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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 第1試合、決着、第24話。長きに渡るこの作品であったが、ようやく1つ目の結論が出た。1つ目の結び目がほどければ、後は芋づる式に解決を待つばかりだ。

 この作品の見事なところは、舞台背景がメインテーマとがっちり噛み合って、何が起こっても、どこにあっても、必ずそこには「海と地上」「隔たった時間」が関わってくるということ。1つ1つの恋愛模様は単に男と女の間の話に見えるが、その根底には、この作品でしか起こりえない独自の心的要因が働いているのである。今回、1つ目の決着の皮切りとなったのは、前回大きく動いたちさき・紡間の関係である。汐鹿生にたどり着いた紡は、結果的には(この時代の中では)5人の中で一番はじめに「動いた」ことになる。はっきりとちさきに向けて自分の気持ちを打ち明けると同時に、それに対する答えを要求した。「ちさきの気持ちは自分に向いていたと思うんだけど、違う?」ってのもどんだけ自信のある告白シーンだよ、とは思ったが、愚直で考えてることをそのまま口に出す紡らしい切り出し方ではあると思う。この台詞から分かることは、「紡はちさきが気になった」「ちさきも多分自分のことを思っていると推察出来た」という2つの要因が揃っていたが、その時点では紡が実際には動かなかったということ。じいちゃんのこととか、世界が緩やかにヤバくなったことなんかも行動を見送った理由にはなるかもしれないが、やはり、ちさきの心情を慮った結果、自分だけが動いてしまうのは早計だと配慮したのだろう。今回このタイミングで切り出したのは、まなかの件で「動かなければ」という義務感に駆られたこと、そして要のことを考えた時に、自分が黙して動かないことが卑怯であると考えたことなどが理由だったのではないだろうか。

 紡の告白の結果は、何とちさきの拒否で一旦決着する。しかし、この告白の目的は「合意」ではなく「陽動」と言った方がしっくり来るようなものであり、紡にはっきりと答えを迫られたことで、ちさきは自己に内在するどうしようもない束縛と向き合わなければならなくなった。紡が言うように「気持ちが彼に向いている」ことは、誰が見たって事実なのだ。ちさきもそれを理解しているが、最後の最後で認めきれずにいる。それが、今回彼女が要に向かって吐露した「歪んだ義務感」である。正直、何ともいびつで、滑稽な義務感ではあると思う。お船引が行われる直前の校舎で、光がまなかに告白し、そのどさくさでちさきが光に告白。その直後に、あの事件があって5人の時間がズレたまま止まってしまった。「四人衆」の中で一人だけ時間を進めてしまったことが彼女の中で大きな負い目となっていたことはここ数話で何度も描かれたことであり、どれだけ仲間達に「変わっていない」と太鼓判を押されたとしても、彼女はずっと「変わってはいけない」「変わってなどいない」と自分の言い聞かせ続けていたのである。その端的な表れが、「光を好きだという気持ちを維持し続けなければならない」という自縄自縛である。

 本来ならば、自分の本音と相容れない気持ち(正確には、光を好きなのも事実だろうから「優先度が下がった気持ち」というべきか)を持ち続ける義理など無い。確かに1人だけ時間を進めてしまい「変わってしまったこと」は悲しいのかもしれないが、それを非難するような仲間でもあるまい。しかし厄介なのは、まなかが「好きという気持ち」を喪失したこと。おそらくだが、ちさきの中では、「まなかと2人で光を取り合ってしまった」という呵責を解決しないことには、時代が進まなかったのだ。あの時代に自分が持っていた気持ちは最大限の「罪」として認識されており、3人が時を止めたことで、その「罪」は解消されず、むしろ凝り固まって動かせなくなった。挙げ句、今回の事件でライバルだったはずのまなかの「好き」が凍結され、どうあがいても解決出来ないという八方ふさがりの状態になったのだ。ずっと仲間達だけを見て、自分の気持ちを後回しにし続けていたちさきは、そのような状態で、「光を好きだった気持ち」だけを放棄して「先に行く」ことなど出来ないのである。

 この「ちさきの望まざる思考停止」を動かすために、2人の男がそれぞれに立ち上がる。まず、紡はなんとか「ちさきの回りの時間」を動かすために、積極的にまなか問題の解決に乗り出す。海中で感じたかすかな感覚「デトリタス」を手がかりに、新時代のお船引きを企画立案する。5年前のお船引が「光が立案した、世界のためにイベント」だったのに対し、今回は「紡が立案した、まなかだけのためのイベント」であるのは興味深い。海神様のうろこであるはずのうろこ様の前で「海神を勘違いさせられれば……」とか言っちゃうのはどうなんだろ、と思うけど、海神自身の意志がうろこ様も与り知らぬものであることは事前に本人が言ってたしな。急ピッチで進められる新たなお船引は、光たちが「外へ出て行った者たち」との旧交を温めて新しい時間を刻むのにも一役買ったし、「あのとき」を追体験し、刺激を与えることで、ただ1点だけ止まってしまったちさきの時間を動かす効果も期待出来る。やはり、積極的に動いているときの紡は本当に強い。未だに、彼が「間違った行動」を取ったことって一度もないんだよなぁ。

 そして、もう1人が今回の主役、「永遠の蚊帳の外」こと要さんである。消沈したちさきを見て「紡のこと?」とド直球で攻め、更に「僕で良かったら聞くよ」というサンドバッグ状態。一応「僕の気持ちなんて気にしなくて良いから」という、どう考えても「気にしてよアピール」にしか聞こえないようなフォローもしているのだが、悲しいかな、ちさきにとっての要は本当に恋愛ごとでは「蚊帳の外」。要に対して残酷な事だと分かってはいるのだろうが、彼女は「昔からの友人」に対して本心をボロボロとこぼし続ける。暗がりに座り込むちさきと、夕日を浴びながらも、背を向けているせいでずっと顔が暗い要の対比が痛々しい。そして、ちさきの「義務感」を全て受け止めて、いくらかでも彼女のためになったことで、要は少しだけ満足するのだ。

 結局、今回要がちさきと接触できたのはこのシーンだけである。どこまで言っても「蚊帳の外」。ちさきの気持ちは現在(紡)と過去(光)で苛まれているのであって、そのどこにも要の居場所がない。完全な「やられ損」のスタンスであるが、持って生まれた性分なのだろう、常にポーズを維持し続ける痛々しい男に、ようやく救いの手がさしのべられた。前回「告白する」とはっきり決心したさゆちゃんは、持ち前の強さでもって、こわれかけの要の外面をついに打ち砕くことに成功した。踏切越しの告白は、5年の時を経た「車越しの再会」と重なる、2人の距離感を表すシーン。思いの丈を全てぶつけて要を叩き、鼓舞するさゆ。二人の間を走り去った電車は、これまで2人が抱えてきた悔しさや、外面の良さ、それ故の悲しさを全て持ち去るイメージだろうか。要の本心はもう隠す必要も無くなり、一人だけ拠り所が無かったこと、帰ってきたのに「自分がどこにもいなかった」ことへの寂しさが吐露された。そして、さゆにはそれを全て受け止める準備があった。OK、ここがゴールだ。さゆちゃんの真っ直ぐな告白は、これまでの頑張りが全て報われるだけの価値がある素晴らしいものだったし、要も、ようやくここで救いを得てもいいだろう、と思えるくらいには男前だったのである。きっと彼のことだし、ちさきを前にしてもいつも通りの軽さで「もう大丈夫」ということが出来るだろう。長きに渡る戦いの「1つ目のゴール」に幸あれ。

 さて、残るマッチは主に3つ。次に解決されるべきは「紡・ちさき」だろうか。そして最後の大一番「光・まなか」「光・美海」。これまでの美海の献身は凄まじく、今回はそれが報われるのではないか、と思わせるようなシーンまで挟まれた。最後まで予断を許さない状態だ。だが、光の想いはやはりまなかにあり、まなかの献身も、それを負うだけの価値があるものだった。どっちに片付いても切なくなりそうで辛いなぁ。ちなみに、本作の失恋第1号は実はまなかにフラれてふくれ面になった晃君だったんじゃないかって気もする。残念ながら晃君だけは今のところもらい手がないなぁ……晃のアキラは、諦めないのアキラだよ! ……お母さん、それ「諦めるのアキラ」でもいいんじゃないですかね。

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