最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
あぁもう……あぁもうね……最終話! 言葉も出ませんわ。 何もかも完璧だった最終話です。話の盛り上げ方、各キャラクターの配置、演奏シーンのバランス、本当によくこれだけの構成が作りあげられるものだ。最終話コンテは山田さんなのだが、そちらの手柄と考えれば良いのか、全編通じてここまでを作りあげた石原監督の手腕なのか。……どっちもだろうなぁ。 冒頭、髪をポニテに結い上げる久美子からしてまずテンションがマックスまで上がる。そのポニテは何? 中川先輩の弔い合戦? 久美子の覚悟が朝のワンシーンで明確に伝わる。そこからいきなり電車内で麗奈とじゃれ合うシーンへつながり、二人のモチベーションの高さが窺える。「吹奏楽部が大会のために楽器の搬出入をする」っていうだけのシーンなのだが、これまで培ってきた部内の様々な人間関係の結末がちりばめられており、一切無駄なカットがない。もちろんデカリボン&中川先輩が至高であるが、緑輝や葉月のポジションだって、単なる脇役ではない、立派な舞台設定だ。部員全員が集まって初めて「北宇治高校吹奏楽部」なのだという、滝センの教えが力強く染み渡っているのを感じる。 そのことは、演奏前の音合わせから本番に至る場面でも確認出来る。どこまでも真っ直ぐな滝イズムが今では完全に吹部全体を調和させており、滝センはそのことに満足しながらも、決してそこで終わるようなことはさせない。会場をあっといわせる演奏を。そして、何よりもそのために、彼自身が汗だくになって生徒達を導く。野郎の汗が舞ってこんなに爽快な物語が出来上がるとは。その他、演奏シーンではこれまでの蓄積があったおかげで、各パートの音が1つずつ聞こえてくるようになっていたのが非常にありがたい。ぶっちゃけ今でも吹奏楽の音の良し悪しなんてさっぱり分からないが、今作の1クールの軌跡のおかげで、「これがチューバ、ここがクラリネット」という風に識別できるようになり、個々のパートの顔が見える程度にはなった(もちろん、それが分かりやすいように映像を作ってくれているわけだが)。特に、これまでほとんど注目されていなかったパーカッションだが、いざ演奏シーンを映像にするときには、動きが一際大きいので非常に画になる。おかげで今回はかなりパーカッションの細かい動きに魅せられることになりました。 その他、個人的クライマックスは、本当にたくさんあるけど大きく5つ。1つ、高坂さんの髪を結ぶ久美子。高坂さんが他人の手を借りて「何かをやってもらう」なんてことはあるはずがない。何しろユーフォを抱えて山登りする時にだって「平等に」ってんで他人の楽器を担いでいたような人間である。そんな高坂さんがわざわざ久美子に「結んで」と頼みにきた。たくし上げるうなじの色香も相まって、2人の近さが実に艶めかしい。「自分で髪を結い上げた久美子」と、その久美子に「髪を委ねた麗奈」という対比から、高坂さんの作りあげたい2人の関係性が垣間見られる。 1つ、会場外で音を確認してはしゃぐ葉月と中川先輩。二人の顔がくっつきそうな距離で聞き入っているシーン、アップで映る2人の顔のディティールが凄い。中川先輩マジ美人。なるほどね、こうして「外から音を聞いて反応する役」が必要だったから葉月というキャラクターがいたのだね。彼女の反応で、「演奏の出来不出来」が一発で分かるようになっているために、今回の結末に持っていく布石が揃えやすくなった。 1つ、舞台袖でキメる塚本。塚本君。いよいよ男になりましたね。久美子の耳元で囁いた後のカット、久美子から見た塚本は、気付けば男の子の頼もしさが出ている。見上げる視点から「大きさ」を見せる構図、光のあたり方も、確実に久美子が塚本に対して心動かされたことが分かる素直な「どきん」ショットである。いいね、これだけ出番が少なかったのに、ちゃんと「塚本君の成長物語」として完結しているのだ。 1つ、高坂さんのソロ。ここでこけてしまっては何もならないという最大の山場。ソロの冒頭部分は香織先輩の顔をナメるカット割りで高坂さんの勇姿を映し、更にその奥に吉川という並び順が憎らしい。最後には微笑む香織先輩も、最初はなるべく高坂さんの方を見ないようにしているし、吉川の表情も、決して全てが終わったわけではないという決意が見られる。高坂麗奈の晴れ舞台、とくと見よ。 そして最後の1つ。これは具体的なシーンではないのだが、心底感心させられたのが「あすか先輩の役割」である。前々から「田中あすかというキャラクターの暴虐はどのように決着がつくのか」と見守っていたのであるが、なるほど、最後には吹部全体で彼女を打ち倒すことで、「ラスボス戦」としたわけだ。蛇足とは思うが付記させてもらうと、今回、副部長先輩だけは、他の部員達と違う行動をしている部分がある。全員で「オーッ!」と声を上げた時に1人だけ無反応だったり、意気の上がる部員達の中で、1人だけ「これが楽しめる最後だ」と嘆息したりしている。これが何を意味するかといえば、「客観の権化」たる田中あすかは、盛り上がる部内でただ1人「現在の北宇治では優勝は不可能だ」と認定していたということ。彼女は、どれだけ自分の技巧が優れていようが、今の北宇治にはトップを取る演奏は出来ないと断じていた。だからこそ回りに合わせて盛り上がることもしなかったし、久美子に向かって「これで終わりだ」とさも当然のように言っていたわけである。この時点で、視聴者としては「あの田中あすかが終わると言っているのだから、北宇治はここで終わってしまう、なんてこった!」と思うわけだ(実際私はそう思った)。しかし、結果はその真逆。なんと、北宇治はあすか先輩の思惑、彼女の「絶対感」を打ち破り、見事に結果を出す。つまりこれが、擬似的に「田中あすかを倒す」ということである。こうして、「最後の逆転」のための布石として、絶対存在田中あすかが認定されていたのだ。まさにラスボス。「倒すのが無理だと思っていたものを乗り越えた達成感」が、彼女によってもたらされ、意外性を持った至福の結末を迎えることになるのである。 ほんと、よくこれだけの要素を配置して、一切の過不足無くまとめ上げたものだ。こんな最終回、見られて本当に良かった。 PR 黄前久美子が主人公になった日、第12話。これにて今作は完成へと至る。 説明不要の回ですかね。最終話へ向けて、これまで「観察者」であり続けた黄前久美子という1人のキャラクターが、スルリと物語内部に入り込み、ふてぶてしくも主人公の座に登り詰めるという展開。高坂さんとの魂の交感を経て以来、久美子は少しずつ「無気力な観察者」でいられなくなっており、前回もはっきりと「上手くなりたい」という台詞を漏らしていたわけだが、こうして作られてきた久美子像が、今週でようやく完成したことになる。 周囲を次第に固めていく「臨戦態勢」に乗り遅れてしまった久美子は、非情にも滝センの選抜から転げ落ち、高坂さんと一緒に「特別」になるという夢を志半ばで絶たれてしまうことになる。そのことは悔しくて悔しくて仕方ないが、それが「勝つため」に正しい決断であることも重々理解している。これまでの久美子ならばそこでそっと一歩退き、身の丈にあった立ち位置から回りで起こっている「戦い」を見守っていたことだろう。今回久しぶりに登場した葵ちゃんも、そうした「過去の久美子像」を喚起しての対比が目的であるし、姉との関係性においても、久美子がこれまで波風を立てずに生きてきたことが改めて確認出来る。しかし、高坂さんという束縛要因が出来たことにより、既に久美子に「退く」という選択肢は許されていない。彼女は戦わなければならない。抗わなければならない。こうして、久美子はいともたやすく「主人公」になるのである。 今回は(今回も)様々なシーンで今作独自の見どころが目白押しだったが、その中からあえて2点だけピックアップするなら、1つは冒頭から衝撃の通告まで続く「屋外での個人練習シーン」。時に一人で、時に高坂さんと一緒に練習を重ねる久美子。流石に日なたに出ていたらあっという間にやられてしまうし、おそらく楽器にも良くないだろうから必ず日陰を選んで場所を取っているわけだが、そんな「薄暗がり」でもはっきりと分かるその暑さと熱さ。久美子の表情、したたり落ちる汗、瞳に反射する景色と、日陰にも透過したかのように容赦無く降り注ぐ陽光。そうした全ての映像が、ただ一点、「夏の暑さ」に集約し、さらにそれが「久美子の熱情」へと繋がっていく。「夏」「水」といったオブジェクトについては、京アニは「Free!」シリーズの製作でたっぷりと経験値を積んだ部分で、今回はそれがダイナミックな動きとしぶきを伴う「動」の映像美ではなく、じっとりとしたたり、一目見るだに汗の漏れそうな「静」の映像美に繋がっている。高坂さんの表情や、皮膚に描かれる陰影も素晴らしく、この作品にどれだけの心血が注ぎ込まれているかが分かる。個人的に「暑」の京アニ、「寒」のP.A.みたいな印象が出来上がっている。 そして2点目は映像もさることながら、キャストの好演が光る「橋の上を駆ける久美子」のシーン。これまであまり取り上げてこなかったが、黒沢ともよという役者は非常に面白い存在だ。「声優」としてはまだまだキャリアが浅く、はっきり言って「アニメ声優としての発声」だけを聞けば拙い部分も多い。しかし、役者としての蓄積は豊富であり、芝居の中に没入する心得は充分のようである。これまでも「なんかエロい」や「なにそれ」といった一言で「性格の悪い黄前久美子」像を容易く作り上げてきていたが、今回はそうした「これまでの久美子像」をぶっ壊し、繭を破って新しい久美子が生まれてくる重要なエピソードであった。その「新生」の極みとも言えるのが、橋の上のシーン。「上手くなりたい」と叫び続ける久美子の声は、一声ごとに様々な感情の色を持ち、彼女が走る速度に合わせて全てを脱ぎ捨てていくような切迫感がある。これまで高坂さんの前でしか見せてこなかった「特別な自分」を、ついに塚本にもさらけ出し、実姉にもさらけ出し、いよいよ黄前久美子がその姿を現したのだ。この芝居を一部のズレもなく作り上げられるというのが、ともよちゃんの最大の強みなのだろう。表面的な技術だけでは推し量れない「勝負勘」みたいなものの強さは、やはり子役あがりならではのものなのか(「紅」の時のあおちゃんに感じたものに似ているのかもしれない)。 こうして久美子の物語としての完成を見た実質的な「最終回」と言ってしまってもいいお話だったが、本当の最終回は次回である。生まれ変わった久美子が、高坂麗奈、田中あすかといった「特別」達と肩を並べて「結果を出す」フェイズだ。指をバンテージだらけにした緑輝も、久美子との対比でついに長いトンネルを抜けた塚本も、全ての力が一点に集まり、滝昇の手で「次の音楽」へと向かう。一体どんな映像になるのか。どんな結末になるのか。今から正座待機もやむなしだ。 追伸:中川先輩、少ない出番で的確に可愛いです。吉川が許されたんやなぁ……。 この期に及んでまだ株を上げ続ける中川先輩超つえぇ、第11話。何であんなに良いポジションなんだよ。格好良すぎるやないか。実はこの部活が成り立ってるのって、彼女のカリスマ性のおかげなのでは……。 一つの決着を見るお話。言ってしまえば予定調和以外のなにものでもないのだが「オーディションの決着」という既定路線の結末に至るまでにも、色々と考えさせられるシーンが盛り込まれているのが本作の良いところ。脇に回ったキャラクターまで、一筋縄ではいかない懊悩が詰め込まれている。例えばなーんも考えていないように見える葉月ですら、きちんと久美子×麗奈というカップリングの存在を意識してそれを補佐する役回りで動いており、オーディション本番では、わずか4人しか存在しない「拍手することで意志を明確に示した人間」の1人としてしっかり爪痕を残している。彼女の真っ直ぐさは、数多のしがらみの中で潰れていく人間の多い吹部の中では貴重な存在である。ちゃんと「選出されなかったメンバーでもう一曲出来るようにしておく」という救済措置も採られており、低音パートからは葉月が1人だけここに含まれることで、自然に縁の下の力持ちとしての低音の責任感が養われているのが良い。かつて久美子たちは「演奏する楽しさ」で葉月を繋ぎ止めることに成功したが、きちんと各パートが重なり合った演奏を行えるポジションに落ち着いたことで、葉月は現在、一番楽しい時間を過ごしていることだろう。 その他にも、サブのポジションながらも中川先輩はキーパーソンとしての存在感が強い。デカリボンこと吉川優子との接点は、香織先輩が一番、そしてこの中川先輩が二番目に多い。下駄箱での一幕は、吉川が早まった行動に出ることを抑止し、彼女にきちんと「まっとうな倫理観」があることを確認させてくれる。「オーディションに落ちたくせに!」という心無い一言を浴びせられるも、中川さんは微動だにせず彼女の気持ちを受け止めており、そのことでより一層、吉川の心が揺さぶられることになるのである。中川先輩が2年生軍団のコントロールをしてくれなかったら、ひょっとしたらオーディションの時に組織票を入れるなんて暴挙もあったかもしれない。吹部の良心、それが中川先輩なのである。 我らが主人公、黄前久美子さんも、今回はサポートに回っている。麗奈とのハイパーキマシシーンは8話の神々しさに比べるといささか直接的過ぎて安易なイメージではあるものの、精神感応的キス(仮)の後に彼女の目元が画面一杯に映し出され、「にっこり」笑うところは衝撃的。これまで高坂さんは「微笑む」「ほくそ笑む」などの表情の変化はあったが、「ニッコリと目を細めて笑う」という大きな変化はなかった。今回、久美子の命を賭した宣言を受けて、彼女はまた一歩大きく前に進むことが出来た。久美子の覚悟は、高坂麗奈と「特別」の道を歩んでいくという試練の選択。かけがえの無い「親友」であり心の底からの「恋人」となったことで、久美子の精神レベルも一段上がっている。下校時に河川敷で必死に練習する塚本を見ての「上手くなりたい」という一言は、彼女の意思が定まったことの端的な表れであった。 そして、今回の主人公は間違いなくデカリボン・吉川優子である。邪道も極めればまた道也。非常に短絡的で、思慮に乏しい彼女の行動原理であるが、その根底に流れている強い願いは、久美子や麗奈の持つ意思と差別化するべきではない。たった1つの憧れ・愛情を維持するために、彼女はなりふり構わずにその全てを捧げている。麗奈に直接頭を下げた彼女の心中は察するに余りあるし、どれだけ頭で理解できても、どれだけ自分の愚かさをさらけ出すことになろうとも、彼女は最後の最後まで自分の意志を貫き通した。あのオーディション会場において、香織先輩の演奏に拍手を送ることが、どれほど困難で、みっともない行為であるか、想像できるだろうか。少なくとも、回りの部員達には出来ないことだった。優子の英断についていくことが出来たのは、3年という月日を共に過ごし、彼女の苦境を全て知っている部長だけである。部長と同程度の覚悟を、優子は持っていた。それだけは間違いないことである。結果だけを見れば、間違いは正されるべきであるという倫理的判断により、彼女は敗者となってしまった。しかし、きっと何よりも香織先輩は彼女の気持ちを分かってくれている。そして、あの後で彼女のことを責める部員はおそらく誰一人いないであろう。 優子の「わがまま」によって自ら針のむしろへと歩み進んだ香織先輩。彼女の苦境については前回も確認した通りだが、まるきり予定通りの展開となってしまい、吹部のマドンナは静かにその身を退いた。彼女にとっての「納得」は、結局最後まで手に入れることができなかったのだろうか。いや、そうではないだろう。彼女が目指していたものは、別に「ソロを演奏すること」ではない。今週の顛末を見て分かる通り、彼女の一番の願いは、「田中あすかを驚かせる」というものであった。超然として全く理解の及ばない副部長、あすか。彼女と3年間をともにしながらも、香織先輩はまだ田中あすかという人間に触れる事が出来ていない。このオーディションのどさくさに紛れて、何とかそんなブラックボックスに手を伸ばそうと努めたわけだが、残念ながら今回もその手は届かずじまい。香織先輩の演奏の後、副部長は一切拍手をしておらず、それを見た香織先輩の「また駄目だった」という奇妙な表情は、「納得」が片付いていないことを示している。しかし、ここから先でまだ彼女にはチャンスが残されているのだ。ソロが吹けずとも、田中あすかはまだ目の前にいるのだ。最後の最後に、3年生チームが壁を吹き飛ばすことは出来るのだろうか。 毎度ぞわぞわさせられる副部長先輩の描写について、蛇足と分かっていながらも一言。香織先輩と直接対話については言わずもがな。のらりくらりとかわしながらも、常にペットボトルを振りかざすその怜悧さがあまりに残酷で、彼女がおどければおどけるほどに恐ろしさが募っていく。そして、彼女の動向が最も注目されたオーディションの結果場面。「田中あすかが動かない」ということが単に手元を描くだけではなく、それを見る香織先輩の表情や、回りの音との対比などでジワリとにじむように描かれており、彼女の絶対性がホール全体に広がるように張り詰めていくのが壮絶。他の部員達は拍手が「出来なかった」わけだが、彼女だけは間違いなく、自分の意志で「しなかった」のである。それがオーディション審査という煮詰まった場面において、諸々の情報に加えて表出してくる画作りは実に巧緻である。ちなみに今回のコンテ担当の雪村愛氏という人は、中二病2期8話(凸森回)担当だった人のようです。……百合百合だけじゃないこのパワー。 さぁ、残されたのはフェス本番のみである。上手くなりたいと願い、麗奈と並び立つことを望む黄前久美子。孤高の存在として、滝昇だけを見て上昇を続ける高坂麗奈。そして、それら全てを見据え、麗奈の演奏にすら拍手を送ることはなかった田中あすか。残されたファクターはこのあたりだろう。吹部の未来は、一体誰の手に委ねられるのか。 あのエンディングからみのりんのCDのCMに繋ぐのはずるいと思うの、第10話。いや、全然関係無いんだけどね。こうなったら対抗して高坂さんの中の人もソロでCD出すしかないで(割とマジな願い)。 今回もじっくりしっかりの展開です。オーディションまでの流れは予定調和的な部分があったが、ここからコンクール本番までは何がどうなるかまだ分かりませんね。まぁ、コンクールは勝つんだろうが。残り話数を考えたら後は全員で志気を高めて、最高の形で本戦にぶつけるんだろうと思っていただけに、ここに来て最大級の火種が炸裂したのは意外といえば意外。っつうか、ここまでいつの間にやら滝イズムが吹部に浸透していると思われていたので、反乱分子が割と明確に動いたことが驚きである。あのデカリボン、「滝への反感」では行動を起こせなかったのに、「香織先輩への思慕」なら動くことができたんやな。とどのつまりは「Oh,百合強い」。まー、これまでの滝への不満が溜まりに溜まってのラストストローではあるんだろうけども。部活全体のことを考えたら、反乱するにしてももう少し早めにやってくれよ、とは思うわな。副部長先輩でなくても、こんな形で演奏の完成度を下げられたらやっぱり怒るで。 さて、今回はそんなトランペット問題も含めて大きく3つの事象が動いている。1つ目は、「中川先輩、尋常じゃなく良い人過ぎて株がストップ高」。もう、この世界でいちばん美しいのは中川先輩で間違いない。ホント良い人。久美子が過去のトラウマをフラッシュバックさせてパニックに陥りそうなのを読み切ったかのようなタイミングで動いており、フォローが完璧。その際に選ぶ言葉についても、余計な気遣いとか、心にもない上っ面の言葉でなく、彼女の本心からの言葉であるとよく分かるのがとても良い。どうやら、これまで何度となく仄めかされていた久美子の「過去のトラウマ」は、やはり今回と全く同じようなオーディションに関係するものであったようだ(まぁ、姉貴との確執もあるのでこれで全部ではないだろうけども)。彼女は「オーディションで他人を蹴落とすこと」に必要以上の罪悪感を抱えてしまい、実際にはがむしゃらで突破した今回のオーディションについても、「中川先輩は絶対不本意だろうし、いっそ自分が退いて……」まで考えていた可能性すらある。そんな状況で、先輩のかけてくれた言葉のありがたさといったら。過去のトラウマがあまりにもきれいに浄化されていくその様子は、もうこのまま久美子が「良い性格」になってしまうんじゃないかと不安になるくらいだ。まぁ、あの狭い空間でパート練習の日々は続くのだから、出来るだけ早いうちにわだかまりの種を潰しておこう、と考えるのは当然なのかもしれないけど。オーディションに落ちてもちゃんと部活に参加して久美子と屈託無く話してくれるのもいいよねぇ(まぁ、また窓際に戻っちゃったけども)。今回初めて気付いたけど、中川先輩って2年だから、今年駄目でも久美子と演奏出来る機会はあるんだね。「来年こそ!」っていうメッセージを送れるのはすごく救われた気分です。あ、でも僕もチョコシェイクがいいんで、ストロベリーとは交換してください。 そんな久美子との人間関係でいうと、2つ目の進展は「高坂麗奈の真実」である。まぁ、前から薄々分かっていたことではあるが、どこの世界にもゴシップ好きの耳ざとい人間というのはいるもので、「高坂さんと滝センは過去に面識があったらしいぞ」といううわさ話が一気に広がることに。たったそれだけの情報なのに「ひょっとしてコネ審査が?」というところまで一足飛びに噂が拡大しちゃうのはどうかと思うが、急激に締め上げたと思っていても、やっぱりまだ北宇治吹部には過去の「何かと理不尽な空気」は残っていたということなんだろう。デカリボンと同じように、潜在的に滝センへの不満を募らせていた部員がここぞとばかりにそれを表面化させたという面もあるのかもしれない。 結局、うわさ話ははっきりと「不平」の形で現れ、高坂さんは謂われの無い中傷にブチギレモード。慌てて追いかけた久美子との百合シチュエーションをたっぷりと堪能しつつ、バタバタと暴れてみせるのである。もう、久美子の前だと何一つ隠そうとしないのが素晴らしいですね。でも「滝センにはLOVE」なわけですよ。このあたりの潔さも高坂さんの凄いところ。久美子のことは好き。でもそれって人間性への興味であって、本能的な結びつきとは別次元の、ある意味では極限まで「人間的な好き」。滝センへの感情は、小難しいことを考える必要が特にない、純粋な好き。2つの「好き」を何の苦もなく使いこなし、自分の感情を隠し立てせずに振り回す高坂麗奈。やっぱり「特別」な人です。そんな高坂さんの振る舞いにもすっかり慣れた久美子の、適当な手綱の振り方もいかにも「性格の悪い」久美子らしいものになっている。この短期間で「対高坂」のスタンスを万全の状態で固められたあたり、久美子も無条件で彼女に惹かれるものがあったってことの裏付けだなぁ。 そして今回メインとなった3つ目のファクター、香織先輩の戦い。高坂さんと対決する意志を固めた香織先輩の心情については、何とも切ないものがある。彼女は、おそらく部活内の和を大切にしたいと思っており、オーディションの結果も(苦しいながらも)受け入れたはずだ。それにも関わらず、デカリボンの余計な怨念に後押しされてしまい、あれよあれよという間に再オーディションの準備が整ってしまった。普通に考えれば、彼女はこれを受けるべきではない。対立の構図を示すことで部内の火種がより明確になってしまうし、熱狂的シンパ(と反滝派)がいる時点で、「オーディションに余計な要素が介入する」可能性は、1回目よりも高まってしまっている。純粋に合奏の完成度を考えるなら、おそらく自身で「高坂麗奈に劣っている」ことを認めている彼女は、オーディションに再挑戦するメリットがないのである。しかし、部内の空気は、彼女を押し上げてしまった。もちろん、「納得していないだろう」という副部長先輩の言の通り、彼女自身にもリトライの願望はあっただろう。しかし、今となってはそれは些細なことである。彼女は自分の意志とは関係無しに、もう一度演奏しなければならない義務が産まれてしまったのだ。それは、「自分が高坂麗奈に劣っている」ことを、公衆の面前で示すためである。「自分は負けている」ということ、「滝のオーディションが公正であり、疑問を差し挟む余地が無い」ことを証明する唯一の方法は、彼女が再び吹くしかないのである。あまりにも苦しい針のむしろ。負けることがほぼ必定となる戦いに、彼女は挑まなければならない。ここで万に一つの番狂わせが起こればそれはそれで良しだが……何らかの外的要因で高坂麗奈という堅牢な魂が崩れない限りはどうしようもなかろうなぁ……。辛い。 そして、「堅牢さ」で言えば高坂さんすら超える恐ろしい存在といえば、やはり田中あすか副部長。今週も……怖かったです……。あのシーンがおそらく今週のハイライト(次点はペットボトル押しつけられて飛び上がる久美子)。副部長先輩がしゃべっていることはどこまでが本音か分からない、っていうのが久美子の感想だったわけなんだが、演出見てたらそれははっきり分かるんだよね。それに絡めて今回非常に興味深かったのは、彼女が手にするペットボトル。久美子に押しつけたことからも分かる通り、彼女が振り回していたペットボトルは「冷たさ」の象徴。彼女がそれを持っていることが、熱気溢れる吹部の中でも彼女だけがオンリーワンの存在であることの提示になっている。そして、今回のハイライトで「どうでもいいんだよね」と漏らしたその一瞬だけ、彼女は「依り代」としてのペットボトルから手を離し、窓際に置くのである。つまり、あの言葉から溢れ出る「冷たさ」には、ペットボトルの冷たさは関与していない。全て、彼女自身の発露なのだ。そこからまたすぐにペットボトルを手に取り、「冷たい仮面」をかぶって飄々と去っていく彼女の背中は、本当に異質で恐ろしい。 ここから先、彼女は一体、何をしでかしますかねぇ……。 張り詰める緊張感、第9話。ついに訪れた分水嶺、オーディション回である。 前回のインパクトがあまりに強かったために、つい今回の話数を見る前に8話を見直してから導入したのであるが、続けて見るとやっぱり明らかに演出意図が異なっているのが見て取れるのが面白い。8話のあの情感は、出そうと思って簡単に出せるものではなく、今回描かれたような「シナリオ」部分とはまた違った重みを与えるものになっていた。もちろん、だからといって今回が軽いということでは決して無い。今回描くべきは久美子がはっきりと口にしていた通りに、「先輩と戦う」「仲間と戦う」という覚悟のお話である。 前回のラストが「オーディションを始めます」だったので、すぐにオーディションに入るものかと思ったが、その前に恋愛関係の諸々の処理から。葉月は本当に良い娘であり、塚本に振られたコトについて、引きずっていないわけではないのだが、それを回りに投げかけるようなことはしない。緑輝は随分気にしていたわけだが、これも作中で言われていた通り、彼女が「勝手に」気にしていたことであって、葉月の本意ではないものだ。前回あれだけうざい絡み方をしておきながら、ここに来て勝手に反省するというのは、やっぱり子供っぽくて面倒なメンタリティである。いいか悪いかで分類するなら、明らかに緑輝は「悪い」立ち位置なんだけどな。 「悪い」というなら、ここでの久美子のスタンスも非常に興味深いものである。高坂さんには何度も「性格が悪い」と指摘されていた通り、この期に及んで恋愛関係に対する彼女のスタンスは煮え切らないというか、これこそが「黄前流」の真骨頂とも言える事なかれなぬるま湯反応に終始している。塚本と葉月が対話したこと、それによって葉月が傷ついたこと、その一因として(久美子自身に責任は無いとはいえ)久美子が関わっていること。察しの良い彼女ならばその全てを見通せているはずなのに、葉月や緑輝に対する態度は我関せずである。この辺りの対人関係構築こそが、高坂麗奈のいう「性格の悪さ」なのであろう。葉月に指摘された時には半ば本気で塚本との関係性を否定しているわけだが、それ以降の反応を見れば、彼女の本心は明らかである。まぁ、これまた葉月のいう通りに「こっちも無自覚系」なのだろうけれども、愚かなことは時として罪であることを、久美子はもっと自覚的になるべきだろう。 そして、この恋愛騒動の副産物として、「激怒する副部長」という恐ろしいものを見ることが出来たのもある意味で収穫だった。彼女の人ならざる神経はこれまで幾度か取り沙汰されてきたが、今回の「怒り」はその真骨頂とでもいうべきもの。久美子もなかなかに「性格が悪い」ので恋愛話に「知らぬ振り」を貫くが、副部長に至っては「知らぬ」ではなくて「要らぬ」なのである。そして、久美子のように表面上波風を立てないように努力するのではなく、一切他人の心理状態に関与しない。ひょっとしたらこの作品、田中あすかという存在こそが、最悪にしてラスボスなのではないか、という気もしてきた。最終的に彼女の落としどころはどういうポジションになるのだろうか。 葉月の気持ちはほろ苦いものを抱えながらも何とか解決。彼女が「さっぱりと諦めた」わけではないことは、塚本が食べていたパンをすぐに貪っていたことなどからも窺えるわけだが、あくまで彼女の中では「終わった」問題。残された問題はオーディションの話だけである。ここで行われる選別は、ある意味、予想通りの消化試合である。下馬評で通ると言われていた人は大体通るわけだし、葉月が落ちることだって当然の結果。高坂さんが先輩からソロを強奪することも、これまでの流れからほぼ確実なことである。つまり、分水嶺の話数とはいえ、その流れ行く方向はあらかた想定内だったわけだ。その上で、オーディションシーンに連なる一連の流れが緊張感を維持し続けられたのは、唯一の不確定要素であった中川先輩の存在があったからこそだろう。 これまで私もお気に入りでずっと追いかけてきた中川先輩。登場直後は吹部の「不真面目」の象徴的人物として窓際を占拠し、そのまま葵ちゃんと同じようにフェードアウトするのかと思いきや、まさかの一念発起で「再始動する吹部」の象徴的存在となった。それまでの気だるげな表情から、一転して過去の罪を悔い改め努力に輝くその笑顔は、「今までサボってたくせに」なんていう(正当な)文句を吹き飛ばすには充分なものであった。まるで彼女の輝きが現在の吹部の輝きそのものであるかのように、眩しく感じられたものである(ひいき目で)。 しかし、現実は非常である。残念ながら「怪物」田中あすかや、年季の違う久美子と戦うには復帰が遅すぎたようで、中川先輩はオーディションという壁を乗り越えることが出来なかった。彼女の物語の上での存在意義は、ここで途切れることになる。「久美子が蹴落とした捨て石」「踏み台」としての、あまりに尊い犠牲である。これまで何をするにも本気になれなかった久美子は、今後中川先輩の生霊を背負って戦わなければならない。彼女の努力を、彼女の想いを知っているからこそ、久美子はもう逃げられない。もちろん、別に中川先輩がおらずとも「オーディションに落ちた部員」はたくさんいるのだから、久美子が頑張らなければいけないことにかわりはないのだが、はっきりと「捨て石」として提示された彼女の存在は、ドラマに大きく打ち込まれたあからさまな楔となる(葉月ではその任を担うには不充分である)。これで本番に臨むユーフォ奏者は僅かに2人だけになってしまったのだ。久美子は、恋愛に、そして演奏に、どちらにも「本気」を迫られた人生のターニングポイントになったわけだ。何という青春模様だろうか。 そして、こんなターニングポイントを生み出してしまったのは、当然あの高坂麗奈ということになる。久美子が「変わった」のは麗奈との夜があったからこそ。それは本人も言っているのだから間違いない。全部が全部ではなかろうが、久美子は麗奈の訴える「特別存在への昇華」に共感してしまった。トランペットを吹くことで「脱却すること」を望む麗奈の世界を、美しいと思ってしまった。だからこそ、彼女は本気の中川先輩の練習風景を見ても、そこで折れずに前を向くことが出来たのである。既に2人だけの世界を構築できる関係になった怪しげな「友達」どうし。今後はソロ担当の麗奈にどんな試練が待ち受けるのか定かではないが、彼女の苦境は久美子にも苦境。3年生という大きな壁をぶち破らなければならないのは久美子も一緒なのである。「愛の力」で、吹き飛ばすことが出来るだろうか。 ……それにしても、的確に久美子が精神的にダウナー状態にあるタイミングを察知してやってくる麗奈さんは凄まじいサイコオーラを感じる。ほっぺたをぎゅ〜っと押さえるシーンは一見すればギャグだが、足下のみを映したカットなんかの含意は明らかだ。精神的な感応が必要以上にエロい。そんな素敵な百合アニメです。 すげぇ回がきちまった……第8話。今まで散々楽しんできた本作であるが、まさかそっちの方向へと開花するとはおもわなんだ。脚本は花田十輝なんだよな。こんなんも書けるものか……。 今回のテーマは、ものすごく乱暴にまとめると「他者への興味関心」ということになる。人間関係というのは実に様々な要素でくっついたり離れたりするものであるが、打算や利害ではなく、純粋に「こいつなんやねん」「この人はどんな人なのだろう」「あの人がもっと知りたい」という興味関心というのは、ある意味で最も「他者」を必要とする感情であり、原初的なコミュニケーションの第一歩といえる。今回描かれた吹部の「お祭り騒ぎ」の中には、そうした「興味」に溢れかえっている。 一番分かりやすいゴシップ根性から、典型的な「興味」を振り回すのが緑輝。はっきり言って、そばに置いておくにはかなり鬱陶しい存在である。葉月の恋愛感情を聞きつけるや否や、本人の意志など関係無しに自分の妄想で突っ走ってまわりをかき回そうとするその姿勢は、純真無垢だからこそ面倒臭い。「こいつホント駄目だな」と思ってはみたものの、エンディングの様子を見る限り、彼女が一切その興味を隠し立てすることなくおおっぴらに接していたおかげで、葉月も思い切り泣きじゃくってすっきり出来たのかもしれない。何事も適材適所ではあるが。あ、妹さんも可愛らしいですね。 純粋な恋愛感情というものは「興味」の発現としては分かりやすいものだが、実は既にその関係性は完成していたというチューバ先輩(長瀬さんというらしい)と後藤。まぁ、今までの様子を見ていれば確かに……いや、でもなんか羨ましいな、後藤め。同じパートにそういう関係の人間がいると回りも気を遣うんじゃないかなー、とか考えたけど、低音パートにいるのって中川先輩と副部長だけだったんだな。じゃぁいいか。中川先輩も、同じパートにいるのがあの副部長と、イチャイチャしてるカップルってんだから、そりゃ窓際でヤサグレたくなるのもしょうがなかった。そしてそんな副部長先輩は、基本的に「他者」への興味というものは皆無である。彼女にとって「人間」など大した存在ではなく、自分の理解が及ぶ程度の範囲は全て些事である。彼女にとって、葉月が男連れで祭りを歩いていることも、後藤と長瀬さんが付き合っていることも、友達が神社でお願いする内容も、そして不安の欠片もないオーディションも、どれもこれも「自分には問題じゃない」という意味で同じカテゴリ。そんなことよりも、どうやったらより心揺さぶる音楽が作れるかしか考えていない。今作で一番壊れているキャラの1人といえる。 そして、そんな色めき立つ吹部の中で、うっかり春が来ちゃった葉月の「興味」は、初めての恋愛経験。勢い任せで塚本に惚れるも、当の塚本は幼なじみの久美子が気になっていたために即勝負、即玉砕。このさっぱりとした失恋は、本当に彼女らしい一直線の分かりやすい感情の揺れであった。確かに失恋はショックだし、心の傷ではあるのだろうが、彼女の持ち前の強さと、緑輝のあけすけなフォローによって、きっと後を引かない傷で済むのではなかろうか。塚本の野郎、きちんとノーと言えるだけの侠気はみせたわけだが、その後の葉月の質問に対してはっきり返答出来なかったあたりはもう一歩といったところ。「チューバは陰で支えるんです」という台詞に対して返答しなかったあたりに、彼の本心は見え隠れ。というか、はっきり見えてはいるのだけど。しかし、何であんな女に思いを寄せるものかと謎は深まるばかりである。 「他人への興味」という意味では、一番浅薄であり、人間的な情動という側面から魅力に欠けていたのが、我らが主人公・黄前久美子。彼女は他者に対して強烈な興味を持つことも、感情をぶつけることもしない。もし他者への積極的な感情が生まれたとしても、それを理性や羞恥、外聞で押し潰し、表面は波風を立てないようにする人間である。中学時代から続く高坂さんとの確執も、そんな彼女の「取り繕い」のなれの果てだ。久美子は、他者の深奥を見ようとしないし、自分の本質をさらけ出すこともしない。ただ、何もそれは彼女だけのことではない。世の中の人間というものは、大なり小なりそういうものである。事なかれ、無関心、それが現代のスタート地点なのである。 しかし、そんな冴えない主人公のところに、ついに訪れた盛大なガールミーツガール。高坂麗奈というイレギュラー中のイレギュラーが、彼女の全てをぶっ壊すためにやってきた。単なるアクシデントから発生した謎の登山イベント。下駄箱のシーンでの「集合場所は?」には「この娘、こんな性格なのか!?」と驚いて大爆笑したものであるが、そこから始まる2人きりの「お忍び登山」は、どれもこれもがまるで夢物語のようである。高坂麗奈は、確かに変な人間であり、どこかに中二臭い「夢」を抱えたままの幼い少女である。しかし、彼女の「興味」の発露は実に真っ直ぐだ。彼女の目には、黄前久美子は自分と同じものを持つイレギュラーだと映った。「性格が悪い」という褒め言葉は、「普通じゃない」と言い換えても良い。そこいらにいる女子高生の有象無象とは一線を画す「おかしさ」を、彼女は久美子に感じ取った。だからこそ祭りへの招待を受け入れ、この期とばかりに彼女を山へと引っ張り上げた。昔から、山は霊所である。高みに登れば登るほど、現世と隔絶し、隠り世に近づく。青春18切符すら必要としないお手軽な「隔世」ではあるが、祭りという特別な夜に、人っ子一人いない山へと登るその行為は、何とも滑稽であり、異常なものだ。だからこそ、高坂さんは「興味」の対象である久美子を「引き上げる」場所としての価値を見いだした。 あまりに異質なその世界に呑まれ、久美子はこれまでのようなしがらみから少しずつ解放されていく。高坂に対して持っていた負い目が消え、次第に対等になっていく対話。全くキャッチボールになっていないはずなのに、少しずつ魂の底で通じていく感覚。一歩一歩の登山道が二人の呼吸を合わせ、互いに背負う楽器の重みを分かち、気付けば2人は同じ目的で、同じ場所に立っている。高坂の「愛」が、久美子を絡め取っていく。そして、たった2人だけのアンサンブルが始まるのである。この「山」のシーンの、互いの距離を測り合う緊張感。どこまでが上っ面で、どこからが本当なのかがあやふやな危機感。そして、いつの間にか肌と肌で繋がる密接な距離感。何もかもが、「麗奈と久美子」の世界を不動のものとしている。いつまでも見ていたい、怖気の走るようなシーンであった。今回のコンテ演出は藤田春香さんという人。恐るべし京アニ。こんだけの仕事をする人間がまだ出てくるのか。石原さんの演出指導ががっつり入ってるおかげなのかもしれないが、これだけの画作り、なかなか一朝一夕で出来るもんじゃないぞ。 とにかく圧巻。まぁ、すげぇ簡単にまとめると「キマシタワー」ということになるのだけど、もう、ここまで来ると百合とかそういう次元ですらない気もする。高坂さん、油断すると次の週には仏とかに昇華してるかもしれない。このアニメ、本当に一筋縄ではいかないわぁ……。 京阪電車のあのシートが好き、第7話。良いデザインだと思う。ところで、何で下校中に「葉月が降りた駅」で塚本が「乗ってくる」んだろう。塚本は友達の家で練習してたのかな。でも、下校するタイミング一緒だと思うんだけど。 今回も粛々とお話は進んでいく。ものすごく感覚的な話なので多分あんまり共感してくれる人はいない気がするんだけど、京アニの中でも武本さんってすごく「理性的な」画を作る人だと思ってるのよ。もちろん京アニのメイン張る人たちはほとんどがデザイナーとしてもクリエイターとしても一線級なんだけども、私の大好きな石原さんとか、あとは石立さんとか山田さんなんかは「情に訴える」形のドラマ作りの「何かをひっかける方法」が突出してて、武本さんは画の情報の効率化とか、シンプルに「伝える」ことに重きを置いているというか。よく言えばクール、悪く言えばあんまり画にあそびが出来ない。今回のお話もそんな武本コンテの性格が出てる気がするんだよね。「芋」から「芋」に繋ぐシーンまたぎなんかは分かりやすく場面を繋ぐ役割を果たしているのだけど、それって外延的な面白さで、キャラの心情に関係無い部分なんだ。今回クライマックスとなった葵ちゃんの出ていくシーン、そして久美子が部長先輩に突っかかられてたじろぐシーンなんかも、シーン自体のエグさに比して、理解しやすさが先に立つ印象。まぁ、あそこをマジでドロドロと処理されると本当に胃が痛くてしょうがなくなるだろうけど。適材適所ってことだろうね。 そんなわけで、今回は非常にお話の意図が見えやすいエピソードである。中心となるのは当然(待ちに待った)「葵ちゃんの退部」であるが、その事件を中心に、吹奏楽部に眠っている過去をえぐり出し、3年生チームの関係性を描くことを目的としている。葵ちゃんについては先週までで大体のパーソナリティが描かれていたので予定調和の進行であるが、ついに爆発した部長先輩の弱気は、久美子を理不尽に巻き込んでなかなかの迷惑。あそこで後輩に突っかかってしまうあたり、相当フラストレーションがたまっていたのだろう。普段お利口さんな人がああいう面倒臭い絡み方をしてくると、本当にどうしようもない。いや、久美子のレスもとんでもなく無責任だし、あいつはあいつで悪い奴だとは思うのだが、まー、あの状態で部長先輩に何を言っても納得はしてくれないだろう。「女性の怒りに必要なのは説得でなく共感」という言論が広まっているが、あの状況じゃぁ説得はもちろん、共感してもアウトという泥沼状態なのだ。ただでさえ立場の弱い1年生にそれをクリア出来るはずがない。そんな愚痴をへし折るには、副部長先輩のような傲岸不遜な「更なる理不尽」で対抗するしかないのである。この3年生チームの関係性って、すげぇヘンテコだし成立するかどうかも怪しいのに、「部長が優しい」「副部長が人外過ぎる」という2つの特異点によって成立してるんだよなぁ。非常に興味深い人間関係だ。 その他、メンバー全員の緩衝材として働くのが同じくトランペットの中世古先輩(CVみのりん)。「部活のマドンナ」という(エラく時代遅れな)言葉にも一切動じずに受け入れる胆力を持つ陰の強者。昔から「マドンナにはいも」と決まっているのですよ(ソースは藤子不二雄)。彼女のおふくろのような包容力と、天然とも取れる空気の読めなさ(読まなさ?)によって、ギスギスしていた3年生チームの関係性は何とか修復。最終形には葵ちゃんの居場所はなくなっていたが、それも仕方ないこと。強引にこの形で修復出来ただけでも立派なものだ。副部長は相変わらずゴーイングマイウェイだが、彼女がびくともせずに部の中心で拠り所となっているおかげで、今の吹部の危うい状態も維持出来ていると考えられる。普通ならばステージの中心に立つべき「俺ツエー」キャラが、こうして問題児としても浮き上がってくるのが今作の面白いところだろう。 そして、個人的に一番驚いたのは、中川先輩のポジションシフトである。てっきり葵ちゃんたち同様にリタイア組に入るんだろうとばかり思っていたのだが、なんと、先週辺りから着実に方向性を変え、今回見事に「真面目組」に路線変更を完了させた。「私ですらちょっと本気になってる」などという上から目線な気もする恥ずかしい発言をしており、今までの窓際無気力族設定は全てリセットしてみせた。そして、「不真面目だったけど更生したよ!」というキャラ設定は、1年前の吹部の事件を語る語り部としてもとても便利なポジションである。彼女は「滝センによる吹部の革新」を表現するもっとも分かりやすいサンプルであり、更に久美子たちを3年生の事件、はては「真面目な部活とは何か」という問題の答えにまで導く、便利な接続役として見事にアイデンティティを獲得した。いや、そりゃ中間の学年なんだから当たり前といえば当たり前なのかもしれないけど。中川先輩のポニテが可憐に揺れるだけでも、この世界は盛り上がるのです。不真面目でだるそうだった彼女が重たいユーフォ担いで帰ってる様子を想像するだけでもキュンキュンしますよね。 そうそう、あともう1つ意外だったのは、葵ちゃん退部に対する滝センの反応である。今作の特徴として「滝→葵」や「副部長→部長」といった「容赦無い正論による暴力」があげられ、今回滝センが行った葵ちゃん一人つるし上げ行為も全くの正義であるわけだが、それでついにドロップアウトに至ってしまった葵ちゃんを見て、滝センはなんだか悔しそうだった(正確には、彼女の退部届を見て口惜しそうにしていた)。彼の信念からすると、大して練習もせず、ハードなトレーニングに文句を言っていなくなる人間を追う理由も無いし、ノイズが無くなればせいせいするくらいのものだと思っていたのだが、実際には、彼は「部員が辞める」という事態に思うところがあるらしい。やっぱり、実は良い人なの……かなぁ。彼のメンタリティはまだはっきりと見えてきませんね。 この先、葵ちゃんがどうなるかは五分五分だろうか。彼女のいなくなった吹部は滞りなく進んでいるし、これが新しい姿だと言われれば、もう彼女が帰ってくる場所はない。でも、ドラマとしては戻ってきた方が綺麗ではあるんだよね。葵ちゃんは気付いていないようだが、彼女が退部した動機は、実は大きな欺瞞がある。彼女曰く、「去年辞めていった人を引き止められなかった私は、今の部活をだらだらと続ける権利などない」とのことであるが、同じく彼女は「高校は受験に失敗したので、大学はそれが許されない」とも言っている。そりゃ人生において受験の方が何倍も影響力がでかいのだから比べること自体がおかしいのだが、それでも彼女は、「一度失敗したことに対して、次こそは願いを叶える」ということを最大の理由にしてしまっている。ということは、部活動の在り方にだって同じことが言えるのだ。一度は犯してしまった過ちを、今こそ取り返すチャンス。ここで自分たちが必死の練習に耐え、改めて当時辞めていった部員たちに捧げることこそが、彼女の償いの方法であるはずだ。はたして、葵ちゃんはそのことに気付いているのだろうか。 そして、久美子はこの半端な立ち位置からどこへ行くことになるのか……過去のトラウマ話を匂わせながら、先輩に振り回され、高坂さんに威嚇され、更に葉月には恋愛話で勘ぐられ……なんだこの主人公。 全国のチューバ奏者の人に怒られるんじゃなかろうか、第6話。それとも、みんなして「あるあるwww」って共感してくれるのか。単体で体を成しにくい楽器を演奏するモチベーションってのは素人には分からない世界だなぁ。 順当に進行している。冒頭でいきなり滝センから「オーディションするよー、ゴミどもは出番無しだよー」という駆逐の一言が告げられた割には、そこまで殺伐とせずに穏当な進み方ではある。あるのだが……多分それは、今回「別にオーディションに受からなくてもいいし、そもそもオーディション受けられるかどうかも怪しい」という割と気楽なポジションに位置する葉月がメインとなっていたため。ここで葉月メインを持ってくるってのはなかなか上手い構成になっていて、彼女はオーディション宣言で特にギスギスする必要がなく、真っ向から「ひょっとしたらひょっとするかも?」という夢に向かって邁進できる唯一のキャラクターなのである。彼女の頑張りには緑輝も「楽器始めたばかりの頃を思い出す」と言っており、おそらく演奏者ならば誰もが通過したことのある「一番キラキラしている時期」なのだろう。適当そうに見えても後輩思いの先輩たち、同輩たちに支えられ、葉月の夢は少しずつ形を成していく。彼女を中心としたおかげで、北宇治高校がサンフェスを終えてからの「新しい門出の一歩」に相応しいエピソードになっていたのではなかろうか。葉月をメインにすると笑いを生み出しやすいっていうのも良い部分で、今回は笑えるシーンが強めのギャグ寄りになってて、チューバ君のくだりなんかは実に適当で大変よろしい。なんだかんだで付き合ってくれる久美子さん優しいわ(去年の文化祭で副部長先輩は何をやったんだろう……)。 しかし、そんな明るく楽しい成長物語の裏には、当然様々な地雷が仕込まれているわけで……今後は成長物語以外にも人間関係でずっしりみっしりとのしかかってくる部分も多くなりそうである。一見すると平和そうに見える低音パートですら、ポニテ中川先輩という不穏分子を抱えている。彼女は「久美子のユーフォが思った以上に上手い」ってんで既に諦めムード。おそらく彼女はユーフォをはじめてまだそれほど経っていないのだろう。典型的な「1年に押し出されるかもしれない先輩」候補である。元々やる気があったわけじゃなし、ここで3人しかいないユーフォから1人切られても文句は言えない立場にあるが、他のチューバトリオ、そして緑輝などは満遍なく努力家タイプであり、低音では唯一浮いている存在なのがどうにも気がかりである。久美子はまた「先輩を押しのけてまでは……」なんて余計なことを考えて悶々とする展開が訪れるのだろうか。 我関せずで黙々と練習を続ける高坂さんも、相変わらずの火種ではある。久美子との関係は確実に改善され、少しずつコミュニケーションが柔らかくなっているが、根っからの実力主義気質、滝シンパであり「勝つためだったら何が起こっても構わない」彼女は、部長先輩に大きな大きな圧力をかけている。「3年の中ではね……」という高坂さんの台詞からして、おそらくトランペットの腕は高坂さんの方が部長よりも上。となると、部長という要職にある先輩ですら、高坂さんが容赦無く蹴落とす展開はほぼ間違いない。流石にオーディション落ちはなかろうが、ソロパートを持っていかれるのは確実だろう。そうなると、はっきりとした下克上の構図に、滝への不審感を募らせている部員は黙っちゃいない。「部長を選ばないなんて!」という錦の御旗をもって滝に抵抗するようになる。そんな状態でも、高坂さんはケロッとソロパートの練習に励む。……うむ、単に部長が板挟みでキリキリしてる様子しか想像できないな。「私間違ってないじゃん」と堂々とする高坂さんを前に、久美子はどういう態度を表明することになるのか。 そして、放送開始から一貫してブレない「反・滝」の代表格である葵ちゃんは、そろそろお別れのシーズンだろうか。「オーディション頑張ろうね」ではなく、「オーディション頑張ってね」の時点で彼女はもう勝ち残る気がない。元から「楽しむための部活がしたい」と公言していたのだから当然といえば当然なのだが、そのことに気付いた久美子は少なからずショックを受けていたようだ。自分と一緒に頑張って全国を目指してくれると思っていた葵ちゃんが、早々に脱落を決め込んでいるのである。「そういう選択もある」ということを突きつけられて、またこの子は悶々とするよ。まだまだ過去のトラウマ問題も抱えているみたいだし……悩みの尽きない主人公だなぁ。いいことだけども。 こんだけ不穏な状態でも、画面は終始あり得ないくらいにキラキラし続けている。過去の京アニ作品の中でも図抜けた透明感だが、これが「可愛らしさ」「きらびやかさ」だけではなくて「怜悧さ」に繋がっている気がするのが面白いところである。今週はひたすらに葉月ちゃんが可愛かったので無問題だが、高坂さんのお美しいご尊顔が出てくるたびに、「またこの顔が苦痛で歪むかもしれん」とドキドキする。多分、滝センの顔は最後まで絶対歪まない。 まー、個人的には後藤先輩の顔さえ歪まなければそれでいいや。先輩、格好良いじゃない。チューバを担当する人間は人格者揃いに違いない(チューバ奏者への勝手なフォロー)。 うぉぉぉぉぉ! ライディーンやぁぁ!! 第5話。これがマーチングの曲になってるとはぁぁぁ! 滝セン、選曲のセンスがすげぇな。わざわざ先週敢えて曲名を明かさずに練習させてたので驚きもひとしおである。 まるでお話のように(そらそうだ)綺麗に「弱小高校が上達して強豪校と戦う」準備を整えていることがよく分かるお話。まー、冷静に考えればどう考えてもご都合主義で、出来すぎな展開である。「それまで一切やる気が無かった吹奏楽部が、どれだけ性根を入れ替えたとしても数週間でそんなに劇的に生まれ変われるハズないし、出来るなら苦労しねーよ」というのが普通の世界でのお話であり、北宇治高校にいたっては、部員の中に未だ完全にスイッチが切り替わってないメンバーもたくさんいるのである。そんな状態で有名強豪校と渡り会えるような演奏が急に出来るようになるわけがない。また、滝センと部員の確執に関しても未だ煮え切らない状態にあり、結局あれだけの暴言を吐いて年頃の女子高生を泣かせまくっていた鬼畜顧問の滝センに対し、部員全員が心を許したわけではないし、未だ反乱分子はくすぶっているはず。久美子視点からは「みんながあの日の合奏で何かを掴み、何かが変わったのかも」という風に見えているわけだが、いくらなんでもそれで万事丸く収まるんじゃぁ、滝セン無双が過ぎるだろう。それら全て含めて「青春の出世物語」ということで受け入れてしまっても良いが、ある程度は「はいはい、ご都合ご都合」と飲み込むことも必要である。まぁ、「Free」で怜ちゃんが急成長したのと同じくらいの感じで。 そんな分かりやすい成長ドラマへの違和感を差し引けば、今回の展開も相変わらずアツい。吹奏楽部の演奏形態なんてバリエーション無いだろ、と思っていたのだが、なるほど、マーチングというオプションもあるのか。「炎天下で重たい楽器を担いで一糸乱れぬ行進を維持しながらの演奏」というのは、私のようにこのジャンルに疎い人間にも非常に分かりやすいハードミッション。「62.5㎝の歩幅を身体に刻め」とか、そういう「無茶やんそんなの」と思えるトレーニングを繰り返し描写することにより、「この子たちも色々と無茶なハードメニューをこなしてるんだから急成長してもええやんけ」という理由付けの効果がある。他にも、久美子単体では中学時代の同級生との対話によって精神的な進歩が分かりやすく表示されているし、未だ楽器を吹かせてもらえない葉月についても、冒頭の肺活量検査のところで確実に基礎レベルが向上していることが示されている。「吹奏楽のスキルの進歩なんてアニメでどうやって描写するんやろ?」と不安な部分もあったのだが、なるほど、あの手この手で成長過程を見せることは出来るもんですね。ちなみに久美子たちの胸については……まぁ、まだ1年生だったら今後があるやろ(適当)。久美子はあの言い方だとBか。葉月、緑輝両名はAかなぁ……メインを張ってる4人のうち3人がひんぬーというのも……まぁ、放課後ティータイムと大して変わらないデスヨ。その分副部長が頑張ってくれてるし、何より高坂さんが無双出来るからこれはこれで。 そう、今回のハイライトは演奏シーンもさることながら、何と言っても高坂さん無双ですよ。夜の下校路、久美子と2人でちょっとたどたどしい会話をしながら帰る高坂さん。滝センの話が出ると目の色が変わる高坂さん。髪をかき上げ、明らかに雌の顔を見せる高坂さん。なんやねんあの色気は。彼女は我々をどうしたいねん。軍門に下れというのか。じゃぁ仕方ないな。前回までで低音パートのイヤホン先輩(中川さん)が可愛いなぁ、と思っていたし、今回ようやく向こうから久美子に話しかけてくれたので彼女の動向も引き続き気になってはいるのだが、高坂さんの圧倒的な破壊力の前に、他の部員たちは霞んでしまうことを止められない。対抗出来るのは現時点では中川さん、それに元気溌剌の副部長くらいのもんである。でもなぁ、副部長はまだ何か闇を抱えてそうなのが怖いんだよなぁ。 そして残された闇というと、「少しずつ一致団結していく部員たち」の描写の中に、一粒の異物として混ぜ込まれている葵ちゃんの存在である。2話目当初に予想されていたような明確な反抗こそ行っていないものの、彼女だけは、まるで「やる気のない部員」を代表するかのように少しずつ「はずれた」行動が描写されている。そのことは、部活全体と歩調があっている久美子が彼女の扱いを決めかねている描写からも分かるだろう。「今まで出来なかったことが出来た」というので盛り上がりを見せる吹部全体の中で、彼女の存在はどのようなブレーキになってしまうのだろう。滝センは相変わらずの様子なので彼女の存在など欠片も気にしないだろうが、曲がりなりにも良い空気が形成されているだけに、一度崩れた時にどうなってしまうのかは想像するだに恐ろしい。でもこのままハッピーエンドってわけにもいかないしなぁ……。 なお、多数のヒロインが相変わらず可愛かった本編ですが、冒頭の「ひたすら息を吐き続ける葉月」が今回の殊勲賞だったことを最後に付記しておきますね。普段のキラキラデザインが引き立っているだけに、変顔が際だつのよね。あ、あとスカートから覗く膝裏の描写にも何か執念みたいなものを感じます。大変良いことですね。大変良いことですね。 |
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Thraxi
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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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