「豚のレバーは加熱しろ」 5→4
最終回は突然やってくる!! というわけで、なんと1ヶ月以上ものブランクを空けての最終話がいきなりやってきました。こうして間が空いちゃうパターンは見逃すことも多いのだが、今作はたまたまどっかで「やるよ」という告知を見つけたのでなんとか視聴が叶いました。……まぁ、内容は当然この1ヶ月で雲散霧消してしまったわけだが……。
とりあえず評価できる部分から触れていくと、やはりなろう小説とは一線を画す「何か物語を紡ごう」という意識の部分だろう。最初から「無力で文字通りの豚野郎」に転生してしまった時点でなろうチートとは無縁の展開であり、自販機になりつつも強引に多機能性でチートを匂わせたりもせず、本当に最初から最後までブヒブヒ言ってるだけで必死に危機を乗り越える主人公。なんでこの設定でお話を作ろうと思ったのかはよく分からんが、とりあえずそれを成立させたというのは評価できるポイントだろう。また、序盤は本当に手探り状態で何を見ていいのかもよく分からずに置いてけぼりをくらっていた感覚があったが、そもそも「世界の成り立ちと仕組みを探査していく」という目的意識の物語であったというのも気づけば面白ポイントではあり、普段なろう小説に「どんな世界やねん!」「そんな物理法則あるか!」「倫理って概念がないのか!」「そこは日本と一緒かよ!」みたいなツッコミを散々に入れまくっているわけだが、そうして「当たり前のように雑に与えられる設定」がほぼ無く、ほんとに1から10まで主人公が自分の頭で考えて、世界の「常識」を辿っていかないとハッピーエンドにたどり着くためのルートが見出せないというのは「異世界」をきちんと異世界として処理している部分。
考えてみりゃこうして「ここはいったいどんな世界なんだ?」っていう真っ暗の状態からちょっとずつ生き延びるための策を探していく展開ってのはなろう以前のファンタジーでは珍しいものでもなかっただろうし、「ロビンソンクルーソー」みたいなサバイバルな物語の文脈にものせられるものかもしれない。これだけなろうファンタジーにまみれた現代アニメの環境下で、そうした思考停止のお仕着せ世界ではなく、「見通すことでひらけていく世界」を作ったというのが今作の眼目だったのであろう。
とまぁ、なんとなくやりたいこととその意義は分かったつもりではあるのだが……その上で、なんでこの設定だったんだろうね。冒頭2話3話目あたりの豚ダンスのくだりとかのノリがキツくてキツくて……そこで変ななろう根性というか、オタクに気を遣ったような卑下を含んだような描写が多かったのが個人的には一番きつかった。これ、多分持ち出す例としては間違ってる気もするのだが、「【推しの子】」で最初の30分だけ見たら「アイドルの子供に生まれ変わる気持ち悪いオタク妄想」に見えるのと似ている問題かもしれない。「豚に生まれ変わって幼女にまたがってもらいたい」とかいうキモ妄想を固めただけの作品だと思われたら、もうそこで作品としては終わりだし、少なからずそういう要素も売り出したかったんだろうし……そこが楽しかった視聴者っているのかしら?
そして筋立てだの演出だのと色々言うてますけど、結局アニメとして破綻したのが一番の問題点で……ほんと、いくらなんでも同時並行でこんだけのアニメ作れるわけないだろうに、なんで受けちゃったのかね。「お嬢と番犬くん」「ひきこまり」、そして今作。全部作画で崩壊しちゃったじゃん。その中でも特に被害が甚大だったのが今作であり、その結果が1ヶ月以上の延期、そして中盤から終盤にかけての地獄作画。最終回は満を辞しての放送だったからちゃんとした形で出てくるかと思ったら、別に作画リソースなんて全然割かれてなかったし。いや、別に最終話はそこまで枚数いらない内容ではあったけど。もうちょいこう、言い訳めいた仕上がりにしてきてよ。「とりあえず終わらせました」みたいなの出されても……。このキャラデザでばっちり動くアニメになってたらもうちょい評価変わってたと思うんだけどなぁ。
そんで最終話のオタク3人が杉田・種さん、信長ってのが一番のどないやねんポイントだったわ。ここで終わっとけよ。2期とかやるつもりちゃうやろな? これ原作未完なの?
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