最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
封切り日に見に行くパティーン。基本的に出不精なのであんまりこういうことはないんだけど、たまたま金曜日は都合がいいってのと、あとやっぱり期待感が高かったってことでね。過去に封切り日に見に行った作品って「まどマギ(前編)」と「いろは」だけですわ。 ネタバレ含みになるので詳細は後述するが、率直な感想は「俺の期待したPSYCHO-PASSとはちょっと違った」というものです。是か非かで言ったら余裕で是になるだけの内容はあるのだが、1期2期と見続けて溜まっていた「PSYCHO-PASS欲」を満たす作品ってのはこういう方向ではなかったので、そこはちょっと残念。優良可で言えば良どまりかな。大事なことなので先にパンフレットの監督インタビューから抜き書きしておくとこういうことなんです。 「雛河と須郷は惜しまれるね。(中略)雛河、須郷を期待してきた人にとっては『劇場版』はすごい肩すかしになってしまう」 畜生! その期待してた人なんだよ! 雛河なんもないんかい!
<以下、ネタバレ含みになるので一応閲覧注意です>
さて、具体的に何が良くて何か気に入らなかったかを書いていこう。まず「劇場版クオリティ」ってことで、アクション映画としてこの作品を見ればほぼ満点の出来だったと思う。そりゃI.G.が作るムービーですので、お手の物のメカCGに加え、画面を大きく使う「劇場用の演出」も手慣れたもの。今回は舞台の殆どが東南アジアの某国であり、独特のオリエンタルイメージが実に良いアクセントになっており、宗教遺跡の何とも言えない不可解さと、同時に生活に密着し、人々の暮らしの中にすっかり馴染んでしまっている近しさが同居する。この描き込みの細やかさ、そして温度や匂いまで伝わってきそうなリアリティは、文句無く「劇場で見るべき」ものであろう。アクションの大きさにしても、単なるメカドンパチだけでなく、銃火器を手にした野郎共の大立ち回りは馬鹿馬鹿しいまでに賑やかで、うっかり映倫審査で引っかかっちゃうようなあけすけな描写もこの作品には最適のレベル。一番の見どころは、いくつものマッチメイクがなされた徒手空拳でのぶつかりあいのシーンで、1期同様にスタッフロールには「日本プンチャク・シラット協会」の名前が出てくるのが力の入れようを物語っている。独特の動きの中にも映画ならではのけれん味に溢れており、単なる近接戦闘技術のくせに、銃を握り合ったガンカタの演舞としても見映えがする。この辺りは、おそらく虚淵やら実写映画をメインとするスタッフ陣が力を入れたおかげで出来上がった功績だろう。 こうして完成した画面そのものに文句のつけようはないのだが、個人的に唯一にして最大の不満点は、「PSYCHO-PASSで描いて欲しかったのはそういう方向性じゃない」というところである。劇場作品では見映えの良さも優先されるからどうしてもこういう方向に流れてしまうのは仕方ないのだが、PSYCHO-PASSの世界ってのは、シビュラという「名前の無い怪物」と対峙して、正義の在り方を探り続ける絶対に終わらない戦いのもどかしさ、不気味さがメインになっていると思う。1期の槙島事件、2期の鹿矛囲事件ともに、一応朱ちゃんは生き残って「勝って」はいるものの、彼女の働きでシビュラ自体はびくともしていないし、シビュラの望む通りにことが進んでいる。そういう部分で、「目に見えない巨大システムとの戦い」を描くっていうSF感バリバリの壮大さが好きだったのだ。 しかし、本作の場合にはそうした部分での新規性に乏しい。分かりやすく言えば、敵役がショボいのである。シビュラの持ち味である「もう1つの正義、人智を越えた社会秩序」という部分が今回のシナリオからは大きくそぎ落とされている。シーアンでも一応「シビュラを振りかざす悪役との対決」という形をとってはいるが、連中はサイマティックスキャンそのものを回避してしまっており、運用しているシステムはシビュラでもなんでもない、単なる独裁政治システムだ。だからこそそれに対峙していた狡噛は何も悩む必要が無く、シーアン国内だけに限定すれば、単なる勧善懲悪のよくあるミリタリーバトルアニメになってしまっているのである。もちろん、そんな簡単な話だけで終わらないように最終的にはシビュラさんの悪だくみが判明し、いつものように苦々しい顔をした朱ちゃんとの談判の末の「やっぱりシビュラの掌の上」という結末にはなっているのだが、どうしても最後の展開はとってつけた感が否めないし、そこにいたるまでの「単なるドンパチ」が長すぎるために、いつものようなシビュラの超越感が感じられないのである。そこが、個人的には一番残念なところであった。 もちろん、脚本家だってこれまでずっとこのPSYCHO-PASSの世界と付き合ってきた面々であるので、決して世界を投げ出したわけではない。1つの物語の中ではそこまで大きな齟齬はないようにまとめられてはいる。最後の朱ちゃんとシビュラの直談判でのやりとりでは「何故このような真似をして海外進出を目論んだのだ」という問いに対し、「『最大人員の最大幸福』は解釈次第である」という返答をしている。確かに、これまでテレビシリーズで描かれてきた「シビュラの世界」は日本国内に限ったものであって、シビュラの統治がそこで終わる保証など何一つ無かったのだし、2期では鹿矛囲が海外からの密入国者をフル活用して揺さぶりをかけに来たこともあり、シビュラにとって「国外の統治」もいつかは成すべき大望であったことは暗に示されている。シビュラがとった選択には筋が通っている。ただ、それを受け入れたシーアン政府側への処置がいささかご都合主義ではある。そりゃま、全部シビュラの都合のいいように調整したものだったのだからやりたい放題だろうが、「サイマティックスキャンのシステムだけを海外に提供し、その判断自体は日本国内で行う。ドミネーターなどの貸与もなし」って、無茶苦茶だよね。シビュラの本質ってのは司法と行政を同時になし得る「完全合一」が売りであって、「満たされ、幸福が約束される」からこそ意味をなすものだ。突然判断基準だけを与えられても、軋轢の方が多くなることなんて火を見るより明らかだろう。その分シーアン政府には首輪による振り分けシステムが与えられているのだが、あの首輪って「潜在犯」の存在を全否定してる代物なんだよ。犯罪係数が上がったらアウトっていう時点で執行官の存在があり得なくなってしまうし、ものすごく単純で幼稚な二元論にしかならないのだし。まー、そのあたりの不自然さもひょっとしたら伏線だったと言えるのかもしれないけどね。美佳ちゃんが最後に(心底ムカつく顔で)「空気読んで下さいよー、先輩」って言ってたのって、「こんな半端なシビュラなんてあるわけないじゃん、何ムキになってんの?」ってことだったんだろうね。それに気付かず視聴者側まで朱ちゃんや狡噛と一緒に悪戦苦闘し、素直に「ひでぇ国だなぁ」と思って見てたから、途中のもやもやがでかかっただけで。むぅ、そう考えるとこの不満は俺の責任か。 ただ、そうしたシナリオのもやもやだけでなく、演出面でも1つ不満がある。パンフレットを読むと「雰囲気がでるから」って書いてあるんだけど、やっぱり無理矢理英語台詞でやらせる意味はなかったんじゃないかと。もちろんああすることでよりリアルになった部分はあるんだろうけども、どうにも台詞の方が気になってしまってね……。ネイティブにしゃべらせないと、「英語を話す」ところで精一杯になってしまって、芝居が浮ついたものになっちゃうんだ。これは役者の責任ではなく、無理にやらせる方に問題がある。割を食ったのは大きく2人で、1人は当然一番台詞が多かった神谷兄ぃ。あれだけの役者でも、いきなり使い慣れてない英語で全部やれって言われたら、そりゃ芝居が完遂出来るわけがない。そしてもう1人は狡噛さん。関智一はかなり英語を頑張っていたと思うのだが、それでもやっぱり「日本人が無理してる英語」になってしまい、こういう「片言の英語」で一番影響が出るのが、プロフェッショナルとしての格好良さを前面に押し出さなきゃいけない狡噛さんだった。数年間ゲリラ組織で先陣切ってきた人間の英語ってんだから、そりゃ恰好よく話さなきゃいけないはずなんだけど、なかなか難しいからなぁ。個人的には、そんな中でも運昇さんの英語はかなり頑張っていたんじゃないかと思う。多分キャスト全員「英語はちょっと……」っていう気持ちは同じだったろうし、英語力自体に差はなかったんだろうけど、運昇さんはやっぱり年の功なのか、それとも声の説得力なのか、割と押し切れてるシーンが多くてニヤッとした。まー、外画でもよくやってるタイプの役だからねー。 というわけで、大きな不満点は「もっと陰湿なお話が見たかったのに」という肩透かしが1つ、そして「英語芝居が没入を妨げた」というのが1つ。その他、「さっさと海外に行っちゃったせいで一係の人間の活躍シーンが少なくなったやんけ」っていうのも不満としてはあるのだが、今回はまるまる一本使って「狡噛と常守」の話に一応の決着をつける必要があったので仕方ないところか。メインとなるこの2人の関係性は狙い通りにがっつり描かれていたし、狡噛さんの扱いも割と納得出来るものだった。いや、国外脱出してる時点で100%混じりっけ無しの「犯罪者」なのは間違いないんだから、「狡噛さんはそんな人じゃない」って信用し続けるのも本当はあかんのだが、まぁ、朱ちゃん目線からだったらこれくらいの処置になるよね。「ちょっとなぁなぁかな?」と思ってたところにギノさんがちゃんとけじめをつけてくれているので問題無いだろう。本作の良かったところの1つに、「一係は出番無かったけど、その中でもギノさんはそれなりに優遇されてる」っていうのがある。冒頭の地下シーンでは、マシンガンの乱射を避けながら相手をぶん投げるという人智を越えた活躍を展開していたし、クライマックスでは2期でも顔見せした強襲型ドミネーターで圧巻の射撃シーンを見せている。ラストのドンパチも、あの頃のひ弱な坊やとは完全におさらばした骨太なバトルを見せてくれている。一応狡噛と2人がかりという状況ではあったけども、対戦相手の腕もマシンアームだったので、何となく「義手対決」みたいになってギノさんが引き立っているのは良かった。狡噛が朱ちゃんと再会して一番最初にしたプライベートトークが「ギノは相変わらずか」だったのも、彼が愛されてる証拠ですよね。多分、再会した狡噛が最初に思ったことは「へぇ、眼鏡やめたんだ」か「ポニテwww」だと思う。 その他の要素についてもちょいちょいチェックしていくと、残りの一係面子では、唐之杜さんが割と優遇されててちょっと面白い。まー便利なドラえもんポジションの人なのでこういう話だと出番は多くなるだろうけど、彼女なりにどんどん朱ちゃんと距離が近くなってるのが分かるコミュニケーションが多かったので、「そろそろ常守さんを毒牙にかけてくれないものか」と期待は高まる一方。その分六合塚さんの活躍はほとんどなかったけどね……。そうそう、一係といえばやっぱり霜月美佳ちゃん! 彼女の活躍も今回すごく期待していた部分だったので、出番が少ないとはいえ、要所で仕事をしてくれたのは嬉しい。メモリースクープで犯罪者1人ぶっ殺しておいてのドヤ顔、マジでシビュラの犬。鹿矛囲事件の後で、彼女なりにシビュラとの付き合い方を覚えたんだろうなぁ。そして最大の見せ場である、クライマックスのネタバレシーン。「はぁ、あんた馬鹿ぁ?」ってな表情がホントにぶち殺したいくらいムカつくのがたまりません。常守先輩はあの後輩の横暴を放っておくところだけが無能ですね。いや、でも可愛いから放っておきたくなる気持ちも分かるけど。多分、生き残る術とかそういう次元を超越して、もう骨の髄まで「シビュラのいうことが全部正しい、シビュラ万歳!」の精神が染みこんでるんだろうなぁ。きゃんきゃん言わせたいなぁ(シリーズ通算3度目の感想)。 雛河さんは……いいです。スタッフロールで一応名前出てたけど、しゃべってたかどうかすらよく分かりません。その代わりにしっかりしゃべってくれたのは当然の槙島さんなわけですが、2期のクライマックスで朱ちゃんがピンチの時には狡噛の亡霊が出てきたのに、狡噛がピンチになると出てくるのは槙島の亡霊なんだよね……なにこの片思いルート。でもまぁ、今回も狡噛の生き様の中に槙島がしっかり生きていることが分かったのは良かったかな? 作中でよく触れられている「槙島と狡噛は似ている」っていう部分は、実はあまり実感として得られる感覚ではないのだが、なるほど確かに狡噛の人生行路を追ってみるとメンタリティではなく、世界の見え方に共通する部分があるんだろうね。シビュラから自由になった狡噛がこれからどんな人生を歩んでいくのかを見ていけば、「もう一人の槙島」の世界が見えてくるのかもしれない。 今回はこんなとこですかね。結局、いつも通りに「何かが完結する」っていう話ではなかったので、是非とも「更なるPSYCHO-PASSの世界」を続編で期待したいところです。その時には是非とも雛河にも活躍の場を与えてあげてください。そして霜月監視官メインでこの世界を見つめるお話とかも見たいですね。この世界のメインテーマはあくまでシビュラなので、そこから離れないお話作りでお願いします。そういえば今回のエンディングテーマ、「名前のない怪物」だったんだけど、やっぱりこの世界を表すのに一番フィットしてるのってこの曲なんだと思う。今回もエンディングでイントロがかかるシーンがめちゃめちゃ恰好良くてしびれましたわ。 PR |
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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