最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
2011年度・俺的アニメグランプリ
気づけばこれも3年目。年度末の締めくくり行事の1つ(もう1つは声優アワードね)、アニメグランプリでございます。始めた時点ではどうしようもない企画だったけど、継続は力なり、と申しますし、そろそろ……どうしようもないな。昨年度版はこちら。 毎年のことなので一応断り書きしておくと、タイトル賞の選出は何故か毎年「仮装大賞」の賞に依っている。毎年「選出方法は見直した方がいいかも」って書いておきながら、結局慣れてしまってこの方法を続けているのだ。もうずっとこのまんまだろうな。ちなみに、タイトル部門以外の賞は、基本的に3位まで取り上げてある。 今期エントリーされたのは、ある程度最後まで視聴していた以下の90作品。ん? 90本? ……ちょっと多すぎる気がするんだけど……マジか。過去の履歴だと、4年前から76本、74本、59本、67本となっていたのだが、まさかの大幅増。まぁ、アニメの形式もバリエーションが増えて、90作品といっても五分以内で終わるものが結構あるし、分割2クールが別作品として数えられているので、そこまで多いわけではない……はず。あれだな、やっぱり今年度からレコーダーを導入して気兼ねなく保存出来るようになっちゃったのが原因だろうな。「録ったんだから見ないと」っていう性分だから何かを犠牲にしても全部チェックはしてしまうんだよなぁ。このせいで適当な視聴体制が定着したら本末転倒だな。少し反省しないと。 そして、劇場作品については2年前から数えて7本、4本ときて今年は6本。まぁ、このくらいの数が妥当なのかな。実際は今年から追加した趣味である戦隊もののせいで、「ゴーカイジャー」3本観に行ってるんですけどね。そして、現時点ではいささか不当なのは承知しつつも、劇場作品については敢えてエントリーからは外している。こんだけ地上波で数があるんだから、わざわざ違うフィールドの作品いれることもないでしょうしね。 ○一応ある程度見ていたエントリー作品(アイウエオ順) 「青の祓魔師」「アクエリオンEVOL」「アスタロッテのおもちゃ」「Another」「あの夏で待ってる」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「アマガミSS+plus」「妖狐×僕SS」「UN−GO」「異国迷路のクロワーゼ」「いつか天魔の黒ウサギ」「うさぎドロップ」「うたの☆プリンセスさまっ♪マジLOVE1000%」「Aチャンネル」「怪盗天使ツインエンジェル〜(略)」「神様ドォルズ」「神様のメモ帳」「神のみぞ知るセカイⅡ」「君と僕。」「逆境無頼カイジ 破戒録編」「境界線上のホライゾン」「キルミーベイベー」「gdgd妖精s」「GOSICK」「30歳の保健体育」「C」「C3 シーキューブ」「THE IDOL M@STER」「新テニスの王子様」「侵略!?イカ娘。」「Steins:Gate」「スイートプリキュア」「SKET DANCE」「セイクリッドセブン」「世界一初恋」「世界一初恋2」「ゼロの使い魔F」「戦姫絶唱シンフォギア」「戦国乙女〜ももいろパラドックス〜」「そふてにっ」「TIGER&BUNNY」「たまゆら〜hitotose〜」「男子高校生の日常」「ダンタリアンの書架」「探偵オペラミルキィホームズ第2幕」「ちはやふる」「デッドマン・ワンダーランド」「テルマエ・ロマエ」「電波女と青春男」「DOG DAYS」「トリコ」「Dororon えん魔くん メ〜ラめら」「夏目友人帳 参」「夏目友人帳 肆」「No.6」「偽物語」「日常」「にゃんぱいあ The Animation」「ぬらりひょんの孫〜千年魔京〜」「猫神やおよろず」「ハイスクールD×D」「バカとテストと召喚獣にっ!」「花咲くいろは」「パパのいうことを聞きなさい!」「緋弾のアリア」「Fate/Zero」「ブラック★ロックシューター」「BLOOD-C」「BRAVE10」「ペルソナ4」「変ゼミ」「ベン・トー」「僕は友達が少ない」「マケン姫っ!」「真剣で私に恋しなさい!」「魔乳秘剣帖」「まよチキ!」「まりあ†ほりっく あらいぶ」「輪るピングドラム」「モーレツ宇宙海賊」「森田さんは無口。」「森田さんは無口。2」「ユルアニ?」「ゆるゆり」「47都道府犬」「よんでますよ、アザゼルさん。」「リコーダーとランドセル」「輪廻のラグランジェ」「ロウきゅーぶ!」「WORKING’!!」 ○今期視聴した劇場アニメ作品 「攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D」「そらのおとしもの 時計じかけの哀天使(エンジェロイド)」「戦国BASARA -The Last Party-」「UN−GO episode:0 因果論」「映画 けいおん!」「ストライクウィッチーズ劇場版」 <タイトル部門> 技術賞 ‘05「創世のアクエリオン」 ‘06「がくえんゆーとぴあ まなびストレート」 ‘07「モノノ怪」 ‘08「キャシャーン Sins」 ‘09「化物語」 ‘10「デュラララ!」 ‘11「輪るピングドラム」 圧倒的なアニメーション技術を評する部門。昨年も書いたが、設定当初は「CGがすごい!」とかそういう純粋な「技術」という点を評するものだったが、そうした「先端技術」としてのアニメーションに差が見えにくくなっている昨今は、個々のクリエイターの持ち味をどのように画面に反映するか、という「監督の神業部門」みたいな立ち位置になっている。 今年度、その圧倒的な画面構成と迫力でアニメファンをうならせた作品といえば、なんと言ってもあおきえい監督による「Fate/Zero」だろう。ufotableによる見事な作画に加え、剣と魔法のバトルを正面から「格好良く」描いた地力の強さ、謀略渦巻く聖杯戦争の内実を描く心理戦で見せる丁寧さが、単純に「すげぇアニメだ」ということを教えてくれる。おそらく「現代アニメの最高峰」と言われても素直に納得出来る一本なのではなかろうか。同様の評価は京アニブランド「日常」にもいえるだろう。およそアニメ化に向いているとは思えない不条理ギャグマンガを、まっとうなアニメーションとしての技術でねじ伏せてしまった技量の高さは、「さすがの京アニ」というアホっぽいコメントでしか語ることが出来ない。そして、今年度最後に盛り上げてくれた大迫力アニメといえば、なんと言っても「ブラック★ロックシューター」。今石洋之をメインアニメーターに起用し、新進気鋭の監督吉岡忍と、創意に溢れるスタジオOrdetがばっちり期待に応えてくれた。「見れば分かる、とにかくすげぇ」という、贅沢なアニメの方向性が、やはり一番まっすぐに「技術」を感じることが出来る。 スタジオ的には伏兵と言ってしまっても良いと思うのは、謎の新スタジオラルケの繰り出した「真剣で私に恋しなさい!」。1話で見せた大迫力活劇は「どうせ大したアニメじゃないだろ」と高をくくっていた浅はかな予測をぶち壊してくれたし、元永慶太郎監督の手による絶妙なシリーズ采配により、ちゃんと一本のアニメ作品として高い品質を維持し続けることに成功した。インパクト抜群の3話などもあり、何度も繰り返し見て笑っていたい佳作。他にも監督のチャレンジという意味なら「BLOOD-C」も今年度を語る上で外せない作品だろう。動き出す話数をぎりぎりまで踏みとどまるチキンレースのような構成は、したたかに視聴者を転がす水島努ならではの無茶苦茶なものであるが、結果を出してしまったのだから文句のいいようもないのである。 さらに尖ったチャレンジ精神なら、たとえば上坪亮樹監督の手による「そふてにっ」も、いわゆるシャフト演出の派生作品として見るべき点が多い。どうしてもXEBEC作品というとビハインドに見えてしまうものだが、それでも監督の采配と工夫で、あそこまでのものになるのだから大したもの。また、同じようなシャフト分派の1人である大沼心による「C3シーキューブ」も、実はたくさんの見どころがあった隠れた名作。こうして、原作ありの作品であってもアニメ化する際にガンガン監督の個性が出てくれる方が、アニメファンとしてはたのしいものなのです。 そして、こうした「スタジオの妙」「監督の妙」という話題でいうならば、やはり今年1番の事件は「ピンドラ」ということでいいのではなかろうか。幾原邦彦という1つのブランド、1つの象徴が、長い時を経て現代で生み出した新たな挑戦。そこにちりばめられた様々なメッセージは、全部が全部成功し、綺麗に視聴者に伝わったとは言い切れないと思うが、それでも、1つのシリーズとして、期待を裏切らないだけの「完成形」を生み出したのは間違いないだろう。この作品が、アニメーションという分野がまた一歩先の新たな時代に踏み出すきっかけとして機能して欲しいものである。 努力賞 ‘05「蟲師」 ‘06「ひぐらしのなく頃に」 ‘07「true tears」 ‘08「かんなぎ」 ‘09「けいおん!」 ‘10「世紀末オカルト学院」 ‘11「ブラック★ロックシューター」 「よく頑張った!」を評する賞。実は「他の賞で漏れたエントリーを救出する賞」的な立ち位置だったりするのだが、とにかく今日も今日とてアニメクリエイターの皆さんは頑張っているのです。 個人的に、「頑張って作っている」というアニメの感想は、何故か原作もののアニメの印象がある。「よくもまぁこんな難しい漫画をアニメ化したもんだ」とか、「原作愛に溢れた忠実な再現だ」みたいな褒め言葉の一種。その枠組みでいくと、たとえば「ペルソナ4」なんかはかなり良い方向に頑張ってくれた作品だったんじゃなかろうか。同じ岸監督で「神様ドォルズ」や「WORKING’!!」なんかも、丁寧な中にアニメ独自の遊び心もあり、なかなか気の利いた制作姿勢である。そして、なんと言っても原作つきで頑張ったといえば、この春幕を下ろした2つのラノベ作品。「灼眼のシャナⅢ」と「ゼロの使い魔F」だろう。渡部監督は老練の「ラノベ監督」であるし、岩崎さんもやっぱりこういうふわっふわした世界だとよいあんばいの落としどころを見つけてくれる人。その他、原作ものの上手い調理、という観点からだと「逆境無頼カイジ破戒録篇」や「猫神やおよろず」、「モーレツ宇宙海賊」「未来日記」なんかは、度肝を抜かれることはないが、きっちり毎週期待通りに楽しめる、「原作があるが故の安定感」を提供してくれていた。 それでは、さらに一歩進んだ努力というとなんだろう。たとえば、原作シナリオが多層的でアニメ化に神経を使うもの。「Steins;Gate」などは、原作人気も高く、アニメ化には細心の注意を払ったことだろう。あれだけのものが破綻なく収束できたというだけでも驚きの一本。また、違った意味でアニメ化が難しいと思われていたもので想像をひっくり返してくれた作品としては、やはり「日常」をあげておかねばなるまい。どんな無理難題でも力業で解決してしまう京アニパワーの恐ろしさが堪能出来る、「傑作」と言ってしまってよい作品ではないだろうか。そして、忘れてはいけない今年最大の「原作愛」といえば、見事なバランス配分で全てのファンを納得させた「IDOL M@STER」を忘れてはいけない。ゲームを知らない人間でもすっかりアイマスファンになるレベルの危険な誘致要因として機能したアニメは、これまで見えていなかったアイマスという媒体の底力を、広くアニメファンに知らしめることになったのである。 そして、そんな原作ものの話ばかりしていて唐突なのだが、私が今期最後の最後にストライクゾーンを射貫かれたのは、原作とは名ばかりのイメージだけの状態から始まった、「ブラック★ロックシューター」ということになる。こちらも番組感想である程度の部分は書いてしまっているが、とにかく、8話という尺の中で「ブラックロックシューターがあるべき意味」を端的に作り出し、それをきちんとアニメ作品としての面白さへフィードバックする作りが素晴らしい。そして、これを1つ1つ徹底した動画でくみ上げていく根気と職人魂は、本当に「アニメで魅せたい」というスタッフの意気込みがびしばし感じられた。何が出てくるか分からない媒体だったからこそ可能だった、一回こっきりの全力投球。これはきちんと受け止めて評価しなければならないだろう。 ファンタジー賞 ‘05「ふしぎ星のふたご姫」 ‘06「あさっての方向。」 ‘07「天元突破グレンラガン」 ‘08「RD 潜脳調査室」 ‘09「狼と香辛料Ⅱ」 ‘10「あにゃまる探偵キルミンずぅ」 ‘11「うさぎドロップ」 何となくふぁんたじっくな作品を評する賞。自分で設定しておいて毎年「どないやねん」と突っ込んでいるわけだが、過去の受賞歴を見ると何となく意図が分かるような、そうでもないような。まぁ、そのときに応じて好きな作品をほめる部門として使わせてもらいます。一応、大切な要素としては「世界観の創出」っていうのがあるのかな。 素直に今年度「ファンタジーだな」と思える作品で印象に残っているものといえば、たとえば「アスタロッテのおもちゃ!」がある。作品が作品なので中身を追究すると「大きなお友達が夢見る禁断の空想世界」みたいなものなのだが、ぎりぎりのラインで下品にさせず、どこか暖かいムードを維持したままで「ホームドラマ」を描いていたのは実に良い手際であった。同じ方向性では「仮想世界」として「異世界」ではなく「異国」を持ち込んだ「異国迷路のクロワーゼ」も毎週楽しかった作品。「サキュバスや魔族が跋扈する世界」も、「日本人の少女が見たフランス」も、そりゃぁファンタジーには違いない。湯音の視線で見た異国の地の何ともいえない情緒と違和感が、見事に画面の中に表れていたのではなかろうか。やっぱり「ファンタジー」っていうと暖かいイメージが先行します。さらに「場所は日本っぽいけどキャラのおかげでファンタジー」な作品なら、じわっと来る日常の風景やコミカルな芸風が楽しめる「猫神やおよろず」もここで取り上げておきたい。3本並べた「家族」についての作品群は、テーマが近しいだけに、世界をいじっても安心して楽しめるだけの「世界の創出」が果たされていただろう。 多少ハードな方向に目を向けると、世界設計の丁寧さ、描写の丁寧さで抜きんでていた「モーレツ宇宙海賊」も楽しかった。「家業としての女子高生海賊」なんてむちゃくちゃな設定なのに、1つずつその無茶を説き伏せることで、次第にドラマとして成立させていく過程が実にクドくて魅力的。「何でもかんでも女の子にやらせりゃいいと思って」みたいな非難もありそうなものだが、この作品の場合には「単なる女の子にそれがやらせたいんだ!」という意志が明確であり、その責任をきちんと果たしていたと思う。筋の通った「ちょっと古風なアニメの見せ方」、嫌いじゃありません。 さらにハードな「世界」では、たとえば「C」なんて異色作もある。やりたいことがやりきれたかと言われれば微妙な作品ではあるのだが、「やりたいことが何か」は伝わってきたし、それを独自の方向から解決しようという意志は評価に値するものだったろう。「描けないはずのものを描ける」ことがアニメの強みなのだから、こういうチャレンジはもっと色々な機会に見てみたいと思う。そして、ド直球でとにかくシリアスなファンタジーといえば、なんと言っても未完の「Fate/Zero」だ。筋立てもさることながら、とにかく気合いの入った画面作りでもって”魔都”冬木を反吐が出るほど克明に描ききっている。その実態はどこまで行っても「剣と魔法のファンタジー」でしかなく、設定だけを聞いたら「何年前のRPGだよ」と思えてしまいそうなのに、実際にアニメになったときの緊迫感・高揚感は他では得ることの出来ないものだろう。 そして、様々なアニメが全身全霊でもって表現しようとする「世界」という言葉を、今期最も強く感じさせたのが、「うさぎドロップ」であった。他の作品と比べると、「ファンタジー」なんて要素はほとんど無い。いかにも「漫画っぽい」要素といえばただ一つ、りんちゃんが大吉の家に来たことだけだ。しかし、そのたった1つのテーマが、本作ではあまりにも大きなエネルギーとなっている。「いるはずのない女の子がそこに居る」という事実だけを使って、あまりに大きな物語が脈打っている。大吉は普通に生活しているし、りんちゃんは元気に学校に通うだけなのだが、そこにたった1つのファンタジーが紛れ込み、そのファンタジー要素を際だたせるために、世界の全てが作られていったのだ。「鹿賀りん」という異物を作るためだけに、全ての時間が注ぎ込まれたのだ。その完成度たるや、あまりにも巧緻すぎて言葉を見つけるのも難しい。笑って泣いて悩んで。「育む」という人類普遍のテーマを通してたくさんのドラマが観られるこの作品こそ、最上のファンタジーであったといえるのではなかろうか。 演技賞 ‘05「地獄少女」 ‘06「RED GARDEN」 ‘07「魔法少女リリカルなのはStrikerS」 ‘08「紅」 ‘09「Phantom ~Requiem for the Phantom~」 ‘10「屍鬼」 ‘11「C3 シーキューブ」 後に登場する「声優部門」とのかぶりが多いために選出が難しいのがこの部門。作中での印象的なお芝居のクオリティを評する部門である。 印象的なお芝居と言っても様々なものがあるが、他と比べて目立つ要素がある作品というと、やはりどうしても「泣き」「叫び」などのインパクトの大きなシーンになることが多い。たとえば最終回で壮絶な激白合戦を繰り広げた「あの花」。めんま・あなる・つるこの3人を押さえて、よもやのぽっぽ大爆発で見せた強烈な嗚咽は、最終回の切なさをさらに盛り上げる見事なものだった。また、絶望の叫びならば「Steins;Gate」の皆さんも大健闘。主役のオカリンの悲壮感漂う主人公像もさることながら、バイト戦士もシャイニングフィンガーも、それぞれの正義を胸に戦い続けたが故の絶望が、圧倒的な演技でもって形作られている。凄絶であるだけに、その中に1人癒しを与え続けたまゆしぃの存在も際だつというものだ。絶望感・高揚感でいうなら、「逆境無頼カイジ破戒録篇」における男どもの雄叫びも忘れられない。カイジ・おっちゃん・遠藤・班長そして一条。彼らのどうしようもないクズとしての生き様は、暑苦しさ抜群で他のアニメには無い特濃の世界を見せてくれた。 少し穏やかに、まっすぐ「素敵な」演技を考えて見よう。「威厳」というテーマで現れるのは、「Fate/Zero」で語られる英霊たちの会話。聖杯問答におけるライダー・アーチャー・セイバーの語らいや、アーチャーと綺礼の会話など。とにかく「格好いい声」を集めまくった声の饗宴。このインパクトは他では得られないものだ。また、渋いところでいちいちゲストキャラも素敵な「夏目友人帳」シリーズも、1つ1つの演技に暖かみのあるタイトル。大森監督の丁寧な音響演出が光るBGMとも相まって、忘れられない「会話劇」が安定して展開していた。また、安定感でいうなら「うさぎドロップ」も心にしみる作劇が印象深い。りんちゃん役を演じた松浦愛弓ちゃんの今後が楽しみになる一作。 飛び道具扱いの「演技の妙」でいうなら、やはり「gdgd妖精s」は避けて通れない。過去の作品でいうなら「トランスフォーマー」シリーズなんかもそうだけど、ここまで完全にキャスト依存した声優に優しくない番組もなかなか無かったろう。プレスコ制作の目的って、そういうところにあるんじゃねぇよ、っていうね。また、同様にキャストに優しくなかった作品というなら「偽物語」もそうだな。そういえば「UN-GO」も色々と耳に楽しい作品でしたね。この作品や「ペルソナ4」のように、1人の役者さんが色々な顔を見せてくれる多重人格設定のアニメは、それだけで声優ファンにはご褒美だと思います。 とまぁ、色々と並べてきたが、今年最終的に選ぶのは、特に目立ちもしていなかった地味な作品、「C3 シーキューブ」である。最初にあげた「叫び」「泣き」の強烈さが未だに脳髄に染みついている、今年度一番の「絶叫作品」がこれだったのだ。幼女兼拷問道具という難しいスタンスに立つメインヒロイン・フィアは、「ここに使わずいつ使う」とでも言わんばかりの田村ゆかり全開キャラ。幼女は可愛く、ときに冷徹に、狂ったときには高らかに。1粒で何度も美味しい素敵設定。そこに「殺し」「破壊」を目的とした様々な女性キャラが絡むようになり、最初の怨敵ピーヴィーさんは、外道を貫き通した印象深いキャラ。ビッチワード連打の雄叫びが、最期にはマミーメーカーへの哀願へ変わるギャップの強烈さが忘れられない。その他「叫び芸といえばこの人」でおなじみ斎藤千和による白穂と、覚醒に至ったゆかちキャラのサヴェレンティの絡みなど、様々な女性声優が自分なりの「叫び」を追究してくれたぜいたくな競演。声優ファンの幸せって、こういうところにあるんですよね。 ユーモア賞 ‘05「アニマル横町」 ‘06「ひだまりスケッチ」 ‘07「俗・さよなら絶望先生」 ‘08「ひだまりスケッチ×365」 ‘09「そらのおとしもの」 ‘10「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」 ‘11「gdgd妖精s」 他の部門と異なり、ギャグアニメっていうのは割とはっきりと線引きが可能なジャンルなので、この部門は選考がしやすくて良いですね。ただ、そのために「ギャグアニメ」というレッテルが貼られる作品は全てがここに集まる激戦区にもなってしまうわけなんですけどね。 今期、先駆けとなった春クールから、一気にギャグアニメの候補が大挙した。あまりのインパクトとそのぜいたくな中身、見事な宴会芸に釣られて祭り上げたヒット作には「よんでますよ、アザゼルさん。」がある。正直、春先にはこのアニメで決定でいいんじゃないかという気もしていたし、今回の選出においても、最後の最後まで残った名作である。これまで数々のぶっ飛びギャグで成果を上げてきた水島努の、悪ふざけの極致と言っても良いだろう。恵まれたキャスト陣による見事な掛け合いの妙は、何度みても笑いが止まらない。また、同時期に似たようなベクトルで勢い任せに突っ込んできたのが、「Dororon えん魔くん メ〜ラめら」だ。あえて名付けるなら「昭和ギャグ」というジャンルだろうが、ノスタルジーを引き起こすには流石に未知過ぎるジャンルであるにも関わらず、知らない人間すら巻き込んで炸裂するギャグの嵐には、視聴後にへとへとになってしまう恐ろしいエネルギーが込められていた。理不尽の極みである最終回まで含めて、今のアニメ業界に無益な戦いを挑み続けたスタッフには賛辞を送っていいのか、嘲っていいのか。いや、偉業なのは間違いないだろう。 一転、不条理ではあるがしっかりとした作品作りの安定感も同時に見せつけてくれたのは、安定の京アニブランド、「日常」だろう。後になって教育テレビで再放送されていることからも分かる通り、「不条理ギャグであるにも関わらず、家族で見ても何となく面白いようなアットホームな雰囲気も持ち合わせる」という奇跡のバランスは、原作の良さもさることながら、やはりアニメスタッフの尽力に依るところが大きい。最近とみに多い「ゆるかわ系」のギャグにピリッとスパイスを効かせたような新しい味わいは、今後新たなジャンルを開拓する一助となるかもしれない。また、私の中では「日常」と似たようなジャンル分けで含まれているのが、上坪亮樹の手によるシュールな画面が楽しい「そふてにっ」。びっちりとスタッフを固めて巧緻にくみ上げられた「製品」としての「日常」と、(おそらくは)低予算ながらも持ち味を活かし、アニメとしての面白さを掘り下げてくれた「そふてにっ」という2つのほのぼのギャグを見比べてみるのも面白いのではなかろうか。 そして、昨年もこの項で最終候補まで残り続けた核弾頭「探偵オペラミルキィホームズ第2幕」は外せないだろう。2期目ということで落ち着いた部分もありながら、慣れて思考をおいやすくなった視聴者を常にあざ笑い続けるその姿勢は、狂気じみたものすら感じられる。気づけば一大ブランドとなった「ミルキィ」だが、今後もシリーズを続ける上で、常に挑戦者としての貪欲な姿勢を持ち続けて欲しいものだ。2期目といえば、未だ完結していないので触れるに留めるが、やはり「アクエリオンEVOL」は尋常じゃない。シリアスな笑い……というには笑いに寄りすぎているとは思うのだが、それでも時を経て色あせないアクエリオン大馬鹿サーガの流麗さは惚れ惚れする。 「シリアスな笑い」にチャレンジした異次元作品といえば、こちらも最終候補に残したい「ベン・トー」がある。本当に発想の勝利というか、よくもまぁこんな馬鹿げたことを最後までやりきったものだ、とは思うが、終わってみれば案外いい話になっていて、「題材が何であろうとも少年漫画メソッドって通用するもんなんだな」というのが学べる作品。作者の力量とアニメ監督板垣さんの熱意が上手い具合に噛み合った、絶妙なバランス配分の完成度であった。 そして、今期は謎の「ショートアニメ」ムーブメントが巻き起こった年でもある。大々的に扱われたものとしては、「ユルアニ?」内で放送された数々の作品があるだろうし、5分枠という新たな概念を生み出した「森田さんは無口。」、そしてその後に控えし大本命「しばいぬ子さん」と、身の丈にあった枠での勝負を挑む猛者が増えた。個人的には是非選びたかったのだが流石に罪悪感から押しとどめた「47都道府犬」も、今年忘れられない1作品といえるだろう。そして、ショートアニメといえばなんと言っても蛙男商会だ。今年も「昔の吉田くん」に「テルマエ・ロマエ」、謎の危険物「週刊シマコー」と、実に見事な働きぶり。正直言って洗練化が進むアニメのジャンルとは完全に別カテゴリと見てしまってもいい領域であるが、どこか見逃せない魅力があるのも事実だろう。 ということで、そんなショートアニメの雄として並び立つ勢いとなったのが、「ネットミラクルショッピング」で頭角を現した菅原そうたということになる。悪ふざけとしか思えない馬鹿馬鹿しい企画で始まった「gdgd妖精s」は、依存症に至るまでにそれほどの時間を要さなかった。アニメと言ってしまうのもはばかられる低予算ぶりに、ニコニコ動画での放送を前提とした阿漕なパロディ、こびを売るような適当な内容。本当に、どこに怒られても不思議じゃないし、こんなものを評価してあざ笑われる向きもあるかもしれない。しかし、楽しんでしまったのが事実なんだからしょうがない。思わずAmazonポチっちゃったんだからしょうがない。これはおそらく、アニメファンというよりは圧倒的に声優ファンとしての刺激を受けた結果なんだろう。今をときめく旬の声優が突然大喜利を迫られてあたふたし、朝10のテンションで乗り切る様子が克明に描かれたアニメなんて、そりゃ新鮮に決まってるんだ。何を言われようとも、このアニメは新境地である。 アイディア賞 ‘05「アカギ」 ‘06「地獄少女二籠」 ‘07「school days」 ‘08「地獄少女三鼎」 ‘09「大正野球娘。」 ‘10「魔法少女まどか☆マギカ」 ‘11「TIGER&BUNNY」 「そのアイディアナイス!」を評する部門。毎年言ってるが、よくわからねぇな。 今年を代表する一発アイディア作品(もしくは、思いつき勝負ともいう)といえば、やはり真っ先に名前があがるのは「BLOOD-C」ではなかろうか。はっきり言って「それをやるのか」という言葉は賞賛というより驚嘆でしかないのだが、強引に力でねじ伏せてこれを成立させてしまった「完成品」は、やはり評価されてしかるべき。少しずつ迫ってきた劇場版公開日も楽しみで仕方ないですね。また、思いつきで見切り発車といえば「UN-GO」も不可思議な作品だ。坂口安吾作品というのでこのタイトルのはずなのに、蓋を開けてみりゃ大して関係もない。じゃ、何がしたいねん、という話になるのだが、気づけば案外面白くなってしまうという。この作品も言ってしまえば「BLOOD-C」と同じような「茶番劇」でしかない物語なのだが、劇場にぶん投げたり、とにかく虚飾で彩ったり、「茶番」としての成分をあの手この手でごまかすことで、何ともいえない独特の後味に仕立て上げたのである。これはこれで面白い。 設定としてのひねり、変化球の球速で勝負してきたのは、大馬鹿バトルストーリー「ベン・トー」。設定を見たときには確実に「なんじゃいそら」と首をかしげられるあり得ないシチュエーションは、いざアニメを見てみると「なるほど」と納得させられるパワーに溢れていた。あり得ない絵面をあり得る画面に落とし込む。これこそがアニメの本懐といえる。また、設定の突飛さでは図抜けていたの作品として、直近では「戦姫絶唱シンフォギア」もある。「歌うことが戦うこと」という設定は「あぁ、マクロスとかね」とか思いながら視聴を開始するわけだが、マジで歌って戦っていたという。出オチみたいな部分はあるが、これを思いついて、とりあえずやってみたところが評価される部分ってことで。 演出の奇抜さ、思い切りの良さで言うなら、一応気になったので「キルミーベイベー」もあげておきたい。やっぱりどう考えてもアニメ化出来る作品じゃないはずなのだが、エトセトラガール・エトセトラボーイを雇用して強引に間を埋めて一本のシリーズを作り上げるという訳の分からない斜め上な解決法は、どないやねん、と思いながらも楽しんでしまったのは事実。やっぱり4コマアニメは大変ですよね。 とまぁ、色々と新規なアイディアをあげてみましたが、今期一番のびっくりといえば、個人的には「TIGER&BUNNY」の大ヒットなんですよね。1話目から割と食いついて楽しんで見ていたのだが、冷静に振り返れば、単なるベタなヒーローものストーリーなんですよ。これがすごく「新鮮なもの」に見えたのは、個々のガジェットについて、非常に注意深く「新規さ」を見せるための工夫が凝らされていたおかげ。「テレビの企画としてのヒーロー」というなんだかあけすけな設定もそうだし、そのヒーロー達に実在する企業のロゴをつけてCMさせちゃおう、っていうのも新鮮。これが実際のアニメの画面に入ると、何とも奇妙で新しい画に見えるっていうのは新しい発見であろう。 オリジナリティ、という言葉に引っかけて書くわけでもないが、去年から今年にかけて、アニメはオリジナルの時代に突入した。ちょっと前までなら原作の無いアニメオリジナル作品なんて自殺行為の代名詞みたいなものだったのに、このタイバニを皮切りに、次々とヒット作が繰り出され、今やアニメはオリジナルの方が売れる、という風潮すらある。結局、売れるアニメには企業努力とそれを実現させるだけの労力(つまり資金力)が必要ということ。一般的なアニメ視聴者を押さえつつ、さらに熱狂的なおねーさま方を大きく囲い込んだこの作品の場合、狙った方向性が見事に「当たる」方向に突き進んだ。このアイディアの回し方、お見事であった。 →記事の続き(2/4)へ PR |
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HN:
Thraxi
性別:
男性
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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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