最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
はい名作。どれくらい良かったかというと、吝嗇家の私が思わず豪華版パンフレット(税込3500円)を購入してしまうくらいには良かった。 いつも通りの京アニ。 いつも通りのメイドラゴン。それ即ち名作です。
<以下、ネタバレとかどうでもいいんで褒めます> やーーーーーーーーーーーーーーー、いいもんですねぇ。しみじみしてしまいました。久しぶりのメイドラゴンでもあるし、久しぶりの京アニ劇場作品でもあるんですが、やはりスクリーン映えするこの映像クオリティはリアルタイムで体験したいもんですわ。さらに今作は大迫力の音響なんかも純粋にプラスで、劇場にいかないと味わえない要素がたくさんあります。 とはいえ、今さら京アニの映像を褒めるのも何番煎じだよ、という気もするので、メロメロになった脳をなんとか振り絞って今作ならではの良さを模索していこう。 一番の良さは結局「メイドラゴンそのもの」の良さになってしまうのだけど、テレビシリーズでも味わえた「生半可じゃないドラマ性」が今回のカンナのエピソードにもぎゅっと詰まってるんですよ。今作はテレビ第1期のエンディングにもなっていた「異種間コミュニケーション」というのが最大のテーマになっており、人間とドラゴンという一見するとありえないくらい遠く隔たれた存在どうしが、お互いを理解し、認め合うことを描く物語。それってすごく普遍的なテーマだし、ドラゴンと人じゃなくても、いろんな媒体で散々にこすられてストーリーなんて出涸らしみたいなもんである。まぁ、ある種のテンプレートではあるのでそれこそなろう小説なんかでもモンスターと人間の関係性を描いたものはたくさんあるし、いくらでも安易に処理しようと思えばできるのだが、今作はいい具合にそれを「なんとなく」で終わらせない。1つ1つの関係性について、「ドラゴンって、どんな存在なんだろう?」を常に真剣に考え、そこからフィードバックして「じゃぁ人間ってどんな存在なんだろう?」を考えている。その代表となっているのが全ての始まりであるトールと小林の関係性なわけだが、もちろん「人と竜」の関係はその1つだけでは終わらない。カンナがやってきて、エルマが来て、ルコアさんもその辺にダベっている。ファフニールもイルルも、一筋縄では行かない「超越と無理解」を乗り越えて、なんだかんだで今は人間と共同生活を送っている。決して「違う種族だから」というので一括りにするのではなく、「違う種族だけど、それは常に個人個人の話だから」というので掘り下げてくれる。そこには安易な友情や愛情のドラマではなく、しっかりと痛みを伴う「通じ合う苦労」があり、どこかにこっそり、「それでも通じ合えない何か」が残っている。これだけファンシーで、ファンタジーな物語のくせして、どこかにシニカルな視点を置き、最後にちょっとビターな後口を残す。このストーリーテリングが最大の見どころと言えるだろう。 今回の劇場版は、そんな「異種間コミュニケーション」に加えて「家族の関係」という追加要素が描かれる。これは単純な足し算ではなく、「人の家族」と「人と竜」と「竜の家族」の乗算になっており、難解さが一気に跳ね上がる。確かにキムンカムイはカンナのことを蔑ろにしていたが、それをよしとしないのはあくまで人間の感覚であって、単純に「親子だから仲良くね」というだけで終わってしまったら「人と竜」の視点を排除してしまうことになってしまう。トールたちのおかげで「人と竜」がわかりあうことがなんだか簡単なことのように思えてしまいそうだが、そうならないよう、事前にしっかり「小林とキムンカムイ」の関係性を示すことで「異種間」の壁の高さを確認させ、それを乗り越える努力の美しさを際立たせるのだ。 そして、そんな努力の物語だって単なる美談に終わらせるつもりはない。今作には心に刺さるフレーズが本当にたくさん出てきてかえって覚えていられなかったのだが、割と序盤でキムンカムイが言っていた「無茶な感情の是正を要求してるのはあいつらの方だ」みたいな台詞がやけに印象に残っている。確かにそうなのだ、小林は初対面の時点で「クソ親父」にキレていたわけだが、ここで小林がキレることは竜からしたら全くの意味不明。そして、それを押し付ける道理も小林は持ち合わせていない。そこにあるのはただカンナへの愛着であり、見方によっては小林のわがままでしかない。そのことをキムンカムイはわかっているし、なんなら同じドラゴンであるトールやカンナだって承知している。だからこそみんなしてどう行動するかを決めかねる部分もあったし、最終的に「人間界に来たからこそ芽生えた感情」であることを理解しているからこそ、親父の方を一方的に悪者にしたりせず、歩み寄る可能性を常に考えている。どこかで新たな「理解」が生まれることを期待している。 興味深いのは、今回形式上は「悪役」のポジションになってしまったアーザードは、悪役のテンプレートである「血も涙もない復讐者」とかではない。なんなら彼は人間であり、今回登場したメインキャラの中では小林と並びたって「人間的な感情を理解しているキャラクター」である。だからこそ彼はカンナをだまくらかす「父親の情」を演出したり、たびたび小林側の攻勢を予期して迎撃したりしている。突き詰めれば、「小林とキムンカムイの間の壁」と「キムンカムイとアーザードの間の壁」はさして変わらないものであり、同時に「小林とアーザードの間の壁」だって本質的にはそんなに変わらないのかもしれない。異種間にも壁はあるし、同種間にだってふつーに壁はできる。結局、竜だの人だのと言った問題を全部飲み込んだ上で、どこかに打算と妥協を加えながら、人は他者を理解していく。あの幼く純朴そうなカンナちゃんだってそのことを重々理解しており、対アーザードの戦闘では「人間にならって手に入れた貪欲さや不純さ」を自覚した上でそれを武器にしようとした。交わり、純でなくなることは悪なのか。それとも進歩と呼ぶべきなのか。今後の小林宅の生活が続けば、その辺りの答えがちょっとずつ見えてくるのかもしれない。 そうして全てのキャラがしっかりとプライドを持って戦った今回の一件。それぞれにスポットを当てて語っていきたい気持ちもあるが、流石に長くなりすぎるのでいくらか絞って一言感想。 ○エルマさん 正直、途中までは「この展開で出番ないよな……」と思ってたんですが、一番いいとこで「ライバルキャラ」として登場したのでホッとしました。 ○ファフニール 途中で挟まるトールとの模擬戦(?)も見どころの1つ。脆くて複雑な内面を抱えた竜たちが生きるこの作品、形はどうあれ、強固な信念を持って生き抜くファフさんはやっぱり強くて頼りになりますね。彼のトールへの説教も、言葉こそ乱暴だが割と的を射てるのよねぇ。 ○ルコアさん 出番は少なかったが(翔太君はもっと少なかったが……)当然のように一番美味しいところで一番美味しい役を持っていくズルいやつ。悔しいけどあのシーンでは大声で「キターーーー!」と叫びそうになりました(上映中はお静かに)。今回、竜の派閥抗争の虚しさに考えさせられるトールを暖かく見守っているあたりも実におねーさんですね。 ○イルル 途中で見せ場があったのでラストバトルには絡めなかったですが……今回、主役のカンナとならんで人間態でのバトルシーンが多く、個人的にはもしかしたらバトルシーンの中ではイルル戦が一番好きなシーンだったかもしれん。己の立場を考えて今回の一件でもしっかり役割をまっとうしてくれているあたり、ほんとに賢くて優しい子だよね。 ○小林 今回の小林、実は見方次第では一番「人間味がない」んですよ。あまりに命知らずだし、思想にもブレがなくて絶対的な視座から動かなかったから。でも、今作はひとまずそれでいいんですよね。小林が悩んでトールが悩むフェイズは一旦テレビシリーズで片がついているので、小林という絶対存在がカンナたち親子に「きっかけ」を与えるお話の中では、彼女は絶対神でも構わない。まぁ、アーザードへ向けた視線は同じ人間どうしとは思えないくらい達観してましたけど。 ○アーザード 悪役なんだけど、どこかに「正義とは別の正義」も思わせる複雑なキャラクター。彼の復讐心が間違ったものだとは誰にも糾弾できないはずだし、彼の行いがやりすぎだと咎めることもできない。だからこそ、トールは彼に対し「全てが正解だ」と評している。この辺りの視座の取り方は本当に「流石ドラゴン……」としかいいようがないです。そうして再びドラゴンに「殺されて」しまったアーザードのこれからの人生がどうなるかを考えると、ひょっとしたらこれまで以上に辛い未来が待ち受けているのかもしれない。でも、繋がりを断つことって、それくらいの覚悟が必要なことなのかもしれません。 ○トール やっぱりこの作品ってトールが支えてる。小林さんラブを大前提としているので根っこの部分はブレないんだけど、竜と人の双方への理解が一番深い立ち位置なので、「どちら側の自分」を優先させるかでちょっと悩んでしまうこともある。それは決して中途半端なものではなく、あくまでも彼女の思慮深さの表れなのだろう。今回はドラゴン態でのバトルシーンが割と長くて、今作のドラゴンの特徴である「単に強くてシュッとした生物じゃなくてどっか丸っこくて憎めない生き物」な様子がたっぷり拝めたので眼福。今作の竜たちの個性の出し方と俗っぽさの表現、とても好き。トールを通じて人類が学んだ「ドラゴンは基本チョロい」という知見が存分に活かされたのは草。 ○カンナ というわけで今回の主人公。劇場クオリティでたっぷりと鑑賞できるぷにろりドラゴンは本当に無敵。冒頭のスマホ買ってのくだりがありえないくらい可愛くてドあたまから完全に悩殺されてしまったし、全部のカットでぷに要素を堅持してくれるのが最高。そのくせ今回は人間態でのアーザード戦というアクションの見せ場まであり、まさに主人公の貫禄。今作は泣くまい泣くまいと頑張っていたのだが、クライマックスはやっぱり涙腺崩壊。ほんと可愛いんだから。そして今回のカンナは、強いんだから。 ○才川 全ての結末を確認して後から振り返れば、実は今作の立役者は才川である。彼女はカンナからみた「貪欲さ」の象徴であるが、それが巡り巡ってカンナに「執着」を与え、彼女を小林宅へと引き戻しているのだから。実はカンナがらみのシーンよりも才川のシーンの方が泣いちゃったのは秘密。カンナがさ、決意を固めるシーンで「才川と小林のとこに帰る」って才川の名前を最初に出してくれたのが本当に嬉しかったよ。
まだまだ書き足りないことはありそうだけど……もし2回目を観る機会があればその時に追記します。
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