最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「空中ブランコ」 5→8 今期文句なく一番楽しく見させてもらった作品。最初はあまりにアクの強い演出にいくらか腰が引け気味だったのだが、中村健治監督が無意味に目障りな装飾など施すはずが無いと信じて見続けたおかげで、きちんと「虚飾の意味」を感じ取ることが出来るようになり、最終的には、私が最も好みである「多層的な意味を配置した画で見せる演出」が野心的に盛り込まれた佳作となった。 この作品を見て思い出すのは、我がアニメ視聴人生を大きく変えた「妄想代理人」の存在である。安易なまとめ方になるが、この「空中ブランコ」と「妄想代理人」は、いくつかの面で非常に似通った性格を持っている。メインテーマが精神的な綻びである、というのが最も端的な部分であるし、各話に複数の主人公を配したオムニバス形式、群像劇のスタイルを取っているのも同じ。本作の場合は伊良部一郎という「観察者」たる中軸を通してテーマを伝えるので比較的分かりやすかったが、「妄想」の場合は「対象」である少年バットそのものを中軸としていたので難度がより高いという差が確認出来る。また、表現の難しい題材だけに、演出の抽象度が高いというのも似通った点で、特に最終話のトイレで不満をぶちまける津田英雄のシーンは、「妄想」第9話「ETC」のサブエピソードである「IQ」のトイレ描写と随分被った。 他にも、こうした「画で多層的な意味を表す作品」で言えば、近年私がメロメロになった「地獄少女」シリーズも近いものがある。特に2期、3期での小滝礼演出回は圧巻で、「藁の中(3期17話)」の時に四苦八苦した内容分析のときの高揚感が、今作でも得られるような気がする。これら3作は全て「人の心の歪み」を描くという部分では共通しており(まぁ、たいていの人間ドラマは突き詰めればそう表現出来てしまうが)、アニメーションという媒体の持つ多面的な可能性を見るのに大きな役割を持っている。あくまで既存のアニメのスタイルからはみ出なかった「地獄少女」、構成や描写に独特のセンスを加えた「妄想代理人」、そして一見するだけでその異質さが伝わる「空中ブランコ」と、そのスタイルも様々なレベルがあるわけだ。 今作の素晴らしい点は、そうした珍奇な表面上の描写が、きちんと描きたいもの(精神疾患)にフィードバックされている部分である。毎回登場する患者のシンボル化などは端的なメタファーとして抽象物の表象性を高めてくれるし、肉薄した各キャラクターの苦悩も、実写顔出しの役者達のおかげで奇妙な臨場感が出る。さらに最終話のところで解題した「実写+アニメ」だからこそ出る味もしっかり活かされており、実写取り込みという技法が単なる表面上のお遊びになっていない。こうした効果は、描く側がきちんと「何を描きたいか、何を描かねばならないか」を理解して画面を構築する必要があるわけで、制作者の技量と意識の積極的な現れになっているということ。もちろん、「描くものを理解して作れ」などというのはクリエイターとしては当然の心構えなわけだが、この大量消費の時代、全てのアニメにそれが徹底しているとはとても言い難い。このアニメの場合、そうしたクリエイター側の覚悟のようなものを、最初の画面でまず「異質さ」を強調することによって視聴者に「ちゃんと見ろよ」と警告を促しているわけで、ある意味非常に「親切な」作品でもあったわけだ。どうせ作品を作るならば、ここまでの気概を見せて欲しいものである。 何はともあれ、十二分に堪能させてもらったこの作品。最終話までを走りきって、まだまだ自分の読解が不足していることを思い知らされた。今後機会があれば、是非とももう1度頭から見直して分析を行ってみたいものである。 PR |
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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