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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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2012年度・俺的アニメグランプリ

 

 毎年恒例、年に一度の(個人的な)お楽しみである。ただ、これまでは割とすんなりと決めてきた部分があるのだが、今年はちょっと悩む部分が多かった。どうも、本気で傾倒したアニメが少なかった気がするんだよなぁ。歳をとってアニメを見る体力が落ちたのか、怠惰なアニメ視聴は顧みて戒めねばならぬ。とりあえず、昨年度版はこちら

 毎年のことなので一応断り書きしておくと、タイトル賞の選出は何故か毎年「仮装大賞」の賞に依っており、タイトル部門以外の賞は、基本的に3位まで取り上げてある。以前は「部門ごとの選出基準が自分でもよく分からない」っていうのが悩みの種だったが、最近は自分の中でも折り合いがついているので部門の性質で悩むことはあまりなくなった気がする。元々、好きでやってるのに何で悩んでたんだよ、って話だけども。

 今期エントリーされたのは、「2012年4月期以降に終了した、もしくは現在放送中である」ことを条件としたある程度最後まで視聴していた以下の103作品。………………103?! ちょっとまて、そりゃ悩みもするわ。なんで100本超えてるんだよ。流石におかしいだろ。俺確か今年は視聴本数減らすって言ってたんだぞ。実際、切ってる作品も有るんだぞ。どうしてこうなった? いや、もう少し冷静に見てみよう。この本数増加には2つの要因があるのだ。1つは、5分枠などのショートアニメの増加。実際、103本のうち15分以下のショート枠は6本あるので、これらを除けば97本。更に、昨今は分割2クールも増えており、今年度中に2クールが分割されたものを1つにまとめれば、更に4本減って93作品ということになる。……えぇと、去年は確か普通にカウントして90本だったっけ……推移は過去5年で767459679010393)……あれぇ? 全部BDレコーダーがあかんのや……来年こそは……減らすんだ……

 そして、劇場作品については3年前から7本、4本、6本ときて今年はちょっと増えて12本。まどマギは前後編だからタイトルとしては11本分かな。4月1日に観に行った2本をどうするか微妙なとこだけど一応カウントした。まぁ、このくらいの数でもそこまで負担ではないかな。ちなみにこれに特撮は戦隊、ギャバンと含めて4本観に行っているので合計16回劇場にいったことになる。一時は本当に10年単位で行ってないんじゃねぇかっていうくらい劇場に縁がなかったけど、最近はガンガン制作されるからどうしても観に行く機会は増えるよねぇ。今年もまた忙しくなりそうだし。ちなみに毎年のことだが、この評定枠に劇場作品は含まれていないのでご容赦願いたい。

 

 

○一応ある程度見ていたエントリー作品(アイウエオ順)

「あいまいみー」「アクエリオンEVOL」「アクセル・ワールド」「あっちこっち」「AMNESIA「アルカナファミリア」「イクシオンサーガDT」「宇宙兄弟」「うぽって!!」「エウレカセブンAO」「AKB0048」「AKB0048 next stage」「えびてん 公立海老栖川高校天悶部」「織田信奈の野望」「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」「俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」「ガールズ&パンツァー」「神様はじめました」「カンピオーネ!」「機動戦士ガンダムAGE」「キューティクル探偵因幡」「境界線上のホライゾンⅡ」「クイーンズブレイドリベリオン」「gdgd妖精s(2期)」「黒子のバスケ」「K」「恋と選挙とチョコレート」「CODE:BREAKER」「ココロコネクト」「琴浦さん」「この中に1人、妹がいる!」「これはゾンビですか? オブザデッド」「PSYCHO-PASS」「咲 -Saki- 阿智賀編」「坂道のアポロン」「さくら荘のペットな彼女」「ささみさん@がんばらない」「さんかれあ」「THE UNLIMITED 兵部京介」「しばいぬ子さん」「シャイニング・ハーツ〜幸せのパン〜」「じょしらく」「ジョジョの奇妙な冒険」「しろくまカフェ」「新世界より」「人類は衰退しました」「好きっていいなよ。」「「SKET DANCE」「スマイルプリキュア!」「生徒会の一存 Lv.2」「聖闘士星矢Ω」「絶園のテンペスト」「ZETMAN」「戦国コレクション」「戦勇。」「閃乱カグラ」「ソードアート・オンライン」「だから僕は、Hができない。」「黄昏乙女×アムネジア」「たまこまーけっと」「TARI TARI」「中二病でも恋がしたい!」「超速変形ジャイロゼッター」「超訳百人一首うた恋い。」「直球表題ロボットアニメ」「つり球」「トータル・イクリプス」「DOG DAYS’」「となりの怪物くん」「To LOVEるダークネス」「夏色キセキ」「夏雪ランデブー」「謎の彼女X」「這いよれ! ニャル子さん」「薄桜鬼黎明録」「幕末義人伝浪漫」「はぐれ勇者の鬼畜美学」「八犬伝ー東方八犬異聞ー」「ハヤテのごとく!CAN’T TAKE MY EYES OFF YOU」「HUNTER×HUNTER」「緋色の欠片」「緋色の欠片第二章」「ひだまりスケッチ×ハニカム」「ビビッドレッド・オペレーション」「氷菓」「貧乏神が!」「ファイブレイン 神のパズル2」「武装神姫」「ぷちます! -PETIT IDOLM@STER-」「BTOOOM!」「Fate/Zero」「ボクは友達が少ないNEXT」「まおゆう魔王勇者」「マギ」「みなみけ ただいま」「めだかボックス」「めだかボックスアブノーマル」「モーレツ宇宙海賊」「もやしもんリターンズ」「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」「ゆるゆり♪♪」「ヨルムンガンド」「ヨルムンガンドPERFECT ORDER」「ラブライブ!」「LITTLE BUSTERS!」「輪廻のラグランジェ Season2」「LUPIN the Third -峰不二子という女-」「ロボティクス・ノーツ」

 

○今期視聴した劇場アニメ作品

BLOOD-C The Last Dark」「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A’s」「魔法少女まどか☆マギカ[前編]始まりの物語」「魔法少女まどか☆マギカ[後編]永遠の物語」「TIGER&BUNNY The Beginning」「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」「スタードライバー THE MOVIE」「劇場版とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇跡」「ドラえもん のび太のひみつ道具博物館」「花咲くいろは HOME SWEET HOME」「プリキュアオールスターズNewStage2こころのともだち」「シュガー・ラッシュ」





<タイトル部門>

技術賞

‘05「創世のアクエリオン」 ’06「がくえんゆーとぴあ まなびストレート」

‘07「モノノ怪」 ’08「キャシャーン Sins」 ’09「化物語」 

‘10「デュラララ!」 ’11「輪るピングドラム」

‘12「さんかれあ」

 主にアニメの画作りに関しての技術を評する賞。7年前はサテライトのバリバリのCGワークを評しての選出だったが、今となってはそんなCG技術も常識の範囲内。昨年を参照すれば、常識をかっ飛ばした幾原監督の「ピングドラム」を選出していることから、何となく賞の性格は分かるだろう。

 もちろん、CGなどの技術が浸透して差別化が図りにくくなったとは言っても、見事な画面の彩りを生み出せるかどうかは、スタジオの力、スタッフの力として歴然たる差が生まれる部分なのは相変わらず。今年度をざっと見てみると、たとえば「氷菓」などは京アニの執拗なまでのこだわりが画面にあふれかえったことによって眩しいばかりの画面が惜しげもなく繰り出されていたし、「黒子のバスケ」では、迫力のあるスポーツアクションが、元々話題性の薄かった作品を一気にトップネームに推し上がるのに一役買っていた。7年前に選出した「アクエリオン」の正当後継である「アクエリオンEVOL」は馬鹿馬鹿しいネタを惜しげもなくサテライトCGでやり抜くこだわりに頭が下がるし、そのサテライトが性懲りもなく馬鹿なことを繰り返していた「AKB0048」シリーズの画面も実に見事なもの。やはり、アニメを見るからにはこうした有無を言わせぬ説得力はたまらなく嬉しいものだ。意外なところだと、「ガールズ&パンツァー」は最終回などで見せた圧倒的な戦車アクションのクオリティが話題を呼んだ。CGの力業も、やはり使いどころの巧さだな、というのを再認識した作品である。

 多少目先を変えると、そうした純正の技術ではなく、作品世界を統べるための空気作り、つまりコンテワークの妙にも目がいくことになる。こうした画面にもたくさんの見どころがあるが、ここでは特に気になった名前を3つばかり挙げておこう。1人目は「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」の不気味なまでに静的で執拗な画面を産みだした川口敬一郎。川口さんの仕事はこれまでも嫌というほど見てきたが、まさかあんな仕事が飛び出して来るとは思っていなかったので、(若干ひきながらも)感嘆したものである。2人目は山本沙代、つまり「LUPIN the Third -峰不二子という女-」であるが、元々「ミチコとハッチン」で監督でビューした時には、「ちょっとクセがありすぎて、それが面白味に繋がらんな」と思っていたのだが、今回のルパンでは見事にその個性が面白さに繋がった感がある。今後も一品ものの映像だけに留まらず、何か度肝を抜く仕事をしてくれそうではないか。3人目は、私のブログではすっかりお馴染みの大沼心。今年は監督、総監督の名義で「黄昏乙女×アムネジア」と「ココロコネクト」という秀作を2本送り出した。「ココロコネクト」の方は川面真也監督の仕事も大きいと思うが、今後もこの2人の作りあげる世界を見てみたいと思わせるだけの完成度だった。

 そして、監督名義以上の「完全さ」でもって、今回最後まで選出を悩んだ作品を2本。1つは完全無欠の完成品。あおきえい+ufotable、「Fate/Zero」。あまりに鉄板過ぎるために面白味にかけるから、という捻くれた理由で外したんじゃないか疑惑がある。そしてもう一本は渡辺信一郎+手塚プロ、「坂道のアポロン」。こと「音楽」というテーマにおいて、やはり(こちらの)ナベシンの技は恐ろしいまでの完成度である。今回諸々やりくりした結果選出から外したわけだが、「坂道のアポロン」を評することが出来なかったら、確実に今年のアニメ評価は失敗である。それくらいに大切な一本。

 そして、これらの並み居る強豪があることを重々承知しながら、今年は敢えてこの一本を選ばせてもらいたい。畠山守氏による「さんかれあ」である。放送終了してからしばらくして「畠山守」という名前が小俣真一氏の別名義だったということを知ったのだが、やはりシャフト流からの分派ということでアクの強い演出方向が実に楽しい。作品自体は割と地味な立ち位置だったのでなかなか日の目を見ることがないのが残念だが、原作シナリオで使える範囲が少なくてなかなかアニメにしづらかったところを、実に見事な構成力で持って説得力のある1シーズンに仕立て上げてくれた。改めて見直しても、息が詰まるような緊迫感のあるコンテワークは本当にお見事。今後のお仕事への期待も込めて、今年の「技術」は畠山氏を祭り上げることにする。

 

 

努力賞 

‘05「蟲師」  ’06「ひぐらしのなく頃に」

‘07true tears」  ’08「かんなぎ」 ’09「けいおん!」 

‘10「世紀末オカルト学院」 ’11「ブラック★ロックシューター」

‘12TARI TARI

 いやぁ、頑張ってくれてたなぁ、を評する賞。単に他の賞で選びにくかったものに触れたいだけのオールマイティ部門という話もあるが、割と「色んなものをまんべんなく褒めたい」と悩んだ作品がラインナップとして並んでいるのである。

 今期も「頑張ったなぁ」と思える作品を導入するなら、やはり原作有りのアニメ化作品から見ていきたい。原作既読であれ未読であれ、やはり既に存在しているシナリオラインからアニメに引っ張り出し、独自の面白味を付加する作業工程はなかなか簡単なものではない。今期も当然「原作有り」の方が圧倒的に多かったわけだが、なんと言っても様々な期待と不安をない交ぜにしてムーブメントに持ち込んだ「ジョジョの奇妙な冒険」が筆頭に上がってくるのではなかろうか。正直、最初のうちはあまりにふざけた画面を受け入れられないでいたが、しばらく見ているうちに「こういう頑張り方もありなんだろうな」と改めて感心した次第。ある意味ここ数年で一番「アニメ化不可能と言われた作品」の成功例といえるのではなかろうか。同様にエキセントリックな方向にアニメが展開した事例としては、「超訳百人一首 うた恋い。」が忘れられない。地味なテーマを地味な絵でみせなきゃいけないのだからかなりの無理難題だったはずなのだが、どこか的をズラしたような小憎らしい演出手法でもって、毎回実に楽しく見させてもらった。こういう伏兵が出てくるからアニメは楽しい。

 まっすぐな原作再現性でいうと、最近だと「となりの怪物くん」あたりは純粋にアニメとしても面白かったし、お話がすっと入ってくる良質なアニメ化だったと思う。アニメ放送後に原作コミックスも読めたので「これ、原作も面白いからな」という結論にはなったが、アニメであのテイストを損なわずに出せていたのは純粋に高評価。派手な売り方ではなくじわりじわりと積み重ねる努力型の作劇ならば「新世界より」なんてのもある。勝手な想像だが、あれの原作をぽんと渡されて「じゃ、これアニメ化して」と言われても途方に暮れてしまうのが普通だろう。よくぞあそこまで盛り上げたものだと思う。

 さて、ここまでたくさんの「原作有り」作品を挙げてみたが、それではアニメオリジナルではどのくらい頑張れるものなのか。やはりどうしてもオリジナル作品は数が減ってしまうが、今期もいくつかアニメオリジナルで頑張ってくれていた作品がある。「PSYCHO-PASS」なんかはいかにもアニメオリジナルの企画として打ち上げられた空気が漂った作品で、2クールの枠内で遊べる範囲を見極めたシナリオ配分と、アニメで見せることを優先したけれん味のある派手な世界設定は見応えがあった。また、純粋な意味でのオリジナルではないが、既に原作とか考えなくてもいいレベルで「オリジナル」に昇華された作品といえば「中二病でも恋がしたい!」は無視出来ない存在だろう。京都アニメーションここにあり。ぐうの音も出ない完成度には本当に頭が下がる。

 そして、オリジナルを打ち出すアニメスタジオといえば、京アニに負けずに矜恃を見せつけてくれるのがP.A.Worksということになる。1クールで小さくまとまっていたおかげで視聴後の印象はとてもすっきりとしているが、やはり「TARI TARI」はP.A.の名に恥じぬ、高品質な作品であった。テーマの選び方と、そのテーマをアニメの世界として表出させる手際がいちいち心得ており、「見たいな」と思ったものをきっちり見せてくれる仕事ぶりは、現代アニメファンにとってはご褒美以外のなにものでもない。徹底的にこだわり抜いたP.A.のお仕事ぶりをげっぷが出るほど堪能出来る。あの夏の日の青春模様に、今一度大きく「頑張った」の一声を。

 

 

 

ファンタジー賞 

‘05「ふしぎ星のふたご姫」 ’06「あさっての方向。」

‘07「天元突破グレンラガン」 ’08「RD 潜脳調査室」 

‘09「狼と香辛料Ⅱ」 ’10「あにゃまる探偵キルミンずぅ」

‘11「うさぎドロップ」

’12Fate/Zero

 ファンタジー設定について評する賞。まぁ、大概のアニメなんてファンタジーといえばファンタジーなのだから、ここもかなり曖昧な設定とは言えるのだが。何せ去年の選出が「うさぎドロップ」の時点で推して知るべし。でも、りんちゃんは非実在ロリだから……。

 さておき今年のファンタジー。まず、純粋な意味での「ファンタジー世界」というものを見るならば、たとえば「人類は衰退しました」なんかは真っ先に出てくるタイトルである。まぁ、あれはあれで歪んだファンタジーには違いないが、世界設定の無茶苦茶さだけで遊び回る荒唐無稽なおとぎ話は、ファンタジー世界の本来の意味である空想力、思いつきの領分では最大のはっちゃけぶりであった。また、無茶さ加減では負けず劣らずの「ひどい」ファンタジー要素ならば「これはゾンビですか? オブザデッド」なんてのもある。やっぱり、ラノベ文化華やかなりし現在、ちょっと「ファンタジー」要素をこじらせてしまうと、すぐにギャグとして処理されてしまうのですよね。

 ギャグとしかいえない非現実空間というと忘れてはならないのは、「ファイブレイン 神のパズル2」の存在。最初は辛うじて「無茶苦茶なパズルやな!」レベルで堪えていたパズルを解かなきゃいけない設定も、2期目に入ってからは「もう、なんでもパズルっていっとけばいいや」みたいなところまで吹っ切れてしまい、荒唐無稽な夢物語のびっくり合戦にまで発展した。アスレチックや巨大迷路は子供なら誰しも憧れる夢の国。それなら、命懸けの巨大パズル群も間違いなくファンタジー。「流石にもう少し現実に寄せてくれないと荒唐無稽過ぎる!」という方には、ほんの一粒のファンタジー、「夏色キセキ」はいかがだろうか。単に女子中学生が空を飛んだり時間溯行したりする程度のファンタジーですよ。……うーん、ひどい。それなら女子高生を戦車に乗せる「ガールズ&パンツァー」や擬人化の極致「うぽって!!」のファンタジーは? もう、ここまでいけば「悪ふざけ」ですけどね。

 目先を変えてもう少し真摯なところを見ていくと、「いないものがいること」にテーマをおいた作品ならば「黄昏乙女×アムネジア」もある。この作品のように、普通の「ファンタジー」では設定として素通りしてもおかしくないようなファクターを、丹念に掘り進んでいく姿勢は非常に好ましいと思う。また、どこかで見た論評では「たまこまーけっと」におけるふわふわの世界観は、「けいおん」で培ったものが世界を商店街まで拡大させた「あり得ない世界」であるという。確かに、あそこまでのノスタルジー溢れる昭和の香りも、1つのファンタジーだったと言えるかもしれない。

 相変わらず前振りは長くなったが、まぁ、なんやかんやいいながら結局「Fate/Zero」には何か1つ評価軸を設けておかねばなるまい。ファンタジー要素の現出としてこの作品を見るのはどこかお門違いな気もするのだが、前述のように「魔法」も「ゾンビ」も「霊」も「妖精」も、全ての要素を引っくるめて同じラインの上に並べ、それを血なまぐさい「嫌な話」でたたみ込んでやろう、という世界設定はこれ以上無いくらいに乱暴で、たまらないくらいに魅力的だ。実際に「有る」か「無い」かなんてことは些細な問題であり、「無いなら文句のでない存在感で作り上げるまで」という徹底した作り込みと、それを支えるだけの圧倒的な表現力。何がどうあろうと、今期を代表するアニメに違いない。

 

 

演技賞 

‘05「地獄少女」 ’06RED GARDEN 

‘07「魔法少女リリカルなのはStrikerS」 ’08「紅」 

‘09Phantom ~Requiem for the Phantom~」 ’10「屍鬼」

‘11「Cシーキューブ」

’12「夏雪ランデブー」

 簡単に言い換えると「声優って凄いよね」賞。声優個別のエントリーが後にあるにも関わらず、ここにも演技についての部門があるという。こちらは作品としての総合的な「声優の魅力」を計るものであると思って頂ければ問題無いだろう。

 当方、アニメファンである前にいち声優ファンであるので、この部門は自然に力が入る。今年も素敵な演技を見せてくれた作品が多数あった。大きく分けて「笑える方にすげぇ」と「泣ける方にすげぇ」に分類できると思えるのだが、「笑える」すごさだとたとえば「しろくまカフェ」や「這いよれ!ニャル子さん」なんかがあげられる。前者はとにかく無駄に出そろった豪勢な男性キャストの使いっぷりが恐ろしく、この作品を見てから他のどんな作品を見ても「あぁ、しろくま君がシビュラシステムを壊してる……」とか「パンダ君が王国転覆を謀ろうとして自害しちゃった……」とか思うことになる。非常にけしからん番組。後者は特に9話のニャル子・真尋の入れ替え話なんかが楽しかったが、アスミスやキタエリなどの和気藹々とした絡み合いが楽しい。また、たった1人でぶち上げた偉業では「人類は衰退しました」のわたしちゃんの破壊力も忘れられない。我等が絶対ヒロイン中原麻衣によるピュア腹黒ボイスは、人智の及ばない世界を不動のものとする要石となった。「スマイルプリキュア!」における福圓先生のシャウトなんかもこの枠に入れてしまっていいかもしれない。

 「泣ける」方のすごさでいえば、忘れられないのは「ココロコネクト」の姫子・伊織・唯の3人。1人1人に与えられた大きな試練を苦しみながら乗り越えていく渾身の演技は、どの部分を聞いても鳥肌もの。より現実に即した世界観では、たとえば「中二病でも恋がしたい!」の凸守の絶叫、「坂道のアポロン」の律ちゃんを巡ってのいじましい色恋沙汰などもグッとくるものがある。やっぱり「泣ける」っていうのは声優をやる上で必須条件なんでしょうね。

 そして、最後まで選出しようかどうか悩んだ作品が後2つあり、それが「さんかれあ」と「TARI TARI」だ。前者は礼亜役の内田真礼の働きによるところも大きいのだが、その他真広役木村良平、わんこ役矢作紗友里を加えて、とにかく「現実的な非現実」の広がり方が見事。ちょっと油断しただけで単なるギャグになってしまうところを、見事なまでの息の合わせ方できちんと「ホラー風味のラブコメ」に仕立て上げている。後者の「TARI TARI」については説明不要だろう。声優として、合唱部員として、これほどまで見事に歌唱をアニメに引き寄せた作品は他に無い。本当にこれ以上無いというキャスティングであった。

 そして、これらの作品が見事だったことは認めつつも、やっぱり選んでしまうのは松尾衡作品。過去にもすで「RED GARDEN」「紅」と2作品選んでるんだからもういい加減やめた方がいいとも思うのだが、やはり松尾監督率いるプレスコ作品の存在感は圧倒的である。「夏雪ランデブー」を選ばざるをえない。画に縛られずに産みだされる役者どうしの間合いの作り方により、本当に1つ1つのシーンが全て「息づく」のである。1クールの作品ながら、登場するキャラクターはほとんどメインの3人だけ。ただひたすらその3人の呼吸だけが流れ続けるというストイックな作品作りは、見事に声優の魅力を120%まで引き出してくれたものだろう。これを見て、改めて「声優」大原さやかの姿を堪能出来ることを喜ばしく思うのである。

 

 

ユーモア賞 

‘05「アニマル横町」 ’06「ひだまりスケッチ」 

‘07「俗・さよなら絶望先生」 ’08「ひだまりスケッチ×365」 

‘09「そらのおとしもの」 ’10「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」

‘11gdgd妖精s

’12「しろくまカフェ」

 相変わらず、ふわっとした他の部門に比べると評価枠が定まっているので激戦区となるのがここである。これまでの履歴を見ても、一筋縄ではいかない作品ばかりがズラリと並んでいる。

 さて、昨年度選出からの流れで見ていくと、まず、ギャグ作品の大きな流れとして、ショートアニメが強い、という特徴がある。今期も非常に多くのショート枠が放送されたわけだが、やはり短い時間でスパッと見せる必要性から、ギャグものが多くなる傾向にある。いわゆる「しばいぬ枠」ではマジモンで危険な臭いしかしなかった「あいまいみー」が実にキレのある救いようの無さを発揮してくれていたし、「戦勇。」あたりも時間当たりのネタ配分は気持ちいい。昨年度受賞作品「gdgd妖精s」は二期になっても独自の方向性から相変わらずただでは帰らせてくれないくせ者として大活躍。1期の流れを強く受け継いだ正当後継の「直球表題ロボットアニメ」も、「やりたいことはここにある」という錦の御旗を掲げて戦い続けた殊勲賞。ひどい作品といえば本当にひどいものだが、笑ってしまってはこちらの負けである。

 真正面から「ギャグですよ」と勝負を挑んできた分かりやすい枠では、たとえば「貧乏神が!」なんかは個人的にお気に入り。やっぱり分かりやすさって大事。「イクシオンサーガDT」は「なんとひどい高松作品」と言ってしまえばそれまでの出来だが、まさか2クールで微塵もたじろがずにあの路線で貫き通せるとは思わなかった。細かくテーマソングにネタを仕込むなど、馬鹿馬鹿しさを表に出したギャグの方が、実は細かい心遣いが必要になる難しい部門である。そういう意味では水島努の「じょしらく」や川口敬一郎による「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係無いよねっ」「みなみけ ただいま」、太田雅彦による「ゆるゆり♪♪」あたりの安定した芸風も、やはり欠かせない存在といえるだろう。「キューティクル探偵因幡」も分類としてはこの枠でしょうね。やっぱりギャグをきちんと作れるクリエイターは息が長くなる。

 そして、そうした「確実にギャグ」というコンセプトをはき違えている作品群も存在している。いわゆる「シリアスな笑い」(?)群とでもいうべき連中で、作中では至って真面目なはずなのに、それが突き抜けてしまったが故に笑わずにいられない作品。分かりやすいところでは「アクエリオンEVOL」あたりは反則レベルのネタ作品。笑いは笑いでも引き笑いみたいなのが出ちゃう作品としては「シャイニングハーツ〜幸せのパン〜」なんかもある。笑うしかないな。ある意味「ジョジョの奇妙な冒険」もこの枠と言えなくもない。そして、この部門の極致とも言えるネタ勝負を仕掛けてきた伏兵に「絶園のテンペスト」がいたことも忘れてはいけない。「真面目なことをやってる大人」ってなんであんなに面白いんだろうな。

 今年も様々な方向からネタが飛び出して我々を楽しませてくれたが、今年敢えて一本選ぶとしたら、私は1年間の長丁場を渡りきり、独自の世界を貫き通した「しろくまカフェ」を挙げることにしたい。そりゃま、ネタの密度で言ったら本当に些細なもんで、内容だって絵本みたいなものが多い。それでもやっぱり、毎週毎週次回予告で何が飛び出して来るかという緊張感は、攻めの姿勢を崩さぬ「ネタ勝負」の結果である。ふと気がゆるんだところでどさくさに紛れて鋭角に飛び込んでくる卑怯なネタの数々には、長いこと笑わせてもらいましたよ。昨今のギャグアニメというとどうにかこうにかパロディや自虐、メタネタなんかで笑いを取ろうとするが、やっぱり息の長い「笑い」って、こういう方向でいいと思うんですよね。しろくま君、終わろう。

 

 

 

アイディア賞 

‘05「アカギ」 ’06「地獄少女二籠」

‘07school days」 ’08「地獄少女三鼎」 

‘09「大正野球娘。」 ’10「魔法少女まどか☆マギカ」

‘11TIGER&BUNNY

’12「戦国コレクション」

 「ザッツ、グッドアイディア!」を評する部門。「出落ちネタ」というわけではなく、出来るだけ新規性の高い勝負をしているかどうか、っていう部分が気になるってことでしょうか。アニメの本数も多く、多角化を余儀なくされている昨今。やはり「アニメを売る方策」は二極に分かれつつあり、1つは「二匹目のどじょう」作戦。売れる要素をまとめ上げ、画一化したパッケージでお送りするもの。もちろんそれでも面白いものは出来るだろうが、そればかりじゃぁ産業は衰退する。勝負に出ないといけない時だってあるのさ。

 今期度肝を抜かれるような驚きのコンセプトというと、すぐに思い出すのは2つの作品。1つ目は「AKB0048」。アニメは売れるか売れないか分からない、AKBは放っておいても確実に売れる。それならAKBをアニメにすれば確実に売れる。なんと素晴らしい方法論。まぁ、実際には売り上げの方はAKB様々とはいかなかったみたいだが、おかげで飛び出してきた奇妙なハイブリッドは、作品としてもぶっ飛び力満点の危険物となったわけだ。河森正治も岡田麿里も、やっぱりどこかおかしな連中なのは間違いない。そしてもう1本のアイディア勝負といえば、こちらは想定外の大成功を収めた「ガールズ&パンツァー」。「なんでもかんでも女の子にやらせれば受けると思ってるんだろ!」と高をくくっていた作品だったはずが、あれよあれよと話題性が先行し、気付けば今年度を代表する成功作品へと上り詰めた。何故ガルパンが成功したのか、というのは一口で語れるようなものではなかろうが、今後のアニメ業界の指針の1つとして、この成功は歴史的な意味合いが大きいといえるだろう。

 こうした分かりやすいフロンティアスピリットとは違う次元でも、アニメ業界の挑戦は続いている。原作有りの作品ではそこまで大冒険など出来るわけもないはずだが、原作の珍奇なコンセプトが結実した作品として、たとえば「この中に一人、妹がいる!」は注目すべき作品だと思う。何しろ、「大量の妹(候補)」という萌えアニメの産廃レベルの設定かと思いきや、そこから展開し始めたのはガチンコで限定に挑む一種の「犯人当て」シナリオ。13人の妹を受け入れられるこの業界で今更妹捜しもどうなんだろう、と思ったものだが、思いの外真摯に挑まれた「謎と解決」の提示により、気付いたら引き込まれていたのは悔しい誤算である。勝手に設定のうわべだけをなぞって、したり顔で「使い古された設定じゃないか」などと語ってみせるのも浅はかなものだ、という戒めとなるだろう(まぁ、犯人当て自体も使い古されているには違いないが)。そうした「改めて考えさせられる」流れでいうならば、ひょっとしたら「AMNESIA」だって野心作といえたのかもしれない。タイムループという手垢のついたネタを、「単に色んな男といちゃつくため」という無茶な設定から導入して、それをメインボディにしたおかげでカオスが極まるという、一体誰が何を思ったら出来上がるのか分からないような怪作である。あとはまぁ、怪作といえばやっぱり「絶園のテンペスト」かな……。

 とまぁ、勝負をかけるためにたゆまぬ努力を続けているアニメ業界だが、そんな歪んだ業界が1つの成果を結実させた歪みきった一本として、今年度は「戦国コレクション」に素直に賞賛を送ることにする。アニメファンに必要なものは愛情、忍耐、そして清濁併せのむ覚悟である。「戦コレ」における視聴者への挑戦っぷりは相当なものだった。ソーシャルゲームが原案の時点で色んな層を切り捨てているだけでは飽きたらず、どこか古くさいキャラクターデザインに、お世辞にも褒められない制作体制。普通に考えたら朽ちて散るだけの存在と思われた「ネタ枠」が、全てをかなぐり捨ててネタの昇華に全身全霊を注いだ結果、飛び出してきたのはカオスの塊。パロディといえばそうだし、オリジナルといえば間違いなくそう。徹底した「独自の世界を持たないこと」へのこだわりは、あらゆるオマージュがかえって独自世界を際だたせるためのエッジに成り代わるという、何とも皮肉な演出方向に花開いた。時代はあとからついてくる。戦コレが築き上げた実績とは一体何なのか、今後の評価が待たれるところである。

 

 

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