最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
ひかりのとこの子供が持ってたのってガンバライジャーじゃね? 第16話。ひょっとしたら、と思って確認したら、割と違いました。流石にそういうクロスオーバーはやらねぇか。残念。(光の)中の人的に近いのに。 「吹っ切れた光」を中心にして、進行するのは美海とさゆのお話である。何が驚いたって、今回はちさきが一切登場しない。前回あれだけ重要な役割を担ったというのに、そして光との関係や、彼女自身の心中も解決していないはずなのに、ここで一旦登場が切れるというのは驚きである。当然まなかも登場しておらず、このままだと初期メンバーは光だけじゃねぇか、と思いきや、最後の全裸どんでん返し。要、いくら何でも落ち着きすぎだ。変態という名の紳士過ぎるだろ。いくらお子さんと言っても、中学生を全裸で歩かせるのは問題有るぞ。しかも、寒いぞ。 悩める美海は、暖かな家族団らんの中、吹っ切れて昔の輝きを取り戻した光を直視することが出来ない。自分の心の中に明らかな好意があることは分かっているが、確かに彼は「叔父」には違いない。同い年の叔父という何とも奇妙な関係で、しかもそれが意中の人という前代未聞の状況に、どれだけ賢しくなったとはいえ、女子中学生は簡単に対処できるもんでもないのだ。光には余計な誤解まで与えてしまい、明るくなったとはいえ思考回路がお子様の光を相手では気苦労ばかり。このくらいの年齢の女の子って、男は全部子供に見えるらしいからなぁ。まぁ、その光の天真爛漫さに助けられている部分もあるんだろうけど。「ダブりの先輩」は、年齢が同じ、つまり人生経験は同じラインに並んだだけのはずなのだが、あれだけの激動の時代を生き抜き、信じられない体験をしてしまった反動だろうか、他の中学生よりもどこか落ち着きがあり、今回は突然の修羅場に遭遇するというドッキリにあっても、案外冷静に対処していた。光って、こんなに頼りになるまともな奴だったんだな。全部「自分と関係無いこと」だと、存外器が大きい。まぁ、単に「関係あるはずなのに気付いてないだけ」なんだけども。 そんな光の変な達観に振り回される美海は、事実上のデートというプレッシャーに耐えきれず、うっかりさゆに声をかけてしまう。深く考えなかったが故の行動だが、それがまさか彼女の地雷を踏んでしまうとは。まー、確かに3人組で出かけてあの組成はあまりよろしくないのだが、光の目覚めで別方向に悩んでいたさゆにとっては、想定以上のダメージだったようだ。「あんたの好きな人は起きてていいよな!」と叫んだわけだが、まぁ、次回どうなるでしょうね。起きちゃったよ。空気読んでるんだか、読めてないんだか。 そんなごたごたの中で、まさかのまさか、美海のエナが覚醒する。確かに彼女の母は汐鹿生であるが、確か海の連中の話では、「陸の人間と結ばれたら、その子供は海には戻れない」はずだった。それが今になって覚醒するのは、ちょっとした奇跡だったのか、それとも、「戻れない」というのは単なる風習的なものだったのか。これまで泳ぎが苦手だったことを考えると前者のような気がするが、ここで美海が「種の違い」の1つをクリアしてしまったのは事件である。何しろ、ひかりが陸に上がることを選んだのと同様に、その娘である美海が海に戻ることが可能になったからだ。現在汐鹿生の村は機能してないので帰るとか帰らない以前の問題だが、光の目覚めをきっかけに要まで出てきたことを考えると、そう遅くないうちに、村全体が起き出す可能性もあるのではないだろうか(なんのための冬眠だよ、って話だが)。そうなってしまったとき、美海は「陸」と「海」の両方の選択肢を持った。つまり、まなかに並んだどころか、追い抜いた。大きな大きな垣根を取っ払ったのだから、あの美海の喜びようも納得いくってもんだ。 相変わらずややこしいのでまとめよう。ちさきは、もうこのまま連れ添った熟年夫婦のように紡とくっつくしかない。要の復活は……もう手遅れだ。間に挟まった歳月が長すぎる。彼が光と違って成長を経ていたらその限りじゃないが、中学生状態で復帰した場合には、それを待ち構えているのはさゆだろう。そうなると、残っているのは男子側が光、女子側が美海とまなかということになる。……一騎打ちなのか……いや、違う、美海はスルーってレベルじゃないくらいに見事にフッたアイツがいる。……流石に無理なのかな。そうすればすげぇすっきり収まるんだけども。大穴として、まなかがあかりの息子とくっつくっていう選択肢もある。10年後くらいに目を覚ませば無くはない選択肢だよな。ものすごく母親似で可愛いお子さんでしたよ。難点といえば、夫婦の睦言の邪魔をすることぐらい。今週のあかりのいいオカンっぷりが尋常じゃない。歳取ってるのにエロい。歳取ってよりエロい。息子に引っ張られてるトレーナーの裾がだらしなくてずるい。夜のちゃぶ台での至との語らいがエロい。結婚して割と経つのにラブラブ過ぎるだろ。このあと無茶苦茶(ry PR 変わったり、変わらなかったり、第15話。激動の前回を受けて、どこがどうなっているのかを確認するためのエピソード。色々と入ってくるものは多いのだが、これでも山ほど残った問題があるってんだから驚きである。 今回のテーマ(というか常にこうした作品に与えられるテーマ)は「変化」である。光という特別な存在を中心にして、「変わったか」「変わっていないか」をキーポイントにそれぞれの気持ちが揺れ動いていく。一番分かりやすいのは「変わっていない」光であろう。彼にとってお船引はついさっきのこと。突然のタイムスリップで回りが一気に年を取ってしまっては、流石についていけないのも仕方ない。真正直な彼ですら目を覆ってしまうほどに、この大きな変化は衝撃的なものであった。まぁ、そりゃ仕方ない。救いになるのは、回りの人たちもそんな光の異状をきちんと理解しており、それなりに配慮してくれていることだ。所謂タイムトラベルものとかだと、「未来からきました」「過去からきました」という事実を周りの人が許容するのは大変なのだが、今回はあくまで「冬眠」なので、周りの人も一応光がどんな状態なのかをイメージすることは出来る。町の人たちはお船引の立役者である光には優しく、色々と気を遣って接してくれていた。そんな中で最も光のことを思っていたのが、美海ということになる。彼女の光への思いは、対象がいない状態で何年も蓄積され、徒に大きくなってしまったものだろう。実際の光への思いが本当はどんな感情なのか、まだはっきりしていない可能性はある。しかし、なんとか光のためになろうという意識は強く、そこで、自分ばかりが何も分かっていないこと、自分だけが「子供のまま」であり、「変わっていない」ことを嘆くことになった。しかし、彼女も間違いなく時は刻んでいる。光の慟哭を漏れ聞いてしまったことで、ようやく彼の気持ちを察して、「あのときのままで」動くことが出来るようになった。彼女は、変わっていないわけがない。当然のように変化し、それは彼女のための、彼女が望む変化であったわけだ。 良くも悪くも変わっていない人物というと、紡の存在がある。結局、彼はどこまで言ってもオブザーバーの立ち位置から出てくることが出来ない。常に冷静沈着、陸の人間としての視点を持ちながら、不思議と汐鹿生側のスタンスも持ちうる彼の思慮は、全てが「最善の方向へ」いくように舵取りされている。幼いころの「イケメンぶり」は常に彼が正しすぎたから起こっていたことであり、現時点においても、彼は物事の本質は見抜く力に長けている。光も、そんな紡にぶつかったからこそ、目をひらく切っ掛けを手に入れられたのかもしれない。ただ、紡が全く変わっていないかというと、そういうわけではない。彼だって立派な男になったのだ。一つ屋根の下にいる女性に対して、何も思っていないわけはないだろう。 そんなわけで、今回の「変化」というテーマを全て背負い、体現したのが、ちさきということになる。彼女は冬眠に入らなかったことで、「普通に成長し」、「普通に変化した」。それは別に何も悪いことではないのだが、彼女は昔からずっと、「人のことしか考えられない」性格である。おかげで、彼女には「光の目に映る自分」が恐ろしくて仕方ない。変わってしまった自分。光を置いて大人になってしまった自分。そんなものは、光に見せることすらままならない。あのとき憧れていたはずの存在が、自分の「勝手な変化」によって、罪悪感の対象へと姿を変えていたのである。光が戻ったという報告を受けた彼女が、思わず後じさってしまったのは、非常にショッキングなシーンだった。光に自分を認識されたくないという思いが、彼女を責めさいなむ。 このままちさきがふさぎ込んでしまうのか、と思われたが、そこは流石の主人公だ。光は、互いに恐れていたはずの衝撃の対面の席で、見事にちさきが一番欲しがっていた一言をくれた。「変わっていない」と。これによってちさきが救われることになり、結果、光自身も救われることになる。「光が眠っている間に全てが変わってしまった」のではない。変わったものは確かにたくさんあるが、変わっていないこと、地に足をつけて生きてきたあの村は、きちんとそこにある。ちさきだって、変わらぬ気持ちでそこに待ち続けていたのである。光はやはり、旗を振るのが似合っている。彼の力で、ちさきを救い、最終的にはまなかも救い出すことが出来るのだろうか。 今後の焦点の1つは、「変わっていない」と笑ってみせた光と、「変わったな」と穏やかに告げた紡の差異である。奇妙な話だが、実はこの2つの言葉は、どちらもちさきが求めていたものである。幼い頃から大人びてはいたが、結局子供でしかなかったちさき。彼女は事件以後、成長しなければ、と思い続けていた。そして、光の前では「変わりたくない」という人類不偏の望みも口にしていた。どちらからも望んだ通りの言葉が聞かれた今、ちさきの心ははたしてどちらに振れることになるだろうか。まぁ、普通に考えると、流石に紡と一緒になった方がいいとは思うんですけど。結局、まなかがいつ目覚めるか、っていうのが一番の問題なんだけどね。 研究者のあんちゃんのPCデザインがすげぇ気になる、第14話。Appleコンピューターじゃないってことは、あれはFishコンピューターっていう会社があるんでしょうかね。 戯言から入ってみましたが、予想通りに年跨ぎで激動。そりゃ時間経過があるだろうことは予測出来ていたが、まさかの分断である。時間経過は「5年」or「0年」。この切れ方は相当に残酷。意外だったのは、あの夜、唯一船の上に残されたちさきが、海に帰ることも叶わずに地上の民として歳を重ねてしまったという展開。しかも、転がり込んだ先があの紡の家ってんだからエロいこと、違う、エラいことだ。何がすごいって、「紡の家に厄介になる」という展開が言われてみれば自然だったこと。そうだよな、地上に身よりは無いに決まってるし、一番世話になって迷惑にならなそうなのって、じいさんのところなんだ。そりゃしょうがない。でも、「年頃の男女が一つ屋根の下」なんだけどなぁ……紡の性格じゃ、どんだけ団地妻がエロくても手ぇ出さないんだろうなぁ……。ちさきの孤独を考えたら同情以外の感情は出てこないが、彼女は彼女なりに精一杯この5年を生きてきた。時系列をシャッフルして、一番最初にみせたシーンがじいさんの清拭シーンだったっていうのが憎らしい演出で、「なんかよく分からないけど、とにかくちさきは紡の家族として落ち着いちゃったんだなぁ」というのが嫌でも分かるのである。じいさんに海水の補充が必要なのはいいんだけど、ちさきも水が大事なんだよね。ほとんどの海村が閉じてしまって汐鹿生がいない状態で、町中の水提供サービスは継続しているのだろうか。 今回はこの「5年」という積み重ねを色々なところから直接的、間接的に描いており、さりげないところでは、異常気象によってすっかりぬくみ雪に覆われた世界で現れている。あの夜の事件でぶっ壊れた橋桁の残骸も真っ白に染まっており、痛ましい事件が過去のものであることが語られている。直接的なところでは、たとえばひかりに新しく子供が出来たこと。ま、事件の直後につわりで苦しんでたんだから、明らかにあのお船引はデキ婚だったわけだが、当然といえば当然か。幼い頃の美海をコピーして縮小ペーストしたような弟君は、性格まで引っ込み思案で、あかりママの性格は踏襲されていない模様。おじいちゃんに見せてあげたかっただろうなぁ。なお、カンチョーで突き刺したときのちさきの表情から察するに、あれはズドンで命中していた……? その他、学校組は昔の幼い面影は消えており、さゆはお勉強に熱心なしっかり者に、そして美海は心の奥にひかりへの思いを抱えた憂いを帯びた少女に変わっていた。5年前の時点では単なる子供特有の憧れみたいなものだと思っていたのだが、まさか5年も引っ張っているとは。そして皮肉なことに、実母であり光の実姉であるあかりちゃんから、「あいつはまなかが好きだったから」なんて事実まで知らされているのである(逆に言うと、知らなかったのか、と意外でもあったが)。5年の歳月で、おそらくちさきは光争奪レースからははずれたと思われるのだが、その代わりに新たな候補として、年齢が横並びになった美海が加わってしまうのである。何たる悲劇。しかし、当の光はあの事件から1秒たりとも時間が進んでいない状態で目が覚めてしまって……恋愛とか言ってられる状態じゃないよなぁ。どうしたらいいんだろう。 光よりも更に可愛そうなのは、今回ほとんど話題にすら上らなかったまなかと要である。まなかは、あの夜にひかりの身代わりとなって、「捧げられ」てしまった。冬眠が成就し、汐鹿生の村が完全に遮断されているということは、お船引が「海神様の力を取り戻す儀式」としては成立していないことを示す。その上で、生け贄としてまなかのみが失われたのだとしたら、これほど酷い話もあるまい。光が帰還したのは、冬眠の結果なのか、それともまなか絡みの特別措置なのか分からないが、少なくとも汐鹿生の村で眠っている連中も、光と同様に歳を歳を重ねていないであろうことは想像出来る。まなかは、そうした「眠っている」人たちにカウントして貰えているのだろうか。あの夜強引に振り落とされ、柱の直撃を食らった可能性がある要なんて、生死が確認出来ないだけでなく、今回ちさきの回想にもあんまり出てこないという不遇っぷり。ちさきにとって、紡は「もう1つの家族」、光は「憧れの人」。では、要は……。 とにかく今回は現状把握だけで手一杯。こんなとんでもない脚本をよく思いつくものだと本当に感心するし、こんなとんでもない状態を、しれっと描いてよく理解出来るように作り上げてくるものだというのも感心する。次回、光がまずは何を思い、どの問題を処理することになるのか……課題しかないぞ、このお話。 この状態で年を越せと? ……そりゃぁ衝撃的な1クール目の幕引きではあるが……やきもきやきもきやきもき。 きっちり、節目にクラマックスが待ち受けていた。そして、そのクライマックスは「祭り」だ。思い返せばP.A.Worksの真骨頂は常に祭りと共にあった。第一印象でこれでもかと見せつけてくれたのが「true tears」のオープニング、麦端まつり。「CANAAN」では上海の喧騒の中でのお祭り騒ぎを見せつけ、ぼんぼり祭り、大文字納涼船合戦へと繋がっていく。これほどまでに「祭り」に縁の深いアニメスタジオもあるまい。今回描かれる祭りは残念ながら架空のものであるが、そこにも人々の伝統が息づくずっしりとした重みが感じられるようだ。 お船引の決行と冬眠の開始。2つの「けじめ」が1つとなって、嫌でも世界は動いていく。作中の全ての人間が、この激動の世界に強い信念を持って動いており、それが叶わぬ様も、なんとしても叶えようとする様も、全てが切実だ。これまで構築されてきた有象無象の人間関係が、巨大な渦潮に飲み込まれて、ますます散り散りに消え果てる。「人間はなんて弱いのか」と、子供たちは船の上で思い返していたが、それでもなお、海神様に願い、想いを叶えるために必死なのである。 願いが叶ったかに見えた唯一の人物は、あかりであった。思い叶ってお船引は最高の披露宴の舞台となり、うろこ様からの祝福を受けて全ては彼女の望み通りに。しかし、切実だった願いは度を超えてしまい、父親やうろこ様の思惑すら乗り越えて、本当の「嫁入り」にまで昇華されてしまっていた。海神様に願いを聞き届けて欲しいが、実際に嫁取りされては困る、という半端な状態で祭礼を行ったしっぺ返しといえばそれまでで、ある意味自業自得の結果ではあるのだが、これまでうんともすんとも言わなかった「海神様」という超越存在が、ここにきて突然ギブアンドテイクを厳密に要求するかのような現象が起こったのは寝耳に水。事ここに及んで、やはり、神の意志はヒトには計ることが出来ないことを思い知らされる。 そんなあかりの窮状に真っ先に飛び込んだのは、実弟である光と、「何をするにもまず身体が動く」と評されていたまなかの2人。この2人も、それぞれに想いは強い。光の告白は、前回までだと袖にされたようにも見えたわけだが、改めてきちんと報告した結果、まなかはほぼOKと同じ意味の「保留」を宣言している。まぁ、元々2人の想いにはすれ違いなどなかったわけで、ようやく元のさやに収まりかけたというだけの話なのだが。光の宣言に対し、まなかは「ちゃんと旗を振って見せて」と答えている。まなかにとって、あくまで4人グループの中心は光なのである。その彼が、しっかりと旗振り役を勤め上げ、仲間達を引っ張っていってくれることを、彼女は疑っていない。しかし、全てが上手く行くかと思われた矢先での、あかりの喪失である。あまりに突然のことだったために、まなかはいつものように、最大限の自己犠牲でもって、あかりを救出する。その代償はまなか自身だ。「とどかぬ指先」は空しく水をかき、まなかと光は、何度目かも分からぬ別離の波にもまれていく。 光たちよりも静かに進行していたのが、要が先導したちさきとの関係性。前回、強引過ぎる「仕掛け」でちさきに叱られてしまった要だったが、彼も本人のいう通りに「色々限界」なのである。一夜明けて何とかいつも通りの飄々とした顔を取り戻してはいたが、それでもどこか本調子ではない。自分の足下に視線を落とし、浮ついた立ち位置を必死に確認するようなカットが印象的だ。ちさきも、このような立場には慣れていないためにみっともなく慌てふためいてばかり。しかし、咄嗟の状況ならばやはり献身的に動き始める彼女は、大渦の危機にも素早く反応し、巻き込まれてしまった紡の救出に成功する。彼女のためを思い付き従っていた要は、何の因果なのか、渦が引き起こした災害で儚くも海中へ。単に沈むだけならば汐鹿生には何の問題も無かろうが、下手をしたら巨大な石柱の下敷きになってしまったかもしれない。「一緒に眠りについても、一緒に目覚められるか分からない」とずっと懸念していた要だったが、このままでは、「一緒に眠る」ことすら叶わなくなる。しかし、虫の息の紡にすがりつくちさきを見た要の最後の表情は、悲しいくらいにいつも通りのものだった。何とも損な役回りである。 まぁ、ぶっちゃけここで要やまなかが失われるはずはないので命の心配はしていないが、問題はこの大事件と「眠り」のタイミングが同時であるということ。海中では要の親父さんがうろこ様の力で眠らされていたが、なんだか随分直接的な催眠術みたいな力になっている。強制力の高い「眠り」を前に、引き裂かれてしまった4人は一体どのように巡り会うことになるのか。世界全体の趨勢に加えて、ここまで大きく動かされた4人の来年の姿が早くも気になって仕方ない。憎らしい脚本だよ、ほんと。 P.A.といえば能登麻美子! 第12話。いや、未だかつてない適当な登場の仕方だったけども。やっぱり北陸地方の叡智を結集させるとこうなるわけですよ。麻美子の出演するP.A.作品は名作(この発言は、彼女が登場していないTTやRDGなどを貶める目的のものではありません)。 安藤真裕コンテ回ということで、いつも以上にがっつりと重たいシナリオが、じわりじわりと染みいる出来映え。修羅場となった教室のシーン以降の展開は本当に見事なもので、ぬくみ雪の降る汐鹿生の村の青い青い景色と相まって、非常に印象深いものに仕上がっている。もちろん、序盤のあかり姉ちゃんの挨拶シーンも胸を突く仕上がりだ。ドロドロしてるお話というのは、何もドロドロとだけ描く必要はない。こうして、一抹の寂しさの中にも、ちゃんとドロドロする理由となった人と人との繋がりが描かれれば美しいものになり得るのである。 今回は大きく2つの物語があった。1つは、海の上での「あかり編エピローグ」とでも言うべきいくつかの事象。アバンは美海、さゆのコンビからスタートし、この2人があかりのために必死に頑張っている姿が描かれる。幼い2人の未来を暗示するものなのか、今回地上のシーンでははっきりと青空が描写されており、不審者親父を撃退する幼女2人の戦いが久しぶりに明るいイメージで描かれている。まぁ、親父さんからしたら災難以外のなにものでもないが……ちっちゃければ何をしても許されるのですよ。可愛いは正義。そして、そんな親父さんが改めて海の上に出てきて、愛娘と最後(になるかもしれない)の言葉を交わす。残念なことに冬眠決行とお船引は同じ日らしいので、父親が娘の晴れ舞台を見ることが出来ない。花嫁の父としてはこれほど残念なこともないし、何とかあかりには「もっといい選択肢」を選んで欲しかったこととは思うが、彼女の芯の強さも、肉親である親父さんが一番よく知っていることだろう。最愛の妻の姿も重なり、一人の親として、娘の意志を大切にすることに決めたようだ。 これまでを振り返ってみると、実は光たちの父親・灯(ともる)は一度たりとも悪人としては描かれてこなかった。彼は汐鹿生の村の責任者、宮司という重い身分にあり、家族のことを思っても、村のことを思っても、まずは「大きな意志」を優先しなければならなかった。そのために、分からず屋の父にも見えたし、排他的な海の男にも見えただろう。しかし、これまでの1つ1つの局面を振り返れば、実際はちゃんと「人間らしい」感情で家族を見ていたし、出来ることなら回りの人間には幸せでいて欲しいと思っている。そんな彼の感情が、今回ようやく結実したように見えるのである。どうしても、私も歳のせいか娘を嫁に出す父親の気持ちの方を追いかけたくなってしまい(いや、そこまでじゃねぇけども)、あかりに「やめろ、そんなこと言うな」と必死に嫌がる様子もなんだか共感してしまう。ひょっとしたらこれが永久の別れになるかもしれないと考えれば、その寂しさは格別である。この状態であかりの意志を尊重できたあたり、やはり彼は「いい父親」だったのではなかろうか。 そして、地上は着実にお船引へと歩を進めているわけだが、そんな中でも確実に変化を続けるのは汐鹿生の生態環境である。どれだけ光が嫌がっても、「巨大な周期」の1つと考えられる冬眠への変化は止まらない。村ではついに冬眠に入ってしまう子供まで現れ、なんだかぼんやりしていた冬眠の話も、にわかに現実味を帯びてきた。「いつ目覚めるか分からない不安」「地上が壊滅するかもしれないという罪悪感」、そして「目覚められるのかという不安」。たくさんの不確定要素が渦巻く中で、ついに、ついに何かが動く。そして、そのスイッチを押したのは、長い間外野であり続けようとしていた、あの要だったのである。 考えてみれば、4人のスタンスというのは、どこまでも悲しいくらいに似ていた。「好きな人を見ているだけでいい」という諦観……というか理念は、光、ちさき、そして要の3人が持っているものだ。非常に「弱い」生き方ではあるが、これまで作り上げた関係があまりにも大切すぎて、そうなってしまうのは仕方ないことだ。しかし、そんな「弱さ」を言い訳にしてしまい、光が現状に甘んじているのを見て、要はついに我慢が効かなくなってしまった。自分自身は既にけろっとした顔でちさきに告白してしまっただけに、そこにすら至らない光に対して、苛立ちがあったのは事実だろう。そして何より、冬眠に対する不安感から、今まで我慢してきた「関係性」への遠慮がついに揺らいでしまったというのも大きかったかもしれない。要の手によって動かされた振り子は、光を通してまずはまなかにぶつかる。光がはっきりと告白したのは意外ではあったが、流石に彼も男の子。あそこまで要に挑発され、ステージを整えられてまで逃げるような玉無しじゃない。そこは素直に光を褒めていいだろう。 しかし、残念ながら当のまなかにはそれを受け入れるだけのメンタルが無かった。突然の告白にパニクり、思わず逃げ出してしまう。そして、そんなまなかの逃走劇のどさくさで、バトンが次のちさきに回る。堂々と告白し、逃げ出したまなかを必死に追った光を見て、「いつかやらなきゃ」と身構えていた告白モチベーションが暴発した形。前門のまなか、後門のちさき。どちらをどうしたらいいのか分からなくなった光だが、とりあえず、ちさきと一緒に現状の確認。「これからも何も変わらない」とちさきに言って聞かせたわけだが、「お前がそれを言っていいのか」とは思う。そして、逃げ出したまなかは必死に自分の感情に整理をつけようと努めており、悩みに悩んだところで浮かんだのは、やっぱり光の顔。それが答えなのか、と結論づけようとしたところ、これ以上ないグッドでバッドなタイミングでまたも紡の操る網の中へ……この短期間で2回も釣れるなんて、むろみさんクラスのちょろい女だ……。 さぁ、次回で1クール目の締めとなるわけだが、一体どこにこの振り子は振れるのか。こうしてみると、なんだかんだで光もちさきも割と大人な判断が出来ているみたいだし、まなかだって、一番奥にあるものがなんなのかは、きっと分かっているはず。これで要が余計なことをしなければ、何とか着地点は見つかる……と、いいな。(あと、紡が余計なイケメン発言をしない、っていう条件も必要なんだけどさ) なんか大きなことが動いている風、第11話。ただ、先週から引き続き、何がどう大きいのかは相変わらず捉えどころがない。ピンチがふわっとしてるせいで、それに対する対抗策もふわっとしてる。 色々と問題がてんこ盛りの中、とりあえず前回一番びっくりしたのは、サラッと出てきた要の告白。この期に及んでどないやねん、と思ったわけだが、流石の要先生、告白後もさっぱりしたもので、「別に優柔不断で物怖じする君には答えとか期待してないし」と涼しい顔。これはこれでひでぇ男だとは思うのだが、ある程度は自分の欲求を満たしながらも、ちさきの精神的負担を軽くするという意味では親切な対応なのだろうか。……いやぁ、本当にちさきのことを考えてるなら、多分余計な混乱を引き起こすような告白はしないよなぁ。やっぱり「冬眠」絡みで色々と面倒なことになっているどさくさのせいで、要も刹那的になってしまっているのかもしれない。今回改めて確認された問題に「一緒に冬眠したとしても一緒に起きられるか分からない」というものがあり、要の言葉を借りれば「同じ時を過ごせるのは最後かもしれない」わけだ。今生の別れとなる可能性があるなら、やっぱり自分の気持ちは吐露せずにはいられなかったのかも。 で、そんな要の暴挙は一旦おいておいて、世界はぬくみ雪と冬眠を前にして色々と動いている。まず、寒々とした世界の中で唯一ハートフルなのが、至とあかり、そして美海のむつまじい家族関係である。冬眠を回避して地上で命を全うすることを決意したあかりに対し、美海は彼女に生きてほしいと願い、再びの「どっかいけ」を展開(今回は豪華にカラー版)。しかし、今更そんなことをされてもあかりの決心は揺らぐはずもないし、美海の子供らしい想いなど、「母」となったあかりには慈愛と受け取られるだけである。幸せそうでなによりだ。 そして、「ふわっと」とはいえ、一応地上の気候がおかしくなっていたのは事実らしく、ついに人間側も「まずいのか?」と危ぶみはじめ、具体的な行動を起こすようになった。漁協によるお船引の再開は、現時点においては唯一の頼みの綱であり、光の主導により、無事最大規模の祭事として実現することになった。これを好機とばかりにあかりは自らの結婚式も併設で行ってしまうことを提案し、式にかかる費用を一気に浮かせることに成功。一番のハッピー要素が、唯一与えられたアンハッピー打開作戦のキーとなるのかどうか。 このように、いかにも頑張っている風な外堀は埋まっているのだが、やっぱり肝心の中身は伴わないのがこの世界の恐ろしいところ。前回から既に怪しかったわけだが、いざ報告に行ったら「お船引きしても意味ないぞ」といううろこ様のすげない返事。ん、まぁ、確かに「やれば助かる」とは一言も言ってない。それで助かることが分かってるなら、多分この村もお船引マニュアルにその旨掲載してるはずだし。汐鹿生の冬眠はもう数百年規模で行われていない出来事であるという情報もあり、「何をすれば」「どうなるか」という因果が何一つ分からない状態なのだ。それにしちゃぁ汐鹿生の連中が冬眠に移行する段取りがやけに手慣れていた気がするのだが、エナの順応などの生態の変化が生物学的なものであるというなら、冬眠に至るまでのプロセスも、全て遺伝子レベルで組み込まれたものなのかもしれない。小馬が出産後すぐに立ち上がるのに理由がいらないのと同じレベルで、町内のおばちゃんが「先に起きたら植木の面倒見ておいてね」なんて気軽に言うのも当然なのである。すげぇ生物種だ。一体何百年植木が無事なんだ。 ふわっとした危機に対し、光たちが主導するふわっとした打開策。意味が無いと言われてもやるしかないというのは、実際はかなり絶望的な段階のはずだが、やっぱりそこまでの危機感は感じられない。そして、あかりの提案である「生身を使ったお船引イベント」という最終兵器も、大した覚悟が感じられるイベントではない。だって、人形の代わりにあかりが船上に立ったところで、あかり本人には一切リスクは無いのだし。これで、「私が命を賭けるわ!!」っていうんだったらアニメ的な盛り上がりになるのだろうが、あかりの場合、単に里帰り感覚で海に沈めばいいだけの話であり、「ここは私が!」と出てきたことで状況は特に変わっていないのだ。あくまでもふわっと最終手段。うーむ、あらゆる部分がのれんに腕押しだな。 現状、刺激が出そうな要素といえば、ちさきちゃんが間違った方向で開き直った告白宣言ということになるだろう。ここで光を更に揺さぶることで、一体何が起こるというのか。要は相変わらず見てるだけになってるし、まなかは回りのぴりぴりした様子とは関係無いところでお花畑だし。冬眠イベントが進行してる時点で、「紡とまなかに幸せになってもらうしかない」っていう光の自己犠牲が既に揺らいでる状態なので、ここでちさきが余計なモーションかけるのはなぁ。来週、揉めるのか、解決まで進めるのか。もう、何がなにやら。 ふわっとした絶望感、第10話。このどうにもつかみ所の無い雰囲気、なかなか前例の無い筋立てである。分かるような分からないような、この感覚は維持されたまま話が続いて行くのだろうか。思考を追うのが本当に大変。 前回取りざたされた「ぬくみ雪」という現象。マリンスノーか何か? とか適当なことを書いたわけだが、なんとこれ、ある意味では「死の灰」と呼んでしまって差し支えないような物騒な代物。人々の生活から海神様が離れていったことにより発生する天変地異であり、「陸にも海にも降り積もり、世界は灰色に冷え切ってしまう」のだそうな。どこが「ぬくみ」やねん、とは思うが、とにかく軽く恐竜を絶滅させるくらいのポテンシャルはありそうな現象だ。これが「海神様の仕業」ならば「どんだけひでぇ奴なんだ」というシンプルな筋立てになるのだが、どうやらバックグラウンドは逆であり、海神様の力が及ばなくなると始まるのがぬくみ雪。卑近なところでは、お船引がちゃんと実行されていれば海神様とのコネクションも上手くいき、もう少し延命出来ていたかもしれないというレベル。うーむ、やっぱりこの世界はリアルとは随分かけ離れた秩序の下で成り立っている世界ということらしい。 難しいのは、「ぬくみ雪を警告と受け止めて、汐鹿生はそのまま眠りにつく」というイベントが、どの程度世間に浸透しているのかが分からないところである。少なくとも宮司は知っていたと思われるし、汐鹿生の村の大人連中も、大体のあらましは了解していた。まるで台風が来るのに備えるかのようなノリで、「あー、また面倒が起こるなぁ」という程度の対応である。植物の世話を頼んできたばぁちゃんとか、ちょっとした海外旅行くらいの気分である。ってことは、この大人たちは「眠り」を経験したことがあるんだろうか。いや、これまでの話から考えるに、その答えはNOであるはず。何せ滅びと言っても50年、100年スパンで考えるようなゆっくりした動きであるらしいし、陸の村にも年寄りがいて、文明が花開いているわけで、とてもここ数百年で人類が滅亡しかけたなんてことがあったとは思えない。ぬくみ雪の件は地上にとっても事件であるが、汐鹿生にとっても寝耳に水の大事件のはずなのである。 しかし、だがしかし、なんだか汐鹿生の連中は落ち着いている。光は「そんな馬鹿げた話を信じられるか!」とうろこ様にキレたわけだが、普通ならそりゃそういう反応になるだろう。しかし、村には子供と呼べる人間は光たち4人しかおらず、他の大人たちがさっさと眠りへの準備を始めてしまうと、大人の力に抗うわけにもいかない。一応「地上に秘密を漏らす」という形で反抗はしてみるものの、地上の方だって「そのうち人類が滅ぶ……かもしれない」とか言われたってピンとこない。大変なことになるっぽいけど、だからって対応も出来ないし。この点において、宮司の言っていた「陸の人間に教えてもしょうがない」という言葉は事実ではある。また、これまで汐鹿生の連中がことあるごとに陸の人間を差別し、軽んじていた理由も、ことここに至ってなんとなく見えたような気もする。何しろ汐鹿生はエナという「選ばれしものの印」を持っているわけで、地上の人間はいざというときに生き残れない欠陥品みたいなもんである。海神様に選ばれ、終末の危機でも守られることが保証された数少ない血統であることを自覚していれば、多少なりとも差別意識を持ち、地上と壁を作るのも仕方ないことなのかもしれない。でもなぁ、海神様って5/5破壊不能のアイツだろ? そんなに影響力あるかなぁ……。占術で見通すのも1ターン程度だしなぁ。 そして……やっぱりぼんやりしてるよなぁ。本当に地上がまずいのかどうか、それが誰にも実感出来ない形で進んでいるし、陸も海も、別に悲壮感は無いのだ。この状態で光たちに決断をしろと言っても難しいし、選んだとしても正解が分かるのはしばらく後になるだろう。現時点において、紡たちを「見捨てる」という行為なのかも分からない。確かに「滅び行く」世界を見捨てて眠りにつくのは光にとっては裏切り行為に見えるが、実際はなかなか地上もピンチにならず、紡が天寿を全うしてしまう可能性だってあるかもしれない。そんな状態では、「友情を選んで茨の道を進むか?!」みたいな大々的な選択にも見えないのである。そもそも、お船引を実行したら助かるのかどうかもよく分からんしな。そのくらいでいいなら地上の人間だってさっさと船の1つや2つ出すだろうに。 うーむ、なかなか実感が伴わないので、共感が得にくく、どうやってみたらいいのかよく分からん話になっておる。これでうろこ様とか親父さんが悪人だって分かるなら、その反対を行けばいいだけなので簡単なのだが、別にうろこ様も悪役ってわけじゃないんだよねぇ。単に事実を述べて最善と思われる対抗策を提示しているだけだし、ぬくみ雪はうろこ様のせいじゃないし。むしろ光との対話で「人に恋した海神様の鱗」と語り、光やあかりの気持ちにいくらか共感すら示している。あかりが村を抜ける時も、本気で潰すつもりならもっと直接手を出せただろうに、多少の見せしめの後に解放しちゃってるんだよね。うろこ様の今回の行動が、光を焚き付けて何とかお船引を成功させるための一案だと見ると、すげぇ頑張り屋さんっていう可能性すらある。本当に捉えどころがない。 そして、そんな深刻でワールドワイドな問題を他所に、子供たちの色恋沙汰も別問題として続いていくのである。前回まなかにどつかれてしょんぼりしていた光だが、それどころじゃない問題のおかげでメンタル面は何とか復帰。逆に、申し訳ないことをしちゃったまなかの方が一方的に気にする展開。丁度良いところにウミウシ(あんまりそうも見えないけど)が現れ、こんなところで「あのね、ウミウシ」である。うーむ、2人とも自分の気持ちは分かってるんだけどねー。今度の事件が2人の関係性を動かす上でプラスなのかマイナスなのか。分かっていることといえば、多分、まなかに面と向かって「子作りわっしょい!」と煽った近所のおっさんが最低だということくらいだ。女子中学生にアレって、我々なら確実に事案ですがな。まー、田舎のおっさんってああいうところでデリカシー無いことも多いし、多分悪気も無いんだろうけどさ。薄い本なら「どれ私が」ってズボン脱ぎ出すレベル。 そして、実はラスボスなんじゃないか疑惑すらあった要の見事な吹っ切れ方が最後のサプライズ。「いやぁ、何ともアポカリプスなんで、告白しておきますわ」って、こいつ、ほんとに何者なんだよ。この歳でこの達観のしかた、こえぇよ。流石にあの空気で言われたからって、ちさきの方も「じゃ、OK!」って絶対いわねぇだろ。大小入り乱れてのカオス時空。解決の糸口はどこにあるのでしょうね……。 雪ウミウシって何さ、第9話。この世界におけるウミウシのスタンスがよくわからねぇよ。汐鹿生に重用されておまじないの対象になったりするのはいいとしても、地上の人間にまで愛される理由はなくないか? やっぱりこの世界における「海」は謎が多い。 前回のエピソードでこれまで展開されてきた多くの「前座としての」人間関係などは処理されたと見ていいだろう。「あかり編」とでも言うべきエピソードはおよそ平和的に収束し、汐鹿生と地上の関係性も、一旦落ち着くところに落ち着いたように見えた。しかし、この世界の闇は深く、ここからいよいよ本番というフェイズに入ったのかもしれない。 原理は全く分からない怪現象「ぬくみ雪」。海の中に雪が降る「マリンスノー」という現象は広く知られるところで、別に冬場でなくても汐鹿生の村に雪が降るのは別段おかしな話ではない(まぁ、そんな局所的に、集中して地上の雪と同じように降るとも思えないが)。外気温に比べて海水温は変動も少なく、ずっと海中にいても問題無く生活出来る汐鹿生の生態を考えれば、海の中が「寒い」ということに大きな問題もないだろう。そもそも、「ぬくみ」雪と言っているということは、いわゆる「雪」とは全く別個の現象であり、季節感を出したり、風情を醸したりするものではなさそうだ。光たちの言動を見るに、海中で見られる「ぬくみ雪」は、本当に単なるマリンスノーのように、たまさかに起こる自然現象という認識しかなさそうだ。 しかし、いかに不思議な世界と言っても、そんな海中の現象であるぬくみ雪が地上に降るというのは、普通のことではないらしい。地上の連中もあまり困っていないようなのでどのように受け入れられているのかは悩むところだが、少なくとも美海ははしゃいでるわけだし、現時点ではあまり重く捉えていない(「しばらくは残るが消えてしまう」性質らしいのだが、一体主成分はなんなのだろうか)。しかし、そんなぬくみ雪を凶兆と捉えているのが、うろこ様率いる汐鹿生の面々である。地上のぬくみ雪が異変であると捉えられ、なんと「地上との関係を断つ」というまさかの行動に出た。原因は分かっていないようだが、お船引が中止になった直後の出来事であるだけに、両陣営にとってもあまり良いタイミングとは言い難いようである。あれだけ偉そうな顔してお船引の再開チャンスを潰した原因は自分たちにあるくせに、なかなか酷い連中である。 そして、そんな地上と海中の断絶が、光にとっては最悪のタイミングで訪れてしまった。何しろ、汐鹿生の中では数少ない「地上への出向」を、家出という形で実行していたタイミングなのだから。自らの意志で恒常的に村を出ることにしたあかりはまだ諦めもつくだろうが、中途半端な身の上の光はそうもいかない。慌てて村を捜索したところを親父に発見されてさぁ大変。どうやら「地上で何かが起こる」という予測らしいのだが、光りは地上を見捨てて、このまま大人たちに引きずり下ろされることになるのだろうか。 そして、そんな大局的な地上と海中の問題に加えて、一時は安定したと思われていた光とまなかを中心としたややこしい色恋沙汰も再び回り始めた。前回ちさきに向かって堂々の応援宣言を出した光だったが、いざまなかの真っ直ぐな態度を見てしまうと心グラグラ。やっぱり幼なじみのあの娘は大層可愛らしかった。緊急時だったせいで吊り橋効果なんかもあったのだろうか。若い情動を堪えきれずに思わずハグである。いきなりのことに、アドリブの効かないまなかは咄嗟の拒否を示してしまい、純朴な少年は思いの外傷ついてしまうという。うーむ、若いなぁ。ま、この程度のショックはこれまでのドロドロに比べりゃ軽いものですけどね。まなかがあれこれ言い訳して謝れば済むだけの話なんだから。……まぁ、現状においてそう簡単にことが収まるとも思えないけども。今のところまなかは基本的に自我に従って素直に動いていることがほとんどなのだから、光も余計なことを考えなけりゃもう少し解決にも近づくんだけどなぁ。男の子は必要も無い見栄を張っちゃうからなぁ。 そして、今回興味深かったのは、これまで5人の関係性に対しては終始外野に位置し、ある程度沈黙を守っていた要が感情を見せたことである。ま、ぶっちゃけ視聴者目線では割と分かりやすかったことだが、彼の視線は仲間たちの中でも特にちさきに向いている。大人ぶって出来る限り回りを優先させようとするちさきの行動を、更に外野から見守っていた要。今までは彼の出る幕が無かったので大人しくしていたが、今回、「ちさきのことが気になって他人に気を配る余裕が無くなる」様子や、ちさきに向かって割とダイレクトに愚痴を言うシーンも確認され、ようやく少しは我が儘を言い始めたかな、という感じ。現状の恋心ベクトルはまなか←→光←ちさき←要。こうしてみるとやっぱり一組だけ相思相愛がいるのがなんだかなぁ。紡の絡み方次第ではあるのだが、残念ながらこの手の作品にはお約束の男3,女2というアンバランス構成なので、紡は余計なことしないでじっとしてた方がいいのかもしれん(いっそさゆちゃんを引っ張り出すという手もあるが……)。 とにかく、これまでにない規模でダイナミックにシナリオは動き始めた。相変わらず全容の見えてこない不可解な世界ではあるが、今後の動きで、多少なりとも広がりは見えてくるだろうか。汐鹿生の町並みのあの何とも言えない違和感は、今後説明されるタイミングがあるのかなぁ。 広がる世界、第8話。そうかぁ、「町」に出るのが初めて、つまり今までは一切「外」が無かったっていうのは、気付かなかったポイントだったな。 今作ではひょっとしたら初めてかもしれない、「何一つ不穏な出来事が起こらなかった」エピソード。前回うろこ様のお仕置きブリザードをくぐり抜けたことで一通りの禊ぎを終えたのか、光とあかりの姉弟に対しても現状はお咎めなし。その他の不安要因もまだあるが、今回はそちら方向よりもあかりのスタンスをしっかりと固定させるエピソードになっていた。ようやく家族の一員としてあかりを迎え入れる決意が出来た美海ちゃんが、幼いながらも精一杯考え、努力して、想いを伝えることが出来た。彼女の気持ちには一切疑念の余地は無いので、今作にしては珍しく、非常にストレートな伝わり方になっている。幼女が頑張っている姿というのは大変に結構なものですね。 で、そんな分かりやすいお話だったために、それを利用していくつかの補強要素が作中に組み込まれており、今後の展開に関わってくるであろうファクターもこの1話にしっかりと現れている。1つ目は非常に明確で、まなかを巡る光の気持ちが明言されたこと。光は良い奴だ。直情馬鹿ではあるものの、決して思慮が浅いわけではないし、何よりも他人のことを考えて行動出来る人間である。そんな光が、まなかの現状を見て「紡とまなかをくっつけよう」という方向に動いていることが、明確に本人の口から語られた。前回の「お船引やりたい」ユニゾンを見たことでその気持ちは決定的になったようで、要領の悪いまなかを積極的に紡と絡ませるために、光なりに(分かりやすい)気遣いをしているわけだ。そして、そんな決心以上に大事なのは、光がまなかのことを「諦める」と表現したことだ。ついうっかり口を滑らせてしまったちさきの一言のせいで、光は「自分のまなかへの気持ち」を認めることになってしまった。これまで必死にポーズだけでも「まなかより上」に立とうとしていた光からしてみれば、事実上の降伏宣言みたいなものである。「自分はまなかのことが好きなのか」という自問自答には、既にイエスという答えが出ていたのだ。 そんな光の決心は、単純馬鹿だからこそ迷いがない。今回のちさきとの対話シーンでも、「諦める」「まなかの笑顔が見たい」と語った光の目には、多少の寂しさはあったものの、後悔や妬みの念は一切伺えなかった。おそらくこの鈍感男は「まなかの自分への気持ち」については一切関知していないため、「紡と一緒にいるのがまなかにとって最上の幸せである」と決まってしまっているのだろう。そこが決定事項なら、確かに光に出る幕はないのであるから、身を引く、という宣言は非常に立派なものである。だが、実際はそうもいかないということを、少なくともちさきは知っている。だからこそ彼女もややこしい。まなかの気持ちを知っているからこそ、ちさきは必死に光に何かを伝えようとしているのだが、当然それは2人の関係性を考えればフェアではないだろうし、「そんなことを言ったらみすみす光を自分の手から逃すことになる」という葛藤もあるだろう。挙げ句光には「良い奴だな」なんて言われてしまって、もうどうしていいか分からない状態。ほんとにどこまで行っても苦労人である。こんだけの関係性になっているのに、要の野郎が未だに外野から見物模様なのがすげぇ気になるけども。あいつ、ラスボスじゃねぇだろうな。 そして、今回もう1つメインで描かれたテーマは、「この世界の全容」である。これまでは汐鹿生の集落と、そこに直結する1つの村だけでお話が完結していたために「汐鹿生の生態のおかしさってどこまでのものなのだろう」という最低限必要な前提条件が、うまいことぼかされていた。そのおかげで色々と不思議なことも起こっていたわけだが、今回子供たちが町に繰り出したことで、「世界と汐鹿生」という設定のいくつかが新たに明かされた。まず「世界」だが、基本的に現代と同じような時間軸だと思っていたこの作品世界は、どうやら時代的には少し昔の設定になっているようだ。古めかしいエレベーターのデザインや、昭和臭のする電車の造形などからそれを伺うことが出来る(もちろん、単なる前時代性ではなく、「海」をモチーフにしたこの世界独特の意匠も多く見られる)。そういえば、確かにこの世界に「現代である」ことをほのめかすようなツールはなく、電話なんかも公衆電話と家の電話(青い黒電話?)しかなかった。少なくとも海の中で完全防水のスマホを駆使するような時代ではないということだろう。 また、時代だけでなく、場所についても多少「ズレ」があることが様々な背景要素の造形から見えてくる。今回訪れた「町」の風景は、あまり日本的ではないもので、石造りの建物が多く、どこか異国情緒が漂っている。光たちの造形や名前は完全に日本式のものであるが、世界はちょっとズレたいわば「凪あす次元」とでも言うべきオリジナル世界が確立しているってことだ。考えてみれば当たり前のことだが、今回はそうした「世界の独自性」が改めて確認出来るようになっていた。メインのシナリオを進めながら、そうした「世界の構造」を紐解いて滞りなく理解出来るようにしてくれている構成はありがたい。 そして、この次元の最大のオリジナリティといえば、それはやはり汐鹿生という存在以外には無い。「生物学的にどう見ても劣性」とか、「社会的に一体どういう保証が受けられる身分なんだ」とか、謎がてんこ盛りだったわけだが、今回の町の景色を見て、何となく世界各国に散在する、国政で保護される少数民族のイメージなのかな、という気がしてきた。ほぼ単一民族で構成される日本だと分かりにくいが、フィリピンやインドネシアのような国家になると、様々な文化的観点から国の保護下に入っている部族というのが存在する。汐鹿生もそうした扱いを受けており、基本的には村から出ることは無いという扱いだが、当人達の意志次第では、(ある程度の不便さえ容認すれば)いくらか地上での活動も保証されていると、そういう状態なのだろう。「塩水あります」の看板とか、なんだか電気自動車の充電ステーションみたいな扱いでちょっと面白かった。紡が「あまり数はない」と言ってたことから、普通の家庭や、小売店程度には無いイメージだろうか。車椅子で入れる公衆トイレくらいのイメージかもしれない。 何となく世界が見えてきたことで、今後の物語の準備も整ったといえるだろう。ひとまずの焦点は今後の光の動きと、それに伴うちさきの暴走っぷり、ということになるが、もちろんあかりと至の関係もまだまだ試練は多い。何よりも姉夫婦と同居せにゃならん光に面倒が多い……夜起きてたらヒソヒソと実の姉の睦言が聞こえてくるってのは……すげぇ居づらそう。あかりたちも光にはすげぇ気を遣いそう。美海ちゃんに弟か妹が出来るチャンスはあるのだろうか? そして、「塩水が無いと乾いちゃう」設定を前面に押し出されたのを見て、「あぁ、冬コミの薄い本の設定は大体決まったな……」とか思う僕の心は汚れてしまったのか? 答えは聞いてない。 |
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