見てきました。見たかったのよ。「UN-GO 因果論」で学習したけど、普通に自宅のテレビで観られるアニメをスクリーンで観るのはとても良いものだ。特にガルパンなんてCGメインのゴリゴリの戦車戦が売り(の1つ)やからね。わずか30分ちょいの作品ではあるが、充分1200円の価値はあるで。っつうか、もう1回観ろって言われたら喜んで観るで。OVA買うのもいいけど、やっぱりこれは劇場で観たいな。
というわけで、あの伝説のアンツィオ戦の新作映像である。「敵が雑魚臭い」「勝敗があり得ないくらい分かりきっている」「っつうか最後の勝利シーンまで確定している」「決勝とかじゃなくて中途半端な試合である」と、本当なら盛り上がる理由なんてないはずのセッティングなのだが、それでもここまでのものが出てくる恐ろしさ。久しぶりに観て思い出したが、このアニメは、本当に「ガールズ」で「パンツァー」が見どころの作品なのである。もう、限られた尺の中にサービスしかない。とにかくやりたいこと、視聴者が見たいと思っているものがぎっちぎちに詰め込まれている。ほんと、水島努というのは卑怯なくらいにサービスというものを分かっている男である。そして、視聴後に満足感で充ち満ちながら「今回もコンテは監督なんやろな」と思って流れたスタッフロールには、「絵コンテ カトキハジメ」という謎の文字列が。うっかり劇場で「ふぁっ!?」って変な声出たわ。まさかこんなところで名前を見ることがあろうとは……まぁ、とにかくすげぇんだって。放送版最終話の姉妹対決のシーンも凄まじかったが、今回はあれと同じクオリティが倍以上の時間続くと言っても問題無いレベルだ。「戦車どうしが直接ぶつかり合う」までは前にもやったことがあるが、「正面から激突しあってゼロ距離射撃の連打、カウンターの打ち合い」なんて、一体どこの戦争映画でやるものか。戦車でガン=カタやろうなんてキチガイの所業ですよ。やだもー。
その他にも、アンツィオの戦車はやたらに小兵揃いという「事前情報で雑魚要素でしかない部分」を上手く戦術に取り入れており、これまで大洗が戦ってきた数々の強豪とは全く別方向から試合を盛り上げる要素を多数組み込んでいるのも見どころ。「小さなおつむと、それを補うノリと勢い」がモットーのアンツィオは、本当に自分たちの思う通りの戦車道を貫いており、西住殿からしたら大した試合ではなかったのかもしれないが、視聴者は充分に手に汗握るものになっていた。大洗もこの試合があったからこそ、優勝まで繋がったのだろうなぁ。
今回の映画の最大の見どころを一言で表せば、そりゃもうやっぱり「アンツィオ」の一言。この映画を観れば、ほぼ間違いなくアンツィオファンになってしまうことだろう。それくらいに彼女たちは魅力的。「明るい馬鹿」はこうも楽しいものかと改めて感心させられる。その上でちゃんと「小さなおつむ」も動いているし、何よりもアンチョビさんがすごくいい人。人柄も、ノリも、立ち位置も。サポートに回るカルパッチョさんの友情物語も綺麗にサイドストーリーとして機能するし、アンツィオの校風を下支えした名将ペパロニさんの大活躍も印象深い。このアニメの凄いところNo.1、「ガールズ」の真骨頂である。また、大洗側も今回はアンコウさんチームは主に日常パートのいちゃいちゃに特化しており、バトルシーンなども含めた全体では割と抑えめの演出になっている。そりゃ本編で充分に描かれていたわけで、今回は沙織さんがちょいと女子力を発揮して豪勢なイタリアンを作るだけでも彼女たちは充分輝いている。それ以外の面々、特に今回はなんといってもイタリア戦ってことで、カエサル殿が大活躍していたのがいい設定。こうしてサブキャラの1人1人にも全てドラマを設けてキャラ立ちをサポートしてくれるからこその「萌えアニメ」である。一人黙々と装填の練習を続けるカエサルさんが恰好良すぎるわ。
よくもまぁ、ここまで周到なものを堂々とOVAとして作れるものである。「すぐに発売されるOVAを劇場公開ってどうやねん」と思ったが、これは立派に商品として成立している。これ、他作品も同じクオリティでやれるなら追随すべき販売作戦であるな(上映会をやってるところはいくつかあるけど、全国上映ってのはなかなか無かっただろう)。とりあえず、みんなイタリア兵大好き。「トスカーナうどん」が食べてみたい。なるほど、「ヘタリア」が売れた理由はこれだったのか……。(多分違う)
あ、ちなみにもらった入場特典のフィルムは大写しの西住殿でした。主人公が映ってても大当たりと言いにくいあたりがこの作品の難しい所だな……
PR