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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ガッチャマンクラウズ」 5→5

 日テレプラスではようやく先週末に放送が終了したので、中途半端なこの時期の番組感想である。

 関東圏から遅れての放送ってことで、読売系にお約束のタイムラグ視聴。おかげで世間では評価が色んなところから漏れ聞こえてくるもんだから、フラットな視点で観るのがすげぇ大変だった。何しろ「終了後に監督が土下座した」なんて話まで流れ込んでくるのだから、そりゃ諸々の色眼鏡で観てしまうのは仕方ないところでしょう。ただ、そうした先入観がむしろプラスに働いたのか、終わってみても特に大きな不満はない。そりゃね、どんながっかりが待ってるのかとハラハラしながら観てたら、この程度の幕引きは別に大した問題じゃないと思えるよね。まー、確かに色々と消化不良だし、後半の構成はかなりがちゃがちゃしてたけども……総集編を大量にぶっ込んだガルパンが絶賛されてるんだから、このくらいは許してあげようよ。今後改めてやり尽くしたものを製作し直せばいいのではなかろうか。

 さて、そんなラストの消化不良感は「まぁ、気になるけど仕方ないよね」レベルで済んだ。それ以外の面については、割とよくまとまっていた作品だったのではないかと思う。まず、中村健治の真骨頂とも言える映像面についてはほぼ文句なしだろう。でたらめなカラーリングの世界で、何が起こっているか分からない見づらい何かが展開していく。「つり球」の時には本当に訳が分からなくなるだけの演出だったが、今回はガッチャマンが活躍するのが別次元であり、クラウズによる「大衆の意志」の可視化という大きな命題があったので、この独特の画面構成は非常にマッチしていた。配置としては1つ前の作品である「C」に近いだろう。飄々とした敵キャラであるカッツェの造形も非常に面白く、宮野真守の好演にも助けられ、「何が正義で何が悪か」を問い続けるテーマ性も面白くドラマ化されていた。

 今作最大の特徴は、タイトルにもなっているクラウズ(群衆)であり、正義のヒーローがただ恰好よく敵と戦うだけの「ガッチャマン」ではない。ガッチャマンはあくまでも民衆の意志を受け、それを清濁併せのむための1つの機構であり、決して完全無欠のヒーローではない。それに対してカッツェは純粋悪として描かれるわけだが、こちらも自ら町を破壊して回ったりはせず、あくまでクラウズを経由して民衆を煽るだけで、いわばネット世界での「善とみなされるもの」と「悪とみなされるもの」が戦い続けることが「バトル」となっている。もちろん、ガッチャマンに変身する人間とてその例外ではなく、丈やうつつ、パイマンに至るまで、人間(?)としての弱さを持ちながらも、回りの人間との繋がりの中で変わっていくことをメインテーマとして掲げているのだ。

 ただ、唯一例外として存在しているのが、主人公であるはじめだった。実は、最初この作品は受け入れにくいと感じていたのだが、それは徹頭徹尾「はじめが怖い」からである。何しろ、アホな子かと思っていたら案外そうでもなく、どこまで言っても弱さを1つも見せない。彼女の行いが全て「善行」とみなされることは11話の回想でも明らかであり、「完全無欠のヒーローはいない」と書いたが、実際のところ、はじめは完全無欠のヒーローである。その完全さは、古き良きヒーローのそれすら超越しており、往々にしてある「主人公が悩むパート」すら与えられず、ただひたすら底の知れない「はじめイズム」を貫き通して、全てをぶち破っていった。このはじめの異質さというのは、結局最後まで解消されることはなかったわけだが、途中で「そうか、これがこの作品におけるヒロイズムなのか」と気付いたときに多少楽にはなった。普通ならば屈強な男性が受け持つであろう「完全無欠のヒーロー」像を、この作品では何の前触れもなく、天真爛漫な女子高生が受け持っている。たとえるなら、ルフィがどこまで言っても馬鹿で、強いことに近いかもしれない。彼女がやることは全て正しく、彼女がやれば全て解決する。そうした超越性を「既にあるもの」として受け入れられるかどうかで、今作の筋立ての評価も変わってくるのではないだろうか。

 私の場合には、「そこそこ受け入れた」というぐらいだったと思う。確かに、群衆を左右するネット世界という非常にあやふやなものを取り扱い、カッツェという純粋悪を相手にするのだから、対峙するガッチャマンにも「純粋正義」が必要なのだ。そして、純粋悪と同様に、「純粋正義」も、理屈で説明が付けられるものではない。はじめが何故正しいのかといえば、それは一ノ瀬はじめだからだ、としか言えないのである。この構図は、「クラウズ」の本質を描くためには欠かすことの出来ないものであり、はじめという怪物が何の断りも無しに産みだされたことは、必要なことであったのだ。まぁ、その部分もきちんと直感的に受け入れられるように描くことが出来ればより良かったのは間違いないのだが。

 主人公はじめの異質さと、それを収めきれなかった最後のシナリオの甘さ。気になる点を挙げていくときりが無くなってくる作品ではあるが、繰り返しになるが、決して悪いものではない。「不可視のものを描く」という目的は「C」の時よりも前進して分かりやすく描写されていたと思うし、純粋にアニメーションとしての楽しさは高品質だった。是非とも中村監督には土下座した頭をさっさと上げてもらって、決定している2期に注力してほしいものである。

 最後は中の人の話。今作で一番気になった名前は、OD役の細見大輔さんという方。観ていても「初めて見る名前だなぁ、割と面白いなぁ」と思っていたのだが、なんと、「C」の三國役の人だったのかよ。全然気付かなかった。ギリギリまで単なるオカマ(裏があるのは分かる)で引っ張り、クライマックスでガッツリと男前な部分を見せたODの存在感はかなり楽しめた。舞台中心の役者さんみたいだが、こういうところから男性声優の選択肢が増えるのは嬉しいところ。あとはまぁ、やっぱり内田真礼かなぁ。「はじめは怪物である」と書いたわけだが、その薄ら寒さを助長させたのは内田真礼の何もかも飲み込んでしまうような演技プランによるものだろう。どこまで意識して一ノ瀬はじめを作っていたのかは定かじゃないが、狙ってこれが出来ていたのなら、末恐ろしい存在である。

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