○「戦隊レッド 異世界で冒険者になる」 5
??「これで異世界とも縁ができたな」。
だーいぶ出オチ感のある新たななろう……のようでなろうじゃない、漫画原作らしい異世界作品。基本が「戦隊あるある」で構成されているため、2話目以降でどんだけネタが続くもんか、というのであんまり積極的な加点はしていない。
ただ、その「出オチ」の「出」の部分は正直よくできてたと思う。少し前にも別方向から「戦隊」をフィーチャーしたアニメを放送していたが、ぶっちゃけあちらは「戦隊」という存在にちょっと捻った方向から切り込んでいて、あまり戦隊好きが喜ぶような構造にはなっていない。むしろ戦隊好きならカチンと来るようなことだってあったかもしれない。そう考えると、やっぱり少年の心を忘れないピュアな戦隊ファンにとって、今作や「こいせか」みたいな構造の方が馴染みやすいとは思うのだ。
そうして生み出された「戦隊パロディ異世界転生」であるが、ぶっちゃけ、1話目は今作の出来不出来というよりも作中作(?)である「キズナファイブ」の出来が分かっただけである。そして、ここをしっかり作り込んでおかないと何も始まらないという判断なのだろう。どれだけ掘り下げるかも定かじゃない架空の戦隊の造形がよくできている。個人的には変身アイテムが絆創膏で「絆」をテーマにした戦隊というのが「なんか、なくもなさそう」と思えるレベルなのが好き。変身アイテムって子供に馴染みのあるモチーフが使われるので、絆創膏型のおもちゃなんていかにもありそうじゃない。まぁ、最近は変身玩具も単価を上げてクオリティを高める方向性なので、絆創膏だとややちゃちくて販売戦略に乗らない可能性もあるが……。
他にも無駄なこだわりは色々と見られて、ファンなら一発で分かる通り、戦隊周りのキャストが(若手のレッドを除く)全員戦隊作品経験者で固められている。まぁ、めんどくせーファン目線だと「イエローとピンクは逆やろがい」とか思わないでもないが、わざわざ菊池美香や小宮有紗を連れてきたのはこだわり以外の何ものでもないのでそれだけでも充分な評価。ここでM・A・Oネキじゃなくて絶妙に「声優もやってる役者サイド」を持ってくるあたりが芸コマ。松風雅也は当然の起用として、残り1人が土田大なのがなかなか渋い。その他、中田譲治・稲田さんに杉田と、それぞれに「やったことがある」ポジションでの起用。そして貴重な串田アキラの新録音源。ここまでやられたら、そりゃ「よく頑張りました」と言ってあげないとダメだろう。
監督は川口敬一郎なのでそんなに大きな手抜かりはないはず。あとは最初に書いた通り、「出オチ」を脱却して1つのおもしろ漫画として引っ張っていけるかが勝負の分かれ目。できれば1クールくらいは頑張ってネタを回して欲しいところだ。
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