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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 久しぶりの劇場アニメ。突発的に何でこの作品を観に行ったかというと……「なんかやたらCMやってたから」です。はい、理由なんてそんなもんです。少なくとも我が家においては、未だテレビCMというものが一定の効果を持っているということがわかる訳ですね。古い人間なので。一応CMの中で「CV種﨑敦美」の文字列が見えたっていうのが一番の理由かもしれません。

 

 ネタバレ防止の折り返し前にざっくりと総評だけ置いとくと……「難しい」です。何の参考にもならんですまんな。しかし、正直評価が難しい。爪痕を残そうとしている作品なのでアニメ史を考えた時には何かしらの指標になってもおかしくないくらいのインパクトはあるし、刺さる人は刺さる作品なのだとは思うのだが、私の場合はいいとこまでは刺さってない。ただ、この「刺さらなかった」原因が「私の察しの悪さ」にある気がして、作品に責任を押し付けるのも良くない気がしている。きちんと評価するなら2回目を観た方がいい作品なのは間違いないのだが、ほとんどのアニメ視聴者は劇場作品なんて1回しか観ないわけで、「1回目の時の評価」も大事といえば大事。……ほら、ここまでの記述で気になったなら、まず観に行けばいいじゃない。責任は取らんが。

 

<というわけで折り返し。以降、重大なネタバレを含む可能性が高いです>

 




 さて、私がうだうだと悩んでいる理由を先に書いておくと、「試聴し終わった後にも、なんかよく分かってなかった」からである。クライマックスの怒涛の展開を迎えて「ん? え? あ? そゆこと?」ってなってるうちに終わってしまい、「そういうこと」なのかどうかも確証を得ない状態でスタッフロール。「あれぇ」と思ってたらCパート(っていうのか?)でガツンとやられて「あぁ、多分間違ってなかったんだ」と腑に落ちたという状態。

 一応前提というか、最終的に辿り着いた真相を確認しておくけど、「主人公・アキラは実のところ作り手側ではなく、あくまで天才科学者・稲葉が作り出した存在だった」で合ってるよね? そういうことだよね? オチまで見ればそれしかないはずなんだけど、それを受け入れる前に終わってしまったので「そう思いながら」見る時間がなくて確認できなかったのだよ。

 で、私が悩んでいるのは、この真実の置き方そのものである。私の「察しの悪さ」とは書いたものの、本作は少なくとも途中まではアキラを普通の人間として描いており、「実は違う」はどんでん返しとなる要素である。「そうじゃない」ように見せて徐々に真相を漏らしていき、ひっくり返して物語を締めくくる構造になっていたとすれば、さて、本作において「アキラの正体」を絶対的に提示する箇所はどこだったのか。わたしゃそれが分からなかった。

 うろ覚えだが最初に違和感を覚えたのはクラスメイトの子(天ちゃん)と話してて手からなんか出てきたタイミングか。ただあれも「義手の可能性はあるのか」と一応飲み込める部分。その後はもうどこのタイミングかは忘れたけどアキラの目が黄色く光るシーンはかなり決定的ではあるが、それまで執拗に黄色のゴーグルで目を隠しているし、ゴーグル自体にもVR装置みたいな端末が付いていて「普通の人間でも何かしらの操作ができる」ようにこじつけてはいる。目の光がゴーグルの演出の延長線上にあるとか、単に何らかの外部デバイスの光が反射してそう見えたとか、無茶苦茶やれば説明できなくもない要素。そしてほぼ決定打となるのはアキラの夢の中で「培養槽の中からの視点」が出ること。ただ、これについてもシーンの切り取り方・つなぎ方から「本当にアキラの夢なのか?」という部分が確定せず、夢であれば何らかの暗喩と解釈できなくもない。あとはもう、最後に0号とのキャットファイトで無茶してるシーンまで待たなければいけない。

 これだけたくさんの要素で「アキラは普通の人間ではなかった」という事実が描かれているのだから視聴者側は「察しなければ」いけないはずなのだが、そこまでの描写がふわふわしてて何をどう足がかりにしてこの世界を受け止めればいいのかが定まらず、「ひっくり返す」土台が存在しなかったもんで戸惑ったのである。土台がふわふわしている理由もたくさんあるのだが、やはりこの世界の「科学観」を把握しきれなかったことも大きいだろうか。作中世界で大活躍するロボットの「ソルト」(こいつのフォルムやモーションはとても好き)。SF要素としてはぶっちゃけこのソルトが全部集約しており、それ以外の部分ではそこまで現代社会と大きな差はなさそうに見える世界。そこでアキラが0号を生み出す訳だが、そうして生まれた0号があっさり受け入れられて高校に入学までしちゃう世界の意味が分からない。クラスメイトが「彼女を作るってそういうことじゃないのよ」みたいなツッコミを入れてるわけだが、「えっ、この世界は発明高校生が人体錬成してもびっくりしないの? もしかして世界中にホムンクルスが溢れてるってこと?」と思う訳だが、別にそんなこともないのだ。

 他にも「天才研究者っぽいアキラがあまりにもアホっぽい」というのも足元がぐらつく原因で、独力でホムンクルスを作っちゃう奴が「彼女がいればレベルアップできるぞ」を鵜呑みにしてとりあえず作ってみるとか、「その彼女をラボのどこにおくかで研究成果が変わると思って確かめてみる」様子とか、アホの描写がいちいち「天才研究者」ではあり得ないものばかりで、正直いうと序盤の描写だけで「なんか、すごくアホっぽい彼女錬成アニメなのか」とがっかりしてしまったのだ。あまりに支離滅裂な世界なもんで、脚本を書いた人はあんまり考えてないのだろうと、匙を投げてしまったのだ。

 後になって考えれば、これらの「ふわふわした要素」は全て伏線だったと言えなくもない。そもそもアキラが0号と似たり寄ったりの0歳児に毛が生えた程度のやつだと思えば彼の奇行や常識のなさ、「研究者としての下地の欠如」も全て納得いくし、あの高校もすでにアキラというホムンクルスを1体飼ってる状態なら、そいつがもう1体連れてきたところでもはや驚くには値しない(いや、どうだろう)。さらに男友達が0号に告白したという事実を見せることで、天ちゃんヒロインがアキラにちょっと感情を寄せていることにも整合性をとったりしている。あの子らがアキラの正体を知っているのかどうかすら定かじゃないが、「もし知っていたとしても問題ない」描写がある程度成立しているのだ。そういう意味で、「脚本を書いた人はあまり考えてない」は完全に誤りで、試聴していた私が勝手に判断して間違ったルートを進んでいただけなのである。

 ただ、私のような視聴者は珍しいのだろうか。序盤のあの展開を見て、「なーんか訳のわからん世界だな」と思って呆れてしまうのは普通のことなのではなかろうか。もしこのわがままが通るのであれば、今作の脚本構造にも問題があったということになる。後からひっくり返す前提で不条理を並べたとして、残念ながら視聴者は不条理を不条理として飲み込むしかないのだ。「おかしなことやってるってことは、後から説明されてすっきりできるな」とは思わないのだ。私は必死に今作序盤の意味不明な世界観を飲み込んだ結果、間違った世界に腰まで浸かってしまい、出てくるのに手間取ったせいで真相を飲み込めないというよろしくない結末を迎えてしまったのだった。そして、今作は決して「アキラが作り物である」というどんでん返しがゴールの一発ネタ作品ではなく、さらにその前提を飲み込んだ上で「アキラと0号の関係」「アキラと稲葉の関係」「0号と稲葉の関係」まで思考を伸ばさないと楽しむことができない。とてもじゃないが、私にはそれだけの余裕がなかった。

 まぁ、90分の作品で綺麗にどんでん返しを見せようとしたら難しいのは間違いないけど、たとえば「HELLO WORLD」なんかは画面の効果と短くてあまりに端的な台詞から綺麗に「世界の反転」を成し遂げた作品。また、ちょっとニュアンスは違うが「まどマギ叛逆」も作品中盤でぐるりとひっくり返る構図がサプライズと刺激を与えてくれる傑作だ。本作の場合、構図の反転が感心や驚きにつながるというより困惑に繋がってしまったというのが正直な感想である。これは勝手な想像で失礼なことを書いてるとは思うが、今作の監督は元々ショートアニメなどで有名になった人だという。だとすると、90分尺での視聴者の「見え方」のコントロールにはまだ慣れない部分があったのかな、とは思っている。

 でもまぁ、繰り返しにはなるが、ほんとに「俺の察しが悪かっただけ」と言われたら返す言葉がないんだよな……。だから「2周目は全然違う」と思っているわけで、多分全ての事実関係を理解した上でもう1回観たら、世界の解像度もグッと変わってくるだろう。「思いつきで彼女を作っちゃう変な研究者」という安易なオタク向けみたいなプロットが綺麗さっぱりなくなるわけで、変な言い方だが「あなどった」視点が全くなくなるだろう。そしたら色々と腑に落ちる描写も多いんじゃなかろうか。多分、それくらいのことはやってるんだと思う。これだけ執拗な映像を作ってる人が、脚本で落ち度を作ってるとは思わないので。

 というわけで、ここまで書いた私の勝手な反省を全部取っ払って総括すると、SF的なプロットとしてはそこまで新機軸というわけでもないがやりたいテーマをきちんとやり抜いた作品なのだろう。「生命」「知性」という有限であるはずのものを繋ぎ、残すことに、昔ながらの不死性の是非を絡めた問題提起。男女の恋愛という目くらましで覆ってしまったせいでだいぶ見辛くはなっているのだが、案外残酷なことも飄々と描いているあたりはもしかしたら作家性が強く出ている部分なのかも。0号のナイフアタックシーンの衝撃というか、座りの悪さ、理不尽さはなかなか他の作品では見られない要素。その前の花澤おばさんのやっかみが割とどうでもいい要素だったのが勿体無い気はするが、まぁ、「劇場アニメならこういうことやらなきゃ」みたいな義務感に尺を費やすのはどんな作品でも避けられない部分なのだろう。

 そして、やはり私としては最終的に種﨑敦美という1人の声優に帰着せざるを得ない。今作がぐちゃぐちゃになりながらも最終的に放り投げた問題提起をしっかりキャッチできたのも、全ては0号(稲葉)という存在を成立させてしまった怪物・種﨑敦美に依るところが大きい。なんでこう、種さんはすぐに生命を超越したがるんだろう。「自分の感情が作られたものなのかどうか悩む生命体」種﨑敦美。「創造主に抗い、自己実現と愛情の達成のために愛するものを殺す」種﨑敦美。そして「自己を永遠のものとするため、複層的に自己を転写して永遠となる」種﨑敦美。ほんと、ただの化け物なのよ。反転悪逆花澤香菜がまさか前座扱いになるとか思わないじゃん。多分、その辺りも私が今作を飲み込みきれなかった理由の1つなのかもしれない。コース料理の最後に「悪そうなこというラスボス風花澤香菜でございます」って出されたら「これが最後かぁ、じゃ、ここで満腹になっておかないとな」って思うじゃん。何でその後に種﨑満漢全席が待ち受けてるんだよ。おかしいだろ。(おかしいんだよ)

 純正SFファンの人ならもっと有意義なレビューできるんだろうなぁ。みなさん、察しが良くなりましょう。

 

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