○「灰と幻想のグリムガル」 6
グリクシス+シルムガル=グリムガル。何とも青黒そうな名前である。そういえば、なんとなく画面も青黒かった(そうでもねぇよ)。
毎度お馴染み異世界転移もの。ラノベ原作らしいし、普通は期待しない要素の方が多いのだが……なんだろうね、この1話目。いいね。雰囲気がすごく良い。冒頭のゴブリン戦は背景美術の独特さに引きこまれたが、そこで動くキャラクターの動きも決して悪くない。今作のシナリオ上の特色である(と思われる)「素人臭さ」がいい感じで醸し出されている。その後も、森以外の街・塔・屋内、全ての背景美術がどこか現実離れしながらも匂い立ちそうな近さを持っていて、並々ならぬこだわりを感じさせる。キャラクターデザインにはそこまで個性は無いのだが、淡泊に作られた造形はこの背景美術が表す世界観にマッチングさせるための措置だろうか。淡く儚い中にしっかりと人の動きが見える組み合わせはお見事だ。映像を見ているだけでも、自然に居住まいを正してしまうだけの真摯さがある。
そして、1話目で特筆すべきは音響部分ではなかろうか。なんと、ほとんどBGMが無い。少年たちが起きて、ご飯食べて、歩いて、話す。それだけのシーンなのに、聞こえて来るのは鳥の声・虫の声。ほとんど音楽らしい音楽がかからず、この世界の環境音だけが響く。ときには台詞すら途絶えるのでほとんど無音の時間すらある。この「静かさ」は、これまで見てきたどんな「異世界転移もの」とも異なっている。世界観でいうなら一番近いのは「ダンまち」あたりだと思うのだが、余計な音も、人も、情報もなく、ただ世界だけがそこに転がっている潔さは、演出過多な昨今のアニメでは異常とすら言えるかもしれない。もちろんこれは手抜きなどではなく、全てが統一された世界の意向でそうなっている。この方向性は、実に好ましい。何の手がかりもないこの世界、我々視聴者も、まっさらな気持ちで主人公達の冒険譚を追いかけていけそうではないか。
まー、媒体がラノベであることを考えると、流石にこのままのテイストを貫き通すのは難しい気もするのだが、「現世の記憶がさっぱり無くなる」という設定は新しい。いくらでも悪い伏線を盛り込み放題なので最終的にどういう結末になるのかは想像もつかないが、「異世界の冒険」を純粋に構築し、ゴブリン1体に苦戦して生き残る術を見つけるまでの行程は、ある種のデスゲームみたいな緊張感もあり、それに加えて、RPGの楽しみの大前提である「成長する喜び」も伝えてくれそう。これ、原作はどんな雰囲気なのかなぁ。ちょっと小説媒体での表現も気になるところですね。
あとは中の人の話。吉野うるせぇ、ってのが第一印象だが、このやかましさ、騒々しさはいかにもよっちん。ここまでやっておいて心の底から嫌な奴にならないあたりは人徳。それに細谷のやんわりしたフォローが入り、女性陣は関西弁の三重県民と、キャラと同じく(隠れてもいない)巨乳の魔法使いが担当します。照井君頑張ろう。良い配役だ。まぁ、個人的には盗賊ギルドの先生が一番気になりますけども……。いや、違う一番は戦士だ。福嗣だ。気付いたらこんなところまで登り詰めやがったのか。別に悪い仕事じゃないぞ。なんか木村昴みたいなイメージですね。きっと三冠王狙える戦士になるで……。
ところで、ゴブリンのCVがゴブリンってどういうこと??
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