9月23日
ピック順 【Sangriter】→【Alessi】→【Serra】→【Mei】→【Thraxi】→【Metallica】
私が次のセットの発売日を勘違いする、というとんでもない間違いのおかげでワタワタしてしまいました、ブロック閉幕を飾るラストイベント。過去にどっかで1回やったことがあったはずですが、改めて気合いを入れて準備しました、「ミラディンの傷跡」ブロック・オールカード・ロチェスターでございます。ルールは前回ものせたけど、一応確認。
「ミラディンの傷跡」から「新たなるファイレクシア」までの全てのカード1枚ずつのプールからのロチェスター。席順は最初にじゃんけんで何手目を取るか決める。ピックする枚数は6人戦なので12の倍数。当初は普段通りのドラフトでピックする枚数(42枚)に近けりゃいいか、ってんで48枚を予定していたが、実際にピックを行っているうちに全員が疲労困憊したおかげで、「もう、1周少なくてもいいんじゃね?」ってな雰囲気になったため、36枚で終了した。ちなみに、36枚引いた時点で時間は既に3時間を経過しており、みんな意識の混濁と空腹でグロッキーだった。ただ、ピックを終了させた後にいざ40枚デッキを組もうとしたら、カードプールに遊びがほとんどなかったために、みんなしてヒーヒー言っていた。まぁ、12枚増えたらどうなっていたのかは分からんけど。
どうでもいい情報もいくつか。まず、座席決定のじゃんけんの結果は以下のようになった。勝った順に【Metallica】(6手目選択)、【Thraxi】(5手目選択)、【Serra】(3手目選択)、【Sangriter】(1手目選択)、【Alessi】(2手目選択)、【Mei】(4手目)。カードは全て私が用意したが、現時点でパックから出ていなかったものは全てシングルで買ってきた。殴打頭蓋さん高杉。そして、プロのイベントを意識して、一応フォイルがあるカードは全部フォイルにしてみたが、単にピックの時に見にくかったり、デッキに入れると妙に反り返ってて目立ったり、あんまりいいことはなかったかもしれない。次やるときは無駄なこだわりは捨てます。次て。
今回はせっかくの記念イベントなので当然ピック表の記録は残したんですが、カードを全て広げるスペースがなく、そのための参照資料としてデッキ登録用紙を流用したため、チェックが面倒になって多少の不備が出ています。みんな、後半とかになるとへろへろになったからチェック忘れたりしてる。出来うる限りは修復して再現したつもりなんだけど、補えなかったところはごめんなさい。まぁそこまで競合ドラフトになってぶつかったわけでもないし、何となくどういう雰囲気で進んだかが分かれば良いんじゃないかってことで、御容赦。
AL SE TH SA ME MT
AL ー ◎ ○ ○ × × 3ー2 3
SE × ー × × × ○ 1ー4 6
TH × ○ ー × × × 1ー4 5
SA × ○ ○ ー × × 2ー3 4
ME ○ ○ ○ ◎ ー ◎ 5ー0 1
MT ○ × ○ ○ × ー 3ー2 2
1位 【Mei】 白緑赤 <滞留者ヴェンセール→出産の殻→刃の接合者>
なんとまぁ、これが本当の「終わり良ければ」だろうか。今回は無茶なイベントをやるってことを告知したら、みんなそれなりに色々と妄想を働かせてから参加してくれたみたいなのだが、前日丸1日これのことだけを考えていた
暇人熱心な人間がこの男だった。その成果は、今回唯一「狙い通りのピック」を迷わず完遂させたことに現れており、妄想が現実になった唯一の成功例である。何が強い? 何を1引きする? そんなところは誰もが考えるが、ここで考えられたのは、デッキコンセプトの全ての側面。1引きをノータイムで「滞留者ヴェンセール」にさだめ、返す2引きも、誰1人予想していなかった「出産の殻」コール。当然、この時点で「あぁ、そういうことがしたいのね」ということは誰しも理解出来るわけだが、それがどの程度強いものなのか、「リアルに」予測できる人間は1人たりともいなかった。仕方ない。ここのプレイヤーは構築戦になど縁が無いし、「出産の殻」も、実は「パックから出ていなかった」レアだったのだ。その動きを体感出来た人間はいなかった(敢えて言うなら、私費を投じて発売最初期に4枚買いしてた私を除いては)。
2枚のレアを活かすため、あとは187能力を持つカードをかき集めるだけ。実に分かりやすいコンセプトだが、この作戦の上手かったところは、187持ちのクリーチャーというのは、シナジーを形成するというだけでなく、単体でも充分強いものが多かったという部分。試しに3引き以降を並べてみると「刃の接合者」「太陽破の天使」「先駆のゴーレム」「マイアの戦闘球」などと並び、仮に「殻」も「ヴェンセール」も引かずとも、場当たり的に展開するだけでも戦えてしまうのである。2段構えのこのデッキは、想像を遙かに超える動きを見せたのだ。
また、この「リアル」が強かったことの補強に、3色デッキになるという唯一の不安点を、ピックの最初期から意識して解消に走ったことも上げられるだろう。最低限のクリーチャーをおさえておき、9引きという早い段階から「合金のマイア」をおさえ、「太陽の宝球」などの多色マナソースは全てここに。ただでさえバカみたいなカードが多くて目移りしてしまう状況で、このマナベースの確保を先に片付けたのは、実に理に適ったアクションであった。おかげで安定して多数の接合者を展開出来たし、一度「殻」か「ヴェンセール」が着陸してしまえば、その優位は不動のものとなった。そりゃまぁ、強かったですよ。だから、終わった後に2分とおかずに「ぜんしょー!」と連呼するイライラっぷりも許してあげようじゃないですか。
2位 【Metallica】 黒赤 <ファイレクシアの末梢者→鞭打ち悶え→執行の悪魔>
チキンハートの元締めのごとき男が、席順を決めるじゃんけんで勝ってしまったらどうなるか。そりゃま、当然6番席に座るわけですよ。全体の動きを見つつ、自分が収まる場所を探すことができますから。ただ、その結果の1引きが「ファイレクシアの末梢者」というのはその場にいる全員がぽかんとしてしまった。満場一致で、この男は青黒感染へ動く、と目されていたのだ。色こそ黒だが、感染と縁のないカードに手を伸ばすというのは、実に意外な展開。
1引きにクアドラプルシンボルのカードを取ったのだから、その色主張は圧倒的であり、立て続けに引いたのが「鞭打ち悶え」ってんだから迷いは欠片も無い。ただ、今回黒に参入した人間は卓に2人だけだったこともあり、慌てて黒を固めるような動きにはならなかった。同様に参戦者数が少なかった赤から「赤の太陽の頂点」を拾ってタッチの可能性を示唆させていたら、あれよあれよと「粉砕」「攻撃的な行動」「燃え上がる憤怒の祭殿」と、赤のカードが溜まっていく。最終的にデッキを組む段になり、「抹消者が入らない方が強い……」などという絶望的な声も漏れ始めた。流石に単色ってのは無理なチャレンジだった模様。
でもまぁ、無事に「抹消者」はデッキに入り、屈指の除去量で相手の手をひたすらくじく。引いたときには失笑すら漏れた「死の犬」なんかでも案外堅実にライフを削るデザインだと強い。「憤怒の三角護符」でサポートされた粒ぞろいのクリーチャーが、火力の中を走り抜けて何とか3勝をもぎ取った。基本的に感染は狙わないデッキだが、ワンチャンスを狙った単騎駆けの「ファイレクシアの十字軍」が各種装備品のサポートを受けて速やかにゲームをおわらせる展開もあったらしい。ちなみに、この勝ち星一つ分については私も色々と言いたいことがあるのだが、一度確定した結果は二度と覆らない。Magicに入門して約4ヶ月。立派に育ったものである。個人的にこの日のベストコメントは、「ワクワクがとまってもーた」。
3位 【Alessi】 赤白 <エルズペス・ティレル→鎚のコス→ファイレクシアの再誕>
この男も色々と考えて来たようであるが、その内1つの真理が、「全体除去は強い」であった。そこで1引きは「全体除去である」「プレインズウォーカーである」という、強い条件を2つも満たした「エルズペス」であった。更に返しで長考に長考を重ねて「鎚のコス」を選択し、いわゆる金属術カラーに一番始めから狙いを絞ってのまっすぐなビートに……なるはずだった。ちなみに、2引きは「スキジリクス」からの感染参入もあったらしく、その時には除去が山盛りの白黒デッキになる予定だったみたいだ。しかし、今回は白がいくらか混み合ったこともあって、赤は良かったのだが白などでは中盤以降にピックで先を越される展開に。「鍛えられた鋼」「攻撃的な行動」など、おさえる予定だったカードを脇からかっさらわれて歯がみするシーンも。そして、足りないと思われる部分を何とかフォローしようと色々漁っていたら、終盤に引いた「マイア鍛冶」から何だか妙なことに。「マイアの感電者」「マイアのタービン」「蜃気楼のマイア」など、何故かマイアトークンで叩くプランも現実的なラインまで上がってきたのである。まぁ、どっちも共存出来るプランだったので特に問題はないのだが、1引き時点でゴールと目していたデッキとは違うものになったのは事実らしい。そして、「今日は回らない日!」でもあったらしい。若手2人に隙を突かれて栄冠には一歩届かず。まぁ、運ゲー要素が強いのは事実ですからなあ。
4位 【Sangriter】 白緑 <大修道士、エリシュ・ノーン→ミラディンの十字軍→戦争と平和の剣>
じゃんけんのお導きで1番席に座った男が選んだ、このゲームの口火を切る1枚となったのは、チートオブチートの名を欲しいままにする「エリシュ・ノーン」。文句なしの1枚ではあろうが、このピックで激震が走ったのは事実である。「何でお前が白やねん」、と。ここ2ヶ月は感染が絡まないデッキを1度も作らなかった男が選んだのは、感染をも越えたファイレクシアの真髄であった。この番狂わせによってピックも多少影響を受けたが、実際は1番卓で色主張をした強みを利用して、そのまま強固に白を固める動きに進む。また、誰がどこで白以外に流れるか、という腹の探り合いになったが、ここでいち早く「非道の総督」を選択し、誰もいなかった緑に手を付けたのもここだった。そこからは緑のサポートで隙間の作業を埋めつつ、基本は白で押し切るデッキ構成。確かに「ノーン」が出ればゲームが終わるのは間違い無いし、その他「内にいる獣」「非道の総督」「シルヴォクの模造品」と、パーマネント対策力も高い。唯一難を挙げるとしたら、やはりクリーチャー除去の多い環境になるために、思い描いていたようなクリーチャー単体での勝ち手段にそこまでの信頼を置けなかったことだろうか。ゲームを決めたカードを見ると、「刃砦の英雄」など、質と数を同時に満たすカードが多い傾向にあった。まぁ、剣握ってトークンばらまくクリーチャーが弱いはずないからなぁ。
5位 【Thraxi】 黒青 <生命の終焉→ボーラスの工作員、テゼレット→黒の太陽の頂点>
泣き言になるが、今回唯一の、感染を「やらされた」デッキである。ゲーム前の事前談義で我々の興味を引いたトピックの1つは、当然「感染には誰が行くか、そしてどのようにいくか」という部分だった。我々の中には感染の専門家がいるので、どうせそのへんの連中が放っておいても感染するだろ、みたいな暗黙の了解があったはずなのだが、それ以前に「感染って結構厳しくない?」という風潮もあった。そして前述の通り、誰かが感染に行ってくれるだろうという予測は完全に予断でしかなかった。それが失敗の1。
更に前述の通り、「全体除去は強いだろう」という見込みは、私の中にもあった。かてて加えて、「白黒全体除去デッキ」プランまでもが、私の中にもあった。だからこその1引き「生命の終焉」だったのだが、黒の骨子にしようと思っていた「ファイレクシアの末梢者」は、なんと私の2引きの時点まで残っていなかった。これが失敗の2。さらにさらに、この時点の席順で、下家にはあの「荒廃の工作員」の化身である。1引き、2引きと感染絡みのカードを引いていないが、ここから一気に感染に走るのでは、という警戒心が強く働き、私としても予定していなかった感染には進みたくない。そこで選んだ2引きが、これまた色々と夢が広がる「テゼレット」だったのである。青黒は青黒でも、もっとコントロール色を強めた、この試合ならではの青黒をやる。そんなざっくりしたビジョンに変更だ。
だがしかしだがしかし、3引きを終えても、まだ下家は感染にいかない。もう、ここまで来たら、やるしか無くなってしまう、誰もいかない、その茨の道を。気分的には、ダチョウ倶楽部の「どうぞどうぞ」をやられた気分。4引きで「スキジリクス」を引いてしまい、そこからは誰1人邪魔してこない孤独な感染街道。
で、後考えで今だから言えるが、この時点で本当に感染と殉職する気持ちが固まっていれば、もう少し戦えるデッキが組めていたのだと思う。私の失敗は、ことここに至って、まだ「テゼレット」の迷いを捨てきれなかったこと。構築でよく見かける「墨蛾を5/5にして毒5つ」ビジョンを拭いきれなかったこと。「テゼレットデッキ」であり「感染デッキ」。それを満たすためには、「法務官の手」などを活かすための最低限の感染クリーチャーと、テゼレットを活かすための一定量のアーティファクトが必要。そんなどっちつかずの状態でカードが集めきれるほど、36枚の濃密ピックは甘くなかったのである。私が勝つためには、それこそさっさとテゼレットを切り捨て、迷いのない黒単にでもするプランだったのかもしれない。でもまぁ、どっちにしたって飼いスキジリクスに手をかまれる事態からは逃れられなかったとは思うが……
6位 【Serra】 青緑 <殴打頭蓋→聖別されたスフィンクス→ワームとぐろエンジン>
こんな試合だからこそ、各人の思惑というのは実にあからさまであり、誰もが「自分のお仕事」に邁進するだけのピックになる。「あいつは赤白ビート」「あいつは感染だ」「あいつは187能力をかき集めるのか」と。しかし、そんな予測が全く通じなかったのがこのピックである。序盤から「殴打頭蓋」「ワームとぐろエンジン」と、「最終的にどうとでもなる」カードで卓の観察に時間を当てており、動いたのは「他人があまりいない色」を見極めた後。
その結果、緑青の回避ビートというこのデッキの骨子が出来上がった。……出来上がったとはいっても、その狙いははっきりとデッキのスタンスを構えたというのではなく、とにかく青と緑の(感染が絡まない)強いカードを上から確保し、後付け的にシナジーをフォローするというスタイルである。その証拠に、「ヴィリジアンの密使」や「ダークスティールの斧」「脊柱の飛行機械」「血清掻き」など、早い段階でのコモン、アンコモンレベルの引きが早いのがこのデッキなのだ。「使い慣れた」といえば聞こえはいいが、このカードプールにおいては「いつも通りで地味」「なーんか所帯じみている」ピック。「大建築家」のおかげでどことなくコンセプトデッキっぽくはなっているのだが、その後に建築家が必須となるようなエンジンを組む意識があったわけでもなさそうだし、特定カードへの依存度は低い。実際に戦ってみると「大建築家」で増強された「ニューロックの透術士」やら「殴打頭蓋」を貼り付けた「血清掻き」やら、強いのは間違いないのだが、こちらとしても除去が強いってんで、ぬるりと逃げ切れることが多い印象。言ってしまえば、この無茶苦茶な試合で必要不可欠な「バカみたいなブン回り」がないデッキだったってことなのかしら。試合中には得も言われぬ不気味な圧迫感はあったのだが、やはり単騎駆けだらけのこのふざけた世界では限度があった。あ、でも1つ確実に褒めることがある。実をいうと、ピック表を1から36まで全部コンプして書いていたのは、君だけでした。相変わらずの仕事である。
さようならミラディン
こんにちはイニストラード
PR