1月28日 ドラフト模様(AER×2 KLD)
ピック順 【Sea-chicken】→【Chrolony】→【Sangriter】→【Mei】→【Alessi】→【Thraxi】→
霊気紛争2戦目。混沌渦巻くこの世界ですが、残念ながら我々は今回も6人戦。今後最大人数の7人戦が開催出来る可能性がどんどん低くなっており、時代の移り変わりを感じます。まぁ、そりゃ長い歴史を遡れば6人戦どころか5人戦でも苦しかった時代もあるわけだが。……新しいメンバー探すかぁ(一人あまりにチョロいのが釣れたおかげで安易に考え始める)。
さておき、新人よりも新環境。世界的には環境分析は進んでいるのでしょうか。我々は当然さっぱりです。一応オンライン組はそれなりに機先を制しているはずなのだが、成績に表れるほどの優位を保つことは出来ない。そもそも環境理解って卓の全員が共通認識を持って戦わないとあんまり訳に立たないんだよね。確実に前作よりもアーキタイプ環境に寄っており、手なりでどうにかなる世界じゃない。いち早くこの世界の羅針盤を手に入れるのは一体誰になるのだろうか。そんな中、最年長のあの人がピック中に突如ひらめいて叫ぶ。
「この環境、分かった!」
固唾を飲んで見守る一同。
「難しいなッ!!!」
AL TH SA ME SC CH
AL ー × ○ × × × 1ー4 6
TH ○ ー × × ○ × 2ー3 5
SA × ◎ ー ◎ × × 2ー3 4
ME ○ ○ × ー × ○ 3ー2 2
SC ○ × ○ ○ ー ○ 4ー1 1 ○
CH ○ ○ ◎ × × ー 3ー2 3 ○
1位 【Sea-chicken】 白赤 <屑鉄会の勇者 光に目が眩む 経験豊富な操縦者>
環境を征するには何が必要なのだろうか。豊富な知識? 裏打ちする経験? それとも純然たる勝負勘か。否、そのどれでもない。自分の信念を曲げぬ、ただただ強固な「個」の力である。先週体調不良で欠席したために今回が初参戦となるこの男。「どうせ初めてだし、ただでさえ難しいこの環境をどうにも出来るわけがない」と周りがたかをくくる中、ゴーイングなマイウェイをただ突っ走り、気付けば重なるその勝ち星で早々に優勝を決めてしまった。「優勝は初回に限るんやで」と前環境でも嘯いていた男が、今回も成し遂げてしまったのである。成し遂げた自動機械なのである。デッキレシピは以下の通り、産湯を使ったボロスの血脈。前回我々は「誰1人白を使わない」というあまりにもみっともないドラフトを展開したわけだが、白の不人気は今回も変わらず。そんな中で黙々と「暁羽の鷲」×3を回収し、単なるバニラが確定しているであろう「精緻会の改革派」なんかも余裕のピック。とにかく2マナ3マナからクリーチャーを連打し、要所は「正確な一撃」「絶妙なタイミング」あたりでふたをすれば、最後は鷲が舞い降りるか、「鼓舞する一撃」でズドンである。もう、誰もが知っているボロス模様なのだが、この環境でそれが通用するかどうかは皆半信半疑。怖くて出来ないピック模様なのだ。それを何の迷いも無く実現し、成し遂げるのが強さである。このクソボロスが「勝った」という事実は、果たして今後のピックにどのような影響を与えるのだろうか。まだまだ予断を許さない。
<走れ我が道ボロスな人生>
平地×9 山×8
<クリーチャー・機体類> 15
精緻会の改革派×2 経験豊富な操縦者
渦跡の鷹 速接会のオオトカゲ
最前線の反逆者×2 尖塔横の潜入者
ギラプールのミサゴ 領事の盾護員
屑鉄会の勇者 プロペラの先駆者
暁羽の鷲×3
<その他> 8
ショック 正確な一撃×2
絶妙なタイミング
光に目が眩む 破壊的細工
チャンドラの革命 鼓舞する突撃
2位 【Mei】 青黒 <鋳造所のスズメバチ 守られた霊気泥棒 歯車襲いの海蛇>
環境が変わると戦績もガラッと変わるなんてのはよくあることで、「カラデシュ」は年寄り勢が強い世界だったのに対し、ここ2戦は若手組が老害どもを圧倒している。普段ならばこいつが勝ちを重ねた時には文句の1つや2つや3つも書き連ねるところだが、正直、今回のこのデッキはかなり羨ましい、「組んでみたい」デッキデザインになっているので、素直に「良いアーキタイプドラフトだ」と褒めるしかないだろう。デッキは前の環境で言うところの青黒親和。ラストパックで「海蛇」が2枚引けたのは完全に運であるが、その海蛇の受け入れも含めて、親和に寄せたデッキ全体のピースが非常に強固である。代表選手はなんといっても「悪意器具」で、これが序盤のターンばらまかれて海蛇や即席の呼び水となり、使い終わったら手軽に1マナからアドバンテージを刻んでいく。ここ最近はリミテッドにおけるハンデスの影の薄さは気になるところだったのだが、このカードはハンデスというメインの役割以外で果たせる仕事が多いので、今後も注目すべき存在だ。今回はそれに加えて「屑鉄さらい」という危険なレアのエッセンスも加わっており、「検査器具」をサクると「悪意器具」が帰ってきて、その「悪意器具」をサクると「改革派の地図」が帰ってくる。「屑鉄さらい」本人が即除去られたとしても「悪意器具」に化けるのだから手がつけられない。この手のデッキがおそらく青の期待枠である「霊気急襲者」を一番上手く使えるデッキになっているだろうし、今後もこの路線でのチューンナップは精度を上げていくことだろう。
3位 【Chrolony】 緑青 <緑輪地区の解放者 バラルの巧技 放射篭手>
前回優勝から今回も突き抜けるかと思われたが、クソボロスに破れて今回は一旦落ち着く試合。それでもまぁ、順調に勝ちは重ねているのだから狙いはぶれていない。なかなか方向性の見えない緑と青の組み合わせ。一応エネルギー押しが制作側の意図な気もするが、この環境はエネルギー活用カードが大きく数を減らしてしまい、流石にラストパックに賭けるわけにもいかない。そこれでエネルギーに手を回さずに支える手段として選択するのは、やっぱり緑の純然たるサイズしかないのである。すっかりジャンキーと化してしまった+1/+1カウンター絡みのギミックもしっかりフォローしつつ、「造命物騎兵」という化け物が些末な障壁を押し潰していく。一応紛争フォローが必要だが、今回このデッキは「難破船ウツボが自害する」というとんでもないブレイクスルーを発見し、これをフル回転させて「緑輪地区の解放者」や「造命物騎兵」を味わっていた。また、単純に「僧帽地帯のドルイド」×2が強く、緑は今まで以上に余計なことを考えずに「加速からのでかぶつドン」の流れが分かりやすく強そうに見える。まぁ、「霊気風浴び」とかいう訳の分からないカードがあったおかげでまかり通った部分もあるんですけどね。あと、今回緑がますます飛行を止められなくなってしまったため、自分から「内陸のドレイク」を使っていける青とのコンビネーションは、事前の防御策としても案外効いているのかもしれない。
4位 【Sangriter】 白緑 <生真面目な補充兵 捕食 霊気嵐のロック>
ここからは路頭に迷った老害チームになります。とはいえ、このデッキはそれなりにやりたいことは出来てる気もするんだが……どうなんだろう。白緑のアーキタイプって何さ、っていう話なんだけども。今回のテーマ(?)は「獰猛器具が強いね」。1引きが2段攻撃の「生真面目な補充兵」ってのもあるが、普通のフライヤーだってカウンター1つでその価値は天地の開きがあり、私のようにカウンター2つ乗せた「プロペラの先駆者」をどうにも出来ずに死んでいくような人間もいる世の中なのである。このデッキは更に「襲拳会の革命家」という有能な増殖持ちクリーチャーがおり、さらに2体の「修復専門家」で「獰猛器具」はいつでも回収出来るという念の入れよう。別に乗せられるカウンターがそこまで多いわけではないのだが、ピンポイントで要所が強化されていけば、自ずと戦線も拓けるというものだ。しかし、やはりそれではTier1に辿り付くには足りないのか。本人曰く「格好ばかりつけてて負ける流れのデッキ」。確かに見れば除去もボムも乏しいため、先に回られても負けるし、まくりかえされても負ける可能性があるため、何とも器用貧乏な印象は拭えない。いや、だからって何をしたらいいのかは私には分かりませんが……。
5位 【Thraxi】 赤緑 <速製職人の反逆者 リシュカーの巧技 ナーナムのコブラ>
分からないっていう点ではこの赤緑もなかなか難しい。今回たまたま2セット両方の多色アンコモンが引けて、「通電の喧嘩屋」→「辺境地の猪」と並べば「なるほど、序盤から畳みかけて押し潰すグルールビートやな」という気はするのだが、よく見れば1引きの強レアは何ともテクニカルな「速製職人の反逆者」というアーティファクト必須のカード。「序盤から本体叩けばいいんやろ!」というので「ピアの革命」なんて面白カードまでとってしまったためにアーティファクトカウントが必須のデッキ模様。「グルールビート」と「アーティファクト染め」って、どうあがいても両立しないんですよ。あげく、何故か評価ががた落ちした「パンハモニコン」さんまで流れてきて、「可哀相に、僕が君を輝かせてやろう」とデッキイン。だってほら、「速製職人」の能力コピーして4点砲台とか、もう勝ったも同然じゃないですか。まぁ、勝ってないですけどね。改めて振り返ってみると敗因は割と明らかで、「速製職人」の効果をさっさと「おまけ」と割り切り、もっと肉を多めに確保したビートに寄せるべきだったのだ。半端にアーティファクトを引いていたからこんな情けない結果に終わってしまったわけで、「リシュカーの巧技」「巨怪の猛攻」とゴッドなカードを並べてみれば、もういっそのこと「僧帽地帯をうろつくもの」なんかをオールインしても良かったまである。悔やまれるのは本当にピックの巡り合わせのせいで、喉から手が出るほど欲しかった「造命物騎兵」をとるタイミングが無かったことなのよねぇ。まぁ、あとパンハモいらなかったとか、そういうやつ。つまり、ロマンに負けた。っつうかマジで飛行が止まらないんですけどどうしたらよかったんですかね。。
6位 【Alessi】 黒赤 <異端の飛行機械職人 搾取工区の喧嘩屋 真鍮の災い魔>
この環境が「難しい」という宇宙の真理に辿り付いた偉大な頭脳。その頭脳、もうちょっと前に進めてもらえると助かるんですが。今回のデッキはラクドスカラーだが、狙い定めたのは「エンブロールの歯車砕き」や「強気な回収者」を軸とした、いわゆる赤黒ハスクのデザイン。サクり台は割と自然にデッキイン出来るし、そこから炸裂する理不尽極まる「世話」の威力は、相手にすると本当にたまったもんじゃない強さ。いちいち「パクられるかも?」と考えるだけでも手が鈍ってしまうので、基本となる速度が速ければ速いほど、相手にかけられるプレッシャーも倍速ゲームだ。さらに今回は「無許可の分解」も手に入り、「カラデシュ環境を通じて、さらにオンラインでの経験も加味しても、初めて有効利用出来た」というお話である。確かに、これまでいまいち正体を掴みきれなかったラクドスカラーが、ハスク戦術という明確な柱を得たことでプレイアブルになった印象はあるだろう。しかし、今回の「ムズい!」という感想でも分かる通り、実はハスク戦術は根幹になるギミックかどうかは怪しい部分がある。というのも、結局「世話」というたった1枚のカードに依拠するため、このカードの枚数次第で強さが大きく上下してしまうためだ。今回は卓に2枚登場し、この2枚をひいてはいるものの、言ってしまえば「たかだか2枚」である。「乗っ取り」が出る確率が下がっていることを考えると、正直、最初から狙って組むほどのアーキタイプとも思えない。今回「微妙」と言っていた多色アンコの「速接会の技師」の効果なども考えると、赤黒も青赤や青黒同様、基本的には親和方向に寄せて自力で「強気な回収者」や「歯車砕き」をまわす用意を整え、その上で「世話」をアクセントにしていくくらいが正しいんじゃなかろうか。カラデシュ産の機体が1枚でもあれば「速接会の技師」の強さも随分変わってくるはずだし。
今回のピック表
【Sea-chicken】(白赤)→【Chrolony】(緑青)→【Sangriter】(白緑)
↑ ↓
【Thraxi】(赤緑)←【Alessi】(黒赤)←【Mei】(青黒)
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