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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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Archangel of Tithes 徴税の大天使 (1)(W)(W)(W) M

クリーチャー・天使

3/5 飛行

〜がアンタップ状態である限り、クリーチャーはそのコントローラーが各クリーチャーにつき(1)を支払わない限り、あなたやあなたのコントロールするプレインズウォーカーを攻撃できない。

〜が攻撃している限り、クリーチャーは、そのコントローラーが各クリーチャーにつき(1)を支払わない限り、ブロックできない。

 今回の神話天使。大天使とかいう割には4マナとお手軽で、色拘束を気にしなければ手軽にデッキイン出来てしまう謎のフレンドリー設定。ステータスはそこそこだが、そこに内包されているのはいかにも白らしいわがままの極み。こいつが見ている間はプチ「プロパガンダ(TMP)」であり、余計な支払いは相手の家計を圧迫する。攻撃に回ると攻撃監査能力こそ無くなるものの、今度はブロック時に納税を要求してくる。どうせ殴れないから、と立っていた連中も法外なショバ代に困惑すること間違いなし。ま、ゲーム終盤だとマナがあまり始めるのでそこまでの影響力はないのだが、そのための4マナ。勝負のキーとなる4ターン目に出るからこその強さ。相変わらず天使はこすっからい。タフネス5な上に「焙り焼き」が効かないっていう除去耐性の高さもなんとかならないものなのか。

 

Cleric of the Forward Order 前線の僧侶 (1)(W) C

クリーチャー・人間、クレリック

2/2

〜が戦場に出たとき、あなたのコントロールする〜という名前のクリーチャー1体につき2点のライフを得る。

 今回各色に与えられた「同じカードをかき集めると強いよ」サイクル。これらのサイクルは全てコモンで与えられ、主にリミテッドで枚数をかき集めることによりその強さが増し増していくのが共通仕様。オデッセイにあった「噴出」シリーズに近いイメージだろうか。そんなサイクルの白は素直な熊。そして187でとりあえず2ライフをプレゼントしてくれるのはほぼ確定なので、元々あんまり無かった「ありがたい老修道士(10ED)」のありがたみはほぼゼロに。更に立て続けに出せば4点、6点と膨れあがっていき、2マナの白熊としては破格のパフォーマンスを発揮する。とはいえ、やっぱりしょせんライフゲイン。「孤独な宣教師(ROE)」と比べてもそこまで突出したパフォーマンスとは言えない。そして白熊は序盤には殴りに行って敵と相果てるところまでが仕事の一環なのだから、わざわざ後続を待つためにつったってるのもアホらしい。ライフゲインはあくまでおまけとして、リミテッドでは序盤の数合わせ要員としてちょこちょこ引いておき、もし手を結んでいる瞬間が見られたらラッキー、程度のもんだろう。

 

Knight of White Orchid/白蘭の騎士(ALA)」 R

 渋い再録。書いてあることは全部強いのだが、いざ使ってみると、アドを取ろうと思うと後攻3ターン目、土地を置かずにプレイしてから土地を置く、というのが最速展開になるので、実際は2/2先制があんまり強くなかった、っていう。いや、それでも強いけども。

 

Kytheon’S Irregulars キテオンの不正規隊 (2)(W)(W) R

クリーチャー・人間、兵士

4/3 高名1

(W)(W):対象のクリーチャーをタップする。

 現在の無骨なイメージとは違い、どうやら濁点が付く前のキテオンさんは割と軽妙かつ奔放な性格だったようで、「捨て身の抵抗(JOU)」には「キテオン・イオラの悪名高き非正規隊」という記述も残されている。確かに、イラストやフレーバーを見る限りではまっとうな連中ではなさそうである。しかし、実際のカードは質実剛健。4マナ4/3はレアとしては普通レベルだが、単色デッキならば複数回起動も夢じゃない珍しいタップ能力により、戦場をコントロールするスキルは抜群に高い。そして、高名クリーチャーの課題である「どうやって相手プレイヤーにダメージを通すか」という部分が完全に自己完結しているのである。こいつ1体のためにブロッカーを3体以上残さなきゃいけない、なんて状況に未来があるとは思えないし、たかだか高名1だから、と無視するにしても、やっぱり5/4まで行くとプレッシャーは桁違い。たった1体で、シンプルな能力で、手軽に暴れ回れる厄介なお尋ね者連中である。

 

Starfield of Nix ニクスの星原 (4)(W) M

エンチャント

あなたのアップキープの開始時に、あなたは対象の、あなたの墓地にあるエンチャント・カードを戦場に戻しても良い。

あなたが5つ以上のエンチャントをコントロールしている限り、それらの中でオーラでないエンチャントは、他のタイプにくわえてクリーチャーでもあり、点数で見たマナコストに等しい基本のパワーとタフネスを持つ。

 あの「オパールの輝き(UDS)」が帰ってきた! もちろんそのままでは色々とデンジャラスなので1マナ重くなったし、「エンチャント5枚以上無いと例の能力は起動しないよ」という制限こそ設けられたものの、その分よく分からない自動供給装置が追加。適当に墓地にエンチャントを放り込んでおくだけで、いつの間にやらガシガシアドバンテージを稼ぎながら、最終的にはとんでもない数の軍団が襲い掛かってくるという。なんだこれ。神話だから何してもいいってもんじゃないぞ。幸い「補充(UDS)」のような出来すぎたパートナーこそいないが、発売後3ヶ月はあのテーロス環境と共存可能。スタンダードでもウルトラエンチャントデッキが一花咲かせられるかも。こうして「短い期間だから好き放題やらせてもいいよね!」という爆発物が紛れ込んでいるから基本セットってのはこわい。ちなみに、「蔵の開放(M10)」はモダンリーガルなんだよね……これ、瞬殺コンボあるんちゃう? なお、当時は「ジャッジを一番泣かせたカード」と言われた歴史もそのまま再現されているため、色々と挙動が面倒臭い模様。気になる人はその一部に触れられている公式記事参照ね。「神話実現(DTK)」と並べると手軽にややこしい。

 

Topan Freeblade トーパの自由刃 (1)(W) C

クリーチャー・人間、兵士

2/2 警戒 高名1

 素材の味わいをシンプルに楽しめる高名クリーチャー。そして、コモンの白熊のくせに2/2+警戒+追加能力と、最近のクリーチャーの質の高さを確認させるのには充分なカードになっている。まぁ、「ドロモカの伝令」も同じような設定だから、最近は「白と緑は熊には2つ分くらいのボーナスを」っていう認識でいいのだろう。最近は黒熊ですらメリット能力もって出てくるからな。熊なので例によって序盤は適度にクロックを刻んだり、相打ちしたりするのがお仕事だが、2ターン目キャストから高名達成までこぎ着ければ、3/3警戒というすこぶる面倒な存在へと成長する。これで先制攻撃とかだったら「ヤバい! やめて!」と素直に怯えることが出来るが、警戒ってのが絶妙にもやもやする強さでイラッとくるのである。現環境でも「ドロモカの伝令」の警戒付与は本当にイライラさせられるからなぁ。高名達成しなくても充分ウザいよなぁ……。

 

Vryn Wingmare (2)(W) R

クリーチャー・ペガサス

2/1 飛行

クリーチャーでない呪文は、唱えるためのコストが(1)多くなる。

 スレイベンの守護者、サリア(DKS)」が飛行を得た代わりに、空を飛んだ。もしくは「嵐前線のペガサス(M12)」に「アメジストのとげ(LRW)」を搭載しても3マナぽっきり。まぁ、どんな書き方をしても十二分に強い。「サリア」さんは特に下の環境ではマナ要求能力がコンボ対策のヘイトベアーとして優秀なので出番が多いが、このクリーチャーは「アタッカーとしてもそのまま通しやすいので、よりクリーチャーデッキっぽい運用が強い」「レジェンドじゃないからガンガン重ね張り出来る」というオリジナルの良さがある。3マナにしては線が細いのであまり激しい戦闘が繰り返されるような展開は苦手だが、自分のデッキをとにかくクリーチャーのみで固めておけば、それなりに相手を縛りながら手頃な戦力を送り続けることが出来るようになるだろう。もちろん、下の環境なら「サリア」や「とげ」と一緒に使ってしまうという刹那的な戦い方も面白い。リミテッドだと……まぁ、パワー2フライヤー。

 

Day’s Undoing 一日のやり直し (2)(U) M

ソーサリー

各プレイヤーは自分の手札と墓地をライブラリに加えて切り直し、その後カードを7枚引く。もしあなたのターンであるなら、ターンを終了する。

 神話なら何してもかまわないシリーズ。今度は何と「Timetwister(2ED)」である。どうした製作チーム。一体何に挑んでいるんだ。ま、一応特殊な設定でもってターンを強制終了させる措置が採られたため、このミラクルなドロー能力を使っての簡単コンボや無条件ブーストは出来ないようになっているわけだが、さて、世界中のデッキビルダーたちは一体どんな方法でこのカードを調理するのだろうか。……これ、めっちゃ速いデッキに突っ込んどけば、とりあえずハイパードローとして充分強いのでは……。ちなみにテキストには直接書かれていないが、殆どの場合はこのカードは解決中にターンが終わるために、そのまま墓地に置かれず追放されることになる点に注意。

 

Faerie Miscreant フェアリーの悪党 (U) C

クリーチャー・フェアリー、ならず者

1/1 飛行

〜が戦場に出たとき、あなたが他に〜という名前のクリーチャーをコントロールしているなら、カードを1枚引く。

 「同じカードをかき集めると強いよ」サイクルの青は、ボーナス付きの「西風のスプライト(M10)」。単純に1/1フライヤーなのでそこからのヒッターとしてのニーズがあるかもしれないし、2枚目以降がキャントリップになるならばデッキインするのをためらう必要はない。このカードと赤のオーラはたとえ何枚戦場にあろうが効果は変わらないが、枚数を集めればそれだけ戦場に残る確率が高まり、潜在的にキャントリップの量が増える、つまりアドバンテージが稼ぎやすくなる。これだけでデッキを埋めてしまえば延々スプライトを生み出し続けることだって可能になるのかもしれないのだ。実際にそうはならずとも、このステータスの生き物を入れたくないっていうデッキはそこまで多くないはず。例によって「引けたらラッキー」の精神で。

 

Harbinger of the Tides 潮流の先駆け (U)(U) R

クリーチャー・マーフォーク、ウィザード

2/2

あなたが〜を唱えるためにさらに(2)を支払うなら、〜が瞬速を持つかのように唱えても良い。

〜が戦場に出たとき、対象の、対戦相手のコントロールするタップ状態のクリーチャーをそのオーナーの手札に戻す。

 渋いサポートが光るレア。2マナ2/2マーフォークというだけでもそれなりにニーズがあるだろうが、そこに込められている能力が更に2つも。1つ目は「サラカーの消し去り(WWK)」などがたまに持っている制限つきバウンス。制限付きとはいえ元祖「大クラゲ」よりも軽い脅威のバウンス能力。これだけでもアンコモン以上の価値はあるだろう。そして、これを更に磨くためにもう1つの瞬速能力が加えられている。4マナで瞬速、場に出たときにバウンスといえば、あの「造物の学者、ヴェンセール(FUT)」クラスの能力。そしてヴェンセール先生には2マナで出すオプションはなかったのである。こりゃ凄い。マーフォークであるということは下の環境にも影響が与えられるということだし、青のマナシンボルが2つってことは、今の時代ならば「これで波使いさんが捗る!」という意味にもなる。2ターン目素出し、3ターン目「岸砕きの精霊」、4ターン目の相手エンドにコイツを出してバウンスし、5ターン目の波使いからトークンが8体。色々とひろがりんぐ。

 

Jace’s Sanctum ジェイスの聖域 (3)(U) R

エンチャント

あなたの唱えるインスタント呪文とソーサリー呪文のコストは(1)少なくなる。

あなたがインスタント呪文かソーサリー呪文を唱えるたび、占術1を行う。

 ジェイスさんの個人研究室ですかね。「神ジェイス(WWK)」で散々怒られたからなのか、ジェイスさんはあまり積極的にクリーチャーに触れようとはせず、今回も関係するのはソーサリーとインスタントだけ。その分機能もコンパクトにまとまっており、自分だけ「秘儀の打ち合い(AVR)」の半分の効果に、「見張る者の目(5DN)」のような効果をパッケージ。これにより、ジェイスさんが望んでいるであろう、「インスタントとかソーサリーを撃ちまくるデッキ」を安定して実現させやすいようになっている。今回青に収録されている果敢持ちクリーチャーとの相性は抜群で、2〜3体ならべてからこいつの能力で1ターンにまとめて適当なスペルを使いまくれば、間接的にクリーチャー戦闘にも貢献出来るかもしれないわけだ。汚い、ジェイス汚い。今後の構築では多少変形した「ジェスカイの隆盛」みたいな感じで使われるチャンスがあるだろうか。2枚、3枚と重ねた時の掘り進み具合が尋常じゃないぞ。

 

Soulblade Djinn 魂刃のジン (3)(U)(U) R

クリーチャー・ジン

4/3 飛行

あなたがクリーチャーでない呪文を唱えるたび、あなたのコントロールする各クリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修正を受ける。

 「豪腕の修道士」のレアリティをあげたら、飛行とパワーを手に入れた。今回も青は果敢もテーマになっており、これと果敢クリーチャーが並んだ時のサイズアップの勢いは、予測出来ないだけに非常に戦いにくい。「豪腕の修道士」でも充分決め技になったのに、こいつの場合はご丁寧に自分も積極的に殴っていけるスタイル。ここから「ティムールの激闘」に繋いじゃうとそれだけでゲームが終わったりも。多分、「レアにしては地味」っていうのが唯一にして最大の難点。

 

Dark Petition 闇の誓願 (3)(B)(B) R

ソーサリー

あなたのライブラリからカードを1枚探し、それを手札に加える。その後、あなたのライブラリを切り直す。

魔巧 - あなたのマナ・プールに(B)(B)(B)をくわえる。

 久々登場、グリセルブランドさんの御姿が映えるイラストが目印。こいつの手、すげぇ不便そうだけど、ご飯食べるときはどうしてるのかしら……。そんなグリセルさんとの契約シーンを描いたカードは「魔性の教示者(M14)」にボーナスをつけて1マナ重くしたもの。同様のセッティングは「魔性の天啓(M13)」などでも確認出来る。明らかに速いデッキ向けのカードではないし、5マナもかかるスペルなのだから、唱える時は高確率で魔巧条件を満たしていることだろう。その場合には何とおまけで「暗黒の儀式」がついてくるので、この呪文は実質2マナ。公式記事ではドヤ顔で「やばいわー、デモチュー再録だわー」なんて冗談めかして言っていたが、確かに2マナで何でもサーチ出来るカードと(擬似的に)捉えられるならなかなかの化け物。例えば「英雄の破滅」がどうしても欲しいタイミングなら、サーチしてすぐに打ち込むことが出来るわけだし、探してきたカードでなくても、展開力を落とさずにサーチ出来るのは強力だ。残念ながら現在はあまり「教示者」を使っているデッキというのは見ないし、必ずしもこのカードが「教示者」よりも強いわけではないが、先の長いMagicの歴史の中で、こいつが輝ける時代がどこかで訪れる可能性はある。

 

Demonic Pact 悪魔の契約 (2)(B)(B) M

エンチャント

あなたのアップキープの開始時に、以下からまだ選ばれていない1つを選ぶ。

・〜は対象のプレイヤーかクリーチャーに4点のダメージを与え、あなたは4点のライフを得る。

・対象の対戦相手は手札を2枚捨てる。

・カードを2枚引く。

・あなたはゲームに敗北する。

 「4つの契約」というフレーバーは明らかにリリアナさんが4体のデーモンと交わした契約をイメージしたものだろう。一見すると「命令」や「魔除け」サイクルのような選択式に見えて、実は毎ターン違う効果を発揮するエンチャントであるというデザインがまず面白い。1つ1つの効果はそこまで驚くほどのものではないが、3つ目の効果までが4マナで全部こなせるのだとしたらカードとしての素体は確かに強い。クリーチャーを除去し、更に「精神間引き(NPH)」まで行う。タイムラグがあるので必ずしもコスト計算に見合うものではないが、それでもやっぱり圧倒的なアドバンテージが稼げる。そしてやってくる4ターン目。これをどう処理するのかが最大の焦点になるわけだ。「終わりが来る前に勝てばいいんや!」というのがポジティブな考え方だが、どう見ても「さっさと勝ちきる」タイプのカードではないので、なかなか「これの後押しがったおかげで勝てました!」とはならないだろう。「深淵の迫害者(WWK)」のときのように自分で除去れればよいのだが、残念ながら黒にはエンチャント除去は不可能だ。サクってしまうという手も考えられるが、黒はエンチャントをサクることすら難しい。「小悪疫(M12)」も駄目だし、かの「陰謀団の先手ブレイズ(ODY)」先生ですらエンチャントはサクり対象外だった。そうなると、あとは他の色を足して何とかするしかない。緑や白ならエンチャント破壊があるが、万一カウンターされると目も当てられないので、相応の覚悟は必要。青ならば一度バウンスしてもう一回悪魔と契約する多重債務(支払いは重複しない良心的設計)を狙う道もある。何はともあれ、色々と楽しそうなのは間違いない。さぁ、デッキをつくって君もリリアナさんと同じ波乱の人生を生きよう。

 

Gnarlroot Trapper (瘤根の罠師) (B) U

クリーチャー・エルフ、ドルイド

(T)、1点のライフを支払う:あなたのマナ・プールに(G)を加える。このマナはエルフ・クリーチャー呪文を唱えるためだけに使える。

(T):対象の、あなたのコントロールする攻撃しているエルフは、ターン終了時まで接死を得る。

 ベースとなっているのは「病み土のドルイド(MOR)」。他にも黒と緑が手を結ぶ場合には「深き闇のエルフ(RAV)」のように痛みを伴うマナエルフになるのが定番。「アーボーグのエルフ(APC)」はなかなか偉かった。そして、今回は「病み土のドルイド」のレアリティを挙げ、生み出すマナをエルフ専用に制限することで、追加の能力を手にすることに成功した。ローウィン世界の黒エルフってことはいわゆる「目腐り」であり、得意技は劇薬ツキノテブクロを使った接死戦法。接死は「未来予知」でキーワード化された能力だが、その直後のローウィン世界でエルフが多用することによって一気に認知が広まった能力なのである。まぁ、「光り葉の待ち伏せ(LRW)」とかを見ると黒くないエルフも接死は使えるんだけども。とりあえずサポーターとしては超一流。更にマナクリーチャーとしてもそこそこ使えるわけで、他のマナエルフのように「中盤以降仕事がないよー」と失職を憂う必要も無い。なんとも抜け目ない、そして嫌らしいクリーチャーではないか。

 

Tainted Remedy 穢れた療法 (2)(B) R

エンチャント

いずれかの対戦相手がライフを得るならば、そのプレイヤーは代わりにそれに等しい値のライフを失う。

 イラストのシーンは、まだ癒し手として活動していた頃のリリアナさんが愛しい愛しいお兄様に自分が思いつきで作った薬を飲ませてしまうという劇的なシーン。この後、ジョス兄様は案の定化け物に変貌し、最終的に屍術を駆使したリリアナに葬られることになってしまう。そんな不幸なリリアナさんの「穢れ」を表したカードなわけだが、なんと過去には同じ効果を持つカードを作り出した「穢れ女」の代表者がいた。その名は「触れられざる者」フェイジさん。彼女のやらかしてる様子が確認出来るのが「偽りの治療(ONS)」で、厳密には違う効果だが、ほぼ同じ挙動を一時的に起こすインスタント呪文であった。当時の僕はこのヘンテコレアが気に入り、何とかこれをメインにデッキを組めないものかと四苦八苦したものだが、結局、限られたタイミングを利用するインスタントを中心にしたデッキを組むことは叶わなかった。しかし、今回はどうだろう。なにしろ恒常的に場に残るエンチャントだ。しかも、ライフゲインってのは効果が小さいだけに割と査定はユルくて、その効果も警戒されていない場合が多い。絆魂のクリーチャーが殴った際のライフゲインはmay能力ではなくmustだし、これを置いておけば「包囲サイ」も痛み分け。「クルフィックスの狩猟者」を置いたプレイヤーが、飼い犬に手を噛まれるようにしてどんどん疲弊していくのをみるのはこの上ない楽しみだろう。これまで「ただ強い」能力の筆頭候補であった絆魂が、このカード1枚でその意味を真逆にしてしまうのである。わーい、楽しそう。もちろん、積極的にライフゲイン呪文で攻め立ててあげるのも悪くない。オススメは何と言っても「疲弊の休息(WWK)」。2マナ8点火力ブラボー。

 


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6月26日 ドラフト模様(DTK×2 FRF

ピック順 【Sangriter】→【Mei】→【Thraxi】→【Alessi】→【Serra】→【Sea-chicken】→

 

 ぼちぼち「マジック・オリジン」のスポイラも充実してきて、(非常に個人的に)盛り上がっております。まー、大体どうでもいいコモンとか再録カードは最後にまとめて出てくるので、新しいカードがバンバンお目見えしてるこの時期が一番盛り上がることになるんだけどさ。なお、個人的にちょこちょこ進めている「オレマスターズキューブ」の色アーキタイプが今回の「オリジン」と1つ若干被っていてショックを受けていたりするのは内緒。まぁ、そんなにたくさん新しいネタがあるわけじゃないからねぇ。

 


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 思ったよりも仰々しいセットになりそうである。最後の基本セットとして華々しく散るというよく分からない目的意識、そして初心者用セットというお題目がドンドン薄れていく感覚。結局今回も2色の組み合わせ10通りに10のアーキタイプが用意されているというのだから、制作側の本気度合いが違う。一体どんなセットになるというのだろう。ここまでやるなら、もういっそ基本の事なんて完全に忘れて、まっさらな新しいエキスパンションにしてしまってもいいのにね。

 

以下、本セットで初めて登場する2つのキーワード能力である(詳しくは公式ページ参照)。このセットのテーマは「成長、前進」とのことで、どちらも「成長」に関係する能力だ。

 

○「高名(Renown)X」

 高名は以下のルール語として与えられる「このクリーチャーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えたとき、これが高名でないなら(if it isn’t Renowned)、これの上に+1/+1カウンターをX個置く。これは高名になる(Renowned)」。

トリガーこそ違うものの、扱い方は「怪物化」と大体同じ。怪物化はインスタントタイミングのコストの支払いをトリガーにし、こちらはプレイヤーへの戦闘ダメージ(プレインズウォーカーでは駄目)をトリガーとしている。初めて戦闘ダメージを与える、つまり実地に出ることで童貞卒業、めでたく戦士としてデビューするというイメージだろうか。なお、怪物化における「怪物的(monstorous)」と同じで「高名であること(renowned)」はそのカードの特性として記録される。この後何らかの方法で+1/+1カウンターを取り除いても高名であることに変わりはなく、高名であるかどうかを参照するカードも存在している。現時点では白と緑に与えられた能力である。

 

○「魔巧(Spell mastery)

 魔巧は主に呪文カードに与えられる能力であり、以下のルール語として規定される。「あなたの墓地にインスタント・カードやソーサリー・カードが合わせて2枚以上あるなら、そのプレイヤーは魔巧を満たした状態である」。まぁ、ぶっちゃけ簡易版のスレッショルドである。魔巧を持つ呪文が唱えられた場合、解決時に常に墓地を確認し、条件を満たしていれば魔巧トリガーはオン、足りなければオフとなる。各々の物語の主人公であるPWたちが経験を積んで成長していく姿をイメージした能力語だ。

 


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6月19日 ドラフト模様(DTK×2 FRF

ピック順 【Mei】→【Alessi】→【Thraxi】→【Serra】→【Sea-chicken】→

 

 実はこの環境に入ってから初めての5人戦。「この環境に入って」が割と長いので、最近はけっこうコンスタントに集まれていたのだな、ということが分かる。まだまだ続くこのタルキール世界だが、流石にボチボチ落ち着いてきたのか、1人欠席だと判明した後には「もう別に今日はやらなくてもいいか」みたいな空気にもなっていたのだが、最後に訪れた1人の強い希望により無事に5人戦が開催され、試合後には、件の「やらなくてもいいか」と言っていたおっさんが晴れやかな顔で「やぁ、やっぱり週に1回のドラフトは大事やな。やらなくていいとか言ってた自分を反省するわ」と訳の分からない感想を語っていた。いつになったら飽きるんでしょうね。なお、参加出来なかった1名は、お仕事がとても楽しかったらしいです。ドラフトとカラオケとサブウェイを足したくらい楽しかったそうです。……ヨカッタネー。

 

 


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Bloodhall Priest 血の間の僧侶 (2)(B)(R) R

クリーチャー・吸血鬼、クレリック

4/4 マッドネス(1)(B)(R)

〜が戦場に出るか攻撃した時、あなたの手札がないならば、〜は対象のクリーチャーかプレイヤーに2点のダメージを与える。

 今回、何故かちょいちょい収録されている「手札が無ければ」という縛りを持つレア吸血鬼。いわゆる「暴勇」能力なので赤や黒に収録されているのは理解出来るが、これまであまり見なかった制限だけにちょっと不思議。マッドネスで手札を捨てることを推奨し、さらに「捨てられること」に付加価値を付けるのが目的だろうね。これまでは共鳴者ばかり集めても「肝心のマッドネスカードがない!」ってな悲しみがあったが、こういうカードを集めておけば、マッドネスでなくともカードを捨てることに意味が出てくる。とはいえ、この能力はレアとしてはすこぶる地味。4マナ4/4とでかいので別に不満は無いのだが、最後の手札として使わなければ場に出たときの2点も飛ばず、常に手札を空にした背水の陣でなければ真価を発揮出来ないってのはかなりリスキー。そこまで頑張って、もらえるご褒美が2点火力程度では、相手のブロックの前に倒れることの方が圧倒的に多そうだ(何しろこっちは手札が無いのだから相手はトリック使い放題である)。せめて187能力だけでも条件なしで撃てるようにならなかったもんですかね。

 

Campaign of Vengeance 復讐作戦 (3)(W)(B) U

エンチャント

あなたのコントロールするクリーチャー1体が攻撃するたび、防御側プレイヤーは1点のライフを失い、あなたは1点のライフを得る。

 前もってストーリーが公開されてしまったため、「即堕ち2コマの1コマ目」みたいなネタ感満載のイラストになってしまった可哀相なカード。弱者だと高をくくっていたかつての弟子に完敗し、同盟を組んだと思っていた同族に後足で砂をかけられる。ソリン・マルコフ、不憫な男。まぁ、そんなソリンさんの末路は置いとくとして、カード自体は実に吸血鬼。色が色なのでどっちかというとゼンディカーっぽい吸血効果だが、書いてあることは割とイカレてる。殴るだけでチュルン。かつてアタックすると1ライフが手に入る「正義の理由(ONS)」というエンチャントがあったが、それと同じコストでルーズライフまで実現してしまった。3〜4体も並べて適当にパンチするだけでゲームを決めることが出来るだろう。数を増やしやすいスピリットトークン、死んでも蘇るゾンビ族、それに素早い攻めからのとどめが欲しい吸血鬼、大体の白黒種族に何となく当てはまる効果になっているんじゃないだろうか。間違っても、これを張ったからって慢心して石の中に収納されちゃわないように。「しまっちゃわれちゃうおじさん」っていう蔑称でマジ笑ったわ。

 

Gisa and Geralf ギサとゲラルフ (2)(U)(B) M

伝説のクリーチャー・人間、ウィザード

4/4

〜が戦場に出たとき、あなたのライブラリを上から4枚墓地に置く。

あなたの各ターンに、あなたは自分の墓地にあるゾンビ・クリーチャー・カードを1枚唱えても良い。

 もう、ストーリー大好き派からしたら鼻血もんの最高のカード。ついにこの2人が合流! 共闘! なんか相変わらずギサさんは憎まれ口を叩いてるけど、ゲラルフさんの素っ気ないレスまで含めてもう最高。この姉弟漫才は本当に楽しい。さて、ギサゲラルフも正式なセットでのカード化は初のこと。単体のカードだとかつてはどちらも5マナ3/4というボディだったが、今回は2人合わせてお求めやすい4マナ4/4になり、とりあえずデッキに入れやすくなった。その分能力はやや大人しくなり、毎ターン墓地から1体だけゾンビがフラッシュバック出来るように。運用するなら当然ゾンビデッキで、ついでに墓地にゲラルフ謹製の「秘蔵の縫合体」なんかがいればおねーさんも大満足。どっちかっていうと下の環境でなにか危険なことをやる可能性があるかな。縫い師とグール呼びのタッグプレイが今後どのように世界を盛り上げてくれるのか、今から楽しみである。なお、レジェンドルール的には文句無く新カードなので、統率者戦なんかをやってると「ギサとゲラルフとギサとゲラルフ」が同じ戦場に並ぶなんて可能性も。何がなにやら。

 

Grim Flayer 残忍な剥ぎ取り (B)(G) M

クリーチャー・人間、戦士

2/2 トランプル

〜がプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたのライブラリを上から3枚見る。その中から好きな数だけあなたの墓地に置き、残りをライブラリの上に任意の順番で戻す。

昂揚 - 〜は+2/+2の修正を受ける。

 旧イニストラードの第2セット、つまり「闇の隆盛」では、多色の神話レアは各種族、つまり友好色にのみ与えられていたのだが、今回はこうして対抗色にも神話レアが登場。つまり今回は友好色がレア(青黒・赤緑は神話)で、敵対色がアンコ(何故か黒緑だけ神話レアも1枚)という布陣になった。そんな黒緑の神話は、この色のテーマである昂揚をしっかり身にまといつつ、大胆にそれをサポート。ぶっちゃけ、2ターン目に出たところでそこまでのインパクトは無いのだが、ワンパン通すだけでも割と色々やられてしまうのでマストブロック感が高く、最低でもタフネス2で止めないとトランプルで能力だけは起動してしまう。細かいところで鬱陶しい奴。起動してしまえばなんと「スゥルタイの隆盛(KTK)」のアッパーバージョン、そりゃ便利に決まっているだろう。1体目のこいつがさっさと昂揚まで引きこみ、それによって2体目、3体目のこれのサイズが増してくる、というのが基本的な昂揚デッキのデザインになりそうだし、同じデッキに「発生の器」でも入っていれば、3ターン目にさっさと4/4で殴るプランだって現実味を帯びてくる。そりゃサイズだけを見れば「黴墓のゴミあさり」だって可能だが、全てオールインワンでまとまっているのがこいつの強みだろう。現在は残念ながら環境に「森の代言者」という天敵がいるのでなかなか日の目を見るのは大変そうだが、なにか突き抜ける相棒がいれば。

 

Heron’s Grace Champion 優雅な鷺の勇者 (2)(G)(W) R

クリーチャー・人間、騎士

3/3 瞬速 絆魂

〜が戦場に出た時、あなたのコントロールする他の人間はターン終了時まで+1/+1の修正を受けるとともに絆魂を得る。

 レアリティさえあげておけば何をやってもいいと思われてる系のカード。4マナ3/3瞬速絆魂の時点で割とはっちゃけてる感があるのに、まだ足りないというのか、人間サポートにさらに大きな一歩。「サリアの副官」→「反射魔道士」→これ→アヴァシンとかいう流れをどうやって止めたらいいんだろう。青を使うのが面倒なら3マナ目を新サリアにするのも可。あらゆるパーツにチート風味が漂っている。一応4マナというコスト設定はそこそこ配慮したデザインで、ギデオンとどっちを優先するかと言われたらなかなかデッキメイクが難しいところではあるのだが、使われる側からしたら「どっちでも同じじゃい」である。こいつの最大の武器は瞬速による選択肢の広さで、白緑系のデッキは今後マナを立ててターンを渡しても、アヴァシン、ドロコマ、そしてこいつという3択で選び放題である(まぁ、こいつの能力は出来れば攻めてる時に使いたいが)。人間デッキの花盛り、一体どのように続いて行くやら。

 

Mercurial Geists 気紛れな霊 (2)(U)(R) U

クリーチャー・スピリット

1/3 飛行

あなたがインスタントかソーサリー・呪文を唱えるたび、〜はターン終了時まで+3/+0の修正を受ける。

 この世界における「小柄な竜装者(GPT)」。コストが1重くなってしまったが、その分、スペルによる増強値も1点増えている。1ターンにいくつもスペルを重ねてダメージをたたき込むタイプのデッキがきちんと作れれば、ちょっとくらいの出撃の遅れならは取り戻せるだろうか。ただ、こうしたカードが入っているデッキってのは他にクリーチャーがあんまり入っていない場合が多く、相手のデッキに入っている除去はこぞってここに飛んでくることになる。そう考えると、1枚1枚のウェイトはあまり重くない方がいいので、4マナというコストはやや辛いか。現在は「火の猟犬」がこのポジションを担っているが、やつはカウンターによる修正なので火力や戦闘ダメージの圏外にいつかは逃げることが出来るし、なによりあいつはコモンだ。そこまで惜しまれるもんじゃない。アンコのこいつが単体で勝負をかけるタイミングって、なかなかないかもしれない。また、もっと根本的な問題として、現在の青赤を支えている重要なギミックが、異界月では欠けている点が気になる。そう、調査による引き増しだ。肉を使わず、ひたすら呪文だけで逃げ続ける青赤には調査による加速は必須だったはず、その部分を失って、青赤がちゃんと回せるレベルに落ち着けるかどうか。調整スタッフの腕の見せ所ですな。

 

Mournwillow 嘆き細工 (1)(B)(G) U

クリーチャー・植物、スケルトン

3/2 速攻

昂揚 - 〜が戦場に出たとき、パワー2以下のクリーチャーでは、このターンブロック出来ない。

 色合いがなんか不思議なクリーチャー。速攻もブロック抑制も赤の得意分野であり、緑黒というカラーリングでは実現しにくいのだが……まぁ、ブロック抑止は黒も出来るし、速攻は黒も緑もあるので一応OKではあるのだが。クリーチャータイプが植物ということで、その色味も相まってなんだかラヴニカの地下に潜んでいそうなクリーチャー。イニストラードのどこに眠っていたのか定かじゃないが、とりあえずスケルトンもゾンビ同様、エムラクールの影響は受けずに済んでるみたいですね。この色でパワー3の速攻といえば「屑肉の刻み獣(RTR)」を思い出す人も多いはず。そのまとまったボディに最後の一押しに使える活用能力がおまけされた「刻み獣」はさぞかし構築でも活躍するだろうと登場当初は思われていたのだが、残念ながらゴルガリが世間的にそこまで上げ潮にならず、今ひとつ結果は残せないままに終わってしまった(活躍したのはどこぞのシャーマンばかりである)。今回のスケルトンはそんな「刻み獣」のアフターケア部分を犠牲にし、代わりに速攻の突破力を強化して相手にたたき込む攻めの仕様。前のめりなデッキで是非、と言いたいところだが、前のめりのデッキは多分昂揚を達成しない。あくまでもグダった試合を演出し、とどめの一撃で相手の計算を狂わせるためのカードである。パワーを下げるカードとの相性がいいので、えーと……ジェイス入れときゃいいんじゃないかな。もう、全部あいつでいいんじゃないかな。あ、新リリアナとも相性が良いよ(相性とは?)。

 

Ride Down/騎乗追撃(KTK)」 U

 つい先日環境を去った「タルキール覇王譚」からさっそくの再録。あちらの次元ではマルドゥ氏族の苛烈な攻撃を表していたカードだが、今回攻撃しているのは聖トラフト騎士団の人たちのようだ。赤は吸血鬼がすっかり変質してしまってるけど、人間は無事な連中もいるのかな。ボロスカラーの戦術はいつ何時でも速攻ランナウェイ。このカードの攻めているときの強さは歴史が証明している。今後もボロスの輝きを維持することが出来るだろうか。

 

Spell Queller 呪文捕らえ (1)(W)(U) R

クリーチャー・スピリット

2/3 飛行 瞬速

〜が戦場に出たとき、対象の、点数で見たマナコスト4以下の呪文を追放する。

〜が戦場を離れたとき、その追放されたカードのオーナーは、そのカードをマナコストを支払うことなく唱えても良い。

 「イニ影」では地味だったスピリットだが、この度は大胆に色々な面から強化が図られている。種族を代表する多色レアについても、ご覧の通りに実に骨太な完成度だ。まず3マナ2/3瞬速の時点で割と合格。現在瞬速スピリットは「鎖鳴らし」だけだが、こいつも4詰みして8枚体制になれば、かなり白青らしい軽快な動きが可能になるはず。「鎖鳴らし」も相手の除去に対応して出すことでカウンターの役割を果たしたが、こちらはよりダイレクトにカウンター。かつての「神秘の蛇(TSB)」が1マナ軽くなり、タフネスが増えて、さらに飛行まで増えたのだ。これが強くなかったら嘘だろう。一応4マナ以下という対象制限はついているが、特に構築戦では全く問題にならない制限なのは言うまでもないことだろう。問題は、カウンターと言っても正確には「ナイトメア」能力の変種みたいなもんなので、いつかは相手に唱えられてしまうという部分の方だが、これだって本質的には問題ではない。「記憶の欠落(7ED)」しかり「造物の学者、ヴェンセール(FUT)」しかり、大事なのは相手にベストタイミングで動かれないこと。一時でも押さえられるなら充分仕事になるのだし、コンバットトリックやカウンター呪文のような対象なら、再び唱えられても意味が無い場合だってある。何よりクロックパーミッションを目指すスピリットならこいつを除去されないように気をつければいいだけの話である。その状態が維持出来ていれば、クロックを増やし、カウンター呪文を増やせるという夢のような1枚。ちなみに、効果が特殊な関係上、書式は当然旧式のナイトメア準拠になっている。つまり、こいつを出して187能力をスタックしたところでバウンスや除去を撃って先に下の能力を解決すれば、対象の呪文を永久追放することが可能。そこまでする意味があるかは分からないが、スピリットなら「本質の変転」との合わせ技でやってみる価値はあるかもしれない。

 

Tamiyo, Field Reseacher 実地研究者、タミヨウ (1)(G)(W)(U) M

プレインズウォーカー・タミヨウ

<+1>:あなたの次のターンの開始時まで、最大2体までの対象のクリーチャーは、それが戦闘ダメージを与えるたび、あなたはカードを1枚引く。

<-2>: 最大2つまでの対象のパーマネントをタップする。それらは、そのコントローラーの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。

<-7>: カードを3枚引く。あなたは、「あなたは手札から土地でないカードをマナコストを支払うことなく唱えても良い」という紋章を得る。

【4】

 エキスパンションの花形、プレインズウォーカー様の登場だ。今回収録されるのは当然のことながらタミヨウさん。以前イニストラードを訪れた時にはどこの誰とも全く知れぬ余所者だった上、初の神河からのPWということで違和感バリバリだったのだが、それでも実力が本物だったために安定した採用実績を誇った。今回は色を加えて2色になるだろうというのが大方の予想だったが、その予想をさらに一つ上回り、なんとバントカラーの3色PWとして登場。こうして少しずつ3色PWの枠も埋めていくのだろう。ちなみに、現時点で埋まっている3色枠はボーラスさん(グリクシス)とサルカン(ティムール)の2つだけ。あと7体出揃うのに何年かかるでしょうね。

 さておき、そんなタミヨウさんだが、4マナ設置の忠誠度4の時点で割と安定感があり、このあたりは流石の3色。自身を守る能力がマイナスで与えられてしまったのは残念だが、パーマネントの種類を問わない2つ拘束は元祖タミヨウを上回る制圧力。攻めに回っても強いので、殴りっ気の強い緑白系のデッキにもしっくり来る。プラス能力は他のPW同様にドローに充てられており、「2枚引けるかもしれないがクリーチャーが必要」という絶妙な設定。ダメージを与える先はなんでもいいので3ターン目までに肉を展開出来ていれば、とにかくドローは出来る。これまた攻め気のデッキに合う設定。また、絶妙なのは相手ターン中にも有効で、相手クリーチャーを対象とする戦略も可能であること。つまり、コントロール寄りのデッキなら相手のクリーチャーに攻撃を躊躇わせ、ドローの可能性を維持出来るのだ。仮に殴られてタミヨウが力尽きたとしても、1体のパンチで忠誠度5を落とすのは難しく、高確率で2ドローが可能。それだけでも割と満足出来る結果だろう。残る最終奥義は語るのも馬鹿馬鹿しい必殺の一撃。エルドラージとの相性がやたらいいのは皮肉だが、まぁ、「撃てば勝つ」がこのコストに設定されているのはこれまた親切である。色が合うので「ギデオンの誓い」からここに繋げて奥義達成を早めるのもいいかもしれない。

 はっきりと方向性を示すデザインになっていないが、それだけにデッキ採用の幅が広く、どの能力も文句無しで使える。そして酷い事に世はバントデッキが花盛り。タミヨウがスタンダードでレギュラーポジションを勝ち取れるかどうかは分からないが、この強さ充分権利はあるのでは?

 

Ulrich of the Krallenhorde 爪の群れのウルリッチ (3)(R)(G) M

伝説のクリーチャー・人間、狼男

4/4 変身条件・<狼男>

このクリーチャーが戦場に出るか、〜に変身するたび、対象のクリーチャーはターン終了時まで+4/+4の修正を受ける。

Ulrich, Uncontested Alpha 揺るぎない頭目、ウルリッチ

伝説のクリーチャー・狼男

6/6 変身条件・<狼男>

このクリーチャーが〜に変身するたび、あなたはこれと、対象の、あなたのコントロールしていない狼男でないクリーチャーが格闘することを選んでも良い。

 今回の神話人狼。旧作ではここにあの「高原の狩りの達人(DKA)」という傑物が位置していたわけだが、今回はカリタツに比べるとかなりの脳筋野郎。1マナ重い部分については表面のステータスアップでまかなっている。まぁ、カリタツは出た時点でトークンが湧いたので額面は同じなのだが、一応ジャイグロとして先発隊の中押しが出来る設定なので、ライフゲインとサポートという優しさに見ていたカリタツに比べるとかなり前のめり。裏返った時の能力もよりダイレクトになり、2点火力でも確かに強かったが、今回はパワー6格闘。たいがいの相手は殴り殺すことが可能になっている。場に出たときの能力を活かすことを考えると先発隊の安定感が求められるため、おそらく前のめり気味のステロイド構築でマナカーブを締める役割が似合うカード。もちろん、4マナ域を「アーリン・コード」で埋めておけばより充実したクルクル人狼ライフを満喫できるし、先んじて「ガイアー岬の山賊」を用意して出た瞬間に変身出来るようにしておけば、出たターンからいきなり1010で格闘なんて荒技も。いや、そこまでやる意味もないけど。

 

 

 


拍手

<緑>

 

Backwoods Survivalists 辺境林の生存者 (3)(G) C

クリーチャー・人間、戦士

4/3

昂揚 - 〜は+1/+1の修正を受けるとともにトランプルを持つ。

 圧倒的にシンプルな昂揚生物。そして、昂揚など関係無しに、4マナ4/3というステータスだけでも、充分お仕事が出来てしまう緑クオリティである。現在この枠は「剛胆な補充兵」が担当しており、あちらもピンポイントでいい仕事をしてくれる上に「信条の香炉」との相性ばっちりなトランプルが眩しかったが、こちらは単体でその楽しさを手に入れることが可能。昂揚達成で4マナ5/4トランプラー。マジか、香炉なんていらなかったんや。いや、香炉があれば7/5トランプル警戒?! え? ヤバくない? コモンなのに何言ってんの? さぁ、さっさと墓地を整備する仕事に戻るんだ。緑の天下はまだ続くのだろうか。

 

Bloodbriar 血茨 (2)(G) C

クリーチャー・植物、エレメンタル

2/3

あなたが他のパーマネントを1つ生け贄に捧げるたび、〜の上に+1/+1カウンターを1つ置く。

 青と緑に配置された現出サポーターの1人。青にいたのは「現出のときに犠牲になりたがるクリーチャー」だけだったが、こちらは現出する様子を脇で応援することで強くなっていく。他にもサクるパーマネントってのは意外にあるもので、白と組んだら「天使の粛清」や「絞首束縛」、黒と組めば「無慈悲な決意」なんかも対象になる。各種「器」サイクルも生け贄に捧げるカードだし、今回おまけ感覚で懐かしの「テラリオン」なんかも再録されているので、こいつのために何となく入れておくのもアリだ。そして何より、サクるものといえばそりゃぁ手掛かりトークンである。調査するごとに膨れあがるこいつはさながら廉価版の「不屈の追跡者」。調査カードは一気に数が減ってしまうが、レアのムーブが手軽にコモンで味わえるのだから、そりゃ夢を信じて生きていけばいいさ。ウルヴェンワルドの謎? どうせ俺はつかえねぇから関係ないな!

 

Clear Shot 直接射撃 (2)(G) U

インスタント

対象のあなたのコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで+1/+1の修正を受ける。それは対象の、あなたのコントロールしていないクリーチャーに、そのパワーに等しい値のダメージを与える。

 「狂気の一咬み」で猛威をふるった一方的格闘能力がさらに精度と威力を増して参戦。元々この一方的ぶん殴り能力は「槌の一撃(BNG)」「尾の切りつけ(DTK)」といった赤の特性であり、赤は「まぁ、元々火力の色なんだし、むしろ余計な制限がついて弱化してるくらいだからいいか」ってな扱いだったのだが(それでもリミテッドでは理不尽な強さだったが)、いつの間にやらこれが緑に輸入され、「格闘するくらいしか直接除去の方法がないよ〜」とあくせくしていた緑をさらに強化することになった。せっかく格闘がキーワード能力化したというのに(奇しくも、キーワード化されたのは旧イニストラードだった)、その歴史があっという間に覆され、放っておいたらこの「一方的格闘」もそのうちキーワード化されそうな勢いである。まぁ、強いんでありがたく使わせてもらいますけども。相変わらずの余談だが、このフレーバーに登場するレム・カロラスという男、旧イニストラードでは「審問官の刃」を自称(?)していたのだが、イニ影になっていつの間にか「天使殺し」を名乗るようになり、今回はさらにそこから宗旨替えして「エルドラージ殺し」という二つ名を名乗っている。着飾るの好きやなぁ。

 

Crop Sigil 収穫の印章 (G) U

エンチャント

あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリのトップを墓地に置いても良い。

昂揚 - (2)(G)、〜を生け贄に捧げる:あなたの墓地にある、最大1枚までの対象のクリーチャー・カードと、最大1枚までの対象の土地・カードを手札に戻す。

 何となく「花粉療法(PLS)」を思い出させるイラスト。ミステリーサークルかな? とりあえず、デザインとしては「秋の憂鬱」に似ている。あちらとは違って墓地肥やしは半自動。「蟻走感」の半分の効率だが、まぁ、あって困るもんではない。そして「蟻走感」やこれを使っていて悩ましいのは、「嗚呼! あのカードが欲しかったのに!」という大切なカードが墓地に落ちてしまうパターン。自分で削ってるんだからどこまでも自業自得だが、見えてしまったカードはやっぱり惜しむのが人の業。そこで、手軽に回収出来る上にちょっとアドバンテージにも貢献するのがこのカードの役割だ。トータル4マナとやや悠長だが、一応は1枚分の得なので悪くはない。普通はこうした墓地回収カードってのは使用状況が限定されるためにそこまでニーズがあるものではないのだが、このカードは1ターン目からいきなりプレイしてお役に立てるというかなり変わり種の強みがあるため、回収スペルの中では割と優先度の高いカードといえるだろう。これ自体がエンチャントだからデッキ全体のカードタイプを散らす役割も果たしてくれるので、諸々が昂揚デッキに取っては痒いところに手が届くサービスだ。ま、主張が薄いのでどうしても24枚目になってしまう可能性はあるのだが。

 

Crossroads Consecrator 岐路の聖別者 (G) C

クリーチャー・人間、クレリック

1/2

(G)(T)、対象の攻撃している人間・クリーチャーは、ターン終了時まで+1/+1の修正を受ける。

 攻撃クリーチャーに修正を与えるお仕事は基本的に白の仕事。古くは「歴戦の歩兵(M11)」というお馴染みのコモンだったが、リミテッドで盤面に与える影響が思いの外大きく、昨今の調整の中でアンコモンの「勇者の選定師(ORI)」に書き換えられた。もちろん緑だって増強が大得意なので似たようなカードはあるが、基本的には「ワイルーリーの狼(6ED)」や「ナントゥーコの信奉者(ODY)」のように対象に制限がなく、攻撃クリーチャー限定というと白と手を組んだ「キスキンの短刀挑み(LRW)」があったくらいだろうか。今回はこの「短刀挑み」と同じ文脈で、白と共有したクリーチャータイプなのでこのような増強を可能にしている。流石にリミテッド的調整があるので修正値は+1だけだが、それでも影響力は相当なもの。1マナコモンでこれだけのシステムクリーチャーを置くことが出来るというのは、人間デッキを目指す大きな理由になるのではなかろうか。

 

Eldritch Evolution 異界の進化 (1)(G)(G) R

ソーサリー

〜を唱えるための追加コストとしてクリーチャーを1体生け贄に捧げる。

あなたのライブラリから点数で見たマナコストがX以下のクリーチャー・カードを1枚探し、それを戦場に出す。Xは、生け贄に捧げたクリーチャーの点数で見たマナコストに2を加えた数である。その後、あなたのライブラリを切り直す。〜を追放する。

 出産の殻(NPH)」をソーサリーから起動するようなカード。繰り返し運用してレベルアップを続ける「殻」のような働きは出来ないが、その分、レベルアップは一気に2段階。そしてコストはぴったりである必要も無く、かなり広範囲にサーチ出来る、一種のチューターとしても機能する。「とにかく特定のクリーチャーさえ揃えばいい」というコンボデッキからしたら一撃必殺みたいなもので、公式記事でも紹介されている通り、アリストクラッツに積んであった「変位エルドラージ」「血統の観察者」コンボの達成率がこれ1枚で大きく跳ね上がる。シルバーバレットなデッキデザインにしてしまってもいいし、マナの分割払いなので高コストクリーチャーにいち早く、そして確実にアクセスする手段としても重宝するだろう。これ、ちょっと前だったら「何がなんでも包囲サイ」みたいなアブザンデッキで5枚目、6枚目のサイとして採用されていたに違いない。スタンダードはもちろん、下の環境にも大きな影響を与えそうな一枚、どんな波乱を巻き起こすことか。

 

Emrakul’s Evangel エムラクールの福音者 (2)(G) R

クリーチャー・人間、ホラー

3/2

(T)、〜と、好きな数の他のエルドラージでないクリーチャーを生け贄に捧げる:【3/2エルドラージ】を、この方法で生け贄に捧げたクリーチャーの数だけ戦場に出す。

 とりあえず何でもいいからエルドラージになっちゃおうぜ! な教義の人。こいつの手にかかれば、貧弱な植物も、カロリー溢れる「不吉な豚」でも、はたまた存在を抹消されたアヴァシン様ですら、全て一様にエルドラージに変貌する。まぁ、弱くなる取引は一切する必要はないけども。使用タイミングはこいつの命1つにつき1回だけなので、どの程度戦力をエルドラジるかはちゃんと考えてプレイする必要があるぞ。3/2ってのはまた絶妙なサイズだよなぁ。きっと念入りに調整した結果がこの数字なんだろう。普通にデッキを組んでしまうとこの能力で「強化」されるクリーチャーは実はあまり多くはない。トークンや「療養所の骸骨」あたりで数を水増しし、「戦いは数だよ!」を体現出来る人向け。消耗戦に強いゾンビあたりのパーツ候補になるかも。

 

Emrakul’s Influence エムラクールの影響 (2)(G)(G) U

エンチャント

あなたが点数で見たマナコスト7以上のエルドラージ・クリーチャー・呪文を唱えるたび、カードを2枚引く。

 イラストはせっかくのゲートウォッチ揃い踏みシーンなのに、何故かエルドラージ応援カードである。「でかいクリーチャーを出したらカードを引く」というのは緑がたまに施すドロー手段で、「ガラクの群れ率い(M15)」や「精霊の絆(ORI)」が分かりやすいその系譜。今回は、そんな緑の血脈をグッと引き延ばして7マナのエルドラージ領域まで。「コジレックの帰還」や「ウギンの聖域」でも同じく7マナというコストが提示されているのでエルドラージにはお馴染みのものだ。流石に7マナ以上のカードなんてそんなに入ってねぇし、わざわざそのためにカード入れねぇよ、というのが普通の反応だが、そこはちょいと一考。まず、ドロー枚数が豪儀に2枚だ。そりゃノルマが厳しいんだからその分報酬は奮発してもらわなきゃ困る。プレイするだけで2ドローとは、回り始めたら超ヤバい。「世界を壊すもの」がまたアップを始めている。そしてさらに、今回の世界には「現出」というおあつらえ向きの能力も用意されている。例えば「不憫なグリフ」の場合、現出コストが6マナだろうが、それをどれだけ軽減しようが、「点数で見たマナコスト」が7なのは紛れもない事実。そして、それを「唱えている」のも事実。つまり、実質3マナ4マナで唱えたカードでも2枚ドローはついてくるのだ。さぁ、ちょっとは興味が湧くでしょう。エムラクールの影響を受けたダイナミック現出エンジン。生まれ変わるのだよ、いあいあ。

 

Foul Emissary 邪悪の使者 (2)(G) U

クリーチャー・人間、ホラー

1/1

〜が戦場に出た時、あなたは自分のライブラリを上から4枚見る。あなたはその中からクリーチャー・カードを1枚公開し、それを手札に加えても良い。残りのカードを好きな順番でライブラリの下に置く。

あなたが現出を持つ呪文を唱える間に〜を生け贄に捧げたとき、【3/2エルドラージ】を1体戦場に出す。

 青と緑がお送りする現出サポートチームの一人。そして、シリーズの中でももっとも露骨に「現出しか応援しない」マンでもある。青に配置された似たようなコンセプトのカードは単に「死んだら嬉しいから現出に使おう」というだけだったのだが、こいつは「現出以外で死んでも嬉しくない」という徹底ぶり。何とか新しいギミックを使ってもらおうという信念が色濃く出ており、前環境で言えば「茨橋の巡回兵」みたいなポジションだろうか。ご丁寧に登場時にサーチ能力まで備えており、何が何でも現出クリーチャーを使え、という意思に一切のブレはない。これを経由すれば8マナ現出組が4ターン目に降臨し、さらに3/2がおまけ。なるほど完成されたプログラムだ。ただ、どうしてもそこに使わなきゃいけないって法もないわけで、単にクリーチャーサーチのために使ってもそこまで悪いカードではない。黒と組み合わせれば生け贄要員、墓地のクリーチャー要員としてはそれなりだし、人間クリーチャーなので白との絡みだって一応検討出来る。与えられた答えが気にくわないへそ曲がりは、なにかオリジナルな使い方を考えてみてもいいかもしれない。まぁ、テキストに「現出」って書いてあるんだから、素直に乗っておけばいいとは思うが。

 

Gnarlwood Dryad 節くれ木のドライアド (G) U

クリーチャー・ドライアド、ホラー

1/1 接死

昂揚 - 〜は+2/+2の修正を受ける。

 シンプルな昂揚サポーター。デフォルトで「菅草の蠍(THS)」と同じ接死持ち、昂揚達成でそこそこのパンチャー。まぁ、パンチャーといっても接死持ちは防御に回られたくないためにさっさと相手も殺しに来ると思うが、1マナでこれだけの仕事ができるなら万々歳だ。今後は「黴墓のゴミあさり」の枚数も減るし、昂揚デッキの起点として運用していきたいところ。まぁ、アンコなんだけどさ。

 

Grapple with the Past 過去との取り組み (1)(G) C

インスタント

あなたのライブラリを上から3枚墓地に置く。その後、あなたは自分の墓地からクリーチャー・カードか土地・カードを1枚手札に戻しても良い。

 ほんと、こういう小ネタが仕込まれてるから次元の再訪って好きなのよ。ちゃんと年季の入ったファンを楽しませてくれる要素が仕込まれてるのがね。カードの効果だけを見てもちょっと分かりにくいが、イラストを見れば一目瞭然、旧イニストラードの「願い事(ISD)」の後日談(?)である。あの時はただ神にすがるようにして井戸にコインを投げ込むしかなかった少女が、この度めでたく、欲しがっていた熊ちゃんを井戸の底から入手することが出来たのだ。まぁ、彼女の変わり果てた姿が「願った」ものとは思えないが……。フレーバーテキストでも「エムラクールは願い(wish)など叶えない」とあり、過去のカード全否定である。ひどい。そんな風に個人的には盛り上がるカードなのだが、効果は緑版の「屍体の攪拌(GTW)」。土地を選べるようになったので一応強化版だし、この世界なら墓地を3枚肥やせるだけでも充分意味はあるはず。緑黒系の小粋な調整カードとして。

 

Hamlet Captain/小村の隊長(ISD)」 U

 突然、ポロッと再録された旧イニストラード組。当時も割と地味な立ち位置だったと思うのだが、こうして帰ってきてもまぁ地味ではある。かつてのイニストラードは、「闇の隆盛」まで含めて人間トークンを出す手段がいくつかあったのだが、今回の世界にそんなものは無い。真正直に人間クリーチャーを並べるデッキでこそ、真価を発揮する御仁である。その分、今回の人間は割と骨太なのが多いし、低マナ域での戦闘はさらに激化している。案外今回は上手くハマって地味キャラ脱出なるかもしれん。ちなみに、今回も再録カードは数多く含まれているが、イラストまで完全に同じ再録は今回こいつだけだ(フレーバーは変わっている)。人間の変わらない強さ、みたいなものを表現したかったんだろうかね。

 

Ishkanah, Grafwidow 墓後家蜘蛛、イシュカナ (4)(G) M

伝説のクリーチャー・蜘蛛

3/5 到達

昂揚 - 〜が戦場に出たとき、1/2で到達を持つ、緑の蜘蛛・クリーチャー・トークンを3体戦場に出す。

(6)(B):対象の対戦相手は、あなたのコントロールする蜘蛛1体につき1点のライフを失う。

 マロー曰く、「レジェンドをつくって欲しいと言われていたクリーチャータイプ第2位」がついにカード化を実現。それがこの蜘蛛であったらしい(ちなみに1位は熊だ)。そうか、伝説の蜘蛛ってまだいなかったんだ。「アラクナスの紡ぎ手(M12)」はレジェンドじゃなかったんやな。とりあえず、蜘蛛のアイデンティティである「タフネス偏重」「到達」という2つの要素は満たしているわけだが、過去にあったヘヴィー級の蜘蛛に比べるとサイズは割と控えめ。同じコストにコモンでも「歩哨蜘蛛(M13)」がいることを考えるとかなり物足りない。そこを埋め合わせるためにはなんとしても昂揚は達成しておかないといけない。条件を満たせばトータルのパワー・タフネスは6/11まで膨れあがるのだから説得力は充分だろう。まぁ、自身に何一つ昂揚をサポートする手段が無いのが残念だが。うまいこと小蜘蛛が生み出せれば、絡め手で(蜘蛛だけに!)ライフを削り着るプランも狙えるのがレジェンドなりの優しさ。コストがクソ重いのでそっちもあんまり現実的じゃないんだけど、このコスト設定は旧イニストラードで一世を風靡した「蜘蛛の発生(ISD)」のオマージュなのでしょうがない。「統率者戦で沼が使えるように工夫しました」だとさ。ちなみに世界中を探しても黒い蜘蛛は「ニクスの織り手(JOU)」1体だけだ。……こうして並べると、蜘蛛って墓地が大好きな種族になってきてるんですかね。どんなイメージだよ。

 

Kessig Prowler ケッシグをうろつくもの (G) U

クリーチャー・狼男、ホラー

2/1

(4)(G):〜を変身させる。

Sinuous Predator しなやかな捕食者 (無色)

クリーチャー・エルドラージ、狼男

4/4

〜は2体以上のクリーチャーにはブロックされない。

 怪物化狼の緑版。なんと1マナ2/1という骨太設定からスタートし、中盤にも「忍び寄る虎(10ED)」能力持ちのアタッカーとして活躍出来る。序盤から中盤までをそつなくこなせるし、各種人狼サポートの恩恵も受けられるのでデッキ内での価値は高い。「ガイアー岬の山賊」で出た瞬間にこれが裏返ったりしたらたまったもんじゃないな。そういや今回は「上弦の月の教団」が色んな色と手を組んでウハウハ出来そうやな。あいつら、人間じゃなきゃ何でもいいのかよ。

 

Noose Constrictor 首絞め (1)(G) U

クリーチャー・蛇

2/2 到達

手札を1枚捨てる:〜はターン終了時まで+1/+1の修正を受ける。

 突然の蛇。過去にこの次元に登場した蛇は優秀な相打ち要員だった「待ち伏せのバイパー(ISD)」と、地味にゾンビなので回収しやすいのが売りだった「腐敗した沼蛇(ISD)」の2枚だけ。他に蜘蛛族なんかが頑張っているせいで、あんまり蛇に注目する次元ではない。そして、そんな3体目の蛇は妙なことに到達を持っている。過去に到達を持つ蛇というと、神河の大蛇族を除くと「死の頭巾のコブラ(NPH)」と「ネシアンのアスプ(THS)」でこれまた2体だけ。アスプはどでかいから到達持ちってのも何となく分かるが、こいつが何で到達を持っているかというと、どうやら木登り出来るかららしい。……よく分からんな。しかし、そんなよく分からん蛇だが能力はガチ。ヤバいくらいガチ。だって2マナ2/2で手札を捨てると+1するカードだよ? そう、つまりあの「野生の雑種犬(ODY)」と一緒。2マナに求められるものをほぼ最上級で手にし、さらに到達という鉄壁のおまけまでもが。流石にアンコになってしまったが、最近活躍していた2マナアンコの「荒野の後継者(KTK)」やら「薄暮見の徴募兵」に勝るとも劣らない能力の持ち主なのだ。序盤にこれを止めるのはほぼ不可能。手札を捨てるのは痛いと言っても、相手ブロッカーと1対1交換ならいくらでも捨てられるだろうし、マナがかからず、何枚捨てても自由ときている。リミテッドで2ターン目に出されたら、15年ぶりのモングレル風味に匙を投げたくなること請け合いだ。もちろん、マッドネスなんて絡んだ日にゃ目も当てられない。2枚以上引けた時に赤や黒と手を組むと……おぉ、もう。2ターン目これ、3ターン目「マウアー地所の双子」だけで投了していい気がする。

 


拍手

<赤>

 

Abandon Reason 自暴自棄 (2)(R) U

インスタント

最大2体までの対象のクリーチャーは、ターン終了時までそれぞれ+1/+0の修正を受けるとともに先制攻撃を得る。

マッドネス(1)(R)

 効果だけを見れば「統率の取れた突撃(THS)」と同じ。あちらが1マナの呪文であることを考えると、素で撃てば明らかに負けているし、マッドネスコストでもやっぱり負けている。他の環境と比べてもしょうがないが、ちょっと残念な呪文。マッドネスはそれだけでアドバンテージが取れる能力なので下位互換とまでは言わないけども。まぁ、「突撃」が1マナとしては破格の影響力を持っていたわけで、この呪文だって当然使いどころは多い。先制攻撃だけでひっくり返せる状況もあるわけで、そこにパワー増強なら文句無し。元がインスタントなのであんまりマッドネスのありがたみはないのだが、「狂気の預言者」あたりから上手いこと使い回せればちょっと得した気分は味わえる。クリーチャーが複数必要なのであんまり青赤系には向かないかもしれないが、インスタントでパワーを上げられる果敢ギミック多めのデッキなら有用性は高そう。

 

Alchemist’s Greeting 錬金術師の挨拶 (4)(R) C

ソーサリー

〜は対象のクリーチャーに4点のダメージを与える。

マッドネス(1)(R)

 グッドモーニング火力。この世界の科学者の皆さんは霊の力で様々なエネルギー問題を解消しようと取り組んでおり、その努力にはあのチャンドラさんも素直に賞賛の言葉を贈っている。まぁ、チャンドラに褒められる時点で科学としてはどうかと思うが……いや、元々彼女は技師の出身だもんな。カラデシュの技術力はどんなもんなんでしょうね。さておき、そんな挨拶代わりの一発火力は、効率だけで言えば「灰と化す」を下回ってしまうのでやや残念だが、マッドネス経由ならば一線級にまで跳ね上がる。印象としては使用制限の傾向が似ている「巨岩投下」を思い出せばいいのではないだろうか。ダメージもコストも全く一緒だし。つまり、「巨岩投下」は強かったのだからこのカードも多分強いはず。ただ、今回はコモンで与えられた共鳴者が白1,黒2,赤1とあまり多くない。上手いことマッドネスに寄せていけるといいのだが。

 

Assembled Alphas 集合した頭目 (5)(R) R

クリーチャー・狼

5/5

〜がクリーチャー1体をブロックするか、クリーチャー1体にブロックされるたび、〜はそのクリーチャーに3点のダメージを与え、そのクリーチャーのコントローラーに3点のダメージを与える。

 赤のエントリーセットレアは、「灰口の猟犬(ISD)」や「ケッシグの鍛冶場主」の能力がレアクラスに膨れあがったもの。「レアのくせになんか地味」と思われるかもしれないが、ついでにプレイヤーに飛ばせる効果のおかげでこれが結構洒落にならない。5/5というステータスは単体でのブロックはそこまで簡単じゃない。それならばと2体受けしようとすると、それぞれに能力が誘発するのでブロッカーはタフネス3以下では機能しないし、6点のダメージが本体に飛んでくる。これはブロック時にも適用されるわけで、攻守にわたって常に相手をかみ続ける精神はなかなかのもの。リミテッドならばやっぱりゲームエンドが近づくクリーチャーである。ついでに「吠え群れの復活」でトランプルを与えてやると、相手クリーチャーへの致死ダメージが一気に下がって本体にも突き抜けやすくなる。構築は流石に目指せないので、開けたパックから出てきたら可愛がってあげたい。何しろ、これだけあっちこっちで触手が生えている世界のなかで、ここまでモフモフした狼がいるのは貴重なのだから(残念ながら、このイラストはプロモ版だけ)。

 

Chaos Reveler 騒乱の歓楽者 (6)(R)(R) R

クリーチャー・デビル、ホラー

3/4 果敢

〜のコストは、あなたの墓地にあるインスタントやソーサリー・カード1枚につき(1)少なくなる。

〜が戦場に出たとき、あなたの手札を捨て、その後カードを3枚引く。

 イニストラード名物、インスタントやソーサリーを応援するレアデビル。いや、「護符破りの悪魔(ISD)」しか知らないからシリーズかどうかは知らないけど。まぁ、コンセプトは一緒。今回赤青系のイゼット応援団が多い気がするな。額面上のコストは重いが、よく出来たイゼットなら適宜3〜4マナは軽くなる。そして、ガンガンスペル使ってコストを軽くし、その上で手札を補充するというのが最高の流れだ。2ターン目くらいから毎ターンスペルを連打していけば、5ターン目くらいにこいつを置くことが出来て、手札が3枚になる。……どれくらい得できるかは微妙なところだな……。能力もそこまで突出してるわけじゃないし。ライブラリ削って強引にスピード早めるか? あんまり、デッキの根幹を任せるようなカードでもないので、積極的に使うプランが浮かばんな……。

 

Blood Mist 血の霧 (3)(R) U

エンチャント

あなたのターンの戦闘開始時に、対象のあなたのコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで二段攻撃を得る。

 戦闘開始時になにかを付けてくれる、「ナヒリの策謀」の系譜のカード。これにもう1マナ足すだけで「狂戦士たちの猛攻(DTK)」になることを考えるとこの効果はなんか寂しいのだが、レアと比べてもしょうがないか。毎ターン自軍の最大戦力のダメージ効率が倍になり、それがオーラのように個別に対策されずに恒久的に継続する。一度置かれてしまうと、手軽にヤバい状況を演出しやすいカード。接死持ちに先制攻撃をつけてキリングマシーンを作るのもありだろうし、シンプルにフライヤーにつけてダメージを全通ししてしまってもいいだろう。「ナヒリの策謀」同様に攻め気のデッキでないと使い物にならないが、まぁ、赤を使ってるなら大丈夫だろう。「ステンシア仮面舞踏会」と組み合わせると先制攻撃が無駄になるが、カウンターがものすごい勢いでのっていくぞ。ちなみに是非あわせてみたい手頃なパートナーは「血狂いの吸血鬼」や「巨体の悪魔」あたり。容易く人が殺せる「血狂い+グリフの加護」の更なる進化形に如何か。

 

Bold Impaler 大胆な刺突者 (R) C

クリーチャー・吸血鬼、騎士

1/2

(2)(R):〜はターン終了時まで+2/+0の修正を受ける。

 やったぜ! みんな大好き「溶岩足の略奪者(BFZ)」が装いも新たに帰って来たぜ! 何? 使ったことないだって?! すまん! 俺もだ!

 

Borrowed Hostility 敵意借用 (R) C

インスタント

増呪(3)

次のうちから1つか両方を選ぶ。

「対象のクリーチャーはターン終了時まで+3/+0の修正を受ける」

「対象のクリーチャーはターン終了時まで先制攻撃を得る」

 借用サイクルの赤。双呪モードの時の効果は「殺戮の叫び(M12)」と大体同じ。その分トータルのコストは1マナ重いが、素で撃つだけなら1マナで済む点、そして双呪モードで対象を2つに分けられる点などが優れているので、こちらの方が使いやすい呪文だろう。理想的にはクリーチャーどうしの戦闘を先制攻撃だけで乗り切り、通ったところに3点を追加してダメージを水増しするのがベストの使い方。そうでなくとも+3と先制攻撃を合わせればたいがいの戦闘結果がひっくり返るのは「悪意ある動機」で散々経験していることなので、このカードの価値は想像しやすいだろう。これまで赤は1マナで使ってくるようなトリックがほぼ無かったのだが、今後は火力もトリックも1マナで自由自在なので、色々と警戒が必要になるぞ。

 

Brazen Wolves 猛々しい狼 (2)(R) C

クリーチャー・狼

2/3

〜が攻撃するたび、これはターン終了時まで+2/+0の修正を受ける。

 ちょっと大きくなった「国境地帯の匪賊(M15)」。1マナ増加で+1/+1というのは割と優秀なステータスで、2マナ1/2よりも3マナ2/3の方が色々と扱いやすいので、上位種と言ってしまっていいかもしれない。序盤に展開される大体の戦闘で相打ち以上が狙いやすく、流れるようにマナカーブ通りに展開出来れば、3マナとは思えないプレッシャーを相手にかけることが可能。「黴墓のゴミあさり」や「書庫の霊」、「溺墓の探検者」といったタフネス4を突破する戦力がコモンで手軽に手に入るのはかなりありがたい。防御性能がやや劣る部分については、これまでの担当者がそもそも防御出来ない「吠え群れの狼」だったことを考えれば特に問題にはならない。というか、大体の状況において「吠え群れの狼」よりこっちの方が強い。人狼系のデッキではこちらが基盤パーツとなるだろう。

 

Collective Resistance 集団的抵抗 (1)(R)(R) R

ソーサリー

増呪(1)

次のうちから1つまたは複数を選ぶ。

「対象のプレイヤーは手札を全て捨て、その後同じ枚数だけカードを引く」

「〜は対象のクリーチャーに4点のダメージを与える」

「〜は対象の対戦相手に3点のダメージを与える」

 レア増呪「集団的」サイクルの赤。こちらは分かりやすく「キッカーを払うと強くなっていく火力」だ。基本はクリーチャーに4点。今をときめく「極上の炎技」と同じスペックなんだからこれだけでも十二分。環境最強生物であるアヴァシンを落とせるかどうかってのが最低限の部分なので、そこはOKだ。そしてわずか1マナの追加で本体に3点もおまけ。本体だけを狙う場合には「炎技」よりも若干割高だが、両方狙えるというオプションには代え難いだろう。そりゃま、上を見れば怒涛コストの「巨人の陥落」みたいなもっと効率の良い呪文もあるが、こいつの利点は一切デッキの性質や状況を選ばず、純正オプションとして追加要素が積めるところなのだ。そして最後に使うモードは手札の総取っ替え。これでさらに1枚引ければそこそこチャンドラの領域だったのだが、それは高望みしすぎか。普通はこの「トレイリアの風(7ED)」効果にカード1枚を費やすのは勿体ない、という判断になるのだが、例えばなにかクリーチャーを除去ったついでにそれができるなら悪くないって状況は割とありそうだぞ。レアの貫禄は充分。あとは火力の選択は環境次第ね。リミテッドならとりあえず引いとけ。

 

Conduit of Storms 嵐の伝導者 (2)(R) U

クリーチャー・狼男、ホラー

2/3

〜が攻撃するたび、このターンの、あなたの次のメインフェイズの開始時に、あなたのマナ・プールに(R)を加える。

(3)(R)(R):〜を変身させる。

Conduit of Emrakul エムラクールの伝導者 (無色)

クリーチャー・エルドラージ、狼男

5/4

〜が攻撃するたび、このターンの、あなたの次のメインフェイズの開始時に、あなたのマナ・プールに(C)(C)を加える。

 赤って色は基本的にマナ加速が刹那的でなければいけない。恒常的にマナを出すのは緑がダントツの第1色、ついで黒もマナは出せるが痛みを伴い、青も時たま限定用途のマナを出す、一番苦手なのは白だろう。赤のマナ加速というと、例えば「ゴブリンの乱伐者(LGN)」のように大雑把だったり、「突沸の器」に見られるように使いきりだったりするわけだ。そんな中、「上手くいけば何度も使える」流れってのもあって、最近だとリミテッドで活躍した「鍛えられた狂戦士(DTK)」なんかは、赤なりにチャレンジしたマナ加速手段だろう。この狼も同じ流れを継いだデザインで、殴れば次のメインフェイズのマナが増える。「殴らなきゃマナが増えない」とネガティブにとるか、「殴りながらマナも出せる」とポジティブにとらえるか、デッキデザインによって評価も分かれそうだ。3マナ2/3なので殴った時に死ぬ確率はそこそこ。4ターン目の5マナが出せればそれでOKと割り切れれば、充分仕事はしてくれるだろう。こいつの面白いところは、万一該当する5マナのカードが無かったとしても、自身の変身コストに当ててしまえば無駄が出ないという部分。相手としてはこいつのアタックを通してしまえばほぼ確実に変身を許してしまうわけで、そうなれば次のターンからはますますマナで突き放されることになる。なんとしても討ち取っておきたいところだろう。マストブロック度が高いと考えれば、実は額面以上に安定して強いクリーチャーなのかも。

 

Deranged Whelp 狂乱した仔 (1)(R) U

クリーチャー・狼

2/1 威迫

 2マナのWhelp()と言われると「幻影の仔(ODY)」を思い出してしまうのは私がオデッセイ環境大好きっ子なせいだろうが、こちらは赤の2マナということで、イメージを被らせるなら「狂犬(ODY)」にしないと駄目だろうな。いやしかし、こうして15年の時を経て比べて、「狂犬」との圧倒的な違いはどういうことか。あちらはデメリット付きの熊、こちらはなんとメリット付きのパワー2。アンコだから当然といえば当然なのだが、これだけの攻撃性能を持った2マナ域、世が世なら構築レベルで使われてもおかしくないスペックである。スライに求められる性能といえば、1マナ圏なら当然パワー2。もしくは最低4点は与えられる程度の安定性。さらに2マナになると、これに輪をかけてダメージの確実性が求められるようになる。現在は「ケラル砦の修道院長(ORI)」あたりが代表選手であるが、実は現在、1マナがやたら充実しているわりに2マナ圏のレギュラーメンバーというのは案外いないのである。このシンプルな狼が構築戦のデッキレシピに名前を書かれる日が来るかどうか。燃える赤単兄貴の努力に期待しよう。

 

Distemper of the Blood 血の不穏 (1)(R) C

ソーサリー

対象のクリーチャーは、ターン終了時まで+2/+2の修正を受けるとともにトランプルを得る。

マッドネス(R)

 2マナで+2とトランプル。「まぁ悪くないかな」とか思ってよく見ればそこに刻まれたソーサリーの文字。いや、流石にそれはちょっと……。過去には「激昂(6ED)」のようにソーサリー増強もそれなりにカードとしては存在していたが、どうせ使われないカードになるから最近はあまりこの手のカードは作られなくなった。緑のジャイグロは日々研鑽を積み、最近では赤も「タイタンの力(ORI)」のような優秀なインスタントが増えてきた。「アドレナリン作用」だって、デッキ次第では充分決戦兵器になりえるのだ。しかし、ソーサリーだとちょっとなぁ。……というわけで、やっぱり普通はマッドネス前提。マッドネス、つまり吸血鬼ならば前のめりが当然、トランプル上等。喉から手が出るワンパン呪文。パワーを持てあました「血狂いの吸血鬼」や「貪欲な求血者」あたりにマッドネスからぶち込んでやれば、直接ダメージ換算で4〜5点稼げる可能性もあり、1マナとしては破格の性能である。さぁ、共鳴者を集めるのだ。 ん? 別にソーサリーでも構わないって? まぁ、そういうデッキが出来たならそれでいい。

 

Falkenrath Reaver ファルケンラスの肉裂き (1)(R) C

クリーチャー・吸血鬼

2/2

 ザ・バニラ。しかし、この些細な1枚のバニラが、Magicの歴史をついに塗り替えたとしたら、その尊顔も凛々しく見えてくるのではないだろうか。そう、ついに、赤は「熊」を手に入れたのだ。クリーチャー品質格差を端的に表す指標となる「熊」の存在。元来、2マナコモンに2/2を許されたのは緑と白のみだった。黒と赤は、3マナ以上に2/2バニラを配置し、2マナ2/2にはなんらかのデメリットがついたのだ。時代が流れ、黒が先んじてこの悪しき風習を打ち破ったのは、奇しくも旧イニストラードである。「歩く死骸(M15)」の登場により、黒はついに「スケイズ・ゾンビ(10ED)」のアップグレードに成功し、赤を出し抜いた。その後も赤は「ブロック出来ない」「攻撃強制」「死んだらダメージ」などの制限をずっと抱えたままであり、やはりこの紙一重は大きな大きな差なのだと痛感させられることが多かった。「ゴブリンの勇士(6ED)」が、「諦めて俺を使うんだ」と幾度となく脳裏をよぎった。しかし、この記念すべき日に、このイニストラードの地で歴史を刻んだ。デメリット一切為し、それどころか吸血鬼だから事実上メリットみたいなもん、赤に熊が、赤に熊が!! さぁ、これで「針毛の狼」や「ムーアランドの流れ者」との相打ちも余裕だぜ! ……ん? 別に「燃えさし眼の狼」でいいって? あんた、歴史に対する敬意がないねェ。

 

Furyblade Vampire 怒り刃の吸血鬼 (1)(R) U

クリーチャー・吸血鬼、狂戦士

1/2 トランプル

あなたのターンの戦闘開始時に、手札を1枚捨てても良い。そうしたなら、〜はターン終了時まで+3/+0の修正を受ける。

 変なタイミング制限がかけられた殴り値高めの吸血鬼。普通、使用に制限を設けたいなら「各ターンに1度だけ起動出来る」みたいな文言になるところだが、このクリーチャーはそれに加えて攻撃にのみ使える制限にしたかったらしく、使えるのは攻撃宣言前に1回こっきり。相手にはバレバレになるし、マッドネスでなにかを使いたいならこのタイミングで先撃ちするしかない。まぁ、「手に負えない若輩」あたりならこのタイミングでも構わないわけだが、上の「血の不穏」みたいなカードをトリックとして運用出来ないのはヤキモキするな。しかしまぁ、枷がはめられただけにそのパワーは激烈。2マナで出てきて3ターン目に4/2トランプラーが突き抜ければ、まず相手は相打ちクリーチャーを差し出すだろうし、その上で2、3点のライフをもぎ取れれば充分。さらに「血の不穏」を始め「無差別な怒り」なんかでこいつを増強するプランもあるし、実はマッドネスを唱えられればタイミングとか割とどうでもいい説まである。とにかく、前のめり・共鳴者・確定ダメージと、吸血鬼に必要な要素は揃っている1枚。はまった時には部族デッキの輝きを増してくれるので、是非輝けるデッキを組みたいものである。ちなみに、フレーバーは案外珍しいストレートな罵倒語が光る。「filth」も「shit」と同じように悪口に使われるんでしょうかね。吸血鬼に言われたくねぇな、って話だけど。

 

Galvanic Bombardment 流電砲撃 (R) C

インスタント

〜は対象のクリーチャーにX点のダメージを与える。Xは、2にあなたの墓地にある〜という名前のカードの数を加えたものである。

 「焚き付け(TMP)」、「集中砲火(ODY)」の焼き直し。ダメージ量は同じだが、プレイヤーに飛ばなくなった分だけ1マナ軽くなった。プレイヤーにいかないのは残念至極であるが、「ショック」と同じこの軽さは何ものにも代え難い。青にも同じような蓄積型ドローがあったわけだが、こちらのカードなら1枚目から充分過ぎるくらいに機能するのだし、2枚目以降のカード効率は目を見張る。とりあえず引きたいだけ引きまくって構わないだろう。構築環境では魔巧で3点になる「焦熱の衝動」がほぼ互角のスペック。今後の火力スタメン争いに注目が集まる。

 

Hanweir Garrison ハンウィアー守備隊 (2)(R) R

クリーチャー・人間、兵士

2/3 (ハンウィアーの要塞と合体する)

〜が攻撃するたび、1/1で赤の人間・クリーチャー・トークンを2体、タップした攻撃状態で戦場に出す。

 最後の合体ギミックはこちら。今回の合体カードはあくまで試験運用。両面カードはリミテッドでの出現数が制限されてしまうため、大量にペアを作ってもなかなか合体が実現しない可能性が高く、積極的にメインシステムとして打ち出せなかったのだろう。また、ルール上何が起こるか分からないので慎重になった部分もあるのだと思う。まぁ、その割には「土地との合体」というチャレンジをしているあたりが流石だが。有能なエムラクールさんのおかげで、人間が土地とまぜこぜになってアウアウ言うのも全く問題無くフレーバーに落とし込めたのがすごい。今後、合体カードが登場するとしたらまた別次元に渡ったエムラクールのいたずらになるのか、それとも3度目のイニストラード来訪時になるのか。さておき、基本デザインだけを見ればなんとあの「刃砦の英雄(MBS)」と同等というなかなかの名指揮官。喊声能力がないのでサイズはそれほどでもないが、こいつが2回程度殴るだけで相手は死ぬ。現在「隊長の鉤爪」1枚だけでもリミテッドだとかなり鬱陶しいことが分かっており、その倍のスピードで援軍を呼ぶ効率は素直に脅威だ。是非とも「無差別な怒り」や「放たれた怒り」なんかでサポートしつつ恒常的にパンチを繰り出し、「天上からの導き」でフィニッシュするボロスビートなんかを狙ってみたい。「死中に活」つけてのパンチなんかも超マッスル。活を求めてるのにこんな末路ってのも地獄だが。今回の合体カードの中では唯一任意で合体するかどうかを選べるカードなので、そのままでの運用もありっちゃあり?

 

Harmless Offering 無害な申し出 (2)(R) R

ソーサリー

対象の対戦相手は、あなたのコントロールする対象のパーマネントのコントロールを得る。

 にゃー! にゃーーーーーーー!!!! はい決定! マジック史上もっとも可愛いカード記録更新です! ちなみにこれまでは「黒猫(M15)」と名誉カードの「光らせの子(EVE)」がチャンピオンでした。しかし、一気に3馬身くらい離しての文句無しの愛らしさ。イニストラードにもまだこんな癒し成分が残されていたとは……。なんかちょっと尻尾の形が怪しいことなんて気にしない。大丈夫、にゃーん。さておき、なんとあの一時代を間違った方法で築いちゃった「寄付(UDS)」が、時代を超えて色が変わって再登場。なんで青から赤になったかっていうと、赤はコントロール変更の第2色であり、「刻印(USG)」みたいな妙なカードもあったし、割と最近でも「バザールの交易商人(WWK)」というこの呪文を使い放題のゴブリンもいたのである。で、そんな呪文が何故この時代に突然帰って来たのかは……分からない。もちろん今の時代は「Illusions of Grandeur(ICE)」なんてあるわけない。特にこの世界のギミックとシナジーを成すわけでもないし……一応「悪魔の契約」とか「黄金夜の懲罰者」あたりは選択肢になるかなぁ。まぁ、開発チームも時たまこうして「他の環境に影響を与えるかもしれないカード」をちょいちょい試験的にレアで入れてるらしいので、統率者戦とか、もしかしたらモダンとかでなにか悪さをし始める人がいるのかもしれない。これで「アクロスの木馬(THS)」とか押しつけたら芸術点高いんだけど。

 

Impetuous Devils 性急な悪魔 (2)(R)(R) R

クリーチャー・デビル

6/1 速攻 トランプル

〜が攻撃した時、防御側プレイヤーのコントロールする最大1体までの対象のクリーチャーは、可能ならこれをブロックする。

次の終了ステップの開始時に、〜を生け贄に捧げる。

 久しぶりに登場、いわゆるひとつの「ボールライトニング(M10)」の息子達。各種バリエーションが存在するが、一番最近だと「火花の強兵(GTC)」になるのかな? そう考えると随分久しぶりだ。元祖ボーライがあまりに大活躍な定番クリーチャーになったため、その後の子孫達はいちいち期待がかかるも、なかなか結果を出せるお利口さんは少ない。まぁ、その時々の環境にも依るのでカード自体が悪いわけではないのだが、はっきりした成功例だとおそらく「地獄の雷(ALA)」あたりが最後なんじゃなかろうか。この時期はゼンディカーとの相性もあって、赤単が爆裂した時期ですしね。今回登場したのは意外なことに「デビルの集団」という妙なモチーフだが、苛立たしい言動で有名なデビルなので、なんとブロック強制能力をおまけに手に入れた。これにより、ゴロゴロとダメージを転がしながら、そのついでに確実に1体のクリーチャーを轢き殺していく。ダメージ量だけで言えば効率は悪くなっているが、相手としては突然襲い来る理不尽な除去には頭を悩ませることだろう。適当に生け贄を出されるデザインでなく、確実に相手を指名できる挑発仕様もありがたいところだ。序盤に出てきた「森の代言者」あたりをなぎ払いつつ、PW対策にも使えるので、意外と期待のパーツになるのでは? 皆さんもどこかでお友達が6人集まったら、「荒ぶるデビルのポーズ」を実践してみてください。左から2番目役が割と大変そう。

 


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6月12日 ドラフト模様(DTK×2 FRF

ピック順 【Mei】→【Sea-chicken】→【Serra】→【Sangriter】→【Alessi】→【Thraxi】→

 

 ドラフト自体の記憶が時間経過や体調不良などが原因でひどくおぼろなので、最近個人的に絶望的時間消費を行っている「オレマス」の序盤経過を書いていきますね。最初はモダマスと差別化を図るためにアラーラみたいな弧のエキスパンションにしようと思ったんだけど、どういじってもアラーラの焼き直しみたいになって断念(隣接する弧どうしの緩やかなシナジー形成が難しい)。結局各カラーコンビネーション10個のアーキタイプを固めることで落ち着いたのだが、エキスパンションじゃなくてキューブでやらなきゃいけないので絶望的にバランス調整が難しい。具体的にいうと、例えばモダマスでドメインをコンセプトにしたいならコモンに「旅人のガラクタ」とか土地サイクリングを盛り込めば一定確率で土地操作呪文が確保出来るのでコンセプトとして成立するのだが、各々1枚しか使えないキューブの場合、「枚数が欲しい呪文」は同じようなスペルを大量に投入して入手確率を上げるしかない。そうすると、今度は「ドメインを成立させるスペル」(土地操作)と「ドメインを強くするスペル」(例えば「部族の炎」や「空に届くマンタ」など)を各々大量に入れる必要があり、ミスると「土地操作しかない」とか「マンタしかいない」といったリスクがある。また、例えば「スピリット」というテーマを設定する時に「希望の盗人」をコモンにすることでモチベーションを作っていたわけだが、キューブだと「盗人」的な基幹となるカードを大量に探す必要があり、そうしたカードの供給が安定しているコンセプトというのは非常に限られてしまう。例えば「白青マーフォーク」なんてのは、白のマーフォーク支援カードの数が不足しているためにポシャってしまった。うーむ、難しい。

 でも、楽しい!!

 


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