Ｍ１２・黒

＜黒＞

 

○再録カード

「Blood Seeker／血の求道者(ZEN)」　Ｃ

　ゼンディカーからは割と普通気味のクリーチャーが抜擢された。「縫合の僧侶」と比べたりしたら絶対に駄目。

 

「Brink of Disaster／災難の瀬戸際(WWK)」　Ｃ

　微妙なところから微妙なカードが再録。ワールドウェイクなんてめちゃめちゃ最近なわけだが、ちゃんと覚えている人がどれだけいるんだろうか。こんな面倒なものを再録するなら「汚れ(CHK)」でいいじゃねぇかと小一時間。

 

「Call to the Grave／墓への呼び声(SCG)」　Ｒ

　意外なところからの再録は、当時地味だったけど書いてあることは格好良い。今再びのゾンビデッキへ。

 

「Cemetery Reaper／墓地を刈り取るもの(M10)」　Ｒ

　Ｍ１０生まれのゾンビの王様。結構使いやすくて気に入ってたカードなんだけど、ゾンビの復権はあるかしらね。ファラオに期待？

 

「Child of Night／夜の子(M11)」　Ｃ

　毎回言ってますけど、ボクはこのカード結構好きなんですよ。2マナパワー２の絆魂って、充分優秀じゃん。

 

「Consume Spirit／魂の消耗(M10)」　Ｕ

　Ｍ１０で再録され、Ｍ１１では「堕落(M11)」に席を譲り、今回再びの復活。2枚のカードが交互に入れ替わる密約でも交わされているんだろうか。個人的にはダメージ可変のこちらの方が夢があるので好きだね。ビバ、アガディーム。

 

「Deathmark／死の印(M11)」　Ｕ

　やっぱり白に「ミラディンの十字軍」がいる限りは使われにくいか。タイタンが現役続行だから、その辺でニーズはあるかな。

 

「Diabolic Tutor／魔性の教示者(M11)」　Ｕ

　いつだって僕らはコンボスキー。パーツを探しに西へ東へ。でも4マナダブルシンボルはキツイキツイ。

 

「Disentomb／墓暴き(M11)」　Ｃ

　いつか「納墓／Entomb(ODY)」からの「墓暴き／Disentomb」という連繋をやってみたいが、やったところで特に意味は無いぞ。

 

「Distress／困窮(10ED)」　Ｃ

　神河生まれの名作ハンデスが10版に続いての再録。書いてあることは滅法強いのに、「脅迫(M11)」と比べられるのが不憫なところ。そうかー、「脅迫」落ちたかー。

 

「Doom Blade／破滅の刃(M11)」　Ｃ

　ブレード安定。「喉首狙い」なんて新人が調子に乗っているが、「先駆のゴーレム」を殺せるのはブレイド先生だけ！

 

「Grave Titan／墓所のタイタン(M11)」　Ｍ

　ヴァラクートが去ったあとは、タイタン界の王者はこいつってことになるのかな。

 

「Gravedigger／グレイブディガー(M11)」　Ｃ

　日本語で「墓穴を掘る」っていうけど、英語でも同じ意味で「Dig grave」っていうらしいよ。６へぇ。

 

「Mind Rot／精神腐敗(M11)」　Ｃ

　捨てればいいじゃない。「予言」が帰ってきたので改めて「カードアドバンテージとは何か」の説明で肩を並べられるな。

 

「Reassembling Skelton／組み直しの骸骨(M11)」　Ｕ

　何かすごいコンボがありそうな能力なのに、今のところ特に活躍のお知らせは聞きません。リミテッドだとめがっさウザいにょろ。

 

「Royal Assassin／凄腕の暗殺者(M11)」　Ｒ

　リミテ限定で鬼。本当に凄腕なんだろうか。

 

「Sengir Vampire／センギアの吸血鬼(10ED)」　Ｕ

　センギーの旦那も復活ですよ。しかも永遠のライバルであるセラ天に合わせて、今回は初心の戻ってアンコモン収録！　……落ちぶれたなぁ……

 

「Smallpox／小悪疫(TSP)」　Ｕ

　魅惑の「時のらせん」環境からは、地味な活躍をしたナイス悪役が復活。色々と使い甲斐のある、いいスペルだと思いますです。

 

「Sorin Markov/ソリン・マルコフ(ZEN)」　Ｍ

　黒は長年レギュラーを張ったリリアナ姉さんを退けて、この男が乱入した。ちなみに、トリプルシンボルのソリンになることで地味に黒が進める「単色化」を後押ししていたり。

 

「Sutured Ghoul／縫合グール(JDG)」　Ｒ

　エクテン世界ならコンボの王様だったナイスファッティ。リミテッドなら充分なパンチャーだし、復活したことでまたワンチャンスあるか？

 

「Warpath Ghoul／出征路のグール(M10)」　Ｃ

　Ｍ１１では種族シナジーを考慮して「男爵領の吸血鬼(M11)」だったのに、あ  っという間にゾンビに戻りました。もう吸血鬼の時代は終わったのだよ。

 

「Zombie Goliath／ゾンビの大巨人(M10)」　Ｃ

　こちらも「朽ちゆく軍団(M11)」からの入れ替わりで復活。こっちは入れ替わらないで欲しかったけどな！

 

「Zombie Infestation／ゾンビの横行(ODY)」　Ｕ

　これはドびっくり。「BENZO」などのデッキで一時代を築き上げた名作エンチャントがまさかの再録。オデッセイ時のようなディスカードシナジーこそ無いものの、その骨組みは色々と妄想をかき立てる。何かが起こる？　起こらない？

○新規カード

Bloodlord of Vaasgoth ヴァーズゴスの血王　(3)(B)(B)　Ｍ

クリーチャー・吸血鬼、戦士

３／３　飛行　狂喜(3)　

あなたが吸血鬼・呪文を唱えるたび、それは「狂喜(3)」を得る。

　「う゛ぁー！　すごーす、すごーす！　すっごーっす！」（ＣＶ：茅野愛衣）。謎の地名を冠した吸血鬼の王様である。狂喜能力で６／６フライヤーとして登場するだけなら単なる調子乗りでおしまいだが、自分が出た後も、後続の吸血鬼は全員調子に乗った状態で場に出てくる可能性がある。つまり、調子乗りの王である。でも、「吸血鬼の夜侯(M10)」に比べると面倒臭い上にあまり迫力がない。あんまりすごーすない。

 

Bloodrage Vampire　血怒りの吸血鬼  (2)(B)　Ｃ

クリーチャー・吸血鬼

３／１　狂喜(1)

　そういや、上で触れなかったけど今回は緑赤だけではなく黒にも狂喜能力が採用されている。ギルドパクト時代は野生と粗暴を旨とするグルールギルドの能力として規定されていたけど、相手の血を見て喜んじゃう能力は、確かに黒にフィットしているしね。というわけで、「血鱗のうろつく者(GPT)」の色変更クリーチャーである。ま、そこそこ。

 

Dark Favor 闇の好意　(1)(B)　Ｃ

エンチャント・オーラ

エンチャント(クリーチャー)

〜が戦場に出たとき、あなたは1点のライフを失う。

エンチャントされたクリーチャーは＋３／＋１の修正を受ける。

　「聖なる力」が「神聖なる好意」にチェンジしたのに合わせて、「邪悪な力」もリニューアル。白のエンチャントが１８７でライフゲイン出来るんだから、てっきりこっちは相手にライフルーズさせる仕様かと思ったのに、何故かルーズするのは自分である。確かにパワー修正３は強力だが、なんか納得いかん。一応、＋４／＋０の「一角獣の饗宴(6ED)」が4マナエンチャントだからつじつまは合うけど……なんだかなぁ。とまぁ、文句は言いつつも、リミテッドで＋３は結構ヤバい。下記の「貪る大群」あたりの回避能力持ちにはると、秒でゲームが終わるかもしれないぞ。

 

Devouring Swarm 貪る大群　(1)(B)(B)　Ｃ

クリーチャー・昆虫

２／１　飛行

クリーチャーを１体生け贄に捧げる：〜はターン終了時まで＋１／＋１の修正を受ける。

　黒名物の共食いクリーチャーの新作。これまでの基本セットでは「ナントゥーコの鞘虫(10ED)」「吸血鬼の貴族(M10)」なんかが収録されていたが、思い切って空を飛んでみたのがこいつだ。飛行能力があるおかげでそこまで無茶なパワーアップが出来なくなってしまったが、黒の3マナ飛行枠は「薄暮のインプ(10ED)」「ケリノアのコウモリ(M10)」あたりだったので、充分なパワーアップである。っていうか、ここまで書いて気づいたけどコレって「堕天使(8ED)」の縮小版か。誰だ、今「肉喰いインプ」と比べた奴は！

 

Drifting Shade 漂う影 (3)(B)　Ｃ

クリーチャー・シェイド

１／１　飛行

(B)：〜はターン終了時まで＋１／＋１の修正を受ける。

　毎度お馴染み黒のシェイド枠。今回は先輩である「夜翼の影(M11)」をスケールダウンさせたモデルで登場。軽くなったおかげで使いやすさが増してちょっと嬉しいけど、実は単なる「地下牢の影(STH)」の名義変更カードだというのは秘密だ（厳密にはクリーチャータイプが異なるが）。リミテッドでの飛行＋シェイドの強さは自明。今セットには憎き「放蕩紅蓮術士」がおらず、ティムられる心配も少ないので、黒単のメインアタッカーを務められるのではなかろうか。

 

Duskhunter Bat 薄暮狩りのコウモリ　(1)(B)　Ｃ

クリーチャー・コウモリ

１／１　飛行　狂喜(1)

　空飛ぶ狂喜。上手いこと1ターン目に先んじることが出来れば、そのまま2マナ２／２フライヤーという破格の設定でダメージを継続させ、次なる狂喜への地獄の連鎖を続けることが可能になる。デッキメイクの腕が試されるカードだ。一応、最初は素のままで出しても、２体目のこいつをキャストする布石にはなるので、期待を込めて何枚か入れておくのは面白いかもしれない。

 

Hideous Visage 忌まわしい容貌　(2)(B)　Ｃ

ソーサリー

あなたのコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで威嚇を得る。

　黒が希に持つ、全軍回避付与ソーサリー。懐かしいところでは「戦慄の葬送歌(ONS)」はリミテッドでしばしばゲームを決めていたし、「不敬の命令(LRW)」は構築レベルでもエンドカードとして活躍した。今回のこのカードはコモン。リミテッドでもしばしば飛んできそうなので注意が必要。ミラディン環境ばかりに慣れていると「威嚇ぅ？　大したもんじゃねぇだろ」とか思っちゃってひどい目に合う。

 

Monomania　偏執　(3)(B)(B)　Ｒ

ソーサリー

対象のプレイヤー1人は、手札を1枚だけ選び、それ以外の全ての手札を捨てる。

　なるほどそう来たか、と膝を打つ、新機軸のハンデス呪文。５マナハンデスは「遁走(7ED)」の３枚捨てが基準だが、このカードは状況に応じて０枚から６枚までの幅がある。ぶっちゃけると期待値的には３枚もいかない気がするし、「致命的な１枚」が抜けない時点でどうかという気もするのだが、ジェイスさんやらなんやら、手札を溜めてほくほく顔の人間がいたら、これで６枚ディスカードも無くはない。ただまぁ、その手のデッキが「マナ漏出」も「呪文貫き」も持ってない可能性がいかほどのものかは責任が持てないが。これレアかぁ。

 

Onyx Mage　縞瑪瑙の魔道士　(1)(B)　Ｕ

クリーチャー・人間、ウィザード

２／１

(1)(B)：対象の、あなたがコントロールするクリーチャー１体は、ターン終了時まで接死を得る。

　黒の「色名メイジ」は接死をつける。接死をつける黒のウィザードというと最近では「苦痛鍛冶」が記憶に新しく、はっきり言うと割と強い。他にも「残酷な詐欺師(CHK)」とか、リミテッドなら致死性のある能力はなんだって使いやすいんだ。当然、赤と組んでティム系と繋がれば必殺コンボである。ただ、この世界のティムは自分も爆撃するアホなゴブリンなので、あんまり期待は持たないこと。

 

Rune-Scarred Demon ルーン傷の悪魔 (5)(B)(B)　Ｒ

クリーチャー・デーモン

６／６　飛行

〜が戦場に出たとき、あなたのライブラリからカードを１枚探し、それを手札に加える。その後、あなたのライブラリを切り直す。

　今回は「ファッティ＋その色のスペル」っていう組み合わせがサイクルでも与えられているのだろうか。青のスフィンクスに続いて、こちらは７マナ６／６のナイスバディに「魔性の教示者」である。アドバンテージが稼げてでかいんだから、まぁ強いんだろうけど、なんだろうね、このついでな感じ。別にわざわざデッキに入れようっていう気にもならんのだよね。7マナ揃った後に更にサーチしたいカードって……うーむ。まぁ、リミテッドなら。基本セットの評価は大体この一言で片が付く。

 

Sorin’s Thirst ソリンの渇き　(B)(B)　Ｃ

インスタント

〜は対象のクリーチャー１体に２点のダメージを与え、あなたは２点のライフを得る。

　カワク〜カワクゾ〜！（ＣＶ：戸松遥）とソリンさんが訴えると何が起こるかというと、彼のプラス能力が発動するだけである。しかもプレイヤーが狙えずにクリーチャーだけで、いくらスタメン起用で浮かれているからって、ソリンさんサボりすぎである。でもまぁ、実はソーサリーからインスタントに格上げされた「不純な飢え(NEM)」なので、除去のレベルで言ったらかなり強い部類。リミテッドでは今後ともよろしくマルコフ。すげぇどうでもいいけど、ソリンの声って吹き替え版だと高確率で子安だよね。時点で森川。

 

Sorin’s Vengence　ソリンの復讐　(4)(B)(B)(B)　Ｒ

ソーサリー

〜は対象のプレイヤー1人に10点のダメージを与える。あなたは10点のライフを得る。

　ソリン関係のカードは、コモンがプラス技だったので、レアは擬似的に小マイナスを再現。１０点ぴったりにするスペルは「碑出告の第二の儀式(SOK)」と超コンボになってしまうという重大な理由のため（嘘）、ちょっと調整された「単なる」１０点火力になった。７マナでライフアドバンテージが２０点ってんだから効率だけで見たら充分であろう。２発撃てばゲームに勝てるんだし、それなら脇に「炬火のチャンドラ」とか「紅蓮術士の昇天」を置いておけばそれだけで勝てちゃうってことじゃん。ほら、夢がどんどん広がる。どうせならセットで「精神隷属器」も置いとくと、ソリンがいないのにソリン感が満喫できるぞ。ソリンがいたら……その時点でゲームに勝てるぞ。

 

Taste of Blood 血の味　(B)　Ｃ

ソーサリー

〜は対象のプレイヤーに１点のダメージを与え、あなたは１点のライフを得る。

　箸にも棒にもかからない穴埋めスペルには違いないが、「狂喜のトリガー」というその１点において仕事があるかもしれない。ただ、冷静に考えると、狂喜クリーチャーのうま味は「コストの割りにでかいこと」なわけで、このカードとマナを払って狂喜を満たすと、結局コストが重くなり、カードアドバンテージもロスしてしまう結果に。……地力でなんとかせい。イラストがやたら扇情的なのは加点要素だぞ！

 

Tormented Soul　苛まれし魂　(B)　Ｃ

クリーチャー・スピリット

１／１

〜はブロックされず、ブロックできない。

　シンプルイズベスト。黒が珍しく手に入れた純正アンブロッカブルクリーチャーだ。何が素晴らしいって、黒にはたくさんの狂喜能力持ちがいるということ。チクチクと１点与えるだけでも狂喜条件は達成されるわけで、こいつを基点に、普段よりもワンサイズ大きな血に飢えた吸血鬼軍団が堪能出来るというわけだ。ついでに「闇の好意」もセットでどうぞ。

 

Vampire Outcasts 吸血鬼ののけ者　(2)(B)(B)　Ｕ

クリーチャー・吸血鬼

２／２　狂喜(2)　絆魂

　彼がのけ者にされたのは何故なのかよく分からないが、狂喜に失敗するとタフネスが１上がってコストが倍の「夜の子」。話にならないレベル。そして条件を満たせば、なんと４／４絆魂。エースである。他の狂喜クリーチャーは素の状態でもそこそこの仕事はするが、ここまで極端だとデッキの調整にも力が入る。もう、「血の味」でもなんでもいいから、とにかく相手本体を狙い撃つスタイルを徹底する必要があるだろう。是非とも成功させて、のけ者ライフからおさらばしたいものである。

 

Vengeful Pharaoh 復讐に燃えたファラオ　(2)(B)(B)(B)　Ｒ

クリーチャー・ゾンビ

５／４　接死

あなたか、あなたのコントロールするプレインズウォーカーに戦闘ダメージが与えられるたび、〜があなたの墓地にあるならば、対象の攻撃クリーチャー１体を破壊し、その後〜をあなたのライブラリの一番上に置く。

　死してなお墓から相手にクレームを付けにくる、生粋のクレーマー体質。墓地から悪さをするのはいかにも黒らしい能力で、しかもそのまま自分の復活に繋げるあたり、「てめぇ、調子のってんじゃねぇぞオラァ！」と墓地から飛び出してくるおっさんの躍動感溢れるアクションがイメージ出来てなんだか楽しい。相手からしたら殺した時点で「懲罰(JDG)」を１枚渡していることになるわけで、出来たら放っておきたいけど５／４接死ってちょっとでかすぎるという、なかなか嫌らしい設定である。ただし、墓地にいる時点で殴られると自動トリガーし、勝手にライブラリに戻ってきちゃうのは注意が必要。相手が再生クリーチャーだったりした場合、望んでもいないのに延々こいつがライブラリに登ってきてドローが阻害されたりすると結構邪魔だ（まぁ、キャストしなきゃいいんだけど）。また、あくまで対象にとった際に帰還する能力なので、殴ってくるのが「ミラディンの十字軍」や「饗宴と飢餓の剣」だけだったりすると棺桶に転がりっぱなしだ。構築で使われるかどうかはやや微妙だが、青でルーターを絡ませたり、墓地を掘り進む系のデッキならそこそこ面白い動きは見せてくれそうである。

 

Wring Flesh 肉体のねじ切り　(B)　Ｃ

インスタント

対象のクリーチャー１体は、ターン終了時まで−３／−１の修正を受ける。

　コストあたりの効果でいえば結構なもの。タフネス修正が１しかないのでこれ１枚でデストローイってわけにはいかないが、コンバットと組み合わせれば何とかなるレベルだし、「破滅の刃」あたりの定番除去を警戒している相手に１マナだけ見せて返り討ちにすると、きっとたいそう悔しがってくれるに違いない。ま、穴埋めには違いないけどな……同じコストに４ライフを払うと−５修正が与えられるわけで、とんでもない時代になったものである。