最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
というわけで、公開2日目といつになく早い視聴。単に時間があった、というのも理由だが、この作品の場合、ボーッとして先送りにしているとどんどん色んなところでネタバレに出会いそうで嫌だ、というのもあった。早めに見ておけば、今後ネット閲覧に気を遣わなくても良くなるしね。そんなわけなので、当然のことながら、
以下、確実にネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意下さい。 PR
春休みのイベントというとこれでした。劇場版の「ストライクウィッチーズ」。アニメも含めて「ストパン」の大ファンっていうわけじゃないけど、少なくともシリーズ2作は楽しく見させてもらった身、やはり劇場にも足を運ばないのは失礼ってもんだろう。
以下、遠慮無く作品のネタバレは含んでいますので存分に注意して下さい。 まず一言で感想を言うと、「大満足」ですね。見たいと思って行ったものは全部やってくれたという印象。正直言ってそこまで身を入れて見ていたわけではない作品なんですが、この劇場版は「もう1回観に行きたい」と思わせるだけの作品だったと思います。最近は劇場アニメも増えて敷居が低くなっているとは言っても、こういう趣向を劇場に持ち込むのはアリだと思いますね。 作品の中身をまとめると、延々90分の時間を費やして「宮藤少尉マジイケメン」ということをひたすら手を変え品を変え描き続けるだけ。そのためにフラットな視線から芳佳を見られる新キャラである服部静夏という新兵が登場し、若者、年下から見た芳佳の人となりが克明に描かれていく。時間が限られているおかげで個々の事件の展開なんかは非常にご都合主義のきらいはあるのだが(ネウロイ出現の空気の読み方がハンパ無い)、1つ1つの事件やバトルのテンポが良く、劇場版ならではの画で見せてくれるおかげで充分に価値のあるものになっている。特にバトルシーンについては、この作品ならではのパンツ……じゃない、ズボンアクションがこれでもかというくらいにしつこくしつこく描かれておなかいっぱい。まぁ、ぶっちゃけると2期の1話を延々やっているような状態な気もするのだが、1つ1つのバトルにきちんと個々の隊員たちの個性が出るように工夫が凝らされているので、戦っているのが似たようなネウロイであるにも関わらず、不思議と退屈な印象はしないのだ。ほんと、あれだけのズボンと尻、生足を大スクリーンで楽しむっていうのは……素敵ですねぇ。個人的に好きなのはシャーリーのむちむちぱっつんとした足です。健康エロですよ。尻でここまで書き分けられるってのはすごいよね。 ベタなシナリオとは言っても、その構成は手慣れたもの。魔力を失った芳佳が、生身の身体1つだけでネウロイと戦い続ける展開は無謀と言われても仕方ないものなのに、そのアツさと一貫した正義感のおかげで共感がもてるものになっているし、ジープで突貫をかけるシーンの悲壮感などは涙を禁じ得ない。「潜水艦での特攻」→「崖崩れの村での白衣」→「防空壕からの誘導」という風に少しずつ彼女の思いが積み重ねられてのクライマックスなので、彼女の持つ魔法力の源、「他者への愛情」が綺麗に形作られる。静夏が嫌悪感を示した彼女の破天荒さについても、それが501のメンバーによって少しずつ「良さ」に変わっていき、最終的には「仲間が全員で芳佳のもとへ駆けつける」というカタルシスに繋がる。「献身」と「友情」という芳佳の全てが、この作品で全て味わい尽くせるのだ。 もちろん、芳佳だけではなく501の他のメンバーの活躍シーンもばっちりだ。私は個人的に501以外の人間を知らないので他の部隊については省くが、残りの10人については個別に書いていこう。最初に盛り上げてくれたのはロマーニャのルッキーニとシャーリー。この2人はもう、単に仲良くしながらわいわいやってくれるだけで楽しいですね。よくわかんないけど「赤ズボン隊」との小競り合いは、2人の脳天気さがよく出ていて素直に笑えるシーン。 続いて芳佳が訪れたガリアのリーネとペリーヌ。リーネちゃんは……今回は芳佳ときゃっきゃうふふする役。いや、白衣のくだりはすごく大事なエピソードなんだけどね。あのシーンのおかげで、芳佳の覚悟がきゅっと切なくなるくらいに伝わってきたわけだし。まぁ、リーネちゃんはお布団の中で芳佳の枕になってくれればいいんですよ。久しぶりの再会の時にストライカーユニット履いたままで甲板の芳佳にダイレクトアタックしてたけど、大丈夫だったんでしょうかね。そしてペリーヌさんは、戦闘シーンだとあんまり見せ場がない代わりに、今回はシナリオ上でとても大切な役割を担った。芳佳の破天荒な振る舞いに頭を悩ませる静夏が、過去のペリーヌと完全に被っていたためだ。優柔不断な堅物キャラだったペリーヌも、長年のつきあいですっかり丸くなり、芳佳の良き理解者となったことが見事な対比となっている。ペリーヌの現在の柔和な表情と静夏の悩ましげな表情を見れば、宮藤芳佳という人間がよく分かる。そして、そんなペリーヌだからこそ、1人だけ静夏の感情を察知し、さりげなく彼女に歩み寄りの機会を与えたのだ。直接的に変化を促すことは出来なかったが、彼女の心遣いが静夏を変えたのは間違いないだろう。 そしてオラーシャからわざわざ出てきてくれたエイラーニャの2人。今回はそんなに活躍シーンが無かったのはこの2人かな。ただ、出立のタイミングで2人して仲むつまじく手を繋いでランデブーしていただけでも、ファンはそれなりに納得してくれた……と思いたい。 対して、カールスラント組、エーリカとバルクホルンは尺もたっぷりとって見せつける大活躍。おねーちゃんは芳佳の名前を聞いたとたんの大ハッスルで笑いを誘いつつ、ヘロヘロになったエーリカになんだかんだ言いながら優しくしてあげるところでニヤニヤポイントアップ。鼻水つけられても怒っちゃ駄目よ。そして劇場版だろうがなんだろうがいつものテンションのエーリカ。こいつなーんもしてない、と思いきや、新型ネウロイを素手でぶっ壊すという荒技を披露。どこまでも規格外である。 相変わらず陰に日向に部隊を下支えし、最終的には高らかに501の再結成を宣言した頼れる隊長ミーナ。2期以降すっかり事務方が板についてしまった感があるが、まだまだ現場でも頑張ってますね。そして、なかなか出てこないと思ったら案の定最後の最後で一番美味しいところを持って行くことになった坂本少佐。もっさん、なんでストライカーユニット持参なんでしょうね。しかも大和を強引に引っ張り出したり、やりたい放題ですがな。このぶっ飛び感が坂本さんなんでしょうけどねー。 そんなみんなに支えられ、どこまでもまっすぐに突き進む我らが主人公、宮藤芳佳。本当に彼女は素晴らしい主人公ですね。クライマックスの格好良さとか、もうどうしていいか分かりません。やっぱり救国の英雄は器が違うのだ。ただ、個人的に一番気に入ったのは、冒頭で静夏に返した「あ、そですか」の一言なんだけどね。2期7話でその間の抜けた空気には笑わせてもらいましたからな。どこまでいっても芳佳ちゃんはマイペースな子やで。 中の人の話は今更必要ないと思うが、新しいところでは今回ゲストキャラの静夏を演じたのは、内田彩。正直キャストロールを見るまで分かんなかったんだけど、青臭くてお堅い静夏のキャラには上手い具合にマッチしていた。今後もこの作品に続けて登場することが出来るなら、なかなか楽しみなことで。他にもちょいちょい登場した他の部隊のキャストなんかも本当に豪華で、「ストパン」ワールドはまだまだ広がり続ける期待が持てる。川澄なんてほんの一言のためにわざわざ用意されてたんだもんなぁ。あと、今のご時世は声を聞いただけだとナチュラルに「さて、今のはミズハスでしょうか、石原夏織でしょうか」クイズが出来る。まぁ、流石に間違えんけども。ちなみに蛇足だが、作品のパンフレットは、キャストインタビューも写真付きで掲載されており、501の面々(の一部)はわざわざストパンジャケットを身にまとったオリジナル写真で掲載されているので、ファンは必見である。千和とあみっけがやべぇくらいに良い写りなので、マジ必見。 最後にもう1回書いておくと、涙あり、笑いあり、感動あり、ズボンありの、とてもよくまとまった作品だったと思う。スクリーンの最後を飾った「つづく」の文字に期待を寄せつつ、第3期が始まるのを首を長くして待ち続けたいと思う。あ、そですか。
よし、行ってきました。本当は封切りした週末に駆け付けたかったんだけどね、残念ながらよんどころない事情があったのと、やっぱ週末のスタート日なんて無茶はしたくなかったので、ぐっと平日になるまで我慢しましたよ。まぁ、そのせいで来場特典をもらいそこねるというとんでもないダメージを負うことになりましたがね……なんで初週で一番早くはけるタイミングで律ver なんだよ……仕方がないから売店で「クリアしおりセット」を買って慰みとしました。しかしこれ……使う場所がねぇなぁ。
謎の映画に行って参りました。妙な話ですよね、現在絶賛放送中の作品が劇場でも観られて、しかもその内容がわずか45分、公開は2週間ぽっちでレイトショーばかりと。今まで聞いたこともないような公開形態である。正直、この作品はそこまで肩入れして観ているわけではないので、わざわざ金を払って観なくてもいいかなぁ、とは思っていたのだが、知り合いに誘われてしまい、まぁ、そんなら行こかと。この奇妙な形態が、一体どんな意図の下で展開されているのかを知りたいっていうのもあるしね。
で、観てきたわけなんですが……まずは、おそらく視聴した人間がほぼ確実に感じるであろう感想を真っ先に書いてしまおう。「なんでこれ、劇場でやったん?」。別にアニメを2話ばかり伸ばして地上波で前後編を放送しても全く問題無かったと思うのだが……一応、スタッフとしてはそれなりのウェイトで伝えたかった話、ということもあるだろうし、「このエピソードが無くても地上波だけでも楽しむことが出来るので、本当に観たいファンだけが目にすることが出来るボーナストラック」という位置取りだったとも考えられるが、正直、そんな軽いものでも、全く別なものでもない。この映画のエピソードを知っているのと知らないのでは、おそらく地上波版の理解度も没入度もかなり違う。「無くてもいい」と言われたらそうかもしれないが、「あった方が良い」のは確実だろう。これを、ニッチで視聴機会の少ない形態で発信するのはどうしたことなんだろう。「戦国BASARA」や「そらのおとしもの」、「ハルヒ」なんかの劇場版とか明らかにスタンスが違うわけで、今ひとつその意図が分からないのである。 「別に地上波でやっても良かったんじゃないか」というのは、シナリオの位置取りの話もそうなのだが、作品のクオリティとしてもそう言える。はっきり言ってしまえば、今作の品質は、世間一般の「劇場クオリティ」ではないだろう。大画面で観るものなので多少印象は変わるが、元々地上波でもさして画面の質が低くないものが、そのままの水準でスクリーンに場所を変えただけだ。「大画面でやるなら!」という意気込みで作る劇場版というとやたらにど派手なアクションが増えたり、とにかくディティールにこだわったりという「スクリーンならでは」の労力が割かれる場合が多いのだが、この作品にはそうした区別が無い。作品の内容を考えればそんな大仰なことは出来ないし、する必要もないとは思うのだが、本当に「すげぇでかい画面でいつものUN-GOを観ている」という状態になる。いくらかのお金を払って観るものとして、こいつはどうなんだろう。 何がびっくりしたって、この劇場版のコンテ演出は、監督が直接筆を割いてないという。スタッフロールを流し見しただけなので不確かだけど、確かコンテは三條ななみ名義だった気がする。普通、こういう作品って少なからず監督が手を尽くすものだという印象があるのだが……(まぁ、難波さんだからって不満があるわけじゃないんだけどさ)。どうにも、この企画に対するスタッフの思い入れがよく分からないのだ。 とまぁ、ここまでが全力でネガティブな評価である。ここで総括しておくと、「何も知らない状態でわざわざ劇場に観に行く」作品としては、この企画は不可だと思う。ただ、1つ忘れてはならないのは、あくまで「わざわざ2週間という短い期間を選んで劇場まで足を運ぶのは、よっぽどこの作品が気になる人間だろう」ということ。そういう搾られたターゲットを相手にする商売としてなら、この企画はそれなりの意味を持っている。 まず、「普段家庭で見ているアニメが、リアルタイムで劇場作品としても見られる」というのが、未だかつて無い経験である。「だからどやねん」と言われればそれまでかもしれないが、普段自宅の小さなテレビでしか観ていないいつものオープニングなんかを劇場で見るというのは、なんだかよく分からない高揚感があるものだ。普段の作品よりもまとまった長時間の放送形態というのも、物語のディティールを気にせず一気に見てしまえる不思議な推進力にはなる。おそらく、今回のエピソードを本当に地上波で前後編構成にしたら、劇場での印象よりもはるかにもやっとしたものになっただろう。「わざわざ劇場に持っていった普通の話」というよりは、「劇場でやったからこそなんだか普通に見えた話」というのが正しいのかもしれない。そりゃま、ど派手なアクションも感動のストーリーもいらんわな。 ストーリーとしては、前評判通りの、純粋に新十郎と因果(あと海勝たち)の出会いの物語。新十郎を巡ってちょっとしたサプライズなども設けられているが、メインプロットは地上波の各話と同じように「なんじゃそら」と腰砕けるようなお話だ。そのへんは、既に気にしたら負け。一応因果の「正体」に迫ることは出来たし、新十郎と海勝の捻れた腐れ縁にも「腑に落ちる」説明がなされた。その上で、このよく分からない設定の世界が何となくすっきりして見やすくなったのだから、やはりこのタイミングでの放映は正しい判断といえるだろう。これからクライマックスを迎える(であろう)地上波版のブースターとしては、なかなかいいアクセントになっていたのも事実である。 中身の具体的な話については、ネタバレにもなるし「ネタ」を明かしても何だか雲を掴むような話で誰も得しない気がするので端折るが(実は私がよく分かっていないという背景もあるが)、地上波版を受け入れて観に行った人たちなら何となく「ま、いいか」っていうレベルだから大丈夫。大丈夫? 一応付記しておくと、風守は出ません。大人因果がちょっとエロいくらいです。 本当にヌルッとして評価しにくい作品なので、最後にとっておきのネタに逃げてしまおう。そう、中の人の話だ。地上波版では、新十郎が映画の撮影をしており、そこに3人の女優が登場する。わざわざ無茶な兼ね役まで使って、寿・高垣・豊崎というsphereを3人固めており、当然誰もが「なんで戸松だけおらんねん」と思うだろう(思うよね?)。その答えが、劇場版だ。戸松は、そこにいたんです! 最終的にsphereを中心としたダイナミックな中の人パロディとかで幕を閉じたらものすごく面白いのに。 作中では戸松ボイスと豊崎ボイスがオーバーラップするという、ファンからしたらどうしていいか分からなくなるシーンがあるんですが、多分劇場で視聴してた時はそのへんが一番ニヤニヤしてました。あと、戸松が武田鉄矢の「少年期」を歌うシーンとか。「僕はいつ頃大人になるんだろう」って、成人式終えたばっかの若造が歌うんじゃねぇ。 本日の結論・「因果はやっぱり良いキャラであった」。 以上だ! 「見に行く人は充分気をつけてね」って言おうかと思ったけど、もうあんまし観る機会無いな!
もう間もなく公開が終わっちゃう! ってんで、最後まで悩んではいたんですが、結局行ってきました。せっかく見られるのに見に行かないのは、やっぱり勿体無いよね。見ようかと思っても「トワノクオン」とかだと劇場が遠くて面倒だものね!
というわけで、ちょっと前に観に行ったのですが、既に時期も去り、1日2回上映という少ないスケジュールになっていた本作。平日朝にはもう客もおらんだろうと思っていってみれば、これが案外いる不思議。公開が終わる頃だから、最後のリピーターが来ていたんでしょうかね。当然、客層はそちら方向のおねーさまがたが多くお越しになっていました。ご立派です。 正直、そこまで期待した作品でなかったんですよ。アニメ1期は好きだったけど、2期目はシナリオを真面目に(?)やりすぎてあんまりパーリー出来なかったし、アホな内容とはいえ、あの大舞台である関ヶ原を2時間程度の劇場版でやるなんて無茶な話。どうせ馬鹿活劇のダイジェスト版的なものになるんだろうということは容易に想像出来た。一応記念程度に、というレベルのモチベーションである。 で、終わってみてだが……馬鹿だねぇ。本当に馬鹿だねぇ。面白いか面白くないかと聞かれたら、面白かったですよ。割と画面にはかぶりつきでしたよ。吹き出すのを堪えるのに必死だったシーンもありますよ。このノリはねぇ、腐女子向けアニメ云々とかじゃないね。古き良き「東映まんが祭り」の香りだ。とにかく意味は分からないけどでっかい敵がいて、それをよく分からないうちにでっかい技でみんな協力して倒す。非常に明快で盛り上がれる、日本男児カタルシスですよ。思い切ってここまでの構成にしたのは、スタッフ陣の手柄じゃないかと思います。そこは素直に賞賛して良いかと。 (そういえば、一応以下は「ネタバレ」になりますので注意が必要です。まぁ、気にする人はいないだろうけど) 先に不満な点を上げておくと、どうしても政宗と幸村をメインにしなければならないという縛りのせいで、キャラの見せ方がぶれてしまったことだろう。本作は関ヶ原をメインの舞台として描いているのだから、視点としては三成と家康を中心に持ってくるのが妥当なはず。振り返ってみると、実際にストーリーを引っ張っていたのはこの2人であり、幸村と政宗は、単にどさくさに紛れて喧嘩に混ざった傍観者の立ち位置でしかない。仲裁役の慶次の方がいい動きを見せていたくらいだろう。 そんな状況で、(シナリオ上は)不必要とも言える政宗の描写、幸村の描写に時間を取ってしまったのは、テンポを悪くする一因になってしまっている。信玄候から位を賜った幸村についてはまだドラマがあるのだが、政宗については、あれだけ猪突猛進を小十郎に怒られ続けていたというのに、今回も冒頭で三成とタイマン挑んで負傷、加えて幸村との遭遇イベントでは他人の制止も聞かずに喧嘩をおっぱじめて、最後の大決戦では特に見せ場があるわけでもない。単なるアホの大将である。まぁ、もともとそういうキャラなので仕方がないといえばそれまでだが、今回はそんな政宗の行動が全て悪い方に動いてしまっていたので、あまり爽快感に繋がらなかったのは残念であった。 あと、これは完全に個人的な恨み節だが、今作は「BASARA3」を扱った作品だったはずなのに、孫一が出てこない。鶴姫も出てこない。いや、出てこないことは覚悟してたけどさ、一応3が舞台ならその辺のキャラに一言でいいからしゃべらせてくれれば……ぶつぶつ。今回かすがにすら出番がなかったじゃないか。キャストクレジットで「夢吉・桑谷夏子」って、そっちでしかしゃべってねーのかよ。うーむ、残念。 とまぁ、何点か不満は出たものの、大筋の流れは与えられた時間枠でちゃんとおさまっていたし、特に関ヶ原突入後のお祭り騒ぎはこの作品の魅力がたっぷりと詰まった見事な晴れ舞台。個人的に一番良かったのは、これまで一切登場していなかった「新キャラ」であるはずの石田三成のキャラクターが明確にたっており、そこに人間的な魅力が感じられたこと。今回一番格好良かったのって、三成だと思いますよ。「絆」をもって日の本を平定することを望む理想家の家康と、ただひたすら失われた主君の仇討ちのみを考えて孤軍奮闘する三成という「和と個」の対立が綺麗に出ていて、合戦のメインテーマが見やすくなっていたのが良かった。最後の大谷刑部の翻心についてはちょっと分からない部分もあったが、ちゃんと三成にも救いの未来が与えられるエンディングも良し。やっぱりいつの時代も友情で努力が勝利の鍵です。 そして、本来なら石田対徳川連合軍という歴史の分け目となる関ヶ原が、まさかの魔王討伐イベントになるというトンデモ設定が素敵。「これは俺の知ってる関ヶ原じゃない!」と叫んでみたものの、こっちの方が確かに「天下分け目の決戦」に見えるのである。完全に闇に堕ちたお市のポテンシャルと、それを巧みに操る怪僧天海(一体何者だってばよ……)の手による、ビッグイベント「魔王復活」。もう、このあたりになると、ひたすら好き放題やってくれた作画スタッフと、怪演・好演のオンパレードだった中の人たちを絶賛するしかない。あのイベントは、男の子だったら燃えざるを得ないだろう。あの魔王は倒すしかないだろう。ほんと、楽しかったです。 いい話的に終わった本編の後では、およそ2年ぶりに見られたあの雑兵ダンスもフルスロットル。いやー、馬鹿だねー。楽しいねー。あんな仕事しなきゃいけないって、戦国時代の足軽たちも大変だなー。 最後に、素敵な馬鹿を演出してくれた中の人たちについて1人1人。今作でMVPをあげるとしたら、それは三成役の関智一だろう。「普段通りのセキトモ」といえばそれまでなのだが、やっぱり彼の持つ熱血指数の高さと、高低を自在に操る没入度の高さは天下一品。「復讐に燃えた孤独な凶王」というとクールで地の底に沈んだような印象があるにも関わらず、三成はそれだけでなく、秀吉に対する盲目的な忠誠心、信仰心が熱く篤くたぎっている。そうした冷酷さと激情のバランスの取り方が、抜群なのだ。今作屈指の名シーンとしては、夜の山中で家康と三成が語り合い、決別するシーンを挙げたい。「秀吉様を過去と語るな!」って、いい台詞だと思うんですよ。 そんな三成に対峙する家康についても、大川さんが頑張ってくれていたと思うのだが、いかんせん主義思想が理想論で軽いキャラだったからね、三成の格好良さと比べるとちょっと水を空けられた感じ。あの真っ直ぐさは大川さんならではだと思うけど。その他、信玄候のいつも通りのテンションとか、小早川秀秋の本当に情けない風体とかは実に楽しかったです。福山潤々自由自在。そして悪役勢。魔王様の中の人については、もう「あー、何言ってるか全然分からん!」という投げっぱなし感がたまらない。声出すだけで芸になるって、本当にずるい。そしてそんな魔王の影で暗躍しながらも、最後は何故かコメディリリーフとして落ちていった天海。やっぱり速水奨はすごい。そんでお市役の能登麻美子ね。でも、今回のお市は強烈な武器を手に入れて自信を持っちゃったせいか、「2」の時みたいな不安定さが無くなってたなぁ。あのおどろおどろしい感じが好きだったんだけど。 あと、鳥肌が立ったシーンで言えば突如現れた毛利の大戦艦がお気に入り。あのシーンの元就の台詞も(はっきりは覚えてないけど)やたら格好良かった気がする。なんだかんだで、やっぱりダーティーヒーローの方が憧れになるもんです。 とにもかくにも、「BASARA」が好きな人間なら後悔しない出来になっているのは確かだ。さぁみんな、劇場へ行こう! もう終わってるけどな!
巷の情報によると、興行的にはそこそこの好スタートを切ったそうで何よりです。このアニメの1ファンとしては、出来るだけ良い結果に終わることを願ってますのでね。
というわけで、空くのを待ってダラダラ出かける私にしては、かなり早い段階で観に行きました、劇場版「そらおと」。理由は……特に無い。「これ以上暑くなったら劇場まで足運ぶのしんどいやんけ!」とか、そういう理由かもしれない。客入りで好スタートを切ったという噂を聞いていたのでどれだけ人が入っているのかと気になったが、流石に平日昼間にはなかなか人もいませんね。私も含めてせいぜい20人といったところでしょうか。この手の作品だと、客層が実に安定しているのである意味入りやすくて助かります(同時に同族嫌悪ですごく鬱陶しくも感じるのだが)。 さて、テレビシリーズ2作品はそれなりの好評を得て幕を引いた「そらおと」だが、劇場版で何が起こるのか、というのはあまり知らない状態で観に行った。一応「日笠陽子が声を当ててる新キャラメインの話」というくらいは聞いていたのだが、はたしてあの世界観で劇場作品をやると、どんな風になるのかというのは予想がつかず、楽しみ半分、おっかなさ半分。あの独特のノリを劇場で共有して良いものか、というのは不安だったしねー。 で、先に書いてしまうと……60点くらいですかねぇ……うん、劇場作品を見に行くと大抵目を潤ませて出てくる私ですが、正直言ってあんまり魂に訴えかけてくるものはありませんでした。劇場作品らしい頑張りどころもあるにはあるんだけど、それがわざわざ大金を払って観に行くべきものかというと、やや微妙な感じ。うーむ。 まず肩すかしを食らったのは、出だしからの総集編パートである。一応風音日和という新キャラ視点での再構成だし、後半のシナリオを考えれば空見町でのたくさんの出来事、日常風景を改めて書き起こす意義はあるとは思うのだが、わざわざ劇場作品を見に来るような層は、ちゃんとテレビシリーズをチェックしている人間ばかりだろう。そういう人間相手に、総上映時間の1/3(下手したら半分近く)を総集編的な既視感で埋めてしまうというのは、あまり誠実な作品作りとは言いにくい。まとめからの再構成と言えば「マクロスF」の劇場版も一応似たようなコンセプトだったが、あちらは同じようなシーンでも完全に描き下ろしていたし、劇場用にリビルドされたものだった。それに対し「そらおと」の場合、基本的な画面は単なる学園生活や田舎の日常風景でしかないので、描き直しされてもあまり新鮮さには繋がらない。言ってしまえば「別に地上波でやってもよかったんじゃないか」という程度の内容。飛行パンツやらサバイバルゲームやら、もう一回スクリーンでやりたかったという狙いも分からないではないが、どうせブツ切りになってしまう断片でしかないわけで、そこまで必要性が感じられるものではなかった(特に学園祭ライブのくだりは本編でもあまり印象に残っていないエピソードだったので、もう一回念入りに描かれたのは退屈だった)。これが1つ目の不満点。 そこから、いよいよ後半は日和を絡めての劇場オリジナル展開となっていくわけだが、普段のシリーズのように何かのイベントのどさくさに紛れての智樹の変態プレイがそこまで炸裂しなかったのも消化不良。「入部試験」のパンツ寿司は流石の一言だが、そこがピークだったので、その後の展開は次第にしぼむばかり。今作はギャグメインではないのでライトな演出になるのは仕方ないのかもしれないが、やはり馬鹿を精一杯馬鹿馬鹿しく描くのが「そらおと」の魅力なのだから、回想編を削ってでも、もう1ネタ2ネタ増やして欲しかったところ。石田ロボの登場とか、一瞬だったしなぁ。 対して、一気に目が醒めるのは、日和の復活から加速するクライマックスシーン。今回の劇場で最も楽しめたのは、文句なしでこの空戦シーンだろう。テレビ版では対カオス戦を見せてくれた2期8話、11話あたりのテンションだが、アストレアも含めた3人のエンジェロイドが協力し合い、それぞれの持ち味を出しながら巨大な敵と戦うという構図は、それだけでアツくなれる展開。今回はニンフが作戦指揮官として色々とおいしいところを持っていったが、クリサオルをぶん回すアストレアも勇ましかったし、それに対抗するZのシステムも禍々しさや壮大さが良く出ていて見応えがある。ウラヌスクイーンが起動できなかったこと、カオスの出番が一切無かったことは残念だが、やはりこの作品の見どころの1つは女の子バトルにあるわけで、その部分は劇場らしいダイナミックなものになっていたのが嬉しかった。 ただ、これについても、日和の心象風景については丁寧に描写されていたので追いやすかったものの、それを見守るニンフやイカロスがどこまで事情を理解して、どのように行動したかったのか、という部分が不明瞭なのが残念。原作を追っていればある程度理解出来るものなのかもしれないのだが、未読の人間にとって、結局風音日和とは何者だったのか、というのがどうもはっきりしないし、特にニンフが何をどうしたかったのか、空のマスターが何を狙っており、ダイダロスが何を隠していたのか、といった部分がさっぱり分からずに終わってしまった。今回はイカロスの活躍シーンが少なく、クライマックスでは無理矢理バトルを終わらせにきたイメージしかなかったので、そのあたりの導入をもう少し丁寧にやってくれたら、視聴にも身が入った気がする。そして、全ての要素において、「別に地上波でやってもらっても良かったのに」という感想は拭えないままである。 この作品は、テレビシリーズの出来が非常に良く、前述の通り、2期8話、11話などは、「劇場でやってもいい」ほどのクオリティを既に有していた。ただ、それをそのまま劇場に持ってこられると、どうしたって「もう一声!」という贅沢な要望は出てしまうものだ。今回の映画化にあたっては、残念ながらその「もう一声」がうまく機能できなかったのが勿体無い部分であった。 まぁ、それでも久し振りに「そらおと」の新作が見られたのは嬉しかったですよ。今回は特に前半パートで会長が大活躍してくれていたし、そはらやニンフの愛らしさもいつも通り。新キャラの日和についても、事前情報がなければぴかしゃが中の人だなんて気づかないくらいにストレートな愛らしさを持っていました。ぴかしゃの懐の深さを再確認できるよいキャスティングである(まぁ、今回も黒髪ロングではあったけど)。そして……保志さん、いつもお疲れ様です。この作品が終わったら、ボチボチいい歳なんだからもうちょっと落ち着いた役に回ればいいのにね。あの声じゃ無理かぁ。
毎日がエブリディな生活をしているために、あんまりゴールデンウィークとか関係無い私ですが、「世間では連休と言って浮かれたり凹んだりしているらしい、何か連休っぽいことがしたい!」ということで、思い立って劇場アニメを見ることにしました。近場の映画館の情報を調べると、やっているアニメというと「忍たま」「豆腐小僧」「プリキュア」「ワンピース/トリコ」などなど、結構やってるもんです。その中から何を見るか悩んだんですが、キモいおっさん1人で見に行って一番違和感が無いのはどれだろう、と考えた時に、最終的には随分前に封切りされていた作品になってしまいました。仕方ないです。流石に小さなお友達に囲まれて単身プリキュアを応援する気にはなれなかったですから。
というわけで「攻殻機動隊」である。ただ、劇場版と言っても過去に放送されたエピソードを3D映像に焼き直した作品なので、完全新作ではない。実をいうと「攻殻」はそこまで真剣に見たことが無くて、確か2nd GIGは昔地上波で放送していたのを全部見たけど、笑い男編はアニマックスとかでやっていたのを途切れ途切れに見ていただけなので、全容を把握していないズボラな視聴者だったりする。だから更にぶっちゃけると、このエピソードについても、劇場で見始めるまで、自分が既に見た作品だということを全然知らない状態で行ったのであった。いやぁ、適当ここに極まれり。ま、中身はすっかり忘れてたので丁度良かったんだけどさ。 というわけで、新作扱い出来ないけど新鮮な気持ちで見られる劇場映画。内容については、そこまで「攻殻」を真剣に語れる身分ではないのでおいとくとして、「過去に放送したエピソードをわざわざ劇場でやること」について、ちょっとだけ触れておこう。 まず、改めて見て分かることだが、「攻殻」ってのは本当にすごい作品だ。世界観が完全に確立し、「攻殻だから」というだけで色々な問題が解決するくらいのエネルギーを秘めている。SF作品としての骨子はしっかりした方だとは思うのだが、あくまでフィクションなのだから、突っ込みどころはあるのだろう。その上で、あのシナリオをあの映像、あの構成で叩きつけられると、文句を言う隙間が一切見あたらなくなってしまう。これは劇場で放映する前から作品として内包させたものであって、焼き直しだというのに観客動員がものすごいことになっているらしいのは、ひとえに「攻殻」という作品の世界そのものに魅せられたファンが多いからであろう、ということは理解出来る。 逆に言えば、「攻殻」にそこまで愛着を持っていない私のような人間は、「畜生! 見たことある内容じゃないか! 金返せ!」という感想になりかねないということでもあるのだが……幸いにして、決してそんなことはなかった。今作の最大の売りは当然「3D」という部分であるが、ここまで相性のいいアニメ素材は、ちょっと思いつかない。「電脳を介して見た世界」をイメージさせた3Dの画面配置が、これまでどこか突き放しているような印象を受けた硬質な画面を、有無を言わさず一人称視点にまで持ち込んでくるのである。視界の端に浮かぶ通信機器のインターフェースは、「あぁ、俺も電脳化するとこんな風に世界が見えるのか」という疑似体験を完璧に果たしてくれる。なるほど、これは3Dで見なければなるまい。 実写と違い、アニメ素材はアクション部分になるとどうしても動画のエッジがブレてしまい、3D眼鏡を通しても多少の不自然さが出てしまう部分があるのだが、それを加味しても、「浮かんで見える」という3D効果は充分にプラスである。基本的に背景はどっしりと暗いことが多く、そこまで奥行きを意識させる構図を取ることは少ないのだが、サイトーの最大の見せ場である狙撃シーンなんかは、画面の押し引きも利用して阿漕ともいえるくらいに画面が引っ張り出されてくるので思わずのけぞってしまう。こいつぁなかなか強烈でしたよ。 ま、正直言うと眼鏡オン眼鏡の人間は2時間ぶっ続けで3D眼鏡をかけていると目元がしんどくなってきてしまうのだが、それでも見続けなければいけない求心力があったと言うことは、この作品は成功したと見ていいのだろう。今後も劇場作品っていうと3Dを売りにしたものが増えていくのだろうが、はたしてここまで親和性の高いものが現れるかどうか…… 作中、実際は「飛び出す」というよりも「奥行きが見える」効果の方が大きかったので、ラストシーン付近になって「どうせ飛び出すなら少佐のおっぱいが、おっぱいが!」と念じていたのは秘密だ。相変わらずのナイスバディだったけど、特に飛び出す要素は無かったぞ。
今期はこれが最後になるんだろうか、劇場作品視聴でございます。封切りからちょっとたった今の時期で、春休み前の平日昼間ならそれほど混むことも無いだろうと思い、急いで視聴。案の定、そこまで混み合うこともなく、のんびりゆったり見ることが出来ました。
(以下、そりゃまぁ当然ネタバレ含みの内容になるだろうから、一応未視聴の方は注意)
今期3本目となる劇場アニメは、何故かボトムズ。「今年はあんまり劇場に足を運んでないなー」と思って探してみたら、今やっているのがこれだったのである(流石にプリキュアは一人で見に行きたくない……)。
で、この作品の話に入る前に、1つどうでもいい人生初体験をした。なんと、劇場をまるまる1つ貸し切り状態で視聴したのである。そりゃま、平日昼間だし、さして話題にもなっていないマイナーアニメ映画ではあるだろうが、それなりに大きなシネコンでやってる作品で、まさか客が一人とは思いもよらなかった。それとも、映画をよく観る人間はこういう機会もあるものなんだろうか……せっかくなのでど真ん中の席でめちゃめちゃくつろいで観てきたわけだが、誰もいないシアターは逆に落ち着かないもんだな。まぁ、咳をしたり、関節ならしたり、普段なら回りを気にして出しにくい音も気兼ねなく出せたのは楽でしたけど。家でアニメを観てる時と同じように、一人突っ込みしながら観てました。 閑話休題。ボトムズである。当方、はっきり言ってボトムズについては何一つ知らない。この作品がボトムズバージンの喪失である(荒鷲的表現)。「何で劇場作品でガンダム00は観に行ってないくせに、よりによって知りもしないボトムズなんだよ」と言われるかもしれないが、個人的には同じサンライズ作品でも、「00」は別に好きじゃない。わざわざ劇場作品を追いかけるほどに真剣に本放送を観ていない、興味のない作品だ。対して、このボトムズについては、「好きか嫌いか分からない」。明らかに好きじゃないものは観に行く必要も無かろうが、好きかどうか分からないものは、ちゃんと観て確認すべきであろう。 もちろん、わざわざ観にいったのには理由もちゃんとある。まず1つは、これが「新しいボトムズ」であるという点だ。つまり、旧作を知らない人間でも、それなりに観ることが出来るだろうという見込みがあった。もし面白ければ、これを機に改めて旧作を見直せばいい。そして、もう1つの動機として、その制作スタッフの顔ぶれがある。いわゆる「サンライズ若手陣」が手がけているという今作は、なんといってもメインビジュアルが久行宏和であるというのがポイント。久行絵がお気に入りの私にとって、このビジュアルで新作が観られるというのは実に魅力的。「ギア戦士電童」に始まり「舞-HiME」シリーズ、「アイドルマスター」と続き、久し振りにあの顔が拝めるとあらば、観ないわけにはいくまい。 (以下、ネタバレなどを含むので未視聴時は注意) で、視聴後の感想だが、一言で言うなら「ぼちぼち」である。放映時間が1時間弱と劇場作品としては非常に短く、まさに「ショートムービー」といってしまってよいくらいの中身なので、「劇場ならではの重厚な作品が見たい」と思っている人にとっては物足りない分量なのは間違いないだろう。シナリオも取り立てて新しいものがあるわけでもないし、ビジュアルにしても、目の醒めるような画面が現れるわけでもない。誤解を恐れずに言ってしまえば、「別に劇場版でなくとも、OVAで出せばそれで良かった内容」という気もする。そしてこのことは、サンライズ側の売り込み方にも現れているような気がする。観客動員の少なさや、宣伝の地味さ(何しろ「ボトムズ 劇場版」でググってもこの作品のページがトップに出てこない)など、「別に劇場で話題にならなくてもいいや」くらいのスタンスなのかもしれない。そういう意味では、必死に休みを取って何が何でも見に行きたいとか、一度観たら感動して何度も劇場に行きたくなるとか、そういう作品ではない。 だが、だからといって不満があるかというと、そうでもない。1時間という尺を考えれば堅実にまとまったプロットであったし、サンライズ作品らしい行き届いた画面作りも文句はない。初心者なので予断の域を出ないが、「新しいボトムズ」という制作理念についても、きちんと目的を果たすことが出来ているのではないかと思う。金を払って観た分のペイはある、充分満足できる作品であった。 1つずつ要素を見ていこう。まずはシナリオライン。短い尺なので、メインプロットは主人公のアービンと、襲いかかるペイガンの一騎打ちのみ。言ってしまえば、タイマン勝負だけのストーリーである。おかげで登場するATの数も少なく、二人を取り巻く世界の外縁部分については、どういう状況になっているのかはあまり見えてこない。しかし、その分だけこの2人を中心とした人間関係については明確な描写がなされており、バトルに到るまでの経過と、各々のキャラクターの心情、懊悩、そして決着に到るカタルシスは、実にバランス良くまとまっている。登場人物をメインキャラクター4人(アービンの妹・ドナとタカビープロデューサー・イシュルーナというヒロイン2人がいる)にしたのは正解だったろう。 この作品の時間軸は、ボトムズ本筋の「戦争」が終わった後の世界のようだが、そこで繰り広げられる「バトリング」と呼ばれる興業試合に戦争の遺恨が絡み、戦場の影を色濃く残した2人の主人公がぶつかり合うことで、間接的に「戦争」というテーマが浮かび上がる仕組みになっている。「戦後を描くことで戦争を描く」というとどこかで効いたことがあるコンセプトだな、と思ったら、どこか「パンプキンシザーズ」に似ているかもしれない。アービンは未だ「戦争の代価」を支払っておらず、そのせいで「戦争を終わらせない男」であるペイガンとの戦いを余儀なくされる。二人の持つ「戦うこと」に対するイデオロギーをぶつけることで、キャラクターが少なくとも、実際に大きな紛争シーンを描かずとも、ちゃんとそこに「戦争」が現れるわけだ。 こうした「人の血が流れること」の象徴としてアービンというキャラクターがあるわけだが、ラストシーンで安易に彼が「許されなかった」ことは、このシナリオを見る上で外せない部分だろう。戦いを、殺人を忌み嫌い、逃げ回っていたアービンが最後には否応なく立ち上がる結果となったわけだが、最終的に、彼の行った「戦争」は一切清算されていない。むしろペイガンという新たな「戦争の記憶」を背負い込み、彼の忌まわしい記憶は、より執拗に彼の人生を苛んでいくことだろう。それこそが「戦後」であり、「戦禍」である。唯一、妹のドナが必死に振り絞った「おかえり」の声だけが、彼を「今」に引き留める動機たり得る。あのシーンで、ドナが決して笑顔などにならず、とめどなく涙を流しながら、ひたすら兄を思って振り絞ったのが「おかえり」の一言であったことで、この兄妹は新しい一歩を踏み出すことが出来るのである。シンプルではあるが、きちんと「片を付ける」ことが出来たいいシナリオである。 シナリオの次に、ビジュアル・画面について。前述した通り、久行絵なので個人的にはそれだけで楽しい。特に感極まった時のキャラクターの表情は本当に真に迫るものがあり、ちょっとクレイジーが入ってしまったペイガンや、兄に裏切られ慟哭するドナの表情なんかはたまりません(個人的には、久行絵では「舞-HiME」で命を一喝する舞衣の鬼の形相と、雪之を誅殺して悦に入る静流会長の表情が大好きです)。ぱっつん髪のドナや、エロの象徴たるイシュルーナのビジュアルも、いかにも現代アニメっぽくていいですね。この辺はオールドファンからの意見が割れそうなところではあるけど。 そしてロボットアクション。勝手なイメージだが、ボトムズの魅力はやはりその無骨さにあるだろう。ガンダムなどに比べるとリアルに寄った造形が意識されており、今回登場した機体も、足下の駆動系や、両手に装着した諸々のアタッチメントの取り扱いなど、細かい部分で「実際にありそう」なギミックがてんこ盛りなのが見どころ。整備屋のアービンがラストバトルを前に自分なりに機体をチューニングして様々なオプションをつけているシーンも色々と興味が湧くし、ペイガン機の最終形態の厨臭いやり過ぎ感もまた楽しい。どれだけ強さを追求して現実味が薄くなろうとも、あくまで「現実に戦った兵器である」という一線を越えずに描写していくバランスもなかなかのものだ。 そして、そんな「嘘リアル」な機体が動き回るバトルシーンは、劇場版ならではというクオリティ。特にラストバトルでは、壁を登り降りが可能なため、どっちが上でどっちが下かも分からなくなる四次元殺法なぐるぐるが大迫力。そこまでやっておきながらもちゃんと決着は拳骨っていうのも男らしくていいですね。何となくではあるけれど、「これがボトムズっぽさなのかなぁ」と思った次第です。違ってたらすみません。 そして当然、キャストの話。本作はもう、メインキャスト4人だけと言ってもいいような状態です(唯一友人役の白鳥哲はなかなか面白いところで聞かせてくれたけど)。まず、アービン役の平川大輔。……うん、普通。次にイシュルーナ役は遠藤綾。……うん、いつも通り。ちょっと油断すると銀河の歌姫に見えやすいので注意が必要だが、このエロさはやっぱり天性のものでしょうか。ご本人はエロさの欠片も……げふんげふん。 そしてテンション上げ目の役でみせてくれたのが、ペイガン役の福山潤と、ドナ役の豊崎愛生。この2人はかなりいい演技を見せてくれたと思います。豊崎はちょっと油断すると「ほわほわ役専門」みたいなイメージになるんだけど、色んなところで「あぁ、やっぱり役者なんだ」ということを思い出させてくれる仕事をする。本作もそうした「別な豊崎愛生」が見られる1本になっています。そして敵役を楽しげに演じてくれた福山潤。彼の場合、時折「福山は何をやっても一緒じゃないか」みたいな非難を目にすることがあるのだが、今作を聞けば、おそらくそうした非難が的外れであることが分かると思う。クレイジーが入った悪役というのは楽しくもあり、難しくもある役どころだと思うのだが、期待を裏切らないだけの内容になっている。福山ファンは必聴です。 トータルすると、テレビシリーズだったら6点か7点くらいの作品かな。以下の項目に当てはまる人は、観にいっても損は無いかと。1、「久行絵が好き」。2,「あまり悩まずにロボットバトルが見たい」。3,「エロい遠藤綾の声が聞きたい」4,「いい感じの福山ボイスを堪能したい」。4つのうち2つが声優絡みなのは、仕様です。 |
ブログ内検索
リンク
最新記事
(01/22)
(01/22)
(01/21)
(01/21)
(01/21)
(01/20)
(01/20)
(01/20)
(01/19)
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
アーカイブ
|