「リトルバスターズ!〜Refrain〜」 4→3
やっぱり無理だった。予想通りではあるのだが、残念至極。今回は無事にゴールにたどり着いたおかげで目指しているところは理解出来たつもりだが、それだけに、ちぐはぐなデザインにはどう接していいのか分からないことばかりである。意図は理解出来るが、意義は見出せない。アニメーションとしても目を引く部分は無いしなぁ。
物語内部の問題点を大きく2つピックアップすると、1つは1期目の時にも不満だった「恭介の絶対性の不備」である。初期のころから、「なんでこの主人公はこんな変人をここまで信用出来るのだろう」と訝しみ、彼に心酔している仲間連中を気味悪く思ったものだが、今作では、そんな恭介の特殊性が物語の根幹を成していたことが分かる。「彼の特殊さを描く物語」ではなく、「彼が特殊だからこそ生まれた物語」であることが分かるわけだ。だとするなら、やはり彼の存在があまりに唐突過ぎるし、希薄すぎる。シリーズ大半を成した「終わらない1学期」は、恭介の信念により産みだされたものであるが、何故彼は神のような特殊性を手に入れることができたのか。そこはまぁ、「死に瀕して奇跡的に」と言ってしまえばいい部分ではあるのだが(だとすると最終話の展開はあってはならないが)、少なくとも1期の終了時点において、彼が「そこまでする理由」「そこまで出来る理由」は描かれていなかっただろう。2期に入ってからは「そこまでする理由」は何とか説明をつけようとしていたものの、「そこまで出来る理由」に共感は得られず、しょせん同じ高校生のくせに完全に上から目線でリキをいじり回す恭介を見ていると、「何様だよ」が先んじてしまう。
そして第2点は、そんな恭介の寵愛を受け、メンバー全員から守られた「リキ自身の絶対性の不備」である。鈴と一緒に、たまたま2人だけの生存者となった、そこまでは偶然の産物なので文句は無い。しかし、その状態になったところで、何故他の面々は「死ねないほどに」リキを思わなければならなかったのか。そこまで頼りない男であるなら、あれだけの連中の眼を集め、心を集めるには役者不足であろう。それが友情なのだと言われればそれまでだが、そうなればやはり事前の描写は足りていない。そして、1期で「仲間集め」に奔走し、外へ外へと物語を開こうとしていた意味も分からない。もっともっと密な集団であることが伝わってくれば、今回の「奇跡」も説得力が出たのに、何故かやっていたことはなんちゃって野球である。まだるっこしいことをやるのではなく、さっさと現実世界に戻して、打ちのめされた中でも生きていかなければいけない試練と闘わせる方が、よほど有意義な時間の使い方だろう。どこまでも「駄目な奴」呼ばわりされて遠回しな援助ばかりされているリキを見ていると、どんどんみっともなく思えてくるし、恭介たちのやっていることは「余計なお世話」に見えてしまうのである。
もちろん、これら全ては「1期で入り込めなかった」人間の感想なので、違う視点から見ればまた別な物語が見えてくるのだろう(感動モノのドラマなんて、えてしてそんなものだ)。しかし、上で挙げたような問題点が描写不足によるものだとするならば、アニメの構成はやはり失敗だったと言わざるをえない。全てが収束する「大きな外枠」がある物語なのだから、せめて、その枠が見えるカタルシスを得るためにも、物語は一続きで一気にやってしまわなければならなかった。わずかとはいえ、間にインターバルを置いてしまっては、せっかく1期2クールで積み上げたものも希薄になることは避けられなかっただろう。また、不必要な「ネタバレ」を気にしての配慮だったのかもしれないが(そして、ゲームとしてプレイするなら、プレイヤーの自由意志で物語を広げられるのでそれでもいいが)、クライマックスに至るまでの「重要な要素」はもう少し明らかにし、量を増やしておくべきであった。ゲームで馴染める世界と、アニメのみで入り込む世界では密度が違い過ぎる。わずかな時間で筋立てだけを追っていたアニメ視聴者には、今作の本質は「驚き」や「感動」ではなく「どないやねん」である。
まー、考えてみれば、わたしゃ「Angel Beats!」も嫌いだったんだよな……なんか、この脚本家の書く「別世界」の使い方って、いちいち間違ってる気がする。
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