○「ぷにるはかわいいスライム」 6
タイトルの「スライム」という単語だけで「すわ、またスライム関係のなろう作品が?!」と身構えたら、斜め上……だか斜め下だかよく分からんもんが飛び出して確実な不意打ちを喰らった。なんか、色々と病巣の深いアニメだ……。
予想外のものが飛び出してポカンとしていたら、掲載誌が「コロコロコミック」という衝撃の事実。ちょっと待て、俺はコロコロコミックに不意打ちをくらったのか? コロコロキッズでない(そもそもキッズじゃねぇ)私はコロコロ作品に触れること自体が稀で、アニメとなるとさらにその数は減少。過去を振り返ってみると、ここ10年スパンでコロコロ関係のアニメといったら「妖怪ウォッチ」シリーズと、あとは調べてみたら「ピカちんキット」が見つかったくらいだった。さらにこれが「深夜アニメ」となるとその数はゼロである。そりゃそうだ、コロコロ漫画が深夜に放送されるはずがない。されるはずがないのに……放送されてた。そしてこれは……深夜アニメかもしれん……。
ねぇ、これ、コロコロコミックの本誌に連載されてるんだよね? いや、確かに冷静になればとても真っ当なコロコロスピリットを受け継いだ純然たる不条理ギャグだし、絵柄も、ネタ回しも完璧にコロコロだ。それなのに、何故か深夜アニメとして放送されてもなんら違和感がない。だって「押しかけ萌えキャラアニメ」だぜ? 要所にソフトソフトエロを盛り込み主人公の少年の性癖を捻じ曲げんとする魔性のスライム・ぷにる。この存在がコロコロキャラとして爆誕したというのは、現代日本の児童文化の爛熟を意味するのか、はたまた退廃を兆すのか。そして的確にその素材を拾って深夜に放送してしまうアニメ業界。モラルハザードも甚だしく、おっさんはコロコロキャラに一喜一憂させられる。なんて国なんだ、わー国は。
まぁ、一回深呼吸をしてよくよく見ればアニメとして取り立ててみるべき点は無く、作画も至って平凡、コロコロテイストはちゃんと出してるけどそれが大きなプラスになるでもなし、ネタ回しがギリ子供向けなのだったら「まぁ、放送時間帯がおかしいだけだな」で終わりなのだが……1話目時点ではなんらかの可能性を見出してしまう……。
「落ち着いたらそんなに褒めるもんでもないやろ」という見解を全面的に認めつつ私が加点してしまったのは、ひとえにメインヒロイン・ぷにるの存在感に飲まれてしまったため。汎用型の中須かすみさんのごとき「カワイイ」の権化。その貪欲さと不条理さ、そして所構わず振りまくコケティッシュな愛嬌は、放置したら数多くのキッズの将来に影響を与えかねない危険な存在だ。変身シーンの無駄な気合いの入り方など、今作はばっちり「とにかくぷにるを見せていくぞ」という方向性に迷いがない。そりゃま、そういう作品なんだからな。
「でもでも落ち着いて見たらやっぱりそんなに褒めるもんでもないやろ」という見解をさらに全面的に認めつつ私がどうにもクールダウンできないのは、ひとえにメインヒロイン・ぷにるの中の人に呑まれてしまったため。最初に声を聞いた時点で誰だか分からなかったのだが、オープニング歌唱でクレジットされたそのキャストとは、篠原侑!!! また貴様か! なんかもう、私が心がムズムズさせられるとお前の名前が出てくるな! ……いやぁ、M・A・Oネキと並び立ち、より局地戦に特化したかのような得体の知れない声優・篠原侑。何度この人に足をすくわれたか……。今回もぷにるという埒外の存在にばっちりフィックスしてのキャラ設計。「いやいや、これくらいならまだ弾けキャラの一環として想定の範囲内だが……」と思っていたらトドメはエンディングテーマである。なんでこの声で歌う「唱」がピンズドでハマるんだよ! てかふつーに歌上手いなあんた! さらにアニメスタッフは本編映像そっちのけでぷにる版「唱」のPVを仕上げてきやがったもんで最後の最後にヤなクライマックスが訪れる。いいよいいよ、この1話目は俺の負けだよ。いっそここから先にも何か驚天動地の奇跡を拝ませてくれよ。
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