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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ぼちぼち1日の上映本数も減ってきており、現在は日に3回上映。まぁ、それでもまだ恵まれてる方で、あの作品やあっちの作品はもう上映すらされなくなってる……恵まれた映画ですね。とりあえず折り返し前に雑感を書いておくと……「こんなもんかなぁ」くらいの感想です。そもそもおっきな成果を期待するようなスタンスの作品でもなかろうが、ちょいと拍子抜け。もうちょい固めてくれると期待してた部分はあったのだが……。

 

<というわけで以下は一応ネタバレ注意ですが、特にネタとかないよな>

 

 




 そもそも地上波放送の時点で私はずっと悩んでいる部分があり、前にも何度か書いた気がするが「制作側はこの作品をどういうポジションに持ち上げたいのだろう」と気を揉んでいる。私はもともと今作の原作者が割と好きで、ヒット作となったこの漫画も嫌いじゃない。むしろ普通に好きな方だとは思う。ただ、それがよく分からんけどヒットしてしまった扱いになっており、アニメなんてWITCLOVERの2社合同制作とかいうかつてない厚遇を受けてのこれかけ案件に。「鬼滅」の大ヒット以降、集英社はアニメ化作品にかなり力を入れてくれているが、その中でも金の鉱脈として「鬼滅」「呪術」につぐ新たな弾としてもてはやされたのが今作だ。ファン目線としてはもちろん嬉しいという気持ちもありつつ、正直言って「そこまでして盛り上がる作品なのか?」という気持ちもある。

 これは決して馬鹿にする意図があるわけではなく、何事にも適材適所、程よいポジションがあるだろうという話。たとえ国民的作品だからとて、サザエさんやちびまる子ちゃんの劇場版が作られてウン十億のヒットを出せと言われたって無理な話なのは誰が考えてもわかることだろう。もちろん全く同質とは言わないが、本作の置き方も似たような座りの悪さを感じてしまう。それは何も劇場版の話だけじゃなく、アニメをたっぷりじっくり展開している現状についてもそうで、どんどん作者は自分の描きたいものが描けないような外堀を作られているんじゃないかと、そんな気がするのだ。まー、こんだけヒットしちゃえば瑣末な問題なのかもしれないが……。

 そうした「スタンスの歪み」みたいなものが今回の映画にも表れていたんじゃないかと、そこが私には不安である。先に褒めるところを書いておくなら、そりゃ上述の2社合同制作なので映像のクオリティは文句なしで劇場版。映画でお約束の大爆発や大炎上も見事に演出してみせて、ド派手な画面展開はバッチリ決まっている。お子さんが初めて映画館に行くのは「しまじろう」が鉄板らしいのだが、少し大音響に慣れてきたお子さんを連れていくのもいいかもしれない。ただ、こうして作られた「劇場版らしい画面」は、本当に「らしい」がやりたかった、否、やったというアリバイづくりのためだけの脚本だったんじゃないかと、そんな気がするのである。

 言葉を選ばずに言ってしまえば、今作の脚本は「子供騙し」だ。冒頭の列車のシーンでアーニャがチョコを食べてしまうまでの流れなんかに顕著で、「あれ、なんでそうなる?」「そうはならんやろ」みたいな展開がそこかしこに散見され、どうにも筋立てに入っていけない。おそらく断片的に「今回の映画でやらなきゃいけないノルマ」みたいなものがあり、それを全部入れ込んだらこうしたつぎはぎ模様みたいな変な脚本になったのだろうが、それをなんとか1本のドラマとして意義のあるものに仕立ててほしかった。

 もちろんやりたい方向性はわかる。多分今作はサザエさんやちびまる子ちゃんになる気もないし、かといって鬼滅や呪術になるわけにもいかない。多分目指した方向性は「クレヨンしんちゃん」だろう(一部劇場版「コナン」も狙い目としてはあったかもしれない)。「家族愛を中心としたドタバタギャグ」というフォーマットの共通点があるし、クレしん映画は度々人気作として持ち上げられる1つの理想形。多分、今回の映画で目指した一番の目標は「劇場版しんちゃん」だ。クライマックスにうんこを持ってきて徹底的にナンセンスを演出したあたりもその表れであり、緊迫感のある展開からでもお子さんたちに笑ってもらおうという狙いがあると思われる。

 そうした意図は分かるし、途中のファミリードラマとしての骨組みはスタンダードなものなので陳腐だとしてもそこに文句はないのだが、もしそれがやりたいのなら、最低限筋立ての整合性を守った上で、綺麗な流れの上に乗せて欲しかった。繰り返しになるが、冒頭の列車のシーンでのアーニャの動きがアーニャにしたって支離滅裂だ。レストランで突然民間人に喧嘩をふっかける軍人にロイドが噛み付く意味が分からない(軍人相手に素顔であんなに目立つ行動をしていいわけがない)。ロイドがそこからムキになってお菓子の材料集めをするくだりもだいぶ苦しい(リキュールの1本くらい、無くても別に似たものは作ってもらえるだろう)し、ヨルが浮気を疑ってロイドに噛み付く流れも取ってつけたような印象がある。多分、上手い伏線を考えるなら、あの3つの「ヒント」の最低1つくらいは他の展開に絡ませてもっと意味を持たせることができただろう(口紅のプレゼントだけは一応最後に武器として使っていたが、それは浮気のくだりと関係ないし、そもそも言うて口紅ってあんなに燃えるか?)。そうしてヨルが戦ったラストのターミネーターなんてマジでどっから何のために出てきたキャラなのかも分からず、「取ってつけた」どころか「取ってついてすらいない」展開である。

 こうして脚本がどうにも作りづらい原因は本作最大の肝である「互いの正体を知らない仮面家族」という設定そのものにあり、原作時点でもかなり綱渡りのように苦しい制限の中をなんとか歩いている状態。おそらく元からそこまで長期連載を想定した設定じゃないのだ。そこにオリジナルで(原作に齟齬をきたさない程度に)大事件をぶっ込めと言われたら、そりゃどうしたって無理が出るのはしょうがない。今回だけでもロイドが軍人の前で大立ち回りをし、ヨルも任務外での大乱闘をはっきりと軍の人間に目撃されてしまっている(カメラに映っているのだから、下手したらどこかの録画媒体に記録が残っている可能性すらある)。「プロのエージェント」である2人がこんなに杜撰に行き当たりばったりで動いてしまっている時点で、本作は「スパイファミリーの番外編」として成立していないのである。そのことがどうにも気になって気になって。

 「設定で無理や矛盾が生じてんのは原作時点でそうだろ」と言われるかもしれないし、「そもそもドタバタギャグなんだから細かいこと気にしてチクチク言ってても楽しくないだろ」と言われるかもしれないが(そしてそれはそうかもしれないが)、今回のシナリオはチクチク言わなくても筋立てが荒く、あんまりのめり込む余地が無かった。俺の見たい「SPY×FAMILY」ではなかった。いや、だから「お前の見たいものはなんやねん」と言われたら答えられないんだけど……。最後の最後まで「TISTA」みたいなダークで渋い展開も待ってるのよ。そういう意味で、クルーズ編は好きな要素が多かったんだけどね。

 ま、流石に「クレしん」「コナン」路線は無理だと思うので劇場版を何本も懲りずに連発するような展開にはならないと思いたいが……今回のタイトルが「CODE: White」だからさぁ、あと2、3本くらいは類似タイトルで作られそうな気もするのよねぇ……ファンとしては複雑な心境……。

 

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