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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 めちゃめちゃ遅くなりましたが、水木先生100thアニバーサリーおめでとうございます。この人と荒木飛呂彦だけはマジで死なねぇもんだと思ってたんですが……まぁ、妖怪もいつかは死ぬってことですからねぇ。その代わりといっちゃぁなんだが、水木先生の遺志を受け継いで新しい作品は生まれ続ける。今作は、そんな記念すべき「誕生」の物語。令和の世に描かれたまた新たな鬼太郎の姿が、こうして印象深い新作として名を残すというのは素直に喜ばしいことだと思いますよ。僕の幼少期の夢は妖怪博士になることだったのさ。小学生時代の自由帳には大量のべとべとさんとぴしゃがつくの絵が残っています。どちらも下手くそでも描けるシンプルな妖怪だったからね! 今作でも元気に躍動する「さがり」なんかが見られて嬉しかったです。

 

<以下、一応ネタバレ注意ですが、思いの外話題になってるのでみんなもう観てると思う

 




 というわけで、どっかのタイミングで観に行こうとは思っていたのですが、(私の周りが特にそうなってるだけかもしれないが)鬼太郎の劇場版の割には想像以上に世間で話題になっている作品。おかしい、東映アニメ映画がそんなに話題になるなんて……とちょっと焦りつつ、なるべくネタバレや他人の感想を踏まないように慌てて劇場へ。でも事前に「なんか話題になっている」という先入観を持って観に行ってしまった時点でやや損はしてしまったかもしれない。おかげで「いったいどんなとんでもねぇもんが出てくるんだ……」って怯えてた部分はあるからね。終わってみれば、確かにPG12ということで多少過激な部分はなくもないが、別にそれとておまけみたいなもんで、素直な東映フォーマットに準拠した分かりやすい作品でしたよね。ただ、そうして「終わってみれば筋はシンプル」というところに辿り着くまでに、散々に振り回すガジェットがあちこちに散りばめられているのが100年の重み。水木流を受け継がんとする、古き良き東映チームの頑張りどころである。

 (恒例の中の人礼賛は最後に回すとして)まず冒頭グッと引き込んでくるのは、露骨に金田一風味……というか横溝風味を醸し出すミステリの空気。昭和31年という時代設定により許される「因習が残る閉鎖的な村」を舞台に、旧家で起こる連続殺人事件。その発端までにチラチラと見え隠れする怪しげな村の雰囲気に加え、余所者の水木が丁寧に登場キャラの1人1人を紹介してくれる導入は「お、本格か? 本格ミステリやっちゃうのか?!」と身構えること間違いなし。もう、その出だしからして好きな人には堪らないオードブルである。贅沢に並べられた前菜は時麿の登場で極まり、2時間弱の尺の中、時麿殺害でスピーディーに本編スタート。あとはジェットコースターのように「本格なの? 違うの? いや、違うってわかってるけどね! 鬼太郎だからね!」というプロレス的お約束を噛み締めながらのラッシュに身を委ねる。ミステリとして見ようとしたら速攻で破綻するし、それ以外の部分でも「なんじゃそりゃ」っていう要素は山ほどあるのだが、鬼太郎だからそれで当たり前。というか、この「なんじゃそりゃ」を視聴者に飲み込ませるための手管が上手い。

 個人的に非常に印象深かったシーンの1つに「つるべ火からタバコの火をもらう水木」のシーンがある。多分あそこでグッときた視聴者さんは多いと思うのだが、あれって「水木が妖怪をどのように受け入れているか」が端的にわかるシーンなのよね。一応東京から来て「科学の時代」を背負って立っていた水木は、最序盤は哭倉村のあまりにも古色蒼然とした様子に辟易し、ゲゲ郎の処刑を防いだ時にはその「常識力」が役に立ったわけだが、禁域への侵入などを経て急速に「あちらの世界」への理解を深めていく(温泉のシーンではまだそれが完全に受け入れられていないが、もう片足突っ込んでた状態)。それ即ちゲゲ郎への理解でもあり、今作がアツい野郎2人のバディものとして魅力を発揮していることもこうした「水木とゲゲ郎の接続」、ひいては「この世と妖怪の接続」が自然に行われたおかげでのものである。そりゃね、大量の河童にボート押して助けてもらったら、そりゃ認めないわけにもいかないからね。「岬のマヨイガ」をちょっと思い出しました。

 そうして本格ミステリ(風味)から妖怪と人との融和の物語へと移行し、さらに沙代さんブレイクで「村の因習もの」としても壮絶な最後を迎える。いや、正直いうと沙代さんがらみの顛末は「それで終わりかい!」と思わんではなかった。一応ミステリ的なニュアンスを見せていたので「犯人が分かり、最後に犯人が自白後暴走する」っていう展開がラストパートだと思っていたためだ。結局沙代さんは何も救われずに殺され、水木にも救えなかったという悔恨が残る。こんな顛末に誰がした、とは思うが、あくまでこれは中盤戦。その後にはもう一山残っており、これがいわゆる東映的ラストバトルのパートである。あまりにキモい時貞翁のやるせないほどのラスボス感というか、畜生感。ぶっちゃけこいつが何したかったのかってのは分からん部分はあるのだが(村がすっかり壊滅した状態で、子供ボディと血桜だけで製薬会社が立て直せるもんだろうか?)、まぁ、そこは勢いで逃げ切ったということで。あの髑髏がどうやって狂骨をコントロールしてたかとか、なんで水木がそれ狙いで破壊しにいったのかも謎なんだけど、もう、何もかも無茶苦茶にしたれ、っていうお互いの破滅的な思考はあの空間なら許容されるだろう。やってることは「からくりサーカス」だが、藤田的ねちっこさとは無縁の、暴れ散らかす妖怪大戦争。

 そうして壮絶な妖怪バトルを経て、最後にはきっちり「鬼太郎誕生」というタイトルの回収へ。今作で一番描くべきは横溝ミステリでも、メンヘラお嬢の暴走記でもなく「鬼太郎という幽霊族最後の生き残りの誕生」であるから、そこへ収束させるために全てのエネルギーを費やすのは当然のことだろう。個人的にいちいち「やられた!」って思ったのは、終盤になってちょいとヒネた目線で「まぁ、ここはちょっと不満があったけど……許してやるか」とか上から目線で見てやろうとしてた要素をおよそ綺麗に回収されてしまったところ。具体的には、例えば最終戦終わりで「これ、時弥少年だけはマジで完全被害者だし、なんの救いもないまま終わっちゃったな。ひどい」って思ってたのに、まさか現代パートに戻ってからそこが回収されるとは思ってなかったから「お見通しだったか!」となったし、「ま、まぁ、それでも今作の誕生秘話はだいぶ既存のエピソードと様子が違うし……この場限りのアナザーストーリーとして心に留めておく程度だよね!」と思ってたら、まさかのエンディングロールで全部まるっとまとめ上げるとは思ってなかった。あんなんずるいわ。特に目玉の親父の処理が。最後の最後、まさかエンドロール中の無声劇で泣かされるとは思ってなかったわ。今作の脚本は吉野弘幸なのだが、久しぶりに彼らしい、けれん味たっぷりの阿漕で憎らしい筋立てが堪能できた気がしますね。ファンサを怠らないその精神は立派です。

 他にも回収すべき要素は多々あった気がするのだが、残念ながらパンフが売り切れだったので記憶だけから回収できる要素が……あ、そうそう、ゲゲ郎が拘束されて「手足はいらないから切ってしまいなさい」のところで「趣味わる!」って思ったけど、「右手からにしなさい」って言われて「あ、そこは左手からじゃないんだ……」ってなった。別に他意はなかったのか、意識して逆にしたのか……。

 あと、「つるべ火からもらい火」でもちょっと触れたけど、今作で特徴的に使われていたツールに「煙草」があって、基本的には悪辣さ、汚さを表すツールとして機能していて、冒頭の水木が乗った列車のシーンでは、少女が咳き込んでいるのに他の乗客は平気でスパスパ吸っており、「煙草=悪いもの」という印象が強い(昭和よねぇ)。このシーンで水木も煙草を吸おうとマッチに火をつけるが、ゲゲ郎(の幻影?)に止められて煙草を吸うに至らなかったのは、冒頭の時点ですでに2人のタッグ結成が匂わされている部分。その後も煙草と言えば乙米がずっと吸いっぱなしだし、克典が悪巧みを持ちかける時に葉巻をねじ込んでくるのも象徴的。さまざまなシーンで龍賀の家の汚濁を滲み出させているが、途中から水木とゲゲ郎を繋ぐツールとしても機能しはじめて、最終的に水木が「清濁合わせ飲んで」いるのは面白いところだ。

 そうそう、これは完全に妄想というか、勝手な思い込みなのだが、ラストシーン前で時貞が散々暴れているシーン、時貞は酒を飲み始める前に何故か傍らに置いていた「菱餅」を食う描写がある。ひな祭りのお菓子としてお馴染みの、3色のアレである。なんであんなところに菱餅があったのだろうと思ってちょっと調べてみたら、菱餅って元々は草餅で、その原料には「母子草(ハハコグサ)」ってのが使われてたらしいんですよ……あのシーンで母子を喰らおうとしていた時貞、なんか妙にしっくり来ちゃうよね。多分、他のシーンも結構凝った演出は散りばめられてそう。癖のある演出だと、冒頭の汽車のシーンの金魚が好きです。いかにも「これから幽世に入っていきますよ〜」っていう雰囲気があって。

 というわけで最後にお待たせ、中の人礼賛のコーナー。東映作品特権として相変わらずキャスティングが(青二を中心に)ゴリゴリ。鬼太郎の父親が関俊彦だと判明したのでほんとにドキドキもんですね。龍賀の家の連中もほんとに刺さるキャストを刺してくれていて、こんなとこでも種さん大暴れだったし、「ロリでもショタでもないところに使われる釘宮ボイス」の病的な響きに、皆口裕子が享楽的な色合いを添えてくれるマッチングが実に良い。飛田さんとか石田彰で怪しさフル回転にした状態で満を持して登場した最後の一族・孝三のCVが中井和哉なので笑ってしまった(あ、青二だ〜)。鬼太郎のお母さんのCVも正式に判明したことですし(?)、是非、野沢雅子が健在なうちに6期キャストでもう1シーズンやってほしいもんです。

 結論:やっぱこの世界におけるねずみ男ってすごいな!?

 

 

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