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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「忍者と殺し屋のふたりぐらし」 6→7

 毎週感想は書いてたのであんまり追記が必要ないタイプの作品だが、総括としてはなんかやることあるかね。……「シャフト文化の展開」みたいなテーマで一席ぶてないもんだろうか。

 本作の最大の見どころは(良くも悪くも)「ぶっ壊れてガタガタになった倫理観」であることは何度も触れてきた。原作がどういう路線なのかは知る由もないので今後機会があればあたってみたいとは思っているが、とりあえずこの原作をアニメ化するとして、どのような方策があるか。大きく分ければ2つの路線があり、1つはとにかく萌え要素を加速させ、「人の死」が完全にギャグになってしまうようなほわほわでどこか抜けたような演出にしてしまうこと。「死んだ刺客連中があの世でワイワイやってる」なんて描写があるのだからこの方向性で脳天気なギャグを気取ることはできただろう。そしてもう1つはしっかりはっきり「死」を意識させ、シリアス要素はシリアス要素でくっきりはっきり描いてしまうこと。殺し屋このはが自分の去就について思い悩むシーンがあったりするのだから、これまた原作からあった要素だろうし、アニメの絵は頭身を調整したりBGMやカラートーンを調整することでシリアス味をあげることは可能だったはずだ。宙ぶらりんでいるよりは、何かはっきりした路線を示した方が「作りやすい」のは間違いないだろう。

 だが、そうはしなかった。おそらく原作が最も表現したいであろう「倫理倒錯の面白み」みたいなものを、アニメはリスクを覚悟で全部受け止めた。そのために白羽の矢が立ったのが怪しげな作風で知られるシャフトであり、シャフトはこれまできららアニメなどで培ってきた「ぷに萌え」の演出をベースに敷きながら、いつでも間と音で転調できる緩急の絵芝居で今作の持つ二面性を「そのままに」描くことができた。冷静に考えれば色々と変なカット回しは相変わらず多かったわけで、おそらく他のスタジオが任された時には、このなんともいえない「ふざけた真面目さ」みたいなものは表出しきれなかったんじゃなかろうか。

 「シャフトだから」とはいうものの、改めて今の時代に考える「シャフトらしさ」って案外難しい。おそらく我々が真っ先に思い浮かべる「シャフトらしさ」は、それ即ち「新房昭之らしさ」であり、1人のクリエイターの個性がスタジオの看板と密接に結びつきすぎていて、分けて考えることが難しくなっていたのだ。ある時期、新房門下は純度を増しながら拡大と純化を続け、大沼心や尾石さん、龍輪さんといった独力で監督業務を回せる人材を育成し、シャフト外にも拡散していった。時代が流れ、ここ最近は新房さんが「総監督」名義でクレジットされる作品の数も減ってきた(というかシャフトの元請け作品自体が減ってるのだが)。シャフトは「アサルトリリィ」や「ルミナスウィッチーズ」といった佐伯監督デザインの「新房風味のない」作品も安定して生み出しており、そろそろ「シャフト=新房流」という等式も成り立たなくなりつつある。

 そんな中で「次世代の新房派」を模索し続けているのが、今作で監督を勤めている宮本幸裕氏。彼の作風はしっかりと新房時代の影響を残しながら、今作のように「ポップで受け入れやすいマーカー」をつけることで飲み込みやすさを向上させている。もちろん見る人が見れば「シャフトっぽいな=新房さんっぽいな」と思わせる部分は多いのだが、おそらくそれは宮本さんが意図的に混ぜ込んでいるファクターであり、彼のデザインは新房的なアイコンを適宜オンオフできるようになっている。そして、今作はそんな「二つの局面の使い分け」がうまくはまり込んだ好例のように見えたのである。

 今後のシャフトの、宮本さんの作品作りが「ネオ新房」として更なる発展を遂げるか、はたまた「ライト新房」と受け取られて二次的なものだと結論づけられるかはまだ分からない。しかし、少なくとも今作のように一定以上の成果をあげられる試みであると、私は思うのだ。

(まぁ、新房さん自身にももっと作品に関わってほしいとは思ってるんですけどね。まどマギの映画につきっきりなんかな)。

 
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