最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
あんまり見ないタイプの劇場アニメなんだけど、なんだか最近身の回りでやけに盛り上がっていて。さすがにそんだけ言われたら一応アニメが好きな身としては見に行かないわけにもいくまい、ってんでGW初日に観にいってまいりました。まだ初日だから大丈夫かと思ったのだが、さすがに劇場も家族連れでにぎわっており、30分ほど前に入場したら残り5席しかなかった。危ない。ディズニー映画は不動の人気があるのだなぁ。
(以下、ネタバレあるかもしれないので一応注意。)
こうしてディズニー映画を見るのは4年前の「シュガーラッシュ」以来である。「シュガーラッシュ」は慣れないディズニー映画に触れ、「やっぱりあっちのアニメはすさまじいものだ」と圧倒された記憶がいまだに鮮烈。日本のアニメ文化とはまったく違った成長を遂げたアメリカのディズニー・ピクサーといったスタジオの持つエネルギーは、日本のアニメスタジオとは別次元のものだ。まぁ、国と文化が違い、製作理念もビジネスモデルもまったく違うのだから比較することにあまり意味はないと思うが、純粋に劇場版一本、1,2時間の枠の中での品質だけで考えるならば、日本の劇場アニメとは比べ物にならない。だってしょうがない。かけてるコストも人員も桁違いなのだから。とはいえ、以前アニマックスで放送された「カールじいさん」はそこまで面白いとは思わなかったので、「シナリオの出来不出来は当然ある」ということと、「劇場で見ることを前提としたディティール部分にかけているコスト」という点についても考える必要があるだろう。 さて、今作に関して、まずはメインシナリオの部分である。正直、「シュガーラッシュ」のときの衝撃に比べれば一段落ちる。これはしょうがない。「シュガーラッシュ」は私がカルチャーショックを受けた一発目の作品なので衝撃が大きいのは当然だし、「日本のゲーム文化」という、より日本のファン層に寄り添ったテーマを持って製作されたわけで、土台はあちらのほうが「向き」だったのだし。また、私の周りで異様に盛り上がったこともあり、いくらかハードルを上げてから見てしまったことも否定できない。「あのシュガーラッシュクラスが来る?!」と身構えていたら、たとえ同程度のクオリティでも耐性が着いている分落ち着いて見られるのは当然なのだ。また、そうした外的要因を取り除いたとしても、今作のメインプロットは「シュガーラッシュ」以上にわかりやすいものになっており、どんでん返しがどうこういう類のものでもない。最後の黒幕は伏線らしい伏線もなかったし、大ネタについても「たまたま知る」というデザインなので大きな衝撃を受けるというほどでもない。そこに余計な期待感を抱いたら肩透かしになるのはしょうがないだろう。 と、ここまでネガティブなことをは書いてみたが、これはあくまでも「メインネタにサプライズを期待する」という無茶なハードルを設けた場合での評価軸である。やはりというか当然というか、ディズニー作品の筋立ての完成度というのは、グダることが茶飯事となっている日本のアニメ映画に慣れてしまうとお化けみたいに見える。わずか一時間半という限られた時間の中で、ここまで無駄を切り詰めてシナリオを盛り込み、起承転結を大きめにデザインし、破綻をなくし、ただひたすら画面に惹き込み続ける。このエンターテイメント性は、やはり「化け物」というしかない。今回のテーマって、ものすごくベタなのよ。だって「草食動物と肉食動物が一緒に暮らしても大丈夫?」なんて話、イソップだろうがなんだろうが、ありとあらゆる寓話で語られている内容だ。アニメ映画でも「あらしのよるに」なんていかにもな作品があったし、「小さい動物ががんばって大きな動物を見返してやる」なんて、それこそ「チップとデール」なんかでディズニーがやり倒しているテーマ。いまさら何か新しいものが出てくると思うものか。 しかし、今作ではそれを可能にしたのだ。「動物に対して誰もが持つ先入観」という材料を見事に調理し、それを新たなファンタジーとして再構築した世界こそがズートピア。その作りこみは過去の類似の作品世界を1段も2段も上のレベルで精緻化したすさまじい作りこみの執念がこめられている。それはたとえば各々の動物のサイズだったりするし、動物の個性の残し方だったりする。野生が個性として残っていたらひとつの共同体として成り立つはずがないのに、「共同生活できる」というラインを作り、各々の世界が干渉しあうことを許しながらも、多様性が活きて、バリエーションに富んだ画面構築に成功している。似たような病的なこだわりは過去にも「パプリカ」の百鬼夜行や「宇宙ショーへようこそ」の宇宙人などにも見られたが、今作の場合、こうしてつくられた世界が背景に落とし込まれるのではなく、それぞれの存在感を主張しながら、すべてのキャラと並行して前に出てくるのが恐ろしいところである。そこには安易なキャラ設定はひとつもなく、「あってしかるべき」先入観への浸透と、そこを裏切ったが故に得られるギャップの妙味がある。運転免許センターでのたっぷりとした尺のコントや、ミスタービッグが正体を現したときの劇場の笑いは、誰もが共通して笑うことが出来る、年齢層や国境すら越えた人類普遍の楽しみだ。 もちろん、こうした作りこみが映像美術に支えられていることは言わずもがなである。CG技術がすごいことはもちろん知っているつもりだったが、ディズニーの進化はまだまだ止まらない。今作で一番感動したのは、「モフモフしている」ところだ! だって動物が活躍するんだから、モフモフしてるに越したことはないよね! どうしたって「CGのキャラ」といわれたらそこには無機質な冷たさが付きまとうもので、今作だって完全に血の通った温かみがあるかといわれたらまた別な問題ではあるのだが、とにかく表面の毛並みのつややかさが至高である。ジュディもニックも、とにかく撫で回したくなる立派な毛艶。ニックの尻尾のモフり具合なんて、あんなキャラなのにどれだけ愛おしいことか。一番謎だったのはベルウェザー副市長の頭のわしゃわしゃだったかもしれないが(ちなみにパンフの情報によると、彼女の着るおしゃれ着はすべてウール製らしい。いいのか、それ)。また、キャラの造形の話で言うなら、「動物の擬人化」のバランスが絶妙なのも注目のポイント。ちゃんと動物の愛らしさが残っていながらも「人体のモーション」で動かせるラインの見極め、とでも言うべきか。さらに夜の遠吠えの影響で凶暴化した「ビーストモード」にもナチュラルにつなげられるのはさすが。また、ジュディの両親を見るとわかるが、「年齢を重ねた様子」が表されるディティールも本当に繊細で、あんなウサギのくせに、ジュディの親父さんはちゃんと「ふけてる」ことがわかるのだ。他にも、多様性に富みワクワクするような各ステージの設定なんかはまるで一本のアクションゲームを進めているかのように彩り鮮やかで見た目にも刺激だらけ。とにかく、見ていて一秒たりとも退屈しない映像美というのが、今作最大の魅力の1つといえる。 そしてシナリオライン。確かにメインプロットは「シュガーラッシュ」に比べて一段落ちるとは書いたものの、戦っている土俵が違うのだから問題にならない。「動物さんたちのハートフルストーリー」の構成として、今作のドラマパートは本当に隙がない。ニックの幼少期のトラウマみたいな「差別」部分をあまりにダイレクトに描いているあたりはお国柄の差を感じるが(「シュガーラッシュ」のときも、「悪役は悪役なのだ」みたいな一切の予断を許さぬ二元論的な描写がえげつなかったのを思い出す)、それらはもちろん分かりやすいハッピーエンドを盛り上げるため。ラストに収束させるためにあらゆる要素を無駄なく配置し、無駄なく回収するシナリオラインの巧緻さは、何とかして日本のアニメ作品にも徹底できないものかとうらやむばかりである。 あと、個人的に「これははずさないわ」と思ったのは、ジュディとニックの関係そのものですね。だって、「堅物で向上心に燃える新米の女性」と「曲者で素性の知れないのチンピラ野郎」のカップリングって……鉄板過ぎるじゃない! 圧倒的な萌えシチュエーションじゃない! ニックのキャラがあまりにも完璧すぎるってのもあるんだけど、2人のでこぼこコンビが自然につながっていくまでの友情形成があまりに素敵過ぎて、「この2人の薄い本はいちゃいちゃものしか出ないだろうなぁ」なんてわけのわからないことを考えていた。ロープウェイの中でニックが過去のことを聞かせ、ジュディが理解を示して歩み寄るシーンとか、ほんとにやってられないよ。爆発しろこの野郎。2人のスケールの違いもまた、でこぼこカップルらしいビジュアルになってとてつもなくいい画なんだわ……。個人的には、ついでにニックが初心なジュディに下卑た地下世界のヌーディストを見せ付けてニヤニヤしてるところもツボです。あ、ジュディがむきになって背伸びしようとしてだまされるタイプの薄い本なら出来そうやな(何の話だ)。 とにかく、映像として現れたキャラクターのディティールを一番よく見てほしい作品。ライティングにも一切の余念がなく、どこまで手間掛けてんだ、っていうくらいに「真に迫る」ファンタジーになっているから。間違いなくケモ文化の歴史に名を刻む一本になっていることだろう。 最後にいつもどおりに。ニックのキャラが最高すぎたので、当然中の人MVPは森川社長である。本当に、頭から尻まで完璧すぎたなぁ。今後、ジュディとニックのでこぼこコンビがズートピアで暴れまわる続編がいくらでも作れそうなくらいにびんびんにキャラが立ってる。ジュディも当然魅力的なヒロイン。中の人は上戸彩ということでどうなるものかと思ったが、これが存外悪くない。唯一、ニックと仲直りするときの泣きのシーンだけはもう一歩といったところだったが、他のシーンでは十分に魅力的な「にんじん」になっていたと思う。多少のたどたどしさも、「田舎上がりの夢に燃えるペーペー」というスタンスにうまくはまってたんじゃないかな。あとサバンナ八木も結構うまいって言う。NHKで声優業はそれなりにやってるからねぇ。いろいろと新鮮なものが観られてよかったです。 PR |
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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