぶっ飛んだエンディングなんかも見ていて楽しかった。あとはもう、ただ大きな破綻がないことを祈るばかりである。とりあえずベアトリーチェ(の中の人)が出てくるまでは見続けなければ。また魔女の役だよ。黄金の魔女だの次元の魔女だの逆理の裁者だの、やっぱりこういう役が一番輝いて見えます。

 キャストついでに感想を1つ2つ。まず、小野Dと鈴村は逆でいいんじゃないでしょうか。小野D、軽い役だと何か浮きます。鈴村なら、どっちもいけます。そしてうーうー言うホの字。久しぶりに見直しました。初めのうちはかぁちゃん役の小清水同様に「うーうーうるさんだよ! 黙れこの羽入もどきが!」と思っていたのだが、考えてみりゃ、「u」の音であそこまで泣き叫んだり感情的になる演技って、結構難度高いよな。こういう使い方もあるのか。

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