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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 三つどもえの状態から、また一つ均衡が崩れていく第20話。もう、これから先は「臨也ってどれだけ不確定要素まで加味して読みきってんだよww」という突っ込みは無しにしますが、それにしても面白いように状況が悪化します。

 紀田がダラーズ軍団のところを訪ねるところから幕を開ける今回。なんとナレーションが湯馬崎・狩沢コンビということで、ずっとシリアス続きのはずなのに、どこかネジのはずれたような奇妙な浮遊感のあるシナリオ運びになってしまっているのは、やはりこのコンビの持つ実体のない存在感ゆえか。キャラのしゃべりとナレーションが被さって、どこまでがナレーションだか分からなくなるというのも、この作品では初めての体験でした。

 露西亜寿司で互いの情報と感情を交換する紀田と門田。この2人はきれいな相互理解が横たわっているため、会合には隠し事は存在していない。門田は園原の存在だけが未知の領域となっているわけだが、紀田自身も園原=罪歌という事実をしらないので、この2人の情報量ははっきり言って等価だろう。そんな不毛な「相談事」に繰り出さなければいけないあたり、臨也のシナリオの意地の悪さが確認出来る。

 この会談で浮き上がってくるのは、紀田を突き動かしている感情というものが、どこまで行っても「中学生の独りよがりのワガママ」であり、回りからすると迷惑なものでしかないという「弱さ」。過去のブルースクウェアの名前まで持ちだしてダラーズに揺さぶりをかけようとするが、あぶり出されたのは有益な情報などではなく、湯馬崎の怒り、狩沢の義憤。彼らは悪事を働きたくてダラーズになっているのでもないし、悪事に嫌気がさしたからブルースクウェアを抜けたわけでもない。独白で語られるように、彼らは日常と非日常の境目を自由に取っ払うことが可能な、この街で一番「強い」存在なのである。そんな彼らの価値観に照らし合わせれば、理不尽な過去の妄執と現在のワガママを重ね合わせて暴れる紀田は、ただの子供でしかない。代表の門田に突っかかり「彼らの領域」に不躾に踏み入ろうとする紀田に対し、湯馬崎はダイレクトな「怒り」をぶつけ、互いの「現実」を隔ててしまう。「切り裂き魔の事件は、三ヶ島沙樹が被害にあった過去の事件とは別の出来事である」と、彼らなりの手段で確認していると見てもいい。つまり、「クールになれ」という彼らなりのアドバイスだ。門田は門田で「やり合うなら相手になる」と正面から紀田を抑止しており、ダラーズ軍団の荒唐無稽ながらも一糸乱れぬ連繋がここで確認出来る。

 しかし、そう言われても紀田の「現実」は塗り替えられない。次第に携帯電話のボディにディスプレイなど、「黄色」の要素が色濃くなっていく紀田は、最も触れてはならぬ領域、折原臨也の居城へと足を運んでしまう。そこで得られた「事実」と「真実」と「現実」は、到底彼に受け入れられるようなものではなかった。

 次第に加速していく黄巾族の暴虐。ダラーズは駆逐され、それを黙って見ている帝人は、紀田の目からは少しずつ歪んで見え始める。そして、それを黙って見ている紀田を眺めるのは、これまた一方的に真実を見てしまった園原杏里……歪みきった3者関係に、歪みきった街の喧噪。果たして、解決策はあるのだろうか? 彼らが選ぶべき「現実」とは、何だろうか?

 ここ数話は息もつかせぬ程の密度で様々な事件がもつれ合っていく様子がすさまじい展開だったが、今回は「帝人の正体が紀田に伝わる」という以外は大きく事態が進展しないエピソード。そのため、序盤の露西亜寿司のシーンは極力動きの無い静かな画面構成になっており、紀田と門田という2つの「現実」のぶつかり合いの様子が紛れを含まずに刻まれていく。また、画面が静かだっただけに、「怒る湯馬崎」「語る狩沢」という2人の突拍子も無いキャラクター性がはっきりと前面化され、地味ながらも実にインパクトのあるシーンとなっている。

 そして、引き続きナレーションを続け、紀田の転がり落ちる原因となったこの街の全てを、フィギュア人形劇を交えて表現する2人もなかなか怖い。「面白ければ現実・興味がないなら非現実」と自由自在にシャットダウン出来ると嘯く2人と、不器用なまでに「見つめたくない現実」に抗う紀田の対比が痛々しい。臨也はまるで我が事のようにスルスルと紀田の内面を語って聞かせていたが、臨也にあっさりとすっぱ抜かれてしまうほどに、紀田の内面は脆く、あからさまである。しかし、そんな「単なる中学生のワガママ」の中に、臨也は「帝人の正体」というスパイスを流し込んだ。これにより、園原→紀田→帝人 という一方通行の情報開示が行われた3人の首領の関係にも大きな歪みが生じてしまった。いつも通りの下校シーンでは互いの視線のみでこの歪んだ関係性が表現されており、細かな帝人の反応を伺いながら冷たい視線を送り続ける紀田が、確実にこれまで通りの関係ではないことを示している。怖い怖い。

 今回、前半パートはほとんど動きが無く、後半もそこまで目立ったアクションがあったわけではないのだが、黄巾族の黄色、ブルースクウェアの青、罪歌の赤という3つのカラーリングのみを背景で際立たせたりする絶妙な色彩設定で、本来なら画面に全く現れないはずの「池袋の現在」が置換描写されているのには感心した。例えば、色を失ったモブの黄色い傘と青い傘が画面の両端に位置し、間に赤い煉瓦塀が置かれたカットなどは、「3つの力が相容れずに並立してしまっている」ことを端的に表すシーンとなっていた。このあたりの画面の含意が相変わらず見事である。

 さぁ、臨也の工作も少しずつ佳境には向かっている。一触即発、上がりきった怒りのエネルギーは、どこにどう流れ込んでいくのだろうか。刮目。 

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