○「ノーゲーム・ノーライフ」 5
このタイトルって、どう考えても略称は「ノゲイラ」だよね。いや、実際どうなのかは知らんけども。
ゲームが全てというゲーム脳な世界を描いたラノベ。多分作者はJOJOのダービー戦とかを見て「ゲームで恰好よく勝つお話」を作りたくなったんだろう(すげぇ勝手な決めつけ)。もちろんカイジしかりLIAR GAMEしかり、オリジナルゲームで戦っていく物語ってのは独特な面白さがあるものだが、さて、このラノベにそういった要素をどれくらい期待したものだろうか。脚本面についてはさっぱり分からないので、「まぁ、良い物が出てくるといいね」とお願いするしかない。少なくとも1話の時点ではチェスに勝った理由とかポーカーの具体的なアクションとかは一切描かれていないので、主人公兄妹のどの辺が「すげぇ」のかはよく分かっていない。そもそも格ゲーで勝てる人間がチェスでもポーカーでも強いっていうのがよく分からんのだが、単なる「天才」っていう設定なんだろうか。まぁ、ラノベ世界の無敵設定は良くあることだからね……単に「強いから強い」はフィジカル面ならばそれでいいのだが、ことがゲームになって「賢さ」が問われると具体的な描写をしなきゃいけないのでものすごくシナリオ生成が大変である。いや、承太郎みたいな勝ち方を続けるんだったら別にいいんだけどさ。流石にそれだけで話が盛り上がるとは思えないしなぁ。何が不安かっていうと、1話目の時点でシナリオ展開が怪しかったから。いや、別にゲーム世界に飛び込むのはいいんだけどさ、どう考えても「略奪や殺傷が出来ない世界」が構築されてるのにそこに「盗賊」がいるのはおかしいじゃない。存在意義が無いんだから。そういうところで「世界をイメージする」という部分がなんか不安。
とはいえ、1話の印象は決して悪くない。監督は「さくら荘」のいしづかあつこ。「さくら荘」のあの妙な色彩感覚はスタジオや原作によるものだと思っていたのだが、どうやらこの監督のオリジナリティらしい。今作も微妙におかしなカラーリングになっているわけだが、さくら荘と違って「異界」を描くものなので、これは違和感がプラスになっている事例。元々「ゲーム」というどこまでもロジカルで無機質なものと、「人心」というファジーで有機的なものを結びつけるキャラ設定(空と白)になっているし、その中間を占める「なんだか分からない世界」は「なんだか分からない見え方」の方が面白い。あと、妹ちゃんが可愛い(重要)。最近のラノベ妹業界なんて「ツンデレだから兄貴を罵る」パターンと、「兄好きだからベタベタしてくるけど兄の方が朴念仁なので避ける」パターンしかないが、今作の兄妹は相思相愛でベタベタだ。これは、いいものだ。妹ちゃんの声もいいしな。この世界も声がいいな。日笠の役が普段とちょっと違ってるのも新鮮。
あとはここから「知略」の方を押し出してくるのか、あくまでもゲームは雰囲気を出すだけのものであって、そこでの主義信条の戦いになっていくのか、というところが勝負の分かれ目か。後者の場合は最終的に「問題児が異世界から来た」だけになってしまうので、出来ることなら「ゲーム」要素に突っ込んで欲しいところだが、「知略」で面白いものを書くのは至難の技。さぁ、どうなる。
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