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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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  左介が戦ってる! 第13話。天下分け目の決戦が舞台なんだから決定的なエピソードには違いないんだけど、真面目に合戦場で人を斬っている左介を見ると、違和感がモリモリでございます。

 一向に援軍がやってこないことに焦りを感じる明智軍。そしてようやく報せがきたかと思えば、羽柴の挙兵と、その想像以上の規模に度肝を抜かれることに。事ここに至って、聖人君子明智光秀も、これまでの全ての流れが秀吉の策略であることに感づいた。猿知恵に一杯食わされたことに思い至った光秀の無念は、いかほどのものであっただろうか。そして、そんな光秀に与することを決意したのは、同じ志を持つ三河の徳川である。和を以て武器となす家康は、あくまで臣下の意見を尊重することを強調してはいるが、それはあくまで三河武士としての矜持を守れる範囲でのこと。かたや民を思って仁の道を踏み外した明智軍、かたや全てを謀って天下を狙う羽柴軍。家康の決意で、ようやく三河が動き始める。しかし、決戦の時は既に間に合わないところまで迫っていた。

 絶望の明智軍と違って意気が高いのは、思い思いに集まってきた羽柴連合軍である。熟考を重ねて動き出した徳川とは異なり、こちらの軍勢は秀吉の下準備によって既に仇討ちに参加することが決まっていた面々。そこに躊躇いは無いし、大義名分もあるために動きも迅速だ。そして、そんな面々に共通する目的は、この大いくさでの武功である。信長が平定しかけた天下で、奇跡的に訪れた大舞台。ここで一気にのし上がれば武功どころか天下も見えるという大ばくち。民のこと、忠義のことなどさておいて、集まった将達には「少しでも美味しいところを」という私利私欲が渦巻いている。もちろん、それもこれも、全てはそうした人の業をコントロールしきった秀吉の手腕によるものなのだが。

 軍旗のデザインが一部に好評であり、ますます士気をあげていくのは我らが左介さんだ。名を売るにはここしかないのだし、今後の趨勢は誰も予測が出来ないものになる。ただ1つ、秀吉がのし上がるであろうことは確実なわけで、そこに密接に食い込める機会は、この戦をおいて他にはない。数寄でもアピールし、更に武勲もあげたとあれば、一気に勝ち組の仲間入りが出来るのだ。とにかく「見せる」ことを意識せねばならないこの状況。武士としての意気を見せるための抹茶一気飲みにも気合いが入ろうというものだ。

 しかしまぁ、左介の腕っ節の弱さも天下一。戦闘開始の号令の直後、あっという間に馬からコロリ。ひょっとしたらここで人生が終わってもおかしくなかったところなのだが、天はひょうげた奴に味方する。突如現れた弥助に命を助けられ、更にとんでもない情報まで置き土産にされて、一気にテンションが上下してしまうことに。天下分け目の決戦場は、左介の人生を、また別の意味で分けることになった。

 「秀吉が信長を殺した」。弥助の残した情報に、左介は曇天を仰ぐ。にわかには信じられない話であるが、弥助が嘘をつく意味も無いし、何より、秀吉という男は、「奴ならやりかねない」という底知れぬ脅威を持つ男。思い返せばあまりに迅速な高松からの帰還劇など、思い当たる節も多かった。「信長を殺したのは秀吉である」。意外過ぎる事実は、あっけなく左介の中で真実として受け入れられる。そして、ほんの一瞬ではあるが、秀吉の掲げるひょうたん印を「真の仇」としてみようとしたのも事実である。信長の弔い合戦であるならば、初めて知った事実を声高に叫び、自陣にとって返すのもあながち無い話ではない。

 しかし、左介はそれをしなかった。この場合、「出来なかった」と「しなかった」は半々ぐらいだろうか。あまりのことだったにも関わらず何故か妙に納得出来たというその事実は、秀吉という男を既に受け入れつつあるということを示している。そこまでの思いがなければ狙えない天下。そこまでの決意がなければ立ち続けられない「武」の世界。そんなことを思った左介の頭に去来するのは、大釜を抱えて散っていった松永久秀、「生きたもんが勝つ」と図太く生きながらえる荒木村重。誰も彼も、武と数寄の間を彷徨った先人達。松永は言った。「どこかで諦めるしかない」と。

 必死に戦場をさばきながら、自らの進退に懊悩する左介。武を貫くなら、死を賭してでも守らねばならない物がある。取らねばならない命がある。しかし、左介の本質は、結局そこには無かった。「諦めて、生き延びろ」。敵の雑兵にとどめを刺すことも能わず、左介は自分自身というものを痛いほど理解出来たのである。

 

 とにかく、この作品の毛色に全く合わない合戦シーンでのあれこれが刺激的な今回。正直言って、合戦自体の出来は二流三流。躍動感の無い軍馬の構成に、痛みが一切感じられない斬り合い、ビィートレインらしい血の噴きでない末期。左介の立ち回りも動きが軽く、なんだか滑稽な演舞を見ているようである。しかし、この作品の場合、これで一向に構わない。描きたいのはチャンバラ劇でないのだから。しのつく雨の中、合戦という緊迫した場の中でも、左介はいつものように「武」と「数寄」に揺れ動く。その間、彼にとって合戦場の剣戟などどうでもいいものなのだ。あくまで、思い出される信長の顔、松永や荒木の言葉の方が、彼の人生に与える影響は大きいのだ。揺れ動く心情はいつものように「目」に現れ、左介は今回2回ほど血走った目を見せている。これまで大名物を見つけた時にばかり見開いていた彼の目は、今回大きな人生の岐路を迎えるにあたって、現実を見つめるために開かれた。そして、そんな彼の一大決心が、最後に雑兵に振り下ろされた一発の拳骨だったのだ。武人としてはあまりに弱々しく、ともすれば降り続く雨にすら負けてしまいそうなその一撃は、戦の相手ではなく、左介の中にかろうじて存在していた何かを打ち砕いたものであるように見えて仕方なかった。

 間もなく天下は平定される。「武か数寄か」。その決断は、既に下されているのかもしれない。

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