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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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91Days」 5→5

 やりたいことはやってくれたんじゃないかなぁ、と思えた作品。いや、やりたいことを全部分かってるわけではないのだが。

 禁酒法時代のマフィアの抗争を描いた物語、というだけで、割と昨今のアニメの中では異色の設定。映画作品なんかではお馴染みのものだが、私みたいな漫画アニメにしか興味を持てない欠陥人間にはなかなかお目にかかる機会の無い設定なのだ。そして、そんな時代の中で描かれるものはたった1人の男の復讐劇。アヴィリオの目的は最後の最後まで一貫しており、まさにそのための「91日」を描くという目的は一切ぶれていない。総集編を挟んで全部で12話、これだけのお話の中で、一体どれだけの人間が血を流し、どれだけの人間が無念のうちに命を落としただろうか。非常にヴァイオレンスで、何とも救いのない作品。アニメの売りにエログロなんかを押し出す作品は多いが、こうして徹底的に「命を奪うこと」の無常観を描くというのは珍しい設定だったのではなかろうか。

 「やりたいこと」の1つは、そうした「無常観」を描くこと。「復讐は何も生まない」なんて陳腐な台詞だけで片付けてしまうわけにもいかないのだろうが、家族の死を契機にして産みだされたアヴィリオという復讐鬼が、回りのあらゆる人間を不幸にしながら目的を遂行していく様は、一切の達成感などなく、ただただ虚脱感が募るばかり。「復讐なんてやめろ」という正義感を振りかざした人間はこの作品の中ではコルテオくらいのもので、そうした倫理観とは無縁の中で、粛々と命だけが奪われていく。これを観て「暴力はいけない」とか、「復讐は無意味だ」なんて通り一遍の結論を得ても別に構わないのだが、作品の狙いとしてはそうした当たり前の感想を超えたところにある、「じゃぁ、どうすれば良かったんだよ」を考えることにあるのかもしれない。まぁ、ボクの最終的な感想は「やっぱり銃社会ってアカンよな」なので、どんな感想よりもアホっぽいですけども。

 そして、そんな殺伐とした殺し合いだけでは流石に物語として問題があるので、もう1つの軸となるのはアヴィリオの友情に関する物語。「復讐相手との友情」というのもこれまた手垢の付いたテーマ設定ではあるものの、たっぷりと時間をかけてアヴィリオとネロの関係性を描くことで、1つ目のテーマである無常観と組み合わせて色々と考えさせられる結果に。ここで活きてくるのはコルテオの存在である。作中で数少ない「アヴィリオの正体」を知っている友人であるコルテオは、最後の最後までアヴィリオの「友人」であり続け、アヴィリオもそれを理解しながら、自らの手でコルテオを殺した。この時点でアヴィリオが「壊れてしまった」と考えるのは楽だが、作品の意図として、彼が「壊れてしまった」と見せる狙いは無く、その後もアヴィリオは、復讐を志す1人の人間として、葛藤の中で最後の仕事を成し遂げている。彼の中で「コルテオを殺してまで復讐を遂行する」ことに結論が出たとは思えないが、形の上ではそのような結末になっていることについても、色々と考えることは多いだろう。

 そして極めつけは最終回。アヴィリオはハッキリとネロに対して「殺したくない」と言ってしまった。盟友であるはずのコルテオは殺したのに、復讐の対象であるネロは「殺したくないから殺さない」。一見するとあまりに薄情な物言いにも聞こえるが、このあたりの矛盾した感情が、アヴィリオが「壊れていない」「ただの殺戮マシーンではない」ことの表れ。それだけに、コルテオを殺したときの彼の苦悩が重くのしかかってくる。こうして「壊れていないが自己を成立させることも出来ない」という袋小路に追い詰められたアヴィリオは、最終回で一体どうなってしまったのか。結末はぼかされている。普通に考えたら、ネロはあのシーンでアヴィリオを殺している。それは純粋な殺意からではなく、「何故あの時撃たなかったのだ」と涙ながらに訴えたアヴィリオに対するけじめ、罪滅ぼしの意味だ。長く空しい時間を超えて、ようやくネロはアヴィリオを撃つことが出来た。それが一番綺麗な終わり方だろう。

 ただ、個人的には「アヴィリオが撃たれなかった結末」についても考えてみたいし、そうあって欲しいと望んでいる部分もある。理性を超えて、大願を超えて成立「してしまった」2人の友情。コルテオの犠牲を伴いながら成立してしまった身勝手で、救いようのない友情。そうしたものが、どれだけ理不尽でも、この作品の中で最後まで守られていたと、そう考える方が、なんだかこの作品の「無常観」にピタリとはまっているような気もする。「死ぬより辛い人生を歩ませる」というアヴィリオの狙いは、まさに、彼自身にも科せられるべき咎なのである。まぁ、そのあたりを自由に想像出来るようになっているのは、制作側の狙い通りなのだろう。

 関東圏では放送が一回オトされてしまうなど、相変わらず万策尽きた残念なニュースが飛び込んでくるしんどそうなスタジオ、朱夏。今作はそこまでぶっ壊れ作画ではなかったが、お世辞にも褒められない部分は散見され、アニメとしては悔いの残る結果になった。しかしまぁ、中身としては唯一無二のメッセージ性を伴った面白いものになっていたので、結果はトントンといったところではなかろうか。オリジナルで攻め続けるのは、今のアニメ業界にとって大切なことだと思いますよ。

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